酷く澄んだ青いソラ   作:クエクト1030

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授業の続きと参りましょう。
今回は、通常の術式階級についてですね。
高専に登録されたフリーランスを含めた術師、
また十傑の特別術師は同じ査定を行います。

四級。これは皆さんもご存知ですね、一番最初の等級です。
誰とてこの階級から始まります。評価が滞っている場合もありますが、
基本的には「とりあえず最初に付与される等級」といった所ですね。

次に三級。これは、一般的な三級呪霊を問題なく祓除可能な事を指します。
三級で言うところの一般は呪力量を指しますね。
この時、祓除にあたっては複数人での祓除も含めるので、案外なりやすいですね。

準二級。これは、二級術師以上の実力を持つも、単独行動を認められないという点から、
差別化するために用意された等級ですね。
強いのに術式の制御が上手くいかずに周りに被害を及ぼすのが典型例です。
そのため現場での同行及び監督者が必要、なんて術師が多いです。

二級。これは一人前の証です。
実力としては二級呪霊を問題なく祓除出来ることを指します。
これは基本的に単独でのことを指し、同時に二級術師からは、
単独で任務を受けることが認められます。
様々な点から、最も術師の多い等級になります。

さて、準一級術師。
これは、一級術師の推薦を受け、一級術師になる意思を示した術師に与えられる等級です。
つまり、一級術師の卵というわけですね。
実力としては正確な基準はありませんが、一級術師の卵ですので、
二級術師としての力は持っているでしょう。
二級術師との明確な違いは、領域への対抗策を持っているかどうかです。

一級術師。
事実上、術師の最高位を指す等級です。
基準は明確。「一級呪霊を問題なく単独祓除可能」「領域対策の所持」
この二点になります。
領域対策については、術師が無駄死にする事を防ぐために設けられた条件で、
過去この条件が無かった時期においては準一級以上の呪霊との戦闘の致死率が、
現在最大で34%高かった事があります。

以上で、術師の等級の授業はお終いです。
......特級術師の条件ですか?
そうですね、皆さんが一級術師になったら、最後の授業をいたしましょうか。


第九話「幽明詼諧-陸」

──────

────

──

 

 

「な、なに!?」

 

七本の線路を回避し、切削作業に戻ってから十数分。

咬狩先輩たちが突入していた方角から、列車が一本消滅した。

正確に言えば急発進し彼方へと行きつき衝突したのだろう。

そして。

 

「うわうわ!全部動き出してるよ!」

「領域と一緒に術式が不全だったはずなのに...!?」

 

線路内部の電車が一斉に動き出す。

全ての電車が既存の線路に従い、先ほどと同じように急発進して彼方へと激突する。

いや、急発進というには少し違う。

加速無しに、いきなり最高速度で起動したようなもの。

電車の最高速度って幾つなんだ?

普段乗る時、あれが最高速度なわけじゃないはず。

安全のためとか...停車のためとか色々あるはずで。

"あの速度"は明らかにそんな速度の範疇を超えている。

 

「あ、線路に人いるよ!」

「先輩とー、春とー、あともう一人いる!呪詛師かな?」

 

㯃天宮くんが指をさした場所には、言葉通り三人が見えた。

電車が全て掃いたため、物陰もなくなってよく見える。

 

「────っぶねぇ...」

「あとでご飯奢ってくださいね先輩。貸しですよ」

「いいぜ。可愛い後輩と食事出来るなんて俺も嬉しいぜ~!」

「...はぁ(やっぱり一人で食べようかな)」

 

先輩と百瀬ちゃんは何とかさっきの電車の暴走から逃れていたみたい。

私と㯃天宮くんは線路に降りて、合流する。

勿論、互いの交戦適性距離の間合いで。

 

目の前の男...呪詛師は、かなり平凡な人。

術師としての実力というより、一般人としての見解。

領域前に見たのと同じ格好ではあるけど......

頭を丸刈りにしていて、別にイケメンってわけじゃないけど不細工ってわけでもない。

クラスに一人はいそうな変人って見た目、でも。

その目は、クラスに一人いそうな変人とは異なる目つきになっていた。

あれが、人殺しの目というのだろう。

 

「はぁ...はぁ...は。はははは。お前ら、マジでガチでこれで終わりだからな」

 

呪詛師は息を乱しながらそう言い放つ。

 

「推定情報~」

 

百瀬ちゃんが、呪詛師から目線を話さずに大声で考えを話す。

普段は大声を出す事なんてない。少なくとも今まで聞いた事なかった。

 

