TRANSFORMERS Blue_Archive   作:H2O(hojo)

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センチネルの教えを受け継いだ、サクラコとウルトラマグナスと
オプティマスの後を継ぐことが決まった、ロディマスの二つの意味があります。


プライムを継ぐもの

アリウス自治区・某所

 

「こ、こちらです…!見つけました!」

 

「サクラコ様、こちらに」

 

「…なるほど、やはりここでしたか。最後の聖徒会長が残した…“ユスティナ聖徒会の礼装”。アリウスを弾圧しながらも、彼らのトリニティ自治区外脱出を助け、復興を支援した、かの聖徒会長は…後継者に渡るはずの礼装を…ここ、アリウス自治区に隠していたのですね」

 

「代々組織の長が手にする礼装…つまりはマトリクスと同じようなものか」

 

「…何故、これを手放したのですか?後悔…それとも責任感ですか? …その後、ここで起きた悲劇を、あなたは…いえ、私がその理由を知る術はありませんね」

 

シスターフッドはサクラコに率いられて、アリウス自治区の調査をしていた。彼女たちはユスティナ聖徒会長が残した礼装を探していたようで、ようやくここアリウス自治区の奥地で発見したのである。そしてそんなシスターフッドに同行しているのは、センチネル・プライムとベアトリーチェの野望をロディマスと共に粉砕したことが評価され、彼女たちの監視下に置かれるという形で自由を与えられたウルトラマグナスである。

 

「ユスティナ聖徒会の最後の意志は、シスターフッドの代表である私が…正当な継承権限をもって引き継ぎます。…これ以上、ユスティナ聖徒会の権威が失墜するのを看破する事はできません」

 

「さ、サクラコ様…!こちらに…!」

 

「分かりました」

 

「こ、これを…」

 

「これは…」

 

ユスティナ聖徒会の遺産を手にしたサクラコは、ユスティナ聖徒会の権威のためにこれを引き継ぐと、この場にいるシスターフッドのメンバーに宣言する。そしてシスターフッドの1人が彼女に何かを見つけたことを報告すると、一同はその場所へと急いだ。

 

「…すぐにシスターフッドの司祭をここに」

 

「は、はい…!」

 

「アリウス自治区で、例のアレが起きていたとすれば…。事態は思ったよりもずっと…深刻かもしれません」

 

「やはり…我ら最大の怨敵、ユニクロンは本当にこの惑星に向かっているのだな…」

 

「はい。我が師の言う通り、ユニクロンの魔の手は我々のすぐそこにまで迫ってきているようです」

 

ベアトリーチェが儀式を行っていた場所に来たサクラコたちは、その場にあった悪魔のような姿が書かれているステンドグラスを見上げる。そしてサクラコをそれを見て何かに気付いたようで、司祭を呼ぶよう部下に命じる。どうやらそのステンドグラスは、ユニクロンと関係のあるもののようであった。

 

 

 

 

 

トリニティ・議事堂

 

「…では、三度にわたって行われた本聴聞会により、ティーパーティーの聖園ミカに次の結論を下す」

 

「・・・」

 

「一つ、聖園ミカのティーパーティーとしての全権限を剥奪する。個人邸宅及び個人の活動費、特別校舎での授業など…ティーパーティーとしてのすべての特権はこれより提供されない。二つ、パテル分派内で行われた会議にて、聖園ミカのパテル分派における代表性について疑問が呈されたため、パテル分派は固有の権限を行使し、新しい代表を選出する。ただし、新しい代表が選出されるまでは聖園ミカの権限を維持する」

 

「・・・」

 

「三つ、聖園ミカの拘禁は現時間を持って終了とし、学業に復帰することを許可する。ただし、己の立場を常に意識し、学業以外の自粛を求めるものとする」

 

トリニティの議事堂では3度目の聴聞会が行われ、ミカ、ナギサ、セイアの三人も出席してミカの判決を傍聴していた。聴聞会の議長はミカに三つの結論を下し、彼女はそれを黙って聞いていた。

