東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
57
暑い夏真っ盛りの8月。レイがこの幻想郷に来て、初めての夏の時期に突入した。博麗神社の草取りをしているレイは、麦わら帽子を深く被り直している。
境内に出てきた霊夢は、草取りを続けているレイを呼んで、休憩するようにいったら草取りを中断して、縁側で休憩する。
「麦茶持ってきたわ。」
「ありがとう……冷たいくて、おいしい。」
「夏は嫌になるわね。レイは夏をどう乗りきったのよ?」
「……チルノに頼んだかな。夏の日はよく、ご飯食べに来てたし。」
麦茶を飲み終えて、氷を噛んで砕いている食べているレイの言葉に、「そうなの?」と、目を見開いている。
「一人でご飯は、寂しいから…マリサも、食べに来るけどね。」
「ふーん。」(レイも私と同じなのね…寂しいかどうかは別として…)
冷たい麦茶を飲んで、少しはましになったレイは、休憩を終えると草取りの続きをすることに。
「余り無理しないように。」
「なら、草取りを手伝って。」
「……………」
「無言にならなくても…」
昼間に草取りを終えたレイは、軍手と鎌をしまった後、部屋に戻って着替える。霊夢は昼食を何にするか悩んでいると、霊夢を呼ぶ声が境内から聞こえた。
「久し振りね。何か用事なの?妖夢…」
「幽々子樣からお酒のお裾分け。最近、お酒作りと陶芸を始めたらしくて…」
博麗神社に来た人物は、白玉楼の庭師謙剣士、半人半霊、魂魄妖夢である。お酒のお裾分けと湯飲み茶碗を持ってきたようだ。
「これを幽々子がね。」
「そうだ…文さんの新聞で見たけど、男の子の居候がいるんですね?」
「………間違ってないわね。」
着替え終えたレイが、お昼に何が食べたいか聞きに境内に出る。妖夢がレイの方を見ると、お辞儀している。
「霊夢…あの子?」
「そうよ。」
「初めまして、レイといいます。」
「魂魄妖夢です。よろしくね…レイ君。」
普段とは違うクールな感じで、自己紹介している妖夢のやり方に、霊夢は笑いを堪えている。
「霊夢…笑ったら斬るよ。」
「………………!」
声にならない笑いをして、妖夢が刀の鞘を抜こうとして構えるのだが、妖夢と霊夢の間に結界符が飛んできた。通り過ぎる際に、結界が張られた。
「結界!?」
「霊夢、お昼作るからどうするの?」
「何を作るのよ?」
「チルノとルーミアから沢山野菜もらったから、天ぷらにするかな。どうせ、マリサも来ると思うよ。」
レイは4本の針を地面に四方に突き刺すと、結界を張った。すると、結界内に人参、ジャガイモ、大根などの野菜が大量に出現した。
「沢山あるわね。保存はどうやってるのよ?」
「僕の結界は特別製だよ。」(冷気を込めた結界だけど…)
レイは結界以外にも、冷気を操る能力を持っていたが、異次元幻想郷の崩壊と同時に能力が消滅した。その代わり、普通の結界とは別に、冷気での結界…氷結結界が使えるようになった。但し、結界のため飛ばすことはできない。
「これが結界術ですか?」
「霊夢の劣化版の術だけど…」
「それは言わないの…技術面では、レイが勝ってるわよ。」
「最弱なんだけどね…僕。さて、作ろ……ん?」
レイが無言で、空を見ている。何か鋭い視線を空に向けているが…
「どうしたのよ。」
「僕の結界に反応があった………烏だね。」
「烏ですか?」
懐から10本の針を取り出して、念入りに結界符を針に巻くと吸収された。その針を霊力で浮かせて、空に向けて発射した。何かの悲鳴声が聞こえてくると、空から落ちてきた。
「あれは…………文さんですね。」
「射命丸は何してんだか。」
レイが結界を張って、落ちてきた射命丸を受け止めると、冷たい笑みで針を取り出した。
「さて、質問に答えてね。言いたくなければ…言わなくてもいいけど。その時は、烏の串刺しができるからね。」
笑みを浮かべているレイだが、射命丸を逃がさないように、結界に閉じ込めている。更には、抵抗ができないように、妖力封じの針が突き刺さっているため、力すら出せない。
「言いますから…殺さないでください!」
「失礼だね…殺さないよ。妖力を半永久的に封じて、太陽の畑に寄付するだけだよ。」
「もっと嫌ですよ!」
射命丸が叫んだのだった。