「相手の術式は写真を媒体にする」

「んでさっき、大量の写真を消費してた」

「本来は媒体を消費する必要があるかは不明だけど、消費は強い効果を引き出すはず」

「領域効果じゃなくて、本来の術式効果だと思う」

「んで、多分これから馬鹿みたいな数の電車が来ると思う。予告あるのかは分からない」

「全力で~~~、生き延びる事だけ考えて」

 

全員に緊張が走る。

今までのような電車ではなく、先ほど見えた速度も分からない衝突がチラつく。

 

「死ね!死ねよな!クソゴミ共!」

「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね、死ね!!!」

 

幼稚な罵倒。でもここはあいつの領域内で、そんな罵倒、そんな殺気でも。

そこから引き起こされる一挙手一投足が、私たちの生死を別つ。

 

「(術式効果は既に発動している、妨害してもリターンに対してリスクがでかい)」

 

咬狩は逃げる足を残しながら、呪詛師へともう片方の腕の布を伸ばす。

 

「死ね!」

 

呪詛師は吐き捨てるのと同時に手を横に振る。

 

ゴォォォン。

 

その仕草と同時に、咬狩の足元に線路が現れ、一呼吸する間もなく電車が通過する。

 

「っと、やっぱ無理か」

 

咬狩は呪詛師の動作が見えたのと同時に後ろへ飛ぶ。

強い風圧が紙一重の咬狩の髪の毛を大きく揺らす。

最初からどう動くかの確認のためのジャブであった。

だが実際にギリギリの距離を通過し実感すれば、その速度に冷や汗をかく。

 

「手の動き...方向性の指定は必要そうだな」

 

ズル......

 

「まず──────」

 

咬狩の片腕に作られた球体が解ける。

完全に避けたと思ったのは誤算であり、普段の片腕の大きさと異なるため、

呪布を掠めていた。

『手の内』が解けていく。

 

「せんぱ────」

 

先輩の片腕の塊が解けるのを見て、私は心配が先行した。

馬鹿馬鹿しい。先輩が落ちたのなら、真っ先に呪詛師を狙わないといけないのに。

そんな私に反して、漆天宮くんと百瀬ちゃんは反射的に距離を詰めていた。

 

「幣青呪法────」「術式開放......」

「『鬱蒼枝棘(うっそうしきょく)』!」「『四拍走破(しはくそうは)』」

 

呪詛師の四方八方から地面から太く先端が尖った枝、あるいは幹が生え伸びる。

それと同時。百瀬ちゃんの姿が転々と消えては現れ、現れては消える。

消えて現れる度に呪詛師へと近づき、十一回目に呪詛師の背後を取った。

けど。

 

ゴォォォォォン。

 

呪詛師を囲むように電車が通過し、枝の全てを蹴散らしてしまう。

百瀬ちゃんは空中に飛び上がり、見えない何かを掴んで難を逃れていた。

 

「せんぱーい!領域対策はー!?」

「今作り直す!」

 

次の瞬間。

 

「バッ......」

 

咬狩先輩を取り囲むように、電車が出現した。

電車は壁、あるいは塀となって咬狩先輩を取り囲む。

 

「ッッッカじゃねぇのか!?」

 

そして。

上空から数台の電車が、電車の壁の中へと、走る。

 

......寸での所で壁から脱出した。

けど。

明らかに片腕がぶつかっていて、先輩の腕がへし曲がり千切れかけている。

漆天宮くんと百瀬ちゃんが植物を生やし、接近し、近遠混じった攻撃を仕掛ける。

けど、すぐに電車が壁として現れ、あるいは電車が走行して、防いでしまう。

 

私は?

 

 


 

 

私は傍観していた。

もしかしたら、今にも領域は崩れるかもしれないね。

あるいは、皆んなが倒してくれるかもしれない。

そうならなかったら?

殺されるだろう。

 

当たり前のことだ。なのに、私はここでただ立っている。

試験管から水を取り出して、『雨垂れ』の一つでも撃てばいいのに。

あるいは闇雲に突撃して◼︎◼︎に任せて電車に当たっても、

◼︎◼︎になって地面に◼︎◼︎◼︎◼︎、這い上がってあの呪詛師を倒せばいいのに。

自分で行動して、失敗して、誰かの死の責任が私に行くのが怖いのかな。

先輩は何とか這い上がろうとしてるけど、出血と痛みでよろよろとしている。

漆天宮くんと百瀬ちゃんは奮闘してるけど領域の電車と術式の電車に阻まれている。

ずっと。この数十秒が、ずっと流れている。

 

 

 

そんなにも、人間でいたいのだろうか。

 

 

 

人間でいたい。誰かと違うのは嫌だから。

誰かと同じなら、仲間であり同類であるために、寄り添い固まれるから。

 

◼︎◼︎の癖に?

