TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
VS
対策委員会(シロコ、ノノミ、セリカ、アヤネ)with先生&オートボット(ミラージュ、バンブルビー)&便利屋68&??????
「総員突撃!!」
イオリの無線と共に、風紀委員がアビドスに向かって突撃してくる。それと同時にバリケードとボーンクラッシャーも一目散にミラージュとビーへ向かっていく。
「・・・。」
だが、その後方で控えているサウンドウェーブはその場を動いてはいなかった。スタースクリームも同様に手出しをする様子はなく、アビドス市街を旋回しながら様子を伺っていた。彼らは突撃していった2人とは違いディセプティコンの参謀である。兵卒2人との格の違いが見て取れた。
「来るわよ!!」
「ん、ホシノ先輩無しでもやれるってことを証明する」
「はい、アビドスは私たちのものです」
向かってくる風紀委員たちに対し、対策委員会のメンバーはカタカタヘルメット団の幾度となく行われる襲撃によって培った戦い方で対処していく。
「くっ!?」 「うわっ!?」 「ぎゃっ!?」
“セリカは右、シロコは左、ノノミは2人の間を抜けてきた敵に対処して!!”
先生も風紀委員会の強引な軍事行動に対処するべく、シロコたちの後方から指示を出す。その合間にアロナはまだ自分たちが目撃したことのないスタースクリームとサウンドウェーブについて解析する。
「後方のディセプティコンはスタースクリームとサウンドウェーブ!!ディセプティコン軍団の参謀です!!気をつけてください」
“そんな大物が何で…”
一方のオートボットとディセプティコンの戦闘はオートボット有利で進んでいる。
「そら、どうしたボンクラ野郎!!勢いがねえじゃねぇかよ!!」
「『無能警察!!』『税金泥棒!!』」
「くっ!!」 「チッ!!」
その理由としては、前回と違い今回は風紀委員の被害が出ないように気を付けて戦わなければならないからであった。彼らディセプティコンは粗暴な性格な者が多く、それ故ゲヘナの気風と噛みあう部分もあるのだが、今回のように双方協力して戦う状況を苦手としていた。
「クソッ!!思うように戦えん!!」
2人の苛立ちが募っていく。だというのに、後方の参謀2人は一向に戦闘に参加してこない。何ならカセットロンすらも待機状態である。
このようにアビドス優勢で戦闘を進めていると唐突に風紀委員会側の戦闘が止まる。
「な、何なの?いきなり…」
「いきなり戦闘が止まりましたね…」
いきなりの事態にノノミとセリカも困惑して攻撃の手を止める。その空気を読んでか、ディセプティコンの2人も戦闘を止め、後ろに下がった。
先ほどまでの銃撃の音が嘘のように止み、静寂に包まれる。
“アビドス対策委員会の奥空アヤネです。所属をお願いします”
アヤネはこの事態をチャンスと捉え、通信を展開して相手との交渉を試みる。
“それについては私から答えさせていただきます”
そうすると風紀委員会側も通信を展開し、アコの映像が出てきた。
“こんにちは、アビドスの皆様。私はゲヘナ学園所属の行政官、天雨アコと申します。今の状況について少し説明させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか?”
そう言ってアコはアビドスに対し、丁寧な態度でゲヘナ側の主張を語り始めるのであった。
“こちらがいきなり手荒な手段に出た事は謝罪します。ですので、犯罪者の逮捕に協力していただけませんか?”
アコは風紀委員に銃を降ろさせ、あくまで丁寧に彼女たちにお願いする。だが、それを聞いた彼女たちの疑惑と敵意の視線は解けることはなかった。
“前にも言ったように、これは明確な違反です。アビドスの自治権を犯す行為です”
アコのお願いに対し、アヤネは毅然とした態度で拒否する。他のメンバーもアヤネと同じ気持ちであった。
“ふぅ…これだけの兵力であっても怯まないなんて…。その理由はやはり、信頼できる大人がいるからでしょうか?ねぇ、先生?”
