TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
「はぁ…」
「アルちゃ~ん、さっきからため息ばっかりだよ、テキパキ荷物運ぼう?」
便利屋68はカイザーコーポレーションの依頼にまたしても失敗したため、事務所を引き払うため、荷物を詰めていた。
「はぁ…」
「社長どうしたの?」
「アルちゃん、事務所を引っ越すのがイヤみたい」
さっきから意気消沈でため息ばかりついているアルをムツキとカヨコはいつものように見ていた。どうやら彼女はこの事務所をとても気に入っていたようである。
「でも風紀委員会に場所を知られちゃったしょうがないでしょー?」
「あのカバンのお金も、残り全部あのラーメン屋の修理代として置いてきたし」
「しょ、しょうがないでしょ!!一緒に戦ったアビドスに恩を仇で返すマネなんてできないじゃない…私はハードボイルドなアウトローになるんだから!!」
「はぁ…」
それを聞いてカヨコは呆れたようにため息をつく。しかしその直後口元に笑みを浮かべる。
「本当に、手のかかる社長だ」
「でもこういうのがうちのアルちゃんだもんね?一緒にいてすごく楽しい!」
「はい、私もそう思います!アル様!わ、私、アル様がいなかったらきっと今こうして生きていないはずなので…」
「う、うるさい!分かってるわよ!!」
そしてみなそれぞれアルへの想いを伝える。何だかんだ言って便利屋68はアルのカリスマによって成り立っているのである。そして彼女たちの言葉にアルは照れ隠しでそう叫ぶのであった。
便利屋は荷物をダイナボットたちに載せいく。
「よっと…これで全部ですね!積み終わりました!」
「俺スラージ、俺が一番荷物積んでる」
スラージはダイナボットの中で一番体格が大きく力持ちなため、こういう運搬の場面で役に立つのである。
「じゃあどこ行く?」
「うーん…」
便利屋が次の行き先を考えているとどこからともなく赤いトラックが現れる。
“みんな、気を付けてね”
そしてそのトラックの中から先生が現れ、便利屋たちに向かって声を掛ける。
「!!」 「えっ!?」 「シャーレの…!」
「あ、先生だ!来てくれたんだね!」
思いがけない人物の登場にムツキ以外の全員が驚きの表情を見せるなか、ムツキだけは素直に先生の来訪に喜んでいた。
「俺グリムロック、コイツ弱そうだな」
「俺スラッグ、喧嘩強くなさそう」
「俺スラージ、重い物持てなそう」
「俺スワープ、ヒョロヒョロだ」
強さこそ正義なダイナボットたちには先生は小さく弱い生き物に見えているようで、ボロクソに言われていた。
ギゴガゴゴ!!
「腕っぷしだけが強さじゃないぞ、ダイナボットの諸君。彼にはそこの彼女たちの実力を何倍にも引き出す力を持っているのだからな」
「ひぃぃぃぃ!!」
ダイナボットの言葉を聞いたオプティマスがトランスフォームして先生をフォローする。アルはアビドス市街でディセプティコン相手に大暴れしていたオプティマスが現れたので怯えて悲鳴を上げる。
「オプティマス・プライム…。ゲヘナにいたときに噂くらいは聞いていたけど、近くでみると凄い迫力だね…」
「うわー強そうだねー」
「だ、大丈夫ですかアル様?」
アル以外のメンバーも彼女ほどではないにせよ、オプティマスのその存在感に圧倒されていた。
「先生から話は聞いた。彼をダイナボットたちと共にディセプティコンの手から守ってくれたようだな。オートボットのリーダーとして感謝する」
「え、えぇ、まぁ、そうね…私たちはアウトローだもの、メガトロンに媚びへつらうようなことはしないわ!!」
(はぁ…また強がって…)
(メガトロンにめっちゃビビってたくせにね)
「流石ですアル様!!」
オプティマスの言葉にアルはまた強がって大口を叩いた。それを見ていたカヨコとムツキはアルのいつもの様呆れ、ハルカは目を輝かせた。
「ふむ、そのアウトローというのは一体どういう意味なんだ?それが君たちの強さの秘訣なのかな?」
「あの…そのぉ、いやアウトローというのは…ですねぇ…」
(こ、この人圧が強い…)
オプティマスはアウトローという言葉に興味を持ったのか顔を近づけてその意味を聞き出そうとする。アルは怖がっている彼に顔を近づけられて、口ごもってしまった。
“まぁ、それはそれとして、君たちも生徒の1人なんだから困ったことがあったら言ってね”
先生は怯えているアルに助けを出しつつ、彼女たちのことも自分の助けるべき生徒であると示す。
「ふっ、それはこっちのセリフよ先生。私たちは便利屋68。依頼があれば何でもアウトローにこなす何でも屋なんだから!」
そう言いてアルはポケットから一枚の紙を取り出し先生に渡す。彼女が先生に渡したのは名刺であり、そこには便利屋の連絡先などが記載されていた。
“ありがとう。何かあったらお願いするね”
「ふふっ、先生にはお世話になったから最初の依頼は特別にタダでやってあげるわね」
「じゃあね先生ー。またねー」
「俺グリムロック、ダイナボット出発だー」
グリムロックの号令により便利屋は事務所を跡にし、どこかへ行ってしまった。
便利屋を見送った帰り、2人きりになった先生とオプティマスは各々ヒナとメガトロンから与えられた情報を互いに共有していた。
「なるほど…キヴォトスを影から支配する大企業がこの広大なアビドス砂漠で何かを企んでいると」
“そうみたい。でもそれ以上はわからないんだ”
先に先生がカイザーのことについてオプティマスに伝えるが情報が少くなすぎるため、2人では答えが出ない。
「私はメガトロンからメガトロナス・プライムという言葉を去り際に聞いた。だがヤツは遥か昔に滅んだと聞いている」
“メガトロナス・プライムってメガトロンの親戚とか?”
