TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
正直「アレ」をねじ込むにはここぐらいしかないかな~って。
ヴァルキューレ警察学校・屋上
「こちらRABBIT1、現在時刻0100。たった今ORPに到着しました。キャンプRABBIT、航空支援はまだですか?」
“ごめん、ポイントが変わって色々遅くなった!コンボイと行くからあと5分待って!”
「了解です。…というかコンボイはヘリに乗って大丈夫なんですか?」
「実はアイツ飛べるよ」
(((初めて知った…)))
ヴァルキューレとカイザーの取引の証拠を掴んだRABBIT小隊は、子ウサギ公園に帰投するべくヘリを待っていた。モエからコンボイが来ると言われたミヤコは、ヘリの重量オーバーの心配をするが、ラットルはコンボイが飛べることを伝えると、3人は驚くのであった。
「RABBIT2、バリケードの設置をお願いします。屋上への通路を封鎖しておきましょう」
「もうやっておいた。念のため、階段のところに地雷も撒いておいたけど…」
バァァァァァン!!
「…早かったな」
「も、もう扉のところまで…!?これ、5分も持つかな…?」
ミヤコは時間を稼ぐためにサキにバリケードを設置するよう指示するが、彼女は既にやったと答える。そしてそれと同時に設置した地雷が爆発する音が聞こえ、ヴァルキューレが迫っていることを実感していた。
“追い詰められた屋上、閉ざされた扉、その扉を叩く人々、そして中々来ないヘリ…先週見たゾンビ映画と一緒だ、くひひ…”
「ちなみにその映画、結末はどうなってるジャン?」
“ヘリにぶら下がったゾンビのせいで、墜落して全滅”
「うえぇ~、縁起わるぅ~」
「で、でも、ここにはゾンビはいないから…」
この状況をモエは面白がってゾンビ映画に例えると、チータスがその結末を聞き返す。彼女はヘリにぶら下がったゾンビに全員喰われたと答え、ラットルをドン引きさせた。
「…またしても貴様らか」
「ぞ、ゾンビ!?」
「誰がゾンビだ。せめて公安局長と呼べ」
「公安局長…!」
RABBIT小隊たちがそんな話をしていると、いきなりカンナがこの場に現れる。ミユは先ほどの話から彼女をゾンビと間違えていたようで、カンナに呆れられていた。
「扉が開いてないのに、どうやってここまで?」
「建物の外壁をよじ登ってきた」
「マジかよ、10階建て超えてるぞここ…ムチャするジャン…」
「そんな訓練ヴァルキューレには無いだろうに、ハーネスも無しで?」
「犯罪者を捕まえるためなら、公安局は何でもする」
ミヤコはカンナがこの場にいることに驚いたようで、彼女にどうやってここまで来たのかと問う。それにカンナは壁をよじ登ってきたと答え、チータスにヤバいやつだと思われていた。
「まさかヴァルキューレに潜入しておいて、おとなしく帰れるとは思ってないだろうな?」
ガチャ…
「貴様らはすでに包囲されたも同然、無駄な抵抗はやめろ」
「「「「「・・・」」」」」
「あんな目にあったばっかりで全く懲りないとは、気は確かか?今のキヴォトスは、貴様らを必要としてない。無駄な抵抗をして、迷惑をかけ続けるのはやめろ。こんな犯罪まがいのことをして、今度こそ連邦生徒会から学籍データを抹消させられても…」
「公安局長、そちらの犯罪についてはいかがお考えですか?」
ガサッ!!