そう言ってアコは通信越しに先生を見やる。先生はそんなアコの言葉に対して自分の意見を述べる。
“便利屋たちの処遇は私たちで責任を持って決めるよ。それに、便利屋は困った子たちかもしれないけど、悪人じゃないから”
「いやいやいや!ラーメン屋を爆発させたんだから悪人に決まってるでしょ!?」
先生の言葉にセリカがツッコミを入れる。そして便利屋の行動を捕捉するようにシロコが入ってきた。
「多分彼女たちは間違って爆破しちゃったんだと思う。だって、私たちがいないところで爆破させる意味がないもん。多分恥ずかしすぎて言えないだけ」
「ど、どんだけ馬鹿なのよ…」
シロコのフォローにセリカは便利屋のことを残念な人の目で見ながらそう呟いた。
“というわけで、交渉は決裂です!!即刻退去をしていただきます”
再びアヤネは風紀委員会に対し、退去するように警告する。その姿はいつものアヤネとは思えない程強気であった。
“これは困りましたね…うーん、こうなったら仕方ありません。本当は穏便に済ませたかったのですが…”
アコはそう呟いた後、一息つくと笑顔を作り、
“ヤるしかないですね”
そう答えた。
「ラヴィッジ、レーザービーク出撃しろ」
「グルル…」 「ギャース」
アコのヤる宣言と共にサウンドウェーブはカセットロン2体に攻撃の命令を下す。その命令に2体は鳴き声で答えながら対策委員会に向けて出撃していく。
ズダダダダダダ!!ズダダダダダダ!!
「うわぁ!?」 「何だぁ!?」
その瞬間どこからともなく銃声が聞こえ、風紀委員の何人かがその銃撃によって倒れる。
「許さない、許さない、許さない、許さない、許さない、うわぁぁぁぁ!!!!」
銃を撃った者の正体はハルカである。彼女はうわ言のように「許さない」と、呟きながら、イオリの後ろから現れ銃を乱射しまくっていた。
“ギャース” “グギャー”
突然の攻撃に、ラヴィッジとレーザービークは怯んでしまう。イオリも流れ弾を喰らいかけたようで、冷や汗をかいている。
「くっ…なんてヤツだ!!どこからともなく現れるなんて…」
イオリは錯乱して銃を乱射しまくるハルカに恐怖を覚えつつも、彼女を無力化するために銃を構える。だが、
ドカーーーーーーン!!!!
「うっ!!」
バタン…
イオリは謎の爆発によって気を失い、地面に倒れ込んでしまう。
「ムツキさん…ありがとうございます…死にます!!」
「ハルカちゃん、死ななくていいよー」
どうやらイオリを倒した爆発を起こしたのはムツキだったようだ。便利屋も自分たちのことを守るために、風紀委員会との戦いに参加するのであった。
“あらら…”
風紀委員会の中でも屈指の実力を持つイオリが倒されたことに、アコは困惑する。そしてこのタイミングで便利屋のブレーン担当であるカヨコが動いた。
「嘘をつかないで、天雨アコ。偶然なんかじゃないでしょ、最初からあんたが狙ってたのはこの状況だった」
“カヨコさん…”
アコはカヨコに痛いところを指摘され、顔から余裕の表情が消えていた。
「あの子たちいつの間に…」
さっきまで砲撃でダウンしてた便利屋がもう戦っているのを見てノノミは、その逞しさに驚いていた。
“それよりも、面白い話をしますね、カヨコさん?”
