東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
宴会兼歓迎会当日の夜。博麗神社に人間、妖怪、妖精などが集まって、宴会に参加していた。レイは静かに縁側で、宴会料理を食べている。
(本当は皆で、楽しまないとダメなんだろうけど…眼帯は取らないようにしないとな。)
レイの右目は、封印した妖怪の解放の影響で、黒く染まっている。そのため、紫が用意した黒い眼帯をしている。
一人でいる理由は、大人数での宴会行事が苦手であり、以前いた幻想郷の宴会でも、少人数以外では、一人で皆の宴会の様子を見る程度に留めて、参加しなかったのだ。
(仲良くなりすぎると、死んだときに辛いから…一人は慣れてるし。もう遅いかもね…)
魚料理の刺身を食べていると、さとりが近づいてきた。手には酒瓶を持っている。
「隣いいですか?私も、大人数の宴会は苦手なんですよ。」
レイは無言だが、座れるスペースを開ける。さとりは隣に座ってきて、心を読まれているが、前回とは違い抵抗がないので、結界は張っていない。
「貴方のいた幻想郷、興味があります。」
「この幻想郷よりは、窮屈かもね。妖怪と人間のバランスを保つのが、やっとたから…」
自虐気味に笑っているレイに、さとりが少し睨んだような目付きで言った。
「何故、笑えるんですか?」
「さとりさんは心を読んでるから、わかるよね?笑ってないと、自分が壊れそうになるから…」
「………幻想郷の崩壊ですか。」
抹茶を飲んでいたレイは、無言を続けているが、さとりとの会話をある意味楽しんでいる。すると、何もない空間が歪んだような現象が発生すると、結界が作動されていて、さとりの妹、こいしが結界に閉じ込められていた。
「あれ?これは…結界?」
「こいし!?」
「あれ、お姉ちゃん?橙達とお酒飲んでたんだけど…」
無意識で、神社の縁側に来てしまったようだ。レイは初対面なので、自己紹介する。
「僕はレイ…さとりとは友人だよ。よろしく。」
「……妹の古明地こいしだよ。よろしくね…レー君。」
「レー君!?何言ってるの!」
さとりはレイの事情をしているため、こいしが言ったあだ名が、以前いた幻想郷でのレイのあだ名であることが、わかっている。
「ダメかな?」
「迷惑かけちゃだめよ。あだ名はやめなさい。」
「さとりさん…大丈夫だから。こいしさんがあだ名で、呼びたかったら構わないよ。」
「わかった…後、さん付けいらないよ。呼びつけで良いからね。レー君。」
こいしは戻ると、さとりは地霊殿に帰っていった。
(それにしても…レー君か。久し振りに呼ばれたよ。)
取ってきていた宴会料理を食べ終えたので、暇になってしまったレイ。たが、宴会に参加していた小鈴が近づいてきた。
「レイ君!?折角の宴会なのに、一人でいるの?」
「大人数の交流は、苦手なんだよね。」
「でも、今回の歓迎会の主役はレイ君だよ!ほらいくよ!」
小鈴に連れてこられたレイは、皆から歓迎されたが、参加しなかったのだ罰として、宴会中は挨拶回りを命じられてしまったようだ。
「挨拶回り?」
「そうよ。参加していたら、普通に宴会を終えたわよ。たがら、皆に挨拶回りをしてきなさいよ。」
霊夢に正論を言われてしまったレイは諦めて、挨拶回りを開始した。最初は永遠亭組からである。
「やっと来たわね。主賓が何してるのよ?私は、蓬莱山輝夜よ。」
「……竹取物語は関係ありますか?昔話なんだけど…」
レイの質問に、輝夜は驚いたような表情をしているが、笑みを浮かべている。
「良くわかったわね。」
「僕の趣味が読書なので、その物語に関係があるかどうかは、勘だけど。でも、かぐや姫は月に帰ったとなっているけど…どうして、幻想郷に?」
「それは企業秘密。知りたかったら、調べるなりしなさい。」
輝夜に内緒と言われてしまったが、レイは人の秘密を暴く趣味はないため、別の話に切り替える。
「連れの人はいますか?挨拶回りをしている最中で…」
「それなら、鈴仙が近くにいる筈よ。探してみたらわかるわ。兎妖怪だから…」
「わかった…挨拶回りをしながらでも、探してみるよ。また後で…」
レイは挨拶回りを続けるのだった。