 

私が◼︎◼︎であるから、尚更。

一人は嫌だ。阻害されるのも、誰にも見てもらえないのも。

 

落ちこぼれの私。

その原因なんて分かってる。分かりきってる。

でも人と違うから、みんなと違うから、出来ないんだから。

しょうがないじゃない。

でもお父さんは、一族のみんなは。妹の荒波(あらの)にだけ目をかけた。

妹のことは大好き。大切に育って、一般人でも術師でも、幸せになってほしい。

幸せで長生きするなら、一般人の方がいいだろうけど。

......でも、悲しかった。寂しかった。

 

 

もっと、私を愛して欲しかった。

 

 

......けど、今は私のことなんて構ってる場合じゃないんだ。

例えこれでまた一人になっても、何もやらずに終わるのはダメだから。

友達になってくれるかもしれない人達を助けないといけないから。

 

呪術バカな漆天宮音弥くん。

クールで可愛い百瀬春ちゃん。

なんだかめんどくさいけど、面倒見の良い咬狩斗真先輩。

 

本性を見せてやる。補助監督を殺して先輩の片腕をへし折ったあいつに。

後で後悔するかもしれないけれど。一人になるかもしれないけれど。

私は人ではなくて、呪術師だから。

だから────────

 

古い私(この世界)を、壊してやる。」

 

 


 

 

引き伸ばされた時間が元に戻る。

酷い悪夢、走馬灯。自問自答をしていた。

 

「音弥!春!先輩!」

 

私は叫ぶ。今までの人生で最も大きな声で、喉を張り上げて。

 

「私から距離をとって!」

「この領域を────────破壊する!」

 

三人は私の言葉を聞いて、すぐに離脱する。

戦闘に碌に参加しなかった私の言葉を信じて。

傍から見たら何かを準備していたように見えたのかもしれない。

こんな情けない自問自答をしていたってだけだったのに。

けれど、事実がどうであれ。

私を信じているのなら、それに応えなければ。

私は私を引っ張たくように腹に力を入れて、目を開いて真っ直ぐ呪詛師へ向いて言い放つ。

 

「クソ呪詛師、泣いてチビれよな!」

「泣いてんのはお前だろクソビッチ!」

 

私はこれから自分を失うかもしれない恐怖とそれ故の孤独感に涙を流す。

 

「チビってもお前の水なんかいらないけど、存分にビビり散らかせ!」

「今から、お前の子供部屋が崩れ落ちることになるんだから!」

 

──────けれど。固めた心を柱として、呪いの水槽を解き放つ。

 

()()()()『流詠』」

 

 

バシャン。

 

 

私から水が溢れる。

 

「わっ!?」

「何これ、水!?一体どこから持ってきて......!?」

「いってぇえええ!傷に染みるじゃねぇか!!!」

 

 

ドプン。

 

 

線路が()で満ちる。

 

「な、んだよこれ!?」

 

 

ピシッ。

 

 

領域が歪む。

私は大量の水だから。

私が人としての形を保つことを止めれば、私が本来貯めている水が流れ出る。

 

 

ビキ。

 

 

領域全体にヒビが広がる。

膨大な質量ではなく、膨大な体積であるから。

領域は一度に大量の異物の存在を処理出来ない。

そしてこの全てが私であるが故に、生得領域は付随する。

()()であるが故に、領域は内部で生じた()を処理出来ない。

領域、結界術の構築は余裕を持った設計でなければならない。

一人前の領域使いなら、通用しないだろうけど。

 

 

パリン。

 

 

領域は崩れ落ちた。

 

──────

────

──

 

領域の外は校舎のまま。

違うのは、帷が再び降りている所。

 

「静香やるじゃーん!」

「あの、これ出来るなら最初からやって欲しかったんだけど。」

「色々事情があったの!ごめん!」

 

......良かった。

 

安心はまだ出来ない。あくまで領域を崩しただけで、呪詛師は溺れてもいない。

 

「はっ...はっ...くそっ......!」

 

それでも領域展開直後。呪力を著しく消耗している。

けど忘れてはいけないものがある。既に発動済みの電車。

 

「このまま水で包んで窒息させる!」

「オッケー!春、援護するよ〜!」

「下で呼ぶな。援護は了解」

 

電車が走る。けれど線路は無く、私たちを逸れていく。

最初の電車にも線路は無かった。領域内じゃないと線路が出ない?