アコは一度息を整えて再び笑顔を作りカヨコにそう問いかけた。
「最初はどうして風紀委員会がここに現れたのか、理解できなかった。風紀委員会が他の自治区まで私たちを追ってくる理由がわからなかった。こんなやり方、空崎ヒナだったら絶対にやらない。だからアコこれはアンタの独断に違いない」
カヨコは今までの風紀委員会の行動と、今置かれている状況を分析して、この騒動はアコの独断であることを言い当てる。アコは作り笑顔を崩さないものの、彼女の言葉に何も言い返さない。それに構わずカヨコは話を続ける。
「それに、私たちを相手にするには多すぎる兵力。アンタたちなら今私たちと一緒にダイナボットがいないことも知っているはず。ならアンタたちが戦闘を想定しているのは私たちじゃない。その相手がアビドスだったとしても参謀を2人も動員する必要はない」
「・・・」
(聡い奴だな…)
アコとカヨコが話しているのを横で聞いていたサウンドウェーブはカヨコのことをそう評価した。そしてカヨコはアコの真の目的を言い当てる。
「アコ、アンタの目的はシャーレ。最初から、先生を狙ってここまで来たんだ。そして、同じくディセプティコンで勝手に軍団を率いる能力があるのはNo,2のスタースクリームしかいない。アコ、アンタは先生をディセプティコンとゲヘナで軟禁でもしてその力を利用しようとしてるんだ」
「え?」 「はぁ?」 「せ、先生を?」
“わ、私!?”
アコの真の目的を聞いた対策委員会は先生の方を見ながら驚きの表情を浮かべる。そしてその目的の先生も戸惑っていた。そして、真の目的を言い当てられたアコは自らその理由を暴露する。
“フフフ…便利屋にカヨコさんがいるのを忘れていました。ですが、まぁいいでしょう。きっかけはトリニティ総合学園の生徒会ティーパーティーがシャーレに関する報告書を手にしたという情報がうちの諜報部員から上がってきましてね。平たく言うと先生をトリニティに引き入れられて今後の勢力闘争が不利になると困るので、こちらで迎え入れようと思いまして♪”
「それで、私たちがはいそうですかって言って先生を渡すと思う?」
「ん、先生は渡さない」
アコの言葉にシロコとセリカは食ってかかる。画面越しと言えど今にも発砲しそうな勢いである。
“ふぅ…では仕方ないですね。では、総員包囲開始”
アコの命令と共に今まで待機していた風紀委員の別の部隊たちが四方八方から押し寄せてくる。アコはシャーレとの衝突も視野に入れて大兵力をアビドスに投入していたのである。
ヒューーーーーン
ギゴガゴゴ!!
そして、アコの命令と同時に今まで上空で様子を伺っていたスタースクリームが変形し降りてきた。
「バレちまったんならしょうがねぇ、元々その予定だったんでな。大人しく俺たちに捕まってもらうぜ。なぁ、先生?」
“あら、スタースクリームさん。別にわざわざ戦闘に参加していただかなくてもよろしいんですよ?“
「はっ、俺は心配性でね。フヌケのこいつらがちゃんと任務を実行できるか心配なのさ」
スタースクリームは傲慢な物言いで、周囲の風紀委員とバリケードとボーンクラッシャーをイラつかせる。
「スタースクリーム…それにサウンドウェーブまでいるなんて…」
「『大ピンチ』『絶体絶命』」
そしてそれに対峙するオートボットの2人は警戒を最大にしてそれぞれ銃をディセプティコンに構えている。彼らは元はサイバトロン星の一般人とはいえ、今はオートボットという軍団の兵士である。この状況で勝ち目がないことをよく理解していた。
「なぁ、ビー?大人しく投降でもするか?」
バコンッ!!
