TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
この後室内戦なんで出せるような出番無いし。
まぁこの調子なら4月には最終編入れるかな。
子ウサギ公園
「私にいい考えがある!!」
「モエ、何か良い方法でもあるのですか?」
「で、でも今の私達には、お金も口座も…」
「…っていうか一番最初に、派手に弾薬消費したのはお前だけどな」
「いやいやいや、だからあれはあれで必要なタイミングだったんだって!」
前日の大雨によって武器が使い物にならず途方に暮れていた一同を前にして、モエは私にいい考えがあるといって彼女たちの前に出る。一方サキは自信満々に出てきたモエに対し、最初に弾薬を消費したのは彼女だと指摘するが、本人は必要だったと主張していた。
「とにかく、別にお金が無いからって補充ができないわけじゃない」
“まさか銀行を…”
「何を言っているんだ、先生。正義の味方が銀行を襲うなんてことするわけないだろう。なぁ、バンブルビー」
「その通りジャン。いくら追い詰められたからって銀行強盗なんてするわけないジャン!!なぁ、先生?」
「『と、当然だぜ』」 “も、もちろんさ…”
モエはお金が無くても武器を補充する方法があると述べ、先生はそれを聞いて某砂漠にある学校の白い生徒を思い出す。そして銀行という言葉を聞いたコンボイとチータスは正義の味方がそんなことするわけがないと言って、先生とビーをドキドキさせるのであった。
「私が言いたいのは…ズバリ、物々交換!」
「ぶつぶつこぉかぁ~ん?」
「ま、ある意味原点というか、古典的な取引方法だけど。私たちが持っている貴重な物を渡して、その対価として武器やら弾薬やらを貰うってわけ」
「“私たちが持っている貴重な物”といえば…」
「…焼肉弁当?賞味期限、切れてるけど…」
「そんなの誰も買わないでしょ。強いていえばあの“所確幸”くらいで」
気を取り直してモエは自分たちの持っている物で物々交換をしようと提案する。だが他の者たちは彼女のアイデアに懐疑的である。その理由は、自分たちが持っているもので、誰かにあげられるものなど無いと思っているからである。
「そうじゃなくて、あの大量のミサイルやら爆弾だよ」
「でも水に浸かってダメになっちゃってるんダナ」
「水に浸かってダメになったとはいえ、それだけで価値がゼロになったわけじゃない。断腸の思いではあるけど、もっと良い持ち主のところに行った方が良いだろうし」
“なるほど…?”
どうやらモエは、あのダメになったミサイルや爆弾を物々交換しようとしているようである。だがそのミサイルや爆弾は先日の大雨でダメになってしまったとライノックスが指摘するが、モエは問題無さそうな雰囲気であった。
「ですが、買い取ってくれるのでしょうか?元々は高価なものとはいえ、ほとんど故障状態か、さびてしまった状態で…」
「ま、その辺については任せてよ。伝手があるからさ」
「へぇ~結構友達多いんだ」
「まぁね~」
ミヤコは元々は高価な物とはいえ故障しているミサイルなどを買い取ってくれるか心配する。しかしモエには伝手があるようで、彼女に任せて欲しいと述べた。
「ブラックマーケットで武器を扱う“カイザーインダストリー”。あそこには傭兵たちからの、中古の武器に関する需要が絶えない。あそこならこういう錆びたミサイルでも、何かしらの使い道を見出してくれる人がいるでしょ。その分の代わりとして、カイザーグループのそこそこ良い品質の武器を貰えば良いってわけ!」
「へえ、モエにしてはまともな発想じゃん」
「体調は大丈夫ジャン?」
「昨日のナポリタン弁当があたったんじゃないのぉ~?」
「うるさいなぁ!?」
モエの言う“アテ”というのはカイザーインダストリーというカイザーグループの会社のようである。そこに使えないミサイルを売る代わりに、そこそこの武器をカイザーインダストリーから分けてもらおうという算段である。それを聞いた一同は、モエが普段はしないような発想だったことに驚いていた。
「まあとにかく、営業所に電話してみよう」
ポチッ!!プルルルル…プルルルル…
“はい、こちら最高品質の武器をご提供する「カイザーインダストリー」でございます。どういったご用件でしょうか?”