「!?」
カンナはRABBIT小隊たちに向けて銃を構え、投降するよう呼びかける。しかしミヤコはそんな彼女に対し、ヴァルキューレとカイザーの不正取引のデータを突きつけて動揺を誘う。
「公安局の取引記録を発見しました。“子ウサギタウン”の再開発のため、放浪者たちを追い出す。その代わりにカイザーグループとの間で違法リベートが発生していた…そうですね?」
「どうして、それを…」
「そりゃ、いきなりヴァルキューレが新しい装備に変えたもんだから、何かあると思うのは自然なことだろ」
「キヴォトスの治安を担当するヴァルキューレ警察学校が、私企業との取引において犯罪行為に手を染める…これは、確実に問題かと思われます。連邦生徒会の定めた、公的な規則に従わない処理…公安局長、これをあなたが知らなかったはずがありません。これはヴァルキューレ警察学校の理念に反する、重大な犯罪です!」
「…っ!」
ミヤコに証拠を突き付けられたカンナは、先ほどの勢いがなくなり狼狽え始める。犯罪者を取り締まる側のヴァルキューレが、自ら犯罪に手を染めているという事実が明かされれば、とんでもないことになってしまうだろう。
「…本当に言いたい放題だな、貴様たちは」
「な、なにお~!?」
「貴様の言う通り、ヴァルキューレは公的な規則に従い、公正であるべきだろう。…しかし世の中は、貴様らが思うほど公正ではない。貴様らには特権がある。そしてその上で正義を論じている間に、私たちが何をしていたか知っているか?汚い現場で、どれだけ妥協に塗れながら公務を処理していたことか!それが社会だ、現実だ!手を汚さずに、正義を掲げ続けることなどできない!貴様らのようなガキに、それが分かるか!その判断をせざるを得なかったこの気持ちが!」
「ガキって…2歳差ぐらいジャン…」
ミヤコに資料を突き付けられ、カンナはため息をついて言いたい放題だと肩を竦める。そしてその後彼女は堰を切ったように自分の心情と、RABBIT小隊たちに対する八つ当たりにも近い不満をぶちまけてチータスはちょっと彼女に憐みを感じていた。
“…カンナ”
「この声は…先生、あなたでしたか」
“信念を貫くのは、大変かもしれない。それでも…最終的に自分の未来は、自分で判断し続けるものだよ”
「それでも…自分の信念だけに従っていたら、私は全てを失ってしまう…!こんな中途半端な立ち位置で!私には、何もできない!!」
心情を吐露したカンナの声を通信越しに聞いた先生は、彼女に一つアドバイスを送る。だが先生の言葉を聞いてもなお、カンナは全てを失ってしまうと己の境遇を嘆くのであった。
“RABBIT小隊のみんなは、ほぼゼロからのスタートだったよ。サイバトロンのみんなだって、敵に全てを奪われても、諦めずに頑張っていた”
「・・・」
“大丈夫。状況は大変だろうけど、辛いだろうけど。それでも行き先は、自分で決められるよ”
「…ふぅん、真っ当なこと言うじゃん」
そんなカンナに対し、先生はRABBIT小隊やサイバトロンもみんなはほぼゼロからのスタートでも諦めずに頑張ったと答える。そしてカンナも彼女たちのように、自分で行き先を決められると励ました。
「でもそうだな、最後は自分で決めていくものだ」
「ずっと不安で、怖かったけど…」
“ま、自分たちで決めたことだからね”
「…ありがとうございます、先生。それに、サイバトロンの皆さん」
先生の言葉を聞き、RABBIT小隊たちはそれぞれ自分で決めた道は間違っていなかったと実感する。そしてミヤコは自分たちの道を進めるようサポートしてくれたから先生とサイバトロンの皆にお礼を述べるのであった。
「公安局長。あなたが言う“正義”は、きっと間違っていないでしょう。ただ私が思うものとは、違うというだけで。ですが、その根っこを誰かのせいにし続けていては、いつか色あせてしまうと思います。“どんな判断をし続けてきたのか”、それがきっと…私たちと、貴方の違いです」
「・・・」
ブロロロロロロ…!!
“ミヤコ、お待たせ!ポイント上空に到着した!”
「…来ましたか」
「さぁ、脱出するんだ!!」
「ほ、本当に飛んでる…」
ミヤコとカンナがそんな話をしていると、ようやくモエが操縦するヘリがその場へとたどり着く。そしてコンボイも一緒に来ており、ミユは飛んでいることに驚いていた。
「総員、ハーネスを準備。順番に離脱します」
「かぁぁぁぁ…ペッ!!!」
バシュゥゥゥゥゥゥゥン!!
“え…?” 「危ない!!」
ドォォォォォォォォォォォン!!
「「コンボーーーーーーイ!!!」」
ヘリが現場に着いたため、ミヤコはRABBIT小隊にその場から離脱するよう指示を出す。だがその瞬間にヘリの元へ火球が飛んできて、コンボイがヘリを庇うために火球を喰らってしまった。
「モエ!!大丈夫ですか!?」
“わ、私は大丈夫…”
「ほああああああああああああああ!!!」
ドォォォォォォォォォォォン!!
