ヤンデレな モンストキャラに 愛されて 作:Jack11@ハーメルン
リクエスト作品に関してはpixiv以外に載せていいか分からないなの。
だからこっちには自分アイデアを載せるの。
「…あ、まただ」
家のに前に段ボールが置いてある。蓋を開けてみると、中には小さな子猫が一匹。
【拾って下さい】油性ペンでそう書かれた段ボールには、『シュレディンガー』と名前が書かれている。
『にゃー』
「…はぁ、俺が猫カフェを経営してるからといって、なんで捨て猫をここに置いていくのやら」
飼いきれなかった猫や、生まれてしまった子猫を一時的に引き取るような店ではないのに、最近の人はあまりよく分からない。
そもそも猫が好きならしっかりと責任を持って飼えばいいのに、特に去勢や不妊治療に関しては飼い主の責任だろう。
しかし、生まれてきたこの命に罪はない。
『にゃー』
足元で、子猫が小さく鳴いた。
「っと、お腹空いてるよな…ちょっと待てよ〜…取り敢えず家入るか」
俺は、小さな子猫を抱えて家に入った。
それから暫くは俺の家でその子猫を飼うことにした。どうやら生後2〜3ヶ月のメス猫のようで不妊手術を施すのは少し早いと思ったため、一先ずは回りの猫達に慣れてもらうことが優先だと思った。
オス猫にしても去勢はきちんとしているため、差し当たっての問題はないだろう。
「…さて、ミルクだよ、飲む?」
ミルク皿に淹れたミルクを目の前に置く。シュレディンガーはお腹が空いていたのかピチャピチャと音を立てながら舐め始めた。
「…ほかの猫とは仲良く出来てる?」
『にゃー、にゃー』
甲高い声で、彼女は鳴く。もしかしたら俺の言葉に反応してくれてるのかもしれないと思うと、嬉しくなった。
「そっかそっか、それなら良かった」
「他のみんなも、シュレディンガーと仲良くしてくれよ?」
ご飯の時間だと近づいてきた他の猫達も、分かったのか小さく鳴いた。
ーーーーーー
「…ふー…」
月を見る。私の紫の毛並みが月光を反射して妖しく輝いた。
「ん〜…やっぱりアタシはこっちの姿の方がいいわ〜…」
大きく背伸びを一つ。狭っ苦しい寝床から開放されたアタシは広い部屋でアイツのチョコレートを摘んだ。
「ん〜…やっぱこれよねぇ、他の猫には食べられないもの、アタシが楽しまなきゃね」
……最初は、単なる気まぐれだった。いつも通り並行世界を渡り歩いては
アタシは捨て猫を拾って育てる奴がいるのか気になって色んな世界を周った。
ーー「お願いお母さん!絶対に世話するから!」
「…はぁ、分かったわ。でも、もし飼うのであればこの子が死ぬまで面倒を見ること。いいわね?」
「……!うん!ありがとうお母さん!」
最初に見つけた子供が、嬉しそうに跳ねて、駆ける。
横で見ていた猫が不思議そうに彼を見つめていた。
気まぐれで子猫の行く末が気になったアタシは彼を観測みるようになった。
毎日学校から帰ってきてはミルクをあげて。
毎日宿題の後に近づいてきた猫をわさわさと撫でて。
居なくなった猫を涙目になりながら捜して、見つかったときには涙を流して抱きついて。
大きく成長した猫を記録しようと、構えたカメラを覗き込んで。
歳をとって殆ど動かなくなった猫を、彼は優しく撫でて。
そうやって死んでいった猫に、家族同然のように涙を流していた。
(…不思議)
シュレディンガーになったアタシが体験することの出来なかった一生。それを羨ましく思ったし、なにより。
(…〇〇……)
…アイツが。優しくて、強くて…アタシを事故でこんな身体にしたあの科学者よりもアイツの下で生活したくなった。
……チョコレートで感じたハツコイの味。それよりも、ずっとずっと甘い誘惑。猫の本能だろうか、人の感情だろうか。アタシは〇〇の背に抱きついていた。
「……暖かい」
スンスンと、鼻を鳴らす。
薬品の煙が染み込んだ白衣とはまた違った匂い。ふんわりと香る花の匂いと、〇〇の汗。
ずっと、一人だった。
きっと、寂しかったのだろう。
『にゃー…』
…この声は、届いているだろうか。今まではそんなこと思ったこともなかったのに。どうしても、届いて欲しいと思ってしまった。
「…でも、無理よね」
だって、アタシはシュレディンガーだから。人から観測されない限り、見えることはない。
