一応連載している片方があと少しで完結させられそうなのでそっちさえ終わればこっちの方の更新ペースも上げられると思います。
~九条沙羅視点~
今回の失態は幕府軍としてはかなりの痛手だった……抵抗軍を潰すつもりで行ったが撤退せざるをえない状況まで持ち込まれてしまった。
仲間達へ受けた被害も馬鹿には出来ん、これでは死んでいった者達に顔向け出来んな。
「九条様、本日の鳴神島での目狩令における報告書になります」
「ふむ、ご苦労」
「…………我々はいつまで身内で争わねばならぬのでしょうか」
「…………我々は将軍に仕える幕府軍だ。
将軍の命に逆らう以上は我々としても動かざるを得ない」
「…………そうですね」
ただ一部の者達が民に対してかなり横暴な態度をとっているというのは耳にしている。
証拠があった場合は処分しているが殆どの者が証拠がない以上私としても下手に動けない、組織の腐敗だけは許すわけには行かないのだがな……。
「一つ妙な事を聞いても良いか?」
「なんでしょうか?」
「先の戦いにおいて抵抗軍以外に何か目に見えない存在のようなものを感じなかったか?」
「目に見えない存在……でありますか?
私は感じられませんでしたがそういえば部下達からの報告に何か変な気配を感じたとの報告がいくつか……確か全員神の目を持っている人物だったかと」
…………やはり気のせいでは無かったか。
あの戦いの場にはやはり我々と抵抗軍以外の"なにか"が確かに存在していた。
元素視覚をもってしても殆ど関知が出来なかったが空に妙な風元素の揺らぎのようなものがあった。
「報告には全員が全員感じたわけではなく一部の者のみになっているようです。
もしかしたら妖怪の類いなのでしょうか?」
可能性としては無くはない、だが稲妻の妖怪はその殆どが姿を消している。
現存している妖怪もごく少数しかおらず新しい妖怪が生まれたというような話もあまり耳にはしていない。
私は天狗の血を引いてはいるから妖気の感知は出来なくはない。
だがあの場所では殆ど感じられなかった……それこそ鳴神島と同じ程度の濃さしか……いや待て?
「妖気及び姿への隠蔽が出来るのなら辻褄が合う……か」
たたら砂で感じる妖気の濃さが鳴神島とそこまで変わらないのもおかしい話だ。
あの地とヤシオリ島には妖怪の生き残りが数は少ないとはいえひっそりと生活している。
だが姿が見えない妖怪など私は聞いたことがない。
一度八重宮司様の所へ向かい話を聞いておくべきだろうか。
「いや、今は抵抗軍への事を優先するべきか。
すまない、時間を取らせたな」
「いえ、それでは自分は失礼します」
…………上への報告書にこの件について書くべきだろうか?
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~オロチ視点~
「やっと到着したか……まさか三日もかかるとは」
「我々がオロチ様を運んで差し上げられるなら良かったのですが……」
「いや、気にするな」
とはいえ俺の移動速度上がってくれないといざって時に逃げられないんだよなぁ……せめて稲妻からは逃げたいけど目狩令中ってことは鎖国状態……つまり今この稲妻を出ようとしたら雷神の雷に撃たれて下手したら死ぬんだよなぁ……
一応この三日間ずっと移動だけしていた訳でもなく天邪鬼釣りをさせて魚を獲らせてたりそこら辺に浮かんでいた水スライムなんかを食ったりして自分への強化も欠かさなかった。
お陰でまた新しく産み出せるようになった妖怪が一匹増えたのだ。
「ここからアタシの料理人人生が始まると考えたらワクワクしてきましたワ!」
女性っぽい口調に緑天邪鬼の着物に割烹着を合わせたような服装、顔には"リ"の文字が書かれた面紗をつけている。
はいそうです……何故か黄とか青とか黒とかすっ飛ばして味天邪鬼(戦闘能力は緑以下)の味美さんが出てきました。
俺は思わずこう叫びたくなった……
違う、そうじゃない!
いやまぁ新しい妖怪なのは歓迎するし普通に嬉しいよ?
ただ妖怪の順番的に戦闘能力のしっかりとある黄天邪鬼だと思ってたんだよ……
どうやら神(この世界の場合は天理か?)は俺に戦力を与えるのを拒否しているらしい。
まぁ生まれた以上は仕方ないしとりあえずこいつ用の調理器具とかをどっかで確保したいなぁ……いい加減ただ焼いただけの肉や魚での生活は飽きた……
「さて、まずは現在地の確認だな」
俺は背中の羅城門の真下に置いていた地図を取り出して目の前に広げる。
周辺には誰もいないのは確認済みだが誰かが来ないとも限らないんで緑天邪鬼を偵察に向かわせる。
「さて、何処に向かうべきか……とりあえず城下町方面は論外として」
「ふむ、そうなるといっそ距離を出来る限り離すのはいかがでしょうか?」
「まぁそれが一番無難……と言いたい所なんだがそっちもそっちでリスクがあってな。
そっち方面には鳴神神社というのがあるんだがそこの宮司である八重神子という妖狐がいるんだがこいつがこの国の神である雷電将軍と友人関係にある。
出来るだけ接触は避けた方がいいだろうな」
ただでさえ雷電将軍と八重神子は魔神オロバシとの戦争で笹百合という天狗族の友人を亡くしている。
俺が見付かりでもして生まれた場所までバレれば激昂してもおかしくない地雷案件だ。
だがそうすると何処に隠れ住むかが問題なんだよなぁ……いっそゲームでヤマタノオロチが根城にしていた"十六夜の祠"でも作り出せれば良いんだが……
そういやゲームでの十六夜の祠ってヤマタノオロチが倒されてからは消滅したんだっけか……そうするとやっぱりあれはヤマタノオロチの能力で作ってたってことだよな……
「試してみるか……」
俺は妖気を集中して新しい空間を形作るイメージで目の前の空間に穴を開ける。
意外とあっさりと行けるもん……ん?
