TRANSFORMERS Blue_Archive   作:H2O(hojo)

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※タイトルをトランスフォーマーからArrival to Earthに変更しました。(2024/11/02)


プロローグ
Arrival to Earth


学園都市キヴォトス。ここは数千の学校が集まり自治区を形成している未来都市である。そしてそのキヴォトスに数日前新たに“先生”が現れ、サンクトゥムタワーを掌握してことにより、ここ最近続いていた一連の暴動事件は収まりつつあった。そして今、先生はある問題に直面していた。

 

“キヴォトスは広すぎる…。電車だけだと限界があるし、そもそもちょくちょく止まったりするし…。これは車が必須かもしれない…”

 

先生はキヴォトスのその広大さに公共交通機関のみでの移動に限界を感じていた。なので、彼は車を購入すべくシャーレの近くにある中古車販売店へと立ち寄ったのである。

 

「いらっしゃいお客さん!どんな車をお探しかな?」

 

“今あまり貯蓄が少なくてね…できるだけ安いのがいいんだけど。あとできれば頑丈なのがいいかな”

 

「あらら~先生ってのは大変だねぇ~」

 

“な、何で私が先生だって知ってるのかな…”

 

「街中で噂になってるよぉ。あのデカいタワーを起動させてテロリスト集団を退治したってね。よっ、“シャーレの先生”」

 

店舗の中に入ると、ネズミの姿をした販売員が先生のことを出迎える。その販売員は彼の姿を見て一目で先生だと気づきおだて始めたので、先生は自分の存在が街中に知れ渡っているという事実に驚いていた。

 

「おっと、安くて頑丈な車だったね。キヴォトスで出回ってる中で特にオススメなのがセイバートロン社製とデストロン社製だよぉ。どっちも頑丈でよく走る。銃弾を撃ち込まれたくらいじゃビクともしない優秀な車さ!でもやっぱりデザインはセイバートロンのほうがイカしてるね。デストロンのほうは不良生徒とか悪ガキが乗るような感じさ」

 

“ははは…じゃ、じゃあセイバートロン社の車にしようかな…”

 

「よしきた!んじゃオイラのとっておきのオススメを選んでくるよ」

 

先生は販売員のトークに完全に押され彼の言われるがまま車を選ぶ流れになってしまう。だがそんな状況に困惑しつつも先生の心はワクワクで満たされていた。これから買う予定の車は今後仕事やプライベートでも使ういわば相棒となる存在である。たった一人でキヴォトスに来た先生にとっての初めての相棒の登場に彼は胸をときめかせていた。

 

「じゃじゃーん!こいつはセイバートロン社製のカマロ!ちょいと年代物なんで見た目は悪いが、まだまだ現役で動く。お客さんの予算内にバッチリ収まるよぉ」

 

“ありがとう。これにするよ”

 

「まいどぉ!やーお客さんいい買い物したねー」

 

“…ははは”

 

店主には最後まで押されっぱなしだったがこれで念願の車が手に入った。懐事情は相変わらず寂しいがこれから始まる相棒との生活のためならば必要経費である。先生は頭の片隅に怒った某セミナー会計の顔を思い浮かべるも、ウキウキ気分でシャーレへと手に入れた車に乗り込んで帰っていった。

 

「さてと…オイラにこんなことを頼んだのは誰だか知らないけど…きっちり役目は果たしたよ」

 

そのネズミの販売員が持っていたのは一枚の紙切れ。これ自体は販売員が黄色い車を前の持ち主から買い取ったときに挟まれていたものであり、そこには彼に与えられた指示と口座番号が書かれていた。

 

“数日後キヴォトスに現れる大人である「シャーレの先生」にこの車を受け渡すべし”

 

 

 

 

 

シャーレオフィス地下駐車場にて

 

「せ~んせ~い!!何ですかこの車は!?」

 

“はい…すみません”

 

シャーレに帰れば案の定セミナーの会計早瀬ユウカが待っていた。ただでさえ玩具や課金といった無駄遣いが多いのに、今度は中古車を買ってきた先生に彼女は怒り心頭である。ユウカの説教に対し先生は駐車場で正座をしていた。生徒たちを教え導く立場である先生が何とも痛々しい姿でうなだれているのであった。

 

「そもそも何で車なんて買ったんですか!?」

 

” いや…ホラ、学園間って遠いから車で移動しようかなって”

 

