TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
「金属の惑星から私たちのために」は生徒→トランスフォーマーで、「水の星に愛を込めて」はトランスフォーマー→生徒です。
水の星に愛を込めて
アビドス砂漠・発掘区域
「み、見つかりました!」
「見つかったのか?」
「は、はい!例の座標から、約135m×23m×13mの構造体を発見しました…!!」
「間違いない…!至急、ジェネラルに報告せよ!大至急だ!」
「は、はい!!」
カイザーPMCが何かを見つけた場所は、以前ザ・フォールンがスターハーベストを起動した場所である。カイザーPMCが見つけた物はどうやらとっても重要なようで、彼らの上司であるジェネラルに至急連絡するよう指揮官が命じるほどであった。
「あと、連邦生徒会の防衛室にも連絡しておけ。そちらは専用の通信網でな」
「はい!」
さらに指揮官は連邦生徒会の防衛室、つまりカヤにも連絡するよう指示した。
アビドス市街地
「・・・」
「急げ、移動するぞ!」
「はっ!」
「カイザーPMC…」
シャァァァァァァァァァ…
そして慌ただしくカイザーPMCが砂漠に移動しているのを、シロコは自転車に乗りながら眺めているのであった。
アビドス旧校舎
「PMCの兵力が、砂漠の方に移動してた?」
「ん。今までとは全然規模が違った」
「ふ~ん、何かあったのかな?あいつら最近静かだったのにね」
「ここ数日、あちこちでカイザーPMCが移動しているのを見ました…」
「あいつら、他人の自治区で好き勝手して!ほんと許せない」
そしてカイザーが不審な動きをしているのを見たシロコはすぐさま、アビドスの校舎へと戻りみんなに報告する。アヤネもここ数日カイザーPMCが砂漠に移動しているのを見たようで、これからアビドスで何が起こるのかと心配していた。
「アビドス砂漠で何かあったのでしょうか?」
「ザ・フォールンが使ってたあの太陽を破壊するっている装置の残骸から何を探そうってんだか…俺にはさっぱりだね」
「こっそり見に行ってみる?」
「シロコちゃん、それはちょっと…」
「あそこはカイザーの土地だから、勝手に行ったら怒られちゃうよ~。前もそれで揉めたじゃん?」
「ん…」
アビドス砂漠で何かを探すカイザーPMCに、ミラージュは理解が及ばないようである。そんな一同を見てシロコはこっそり覗きに行くことを提案するが、あそこは今カイザーの土地になっていると言ってホシノに止められた。
「不穏と言えば例のユニクロンとかいう怪物の話だぜ。あんなのがこの宇宙に存在するだなんてなぁ」
「うへぇ~、星を食べちゃうなんてね。おじさん食べられちゃうかもなぁ、ホシノだけに」
「ホシノ先輩つまらないギャグ止めてくれる?」
「あはは…」
そして不穏と言えばでミラージュはユニクロンのことを話題に出す。だが星を喰らう怪物だというのに、ホシノには緊張感がなくセリカに冷めた眼で見られていた。
「そんな存在を…私たちでどうにかできるのでしょうか…?」
「心配することは無いわ。私たちが力を合わせれば、きっとユニクロンだって倒せるはずよ」
「ん、エアレイザーの言う通り。ユニクロンに乗り込んで金目の物全部盗んで借金返済の足しにする」
「うへぇ~きっと珍しいものがいっぱいあるから高く売れること間違いなしだね」
「アッハッハッハ!!いいねぇ、頼もしい限りじゃねぇかよ」
アヤネはユニクロンの話を聞いて、自分たちでは太刀打ちできないのではないかと心配する。そんな彼女にエアレイザーはみんなで力を合わせれば大丈夫だと言い、シロコはユニクロンに乗り込んで金目の物を盗むと意気込みホシノとミラージュを笑わせていた。