「やあやあ、久しぶり!!私だよ、私。前にも色々買わせてもらった、SRT特殊学園の補給担当」
“あ、あの時のVVIPの…!?ご無沙汰しております!”
「どうやら、カイザーインダストリーに伝手があるというのは本当のようだな」
気を取り直してモエはカイザーインダストリーに電話すると、カイザーの営業マンが電話に出る。どうやら彼とは以前にも武器の取引をしていたようで、彼はモエのことをVVIPと認識しているようである。
“今回も新しいミサイルが御入用でしょうか?それとも以前購入されたクラスター爆弾にも、何か問題でも…?”
「…モエ、いつそんな買い物をしたのですか?」
「や、その、別に学園のお金じゃないし?それにディセプティコンの悪党相手にはこれくらいの火器じゃないとさ…。あくまで私用の爆弾!自費だから問題無し!」
“「私用の爆弾」って何…?”
「考えたら負けジャン、先生。ここはそういう世界ジャン」
どうやらモエはカイザーインダストリーからミサイルやクラスター爆弾を買っていたようで、ミヤコに学校のお金を自分の趣味のために使ったのかと睨まれる。ミヤコの視線に、モエは自分のお金で買ったので問題無いと主張するが、先生は“私用の爆弾”という言葉に戸惑っていた。
「と、とにかく…今日は買う方じゃなくて、売る方で連絡したの」
“売る方…ですか?当店では基本、買い取りの方が…”
「なんだよ、伝手があるんじゃなかったのかよぉ?」
“とはいえ、何も聞かずに断るわけにもいきませんね。まずはお話をお伺いしてもよろしいでしょうか?”
「ラットル君残念でしたぁ~」
モエはカイザーの営業マンに武器を売りたいと告げると、彼は自分たちの店では買い取りは行っていないと告げる。ラットルはそれに期待外れだという反応を見せるが、営業マンはモエとの関係もあるので話を聞いてみることにしたようである。
「それがねー、実はコンビニでは手に入らないような高級装備が色々手元にあってさ。誘導式対空ミサイルに、威力が調節可能なクラスターグレネードに、遠隔操作が可能なタイプの対戦車ロケット…」
“な、何と…それらを売ってくださるのですか?”
「うん、まあ若干錆びてたりするんだけど…多分大丈夫でしょ」
“…若干?”
(先生、シャラップ…!!)
モエはカイザーの営業マンに自分たちが持っている武器の種類を告げると、彼は普段手に入らない装備の数々に驚く。モエは営業マンに装備が使えないことを知られたくないようで、若干錆びているという表現を使うので先生は首を捻っていた。
“そういった特殊なものでしたら、需要はいくらでもあると思いますし…。はい、喜んでお受けいたしましょう”
「やったね!!」
“ちなみに代金については、以前と同じ口座振り込みでよろしいでしょうか?”
「あー、実はちょっとその口座使えなくなってて…代金の代わりに、現物でっていうのはどう?」
カイザーの営業マンはモエの話を聞いて、彼女の話を喜んで引き受ける。そして彼は金額の振り込みの話をするが、現在RABBIT小隊のみんなは口座を凍結されているため、モエは現物での交換を提案する。
“現物…と言いますと?”
「ちょっと安めのやつで良いからさ、威力の高い武器が欲しいんだよね。気化爆弾とか、白リン弾とか…はあ、はあ…!」
“じ、実は大変申し訳ないのですが…只今、武器の在庫が切れておりまして…”
「…え、いつもあんだけあるのに?全部?」
“はい…実は先日、匿名のお客様が全てお買い上げされまして”
モエはカイザーの営業マンに値段が安めで威力の高い武器を交換して欲しいと告げる。だが、カイザーインダストリーには現在武器の在庫が無く、匿名の顧客がその在庫の全てを購入したというのである。
「なっ…キヴォトスで戦争でもするつもり?誰がそんな大量に…」
“それは、流石にお答えできないのですが…。すみません、これは顧客の方々の秘密事項となりますので…”
「ま、まあそれはそうか…」
“それでは残念ですが、今回のお取引は無かったことに…。また何かありましたら、いつでもご連絡ください!”