「チッ…ヘリを庇ったか、まあいい」
ミヤコはヘリに乗っているモエを心配して無線で確認を取る。どうやらコンボイが庇ってくれたおかげでモエとヘリは無事だったようだが、コンボイはヴァルキューレ警察学校の屋上へと落ちてしまった。
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…
「コンボイ、大丈夫か!?落っこちてぺっちゃんこになってたりしないか!?」
「イボンコ…ペッチャンコ…」
「「イェイ!!イボンコ☆ペッチャンコ!!イェイ!!イボンコ☆ペッチャンコ!!イェイ!!イボンコ☆ペッチャンコ!!」」
ガタッ…
「あの…コンボイだけど…お前ら、ブッ飛ばすぞ」
「「「・・・」」」
地面に落ちてきたコンボイをチータスとラットルは心配する。だが途中で謎の歌を歌ってふざけ始めたため、コンボイにブッ飛ばすぞと言われ、RABBIT小隊たちに軽蔑の目で見られていた。
「ヴァルキューレの増援ですか?」
「いや…我々は地上からヘリを狙えるような武器など持っていない。ヴィーコンのタンクでもあの距離は射程外だ」
「じゃあ、一体誰が…」
「メガトロンだ。こうやって我々を泳がせて、ここぞというタイミングで現れる。ヤツはそういう男だ」
「私たちを苦しめた…デストロンの親玉がすぐそこに…!!」
ミヤコは飛んでいた火球をヴァルキューレの兵器だと予想するが、カンナはヴァルキューレにはヘリを墜落させるだけの火器は無いと答えた。それにコンボイはメガトロンの仕業だと答え、それを聞いたミヤコはデストロン軍団の親玉がすぐ近くにいることに戦慄していた。
ドシィン!!
「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!お久しぶりだねぇ、コンちゃん。お前たちに会いたくて夜更かしして来てやったぞ、ヌハハハハ!!」
「メガトロン!!」
「そ、その声は…カイザーグループの大株主…」
「おぉ、そこにいるのは狂犬ちゃんじゃあないか。どうかね?我々が開発したヴィーコン軍団は役に立っているかな?」
「お前たちデストロンのことは我々でも調査している。極悪人の集まりだとな…。つまり…カイザーの裏にはお前たちデストロンがいて、ヴィーコン軍団はお前たちが作ったものだったのか」
ヴァルキューレの屋上にメガトロンが現れ、黒幕がようやく彼女たちの前に姿を現す。カンナはその声がカイザーの大株主と同じだと気づき、ヴィーコン軍団が悪の軍団であるデストロンによって作られていることを知るのであった。
「さて…こんな殺風景な場所でお話しても面白くない。少し景色を変えようじゃないか…」
ブゥン…
「領〇展開!!」
ブワァァァァァァァァ…
「な、何が起きて…!!」
「狼狽えるな!!ただのホログラムだ…!!」
一同の前に現れたメガトロンは景色が悪いと言って、自分で持ってきたホログラムを作動させる。いきなり周りの景色が変わり始めたので一同は驚くが、コンボイはただの無害なホログラムだと言って皆を落ち着かせた。
「何だこの景色は?」
「変な建物と…ヴィーコン軍団みたいなのがいっぱいいるような…」
「これは…セイバートロン星か?」
「今はただのホログラムの映像でしかないがね…これはこの惑星の未来の姿だ」
「「「「・・・」」」」
ホログラムに映された景色は、高層ビルが多くたちヴィーコン軍団のような存在が多く闊歩していた。そしてメガトロンはこの景色のことを、未来のキヴォトスの姿だと答える。
「未来の姿だと…どういう事だ!?」
「この惑星は非常に環境が整っている。だが、邪魔者が多すぎるな」
「オイラたちのことか?」
「お前たちだけではない。オートボット、ディセプティコン、そして何より貴様ら忌々しい有機生命体共だ」
「わ、私たち…?」
メガトロンはキヴォトスは環境が整っているものの、そこにいる人々やトランスフォーマーたちが邪魔なようである。そして彼が一番邪魔だと思っているのは、意外にも彼が上げた中で一番弱いはずのキヴォトスの人々であった。
