東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
博麗神社に帰ってきた霊夢は、境内の掃除をしながら、夕食を何にするか考えていた。野菜は備蓄しているので、当分は買う必要がない。
(そうだ…お茶買うの忘れてた。掃除を終わらせたら、買いに行かないと。)
お茶を買うのを忘れていたようで、一旦掃除を中断して出掛けようかと思ったら、橙が遊びに来たようだ。手土産なのか、両手に袋を抱えている。
「霊夢!遊びに来たよう。」
「久し振りだよ。橙…」(お茶を買うのは、明日にしようかな。でも、お茶出せないし…困った。)
「藍様から霊夢にだって!」
橙が袋から取り出したのは、抹茶のティーパックセットである。藍が外の世界で買ってきた物らしい。
「ありがとう…」(そういえば…人里の茶屋で見掛けるね。)
「どういたしまして。霊夢は用事あった?」
「境内の掃除を終わらせたら、読書するつもりだったかな。」
橙の頭を撫でると目を細めて、霊夢に抱きついている。「どうしたの?」と聞いて、しゃがむと橙と視線を合わせた。
「藍様と紫様が用事で…」
「今日は帰ってこないの?」
頷いている橙は、抱きついた状態で霊夢を見ていて、勿論だが霊夢から離れない。
「今日は泊まる?」
「良いの……霊夢?」
「今日は誰かと一緒にいたいかな。いつも…一人で暮らしてるし。」
霊夢も時々、寂しくなる時がある。それゆえ、橙の気持ちも少しはわかるようだ。
「どうかな?」
「………今日は…お世話になります。」
橙が泊まることになったのだが、問題が発生した。布団が一人分しか無いことである。そのことに気づいた霊夢は、頭を抱えてしまった。
(買いに行くには、遅すぎるし。どうしようかな?最悪、結界内で寝られないわけでもないし…)
そう考えていた霊夢だが、橙から「霊夢と一緒にダメかな?」と首を傾げて聞いてきた。
「わかった…そうするね。」
居間で夕食を食べている霊夢と橙は、楽しそうに会話をしている。橙は修行の課題で、猫の里にいる猫を従えられるように、修行をしているらしい。
「その修行が難しくて、マタタビ酒とおやつ用の小魚をあげて、なんとか…従ってくれるけど。」
「猫を従わせる修行…その猫達は猫又なの?」
「普通の猫だよ。霊夢…良い方法無いかな?」
「方法……」
夕食を食べ終えると橙は、持ってきていた袋から酒瓶を取り出した。どうやら、霊夢と一緒に飲みたいらしい。
「霊夢…一緒に飲みたいよ。」
「お酒は勘弁してほしいかな。僕は…まだ早いし。」
「でも、魔理沙は9歳の時にお酒飲んでたよ。本人が言ってたけど。」
「9歳!?」(幻想郷の飲酒平均年齢が知りたい…小鈴と阿求姉ちゃんは、13歳で普通にお酒飲んでるし…それだと、僕も飲んだ方がいいのかな?)
飲んだ方が良いのか悩んでいる霊夢。橙は飲みたいようで、グラスを用意している。
「少しだけだよ?」(無理矢理飲まされる訳じゃないし、少しなら良いかな?)
「ありがとう!」
橙はグラスにお酒を入れて、霊夢のグラスには少しだけ入れた。
「………匂いは、きつくないかも。」
「飲もう、霊夢!」
恐る恐る、お酒を少しだけ飲んでみた霊夢は、意外と平気だったようなので、グラスに入っているお酒を飲み干した。
「霊夢…大丈夫?」
「意外と平気だったよ。もう少し…良いかな?」
「うん。良いよ!」
霊夢と橙はお酒を少しずつではあるが、飲み続けている。すると、霊夢の様子がおかしい。
「霊夢…大丈夫?」
「大丈夫だよ…橙。」
霊夢は橙に近づいてくると、抱きついてきた。それだけならば問題はないので、橙も受け入れて抱きつかれていたのだが…
「橙…」
「何…れい…ひゃあ!?」
橙の猫耳に触れて、指でくすぐったくしてきたのだ。
「ちょっと…霊夢…何をして…」
「橙…可愛いよ…」
猫耳や頭を撫でたりしている。完全に霊夢はお酒で酔っていた。それに気づいた橙だが、撫でられ続けたせいで力が抜けてしまった。
「う…霊夢…くすぐっ…ふぁ…」
力を入れようにも、猫耳を触られ続けられているので、思うように力が入らない。
「もうダメ…」
橙は気を失ってしまったのだった。