ミラージュの言葉にビーは思いっきりブン殴る。
「痛っ!?冗談だよ冗談!!みんなが頑張って戦ってるってのに、ここで投降して命乞いなんてカッコ悪いったらありゃしねぇよ」
「『fight!!』」
そう言って2人はディセプティコンの方へ向き直る。2人とも彼女たちや先生を守って死ぬ覚悟を決めたようだ。
「かかって来いよ!!ディセプティコンのガラクタ共!!お前らが何体来たところでお前らの敵じゃねぇんだよ!!」
「『細切れ』『バラバラ』『ひき肉です』」
「ふんっ!!細切れになるのは貴様らだ!!」 「覚悟しろオートボット!!」
2人はそうディセプティコン相手に挑発し、注意を先生や生徒たちに向かないよう引きつける。その挑発にボーンクラッシャーとバリケードが乗り、2人に勢いよく向かってきた。
「あのオートボット共はアイツらに任せるとして、俺は降りてきて何だがここでお前らの戦闘を見ておくぜ。俺が戦うと先生ごと殺しかねないんでなぁ」
(嘘こけ)
スタースクリームはそう言って瓦礫に寄りかかりながら座った。彼のその行動に内心イラっとしたサウンドウェーブだが、気を取り直しラヴィッジとレーザービークに命令する。
「ラヴィッジ、レーザービーク『シャーレの先生』を捕獲しろ。必ず生かしてこちらに持ってこい」
「ガウッ」 「ギャー」
サウンドウェーブの命令と共にラヴィッジとレーザービークは先生の元へ迫ってくる。
「くっ、風紀委員の相手もしなきゃいけないのに」
「アレに対応できないっ」
「これじゃあ先生が」
ラヴィッジとレーザービークの出撃に対策委員会側に焦りが生じる。ちょこまかと素早く動き、こちらの銃弾もある程度耐えられるカセットロンを相手にするには、圧倒的に人手が足りず。彼女たちが風紀委員を対処している間に軽々とカセットロンに抜かれてしまう。
「クソッ!逃げろ先生」
「よそ見してる暇があるのかぁ!」
ガシャン!
「うおっ!?」
ミラージュは先生を心配してカセットロンを撃ち抜こうとするも、ボーンクラッシャーに阻止され倒れ込んでしまった。同じくバンブルビーも武器を振り回しているバリケードにかかりきりで先生を助けられずにいる。
パンッ!!パンッ!!
「ギャウ!!ヴルルルル…」 「ギャーッ!!」
先生に今にも襲い掛からんとするカセットロンを2つの銃弾が撃ち抜いた。カセットロンは動きを止め、自分たちに当たった弾が飛んできた方向を睨んだ。
「気に食わないわ…」
カセットロンの視線の先には便利屋68のリーダー陸八魔アルが銃を向けていた。どうやら風紀委員会のその舐めた態度に怒り心頭のようだ。
「はぁ…注意がアビドスと先生に向いているうちにトンズラすれば逃げられたと思うけど?」
「カヨコ、私がどんな性格かなんて知ってるでしょ?舐められたまま、尻尾を巻いて逃げるだなんてアウトローじゃないわ!!」
「アハッ!!」 「アル様…」
アルの神経を逆なでする数々の行為とその態度によって便利屋68の4人がアビドスの戦力へと加わった。
「はぁ、でも私たちが加勢したところでこの戦力差は覆せないよ。何か考えでもあるの?」
「無いわ!!」
アルはカヨコの心配に対し自身満々にそう答えた。
「じゃ、じゃあ何で…」
「信じて待つわ」
「・・・!!」
今度はカヨコにそう聞かれあっさりとそう答える。そこにはいつものアワアワと慌て怯えたり見栄を張っている陸八魔アルではなく、便利屋68としての陸八魔アルがいた。
「ハルカのやった大爆発を見ればきっと寄ってくるわ。それまで時間を稼ぐわよ!」
「「「おー!!」」」
そして便利屋の参戦に対しアコは予想外だという表情を見せる。
“便利屋の参戦は予想してましたが、まさかここまで早いとは予想外でした”
だが、アコは気を取り直して風紀委員に命令を下す。
“ですが問題ありません。このために用意した2個中隊で確実に先生を捕獲させていただきます。総員攻撃開始!”