「だからってこんなボロボロの車を少ない貯蓄で買う必要ないじゃないですか!」

 

“はい…それは…まったくもってその通りです…”

 

ユウカの説教は止まらない。中古車とはいえ車というものは安い値段ではない。彼女が怒る理由も当然であった。

 

「だいたい、こんな車で銃弾なんか受けたら大変なことになってしまいますよ!先生にはヘイローが無いんですから」

 

“で、でも店主はセイバートロン社製とデストロン社製の車は頑丈で銃弾くらい防ぐってネズミの販売員も言ってたし…”

 

「そのネズミに騙されたんじゃないんですか~?」

 

“うっ…”

 

ユウカの言葉に思い当たる節が無いわけではない。実際彼はあのネズミの店主のセールストークに終始押され続け、結局は出されたカマロを何の疑問も持たないまま購入してしまったのだから。

 

「と~に~か~く、今後先生のお財布は私がしっかり管理させてもらいますからね!いいですか!」

 

“は、はい…”

 

広い地下駐車場に先生の情けない返事が小さく響くのであった。

 

 

 

 

 

そんな中地下駐車場で先生の姿を隠れ見る一人、いや一匹の存在。

 

「nsdwjnkjanasianihvnakj!!(“シャーレの先生”を発見。近場にいるディセプティコンは至急応答しろ!!)」

 

せわしなく動きながらソイツは空に向かって解読できない言語を話し始める。その機械生命体は何やら誰かと無線で会話しているようだ。

 

そしてその無線を受け取ったのはシャーレの近くで巡回を続けていたパトカー。

 

“こちらバリケード、了解。機を伺い「シャーレの先生」を捕縛する。”

 

“ALL HAIL MEGATRON” “ALL HAIL MEGATRON”

 

バリケードと名乗ったパトカーは無線を切ると、誰も乗っていないのにもかかわらずおもむろに動き出す。そしてそのままどこかへと走り去ってしまった。

 

「あ、あれ?ここに停めてあった私のパトカーは??」

 

そしてポツンと一人取り残されていたヴァルキューレ警察学校の生徒は顔を青ざめて途方に暮れていた。

 

 

 

 

 

ユウカに怒られてから先生はオフィスで仕事をこなしていた。シャーレの業務は多忙を極め、終わったときは外は日が沈みかけていた。

 

“はぁ…今日の晩御飯何にしようかな…”

 

晩御飯を買うためにオフィスの外に出てお店に向かう先生。数時間前に生徒のユウカに怒られてしょんぼりとうなだれてコンビニへと歩いていた。

 

ブロロロロ…

 

“ん?”

 

先生が音の聞こえた方に顔を向けるとパトカーが走っていた。パトカーにはヴァルキューレ警察学校の校章が入っていた。

 

“(こんな夕方までパトロールなんて仕事熱心なんだなぁ)”

 

だが走っていたパトカーは先生の横で一度止まると

 

ブロロロロォォォォ!!!

 

急に方向を変えバックした後、先生に向かってきた。

 

“う、うわぁぁぁ!!”

 

先生は驚いて尻もちをついてしまう。このまま轢かれると思いきやパトカーは絶妙なテクニックで先生にぶつかる直前で止まる。

 

“一体何なんだぁ!!”

 

先生の悲痛な叫びも虚しくパトカーはまるで動物が威嚇でもするように前後に動く。先生は後ずさりをして何とか逃れようとするも後ろはビルの壁、さらには人通りの少ない道を通っていたので周りに助けを求められない。

 

“(治安が悪いとは思っていたけどここまでだったなんて!!)”

 

キヴォトスに来て数日、先生は死を覚悟した。だがその時である!!

 

ズダダダダダダ…!!

 

「そこのパトカー!!先生になにしてるんですか!!」

 

“ユウカ!何でここが…そうかアロナが”

 

先生が持っているタブレット型OSシッテムの箱。その中に入っている先生を手助けするスーパーAIアロナが先生の危機に対し、まだ近くにいた早瀬ユウカのスマホに緊急コールを送ったのだ。

 

ズダダ!!ズダダダダダダ!!

 

「このぉ!やめなさい!」

 

ユウカがパトカーに向かって発砲する。だが窓ガラスを狙ったにもかかわらず、パトカーは表面に軽く傷が付いただけに過ぎない。

 

「嘘っ!?防弾ガラスだとしても流石に頑丈すぎるわ!?」

 

“銃弾くらいじゃビクともしない…!!あの販売員が言っていたことは本当だったのか…!!”