「そうだ、先生に相談してみましょう!」
「そうしたいのはやまやまですが…最近、お忙しいみたいで…連絡したら、迷惑をかけてしまわないでしょうか?」
「迷惑かどうかは先生が決める事じゃないの?」
「そうですよアヤネちゃん。連絡する前から決めてしまっては、先生も何もできませんし…それに、先生ならきっと手伝ってくれます☆」
先々のことを心配するアヤネを見て、ノノミは先生に相談することを提案する。それにアヤネは忙しそうだからだと遠慮するが、セリカとノノミは連絡するべきだと背中を押すのであった。
「ん。それに、この間先生から連絡きたばっかだし」
「先生からですか?先輩に?」
「シロコ先輩がスタンプ爆撃でもしたからじゃないの?」
「いや、今回は違う。先生の方から」
「そりゃシロコちゃんだってスタ爆ばっかじゃないでしょ~」
先生の話をしていると、シロコが最近先生が連絡してきたと言い出し、後輩二人を驚かせる。セリカはシロコが構って欲しくてスタンプ爆撃をしたと予想するが、どうやら先生から連絡を取ってきたようである。
「へぇ~、案外先生のやつシロコにゾッコンかも知れねぇなぁ。で、どんな内容なんだよ?デートの誘いか?」
「特に何も…。ただ、最近元気?とか、無事?とか…そんな感じの内容」
「へぇ…それはそれで、なんだか素気ないねぇ」
「とりあえず、私が先生に連絡してみますね。一度アビドスに来ていただけないか、と」
「そうですね☆アヤネちゃん、お願いします!」
だが先生が送ってきたメッセージは素っ気ないもので、何かを期待していた一同をがっかりさせる。結局アヤネが先生にメッセージを送るということで、この話は終了となった。
防衛室・オフィス
プルルルル…
「こっちの通信は鳴るとは…」
プツッ…
「…どうぞ」
“■■■■■■■■■…”
「…そうですか、分かりました」
「…いよいよ、始まるのですね」
防衛室にいるカヤは先ほどアビドスで何かを見つけたカイザーからの連絡を受け取る。それを聞いた彼女は不敵な笑みを浮かべていた。
ミレニアム・ゲーム開発部部室
「お姉ちゃん、これはダメだよ」
「え、なんで!?」
「私たちが作ってるのは“剣と魔法のRPG”でしょ?」
「そうだけど…それがどうしたの?」
「どうしたの?じゃないよ…なんで主人公が宇宙戦艦に乗ってるの?」
ゲーム開発部の部室では、モモイたちが新たなゲームを作るために奮闘中であった。だがミドリは姉の作ったシナリオをダメ出ししていた。どうやら剣と魔法のRPGだというのに、主人公が宇宙戦艦に乗っているのが気になるようである。
「敵が宇宙海賊だからね!それなら主人公は宇宙戦艦に乗らないと!それに今回は人間だけじゃなくて、トランスフォーマーに向けて売り込みたいしさ」
「勇者が宇宙戦艦に乗ってどうするのさ…」
「なんで!宇宙勇者だよ!?良いじゃん!」
「宇宙勇者ねぇ…どうせなら宇宙を股にかける賞金稼ぎとかにしとけば?強いぜ?」
「そういや昔捕まったこともあったっけ。まぁ俺ら小さいからすぐに抜け出せたけど」
ミドリの不満に対し、モモイは宇宙海賊を出したのだから宇宙戦艦に乗るべきだと訴える。そしてどうやら今回のゲームは人間だけでなくトランスフォーマーたちにも売り込みたいようである。だがミドリだけでなく、ホイーリーとブレインズの反応もよろしくないようである。
「ユズはどう思う?」
「わ、わたしは…悪く、ないと思う…最近流行ってるダダイスムみたいな感じで…」
「ほら!ユズもこれはイケるって!」
「ええ…」
モモイはユズに意見を求めると、彼女は悪くないと言ったためモモイは変な自身をつけてしまう。それを見たミドリはこれからの苦労を想像して胃が痛くなっていた。
ガタッ!!