「ハッキリ言って有機生命体のことを見ているだけで、俺様は吐き気がするんだよ。この肉ケラ共が」
「そのために…このホログラムに映された、機械だけの世界を作ろうと言うのか貴様は…!!」
「その通りだ、狂犬ちゃん。俺様はこの惑星からお前たちを消し去り、有機物を消し去り、サイバトロンもオートボットもディセプティコンも消し去り、俺様に従順な金属生命体のみが存在する世界を作ることこそが目的なのだよ」
「ふざけやがって…ここは私たちの惑星だぞ!!」
「そんなことは知ったことか。欲しければ奪い取る、気に入らなければ作り替えるまでだ。そのためにお前たちがどれほど犠牲になろうが、そんなことはどうでもいいんだよ」
メガトロンが有機生命体嫌いは筋金入りのようで、見ているだけで吐き気がするほどのようである。そして彼はその有機生命体や他のトランスフォーマーたちを消し去り、キヴォトスを自分のための惑星に作り替えようとしているのである。
“君の言う事はよく分かったよ”
「おぉ!!その声は“シャーレの先生”じゃないかぁ。噂はよく聞いているよ。生徒たちのためによく頑張ってるそうじゃないか」
“こうして直接会話するのは初めてだね。「ビーストのメガトロン」”
「フフフ…俺様のことはメガトロンとは認めたくないようだな。まぁそれも許してやろう。なぜなら、今後は俺様こそが真のメガトロンになるのだからな」
メガトロンの野望を聞いた先生は、通信越しに彼に話しかける。口を出してきた先生に対し、メガトロンは表面上歓迎するような素振りを見せるが、自分を“メガトロン”と認めないという態度を取られたため少し不機嫌になっていた。
“何にせよ、キヴォトスは君たちなんかには渡さないよ。ここはこの場所に住む人たちのものだ”
「そうだ、メガトロン!!我々がいる限り、お前たちの好きにはさせないぞ!!」
「えぇ…私は、私たちは絶対にあなたたちデストロンを全員逮捕します!!」
「ハハハハハ!!元気でいいじゃないか。いやぁ~オジサンには眩しい限りだねぇ」
そして先生はメガトロンにキヴォトスを彼の好きにはさせないと述べると、コンボイとミヤコも彼に対して啖呵を切る。だがメガトロンの方は、笑っていられるだけの余裕があるようである。
「だがそうしていられるのも今のうちだぞ。俺様は必ず貴様らを滅ぼして、この惑星を手に入れる。そしてゆくゆくはこの宇宙を俺様のものにしてやるのだ!!」
「望むところだ、メガトロン!!」
「今日はもう眠いので俺様はこの辺で帰る。というわけでせいぜい俺様が惑星を手に入れるまでの間、その短い余生を楽しむことだ。汚らわしい有機生命体どもに、コンボイ君とネコちゃんと図体がデカいヤツに…レギュラーメンバーの中で映画に唯一出れなかったラットル君」
「出てないのはお前も同じだろ!!」
メガトロンは一同に残された時間を楽しむよう告げると、さっさと帰っていった。彼が去ったあとのヴァルキューレの屋上は、先ほどの騒ぎが嘘のように静かであった。
ヴァルキューレ警察学校・本館
「ゴッツンコー!!」 「シャッ!!」 「ウヒャヒャヒャ!!」 「ぶぅ~ん」
「うっ…うぅぅ…」 「な、何なんだコイツらは…」
「相変わらず弱っちいッシャねぇ。そんなんだから子ウサギなんかに負けるッシャよ」
「任務完了ゴッツンコー!!」
どうやらデストロンたちはRABBIT小隊たちに迫る警備局の相手をしていたようである。メガトロンは自分の野望を語るために、裏でデストロンに命令して時間を稼ぐという涙ぐましい努力をしていたのであった。
ヴァルキューレ警察学校・本館前
「私は今、カイザーグループとの癒着問題が噂になっているヴァルキューレ警察学校、その本館の前に来ています!とある匿名希望の方からの情報によりますと…どうやら公安局の生徒たちがカイザーグループから金品を受け取り、そのために権力を行使したのだとか!」
「市民を保護し正義を守るべきヴァルキューレが私企業と手を取っていたというのは、かなり衝撃的な情報です!」