 

「以上、これが聴聞会によるトリニティ生の意見である。聖園ミカ、異議があれば申し出るよう」

 

「ううん、無いよ」

 

「では最後に、何かあれば発言を」

 

「…与えられた機会に感謝し、決定に従います」

 

「…では、これにて閉会」

 

議長はミカへの要求を言い終えると、彼女に異議があるかと問う。それにミカは無いと言い、与えられた機会への感謝を述べ、聴聞会は閉会した。

 

「ミカ…」

 

聴聞会の様子を議事堂の外でモニターで見ているロディマス・プライムは、静かにミカの名前を呟いていた。

 

 

 

 

 

補習授業部・教室

 

「重大発表がある」

 

「アズサちゃん…?」

 

「重大発表、ですか?」

 

「な、何?そんな怖い顔して…どうしたの」

 

一方補習授業部の教室ではアズサが重大発表があると言って、みんなを一か所に集める。アズサが真剣な顔をしているため、他の3人はその重大発表の内容が気になっていた。

 

「みんなよく聞いてくれ。この前、情報屋を通じて極秘情報を入手した…これは非常に重大な事件だ」

 

「ご…極秘情報…?」

 

「情報屋?」

 

「重大な、事件…?」

 

アズサは補習授業部のみんなに、情報屋を通じて極秘情報を入手したと告げる。それを聞いた一同は、困惑した表情でアズサを見つめる。

 

「記録上にしか存在しない、伝説の…“ペロロジラ”のぬいぐるみがある場所を発見した」

 

「・・・」

 

「ペロロジラ…?」

 

「ああ。良く聞いてくれ、ペロロジラとは…」

 

「ペロロジラですか…!?」

 

アズサの手に入れた重大情報というのは、伝説のぬいぐるみと言われるペロロジラのことであった。コハルとハナコはそれを聞いて頭に疑問符を浮かべるが、ペロロ様好きのヒフミはそれを聞いてアズサの言ったことに興奮していた。

 

「アズサちゃん、それは本当ですか?ペロロジラのぬいぐるみって…輸送中に船が沈没してしまって、市場に流通される事がなかったという、伝説の…!?その事件で、ぬいぐるみの下請け業者は破産してしまい…再販されることはなかったという、オーパーツみたいなものなのに!?それが、存在してるってことですか!?」

 

「さすがですね、ヒフミちゃん」

 

「ああ、さすがヒフミ。その通りだ。今は消失してしまった商品だが…大量生産の前にデザイン監修用として作られたサンプルがあったとかで…これまではコレクターの手に渡っていたのだが…最近、その内の1つが市場に出回ったそうだ」

 

「な、なるほど…それなら確かに、あり得る話です」

 

「えっ…?ついていけてないの私だけ?」

 

ペロロジラの話を聞いてヒフミは興奮したようにペロロジラが伝説と呼ばれた経緯を話し始める。ヒフミとアズサでペロロジラについて興奮して話しているのを見て、コハルは自分だけついていけていないことに困惑していた。

 

「で、ですが、それってお高いのでは…私の貯金じゃ…いえ、私たち4人のお金を合わせてもおそらく入手は難しいような…」

 

「え!?私たち4人!?なんで!?」

 

「の、残さえれた方法は…あ、あうう…やっぱり、手っ取り早いのは…」

 

「な、何でスマホを出すの?誰に連絡するつもり?やめて!とりあえずやめて!」

 

「あらあら♡ヒフミちゃん、本気の目をしていますね」

 

ヒフミは伝説のペロロジラを何としても手に入れようとしているようで、補習授業部の4人のお金を計上しだす。そしてそれでも足りないと考えた彼女はスマホを取り出して、電話を掛け始めたところをコハルに止められた。因みに彼女が連絡しようとした相手は、アビドスの砂狼シロコである。

 