俺は新しく作った十六夜の祠への穴を開いて違和感に気付いた。
「決戦場しかない?」
穴から先はヤマタノオロチが鎮座する決戦場のエリアしか存在しておらず、地下等他のエリアは生成されてもいない。
物理の首を伸ばして中を探索はしてみているがやはり地下には何も存在していない……というか奈落になっていた。
これは恐らく俺の力がまだ弱いって事なんだろうなぁ……
「とりあえず寝床を確保出来るのが分かっただけ儲けものか……ならこれの入口を何処に設置するかなんだよなぁ」
正直感覚的にこの異空間は何かしら中継地点となる門を用意しないとまともに広げっぱなしに出来ず勝手に閉じちゃうんだよなぁ……それはそれでいいかも知れんが出てくる時がどうなるか検証するわけにも行かないしなぁ……リスクが高すぎて論外なんだよ。
だが俺はここで稲妻のあるエリアについて思い出す。
「…………少なくとも今の時代が原神のメインストーリーである魔神任務の途中なのは分かっている。
そうなると新しい場所を解放するタイプの任務は進んでないはず……」
鳴神島の最北端の荒海というエリアには確か何処にも繋がってない石の門があったはずだ。
任務か進んでないのならあそこに入り口を設置しておけば確実だろう。
問題はだいぶ鳴神神社が近い上にすぐ近くに雷電将軍に仕える三奉行のうちの一つである社奉行に属する神里家がある。
そうなると若干向かう際のリスクは高くはなるがあそこが一番安定した門を設置出来るだろう。
途中で宝盗団やファデュイから調理器具でもかっぱらいながら向かうとするか……
「よし……お前ら、出来るだけ海沿いに進んで北に向かってくぞ。
最北端にちょうど良い場所があるからそこに十六夜の祠を設置する」
とりあえず当面の問題はどうやって見付からずに移動するかだな。
正直な所使えそうなルートとしては3パターンがある。
一つがバカみたいに上空へと上がって物理的に感知できない高さで移動して目的地付近で落下する。
デメリットとしては移動にめちゃくちゃ時間がかかるから自分の強化が出来ないのと退屈なくらいだ。
二つ目のルートが大回りで海沿いを渡る事。
こっちに関しては若干リスクこそあるが最悪海側に逃げればどうとでもなるし自分の強化を怠らずに進める。
三つ目は……またバカみたいに遠回りするルートだがあえて海に出て鳴神島をぐるっと回っていくルート。
こっちはデメリットらしいデメリットはそんなにない。
自分への強化が若干偏るが何も強化しないよりはマシだ。
ただ毎日毎日魚はこの間で懲りた……焼きか生しかないから飽きるんだよ。
だがまぁ一番現実的なのが三つ目だな。
まぁ流石に海に漁をしに出てるような連中に出会す可能性がない訳じゃないがそう簡単に神の目持ちとは出会さないだろう。
だよな?だよね……?
「ひとまずは味美用の調理器具を見つけないとだなぁ……何処かに良い感じの宝盗団とか海乱鬼とかが居れば良いんだが……」
「私も盗むのにちょうど良さそうなならず者達がいないか偵察に言って参ります」
「行ってきまーす!」
「緑も赤も見付からないように気を付けろ~」
緑天邪鬼達と赤天邪鬼が妖怪絵巻へと変化してそれぞれ海沿いへと移動していく。
俺も動いてはいるんだがいかんせん移動速度が遅い。
どうにかならないものなのか……
「ふむ……ほ?オロチ様!この花からとても甘い味がいたしますワ!」
「ん?あぁそれは確かスイートフラワーだったか?
確か加工すれば砂糖が採れるはずだ。
ただ……保存容器がないな」
「アッ……まぁ野党が見付かるまでの辛抱ですわネ」
2時間程すると天邪鬼達が全員戻ってきて調理器具や保存容器をかっぱらってきたのか荷物を風呂敷に詰めて帰ってきた。
とりあえず荷物を十六夜の祠に詰め込んだ俺は味美が採取してきたいろんな具材も味美ごと祠へと一緒に放り込んで予定通り海から回り込むことにした。
だが……
「…………風がざわついておるな。
嫌な気配が漂っているでござる」
「あぁ、アタシも感じるよ……なんなんだいこの嫌な気配は?
何かが近くにいるのは感じるが何処にいるのかすらわからないとはね」
はい、どう見ても原神世界にて主人公をこの国に送り込んだ張本人である死兆星号の船長こと"北斗"と後に奇跡が起きたとはいえ雷電将軍の化物のような一撃である夢想の一太刀を防ぐ"楓原万葉"の二人に出会しましたコンチクショウ。
ニゲナケレバ……