「な、何だその意味分からない状況…っていうか、あてが外れた…」
モエはカイザーの営業マンに誰が武器を買ったのかと問うが、当然企業の顧客情報を教えられるはずもないので、結局正体は分からずじまいに終わる。こうしてモエとカイザーインダストリーとの取引は無しになってしまった。
「ところでモエ、お前いつの間にカイザーインダストリーのVVIPになったんだ」
「そういえば色々と細かい計算が合わないことがありましたが、まさか…」
「モエちゃん…横領罪で逮捕…?」
「犯罪はよくないぞ、犯罪は…」
「そ、それは今話すことじゃなくない!?」
RABBIT小隊のメンバーは先ほどのカイザーインダストリーとの交渉の様子を見て、モエが予算をちょろまかして武器を買っていたことを疑う。それに対しモエは慌てて、話題を逸らそうとしていた。
「とりあえず今は補給の方が大事で…!」
「必死ジャン…」
「ま、まあ“カイザーインダストリー”だけが伝手じゃないから!中古オークションとかだって、幾らでも買い手いるはず!」
「こういうのをわざわざオークションで買う奴なんかいるのか?」
「舐めるな!最近のオークションでは武器や弾薬はもちろん、ハッキング機器からちょっとした野菜まで何だって手に入る場所なんだぞ!」
モエはカイザーインダストリーの当てが外れたので、オークションに武器を出品しようと提案する。サキはオークションの有用性を疑うが、モエはオークションは色んな物が出品されていると主張するのであった。
「きっと今すぐにでも、爆弾を買わせてくださいってメッセージが…」
ピロンッ!!
「「「「「!?」」」」」
「…うわ、ほんとに来た」
その後
「「「「・・・」」」」
「まさか、あの錆びたミサイルを欲しがる方がいるとは…意外です」
「そ、それに全部現金で…」
「札束いっぱいジャン」
「こんな金額見たこと無いんダナ」
モエがオークションに出品したミサイルなどを買い取るために落札者がすぐにやって来て、現金をポンと渡して武器を持って行ってしまう。彼女たちはその様子を呆然と見つめながら、高額の現金を手に入れていた。
「…あいつ、なんか怪しいな。器用に顔隠してるし、武器の状態確認とかもしなかったし…この額で値引き交渉も無しとか」
「そのお金、本当に本物か確認したほうがいいかもね」
「まあまあ、お金の出所なんてどうでも良いじゃん。新しい兵器が買えるなら何の問題も無いし」
「やれやれ…気を付けるんだぞ」
しかしサキは先ほどの落札者を見て、挙動が変だったため怪しいと感じる。しかしモエはそんなことはどうでもいいと述べ、コンボイたちに呆れられていた。
「…ていうかサキ、何で最初に注文するのが固体燃料とガソリンなわけ?こんなにお金があるんだから、プラスチック爆弾でも買えばいいのに」
「お前は爆弾でご飯を炊く気か?それにそもそも、ヘリを動かすのに必要だろうが」
「火力バカはこれだから…」
「何言ってんの、戦場で一番大事なのは火力でしょ!」
モエは手に入れたお金で燃料を買おうとするサキを見て、何故武器を買わないのかと問いかける。サキは料理に使ったり、ヘリを動かすのに必要だと呆れながら答える。だがモエは火力が一番大事だと信じて疑わないようであった。
「とにかく、良かったです。これで戦力も、多少なりとも回復することができました。しばらくは、誰かが来ても撃退できそう…」
「た、助けてください…」
「ビー、先生を攫ったのはコイツだよ」
ギゴガゴゴ!!ガチャ!!
