東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
霊夢、阿求、小鈴が寝静まった頃、レイは神社の屋根に座って星を見ていた。少し曇ってはいるが、星は普通に見えるので問題はない。
(僕の体は…何時まで持つかな。寿命が、17歳の半年まで…)
今現在のレイの体は妖怪を封印しているので、妖力をそのまま結界で封印しているのと同じである。そのため、レイの体は封印の影響で負担をかけている。霊力を流し続けているのだ。
(一度でも、霊力が途切れたら…寿命がまた更に減るね。その分…妖怪を消せる時間が早まるけど…)
暫く星を見ていると欠伸をするレイ。眠たくなってきたようなので、部屋に戻ることにしたようだ。
(寝る前に、水を飲んで寝よう。)
台所に向かい、水道の蛇口を捻ると水が出てきて、コップに水をいれる。
(今も思ってるけど…この幻想郷の河童は凄いね。まさか、水道水?があるし…前までは、井戸から汲んできてたけど…未知の道具を作りすぎて、幻想郷…崩壊しないよね?今度、霊夢に相談するかな。)
冷たい水を飲んだレイは寝ようと思ったが、眠気が覚めてしまった。逆に眠れなくなった。
(………失敗した。どうしようかな?)
悩んでいると阿求が起きていて、台所に来たようだ。目が覚めてしまったらしい。
「レイ君はまだ、寝てなかったのね?」
「阿求…お茶でも淹れようか?」
「結構…要らないわ。聞いてもいいかしら?」
「……僕がいた幻想郷のこと?」
阿求は頷くと、レイはどうしようかと考えた。だが、何もない空間に穴を開けたような仕草をすると、勾玉が出現した。
「……その勾玉は?」
「僕がいた幻想郷の記憶が封印されている。僕が管理者になってから、崩壊までの記憶が記録されているよ。阿求が知りたいのなら、この勾玉に触れるといいよ…覚悟があるならね。」
阿求は勾玉に触れようとするが、手が勾玉から離れる。自分の能力の関係上、躊躇してしまった。
「阿求の能力では、全てを記憶する。決して、忘れることはない。この勾玉には、悲惨な記憶もあるから、見たいなら全てを観測するしかないよ。中断はできない…」
沈黙が続くが、阿求は知ることを決意する。そして、勾玉に触れると幻想郷の記憶が流れ込んできた。すると、阿求に異変が発生して、魘されている。
直ぐに、レイは勾玉を返すように言ったが、阿求はそれを拒んでいる。暫くして、勾玉をレイに返した。記憶を見終えたようだが、頭痛がするようで、疲れている。
そんな阿求に、レイは言った。
「………何で、僕は確かに…幻想郷のことを教える意思はあった。知ってほしかったら…でもなんで…阿求は、知りたいと思ったの!?」
「……それは、私の自由よ。試していたのなら、残念ね…その程度で、レイ君から離れるとでも?」
「……………」
勾玉を戻すと、部屋に戻ろうとする。阿求は一言だけ言った。
「レイ君は隠し事苦手のようね。記憶にあったわ…」
一瞬、立ち止まると言った。
「僕の記憶…霊夢と小鈴に言いたかったら、言っていいよ。今の僕はそれどころじゃないから。」
「自分で言ったらどうなの?」
「何のために、隠してきたと思ってるのかな?記憶を見せたのは…失敗だったかな。」
子供のような笑みを浮かべたレイは、台所を出ていった。阿求はレイがいなくなった後で、床に座り込んだ。強がって無理をしていたようだ。
「情けない…数百年…生前、記憶している私が、この程度で…」
「やっぱり…阿求も、無理してたんだね。」
レイが台所に戻ってくると、阿求に手を差しのばした。見られたくなかったのか、レイを睨んでいる。
「レイ君には言われたくないわね。私より…少ないわよ。」
「こればかりは…譲れないから。僕の我が儘だよ。」
レイは阿求の手を掴んで立ち上がらせると、レイに抱きついてきた。
「阿求…泣いてるの?」
「何で…自分の命を大事にしないの!何で…」
泣きながら阿求に言われてしまったレイ。だが、無言で阿求の頭を撫でている。そして、レイから衝撃的な発言が…
「確かに…僕は無茶をしてきたけど…してなくても、どうすることもできないよ。」
「どういうこと…?」
「この幻想郷の博麗の巫女はわからないけど…僕がいた歴代の巫女、神主達は…短命なんだ。」
「………短命?」
「そうだよ。先代の巫女は…20歳で…その能力を失った…」
レイはそれだけを告げると、台所を出ていった。