ヤンデレな モンストキャラに 愛されて   作:Jack11@ハーメルン

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大分前にアルスラーン書いて欲しいと言われてたので書いたやつです。少し遅くなりましたがこちらにも貼ります。

次作はもうちょっち待ってて下さい。
カノンかヤクモ書くので。

ーーー
最近学マスをはじめました。

秘海の闇エウリュアレちゃん可愛い…可愛くない?


剣奴アルスラーンは『師匠』と慕ってくれる人を……

 

 

…剣と剣が弾かれる音が闘技場に響く。地に伏した戦友は、もう立ち上がらない。

 

【99人目、勝者はアルスラーン!】

観客がざわめく。次の100人目を倒せば、晴れて私は剣奴という地位を捨てて平民としての身分を得る。誇り高き気持ちと、仲間を斬った罪悪感を心の内に隠して私は内部へと歩を進めた。

 

 

「やっぱり師匠は凄いね」

「…褒めてくれてありがとう」

 

こんな強い剣奴は民衆から好かれこそすれど同じ身分からすればいつか自分が殺されるかもしれない女だ。私とプライベートまで関わろうとする奴は少ない。

 

彼を除いて。

 

同じ故郷で生き同じように過ごしていた彼は、最近剣奴という身分になったようだ。

 

少し前にここに来た彼は私に稽古を付けてほしいとお願いしてきた。最初は私よりも指南役に聞いたほうが成長すると言ってはいたが、何度もせがんでくるので仕方なく私は彼に稽古をつけた。

それがしばらく続いて、彼は私を幼馴染として…そして師匠と慕ってくれた。

悪い気はしなかった。私を慕ってくれるのは嬉しかったし、彼には心を開くことが出来た。

 

彼の身の上を聞く機会もあった。どうやら執事としてとある家に買われたようだが、業績悪化による差し押さえでこの地位まで身を落としたようだった。

 

秘密を共有し、共に鍛錬に励んだ。その度に、私は彼を………

 

 

「…次で、最後なんですね」

「…ああ、そうだな。でも心配するな。私がここを出たら、必ず君を連れ戻す」

 

ここを出たら護衛で賃金を得て、彼をこんな地獄から救う。私が彼の誕生日に約束した夢のような話だ。

 

「…そう言ってくれるのは嬉しいです。でも、アルスラーン、君には新しい自分の道を歩んでほしいな」

「…いいや、これだけは果たさせてくれ。私としても、こんなところに君を放置したくない」

「…そっか…ありがとう。じゃあ僕はこれで」

 

「ああ、またな」

 

彼はそのまま立ち去っていく。私の休憩場は、また静寂に包まれた。

 

「ふう…〇〇とも、もう会えなくなるのか」

寂しさは拭えない。心臓がギュッと締め付けられるこの感覚も、同様に拭えない。この恋心も同じく、拭えない。

 

昔。まだ故郷が戦災で焼かれていなかった時代。私は彼からおすすめされた絵本で恋というものを知った。プリンセスが逆境にいても、それを打ち倒して姫を助けるというなんともありふれたお話が幼い時の私には素晴らしいものに思えた。

 

きっといつか、こんな素敵な恋が私にも出来ると思っていた。でも、戦災で故郷が、家族が焼かれいつ闘技場に引き摺り出され、いつ目の前のライバルと命のやり取りをするのかもわからないという日々で恋愛など出来るはずもなかった。

 

彼が私を慕ってくれるまでは。

 

 

師匠として、女性として、人として、幼馴染として、仲間として。私の心を埋めてくれた。嬉しくて、暖かくて、そして。

 

もう、離したくない。師匠として、幼馴染として、最後かもしれない同郷として、彼を守らないといけない。

 

 

 

 

 

 

なのに。

 

「……!?」

「…よろしくお願いします、師匠」

 