 

キキキキキィィィィ!!ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

「こっちに向かって来る…!!」

 

ユウカはパトカーの頑丈さに驚きつつも発砲を続ける。その間に先生はパトカーから離れユウカの元に走った。そうするとパトカーは白い煙を吐き、タイヤをその場で回転させまるで怒っているかのように先生とユウカの方へ方向転換する。

 

“あ、あれ?”

 

「どうしたんですか先生?」

 

“あのパトカー、人が乗ってない…”

 

「そんな馬鹿な…ほ、ホントだ何で…」

 

そこで彼らは気づいてしまう。パトカーには人が乗っておらず無人で動いていることを。だというのにまるで人間が動かしているように…いや、感情のある生き物のように動いていることを。

 

そして…

 

ギゴガゴゴ!!

 

パトカーはガチャガチャと音を立てて変形し、人型のロボットになった。

 

“・・・・・” 「・・・・・」

 

2人は目の前の状況が呑み込めず黙ってしまう。だがどうやら目の前のパトカーから変形したロボットは怒っているようである。

 

「よくもこのバリケード様のボディに銃弾を撃ち込んでくれたな小娘!まずお前から殺してやる!」

 

このバリケードという変形ロボットはユウカに銃弾を撃ち込まれたことがよほど気に入らなかったらしく、タイヤのホイールを変形させた武器を振り回しこちらに向かってきた。

 

「・・・・」

 

ユウカはいきなり人間より遙かに大きいロボットに殺意を向けられて呆然とし身体が動かない。膝は震え顔は今にも泣きそうである。

 

“逃げるよユウカ!”

 

「え、先生」

 

ユウカが恐怖で動けない様をみた先生は彼女の手を取り一目散にバリケードから逃げる。

 

「せ、先生私のことはいいので逃げてください」

 

“先生が生徒を置いて逃げるわけにはいかないでしょ!”

 

「そっちのお前は“シャーレの先生”だな?お前は捕縛する!」

 

2人はバリケードから逃げるべく交差点を曲がる。いかに凶暴なロボットとはいえど、その大きな体躯では建物内には入れない。先生はシャーレへ逃げ込むべくユウカの手を引いて全力で走った。

 

キィィィィィィィィィィィ!!ガチャ!!

 

「この車…先生が買った中古車じゃないですか!?」

 

“な、何で!?”

 

そして次の交差点を曲がろうとした瞬間に地下駐車場に置いてあった黄色いカマロが出てくる。先生の車は彼とユウカの前で停まり、ドアがおもむろに開く。もちろんこっちの車にも人は乗っていなかった。

 

“助けてくれるの?”

 

ブロロロロ…

 

先生の車は彼の問いかけに応えるようにエンジンをふかす。その姿に何かを感じ取った先生はユウカと共に車へ乗り込む。

 

「せ、先生!」

 

“大丈夫ユウカ。この車が私たちを助けてくれるよ”

 

2人が車に乗り込むと勝手に動き出し、猛スピードでその場から離れる。それに気づいたバリケードはロボットから再びパトカーに変形し追撃する。

 

「オートボットか!?逃がさんぞ!!」

 

ギゴガゴゴ!!ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

バリケードが何か叫んでいるのを横目に先生たちはどんどん都市の中心から離れていく。歩道にいた人々はカーチェイスに釘付けである。

 

“先生が警察に追われてるってのはマズイかもな…”

 

「・・・」

 

(先生と一緒に車に乗ってるところが誰かに見られちゃったらどうしよう…)

 

バリケードに追われるなか先生は自分の体裁を気にしていた。一方ユウカは顔を赤くし俯いている。彼女は先生と一緒に2人でドライブしたという噂が流れることを恥ずかしがり心配するのだった。

 

 

 

 

 

パトカーのバリケードとカーチェイスから十数分。先生たちを乗せたカマロは人気のない工事現場の空き地に入る。そしておもむろに止まり2人をドアを開けて放り出す。

 

“うわっ!” 「きゃっ!」

 

放り出された2人は地面に倒れ込む。そして、2人を横目に先生の買った黄色いカマロはバリケードと同じように

 

ギゴガゴゴ!!