「それに加えて先日、どうやら謎の集団がヴァルキューレ警察学校に侵入。施設の一部を破壊したとの情報も入ってきています」
「ヴァルキューレの権威が揺らぐ事件が、立て続けに発生しています!」
「果たして真相はどうなのでしょうか!?」
RABBIT小隊たちがヴァルキューレ警察学校を襲撃してから数日後、キヴォトスでは公安局がカイザーと癒着していたという噂があちこちで流れはじめ話題になっていた。クロノス報道部のシノンとマイはその真相を掴むべくヴァルキューレ警察学校の本館へと取材に赴いているのである。
「…何の騒ぎだ」
「あっ、カンナ公安局長です!突然ですが、今回の違法リベートの件につきまして一言いただけますでしょうか!」
「待て、それはどこからの情報で…そもそもここは敷地内だ、許可は得ているのか?」
「おおっと、やはりマスコミと権力とは衝突する運命なのか!しかし私たちクロノスは決して…」
「良いからさっさと出ていけ!」
そして2人が取材していると、ちょうどそのタイミングでカンナが建物の中から出てくる。彼女は違法リベートの件が世間に知れ渡っていることに狼狽えるが、気を取り直してクロノスの報道部をその場から追い出すのであった。
子ウサギ公園
「…すごいニュースになっていますね」
「う、うん。朝からずっとそのニュースが…も、もしこれで公安局が襲撃に来たら、どうすれば…?」
「別に関係無い。私たちはやるべきことをやっただけだ。それにどうせ今は、クロノス含めて色々と対応しないといけないだろ。私たちに構ってる暇はないはず」
一方公園で相変わらずキャンプ生活を続けているRABBIT小隊たちは、例のリベートの件がニュースになっていることに驚いていた。公安局の襲撃を心配しているミユに対し、サキはそんな暇はないと答えた。
「それはそうなんだけど、何か引っかかるって言うか…」
「どういうことだ?」
「何ていうか、めちゃくちゃ対応が速い。連邦生徒会が調査チームを組織したのもそうだし、相当金がかかっていたはずなのにカイザーもすっぱり再開発の中止を宣言するし…」
「恐らく、カイザーやそれに協力しているデストロンたちにとっては、この程度の損失は大したことないのだろう。カイザーも最終的な目標はデストロンと同じく、このキヴォトスを手に入れることだ。彼らにとっては子ウサギタウンの再開発はその野望を達成するための過程のうちの1つでしかないのだ」
「中々手ごわい相手ですね…」
だがモエはカイザーや連邦生徒会の対応の速さに違和感を覚えているようである。モエの違和感に対し、コンボイはカイザーやデストロンにとって今回の事件は精々計画の一部でしかないため、あっさり事後処理を進めているのだと説明した。
「とにかく、安心しました。再開発が中止されるなら、放浪者の方々を追い出すことも無いでしょうし…私たちも、ここにいられます」
「あー、その…」
「うわ、侵入者ジャン」
「待ってろ、今オイラの爆弾で…」
「待て待て待て!!侵入じゃない、あいさつに来たんだ!」
子ウサギタウンの再開発が中止になってことで、自分たちや放浪者たちが追い出されることが無くなって安心していると、デカルトが子ウサギ公園に現れる。デカルトを見たチータスとラットルは彼を排除しようとするが、どうやら彼はあいさつに来たようである。
「…挨拶?」
「…君たちには助けられてしまいました。どうやら危険を顧みずヴァルキューレに潜入し、彼女たちの陰謀を暴いたのだとか。おかげで私たちの聖所…子ウサギタウンも脅かされることがなくなり、“所確幸”の仲間たちも戻ってきています」
「思ったより素直なんダナ…」
「私たちのためではなかったのかもしれません。それでも恩を受けて知らぬ存ぜぬは、求道者としてできませんので…」
RABBIT小隊たちがヴァルキューレ警察学校を襲撃したことによって、子ウサギタウンの再開発は白紙に戻った。そのおかげでデカルトたちが居場所を失わずに済んだことを、彼は感謝しに来たのである。
「君たちのために、特別な食べ物をプレゼントしに来たのです」