「で、でも伝説のグッズを手にいれるためには…色々なものを犠牲にすることもやむなしでして…」

 

「何言ってんのヒフミ!しっかりして!!」

 

「いや…私はただ、一緒に見に行こうという話をしたかっただけなんだが…」

 

「は、はい!?そ、そうだったんですか?あ、いえ、それが普通だとは…思いますが…」

 

暗黒面に堕ちそうなヒフミを見て、コハルは彼女にしっかりしろと連れ戻す。アズサはペロロジラを手に入れようと提案したのではなく、一緒に見に行こうと誘っていたようで、ヒフミの反応に困惑していた。

 

「…必ず手に入れなければならないのか?分かった。ヒフミが望むのなら、そうしよう」

 

「へっ!?」

 

「私はこの類の訓練は受けていないから、専門家に比べたら上手くないと思う…だが、なんとかなるはずだ」

 

「え!?あ、いえ大丈夫ですアズサちゃん!私も目を覚ましたから、そこまでしなくて大丈夫です!」

 

「…そ、そうか?」

 

ヒフミの熱量を見たアズサは、ペロロジラを手にいれるために強奪の計画を立てはじめる。その様子を見てヒフミはようやく目を覚まし、アズサのやろうとしていることを止めるのであった。

 

「はい!見るだけで大丈夫です!伝説の“ペロロジラ”のぬいぐるみを見る事ができるなんて、幸せです!」

 

「そうか。なら、こうしてる時間がもったいないな。すぐに出発しよう」

 

「はい!行きましょう!ホットロッドさんに車にトランスフォームしてもらって!!あ…」

 

「「「・・・」」」

 

気を取り直して2人はペロロジラを見るために、補習授業部の教室を飛び出そうとする。ヒフミはホットロッドに乗っていこうと思い、彼の名前を呼ぶが彼は今補習授業部と一緒にいないことを思い出してしまった。

 

「ホットロッドさんは…今はいないんでしたね」

 

「そうだな…サオリ達を助けてくれたらしいけど、やっぱり寂しいな…」

 

「名前もロディマス・プライムってなんか、凄そうになっちゃって…」

 

「・・・」

 

「ハナコちゃん?」

 

ホットロッドがロディマス・プライムになりティーパーティー所属に戻らざる負えないことを、補習授業部の一同は寂しがっていた。そして4人の中でハナコだけが、寂しそうではなく怒っているような顔をしていることにヒフミは気づいた。

 

「本当に…どうしようもない人」

 

「ちょっとハナコ、それは言い過ぎじゃ…」

 

「自分でも分不相応だって分かってるくせに、誰かから受け継いだからってあんな大きな物を1人でしょい込んで…。オートボットの次期リーダー候補はそれこそ他にいるでしょうに何でわざわざ彼がプライムなんかに…」

 

「ハナコちゃん…」

 

「本当の彼は釣りが好きで、みんなに優しい人なのに…誰も彼も称号や伝説ばかりに気を取られて本当の彼を見ようともしない。本人はそれで苦しんでいるとも知らずに…」

 

ハナコはホットロッドのことをどうしようもない人と言って、コハルに言い過ぎだと注意される。そしてハナコはみなロディマスの称号ばかりに気を取られて、本当の彼を見ようともしないことに憤っていた。

 

「もしホットロッドが苦しんでいるのなら、今度は私たちが彼を助ければいい」

 

「ロディマス・プライムという名前に変わってしまいましたが、私たちにとってはホットロッドさんはホットロッドさんです」

 

「そうね…やっぱり変だもの、今のホットロッド」

 

「うふふ…♡そうですね」

 

ハナコの話を聞いて他の補習授業部のメンバーは、ロディマス・プライムになってもホットロッドはホットロッドであると述べる。聖剣を手に入れても、プライムになっても、彼女にとってはホットロッドなのである。

 

 

 

 

 

怪しげな店

 

「ここですか?」

 