…ん?観測、されない…
「あ!」
観測されるまで気づけないのならば、観測させればいい。そう思いながら、彼の店この前でアタシの名前を書いた段ボールの蓋を閉めた。もちろん、拾ってもらいやすいように子猫に扮して。
……そして、蓋が開かれた。
ーーー開けるまで子猫がいるかどうか分からない段ボール。
それを開けた〇〇は、そこにアタシが居ることを認知して、観測した。
『にゃー』
鳴く。嬉しくて、拾ってほしくて、力にいっぱい鳴く。
「…はぁ、俺が猫カフェを経営してるからといって、なんで捨て猫をここに置いていくのやら」
嬉しい。〇〇が、アタシを観測みてる。〇〇が、私を見てくれてる。悩んだ表情を浮かべて、アタシを飼ってくれる。抱きかかえられて、漂ってきたその匂いにアタシは胸がぽかぽかして。〇〇の家の中で最初に飲んだミルクは、アタシからしてみれば四つん這いの格好だったのに。恥ずかしいはずなのに、最高に美味しかったし、気持ちよかった。
『みゃー!』
「ん、そうか。美味かったんならよかった…さて、シュレディンガー、でいいのかな?」
『みゃっ』
…あぁ、〇〇に名前を呼んでもらえて。それだけで嬉しくなって。心がぽかぽかして。
「俺は〇〇…よろしくね」
『…にゃー!』
はーい、と。大きく返事をした。
それから一緒に生活をして、注射はそこまで怖くなかったし、他の飼い猫には驚かれはしたが普通に振る舞ったので…多分バレてない。もしバレてても言う手段もないし気にしなくていいだろう。でも…一つだけ、一人だけ懸念点が生まれた。
「ん…どうしよ、流石に身体的にもまだ辛いかな…」
不妊手術。勝手に猫とヤッて子猫を産まないように、個人が取れる責任だけを抱えるために必要なこと。
……アタシは、それが絶対に嫌だった。
〇〇の子供が欲しい。〇〇の子供は、あのときの…子猫を拾った〇〇にどれだけ似ているとだろうか。人型になったときに毎回そんなことを思う。だって、子供に付ける名前を考えているだけで幸せになれるのだ。〇〇と結婚する妄想で、これ程まで人生が明るく思えるのだ。
でも。
急に人型になって「結婚してくれ」だなんて。もしそれで追い出されたら?拒絶されたら?そうなったら、アタシはどうなってしまうのだろう。
でも、何も行動を起こさなければアタシの未来は終わってしまう。
月を見上げた。時計は深夜を指していて、長時間物思いに耽っていたのだとぼんやり理解した。
「〇〇…」
恐怖と、不安と、妄想からくる喜びを覚えながら、アタシは〇〇の部屋まで向かった。
「…よく寝てる」
大学に通いながらアタシ達の世話をしてくれているのだから、疲れるのは当たり前だ。机の上に開きっぱなしの課題を見るに、諦めてベッドに移って寝てくれたのだろう。
「…お疲れさま、いつも頑張ってくれてありがとね」
〇〇の頬に、優しくキスをする。〇〇が少し柔らかい笑顔を浮かべてくれた気がした。
電気を点けなくても顔が分かる。かつて今以上に夜目が効く体質を嬉しく思ったことはあるだろうか。
「…おやすみ」
アタシは子猫に戻ってから、〇〇の隣に身体を寝そべらせた。
ーーーー
「ふー…あ…疲れた」
【…おーい〇〇、久しぶりだね】
カフェのドアが開く。そちらを向くと、懐かしい顔ぶれが俺を覗き込んでいた。昔馴染みの彼女にはやはり男装風の服が似合うようだった。
「おっす、お前もこっち戻ってきてたのか?」
【まぁ、ね。久々に実家に顔出してって言われたし…そうだ、せっかくだし遊ぼうよ。カラオケいこカラオケ】
「お、やるか…点数負けた方がドリンクバー代奢りな」
【おっけー】
『にゃ〜…』
ふんわりと、何かが掴む感触。足元を見ると、シュレディンガーが俺の足に尻尾を巻きつけていた。
「っと。少し出掛けて来るだけだから、安心しろ」
俺はその尻尾を優しく解いて、家を出た。
『にゃ〜』
俺の姿が見えなくなるまで、シュレディンガーは鳴いていた。
そうやって2時間ほど個室で歌った後、ゲーセンに行ったりで時刻はもう夕方。そろそろ猫達にご飯をあげる時間だと俺達は店を出て帰路につく。横に友人がいるだけで、見慣れた景色がなんだか懐かしく思えた。
【お、ここさー、昔秘密基地にしてたよね…懐かしい】
