東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
博麗神社の宴会から数日後。境内を掃除している霊夢は、妖怪の気配を感じて上を見る。作業服、青帽子姿の少女がリュックを背負って降りてきたのだ。
「やぁ!私に依頼したいんだって?」
「君は誰?」
「私は河城にとり。河童だよ!」
「僕は博麗霊夢。よろしくね…にとり姉ちゃん。」
霊夢の呼び方に、にとりが「姉ちゃん呼び!?普通に呼び捨てで、良いからね!?」と、驚かれてしまった。
「わかった。よろしくね…にとり!」
「文から聞いたけど、私に依頼なんだって?」
「妖怪参加で、祭りをする予定を8月にするんだけど、人手が足りなくてね。」
「妖怪の友人に、手伝ってもらわないの?」
「確かに…それも考えたんだけど。」
博麗神社の敷地内は、妖怪の力を反発する。そのため、妖怪達はその力を満足に発揮できない。飛行には影響でないが、弾幕や妖怪の物理的能力は半減する。
「元々の博麗神社は、結界の守護をする役割を持っている場所なんだ。ましてや、妖怪を立ち入れないのが普通だよ。」
「……霊夢は妖怪を拒絶しないの?」
「すると思う?悪さをしない妖怪にまで。悪さをする妖怪には、徹底的な制裁をするよ。」
冷たい笑みをしている霊夢に、震え上がっているにとりは(笑みを浮かべているのに、怖いよ!?)と思いながら、話を変えて商談を始めた。
「鉄を使うのは、大丈夫だよね?」
「それは大丈夫。確か…電気製品の持ち込みは、ダメだったような…」
「問題はそこか?河童の作業の工程には、電気製品使うんだけど。困ったね…」
博麗神社の役割の性質上。電気製品の持ち込みは御法度。結界を弱めてしまう。
「河童の里は妖怪の山付近だから、行くのはギリギリかな。」
「妖怪の山…天狗の土地だっけ?人間は立入禁止なんだっけ?」
「そうだよ。他の妖怪もそうだけどね。河童の里だけなら、天狗もダメとは言えないハズだし。基本、私達の里は人間を受け入れてるし!」
霊夢は「それは凄いね。」と言いながら、笑みを浮かべている。
(河童の里の土地内で、悪さをする人間は別だけどね。)
にとりは僅かながら、妖気を出していた。妖怪としての本性が出始めている。霊夢はそれに気づいているが「ちょうど、胡瓜を冷やしてたんだけど、食べる?」と、にとりに聞いた。
「良いの!」
一瞬で、発生していた妖気が消えて、嬉しそうにしているにとり「でも、費用は安くしないよ!正規金額は貰うからね!」と忠告している。
「大丈夫。文姉ちゃんから、費用は聞いてるから。」
「あれ、霊夢は10歳じゃなかったけ?何で、理解してるの?」
「先代様の修行がね……」
乾いた笑いをしている霊夢。それ以上、にとりは聞くのをやめたようだ。
結界を張ると胡瓜が出現して、取り出してにとりに渡した。
「凄い冷えてる!」
「食べなよ。」(井戸から水を汲んで来ないとね。)
にとりは胡瓜をかじり、頭を押さえて「何これ!?美味しいけど、頭がキーンってするんだけど!?」と、少し頭が痛くなったようだ。
「ごめん…にとり。少し、冷やしすぎちゃった…」
霊夢は落ち込んでしまった。にとりは(妖怪に謝罪して、感情が表に出るタイプ…)と観察しつつ、胡瓜を食べ終えた。
「あはは。大丈夫だよ…霊夢。落ち込まなくても…」
「う……」
(霊夢は妖怪を拒絶せずに、差別しない。こんな人間は、はじめてみたよ。)
にとりは無意識で、霊夢の頭を撫でていた。見ていられなくなったようだ。
「にとり?」
「黙って、私に撫でられな。」
そう言われて、霊夢は大人しくしているが(少し、悪戯しても良いかな?)と、にとりが思った瞬間。霊夢がにとりを結界に閉じ込めた。
「あれ、霊夢?」
「僕に悪戯しようとしたら…結界に封印するよ。にとりの存在痕跡抹消含めて…」
冷たい笑みを浮かべつつ、殺気を放っている。そんな霊夢に、恐怖心を抱いたにとりだった。