「『ぶっ殺してやる!!』」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
ミヤコたちが新しい武器を手に入れて一安心していると、子ウサギ公園に助けを求めに来た人物が現れる。彼の名はデカルト、所確幸のリーダーであり先生をアジトへ攫った張本人である。彼がそのデカルトだと知ると、ビーは変形し右腕のキャノンを彼に突き付けた。
「で?テメェ一体何しに来たんジャン?」
「コンボイの優しさに付け入ろうったってそうはいかないぞ!!」
「返答次第では僕たちでも許さないんダナ」
「こ、殺されるぅぅぅぅぅ!!!」
“みんな一回落ち着いて…話を聞いてみようよ”
さらにはサイバトロンたちもビーの元へ加わり、各々武器をデカルトに掲げて彼を睨みつける。だが先生が割って入ることによって、デカルトは一命を取り留めた。
「…それで、今回はどうしたのですか?私たちは原則的に、市民間の私的な紛争には介入しないのですが」
「そうそう、問題が起きたならあの“背格好”とかいう仲間にでも助けてもらえば良いじゃん?」
「“所確幸”だ!“所有せずとも確かな幸せを探す集い”、略して“所確幸”!」
「あぁ~確かそんな名前だったね」
先生に言われてミヤコは仕方なくデカルトの話を聞くことにするが、彼女はやや呆れた感じである。モエも困っているなら仲間に助けを求めろと言わんばかりであった。
「悲しいことに、“所確幸”の仲間たちはみんなバラバラになってしまったのです…。ただでさえ数が少なくなっていたところを、ヴァルキューレの公安局たちが押し入ってきて…!」
「…公安局?」
「公安局がお前らみたいな浮浪者イジメて何の得になるってんだよ?」
「け、警備局の間違いでは…?」
「確かに変な話だな」
デカルトは所確幸のメンバーはバラバラになってしまったところで、ヴァルキューレの公安局に襲われたと訴える。しかし公安局が浮浪者たちを掃討する理由が思い浮かばないため、デカルトの言葉を信じるものは誰もいなかった。
「いえ、確かなのです!私はこの目ではっきりと見ました!見慣れない武器を持ち、私たちの聖所で暴れるあの“狂犬”の姿を!」
“それって、カンナ…?”
「…おい、その弾痕を見せろ」
バサッ!!
「この発火の具合、角度からして硬度も高いし…。これHEIAP弾(徹甲炸裂焼夷弾)だな」
“撃たれた跡だけで分かるの?”
「完全にではないけれど、教範にも載ってることだ」
それでもデカルトは彼女たちを信じさせるために、カンナの二つ名である“狂犬”の名を出す。それを聞いた一同はデカルトの言葉を信じ始めたようで、サキは彼の身体の傷を見るとそれがHEIAP弾に撃たれたものだと理解した。
「…この口径のHEIAP弾、初めて見ました」
「そもそも、あんまり生産されてるものじゃない。個人の火器にしては高すぎるし、実用性も低い。強いて有り得るとすれば…“カイザーインダストリー”くらいか?」
「「!?」」
「となると“カイザーインダストリー”で大量に武器を買い占めたのは、ヴァルキューレってこと?」
「で、でもヴァルキューレ警察学校に、そんな資金的な余裕あるかな…?」
そしてミヤコとサキの2人はデカルトの弾痕を見て、ヴァルキューレが使用している武器の出所がカイザーインダストリーであると導き出す。だがヴァルキューレ警察学校にそれだけの資金的余裕があるのかと、ミユは疑問に思っていた。
“・・・”
(「そもそもどうやらヴァルキューレ全体として、財政状況が良くないそうで…弾丸の補充にも一苦労です。何だかこのままでは、ヴァルキューレ警察学校の武装がまるで貧弱みたいに見えてしまいそうです」)
「どうしましたか、先生?」
“あ、ごめん。ちょっと考え事”
「なんだ、立ったまま昼寝でもしてるのかと思った」
「起きてるのに夢が見られるのは良い事だねぇ」
ミユの言葉を聞いて先生はキリノの言っていた言葉を思い出す。彼女は弾丸の補充にも苦労していると語っており、金銭的余裕はないはずだと先生も考えていた。
「とにかく、ヴァルキューレの件についてはご愁傷様でした」
「“ご愁傷様”じゃない!君たちにとっても他人事では無いんだぞ!?」
「何だと…?どういうことだデカルト」
「公安局のターゲットは私たちだけじゃない。この周辺をパトロールして、片っ端から追い出そうとしているんだ!今ここに来たとしても、何もおかしくな…」
パァン!!パァン!!
