ヤンデレな モンストキャラに 愛されて 作:Jack11@ハーメルン
だって適正がキュウトとサンクチュアリとガリーナしかいないもん。
勝てるわけがないよぉ!
pixivの方に自分のフレンドコード載せておきました。ヤクモで困ってる場合はお使いください。
「ソロモン、起きろ…朝飯の時間だ」
「…はーい」
部屋の中、ふかふかそうなベッドを背に机で寝落ちした彼女の肩を揺らす。
彼女のピンク色の長髪が朝日に照らされて揺れた。
「それで、朝ごはんは?」
「あ〜、多分他のメイドが作ってる…んで」
俺はキッチリと整った執事服で身を纏いながら言った。
「俺こんな口調でいいのか?一応ソロモンの執事として雇ってもらってなんだけど」
色々あってお金が必要になり、幼馴染の家に雇ってもらったからにはそういうのはしっかりする必要がある気がしてきた。
「別に…その口調の方が私もやりやすいし。あ!でも出先と、お父様の前ではその辺りしっかりしてね」
「はいはい…っと。お嬢様、お時間ですよ」
彼女を先導するようにして部屋の扉を開く。差し込んできた光の先に俺の住んでいる街が佇んでいた。
「それで、今日のご予定は以下がなさいますか?」
「うん、朝食を食べたら少し外に出る。〇〇もついてきてくれる?屋敷に戻ってきたら魔術の勉強をするね」
「では、外出の準備をして参ります」
馴れない敬語を使いながらソロモンをダイニングテーブルまで送り届ける。
荷物を揃えていると、朝食を食べ終わったであろうソロモンがエントランスホールに顔を出した。
「…お、もう準備終わってる。感心感心!」
「ソロモン様の執事ですので」
少し小っ恥ずかしい気もするが、仕方ないと割り切って俺は扉を開いた。
ーーー
「…来たかった場所って、ここか?」
「うん、なんて言ったって〇〇と最も思い出深い場所だからね」
誰もいない公園の中で、木陰の下にあるベンチに腰掛ける。カサカサと風に連動して揺れる影に、私達の影もゆらゆら揺れた。
「懐かしいね…」
「だな、いつもソロモンはここに居たよな、魔術で詰まったときは特に」
「たしかにね…ふぁ…その陽気だと少し眠くなる…」
暖かな陽気に、温かな人肌。
彼の手が私の髪を梳くように優しく触れていた。
「…少しはちゃんと眠れよ?今日も遅くまで魔導書読み込んでたんだろ。ほら、膝貸してやる」
「…そうさせてもらうよ」
目を閉じる。鈍くなっていく感覚器官と裏腹に、私の嗅覚は鋭くなって彼の香りを味わい始めた。
(安心できる香りだ……)
心臓は緩やかに拍動し、彼の膝の反発が私にとっては最高級の枕のようにも思えた。
(あぁ…瞼が…)
瞳の裏に、懐かしい光景が浮かんできた。
ーーーーーー
『すげー!なぁソロモン!それどうやってるんだ!?』
『これ?えーっと、これをこうして…こう!』
『おぉ!なんかよくわかんねーけど、すごいな!』
……昔、彼は私の魔術を褒めてくれたことがあった。
幼い頃から魔術の才能があった私は、幼い頃に学ぶ大体の魔術は出来たし、それでちやほやされることもあった。
でも、その差が大きすぎて。
私を『友達』と慕ってくれる人はいなかった。
そんなときだったのだ。彼が現れたのは。
彼は私の魔術を見て、真似しようと頑張って、気安く話しかけてくれて。
放課後、いつもの公園で私は彼と話しながら魔術を見せるようになった。
『…ふふーん、今日はとっておきの魔術を見せてあげる!』
『なにを見せてくれるんだ?』
『それはねー、召喚/従属の魔術!』
彼はいつものように気の抜けた笑顔で私に笑いかけてくる。
……それで、気が抜けていたのだろう。
『きゃあ!?』
『ソロモン!?』
ぽふん、と気が抜ける音に似合わないほどの風が吹いて、身体が反射的に距離をとる。煙の晴れたさきに見えた、目の前に見えた爪。狼のような身体をした魔物。
召喚に失敗したのだと、ようやく理解したときには少し遅かった。
ありえないと思っていたから、反応が遅れた。
グルルルルル…ガウッ!!