「トリニティ郊外にこんな場所があったなんて…知りませんでした」

 

「うぅ…私は何でここに…」

 

「マスター、ここに例の物があると聞いた」

 

「ふふ…やれやれ。あなたもまた、伝説の代物に惹かれてやってきたお客様ですか…」

 

気を取り直して補習授業部はペロロジラを一目見るために、トリニティの郊外へと訪れる。怪しげな店にはパグタイプの住人がおり、どうやらこの人物がペロロジラを持っているようである。

 

「本来なら、一目見る事さえ叶わない逸品ですが…お客様方には、特別にお見せしましょう」

 

(ドキドキ) (ごくり)

 

バァァァァァァァン!!

 

「…!?」

 

「…あれ?こ、これは…」

 

「ふふふ、いかがでしょう?これが、伝説のペロロジラ1/1000スケールぬいぐるみです!驚いて言葉も出ないでしょう?」

 

マスターは目の前で今か今かとペロロジラの登場を待ちわびるヒフミとアズサを見て、特別に見せると言って例の物を準備し始める。そして遂にみんなの眼前に現れたペロロジラの人形であったが、2人の反応は微妙であった。

 

「これは…ペロロジラじゃない」

 

「はい、これはペロロサウルスです」

 

「な、何ですって!?」

 

「うーん…似たようなものじゃないんですか?」

 

「違います、全ッ然違います!」 「これだから素人は困る」

 

2人の反応が微妙だった理由は、目の前の人形がペロロジラではなくペロロサウルスだからである。ハナコは似たようなものではと言うと、2人は食い気味に全然違うと彼女を批判した。

 

「よく見てください!ペロロジラは、もっとふくよかで、長い舌が特徴なんです」

 

バッ!!

 

「そしてこれがペロロサウルス。服を着ているように見える、顔の描写がポイントです」

 

「この2つは完全に異なるものだ。類似品ですらない」

 

「そんな…!?闇市で大枚はたいて仕入れたのに、違うだと!?」

 

ヒフミとアズサはペロロサウルスのぬいぐるみとペロロジラの画像を見せて、ハナコたちにその違いを説明する。ペロロジラと聞かされていたにも関わらず、別の商品を掴まされたマスターは、悔しがっていた。

 

 

 

 

 

トリニティ・第五ゲート

 

「ペロロジラ…実物を見たかった…」

 

「元気出してください、アズサちゃん…たとえペロロジラには会えなくても…私たちの心の中に生きています」

 

「うふふ…お二人とも、元気を出してください」

 

「あれ…?」

 

ガヤガヤガヤガヤ…

 

結局ペロロジラを見れなかったヒフミとアズサは、ガッカリしながら帰路に就く。ハナコが2人を励ましていると、近くから何やら騒がしい声が聞こえてきた。

 

「聴聞会の判決を撤回せよ!」

 

「裏切り者に情けなどいらない!」

 

「魔女を吊るし上げろ!!」

 

ズダダダダダダダダダダダ!!

 

「み、皆さん発砲は禁止っす。空に向かった撃たないでください…あ、隣の人にも撃っちゃダメっす」

 

騒がしい声の原因はミカの判決に不満を持つ、トリニティの生徒たちである。そして彼女たちが議事堂に入らないように、イチカは必死に彼女たちを宥めていた。

 

「あれは…?」

 

「…聴聞会の判決に納得していない生徒たち、ですね」

 

「…なるほど。聖園ミカの処遇について反対する者か…」

 

「もう何日目よ!まだ飽きないの?ホントもういい加減にしてよね!」

 

「あう…でも、集会の自由というものもありまして…」

 

騒ぎ立てる生徒たちを見て、ハナコは彼女たちのことを冷ややかな目で見つめる。他の3人も連日騒ぎ立てる彼女たちに、うんざりしているようであった。

 

「…パテル分派代表の座が空席となり、その後に訪れる政治的混乱を利用しようとする勢力…」

 