「…ぐはっ!」
バタン!!
ミヤコはデカルトに憐みの言葉をかけるが、どうやら公安局はすぐそばにも迫ってきていると彼は警告する。そしてその瞬間どこからともなく銃弾が飛んできて、デカルトに命中し彼は倒れてしまった。
「「「「「!!!」」」」」
「…野生動物は危機に瀕すると、最も強力な群れにすり寄るもの。ここにいたのか、歩き回る手間が省けたな」
「あなたは…」
「ヴァルキューレ警察学校の“狂犬”…」
「…カンナだ。せめて公安局長と呼べ。嫌いなあだ名ではないが、そもそも私たちはあだ名で呼び合うような仲ではないだろう」
デカルトを撃った相手はどうやら逃げ回る彼を追ってきたようである。そして彼女たちの前に現れたのは、公安局の局長である“狂犬”、カンナであった。
「公安局長、ここには何のご用で?」
「自分たちの行いを理解した上で、その質問をしているのか?市民たちが使うための公園を不法占拠し、地域社会に不安をもたらしている存在がいる…そう聞いて、取り締まりに来ただけだ」
「とはいえ、ここにいて良いって言ったのは防衛室長なんだよ?まあシャーレ経由だけど」
「そうだそうだ!!ヴァルキューレの公安局長が、上官の命令に逆らって良いのかー!?」
いきなり現れたカンナにミヤコは何の用かと尋ねると、彼女は公園を不法占拠しているRABBIT小隊を取り締まりに来たと答える。だがモエとラットルはカヤが自分たちがここに居ることを許可している事実を盾にして反抗する。
「何か勘違いしているようだな。防衛室長が、“この公園に滞在していい”と仰ったことは無い。ただ“貴様らの処罰を保留する”と言っただけだ」
「ぎっ…!!」 「ぐっ…!!」
「…さらに言えば、公園の管理は防衛室の管轄ではありません。つまり、私たちに立ち退きを要求するのは正当である…そういうことでしょうか?」
「お前…俺たちには帰る場所が無いのわかってやってるジャン。意地の悪い狐だぜ」
だがモエとラットルの思惑も虚しく、カンナはこの場所に滞在していいとカヤは言っていないと答える。そしてカンナは公園の管理が防衛室の管轄ではないため、立ち退き要求は正当であると主張しているようである。
「けどなんで公安局が直接ここにくるのか分からないんダナ」
「治安関連でしたら、警備局の管轄なのでは…?」
「ああ、基本的にはそうだ。普通の状況だったらな」
「よく分からないけど、無理矢理追い出しに来たわけ?」
「別に良いけど、前回は散々な結果だったのを忘れたわけ?」
しかし公園を不法占拠している人間を立ち退かせる仕事は、本来警備局の管轄である。だが、カンナはRABBIT小隊たちを無理矢理公園から追い出すために、わざわざ公安局を引き連れてきたわけである。だがモエとサキはそんな彼女にも、強気に出るのであった。
「風倉、言葉は慎重に選んだ方が良い。聞いたところによると先日の大雨で、RABBIT小隊の装備はほとんど浸水したらしいな?」
「「・・・」」
「中古品を売って、新しい装備を手に入れたことも聞いている。しかし公園全体をカバーするには心もとないのではないか?」
「情報が漏れてるんダナ…」
カンナに吠えるサキとモエに対し、彼女は先日の大雨の惨状の情報をどこからか掴んだようで、2人の言葉には動じなかった。さらには先ほど中古品を手に入れたこともバレており、彼女たちは絶体絶命の窮地に立たされていることを自覚し始めていた。
「公安局は今回、スポンサーの協力を得て大量の火器を確保した。それに…」
パチンッ!!
「新兵器もな」
ダナダナダナ…!! デスデースデスデース!! バリバリバリバリヨロシクゥ!!