 

変形した。

 

「やはりここでも我々の邪魔をするか!オートボットォ!」

 

カマロの変形を見たバリケードはすかさずロボットへ変形し、彼を倒すべく変形させたホイールを振る。

 

「・・・・・」

 

変形したカマロはバリケードの武器を受け止めるべく手をだすが、バリケードの激しい攻撃に後ずさりする。

 

ギギンッ!!

 

「ウシャァァァ!!!」

 

ブンブンブゥン!!

 

バリケードは動物のような唸り声をあげながらブンブン武器を振り回す。

 

ドゴォォォォォン!!

 

「・・・ッ!!」

 

「他愛ないな!!オートボット!!」

 

ブゥン!!ブンブンブゥン!!

 

振り回した武器が変形したカマロに命中すると、彼はたまらず後ろへ倒れてしまう。それを好機と捉えたバリケードは追撃をしていく。

 

“頑張れ!!立つんだ!!”

 

自分のために戦ってくれている謎の変形ロボットに対し先生は応援の言葉をかける。彼が目の前のロボットにしてやれることはこれくらいしかなかった。

 

ガシャリ…

 

「・・・!!」

 

バキバキバキィ!!

 

応援の声に元気を貰ったのか彼はホイールを受け止め、もう片方の腕を掴む。

 

「ガアァァァアッ!!」

 

バリケードは掴まれた腕を振りほどこうと必死で抵抗している。だが掴んだ手の力が思いのほか強いらしく振りほどけない。

 

“よし、いいぞ!!” 「頑張って!!」

 

「・・・ッ!!」

 

2人の声援を力に換えて彼はバリケードを背負い投げした。

 

「ガァァァッ!!!」

 

ドカァァァァァァァァン!!

 

カマロに投げられたバリケードは、工事現場に置いてあった鉄骨に背中を打ち付けながら倒れる。鉄骨にぶつかったことによりバリケードからは激しい火花が散り、工事現場にけたたましい爆音が響いた。

 

「グッ…ガァ…」

 

バリケードはピクピクと身体を震わせ仰向けに倒れ込む。身体のあちこちから電気が漏れ出て火花を散らしていた。

 

“や、やったのか”

 

物陰に避難していた先生たちはバリケードが倒れ込んだのを確認すると、物陰から出て来る。そして問いかける。目の前の黄色いボロ車から変形して自分たちを守ってくれたロボットについて。

 

“君は一体何者なんだ”

 

彼は腕を腰に当て先生とユウカを見下ろしていた。

 

「『こちらクロノス放送局』『この放送はカイザーコーポレーションの』『トリニティ総合学園では』」

 

“ラジオを使って話すの?”

 

「『素晴らしい!』『いやーお見事です』」

 

彼は手を叩く。先生と意思疎通ができて嬉しいようだ。

 

「貴方はいったい何者なの?」

 

「『この宇宙では』『天の彼方より』『天からの訪問者!』」

 

「天からの訪問者?つまりエイリアンってこと?」

 

ユウカがそう問いかけると彼は指を差す。まるで“その通り”と言うように。

 

「『他に聞きたいことはあるか?』」

 

そして再び車に変形してドアを開け2人に乗るように促した。

 

「ど、どこに行くんでしょう?」

 

“わからない。けど、ユウカも彼のこと知りたいでしょ?”

 

「はい」

 

2人は車に乗り込み、彼の目指す場所へ共に向かうのであった。

 

 

 

 

 

一方その頃

 

ミレニアムサイエンススクールC&C事務所

 

「お…」

 

「ん?どうした?」

 

「我らがリーダーからお呼び出しだ」

 

事務所の駐車場で携帯ゲームをやっている小柄な少女と大型の黒い車が会話を交わしていた。小柄な少女はミレニアムの勝利の象徴として名高いコールサインダブルオー美甘ネルである。

 

「へぇ~ついにゲヘナ相手に喧嘩でも吹っ掛けるのかねぇ?アイアンハイド」

 

そして黒い大型車の名前はアイアンハイドと言った。

 

「いや、どうやらシャーレに大人というか“先生”が来たらしい」

 

「ほ~ん。じゃあ後でその“シャーレの先生”とやらがどんなヤツだったか聞かせてくれ」

 

「あぁ、そんじゃ行ってくるぜ」

 

「おう、いってら~」

 

軽口を叩き合いながらネルはアイアンハイドの背中を見送るのであった。

 

トリニティ総合学園救護騎士団

 

「遂に動き出すときが来たようだ」

 

「救護ですか!!」

 

「い、いや…我々オートボットも本格的に動き出すときが来たという話だ」

 