何故だ。何故、何故。どうして彼が100人目になっている。私は、私は、彼を。

嫌なのに。やらなきゃ、いけない。今ここで剣を投げ捨てれば2人とも助かるはずなのに。

ここまで倒してきた99人が、立場が、身分が、技術が、経験が彼に負けるのを邪魔する。

 

いや、なのに。そんなこと、したくないのに。

自分が負けることを分かってるような目で、私を見ないでくれ。

死ぬことを恐れた瞳で、私を見ないでくれ。

 

 

 

100人目との試合は、なんとも呆気なく終わった。

 

ーーーー

 

彼の亡骸を抱えて、泣き腫らした目を擦って。そんな後ろ姿を見られて、他の剣奴からはどんな目で私は見送られたのだろうか。

 

「…どうして、こんなことに」

どうして?それは私が一番分かっているではないか。私が、彼を……

 

 

「どう、して?」

……おかしい。実力も経歴も今までの剣奴と比べても彼はそれに並べる訳がない。100戦目ともなれば、私よりも強い奴を置くはずだ。

 

 

「…そう、か」

仕組まれていた。あの皇帝は、幼馴染であることを知っておいてなお、100戦目に彼を置いたのだ。

 

「…殺す」

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

 

憎しみが漏れる。殺意で心が満たされる。人の悲劇で欲望を満たしたいがためだけに私達を引き裂いたあの皇帝に、腹が立ってしょうがない。

 

彼を殺した私が、殺させるように仕組んだ皇帝が、それに歓声を上げた市民が、彼をあんな場所に送り込んだあの国が、貴族たちが。

憎い。

 

壊したい。

 

全て滅ぼして、もう一度。

 

 

「……復讐を」

…待っていてくれ。全てを終わらせたら、また君に会おう。そしたら、この気持ちをーーーー

 

 

 

 

ーーー

 

 

「…やあ、大分長い眠りだったね。まだ記憶が混濁してるだろうし、少し休んでいるといい」

「…アル、スラーン…?」

久しぶりに目を開いた彼の頭を撫でる。その声を、その熱を、その顔を、その身体を、愛でる。

 

君が私の近くにいてくれるなら、たとえ世界が敵になったっていい。君が私を拒絶しないなら、私はずっと隣にいたい。君の願いならなんだって聞くし、此処で脱げと言われたらすぐに脱いだっていいし、死ねと言われたら此処で心臓を突き刺してもいい。

 

 

でも、それでも死ねない身体になってしまえば。

 

ずっと彼と一緒にいられる。ずっと彼を見てられるし、もうあの光景を見なくていい。それだけで、笑みが溢れた。きっと彼もずっと私といてくれる。だって、いつかは私しかいなくなるのだから。

 

「〇〇、好きだ。君のことがずっとずっとずっと好きだった。君がこの恋心に気づかせてくれたお陰だ。見てくれ、ここも君との生活のために造ったんだ…」

将来の生活を想像しながら各地に造った隠れ家の一つ。彼との思い出の写真が。目を閉じている彼の写真が、壁を埋めるくらいに日数が経っていたと改めて気づかせてくれる。

「ちょっ、ま…これ、なに?」

 

手首と足首には、鎖で留め具がされていた。そんなことに、彼は大げさに驚いている。

「大丈夫だ。これからは私が全てやってやる。安心しろ、〇〇はずっと…これから一生私だけを見て、私だけを頼ってくれればいい」

 

 

【…くそっ、何処に行きやがった!?】

【隊長!長老殿!そんなに前に出られては危険です!】

【何を言っておる!不老不死の薬はまだいい!死者を呼び戻す呪文が使われてしまえば、生命の輪廻が崩れるのじゃぞ!】

 

…今、いいところなのだが。

やはり、アイツらは私達の敵になるのか。

 

なら、容赦はしない。

彼と私の、邪魔をするな。

 

 

「…来客か。少し行って来るから、君はまだ寝てるといい」

「待って、もど、っ…て…」

 

鎖で繋がれたその両手が、私の肩に当たることはなかった。

 

 

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