「特別な食べ物!?何それ!?」
「…まさかもやし弁当じゃないよな?」
「いえいえ、まさか。私たちが持っている中で最も貴重なものです。それはこちら…鶏の骨を揚げた、唐揚げです!」
「うわぁ~全然嬉しくねぇ~」
そしてその感謝の気持ちを伝えるため、デカルトは特別な食べ物をプレゼントすると言ってみんなを期待させる。だが彼が差し出してきたのは唐揚げの骨の残りであり、みんなをがっかりさせていた。
「あ、ありがとうデカルト…。嬉しいよ…」
「コンボイ…以前あなたには酷いことを言ってしまいましたね…それについても謝罪を…」
「いいさ、もう済んだことだ」
「そうか…」
こうしてコンボイとデカルトは仲直りし、子ウサギタウンには平和が訪れるのであった。
防衛室・オフィス
「…やはりこうなってしまいましたか。ヴァルキューレはしばらく動けそうにありませんね、クロノスもしつこそうですし…。相変わらず、私は人に恵まれませんねぇ…」
「…それは前にも聞いた」
「ふふっ…とはいえ、カイザーとこちら側についての件は見つかっていないようですし…。計画に支障は無さそうですね」
「その辺に気を遣っている暇があったら、信じられる仲間を増やすことに時間を使うべきでは?」
「信じられる仲間、ですか…。確かにカイザーもそうですが、デストロンも不穏な動きが目立ちますしねぇ…」
防衛室のオフィスにて、不知火カヤは今回の計画の失敗を嘆いていた。だがそうは言うものの、コンボイが予想していた通り計画自体には支障はないようである。どうやらカヤはカイザーやデストロンと繋がっており、彼女自身も何かしら企んでいるようだった。
「そういえば、あなたの後輩たち…中々良さそうですね?腐っても鯛と言いますか。熟練度は足りませんが、やはりSRTに入れただけのことはあります」
「私からしたら、まだSRTを名乗るには未熟」
「ユキノちゃんは厳しいねぇ」
「ニコが甘いだけ。もし私だったら、警報を鳴らさず1分で脱出できた。それにあのメガトロンとかいうのもあの場で始末できた」
カヤはヴァルキューレ襲撃の子細を知っているようで、目の前の相手にRABBIT小隊のことを褒める。だが目の前の相手はSRTを名乗るには未熟と答える。彼女の名は七度ユキノ。元SRT特殊学園3年生である。そしてその隣で彼女のことを厳しいと評したのが、以前先生とビーの前に現れおいなりなんと共に情報を提供した少女であった。彼女は同じく元SRT特殊学園3年生であり、ニコというようである。
「まあ、まだ1年生ですものね。みなさんのようなベテランの実績を期待するのも酷というものでしょう。とはいえ、そうですね…使わないのは勿体ないですし。私たちの“クーデター”計画に、彼女たちも参加させる…というのはどうでしょうか?先輩としてどうですか?SRT特殊学園、“FOX小隊”のみなさん?」
「まあ、良いんじゃないかねぇ」
「こうなったら、それくらいの埋め合わせはしてもらわないと」
「可愛い後輩たちの手は汚したくなかったけど…仕方ないかな?」
「仮にもSRTに入った身、最初から覚悟はしてたはず」
そんななかカヤはRABBIT小隊たちを自分たちのクーデターに参加させようと、FOX小隊に提案する。FOX小隊とは、ユキノ、ニコ、オトギ、クルミの4人で構成されたSRT特殊学園の3年生部隊である。
「全ては、SRTの復活。そして…シャーレの廃絶のために」
肉ケラ:トランスフォーマーから見た有機生命体を蔑称。虫けらを言い換えた感じ。一応TF界隈では半公式っぽい。
私自身はこの言葉が大嫌いですが、Bメガトロンのように有機生命体を忌避するキャラなので言わせます。逆に言うとBメガトロン以外には使いません。
カイザーと表向き協力しているのは、まぁアイツら有機生命体ではないからくらいのテンション。
現状、デストロン、カイザー、カヤそれぞれが「コイツらを出し抜いて、自分がキヴォトスを支配してやる」って思ってる感じです。
次回からは遂に最終編!!新キャラも多少出る。