「?」

 

「そして権威が失墜したティーパーティーの地位を狙う政治家…この状況を面白がり、便乗して石を投げる者…」

 

「ハナコちゃん…?」

 

「うふふ…結局、トリニティは毒蛇の巣窟という事です♡」

 

「あ、あうう…」

 

ハナコはミカがティーパーティーとパテル派代表の降ろされたことで生じる政治的混乱によって、様々な陰謀が蠢くトリニティを毒蛇の巣窟と評する。コハルとヒフミは彼女の言葉にどう反応していいのか分からなかった。

 

「…この先、ミカさんは険しい道を歩むでしょう」

 

「た、たしかにやった事は悪いことかもしれないけど…なにもあんな風にしなくたって…」

 

「アズサちゃんは大丈夫ですか?」

 

「私は…ミカは、先生やホットロッドと一緒にアツコを助けたと聞いた。それだけじゃない。サオリも、ヒヨリも、ミサキも…スクワッド全員を助けた、と。…その事実がある以上、私がミカを憎む理由はない。むしろ、こうして寄ってたかって1人を攻撃する状況の方が嫌だ」

 

「だからといって、この人たちを攻撃しちゃダメですよ、アズサちゃん…」

 

「分かってる…」

 

トリニティの現状を見てハナコは、ミカはこれから苦難の道を歩むだろうと推察する。そしてある意味彼女の被害者であるアズサだが、彼女は寄ってたかってミカを攻撃するこの状況を嫌だと感じていた。

 

「…そうですね。ここにいる方々も、アズサちゃんのような気持ちを持てたら良いのですが。“赦しと慈悲を知らない私たちであったとしても…いつか救われる日が来るのでしょうか?”」

 

「それは私にも分からない。だが、たとえどのような結末が待っていようと…」

 

「“努力しなければならない”…でしょ!」

 

「あら?コハルちゃん、よくご存じですね」

 

「ま、まあね。アズサがいつも言ってるから覚えたの」

 

ハナコはトリニティのみんながアズサのような気持ちを持てたらと言って、ある聖典の一節を呟く。それにアズサは分からないと答えると、いつもアズサが言っている“たとえどのような結末であろうとも、努力しなければならない”とコハルが述べるのであった。

 

「…ふふっ。流石コハルちゃん、友達のことは知り尽くしているんですね♡」

 

「はっ!?わ、私は…!」

 

「ありがとう、コハル。私もコハルの事、もっと知りたい。また今度、あの時みたいに一緒にお風呂に入ろう」

 

「な、なっ…!?」

 

アズサの言葉をよく覚えていたことをハナコに指摘されたコハルは、顔を赤くする。そしてアズサはその事を嬉しく思い、彼女のことをもっと知るために風呂に入ろうと言い出し、さらに慌てさせる。

 

「あら♡私もそこに混ざっても?」

 

「あ、あんたはダメ!!あんたが混ざったら絶対変な事するでしょ!ダメ!禁止!」

 

「あ、あうぅ…」

 

キャー!!キャー!!

 

「ん?何かさっきとは違う感じになったような…」

 

そしてハナコはコハルを揶揄うように、自分も混ざっていいかと尋ねると案の定彼女は顔を真っ赤にして拒否する。そして補習授業部がそんなことをしていると、先ほどの怒号が何故か黄色い歓声に変わったことに、アズサが気付いた。

 

「ロディマス・プライム様ー!!」

 

「伝説の勇者様よー!!」

 

「こっち向いてー!!」

 

「き、君たち…分かったからどいてくれないか…危ないから…」

 

「「「「・・・」」」」

 

その黄色い歓声の先にいたのは、トリニティ伝説の勇者となったロディマスである。彼はトリニティを救ったことで、トリニティの生徒たちからチヤホヤされる立場になってしまい本人も困惑していた。

 

「その慈悲深い御心で、素行の悪い生徒を改心させたというのは本当ですか!?」

 