「よくもショットガンの乱射なんかしてくれたな!!覚悟しろ!!」
アコの命令によって再び風紀委員会が動き出した。
(ズシン…ズシン…)
「おいおい、全然ダメじゃねぇかよアイツら。しょうがねぇ、いっちょ加勢してやるか。オイ、サウンドウェーブ俺たちも行くぞ!」
「俺に命令するな、スタースクリーム」
対策委員会側の加勢をきっかけに遂にディセプティコンの参謀2人が先生確保に向けて動き出す。
(ズシン…ズシン…)
「マズイ!!サウンドウェーブとスタースクリームが来る!!」
「ふん、お前は俺の相手をしながらここで指を咥えて見てろ」
「クソッ!このボンクラ野郎ぉ!!」
ボーンクラッシャーの相手をしているミラージュはサウンドウェーブとスタースクリームがこちらに向かってくるのに気づく。だが相手のボーンクラッシャーに手こずり、先生の元に行けずにいる。
「『先生』『私に構わず先に行け』」
「ふっ、これでようやくあの時の借りが返せるというものだ」
「『消えろ』『クソッたれ!!』」
「人間ばかりに気を取られていると、足元救われるぞ」
ビーのほうもバリケードが振り回す武器から味方の生徒を守りながら戦っているため、先生を助けられない。なので、ビーは先生にここから逃げるよう促した。
“私はどこにも逃げないよ。みんなが戦っているのに自分1人だけ逃げるなんてそんなことできない”
だが、先生はその場にとどまることを選んだ。大人として1人だけ逃げおおせるなんてことは『先生』として許せないようだ。
(ズシン…ズシン…)
「そいつはご立派だな『先生』。だが、アンタの負けだぜ」
スタースクリームはジャンプで戦っている対策委員会と便利屋を飛び越え先生の目の前へ現れる。その顔にはすでに勝者の余裕が現れていた。
「フッフッフッ、お前の持っている超法規的な権限を使ってキヴォトスを支配し、ディセプティコンのニューリーダーになるのはこの俺だ!!」
スタースクリームが先生を手で掴もうとしたその時、突如アコに通信が入る。
“うわぁぁぁぁ!!” ”退却しろーーー!!“ ”何でアイツらがこんなところにいるんだよぉぉ!!“
「包囲が解けている…何で!?」
通信で聞こえる音声は悲鳴ばかりである。さらには一部分の包囲が解けているのをアコはモニターで確認し驚愕していた。
「オイ、どうした?」
“スタースクリーム、新たな敵襲の可能性があります。前方に注意してください”
予想外の出来事が起きたことにより先生はギリギリでスタースクリームの手を逃れる。スタースクリームはアコに言われて前方に視線を向けた。
「き、きたぁぁぁぁ!!」 「無理無理無理!!」 「こんなのどうしようもないよぉ」
「どうなってやがる…」
スタースクリームが見た光景は曲がりなりにも軍事的な訓練を受けている風紀委員会が武器を捨てて泣きながら逃げおおせている姿であった。さすがの光景にスタースクリームも困惑してしまう。
「ギャアアアアアアアアアオ!!!!!!!」
「来たわね、あの子たち!!」
その野生の咆哮を聞きアルはその声が聞こえてきた方へ振り返る。
「俺グリムロック、お前らジャマだ」
「俺スラッグ、あれアルちゃんじゃないか?」
「俺スラージ、あぁーほんとだぁ。見つけたぁ」
「俺スワープ、おーい!」
突如としてダイナボットがこの戦場に参戦してきた。
数十分前
ドカーーーーーーン!!!
「おぉーすごい音だぁー」
ハルカがラーメン屋爆発させた丁度その時、ダイナボットたちもアビドス市街の近くの砂漠まで来ていたのである。
「俺スラッグ、喧嘩ができそうだ。行ってみよう」
「俺スワープ、いつも喧嘩しに行くの良くないと思う」
「俺スラージ、アルちゃんに怒られるぞぉ」
ダイナボットたちは当初の目的であるエネルゴン探索などとうに忘れて、アビドス砂漠に放置してある金属の残骸などを食べながら彷徨っていた。
「俺グリムロック、迷子になってるアルちゃん探す。あそこにいるかも」
しかもこともあろうに自分たちから行方不明になったにも関わらず、アルが迷子になっていると思っている始末である。
「俺スラッグ、行こう行こう」
「俺スラージ、リーダーについていく」
「俺スワープ、そろそろムツキに撫でてもらいたい」
野生の勘なのか偶然なのか、ハルカの起こした爆発によってダイナボットたちは市街地のほうに興味を惹かれてやってくると、対策委員会と風紀委員会が衝突していたのである。
「ダイナボット…」
ダイナボットのいきなりの参戦にアコは苦虫を嚙み潰した表情になる。彼らが来た以上もう風紀委員会はイオリとチナツ以外は使い物にならないだろう。
なぜならば、陸八魔アルを含む便利屋一行がゲヘナから指名手配をされたり口座を凍結されたりする理由の大半がダイナボットにあるからである。彼らは便利屋が飼い始めた後、風紀委員会との衝突の際に大暴れし、風紀委員会にトラウマを与えた野性の暴君である。
“み、味方でいいんだよね?”
