東方外来録 博麗の神主の幻想入り 作:ロッド
翌朝。体調がよくなった霊夢は廊下を歩いているとフランが走ってきて、力一杯抱きついてきた。その衝撃に霊夢は倒れずに耐えた。
「フラン…おはよう。」(少し…骨がヤバイかな…)
「咲夜から聞いたよ。霊夢…」
暗い表情のフラン。霊夢は頭を撫でながら、心配させたことを謝った。そのまま抱きついているフランは「もう少しだけ…」と言って、力を込めている。
「アレは大丈夫?」
「少し…無理かも。霊夢の血…飲みたい。」
「わかった…」
霊夢はナイフで、人差し指に傷を入れて血が出てくる。フランは歯を当てないように、口で直接血を飲み始めた。
「……ちょっと、くすぐったい…」
「……………」
フランは血を飲むのに集中しているのか、霊夢の声が聞こえていない。暫くして飲み終えたのか、指を舐めている。
「フラン…満足した?」
「ありがとう…霊夢。」
「……………どういたしまして。朝食食べに食堂に行こう。」
「うん!」
フランに食堂に先に行くように言って、霊夢は一旦部屋に戻り帰り支度の準備をする。夕方には博麗神社に帰る予定にしている。
(準備はできたから、食堂に向かうかな。)
食堂に入る霊夢は、料理を運んでいる妖精メイドの邪魔をしないように空いている席に座る。
「おはよう…霊夢。調子は大丈夫そうね。」
「お陰様で…」
「朝食を持ってくるわ。」
「レミリア達は?」
「朝は用事があるらしいわ。妹様はいるから隣に座ったら?」
遠くの席にいたフランが、霊夢の隣の席に座って、咲夜は朝食を運んできた。
メニューは、鮭の塩焼、豆腐の味噌汁、白米である。魚は紫が大量に持ってきたらしく、朝食、昼食は魚料理が多いらしい。
「紫の魚好きには困ったね。」
「さあ。朝食食べちゃいなさい。」
霊夢とフランは朝食を食べるのだった。
朝食を食べ終えた霊夢とフラン。霊夢は何もしないわけにはいかないので、厨房で皿洗いをしている。霊夢だけではない。厨房内では、大妖精とルーミアも皿洗いをしていた。
「大妖精とルーミア?」
「霊夢君…おはようございます。」
「霊夢…おはようなのかー。」
大妖精とルーミアは定期的に、紅魔館で皿洗いのバイトをしているようだ。人里ではバイトができないためだ。
「私は大丈夫なんです。ルーミアちゃんは…」
ルーミアは人里の住人達から毛嫌いされているため、人里内に入ることができない。守護者の霊夢か、紫の式である藍の付き添いがなければ、人里に入れない。
「こればかりはね。ルーミア個人で、人里に行かせるわけには…」
基本的に霊夢は妖怪、妖精等を差別せず、誰であっても仲良く接する性格である。それがあるため、霊夢は妖怪、妖精から好かれている。だが、妖怪から人里の守護のこともあるため、人里の住人を優先に行動する。
「ルーミア。今日は泊まりに来る?」
「良いのかー?」
「いつも一人だから。良ければ、泊まりに来てほしいかな…ダメかな?」
「絶対にいくのだー!」
「早く、皿洗いを終わらせちゃおう。」
手早く皿洗いを終えると、昼食までの間は客室に戻る霊夢。ベットに横になり眠気がきている。
(少し仮眠しよ…)
夕方になり、霊夢は目を覚ました。大分寝過ぎたようだ。昼食は食べていないため、空腹が少しある。
(寝過ぎちゃった…)
欠伸をして起き上がると隣には、ルーミアが寝ていた。霊夢が寝ている間に忍び込んだようだ。
(ルーミア…)
寝ているルーミアを起こさないように、優しく頭を撫でると「……霊夢…好き…」と、寝言を呟いている。
「ルーミア……もう少し寝かせとこうかな。」
霊夢は再び、ベットに横になる。暫くして、咲夜が客室に入ってきて起こされるのだった。
マヨイガにいる紫は隙間で、人里の監視をしていた。一部の過激派の人間の行動に笑みを浮かべている。
(人里から妖怪を追い出して、人里の独立を企んでいるのね。この人里の問題に霊夢は干渉できない。困ったわね…)
守護者の役割は妖怪から人里を守護すること。人里から妖怪を追い出して、独立を企む人間の計画を霊夢は干渉できない。
(この行動が、人里壊滅に繋がるようならば…霊夢は動ける。まだ、干渉すべきではないわね。)
紫はマヨイガから姿を消した。