既にその魔物は私目掛けて走ってきていた。
『や………っ』
目をつむる。痛みに備えようと、ぎゅっと。
でも、その痛みはいつまで経ってもやってこなくて。
『…ソロモン!なにボーッとしてるんだよ!』
とっさに木の棒を拾ったのだろう。彼はその魔物の鼻に、木の棒を振りかざしていた。
『ほらっ、いけ!ソロモンから離れろっ!』
魔術によって硬くなった木の枝は運良く獲物の鼻先を捉える。
『とにかく、逃げるぞ!この時間なら衛兵がいるだろ!』
『わっ、ちょっ!?』
彼は私の手をとって走り出す。後ろから追ってくる足音は聞こえなくとも、私達は力の出せる限り走り続けた。
ーー
『ふー…ここまではアイツも来ないだろ。ソロモン、大丈夫か?』
『えぇ…まぁ、なんとか…』
街の中心街までやってきて、私達はベンチに腰を下ろした。私も、彼も足がプルプル震えているのに彼はちっとも辛くは見えなかった。
『〇〇は…疲れてないの?』
『いーや、今すぐ横になりたいけど…女子の前で横になるのは俺のプライドが許さねー』
『ふふっ、なにそれ』
『わらうなよー…っと、ちょっと待ってて』
…私を助けてくれた彼が、凄くかっこよく見えて。
…彼の瞳がキラキラと輝く光景に心奪われて。
…彼の全力を感じられた汗の匂いに、嫌な気分はしなくて。
『…ほら、ソロモンも飲みなよ。冷たくて美味しいぞ』
彼からキンキンに冷えたラムネを受け取ったときの笑顔に、私は恋に落ちたのだ。
それからは、転がり落ちるように彼の魅力にハマっていった。
彼と話しているだけで心は浮つき、彼の笑顔を見ているだけで心臓がドクドクと鼓動が早くなる。
彼が他のクラスメイトと話しているのを見ると胸が暗くなって、彼が他の人に笑顔を浮かべるのを見たくなくなって。
ざわめいた心を落ち着かせるために公園に寄れば、大抵は一人で彼がいるのだ。
私にとってその時間は彼を独占できる唯一の時間で、それが私にとってはとても嬉しかった。
ーーーーーー
家に帰ってからは彼は時間に追われるように仕事をしていたので話すことは出来なかった。その後私は図書館に篭って魔術の勉強をしていた。
その時だった。棚に見覚えのない魔導書が入っていたのだ。
気になった私は、その魔導書をペラペラと捲っていく。
その1節が、目に止まった。
「この魔術……」
不可視の瞳。刑務所や巨大施設などで要注意と術者が指定した人に対して監視をするために使用される魔術。
術者にしか見えない浮遊する球体が対象につきまとうが、魔術によって簡単に壊されてしまう。今の監視魔術の基礎となった魔術だ。
しかし、こういうものはその手の職の者にしか伝わらないはずなのに、どうして書物として遺っているのだろうか。
………でも、その本を持って、最初に思いついたことは。
(…これを使えば、もしかしたら…)
彼のことを、ずっと見ていられるかもしれない。
気付いた時にはもう夕暮れ。私は管理者に許可を取って解読を進めるために本を自室に持ち込むことにした。
ーー
「お疲れ様。どう。仕事には慣れた?」
廊下の掃除を終えて一息ついていると、丁度読む本を決めたのであろうソロモンが向こうから歩いてきた。手には幾つかの魔導書が抱えられていた。
「ソロモン様、お持ちいたします」
「ええ、お願い」
彼女の部屋に入るのと同時に、俺は机の上に本を置いて腕をグググ…ッと伸ばした。
「それで?仕事の進捗はどうなの?」
「あぁ、まぁ一通りは終わったよ。あとはメイド長の小言を聞く仕事がいくつかある」
「そう、お疲れ様」
「おつかれー…あ〜、なかなか大変だった…っと、ちょっといいか?」
いつになく真剣な表情をした彼を見て、ベッドに座っていた私もつられて背筋が伸びる。
「…どうかしたの?私に出来ることなら手伝うけど」
「そうそう、あの図書館なんだけどさ。植物…特に花についての本ってあるか?少し調べたいことがあるんだけどよ」
…自慢ではないが、ウチの図書館は確かに広い。それこそ魔導書が何百冊とあるのだ。私は魔導書の棚しかほとんど使わないから覚えていないが、そのような本なら探せばあるだろう。