窮地を結果的に救ってもらったとはいえ、いきなり登場したダイナボットに困惑している先生はアルにそう尋ねる。
「えぇ、彼らはダイナボット。うちのメンバーよ。機械の恐竜を仲間にしてるなんてアウトローでしょ!!」
アルはダイナボットの登場で元気を取り戻し、自慢げに先生にダイナボットを紹介する。
「あっちのティラノサウルスがグリムロック、ダイナボットのリーダーよ。そしてこっちのトリケラトプスがスラッグ。で、あっちのブロントサウルスがスラージ。最後に、飛んでいるのがプテラノドンのスワープよ。カッコいいでしょ!!」
“うん!!スゴイよ!!”
先生は子供の心を持つ大人である。機械恐竜に目を輝かせていた。
「うわぁぁぁ!!」 「あんなの勝てっこないよぉ」 「もう駄目だ、おしまいだぁ…」
「に、逃げるなお前たち!!」
敵に背を向け一目散に逃げていく風紀委員をイオリは制止するも、彼女たちはイオリの命令を無視して逃げていく。
だがそうなるのも無理はない。ダイナボットは風紀委員長にして委員会の戦力の半分を担っていると言われる空崎ヒナが本気で戦って1体抑えるのがやっとのバケモノである。ゲヘナで大暴れしたときはメガトロンとディセプティコンが出張ってようやく抑えられたような存在だ。
今ヒナ委員長はいない。ディセプティコンの数もあの時より全然足りない。便利屋4人を捕らえるために軽い気持ちでアビドスまできた風紀委員会はダイナボットの乱入によって総崩れとなっていた。
「クソッ、こうなったら私だけでも…」
「やめなさい、イオリ」
「チナツ…」
ダイナボット相手に飛び出そうとしたイオリをチナツは掴んで止めた。
「我々の負けです、イオリ。ダイナボットの参戦は想定外でした。便利屋を口実に強硬手段をとったバチが当たったのかもしれませんね…」
「クソッ、ヒナ委員長さえいれば…」
風紀委員会はイオリとチナツを含め、完全に戦闘を停止した。
「ギャーーース!!」 「ガルルルルゥ!!!」
風紀委員会が散り散りに逃げたあと、カセットロンはダイナボット相手に果敢に向かっていく。
「ギャァァァ!!」
上空で自分に向かってきたレーザービークに対しスナールはビームで応戦する。そしてレーザービークのほうも小型ゆえの機動力を活かしてビームを避ける。
「俺グリムロック、アイツ倒す」
グリムロックは足を前に出し、ラヴィッジに蹴りを入れた。
ヒューーーーン
「キャイィィィィィィン」
ラヴィッジはグリムロックの超パワーで蹴り上げられ吹っ飛ばされて、ビルに突っ込んでしまった。
「カセットロンでは埒が明かないな。俺がやるしかないか」
(軽い気持ちで来たのにとんだ貧乏くじだ)
ラヴィッジがやられてしまったのでサウンドウェーブ自身が参戦する。とても不本意そうだが、仕方のない事である。
「ふんっ、恐竜風情にこのスタースクリーム様がやられるかよぉ!!」
スタースクリームはダイナボットとの戦闘に参加していなかったため彼らの実力を理解しておらず、一目散にスラッグに向かって突っ込んでいく。戦闘機に変形するだけあってそのスピードはディセプティコンの中でもトップクラスである。
「俺スラッグ、喧嘩大好き。アイツ偉そうでムカつくから俺倒す」
「そぉら、その襟巻を引っぺがして首に巻いてやらぁぁぁ!!」
ガッシャァァァァン!!