「ごめんなさいラチェット。私ったらとんだ早とちりを」

 

救護騎士団の保有している黄緑色の救急車はラチェットと言い、救護騎士団団長蒼森ミネと共に日々救護活動に勤しんでいた。

 

「君のその素早い判断は一刻も争う救護活動において重要な心掛けだ。謝る必要はない」

 

そう言ってラチェットは何処かへ向かうのであった。

 

そして連邦生徒会からは一台の乗用車が発進する。その様子を七神リンはその様子を窓から見ていたが特に気に留める様子はなく、再び仕事に戻った。

 

最後にキヴォトス郊外で停車中の赤いトレーラーがおもむろに動き出した。ただその姿を見たものは誰もいなかった。

 

 

 

 

 

先生とユウカを乗せたカマロは暗い夜道を走っていく。

 

「エ、エイリアンってことはこの車自体はキヴォトスのやつをスキャンしたってことですよね?」

 

“うん、そうなんじゃないかな”

 

正体を明かした彼に対しユウカは一つ疑問が浮かんだようだ。その疑問を今運んでくれている彼に問いかけた。

 

「何でわざわざこんなオンボロ車をスキャンしたの?もっといい感じの車が街にたくさん走っているでしょう?」

 

「・・・ッ!!」

 

「うわぁっ!!」

 

その言葉を聞いた瞬間彼は車のドアを開けシートを持ち上げてユウカを車外へ放り出す。どうやらご立腹のようだ。

 

“ダメだよユウカ、こう見えて結構繊細なんだから”

 

「す、すみません…」

 

怒ったカマロは2人を置いてどこかに行ってしまった。

 

“謝るから戻ってきて。ほら、ユウカ”

 

「オンボロ車って言ってごめんなさい。だから機嫌直して」

 

2人は道端で周りを見渡しながら声をあげ、どこかへ行ってしまった車を探す。2人ともここがどこかわかっていないので彼に戻ってきてもらわなくては困るのである。

 

2人が必死で声を上げていると、反対車線から見慣れない黄色い車がこちらにやってくる。その車は先生とユウカの前で方向転換すると、2人の目の前に止まりドアを開ける。

 

“・・・” 「・・・」

 

2人は互いに顔を見合わせ何も言わずに驚いていた。あのオンボロだったカマロが最新型のカマロに変身を遂げたのだ。そして2人は新しくスキャンした車に乗り込んでとある場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

先生とユウカを乗せたカマロはとある場所へたどり着く。そこはビルとビルの間にありながら戦車が行き来できるほどの道幅がある路地であった。そこでカマロは停車したため、2人は車を降り辺りを見渡した。

 

少しすると前方から赤いトレーラーがこちらに近づいてくるのが見える。

そしてトレーラーは2人の前に止まると…

 

ギゴガゴゴ!!

 

2人が乗ってきたカマロや襲ってきたバリケードのように変形し始める。

 

“わ、わぁ” 「す、すごい…」

 

赤いトレーラーが変形している間にも2人後ろからも3台の自動車たちがこちらに集まってきて人型に変形しだす。ビルの狭間に5体の金属生命体が姿を現したのである。

 

「連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの“先生”というのは君のことか?」

 

「先生のことを知っているの…?」

 

“はい…そうですが…”

 

赤いトレーラーは先生に顔を近づけてそう尋ねる。ユウカは初めて会ったはずの目の前のトレーラーが先生のことを知っていることに驚く。先生はその赤いトレーラーに聞かれたことに恐る恐る答えた。

 

「私はオプティマス・プライム。我々は惑星サイバトロンからやって来た金属生命体だ」

 

「オートロボット、オートボットと呼んでくれ」

 

「彼の名はラチェット軍医だ」

 

赤いトレーラーは自らをオプティマス・プライムと名乗る。それを捕捉するように黄緑色の救急車が言葉を発する。彼の名はラチェットと言い、オートボットで軍医をしているようだ。

それから、オプティマスは初めて会う2人のためにここに集まった金属生命体たちを紹介していく。

 

「よう、お兄ちゃん!」

 

グルン!!ガシャン!!

 

「我が軍の副官だ。名称はジャズ」

 

「ここけっこうイイ所じゃねぇか」

 

銀色の乗用車が空中で回転しながら車の上に座る。彼の名はジャズ。オートボットの副官である。金属生命体たちと会話していくうちに先生は思い出したかのようにオプティマスに問いかける。

 

“そういえば何で話せるの?”