てっきり発動済みの呪いだから有効かと思ったけど、制御困難らしい。

 

「氾濫。」

 

私は瞳を閉ざし呪詞を唱える。

それと同時に。

氾濫した全ての水に呪力が走り、液体は私の手足となる。

それは私の手足故に、壊すものと壊さないものを選び取る。

 

「わかった!じゃあ遮蔽とかどうでもいいね!」

「私は万が一に備えとく」

「オッケー!」

 

音弥くんと春ちゃんは、水の動きだけで全てを察した。

私を中心として大量の種を蒔いて、音弥くんが前に、春ちゃんが私の傍に立つ。

私の口元が緩む。

 

「浸食。」

 

液体に圧力をかける。

筋肉に力を入れるような感覚。力を加え、開放の時を待つ。

水は私故に、水は私の目となり耳となって全てを認識する。

直後、遠くから電車が走る。

けれど線路がなく、術式が使用困難なそれは横転し、その速度のまま私たちの目の前まで迫る。

 

「生まれて蔓延り壁となれ!」

「幣青呪法『生垣』!」

 

電車に向かって、音弥くんの周囲から木々が生え聳える。

木々は即座に巨大な樹木となり、複雑に絡み合って壁となっていく。

成長速度、芽吹く速度は目を張るものだろう。私は地中の水分から根の躍動を目にした。

木々は正面から衝突を受け、ミシミシ、バキッと音を立て崩れる。

けれど、殺人的な鉄塊は動きを止めた。

 

水徒(みなかち)の堆積。」

 

力を開放する。

圧縮した水は開放され、校舎を覆う程の面積へと爆発的に肥大する。

高く高い波を起こし、これから呑み込む一人の殺人犯を捉える。

最後の最後。呪詛師の背後からは更に一台が走り来る。

先の一台に続く。生垣は停止した電車を取り込みながら新たに作られる。

だが、生成速度が追い付かない。今度は転倒せずに真っ直ぐやってくる。

 

「これで〆なんでしょ、リスク取ってあげるからちゃんと決めるように」

「『四拍走破(しはくそうは)』。」

 

折れた木々を足場に、春ちゃんは跳躍し電車の頭上を取る。

電車が私たちへと当たる直前、春ちゃんの姿は四度消え四度出現する。

そして天井へと触れ、呟いた。

 

「投射呪法。」

 

電車の動きが停止する。

春ちゃんはそのまま天井へと着地し、手を触れ続ける。

即座に生垣が電車の先頭へと絡みつく。

根は硝子を、壁を突き破り、固定していく。

 

「流石、優等生たち」

 

私は笑いながらそう言って目を開く。

そして術式(私の手)を振り下ろした。

 

水分操術(みくまりそうじゅつ)─────」

「───────『朶頤海嘯(だいかいしょう)』!」

 

伸びきった私の()は、再びの緊張を得て位置エネルギーに運動エネルギーを加える。

膨大な()は津波を起こし、呪詛師の目の前に現れた電車を()し潰し、呪詛師を呑み込む。

呪詞の詠唱を完了すれば、詳細な対象のコントロールは自由自在。

水は莫大な質量と体積で校舎にぶつかるが、それで校舎を損壊させる事はない。

瓦礫一つ、花の一輪とて動かさない。

波が落ち着いた頃、電車の全てが消滅した頃、私は波を凝縮して私へと還元する。

呪詛師を拘束する圧力の水球だけ残して。

 

「周辺被害な無しっ...のはず」

「酸素は一定間隔で泡として供給する」

 

状況終了。

私は津波で呑み込んでから呪詛師と水球しか見なかった。

二人の目を見るのが怖いから。

でも、自分で選んだことだから...。

怖くても、ゆっくりと振り返って。

 

「...どうよ。」

 

二人の目を見た。

 

「すっ......」

「ご~~~~~~~~~~~~~~!!!!!」

 

目を合わせた瞬間。音弥くんは目を輝かせて叫んだ。

 

「さっきも言ったけど、これ最初からやってくれない?」

 

春ちゃんはうんざりした声で私に小言を言った。

 

二人とも、変わらなかった。

......良かった。

音弥くんの無邪気さが、春ちゃんの素っ気なさがこれほど嬉しく感じた事はない。

「変わらない」事が、今の私にとって、今までの私にとってこれほど報われるとは。

思いもしないとは思わない。本当に、嬉しい。

 

「くそ...あーあ。美味しいとこ持ってかれたー...とも思わんな」

「お前ら、よくやったな!」

 