「“宇宙勇者”は素晴らしいと思います!」
「アリスちゃん?」
「アリス!おかえり!大丈夫だった!?」
「エンジニア部はなんて…?」
「簡単な身体検査とメディカルチェックをしましたが、特に異常はなかったそうです。それと、ヴェリタスのみなさんが、定期的に検査をしようと仰ってくださったので、そうすることになりました」
そしてゲーム開発部のみんながこれから作るゲームについて思案していると、アリスが検査から帰ってくる。アリスは以前の件によってエンジニア部とヴェリタスから検査を受けるよう言われており、今回は異常がなかったようだが今後も定期的に受けるよう勧められていた。
「そ、そうなんだ…じゃあアリスちゃんは、もう大丈夫なんだね?」
「あの時の変なヤツ…何だっけ、ケイ…だっけ?あいつは?」
「ケイじゃくて“<Key>”だろ…」
「名前なんて分かればなんでもいいよ!」
「よくその頭でここに入れたな…」
ユズはアリスの言葉を聞いて安心し、モモイはアリスと入れ替わり暴走したケイのことを気にする。本当はケイではなく<Key>なのだが、モモイは分かれば何でもいいと言ってブレインズに頭の心配をされていた。
「はい。“ケイ”は発見できませんでした」
「結局“ケイ”でいくの? …まあ、いっか」
「今のエンジニア部の技術では“ケイ”が消えたのかどうか確認できないようです。なので、ヴェリタスやオートボットの皆さんと協力してみるそうです!」
「アイツ、一体何者なんだか…」
「無名の司祭だったか?キヴォトスは不思議がいっぱいだぜぇ…」
だがエンジニア部の検査ではケイは発見することができなかったようである。エンジニア部はケイを探すために、次はヴェリタスとオートボットと協力するようだ。
「あいつ、アリスを勝手に王女だか何だかにしようとして!も~!次会ったらタダじゃおかないんだから!」
「アリスちゃんは、いいの…?」
「はい、アリスは問題ありません。今度“ケイ”に会ったら300% …いや10万%ビーム砲を発射します!」
「おー…元気元気」
ケイの話を聞いてモモイは事件のことを思い出し、次はただじゃおかないと騒ぐ。そしてアリスもモモイの続いて、次ケイに会ったらレールガンをぶち込むと答えるのであった。
「あと、アリスも宇宙勇者は素晴らしいと思います。宇宙戦艦に乗る勇者パーティー!素敵です!」
「でしょでしょ?こう、胸に響くものがあるよね。なんたって、宇宙戦艦はロマンだから!」
「アリスもいつか、宇宙戦艦に乗ることができるでしょか?」
「宇宙戦艦と言えば…ディセプティコンの旗艦ネメシスだな。まぁ俺たちみたいなチビの下っ端じゃ乗れねぇんだが…」
「オートボットも何個か持ってるはずだが…キヴォトスに持ってきてるかどうか…。オメガスプリーム…おっかねぇんだよなぁ」
そしてアリスは宇宙戦艦に話を戻し、モモイと共に宇宙戦艦のロマンを語り始める。だが宇宙戦艦など当たり前なトランスフォーマーたちは、知ってる宇宙戦艦を思い浮かべていた。
「よし!そういうわけで、次回作は宇宙勇者パーティーのスペースオペラもので決まりっ!」
「はい!素晴らしいです!」
「じゃ、じゃあ、ジャンルも弾幕シューティングに変えよっか…。すっごいハードな難易度で、コンティニューもスペシャルボムも無い…」
「はぁ…やっぱりこうなっちゃった」
宇宙戦艦の話を聞いてモモイは、次回作を宇宙勇者パーティーのスペースオペラものに決定する。そしてゲームのシステムもRPGから弾幕シューティングゲームにしようとユズが言い出し、もはや先ほど作っていたものの面影は全く無くなってしまった。
「おーーーーーい!!お前らぁぁぁぁ!!」
「ビックニュースだよ!!ビックニュース!!」
「スキッズとマッドフラップじゃん。どうしたのそんなに慌てて…」
「トリニティで本物の勇者が出たんだってよ!!」
「「「「「ええぇぇぇぇぇ!!!!」」」」」
ゲーム開発部たちが部室で宇宙勇者の話で盛り上がっていると、ツインズの2人が窓の外から大声で彼女たちを呼び出す。窓の外から顔を出した一同にスキッズはトリニティで勇者が出たと伝えると一同は大興奮に包まれた。
「勇者が出たってどういうこと!?」
「勇者…本物の勇者が見れるのですか!?」
「次回作のゲーム作りの参考のためにミレニアムの図書館で借りた、トリニティの『騎士王物語』って本あったろ?」
「本の内容は…何というかそんなに面白味がなかったな…」
「そりゃ古典だからな。お前はプライマスとかクインテッサの神話を面白いと感じたことあるか?俺は無い」
