東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
博麗神社に帰ってきたレイを出迎えた霊夢は、傷だらけの姿に目を見開いて、駆け寄ってきた。
「どうしたのよ…傷だらけじゃない。」
レイは心配をかけたくなくて、無理に笑っているが、それは無理のようだ。霊夢は悲しそうにしながら、頭を撫でてきた。
「霊夢……?」
「どうして、レイは無茶するのよ…右目は大丈夫なの?」
右目が黒く染まっているのに、気づいた霊夢に聞かれて、頷こうとしたのだがやめた。余計に悲しませるだけであるからだ。
「暫くは安静にしないと…」
「うん…」
部屋で手当てを受けるレイは、右腕に触れようとしている霊夢だが、何故か触れるようなことはぜずに、手当てを終えた。
「………私は、昼の準備をして来るから、少しは寝てなさいよ。」
「霊夢…」
「どうしたのよ?」
レイは内心、気づかれているんじゃないかと、思いつつも、念のために聞いてみた。
「何も聞かないんだね。」
その言葉の意味を察している霊夢だが、部屋を出る前にレイに言った。
「レイが何かの秘密を抱えていても、言いたくなければ、言わなくてもいいわ。無理に聞こうとはしないから。でも、無茶だけはしないで…私を…頼りなさい。」
そう言って、霊夢は台所に向かった。布団に横になるレイは、苦笑している。
(霊夢には…気づかれたかな。勘が良いから。)
昼食として、霊夢が作った卵粥を食べている。すると、博麗神社に建てられている分社から諏訪子が出てきた。レイを心配して、様子を見に来たようだ。
「さっき振りだね。早苗が傷だらけの君を見ていたらしくてね。心配だから、見に来たよう。」
「諏訪子は昼食べたの?まだなら、一緒にどう?」
「ありがたいね。お昼抜…じゃなかった…まだだから、食べるよ。」
(早苗にお昼抜きにされたのね。)
(お酒が原因かな。)
諏訪子が卵粥を嬉しそうに食べながら、霊夢に最近妖怪の被害が、頻繁に発生していることを言った。それだけならば、博麗の巫女である霊夢が退治すれば良いだけの話だ。
だが、それだけではない。妖怪同士の共食いも発生しているらしく、警戒するようにと忠告してきた。
「妖怪の共食い…誰情報?」
「妖怪の山の見張りをしていた犬走椛だよ。知ってるよね?白狼天狗だよ。」
「ああ、あの犬よね?毎回、射命丸の愚痴を聞かされるのよね。」
霊夢は時々であるが、椛の酒飲みに付き合わされることがある。射命丸に対する愚痴を聞かされるだけだが。レイが幻想郷に来てからは、会う機会が減っている。
「最近、会えてないのよね。宴会が明後日にあるから呼びか。諏訪子達も来るのよね?」
「勿論いくよ。宴会は久し振りだからね!」
卵粥を食べ終えたレイは眠くなったようで、霊夢が布団を敷いて寝かせる。諏訪子も食べ終えたようだが、縁側に向かい日向ぼっこをして時間を潰す。
(レイ君か…アレはモテそうだね。)
その日の真夜中に魘されて、目を覚ましたレイは大量の汗をかいていた。部屋から出て、洗面台に向かい顔を洗う。
(……眠れない。)
境内に出ると、冷たい風を感じながら頭を冷やした。すると、目の前に隙間が開いて、紫が現れた。
「紫さん。夜遅くにどうしましたか?」
「貴方も起きてるけど、眠れないのかしら?」
妖しげな笑みを浮かべている紫は、隙間から酒瓶を取り出した。酒飲みに付き合わせたいらしい。レイは酒が飲めないのだが、今回に限っては飲むようだ。
「何処で飲むんですか?」
「縁側で飲むわよ。度数の低いのを外から取り寄せたから。」
グラスを用意すると、酒を入れる。紫は普通にお酒を飲んでいるが、飲み終えたようだが咳き込んだら。
「少し、キツいですね。喉が少し…焼けそうです。」
「慣れれば大丈夫だわ。」
何回か酒を飲んでいるが、意外と甘いお酒は飲めるようだ。
「………………紫」
「どうした…え!?」
レイは紫に抱きついてきた。突然のことに頭が追い付いていない紫は、パニックになっている。
「紫は可愛いね。」
「ちょっと!?」
あれだけの酒を飲んだのだ。完全に酔っている。レイが酒に酔うと抱きつき魔になるようだ。それ以外にも、紫の頭を撫でているが…
(抱きつき魔になるのね……意外と力強いし…甘えられるのは、悪い気はしないけど…)
暫くして、紫に抱きついた状態で眠ってしまったようだ。