「な、何の話だ…?補習授業部のことを言っているなら、それは私のお陰ではなく…彼女たちの頑張りで…」

 

「キャー!!謙虚なところも素敵ー!!」

 

「ま、まるでアイドルみたいですね…」

 

「本人は不本意みたいだがな」

 

トリニティの生徒たちにはロディマスが補習授業部の生徒たちを改心させまともにさせたと伝わっているようで、本人がそれを否定しようとするも彼女たちは聞く耳を持たない。ロディマスを持てはやす彼女たちを見て、補習授業部は冷ややかな目線を向けていた。

 

「ロディマス・プライム様!!どうか裏切り者の魔女に正義の断罪を!!」

 

「そうだそうだ!!あの判決は納得できない!!」

 

「・・・」

 

「ちょ、ちょっと…ハナコ、顔が怖いわよ…?」

 

そしてトリニティの生徒たちは、ロディマスにミカを断罪するよう懇願し始め、彼をさらに困らせる。そしてその様子を見ていたハナコは普段の態度とは違い怖い顔をしていたため、コハルに心配されるほどであった。

 

バッ…!!

 

「ちょっ…!!ハナコ流石にこのタイミングは…」

 

ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

「アイスー、アイスいかがっすかぁー」

 

「ミレニアム製のー美味しい美味しいアイスですよー」

 

「はぁ?何あれ?」

 

「チッ…!!今ロディマス・プライム様とお話してるのに…」

 

トリニティの生徒たちに怒ったハナコはその場で服を脱ぎ出そうとして、コハルに止められていた。だがそのタイミングでアイスクリームを販売する車が彼女たちの元へ近付き、彼女たちのテンションが下がり始めていった。

 

「んん…一体、これは何事?」

 

「何これ!?アイリ、ちゃんと確認した?何かそれっぽいトラックみたいなのはあるけど…正直そんな雰囲気じゃなくない?」

 

「えっ!?見てみるね…午後3時トリニティ第5裏門…限定ショコラアイスクリーム、先着100個販売…うん、ここで合ってるよ」

 

「何かデモ中の生徒がいるね…というかあのオンボロトラックが本当にショコラアイスクリーム売ってるの?」

 

そして、アイスクリームトラックが通りかかったところに丁度放課後スイーツ部が現れる。彼女たちは先ほどまでデモをしていたため、ここで本当に限定アイスが売っていることが信じられないようであった。

 

「あーあ、あの変なトラックのせいで冷めちゃった…」

 

「まぁいいわ、ロディマス・プライム様とお話できる機会はまだあるもの」

 

「解散解散」

 

「というか、あんなオンボロ車でよくミレニアムからトリニティまでアイス売りに来られたわね。恥ずかしくないのかしら?」

 

オンボロのアイスクリームトラックが割り込んできたことによって、デモを起こしていた生徒はどんどんとその場から離れていくのであった。

 

 

 

 

 

その後

 

「君たちアイス買いにきたのかなー?」

 

「えっ…あ、はい」

 

「あの小さいのもトランスフォーマーなのかな?」

 

「そうじゃない?多分…」

 

「ふむ…何とも珍妙だね、彼らは…」

 

アイスクリームトラックの中にいるホィーリーはアイスを買いに来た、アイリに声を掛ける。トリニティでは彼のような小さなトランスフォーマーを見たこと無いようで、他のメンバーも不思議がっていた。

 

「限定のショコラアイスクリーム4つでお願いします…」

 

「まいどー」

 

「あなた達トランスフォーマーなの?ミレニアムが作った小型ロボットとかじゃなく?」

 

「そうだよー。オジサンはねぇー昔ディセプティコンで凄腕の諜報員として活躍してたんだよー」

 

「お、オジサン?」

 

アイリは恐る恐るホィーリーに、ショコラアイスを注文する。ヨシミは彼に本当にトランスフォーマーなのかと尋ねると、彼はあっさり自身の生い立ちを明かした。

 