トリニティの勇者とは無論先のエデン条約の件にて、ブレインストームたちから聖剣を賜ったホットロッド改めロディマス・プライムのことである。ゲーム開発部も次回作のためにトリニティの『騎士道物語』を図書館で借りたようで、その物語の内容は全員把握済みであった。
「じゃ、じゃあ…まさかその勇者っていうのは…?」
「ウチのホットロッドが聖剣エクスカリバーを抜いたんだよ!!そして先代からロディマス・プライムという新しい名前を賜ったとかなんとか…」
「プライムってオプティマス・プライムと同じ…」
「あぁ、リーターの称号だ」
どうやらホットロッドが聖剣を抜いてロディマスになったことは、トリニティ外のオートボットにも知られているようである。そしてミドリはマッドフラップ述べたロディマス・プライムという名前からオプティマスの次のリーダーが彼であることを察していた。
「本物の勇者がこのキヴォトスに誕生したんですね!!しかもオートボットの未来のリーダーになるなんて…アリス感激です!!」
「早速会いに行こうよ!!ねぇ~同じオートボットなんだから2人のコネでエクスカリバー見せて貰えないかな!?」
「それはダメだってよ。エクスカリバーは正義のためにしか振ることができないんだと」
「けっこう設定ちゃんとしてるね…。まぁ鞘に収まっててもエクスカリバーはエクスカリバーだし、とりあえずそのロデオドライブ…?って人に会いに行こうか」
「ロディマス・プライムだよ、お姉ちゃん…」
ロディマスがエクスカリバーを抜いたという話を聞いて、アリスは未来のオートボットのリーダーの誕生に感激する。モモイはオートボットのコネでエクスカリバーを見せてくれるようロディマスに頼むようせがむが、2人はロディマスに断られたと悲しそうに告げる。だが結局鞘に収まった状態でもいいと言って、一同ははるばるトリニティへと出発した。
謎の場所
“・・・”
“「ケイ」…”
“王女よ…あなたは自分の存在理由である「王女」を否定し…私の存在理由である「鍵」をも否定するのですか”
“存在理由を失った鍵は、もはや鍵ではない…そう呼ばれる必要もないように”
“…分かりました。それならば、私はあなたを見守る事とします。王女…いえ、「アリス」”
“しかし、誰も存在理由から逃れることはできません。アリス、それが私たちが迎える運命です”
“そして然るべき時が来たら…私は…”
ミレニアムが総力を挙げてその痕跡を探ろうとしているケイは、どうやらまだアリスの中に存在しているようであった。彼女は自分の運命を忘れ、“アリス”として過ごす彼女に不服のようである。
セミナー・執務室
「ふむ…。面倒事を全て私に押し付けるのですね、リオ。“名もなき神”の遺産に手を付けた挙げ句、計画が破綻した途端、“後は頼む”…だなんて。どのような事件を起こしたとしても、堂々としてこそ“ビックシスター”の名に相応しいと思いますけど…」
「うわぁ、すっごい!!モニターがいっぱいあるよ」
「マックス、部屋の中を走り回らないの。危ないでしょう」
「まあ…新雪のように高潔で、清水の如く透き通る私ですから、あなたのそんな我儘だって理解して差し上げましょう。さて…あなたは、私に何を伝えたかったのでしょうか」
「部長…誰も部長の話聞いてないよ…」
リオがアリスを要塞都市エリドゥに拉致し、ケイごと抹殺しようとした事件の事後処理をするため特異現象捜査部は再び要塞都市エリドゥへと訪れる。ヒマリとエイミと共にエリドゥを訪れたトランスフォーマーは2体。モニターの多さに驚いてはしゃいでいるのが、特異現象捜査部がデカグラマトンの調査をした際に研究所にて眠っていた謎多きトランスフォーマーのマックスである。彼はコグマンと同じくヘッドマスターであり、性格も相まって子供のようである。そしてその彼にはしゃがないよう注意しているのは、オートボットの女性戦士、エリータワンである。彼女は特に所属を決めているわけではないのだが、ヒマリに頼まれてデカグラマトンの調査を手伝ったことがある。
「これは…なるほど…仮説に推測を加えた解釈ではありますが…これほどのデータを確保したのであれば…あなたのその偏執的とも言える妄想も、少しは理解できそうです。さすがは、ビックシスター、といったところでしょうか…」
「ホント…よくこんな巨大な都市を私たちにバレずに作ったものね」
「…まあ、だとしても“全知”と呼ばれる超天才病弱美少女の私の方が、優れているのですけどね」
「それは部長が勝手に言ってるだけでしょ」
「ひゃっ…!?エ、エイミ、いつから…それにマックスにエリータワンまで…」