折れた腕をそっと支えながら咬狩先輩が私たちを笑顔で褒める。

痛みでちょっと引き攣ってるけど。

 

「あ!」

 

音弥くんの声で、私たちは帷が晴れていくのに気がつく。

すぐに補助監督...初見の人がやってきて、私たちの状態を確認してくれた。

 

「あぁ斗真くん腕が!?」

「一級呪詛師が混ざってたんだよ。早く美人先生のところに連れてってくれー」

「ちょ、扉開けてあげるから待って!」

 

一人足早に車まで向かう先輩。

私たちも校舎外に停められている補助監督の車まで行く。

私たちを乗せる人も...行きとは違う人だった。

今は疲れが強いのも合って、落ち込むよりも早く車に乗り込もうとした時、

先輩が窓を開けて声をかけてきた。

 

「ほんと、よくやったな!先生に見てもらってしっかり休めよー!」

 

「あぁ一人で窓操作しちゃ...」「いってぇ!」なんて会話も聞こえて。

私たちは少し笑って、その日の任務は幕を閉じる事になった。

私たち三人は後部座席に揺られる。

勇気を出して、普段やらないことして。死にかけた気持ちの疲れなんかもあって。

数分もしないうちに、私は微睡みに落ちる。

これが夢じゃありませんようにと願いながら。




「水上静香(みなかみ・しずか):3級術師」

術式【水分操術(みくまりそうじゅつ)】
[水上家から提供された術式情報]
・拳で触れた液体を操作する術式。
・かつて赤血操術と共にした術式でもあり、赤血操術と技術が共通している。
・赤血操術のような体内操作は不可だが、対外操作で何をしても何らかのデメリットが生じる事はない。
・基本かつ奥義となる攻撃技は『雨垂れ』。
 『百斂』と同じ過程を行い、『穿血』のように放出する。
 上述の通り、操作において術者にデメリットが発生しないため、
 『百斂』に類似した術の取得難度は極めて低い。
・赤血操術と異なり失血死のリスクがないが、あくまで操術のため使用する液体は別途必要。
・人間の血液を用いない限りは呪霊への特攻効果はないが、逆に危険な液体を使用する事で術師を相手する事には適しているとも言える。

武術【なし】
[推定される情報]
・水上家では武術の手ほどきをロクに受ける事が無かったとのこと。
・うろ覚えの動きかつ、呪力強化についても、今期期待の星である㯃天宮音弥、百瀬春には遠く及ばない。
・機転が利くという観点だけで見た場合は、二人と並ぶ。
・[本人の希望により検閲された情報]



[本人の希望により検閲された情報]
→「認証」
検閲情報を開示します。

特異体質【液体】
・水上静香が生来より生まれ持った性質、液体。
身体の全てが液体の形状で成り立つという体質であり、
悉蔵の見解では胎内での成長段階で術式が強く干渉した結果ではないかと述べている。
自らの身体も術式対象として取る事が可能。
そのせいか既存の水上家のマニュアルとはやり方が合わないらしい。
本来の力を使用する場合、術式の補助無しで液体を取り込み、文字通り己の手足として使用可能。
また人間の姿を取っている間も、本来取り込んでいる水分量を術式によって圧縮、
かつ浮かせる事で質量に対して重量を感じさせないように振舞っている。
血液は流れているようだが、更新された本人の言では、
血液を失っても死ぬことはなさそうとの事。
同時点で取り込んでいる液体は通常の人間と同じものだけと言っている。

[閲覧者のコメント]
・音弥:普通の人には有害な液体でも取り込めたりするの?
・静香:音弥>いける。液体の形状である限り私には無害みたい
・音弥:え!!!じゃああんな事やこんな事も出来るじゃん!!!!!!
・春:あんた、術師になるって来た癖に...はぁ。自分の使えるもんくらい全部使えばいいのに。
・静香:だってこんなの...化け物...じゃん?
・春:術師なんて皆化け物人外畜生外道なんだから。あんただけじゃない。
・静香:春ちゃあぁぁぁん
・春:ほら、特に音弥とかね。
・音弥:じゃあ、みんな一緒だね!
・春:自分の術式で自分の身体に植物ぶち込んで研究してるようなあんたと一緒にしないで欲しいんだけど。
・静香:?????????
・静香:何それ...こわ...
・音弥:見てたんだ!?えっへん、よくぞ聞いてくれました!(以後1000文字に続く解説)
[静香]がログアウトしました
[春]がログアウトしました
・音弥:───ってわけで!...あれ?いなくなっちゃった。じゃあ俺も落ちよーっと
[音弥]がログアウトしました
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