「ええ、探すのを手伝うわ。その代わり、明日のデザートは…」
「ピタパン、な。蜂蜜たっぷりのを焼いてやる。バニラアイス付きでな」
「それじゃ、交渉成立ってことで!ん〜!楽しみだな〜!」
彼が部屋から出ていく前に私の方に振り返る。
「そういや、今度の土曜日なんだけどさ。ちょっと友達の家に泊まりにいくからその日は休む。これからソロモンのもお父さんにも伝えてくるわ」
「……そう?行ってらっしゃい」
……直感。魔術で解明することの出来ない女の勘が告げる。
(……怪しい)
ホントに、お泊りするだけなのか?その友達は…もしかして女なのではないか?
(術の完成を急ぐ必要がありそうね…)
そう考えて、私は借りてきた魔導書を開いた。
ーーーー
「…よし。こんなものかな?」
あの日から急ピッチで解読を進めていたのもあって、彼のお泊まり当日までには魔術を使用できるようになった。効果は既にメイド長で確認済み。後はこれを彼につけるだけ。
「〇〇、もう出るの?」
「おう。少し買い物に立ち寄ってから行くしな」
「そう、それじゃ…ついでに、これ持って行きなさい」
押し付けるように、私は彼に鏡のペンダントを手渡す。
「これは?」
「泊まるんだし、身だしなみはきちんとしなさいっていう私からのおせっかいよ」
……手に触れるのと同時に私は魔術を使用する。彼の周りに小さなオーブが舞うのを確認して、私は彼を玄関まで見送ることにした。
「それでは、行って参ります」
彼は荷物を旅行鞄に詰め、深々とお辞儀してから扉を開く。
私はそれを何も言わず見つめていた。
(バレることはないと思うけど…)
私はそのまま部屋に戻って、瞳から伝えられた情報を逐一観察するようにした。
ーーー
彼が最初に訪れたのは、お皿や小物を扱っている店。
彼はそこでマグカップや白い大皿、アロマキャンドルなんかを手に取っていた。
何を言っているかまでは聞き取れないが、ラベンダーの香りするアロマキャンドルを買ったことだけは分かった。
次に訪れたのは、街角にある花屋さん。
何かを店員に注文していたのだろう。彼は飾られている花束を見て時間を潰しているようだった。
(何を頼んだのかしら…)
その花は包装紙に包まれていて、よく見えなかった。
次に彼が立ち寄った、のは……。
「…うそ」
この辺りでは有名な貴金属のお店。
ショーケースに並べられた指輪を、彼は悩みながら見ていた。
「やっぱり」
女の勘はよく当たる。彼は、好きな人がいるんだ。それも、私以外の。
「いやだ」
手に握っていた用紙がクシャクシャと音を立てて小さくなっていく。
「いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだっ!!!」
想いが、自然と口から漏れてしまう。瞳が濡れているのが、焦りからの汗なのか、それとも苦しみからの涙なのか私には分からなかった。
「〇〇はっ!〇〇は私のだ…っ!誰なのか知らないけど、私の方が〇〇の事を知っているし、気にかけているし、愛しているし、関わっているし…それに、それに…っ」
「私の方が、そんな奴よりも何倍も相応しいっ!!!」
……これが、私の本心だったのだろう。
口に出してみれば、それが心の型にストンと嵌った。
「…そっか、そっかぁ…」
慢心しちゃだめって、彼から学んだことを思い出した。
「…できる限りの策を練って、〇〇のことを捕まえなくちゃ」
私は、瞳の先に映る女の顔を見る。魔術を使ってそれを描き上げていく。
そうしてるうちにも、あの女の毒牙は彼を蝕んでいく。
「…悪いとは思ってるけど、今はこの気持ちが抑えられないの」
私紙に描かれた醜くも端正な顔に、私は思いっきり羽ペンを突き立てた。
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おはよう。少し暗いけど…ちょっと待ってちょうだい。今ランタンをつけるから。
そう、ソロモンよ…それで、ここはどこだって?