「アンタ今まで私たちがここに居たことに気付いてなかったの?」
ヒマリはリオが残したデータを閲覧して、彼女が何を考えていたのかを少し理解できたようである。ヒマリがその場でブツブツと喋っていると、エイミがツッコミを入れたため彼女はようやく周りに人がいることに気付いた。どうやら別の部屋にいると思っていたようである。
「特異現象捜査部は、元々リオ会長の直属組織でしょ。私もこの場所は知ってるよ」
「なんだ、エイミは知ってたのね」
「それで、会長はなんて?」
「そうですね…重要な情報は厳重なセキュリティ下にあるので、確認に時間がかかるとは思いますが…要約すると、“別の『特異現象』に備えろ”…と」
ヒマリはリオに信用されていないためエリドゥの居場所を知らされていなかったようだが、エイミはこの場所を知っていたようである。そしてリオはヒマリたちに、“名もなき神”とは違う他の『特異現象』に備えるよう警告した。
「これはビックシスターからの警告です。近い将来…キヴォトスに未曾有の危機が訪れるでしょう」
「それなら心当たりがあるわよ」
「例のユニクロンという存在でしょうか…?」
「そうよ。アタシもオプティマスから聞いて初めてその存在を知ったけど、それがキヴォトスへと向かっているって話よ」
「星を喰らい宇宙を彷徨う災厄ユニクロンか…」
リオの言う未曽有の危機がユニクロンの襲撃を指すと、エリータワンは推測する。ユニクロンについては、ヒマリたちも気にしているようでその謎の存在を警戒していた。
「…私は、何をすれば良いでしょうか?」
「「「「!?」」」」
「ひゃあっ…!?い、いつから…!?」
「この姉ちゃん、最初からいたよ。ずっと僕たちの様子を伺ってた」
「会長の専属メイドの…トキ…?」
特異現象捜査部が未曾有の危機について思案をしていると、後ろからトキが声をかけて一同を驚かせる。どうやらマックスが言うにはこの部屋に入ってきたときから、ずっと彼女たちの様子を伺っていたようである。
「へえ、さすがはエージェントってとこかしらね?私のセンサーを反応させないなんて」
「てっきり会長についていったんだと思ってたけど」
「いえ。会長は、私に“これからは自由に暮らしなさい”と残して去りました。ですが、何をどう自由にすればいいのか…私には分からず…そうして、会長と過ごした場所にいたら皆さんが現れたのです」
「ふむ…元はC&Cの所属ですから、そちらに身を寄せることになったと聞きましたが…断られたのでしょうか?」
「いえ、先輩方には良くしていただいております」
忍び寄る気配を感じさせなかったトキを、エリータは流石エージェントだと褒める。エイミは彼女が主のリオについて行ったと思っていたようだが、彼女はトキに好きにするよう命じたため、この場所にいたようである。ヒマリはC&Cのメンバーに加入を断られたのかと予想するが、それも違うようである。
「ですが…その…」
「…なるほど。おおよその状況は理解できました。意外と可愛いところがあるのですね、トキは」
「別にアンタが気にすることでもないでしょうけど」
「もしも…何か危機が迫っているのでしたら、私もお力になりたいです。それがどのような事態であろうと」
どうやらトキは以前敵対していたC&Cと一緒にいるのは気まずいようで、彼女たちの元にいるのは気が進まないようである。だがそれでも誰かの力になりたかった彼女は勇気を出してヒマリたちに声を掛けたのである。
「…どうする、部長?」
「答えなど明白でしょう、エイミ?協力者は多ければ多いほど良いものですよ」
「…ありがとうございます」
「さて、これからですが…まずは“シャーレ”の協力を仰ぎましょう」
「やっぱそうだよね」
そんなトキを見てヒマリは嬉しそうに、彼女の協力を快く受け入れる。そしてメンバーが揃ったところで、ヒマリはシャーレに協力を要請するのであった。
「ねぇねぇ、これなぁに?」
「これはリオ様の製作した迎撃用ロボアヴァンギャルド君の元となった原初のアヴァンギャルドです。アヴァンギャルド君はオートボットも苦戦するほどの凄いロボットなんですよ」
「まぁ別に間違っては無いんだけど…」
「へぇ…じゃあこれをヘッドオンすれば…」
「「「それは止めなさい」」」
子ウサギタウン
「準備は終わった。頼んだぞ、モエ」
「いいんだよね?本当にやっちゃっていいんだよね?はぁ、はぁ…」
「ここまで来たんだ、逃げるという選択肢は無い。さあ、思う存分やるがいい!」
「じゃあ遠慮なく…ファイヤーーー!」
ボォォォォォォ…!!
