東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
博麗神社に、胡瓜の漬物を手土産に遊びに来たにとり。霊夢は「今日はどうしたの?」と聞きながら、冷たいお茶を出している。
「昨日、依頼してくれたじゃん。何を作ってほしいのか、聞いてなかったからね。」
「屋台とかは、大丈夫なんだけど。料理をするための道具が足りなくて…」
「前はどうしてたの?」
「人里の人達が来てたから、足りてたんだけど。」
霊夢から事情を聞いたにとりは「料理器具はいろいろあるけど…」と言ったは良いが、電気製品を使わない条件など、数が少ない。
「難しいね。難題だよ……」(フライパンでも良いけど、取扱いに難点だし。何しろ、加工が難しい。今の技術だと、資材が足りない。)
何か良いアイディアが無いか、考えている。霊夢は焼き魚をする予定のようで、境内に出ると火事にならないように結界で周囲を囲って、手頃の大きさの石を円になるように重ねた。
「薪がいるね。」
円になった石と石の間に薪を入れて、マッチ棒を取り出して着火させた。更に、結界を重ねると捌いた魚を置いた。
(焼けるように、結界を薄くして…)
後は、完成するまで結界を維持しながら、菜箸で魚をゆっくりと動かしていく。
にとりは考えるのに集中していて、霊夢に呼ばれると中断した。昼食の準備ができたようで、皿に焼き魚をのせて持ってきた。
「にとり…魚焼いたから食べよ。」
「ありがとう霊夢…………どうやって魚焼いたのさ!?台所にいなかったよね!?」
「外で焼いてきたよ。結界を張ってね。」
「わざわざ結界を使ってまで、魚焼くの!?」
「釜戸だと、時間がね。」
にとりは魚を食べながら「ごめん。やっぱり、アイディア浮かばないよ。」と、霊夢に謝罪する。
「博麗神社じゃ、無理があったかな。結界を守護する場所だから、そういった製品には弱いんだよね。」
「結界なら……焚き火は大丈夫だよね?」
「大丈夫だよ。紫は科学製品の電気はダメだとしか言ってないし。」
「なら、鉄板焼きみたいなのは大丈夫だね!」
「鉄板焼き?」
「電気使わないから、禁忌に触れないよ。」
にとりは河童の里に帰ると、他の河童の少女達に依頼内容を説明する。
「電化製品がダメなの?」
「しかも、博麗の人間!?燃やされないかな…」
「機嫌損ねたら…痛い目に…」
「当代の守護者は、妖怪を傷み付けないから!怖がらなくても良いよ!?」(霊夢の言っていた先代は、妖怪に何をしたのさ!?)
数時間程で、説得を成功させると作業を開始する。にとりは皆に指示を出していくのだが…
「にとり。支えの棒はこんな感じでいいの?」
「良いよ。ネジでしっかりやらないとね。」
作業工程を見て、問題が無いかを確認した。その後で、にとり特製の物を取り付けると完成した。
「残りは点検しながら、最終調整もしておこう。不具合があったらいけないしね。」
「私達は川にいるね。」
河童の里は、妖怪の山の真下に流れている川の近くにあり、その場所から奥に行けば洞窟がある。更には、幻想郷の各地に河童が集めた道具を保管する秘密の倉庫もある。
(なんとか、納品できそうだよ。電気製品じゃないから、つまらなかったけど。報酬が割りと良いから、よしとするか!)
にとりは製作した物を霊夢から渡された結界符で保管した。
(霊夢の結界術はなんでもありだ。私では無理かな。)
溜め息すると川に向かったのだった。