「これは…!!ヴィーコン軍団じゃないか!!」
「お前…コレが何なのか分かってるジャン?」
「忌々しいお前たちサイバトロンを倒すための兵器だろう?」
公安局はどうやらスポンサーの協力を得たようで、大量の火器を手にRABBIT小隊を追い詰める。さらにはヴィーコン軍団も現れ、サイバトロンたちは一様に苦い顔をする。しかしカンナはヴィーコン軍団がデストロンによって作られていることは知らないようである。
「貴様らがエリートだということは知っている、しかし数的優位を覆せるかどうかは別の話だ」
カツカツカツ…
「さあ、早めに決めろ。おとなしくこの公園を去るか、それとも試しにその粗悪な銃器とサイバトロン共と一緒に戦いを挑むか」
「はっ、本当にやる気みたいだな」
「武器が足りなくったって、あんたたちに一泡吹かせることはできるけど?」
「で、でも、実際勝てるかな…?」
多量の火器とヴィーコン軍団の火力を手に入れたカンナは、RABBIT小隊相手に強気に出る。それに対するRABBIT小隊も気弱なミユ以外はやる気満々で一触即発の事態に陥っていた。
ドォォォォォォォォォォォン!!!!
「「「「「!!」」」」」
「ヴァルキューレ公安局のカンナ…とか言ったな」
「・・・!!」
「コンボイ!!変身!!」
ギゴガゴゴ!!ジャキィン!!
(何という気迫だ…!!)
公安局とRABBIT小隊たちが睨み合う中、突如彼らの後ろから轟音が聞こえてくる。そしてその音の正体はコンボイが両腕で地面を割った音であり、彼女たちは彼が気が立っていることを理解する。
「君たちヴァルキューレ警察学校の役目がキヴォトスの治安維持ということは知っている。それ故に、この公園を不法占拠している我々を追い出そうとするのも、その役目によるものということは理解している」
「ふっ…サイバトロンのリーダーは物分かりがいいな」
「だがっ!!」
「!!」
「弱っているデカルトたちをさらに痛めつけ、追い詰めるその所業を私は絶対に許さないぞ!!」
カンナを前にしてコンボイはヴァルキューレの役目について語り、自分たちをこの場所から追い出そうとすることも彼らの役目だと述べカンナを感心させる。しかしコンボイはそのために弱っているデカルトたちを痛めつけたことに怒っており、カンナに絶対許さないと叫んだ。
「私はお前たちの所業を正義とは認めない!!」
「貴様…言わせておけば!!」
「どこの惑星であろうと、どんな種族であろうと正義は不変だ!!そして正義は勝つ!!」
「よっしゃー!!よく言ったぞコンボイ!!」
「さっすが我らがリーダー!!」
そしてコンボイは武器を取ってカンナと対決する姿勢を取り、公安局の面々にも緊張が走る。コンボイが啖呵を切ったことにより、ラットルとチータスもそれに続こうとしていた。
“ちょっと待ってもらえる?”
「「「「「!!」」」」」
「…シャーレの先生?どうしてここに…」
「先生…」
「防衛室長から聞きました、RABBIT小隊の待遇はシャーレに一任すると。しかし、これは別件です。先生の指示だとしても、決定を覆すことはできません。子ウサギタウンの再開発は、すでに決定事項ですから」
RABBIT小隊と公安局が激突しようとするその瞬間に、先生が間に割って入り彼女たちの争いを止める。先生はカンナにちょっと待って欲しいと頼むが、彼女はこの決定は先生でも覆すことはできないということを淡々と彼に説明した。
“でも、いきなり出ていけと言われてもちょっと困る。少しで良いから、みんなが考える時間をくれない?”
「時間なら、これまで十分あったかと思いますが…」
“・・・”
「…良いでしょう。先生には借りがありますので…今日は引き上げることにします。しかし、いつまでも放置することはできません。ざっくり計算して、今月末までかと思います。そのタイミングにまだこの公園にいるようであれば、こちらも武力行使せざるをえません。…私達にも“守るべきライン”がありますので」
先生はカンナにいきなり無理矢理ここから出ていけと言われても困ると言って、猶予を設けて欲しいと頼む。先生のお願いに対しカンナは少し迷った後、借りがあるので今月末まで待つと答え、これを越えるようであれば武力行使に出ざる負えないと警告した。
“ありがとう。恩に着るよ”
「…撤収!」
ザッザッザッザッ!!ダナダナダナ!!デスデース!!ヨロシクゥ!!