子ウサギタウンではRABBIT小隊が住民に頼まれて、蜂の巣の駆除を行っていた。彼女たちは火炎放射器を持ち出して、蜂の巣を焼却しようとしていた。
「うわ…!巨大スズメバチの巣が、あっという間に焼き尽された…」
「ハッハッハッ!!大炎上ジャン!!」
「ありがとうございます!倉庫でハチの巣を見つけた時、本当にどうしようかと…」
「いえ、市民を脅かす危険の排除もSRTの責務ですから」
「ああ。スズメバチの巣を下手に民間人が触ったら、怪我するかもしれない。スズメバチは神経毒を持ってるからな。万全の準備をして、一気に燃やしてしまうのが得策だ」
焼け落ちていくスズメバチの巣を見て、お店の店主は彼女たちにお礼を述べる。それにミヤコは市民の危険を取り除くのが自分たちの仕事だと答えた。
「なになに、もう終わり?巨大スズメバチの巣があるって聞いたから、1時間くらいは燃やせると思ったのに…残念」
「今度ワスピーターに会ったら燃やせばいいよ。アイツもハチだし、1時間くらいは燃えるだろうよ」
「以前は業者を呼んだり、消防署にお願いしていましたが…子ウサギタウンの再開発が決まってからは、役所やインフラも全部なくなってしまって…なので、ある程度は自分たちで解決するしかないんです」
「それは…中々に大変だな」
「ですが、やはり困ることが多くて…我々も潮時かなと…思っていたところです」
モエがあっさりスズメバチの駆除が終わってしまい残念がっていると、ラットルはワスピーターを焼こうと提案する。店主は子ウサギタウンの再開発が決まったことで生活に重要な施設が撤退してしまったため、途方にくれておりRABBIT小隊たちの助けは渡りに船であった。
「…また困ったことがあった時は、公園にいらしてください。SRTの隊員として、市民のためでしたらいつでも協力いたします」
「それは…頼もしいですね」
「我々サイバトロンも協力しよう。いつでも頼ってくれ」
「すみません、助けていただいたのにお礼をすっかり忘れてました」
「いえ、私たちは当然のことをしたまでです…」
「行ってしまったな…」
今後のことを心配する店主にミヤコとコンボイはいつでも協力すると宣言する。しかし店主は2人の話をよそに、お礼を渡すために厨房に走っていった。
「どうぞ。うちの店の焼き鳥パックです。今はあまりお客さんも来なくなってしまいましたが…少し前までそこそこお客さんが来ていたので、味の保証はいたします」
「チルドの焼き鳥パック…それも新鮮なネギが入った…」
「賞味期限も切れてなければ、状態も良い…」
「私たちにこれを…無料で…?」
「良い匂いジャン…」
店主が持って来たのは子ウサギタウンの再開発によって余ってしまった焼き鳥であった。その新鮮でおいしそうな焼き鳥を見て、RABBIT小隊はお腹が空いてきていた。
「あ、あれ?何か問題でもありましたか…?焼き鳥が苦手でしたら…」
「「「「「ありがとうございます!!」」」」」
子ウサギ公園
「美味しい…」
「うむ…今回のは上手く焼けたな。しっかり炭火の味がする」
「火の調整がうまくいったんダナ」
「新鮮なネギの香りと鶏肉の脂が、本当によく合いますね」
「カリカリに焼けた皮がジューシで最高ジャン!!」
自分たちの拠点に帰ったRABBIT小隊一同は、お礼の焼き鳥をライノックスが作った焼き鳥焼き機で焼き直していた。炭火で焼いた焼き鳥はスーパーで売っている物とは違う美味しさがあり、彼女たちの舌を唸らせた。
「ふぅ…こんな新鮮なご飯は、いつぶりだろう…」