「はい限定ショコラアイス4つね」

 

「ど、どうも…」

 

「ディセプティコンっと言ったな…」

 

「おっ、噂の勇者様じゃない!!」

 

「わ、私のことを知っているのか?」

 

モモイたちによってカップに注がれたアイスをホィーリーはスイーツ部に渡し、彼女たちはそれを恐る恐る受け取る。そしてディセプティコンという言葉を聞いたロディマスは、ホィーリーに話しかける。彼はホィーリーが自分のことを知っていたことに、驚いていた。

 

「スキッズとマッドフラップから話は聞いてるぜ。お前、次期プライムになったんだってな?」

 

「で、ディセプティコンなのにあの2人と知り合いなのか…?というか…そのアイスクリームトラック、2人がトランスフォームしているのか。近くに来るまで気付かなかったぞ…」

 

ビクッ!!

 

「「・・・」」

 

「おっと怒ってやるなよ?勇者様。俺たちは“元”ディセプティコンだ。もう連中とは無関係だぜ」

 

「べ、別に2人を問い詰めたかったわけではないのだが…」

 

そしてロディマスがこっちに来たのを見て、ブレインズもカウンターに顔を出し彼と会話を始める。ロディマスはアイスクリームトラックがツインズだとようやく気付き、2人はロディマスにディセプティコンとつるんでいることを叱られると思い気まずくなる。だが、ブレインズが自分たちは元ディセプティコンであると述べ、本人もその気があったわけではないため事なきを得た。

 

ヒソヒソ…

 

「やっぱトランスフォーマーだけあって近くで見ると結構大きいね、お姉ちゃん」

 

「あと結構老け顔…」

 

ヒソヒソ…

 

「い、言い過ぎだよモモイ…」

 

「・・・」

 

そしてアイスクリームトラックの奥では、ゲーム開発部がロディマスの様子を密かに伺っていた。彼女たちは各々彼に対する感想を述べていたが、アリスだけは静かに彼を見つめていた。

 

「あの~?」

 

「おっ!?新しいお客さんかな?」

 

「ヒフミ、アズサ、コハルにハナコ…!!ひ、久しぶりだな…」

 

「私達にも限定ショコラアイスとやらを頼む。4人分で」

 

「まいどー」

 

そしてスイーツ部だけでなく補習授業部の一同もアイス買いにトラックに近づく。久しぶりに彼女たちに会ったロディマスは、名前や姿も変わったこともあり気まずそうであった。

 

「あっ…思ったより美味しいわね」

 

「本当ですね~♡」

 

「そりゃあ、■■■■■の工場に忍びこんで製法をパクッて…」

 

バシィィィィン!!

 

「い、いやぁ…何言ってるでしょうねぇ?バグっちゃったのかなぁ?アハハハハ…」

 

「何も聞かなかったことにしよう…」

 

コハルはボロボロのアイスクリームトラックからこんなに美味しいアイスが出てくるとは思わなかったようである。ホィーリーはうっかりその理由を述べようとするが、速攻でモモイにぶん殴られて事なきを得た。

 

「君たちは何でわざわざトリニティまで来てアイスを売りに来たんだ?トリニティの生徒たちがこれほど美味しいと言っているんだ、ミレニアムでも売れるだろう?」

 

「それはえっと…そのぉ~」

 

「い、いやぁ…流石にミレニアムでも飽きられたというか…」

 

「アリスは勇者に会いに来ました!!」

 

「あっ…!!アリスちゃん…」

 

ロディマスはゲーム開発部がわざわざトリニティまで来てアイスを売りに来ているのか疑問に感じたようで、彼女たちにその理由を聞く。だがモモイとミドリは先ほど勇者と持て囃されて困っていた彼の姿を見ていたため、ロディマスに会いに来たと言うのに躊躇っていた。彼女たちが本当のことを言うのに戸惑うなか、アリスだけは本当の理由を口にしてユズを不安がらせた。