カンナの号令によって公安局は撤退を始めるのであった。
その後
ドンッ!!
「前回もシャーレありきだったくせに、偉そうに」
「だが、武装が強化されているのは事実のようだな。見知らぬ武器に、ヴィーコン軍団まで率いてくるとは…」
「モエ、あれは“カイザーインダストリー”の銃器で間違いないですか?」
「だね」
公安局が去った後、サキは地面に悔しさをぶつける。そしてコンボイは彼らの武器とヴィーコン軍団を率いていたのを見て、武装が強化されていることを悟る。そしてモエの解析により公安局の生徒が持っている武器が、カイザーインダストリーが提供した銃器であると判明する。
「にしてもほんと、あのケチなヴァルキューレがどうしてカイザーのを買えたんだか。理解できないね」
「ヴィーコン軍団がデストロンの兵器だってことも知らなそうだったんダナ」
「そういえばさっき、“スポンサー”って…」
“…リベートかな”
だがモエは銃弾を買うのにも苦労しているというヴァルキューレが、何故高いカイザーインダストリーの武器を買えたのか疑問に感じる。そして先生はカンナの述べていた言葉を思い出しながら考え、リベートという一つの答えに辿り着いた。
「“リベート”?それは一体どういう意味の言葉なんだ?」
「つまり“割り戻し”のこと?支払った分の一部が返って来るやつ?」
「けどそんなことをしてカイザーインダストリーに一体何の得があるってんだよぉ?」
“じゃあ説明するね”
サイバトロン星人のコンボイはリベートという言葉にピンとこないようで他の者にその意味を聞くと、モエは言葉の意味を説明する。だが、ラットルはカイザーインダストリーがヴァルキューレにリベートをする意味が無いと感じているようである。そんな彼女たちの様子を見て、先生は自分の考えていることを説明しはじめた。
「…なるほど。子ウサギタウンの開発を手掛けている“カイザーコンストラクション”は、武器を扱う“カイザーインダストリー”と同じ系列会社。資金の移動は比較的簡単です。もし“カイザーコンストラクション”が子ウサギタウンの開発によって得られるであろう利益を、“カイザーインダストリー”が事前に武器として還元することで公安局へと流していたら…」
「公安局はその武器を対価として、放浪者たちを追い出せば良いと」
「…それ、違法じゃないのか?」
「はい、もちろん違法です。市民に奉仕すべき警察学校が、私企業のために働いているわけですから」
先生の考えとは、カイザーインダストリーがヴァルキューレに武器を提供する代わりに、カイザーコンストラクションの子ウサギタウンの開発を手伝うというものである。それを聞いたミヤコたちは、公安局のやっていることは違法であると理解した。
「警察と企業が結託して市民を攻撃とか…意味わかんないなもう」
「わ、私たちも何とも言えない立場だけど…」
“そしてあのヴィーコン軍団の件も…”
「カイザーコーポレーションは裏でデストロンと繋がっている…ということだな」
「確かにあの大量のヴィーコン軍団を製造するためにはそれ相応の施設が必要なんダナ。そしてデストロンは施設を提供してもらう代わりに、強力な武装をカイザーのために製造する…ヴィーコン軍団をもその一環だとしたら公安局が引き連れていたことの辻褄は合うんダナ」
先生の考えを聞いてサキとミユは今ヴァルキューレに起こっていることに唖然とする。さらにはカイザーとデストロンが裏で結託しているという話も出はじめ、ライノックスは有り得なくはないと考えていた。
“もちろん、まだ色々と推測の域だけど…”
「そうですね、公安局が本当にカイザーインダストリーと取引したのかどうかも、デストロンと結託しているのかも分かりません」
「ヴァルキューレの記録ってことは、多分ローカルサーバーでしょ。外からのハッキングは無理っぽいよなぁ」
「ちっ、何か決定的な証拠でもあれば良いのに…」
「何か、方法は…」