……お城の地下室。昔、革命期に捕虜を捕まえておいたときの名残。
ほら、そんなに怖がらないで。暴れちゃだめよ…。抱きしめてあげるから。
ほら…私の心臓の音を聞いて。深呼吸しましょ?
……どうしてここにいるのか分からない、って顔してるね。まぁ、朝起きたら急に見慣れない敷物で敷き詰められた部屋で、脚に鎖を着けられていたら誰だって驚くかもだけど。
これは畳。東洋の島国で使われる敷物なんだって。〇〇のために用意したんだよ?
…それで、なんでこんなところにいるのかって?
別に、何か無礼を犯してこれから処刑されるわけじゃないから安心してほしいな。
ごめん……〇〇。それ、私がやったんだよ?
信じられない?でも、ホントなの。
〇〇が嫌なのは分かってる。けど…〇〇を手元に置いておかないと…名前も知らない女に盗られちゃうから。
あ。顔、青くなってる。ほら、頭撫でてあげる…もう、逃げないで。
見てたのかって?うん。手鏡を渡したときに、とょっとね。勝手にそんなことしてごめんね?
……それでね。〇〇が一緒にディナーをしてる所とか、一輪の薔薇を贈ってる所とか、ラッキースケベをして顔を紅くしてる所とか見てると心が暗くなってね、『〇〇のことは誰にも渡さない』『〇〇のことを私のものにしたい』って思って。
だから、こうしちゃった。
ここなら、あの女も迎えにこれない。
…まぁ、今の状態ならこの国の中に居るだけで危険だけど。
でも、〇〇はそんなこと気にしなくていいからね。
……〇〇がお願いするなら、お城の中なら私と一緒にお散歩させてあげるし、料理だって私が食べさせてあげるし……そういうことも、君がして欲しいならしてあげる。
あはは……まぁ、まだ混乱しててよく分からないよね。
今日は私もここにいるからさ…
………まだ私は恋人未満だからさ?〇〇について色んなことを教えてよ。
言っておくけど…〇〇が心から私のものになるまで此処から出す気はないよ。
ほら、逃げようとしないで…。鎖があるから逃げることは出来ないけど…そんなに拒否されちゃうと私、悲しくなっちゃうな。
『……これが良くないことだというのは分かってる。
でも、逃げようとした〇〇が悪いんだよ。』
………ふふっ、急に倒れ込んじゃって。
思ったより魔術が効きすぎちゃったかな。
…よし、意識ないね。
洗脳魔術、これは使いたくなかったんだけどな。まぁ、少しくらいならいっか。人格が壊れないように…
えっと…〇〇は私に恋してて、両思いなんだけどまだそのことを〇〇は知らない。だからこの空間にいても『ソロモンと一緒なら…』って考えちゃうし、違和感を覚えないんだ。それでね、あの女は昔〇〇が恋していた人で…その子はもう別の人を見つけて、貴方は捨てられちゃったの。
そこを拾ってあげたのが私。
その優しさに〇〇は恋をしたの……。
……これで目を醒ましたら、〇〇は私のことを好きになってくれてる。
これから、〇〇のことをいっぱい教えてね。私も〇〇のことをいっぱい学んで、君の横に立てる人になるからさ。
……あ、おはよう。目、覚めた?