 

「キヴォトスの言語をインターネットを通じて学んだのだ」

 

彼らは自分でも名乗ったように宇宙人である。彼らの星にはもちろん別の言語体系があるはずで、何故キヴォトスの言葉を話せるのか彼は疑問に思ったのだ。それに対しオプティマスはインターネットをハッキングして言語を学んだと答えた。

 

「武器のスペシャリスト、アイアンハイドだ」

 

キュルキュルキュル!!ガシャ!!

 

「今日はツイてるかい!あんちゃん!」

 

「よせアイアンハイド」

 

「冗談だよ。俺のキャノン砲を見せたくてな」

 

オプティマスに紹介された黒い大型車から変形したアイアンハイドは両腕のキャノン砲を先生たちに向ける。それをリーダーのオプティマスは制止した。どうやらアイアンハイドは自慢のキャノン砲を先生たちに見せびらかしたかったようである。

 

「そして君のガードマン、バンブルビー」

 

「『♪~~~~~』」

 

“君バンブルビーって言うの?”

 

(コクリ…)

 

オプティマスに紹介されるとビーはラジオから軽快な音楽を流しシャドーボクシングをし始めた。先生の問いかけに対しビーは軽く頷いた。

 

「彼は声を出す機能が損なわれてしまい、まだ修理できていないんだ」

 

(ブンブン…)

 

ここでラチェットがビーの喋れない理由を明かす。ラチェットはレーザーをビーの喉部分に当てるとビーは嫌がる素振りを見せた。

 

「何故キヴォトスへ来たんですか?」

 

「オールスパークを探しに来たのだ。メガトロンより先に見つけなければ」

 

“メガトロン?”

 

「我々の国はかつて強大な帝国で、平和を保っていた。だがディセプティコンのリーダーメガトロンが反乱を起こしたのだ。歯向かう者は全て破壊された」

 

ユウカの疑問に対しオプティマスは目から映像を出しながら、ここキヴォトスへ飛来してきた理由について語り始めた。オプティマスから流れて来る映像はサイバトロン星の繁栄していた映像から戦争で荒れ果てたものへと変化する。

 

「戦争で我が星は荒れ果て、オールスパークは宇宙へ消えた…」

 

「メガトロンはそれによってキヴォトスへ渡った。それを追って我々もキヴォトスへ降り立ったときに連邦生徒会長と出会ったのだ。そして彼女が失踪する前にキヴォトスの先生、つまり君の存在を伝えられたのだ」

 

“なるほど…”

 

オプティマスの説明によって先生は自分のことを知っていたことに納得した。彼はキヴォトスに来た時に連邦生徒会長からメッセージを受け取っていたからである。

 

「オールスパークがディセプティコンの手に渡ると、奴らはそれを使ってキヴォトス中のマシンをトランスフォームし新たな軍団を作るだろう」

 

ラチェットは先生にそう訴える。その表情は危機感に満ちている。

 

「キヴォトスの住人は奴らに抹殺されるだろう。キヴォトスの命運は“先生”、君に懸かっているのだ」

 

オプティマスがそう言うと、彼の仲間たちも先生を見つめる。彼らは先生の決断を期待しているようだ。

 

「どうするんですか?先生」

 

“決まっているよユウカ。私は『先生』だからね。生徒を守るためなら何だってするよ”

 

先生は決意の満ちた目でそう答えた。その決意に満ちた姿にオプティマスたちは好意的に受け止めたようだ。

 

「我々もディセプティコン打倒だけでなくキヴォトスの住人たちのために最大限協力する。これからよろしく頼む“先生”」

 

“こちらこそ生徒たちを助けてあげてね、オプティマスプライム”

 

こうしてシャーレの先生と宇宙から来た金属生命体との初会合は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

先生が宇宙から来た金属生命体たちと出会ってから数日。連邦生徒会はキヴォトス全土に対して声明を出した。

 

“ここ数週間活動を活発化させている金属生命体をキヴォトスでは『トランスフォーマー』と呼称し、今後彼らと共存を望む。トランスフォーマーも学園都市キヴォトスの発展のため住人たちと協力しキヴォトスの発展に寄与することを期待する”

 

これからキヴォトスで先生と生徒たちとトランスフォーマーたちの物語が始まる。




これから映画5本と対策委員会編のおさらいをするので次回は未定です。
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