東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
太陽の畑に到着した霊夢は、花に水やりをしている幽香に声をかけて手を振っている。幽香は水やりを中断して霊夢を出迎えた。
「幽香お姉ちゃん…来たよ!」
「よく来たわね。霊夢には、結界の点検をお願いしたいの。」
「わかった。」
早速、霊夢は太陽の畑周辺を歩いて、結界の設置場所に向かい点検を開始する。それまでに幽香は、水やりの続きをしながら周囲を警戒する。
(博麗の神主である霊夢を襲撃する愚か者はいないけど、私の花達に手を出そうとするなら…制裁するまで……)
周囲の警戒を継続して、水やりを続けている。すると、妖精の一人が幽香に近づいてきた。何かの種を持っている。
「私にくれるの?」
妖精は小さく頷いて、種を渡すと飛んでいった。貰った種を一旦家に置いていく。
「結界の点検は終わった。」
幽香から頼まれていた結界の点検を終えて、霊夢は結界符を張り直して結界を張った。後始末をしていると蟷螂妖怪が現れる。霊夢は針を取り出せるように準備する。だが、視線が霊夢の方でなく、太陽の畑に向けられていた。
「な…止めないと!」
霊夢は右手から霊力弾を蟷螂妖怪に向けて発射するのだが、避けようともせずに、そのまま太陽の畑に接近していく。
(命中してるのに、僕を狙わない?)
蟷螂妖怪の意味不明な行動に、霊夢は考えるのをやめて、妖怪討伐に思考を切り替える。すると、家から出てきた幽香に、霊夢が叫んだ。
「幽香お姉ちゃん…あの蟷螂妖怪を!」
「………………ふ。」
幽香が日傘の先端を蟷螂妖怪に向けると、溢れんばかりの妖気を感じ取った霊夢。普通の人間ならば、気絶してもおかしくない程の妖気を出している。
(私の妖気を感じても、気絶してないわね。強いのは…間違いない。)
笑みを浮かべている幽香は、日傘の先端に妖力を流し込むと虹の輝きが現れてきた。霊夢は咄嗟に、その場から離れると同時に光線を放ってきた。
「【マスタースパーク】」
極太の光線が、日傘の先端から放たれた。その光線の余波は周囲に広がって、クレーターが発生する。霊夢は避難していたので、余波を受けなかったが、蟷螂妖怪は光線の余波を受けて消滅した。
「………幽香…お姉ちゃん…?」
「少し、やり過ぎたわ。紅茶でもどう?」
「ありがとう…人里で、饅頭の詰め合わせ買ってるんだけど…一緒に食べよ!」
「頂くわ。中に入るわよ。」
夕方。幽香とのお茶会を終えた霊夢は、ハーブティー用のハーブが入っている箱を貰うと、博麗神社に帰ることに。
(今日は少し疲れたよ…帰ったら、早めに寝ないとダメだね。)
太陽の畑の結界の点検と張り直しをしたため、少々疲労を感じていた。博麗の神主になって、まだそんなに経っていない。
(僕はまだ弱いし…修行を続けないと。)
博麗神社に帰ると境内に、人間にはない異質の気配を持つ少女が、お参りをしていた。霊夢はその少女が、人間ではないことに気づいた。
「ん……君は、博麗神社に参拝するのですか?」
「……………参拝?」
「違うのですか。人里から妖怪に襲われる危険を承知で、この神社に来たのではないのですか?」
この少女は、霊夢が人里の住人だと勘違いをしている。当代の博麗の神主…守護者であることも、知らないようだ。
「お姉さんは…人間?よかったら…名前を教えてほしいかな。」
「普通は君から、名乗るものなんですがね。でも、良いでしょう…私は射命丸文です。人間ではなく、妖怪です。新聞記者でもありますが…」
少女…射命丸文と名乗った妖怪の少女は、名刺を霊夢に投げ渡した。上手く受け取った霊夢は、名刺を見た。
「文々。新聞……?」
「それが、私が発行している新聞の名前です。もし、よかったら…講読者になりませんか?人里外の危険な妖怪の情報を載せるんです。」
「……面白そう。」
「では、そろそろ…名前を教えて下さい。」
「僕の名前は、博麗霊夢。博麗の神主で、守護者だよ…よろしくね。お姉さん…」
博麗の名字に文は驚いていたが、霊夢が講読者になってくれるので、笑みを浮かべている。
「来週から新聞を届けますね。」
そう言って文は、霊夢に一礼して飛んでいったのだった。