東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
あの任命式から2カ月が経ち、平和な幻想郷が続いていると、石階段を駆け上がる音が聞こえると、魔女の服装をした金髪の少女が博麗神社にやって来た。
「お前は誰だぜ?」
「博麗霊夢…この神社の神主だよ。君は?」
「私は霧雨魔理沙…魔法使い(仮)だぜ!」
魔理沙と名乗った少女は、少し長めの箒を片手で持っている。霊夢は霊力とは違う別の力を感じたので、少なくとも能力持ちであることがわかった。
「お前一人で住んでるのか?」
「そうだよ。」
霊夢は立ち上がるとお茶の準備をするのだが、魔理沙に「一緒にお茶飲む?」と聞いたら頷いた。縁側で待つように言って、台所に向かった。
(霊夢は一人で、この神社に…霊夢まだかな?)
台所でお茶の準備をしている霊夢は、魔理沙に対する興味が湧いた。博麗神社に人間の参拝客は普通に来るのだが、霊夢に話し掛けたりなどはせずに行ってしまう。
(人里に行ったときの小鈴をカウントしたら、魔理沙で二人目かな。珍しいよ…)
お茶の準備を終えた霊夢は、お茶菓子である饅頭を持って、魔理沙の待つ縁側に移動する。
「霊夢!待ってたぜ!」
「熱いから気をつけてね。」
お茶を飲むとき「熱い!?」とビックリしながら、少しずつ飲んでいる。
「だから言ったのに。」
「でも、お茶うまいぜ!」
「魔理沙は人里から来たの?」
「魔法の森からだぜ。」
霊夢は魔法の森に「家なんて、あったかなあ?」と小さく呟きながらお茶を飲む。
「廃墟になった家に住んでるぜ!」
「まさか…一人暮らし?」
「師匠と一緒だぜ!魔法使いになるために、修行をしてるんだぜ!」
霊夢は安心した表情になるが、魔理沙の魔法使いの言葉に内心警戒する。人間の魔法使いならばまだいいが、種族の魔法使いなら妖怪扱いとなるためだ。
魔理沙はまだ人間の魔法使い…魔法の森で暮らしているのならば、人里の人間ではないから、種族魔法使いになったとしても、幻想郷の掟に違反しない。
(今は警戒するだけ野暮かな…)
「霊夢、饅頭貰うぜ!」
「良いよ。」
霊夢と魔理沙は饅頭を食べ終えると、お茶会を終わらせる。「魔法の森まで送ろうか?」と、魔理沙に提案するが「大丈夫だぜ!また今度、遊びにいくぜ!」と言って、帰っていった。
翌日、霊夢は部屋で結界符の作成をしていた。紙で札を作ると、印を刻み込んで霊力を流し込む。結界符を1枚作成するのに、大量の霊力が必要になるため、そんな頻繁には作れない。1日3枚が限界だ。
(……疲れた。少し休んだら瞑想しないと…)
暫くお茶を飲んで休憩していると、敷地内に張られている結界が反応した。
「誰か来た?参拝客かな…」
襖を開け、外を覗いてみた。緑髪の少女が神社に来て参拝していた。霊夢はその少女に人間の気配がしないことに気づいた。
(人間じゃない…妖怪か妖精だよね?)
参拝を終えた少女は飛んでいった。霊夢が境内に出る。
「あの子は何だったんだろう?」
雨が降り続けている梅雨の時期6月。霊夢が博麗の神主になって3カ月になり、修行も順調に行っているが、空が飛べない状態が続いていた。
霊夢は部屋で瞑想をしている。梅雨の時期が続くため、外での修行は一旦中断している。
(………よし、瞑想終了。買い物行きたいけど、雨だから行けないや…)
外を眺めていると、隙間から紫が姿を現した。霊夢の様子を見に来たようだ。
「修行は順調のようね?」
「紫…ボチボチだよ。」
「そう…余り無理はしないように。また後で…」
隙間に入って、家に帰った紫は藍を部屋に呼び出した。
「どうしましたか?紫様…」
「そろそろ霊夢に、あれを解決してもらうわ。」
「……異変ですか?どのように…」
「前と同じでいいわ。霊夢には危機感を覚えてもらいましょう。そうでなくては、幻想郷の守護者にはなりえないわ。」
藍は紫の指示に従い、とある妖怪に手紙を隙間で送るのだった。
次回 紅霧異変の章がスタートします