東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
昼頃に博麗神社に帰ってきたレイは、境内を掃除している霊夢に「何処に行っていたの?」と、聞かれたが内緒にしたので、何も聞いてこなくなった。
「小鈴と阿求は帰ったの?」
「帰ったわよ。」
「わかった……そうだ、阿求から何か言われなかった?」
聞かれた霊夢は「レイは隠し事が苦手」と言われた。無言になったレイは、夕方まで寝るようで部屋に戻ろうとしたら、手を掴まれた。
「どうしたの?」
「…ごめん。阿求から全て…聞いたわ。」
「やっぱり?」
霊夢は泣きそうになると、レイは後悔しながら言った。
「霊夢……黙っていて……ごめん。」
「本当……遅すぎよ……相談してほしいわよ。」
隠す必要がなくなったので、右腕の不可視結界を解除して、巻いてある包帯を取ると霊夢に見せた。
「その腕は…しかも、妖気!?」
「結界で、封印してるよ。倒せないから…」
「レイの寿命は…阿求からは、残り短いと聞いたけど…」
「17歳までと半年…かな。」
それを聞いて霊夢は、レイを抱き締めると小さな声で泣き出した。見られたくないのか、顔は下を向いている。
「………何がなんでも、妖怪を退治するわ!」
「そうだね。」(……妖怪の封印が知られた。僕は…何がなんでも…幻想郷を守り抜く…どんな手を使っても…)
そう決意したとき、妖怪の声がレイの頭に響き渡る。既に覚悟を決めていたので、レイの精神が揺らぐことはない。
『巫女に知られたのかよ?面白くねえな!このまま封印されるのは、俺にとっても都合が悪い…逃げさせてもらうぜ!』
右腕に封印されていた妖怪が、妖力を解放して張られている結界を破壊して脱出した。その影響で右腕に激痛が走った。
「ぐ…」
「どうしたの!?」
「そんな…結界が…破壊された。」
レイの絶望の表情に、霊夢が黒い気配を感じ取り、御札を投げ付けると、黒い球体をした妖怪が姿を現した。
「痛いぜ…やっと外に出られたぜ!」
「お前は!?」
レイは金属の針を取り出すが、右腕の激痛で針を落としてしまう。
「さて…封印が続いていたせいで、力は取り戻せていないからな。暫くは…大人しくしといてやるよ。」
黒い球体の妖怪は、その場から姿を消した。レイの黒くなった右腕は、元に戻ることはなかった。
その日の夜、縁側で暗くなったレイの近くに隙間が開いて、紫が姿を現すと話し掛けてきた。
「しっかりしなさい。」
「出来ると思いますか…封印していた妖怪が…幻想郷に解き放たれた。僕の責任です…」
暗いままのレイを見て、紫は頭を撫でると霊夢に任せて姿を消す。
(どうすれば…)
黒く染まった右腕を見ているレイ。封印が解かれたため、妖怪はいない。だが、右腕は元には決して戻らない。すると、藍が隣にいたようで皿に盛られた大量のいなり寿司を差し出した。
「夕飯…食べていないのだろ?」
「食欲がありません。」
「今は食べないと、持たないぞ。」
「………………それじゃあ、1つだけ。」
いなり寿司を手に取り、食べ始める。1つ食べ終えると、レイの目から涙が流れる。止まることのない涙に、我慢できずにいた。
「………大丈夫か?」
「…………どうして、僕を責めないんですか?危険な妖怪を解放させたんですよ…」
「責められる理由が…あるのか?」
「あの妖怪は…幻想郷を崩壊させる力を持った妖怪…僕が…いなければ…」
レイは意識を失うと、藍が抱えて部屋に寝かせにいったが、霊夢がいたので預けることに。
「レイは責任を感じている。その上、自己犠牲をするかもしれない。余り言い方は…良くないが、レイの監視を頼む。」
「監視…」
結界で、封印していた妖怪を解放させてしまったことで、レイの精神が壊れ始めている。最悪の場合、自殺しかねない。
「…………わかったわ。」
「解放された妖怪は、暫くは力を取り戻せないはずだ。封印されていた期間は知らないが、最低でも、1年間は封印されていたと考えている。」
「その根拠は?」
「レイの精神が安定してから、霊夢にも教える。」
藍はその場から姿を消した。