先生の話は未だ推測の域を出ないため、ミヤコたちはなんとか証拠を掴もうとその方法を考える。だがヴァルキューレの記録はローカルサーバーに保存されているため、外からのハッキングは不可能だとモエは考えていた。
「…ヴァルキューレに潜入すれば、取引記録があるのではないでしょうか」
「「「「「!?」」」」」
「ミヤコ、お前正気ジャン?」
「ヴァルキューレの本館ってことだろ?あの要塞、何百人いると思ってるんだ?」
「ちゃんとした支援があっても、難しいんじゃ…?」
そんななかミヤコはヴァルキューレに潜入して取引の記録を持ち出すことを提案する。だがヴァルキューレ警察学校の本館は、いわばキヴォトスの警察組織の総本山である。他のみんなは当然、ミヤコの提案した方法に疑問を感じていた。
「普通に通報するってことで良いんじゃないの?」
「警察の問題を、警察にか?」
「…確かに。どっちもヴァルキューレだったわ」
「ヴァルキューレでトラブルがあった時、これを調査する上位期間って…」
ミヤコとは別にモエはこの事態を通報することを提案する。しかし、これはヴァルキューレの問題であり、それをヴァルキューレに通報してももみ消されるだけだとコンボイは彼女に指摘した。
「それが、SRTのはずです」
「確かに、そういやそうだね」
「私たちがやるしかない、か…じゃないと、他の誰も解決できない」
「でも、良いのかな…。今の私達は、学校も無いし…」
そして彼女たちはヴァルキューレの悪事を暴く役目を担うのは、自分たちSRTであることに気付く。だがミユは元SRTと言っても現状は公園に寝泊まりする浮浪者と変わりない自分たちに、その権利があるのかと戸惑っていた。
“…君たちがそう信じるなら”
「…先生?」
“いってらっしゃい、いざという時は責任取るから。できるだけ、怪我の無いようにね”
「…変な人ですね」
判断を決めかねているRABBIT小隊に対し、先生は彼女たちの考えを尊重すると答える。さらには自分が責任を取ると言って、ミヤコたちを安心させようとしていた。
「我々も君たちが考えた正義を貫くというのなら、それに協力しよう」
「デストロンが関わっているかも知れないってのに、ほっとけないジャン」
「まぁオイラたちは正義の軍団だからね」
「僕たちもできる限りのことはやってみるんダナ」
そしてコンボイたちもミヤコたちのやろうとしていることに、協力すると宣言する。ヴァルキューレの裏にはカイザーがおりそしてその奥にデストロンの影があると知っては、サイバトロン戦士一同も放っておけないようである。
「みなさんありがとうございます。おかげさまで決意は決まりました。…私たちはSRT。キヴォトスにおける込み入った犯罪行為に対し、真っ先に投入される特殊部隊」
「秩序維持のため、犯罪者を速やかに制圧し…」
「可能な限り全火力を瞬く間に投下し…」
「…気付かれる前にその場を去る」
先生とサイバトロンたちのおかげで、ミヤコは決意が固まったようである。そして彼女たちは各々SRTとしての理想を語り始める。
「ヴァルキューレが私企業と結託して、不法行為を行おうとしている…その可能性がどれだけ高くても、正規の手続きでは解明できないでしょう。まさに、SRTとして介入するべき任務です。みなさん、作戦準備を」
「「「「「了解!!」」」」」
「これより、ヴァルキューレ公安局の違法リベートに関する証拠を確保するため…“クローバー作戦”を、開始します!」
「「「「「おぉー!!」」」」」
そしてミヤコは隊長として、RABBIT小隊とサイバトロンたちに、作戦の準備を進めるよう命令する。RABBIT小隊とサイバトロンはこれより、ヴァルキューレ公安局へ潜入し、違法リベートの証拠を掴む“クローバー作戦”を開始するのであった。
「ていうか、何でクローバー作戦なの?」
「ちょっとダサいジャン…」
パァン!!パァン!!
「「ひっ!!」」
「何か文句でも…?」
「「ございません!!」」
正義の戦士なので無抵抗の人間を撃てばキレる。
どんなにおふざけしても、そこはブレないようにはしています。