「あ〜、この公園も使う奴減っちゃったからな〜」
【だね〜…っと、自販機あるじゃん、ココアココア〜、はい、〇〇も飲みな】
ベンチの横に置かれたココアを手に取ると、手に温もりが伝わってくる。背もたれに腰かけると、眼前には沈みかけの夕日があった。
「ありがとな、っと…ここの景色久々に見たな…最近はずっと大学だ猫だで忙しかったし、懐かしいな」
思い返せば、俺はずっと猫以外に興味を向けていなかった。俺自身猫が好きなのでそれでいいが、確かに他に興味を持つ必要があるのだろうか。
【お〜お〜…大層大変でござって、これだから若者は】
「その口調やめろ、校長を思い出す…」
暫しの静寂。陽が沈んでいくのを見ながら、冷たい北風に身を震わせる。ココアを一口飲んで、白い吐息を吐き出した。
【…〇〇、今の生活は楽しい?】
彼女も肌寒いのか、俺に身を寄せてきた。人肌の温もりがじんわりと体を温めてくれる。
「なんだ藪から棒に。まぁ楽しめてるよ」
鄒俊、何かを考えるような表情を浮かべる。その顔は、何か言いたいようにも見えた。
【ねえ…〇〇、ってさ、恋とか結婚とか考えたことあるの?昔っから動物に一途だったじゃん】
「あ〜…確かに、そろそろ親からも言われそうだな」
…俺もいい歳だが、あんまりそう言うことを考えたことがなかった。高校時代にあんまり色ついた話題も気にしなかったこともあるだろう。
【…あの、さ。私ね、〇〇のことが、ずっと、好きだった】
「…え」
【きゅ、急にごめん。でも、どうしても言いたかったの。昔、私が飼ってたハムスターが死んじゃった時にさ、慰めてくれたじゃん。その時に、好きになって…でも、ずっと言えなくて】
細く、細く。でも、確かに思いのこもったその言葉。
だからこそ。本気だと分かるからこそ。
俺の心は、纏まらずにいた。
「…少し、考えてもいいか?」
……冷たかったはずの頭が急に殴られたようにジンジンと熱くなってくる。上手く頭が回らない中で、言葉が漏れた。
【…そっか、んじゃ私は親に顔見せてくるよ。また明日ね】
彼女は笑いながら、俺を見て手を振っていた。俺もそれにぎこちなく手を振り返す。
「…どうすればいいんだろ、俺」
寒空の下、隣から無くなった温もりを寂しく思いながら俺は帰路についた。
ーーーーーーーーーー
「あの女」
あの女が楽しそうに〇〇と遊んでる姿。〇〇に浮かべた笑顔。〇〇と食べてたお昼とチョコレート。そしてなにより、あの女が、〇〇に告白してるところを。
「ふざけないで」
歯ぎしりする。
〇〇はアタシのものなのに。〇〇はあんな泥棒猫と釣り合うわけないのに。〇〇はずっと私立ち去るのこと見てきてくれたんだから、これからもそうしてくれるはずなのに。
『…少し、考えてもいいか…?』
盗られる。〇〇、まんざらでもないって顔してる。酷い。〇〇はアタシのものなのに、あの女。アタシから〇〇を奪わないで。アタシだけ、アタシだけのものじゃないと。
また〇〇にお世話されたい。また〇〇と遊びたい。また〇〇と一緒に寝たい。なのに、なのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのになのにっ!
あの女が邪魔をする。〇〇の体温を感じていいのはアタシだけで。〇〇に優しくされていいのはアタシだけで。〇〇の匂いを嗅いでいいのもアタシだけ。
全部、全部、あの女にはいらない。
「アタシが…」
平行世界を見る。どの世界にも数ある選択を選んだ〇〇がいる。その中で、アタシじゃないナニカに笑顔を浮かべる〇〇が、いっぱいいる。
「アタシが、いっぱい愛してげる。あの女なんか忘れるくらい」
せめて、ここにいる〇〇だけでも愛さなきゃ。
ほかの猫が、玄関の方に近づいていく。〇〇が帰ってきたのだろう。
あの子達にも、ほんとは奪われたくない。でも、〇〇が大切にしてるものだから、許してあげる。
「ただいま〜」
…ふふっ、〇〇、この姿を見たらどう思うのかしら。
「…は?お、おい、誰だよお前!」
…え、なんで分かってくれないの。毛の色だって、匂いだって、耳だって、全部同じなのに。なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで?????