スタースクリームがスラッグの角を掴んで持ち上げようとするが、スラッグの重量では1mmも浮かせることができず、逆にスラッグが首を持ち上げてスタースクリームを吹っ飛ばす。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
スタースクリームもラヴィッジと同じく、廃ビルにめり込んでしまった。
ダイナボット&オートボットとディセプティコンが戦っている合間を縫いながら、対策委員会と便利屋は先生を護衛しながら物陰へ隠れ、戦いの趨勢を見守っていた。
「何なのよ、あの恐竜滅茶苦茶強いじゃない!」
「へっへーん、そうでしょー」
ダイナボット無双の状況にセリカは驚き、ムツキは仲間を褒められご満悦である。
「ん、一匹見つけてうちでも飼う。何食べるの」
「いいですね~☆」
「主に廃棄金属とかを食べさせてるけど…」
シロコはダイナボットに憧れてペットにする気満々である。カヨコは一応質問には答えてあげたが、内心おすすめはしていない様子であった。
「俺スラージ、地割れ起こす」
スラージは宣言通り、地面を踏みしめそのパワーで地割れを発生させる。
「うぉ、あっぶね!?」
「ぐわぁぁぁ!!」
スラージの攻撃によりボーンクラッシャーの片足が割れた地面に取られてしまう。しかし、ミラージュも巻き込まれそうになったあたり、かなり大雑把に攻撃しているようだ。
「おぉー、当たったぁ」
「助けてくれんのはありがたいけど、もうちょい正確に狙ってくんねぇかなぁ!」
ミラージュの訴えにスラージはぼけーっとしながらとりあえず頷いていた。多分何もわかっていない。
一方ビーとバリケードの勝負にも決着がつく。スワープが偶然放ったビームが、バリケードの振るっている武器をすり抜け、彼自身に直撃したのだ。
「くそぉ…」
「・・・・・」
とは言うものの、ビーにも流れ弾が結構当たっており、所々ボディに焦げ跡が付いている。彼はスワープを不満げに見つめた。
「ギャーース!!」
「俺スワープ、エサゲット」
そんなことはお構いなしに、スワープは足でレーザービークを押さえつけながら、地上に降りてきて満足した様子であった。
「クソッ、前の時もそうだったが頭は弱いくせに、敵に回すと厄介だな」
サウンドウェーブは1人残り、グリムロック相手に戦っている。一撃喰らえば即ダウンの中、彼は器用に攻撃を避けながら戦っている。
「ガゥゥ…俺グリムロック、ちょこまか動いてお前ウザイ」
「当たるわけにはいかないんだよ」
サウンドウェーブはタイミングを見計らって、攻撃を避けながらビームを当てていく。だが、ダイナボットの強みはその圧倒的パワーだけではない。その分厚い装甲も脅威である。
「まるで効いていないな…こんなことになるんだったらスタースクリームのくだらん妄言に付き合わなければ良かったよ」
バシィィン!!
「俺グリムロック、やっと当たった!!」
グリムロックは珍しく頭を使って尻尾で不意打ちをかまし、サウンドウェーブを吹っ飛ばす。
「はぁ…」
サウンドウェーブは当たり所を調整してダメージを少なくして地面に打ち付けられた。正直まだ戦えるのだが、この状況で戦うのもバカバカしいので彼はそのまま倒れていることにした。
「クッ…こんな、こんなことが…!!」
アコは目の前で起こっている現状に理解が追い付かない様子でいた。もはや、風紀委員会の兵力は役に立たず、ディセプティコンもやられてしまった。だがこの後も彼女に悲劇は続く。
“アコ、アビドスくんだりまで恐竜退治なんて精が出るわね”
「えぇ、ヒナ委員長。少々手こずっていますが、必z…ってヒナ委員長!!!」
会議でゲヘナにいるはずだった、風紀委員長空崎ヒナがエイリアンタンクの上に乗りながらやって来たのである。
サプライズダイナボット理論
ごめんスナール便利屋は4人なんだ...
あと言っとくと基本的にこの物語の登場人物にはG1バリアが張られているので死にません。
※例外はいる