「最近は塩漬けの肉の缶詰とか…その辺に生えてるキノコとか、ライノックスが探し出した草とか木の実とかだったからなぁ」
「どうせ冷蔵庫も無いし、貰ったお肉全部焼いちゃおっか!」
「う~ん…やっぱり常に電力が必要な冷蔵庫を公園で運用するのはどうしても難しいんダナ」
サキはこれまでの食生活を思い出し、焼き鳥の美味しさを改めてかみしめる。モエが冷蔵庫が無いので残りの肉を全部焼くと宣言すると、ライノックスは冷蔵庫の運用の難しさに頭を悩ませていた。
「…平和ですね」
「ああ。この焚き火を眺めてると、まるでキャンプにでも来たみたいだ」
「ふふっ…そう思うと、なんだか楽しい」
「最近はヴァルキューレも連邦生徒会もデストロンも静かですし…シャーレの先生からも、連絡がありませんね」
焼き鳥を食べ終えて、一同は焚き火を囲んで眺めていた。ヴァルキューレの襲撃を終えてからは、大した事件もなくシャーレの先生からも連絡がないので、平和を謳歌していた。
「デストロンのことも気になるが…目下の心配事はユニクロンだな」
「オイラたちも歴史の教科書でしか知らないけど…あんな怪物どうにかできるの?」
「そりゃあロディマス・コンボイ司令官が倒したんだし、倒せるはずジャン?」
「あの時のようにみんなで力を合わせればきっと勝てるんダナ。ロディマス司令官も“宇宙を一つに”って言ってたでしょ」
「ライノックスの言う通りだ。我々やオートボット、そしてキヴォトスに住まう者たちが力を合わせれば、不可能はない!!」
ユニクロンが近づいていることについては、サイバトロンのみんなにも共有されているようで、コンボイもそのことを心配していた。だがライノックスはみんなで力を合わせれば勝てるはずだと言って、コンボイも彼の言う事に同意していた。
「あ、そうだ。前にもらったサイダー、飲む?冷蔵庫が無いから噴水に入れておいたんだけど…今ならすっごく冷えてると思うし!」
「それって、前に不良を追い払ったときにソラからもらったヤツか?久々の炭酸飲料だから“大事な日に飲む”と言っていた記憶があるんだが…」
「だから、今日こそ飲むべきでしょ!こんな美味しい焼き鳥を食べられる日、そうそうないよ?」
「それじゃあオイラは取っておいたキノコも焼いちゃうぞー!!」
「…そうだな。では早速持って来るとするよ」
モエは焼き鳥だけでなく特別な日に取っておいたサイダーを飲もうと言い出し、それを聞いたラットルはテンションが上がって秘蔵のキノコを焼き始める。サキもテンションが上がっている2人を見て、今日は良いかと思いサイダーを取って来るのであった。
今日もここキヴォトスではトランスフォーマーたちが住人たちと共に生活している。彼らは故郷とは違うこの水の星の生き物たちに愛を込めて接している。
だが、キヴォトスに未曾有の危機が迫っていた。
これは、キヴォトスの生徒たちとトランスフォーマーたちが史上最大の危機に立ち向かう物語である。
水の星に愛を込めて
新キャラのマックス君です。
彼はヘッドマスターです。
ユニクロンを倒すためには宇宙へ飛ばなきゃ行けませんが本船は宇宙まで行けません。でも宇宙戦艦とヘッドオンできるトランスフォーマーがいれば...
話は別ですよね。
エリータワン:オートボット、ディセプティコン双方に恐れられるアネゴ。今回は特異現象捜査部と一緒にいたが、本来の所属はない。ただデカグラマトンの調査をヒマリたちと一緒に行ったため、現状マックスの保護者みたいになっている。