「お、おい…出ていってくれ、あと、猫に危害は加えないでくれ」
「……酷いわね。まさか忘れたわけじゃないでしょ?」
〇〇は、アタシのことなんか忘れちゃったんだ。ああやってお世話してくれたのも、アタシが猫だったからなんだ。
『にゃ〜』
悲しそうに、怒ってるように。
いつものように、いつもの姿で、鳴いてあげる。
「…え、シュレ…ディンガー?」
〇〇が困惑してアタシを見た。見た。やった。見てくれた。もっと、もっとアタシを見て。お願い、もう他の女なんか見ないで。アタシだけ見てくれればいいの。
「…そう、アタシは、シュレディンガーよ」
「そして、貴方のことが大好き…だけど、あの女に、言い寄られたのよね?〇〇は優しいから、断れなかったんでしょ?そうでしょ、うん。きっとそうよね?」
「お、落ち着いて」
なんで否定しないの。なんでそんな怖いものを見た反応をするの。なんで電話をしようとしてるの。
量子世界でワープして、ドアの鍵を閉めた。
〇〇が振り向いたので、そのまま捕まえた。スマホには、あの女の連絡先があった。
スマホを操作して、あの女の連絡先を消す。
「もう、コレもいらないわよね?それに…そんなにアタシを愛してくれないなら、アタシにも考えがあるから」
辺りに、キラキラした光が漏れた。他の平行世界では、〇〇はアタシ以外のために笑っている。
でも、本物の彼はここにいる。匂いもするし、体温だって感じれるし、それにアタシをきっと愛してくれる。
「アタシが〇〇をどれだけ愛してるか、しっかりと、毎晩教えてあげる」
抱きついて、耳を当ててあげる。〇〇、これが好きだったでしょ?可愛いって、いってくれたでしょ?
「…もう一生離さないんだから」
こんなにアタシを狂わせたんだから。猫の執着心を、舐めないでちょうだい。
ーーーーーーーーーーーー
「おはよう〇〇、今日もいい朝ね」
「ほら、朝ごはん出来てるから、食べちゃいましょ」
…あれから、どれくらい経ったのだろうか。〇〇は全てを投げ出してアタシを愛してくれた。そう、愛してくれていた。朝から晩まで、ずっと。
嬉しくて、ぴこぴこと猫耳が揺れた。
一緒に布団に入っても、もう大丈夫。布団の匂いなんか嗅がなくても、〇〇がずっと横にいてくれる。それだけで、嬉しかった。
恥ずかしくて、嬉しくて、ブンブンと尻尾を振った。
「…さて、今日はどうしようかしら」
ウインナーを〇〇の口に運ぶ。何回か咀嚼して、美味しいって言ってくれた。
「お出かけ…ねぇ、まぁ、久しぶりに外の空気を吸うのもいいわね」
「それに、〇〇と外の景色も見たいし」
席を立って、戸棚を開ける。そこには〇〇の名前が刻印された首輪があった。アタシが着けてもらったものよりも小さくて目立たない黒色の首輪。この前の買い物の時に買ってきたそれには、四角い銀のアクセサリーがついていた。
「ほら、こっちに来て」
てくてくと〇〇が歩いてくる。アタシは首元に腕を回した。このゾクゾクする感覚を覚えてしまってからはよくお出かけに行くようになった。だって、そうじゃないと首輪の意味がなくなっちゃうから。
カチャッ。
「…うん。やっぱり似合ってるわね」
肌色に、黒色が良く映える。背徳的とでもいうのだろうか。心臓がドキドキする。〇〇も、一緒であってほしい。一緒でなきゃ。
「…そうだ。約束、分かってるわよね?逃げようだなんて、考えてないわよね?」
他の人と喋っちゃダメ。アタシから離れちゃダメ。アタシがいなきゃ、見てなきゃ。また、〇〇が何処かにいっちゃう。
そんなのダメ。アタシが許さない。
「…それじゃ、行きましょ♪」
開く。世界の狭間は今日もプリズムのように輝いていた。折角だから、少し離れた世界に出かけよう。そっちの方が、きっと安全。
アタシは、〇〇の手をぎゅっと握った。絶対に離さないように。絶対に逃がさないように。絶対に、見れるように。
尻尾を腕に巻きつけながらアタシは笑う。
「これからもよろしく、〇〇」
……ちょっとだけ関係ないけど、カノンのヤンデレを書いてって頼まれたんですけど……思いつかにゃい!
なにかいいアイデアありますか?