 

「勇者、というのは私のことか?」

 

「はい!!アリスは同じ勇者の仲間に会うために来ました!!」

 

「私は君が期待するような存在ではないよ、残念ながらね」

 

「そうなのですか?アリスは伝説の剣を抜いてトリニティを救ったと聞きましたが、違うのですか?」

 

「「「「・・・」」」」

 

勇者という言葉を聞いて、ロディマスは自分のことかと問いかえす。彼の問いかけにアリスは元気よく答えるが、彼は自分はそのような存在ではないと否定してしまう。

 

「伝説の剣を抜いたのはただの偶然だ。それにトリニティを救ったのは先生やアリウススクワッドたちやディセプティコンやミカ、それに親友のお陰だ。私1人の力ではない。だというのにみんなは私がトリニティを救ったと思っている…。私にはそれが申し訳ないのだ」

 

「いいえ、そんな事はありません。貴方はアリスと同じ勇者です!!」

 

「えっ?」

 

「勇者は伝説の剣を偶然抜くものだと決まっています。それに、アリスもここにいる仲間たちに沢山助けて貰いました。勇者はパーティーの仲間たちと助け合って世界を救うんです!!」

 

彼はストームレインたちから受け継いだエクスカリバーをただ偶然手に入れたと思っており、さらにはトリニティを救ったのも仲間たちの力が多いとし、自分は大したことをしていないとアリスに述べた。だがアリスはそれでもロディマスを勇者だと言う。彼女は勇者は偶然にも聖剣を抜いて、仲間と共に世界を救う存在だと信じているのである。

 

「それに…まだ私達には世界を救う戦いが残っているはずですよ?」

 

「マダムが儀式で呼び出そうとしていたという、ユニクロンか」

 

「そうです!!私たちの戦いはこれからです!!」

 

「アリス、それじゃあ打ち切りになっちゃうよ…」

 

「お前たち…」

 

そしてハナコはロディマスにまだ世界を救う戦いが残っていると言って、彼を鼓舞する。ベアトリーチェが呼び出そうとしたユニクロンは、キヴォトスを喰らうために今にもこのキヴォトスへと向かってきているのである。

 

「さぁ勇者ロディマスよ、私たちと一緒に魔王を倒し世界を救うのです!!」

 

「あぁ、ありがとう。君のお陰で少し気持ちが軽くなったよ。共にユニクロンを倒そう」

 

「はい!!勇者同士の約束です!!」

 

「ホットロッドさん、元気を取り戻したみたいで良かった…」

 

「まったく…身体は大きくなっても繊細なんだから」

 

アリスや補習授業部の言葉でロディマスはようやく元気を取り戻す。それを見た補習授業部たちも、彼が元気になったことに安心するのであった。

 

 

 

 

 

「ところで、あの人たちが話してるユニクロンって何?」

 

「さぁ~、洋服のブランドか何かじゃない?何か響きがそれっぽくない?」

 

「世界を救う~みたいなことを言ってたから、ゲームの話じゃないかな?私はゲームとかあまり詳しくないからよく分からないけど…」

 

「世界は未知と不思議に満ちている…」

 

現在ユニクロンの情報は公的には未発表なため、トランスフォーマーや一部の生徒にしかその脅威は伝わっていない。トランスフォーマーと関りを持たない彼女たちが知らないのは当然である。

 

だが、そんな平和に暮らす彼女たちの元にユニクロンの影は迫ってきているのである。




ホットロッドがロディマス・プライムになったことにハナコは無茶苦茶キレてます。誰も彼もが伝説の勇者の剣を受け継いだことと、プライムの称号を手に入れた彼しか見ておらず、本当の彼を見ようとしないことに昔の自分を重ねてます。
ロディマスをホットロッドとして見てるのはティーパーティーの3人と補習授業部の4人だけです。
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