「いや違う。だがメガトロナスはディセプティコンの創始者だ。メガトロンという名も彼から取っている」
先生の疑問に対しそう答える。そしてその流れでメガトロナス・プライムについて自分が知っている情報を話し始めた。
「メガトロナス・プライムは我々の始祖である13人のプライムのうちの1人だった。だが、他のプライムを裏切ったため、滅ぼされたとサイバトロン星では教えられた。遥か昔の遠い出来事ゆえ詳しいことはよくわかっていない」
“なるほど…”
オプティマスの情報も2人の抱えている疑問を解決するには至らず、結局後日カイザーが何かを行っている場所へみんなで行ってみようという結論で落ち着いた。
それから数日後アビドス高校にて
「柴大将にお見舞いに行った際、衝撃の事実が大将の口から飛び出してきました!!」
アヤネとセリカは柴大将のお見舞いから帰ってくるとすぐに、他のメンバーを学校に呼び寄せた。彼女たちの慌てようから、余程重大な事だということが他のメンバーにも察しがついた。
「アビドスの土地関連の書類を持ってきました。まずはこれを見てください!」
そういってアヤネは書類を机の上に広げる。アヤネが広げた書類はアビドス自治区の土地台帳、通称「地籍図」である。他のメンバーも書類を深刻そうな表情で覗き込んだ。
「土地の所有者を確認できる書類ですか?でもアビドス地区の土地は当然アビドス高校の所有で…」
「私もさっきまでそう思ってた!でもそうじゃなかったの!」
「午前中に大将にお見舞いに行った時に、話を聞いたんです」
そう言ってアヤネは柴大将が口にした言葉をみんなに伝える。曰く、ラーメン柴大将の土地は数年前からカイザーコーポレーションから退去通知が出ており、アビドス自治区の所有権の大半は現在カイザーが保有していることになっているという。そしてその事実を確認するため地籍図を参照したところ、大将の言っていたことは本当だったことがわかったのだ。
「…!!」 「そんな…」 「…!?」
その衝撃の事実に対しホシノ、ノノミ、シロコの3人は驚いて上手く言葉が出ない様子であった。
「所有権がカイザーに渡っていないのは、今は本館として使っているこの校舎と、周辺の一部の地域だけでした…」
「で、ですが、どうしてこんなことに?学校の自治区の土地を取引だなんて、普通できるはずが…。一体誰がこんなことを…」
結局アビドスの土地は校舎周辺の猫の額ほどしかなかったという事実を呑み込めないままに、ノノミは気になった疑問を投げかける。その疑問に対しホシノは冷めた口調で答える。
「アビドスの生徒会でしょ」
「…!!」
ホシノの普段は見せないその態度にシロコは目を見開き、困惑した。だがそんなシロコの感情など知らずに話を続ける。
「学校の資産の議決権は生徒会にある。それが可能なのは普通に考えて、その学校の生徒会だけ。だぶん借金を返そうとしてカイザーに土地を売ったんだと思う。それこそカイザーにそそのかされてね。騙されたんだよ、カイザーにさ」
「「「「・・・。」」」」
ホシノの言葉にみな黙ってしまう。そして話していた当のホシノの表情も暗いままである。そして少しの沈黙が続いた後ノノミが口を開く。
「ですが、どうしてアビドスの土地を買い取ったのでしょうか?アビドスの土地はもう砂まみれの廃墟ばかりだというのに…」
「確かに、こんな土地を奪ったところで、何か大きな利益があるとは思えませんが…」
“実は…”
ノノミの疑問に対し、今度は先生が口を開く。先生はヒナから伝えられたカイザーが砂漠で何かを企んでいるという情報をみんなに話した。
「アビドス砂漠で…」 「カイザーコーポレーションが…」 「何か企んでる…?」
“とりあえずみんなで行ってみたほうがいいと思うんだ”
「そうよね!確認してみないことには何もわからないわ!みんなで行ってみようよ!」
こうして明日改めてアビドス砂漠へ調査へ向かうことが決定した。
アビドス高校 夜
「・・・」
校舎に1人残ったホシノは教室の中で佇んでいた。教室には月光が照らしている。
「ごめんね、ノノミちゃん、シロコちゃん、アヤネちゃん、セリカちゃん、そしてミラージュ。でももうこうするしか方法がないんだ。私がいなくなっても元気でいてね」
そう1人で呟いたかと思うとホシノは1枚の手紙を教室の机の上へ置く。その手紙には退部・退会届と書いてあった。
「そして、ありがとう…先生、ビー。あのオプティマスって人はちょっとよくわからいけど、ミラージュの仲間なんだからきっといいトランスフォーマーなんだろうね」
暗い教室で呟くホシノの顔は今にも泣きそうである。だが、悲しいかな今そのことに気付く者はこの場に誰もいない。
「ごめんね、みんな。本当に…ごめん」
翌日
「ふぅん!!」 「そらよっ!!」 「『Fire!!』」
対策委員会とオートボット一行はカイザーの思惑を探るべくアビドス砂漠を進んでいた。アビドス砂漠のある一帯は壊れたドローンやオートマタなどが徘徊しており、それらを倒しながら彼女たちは順調に前に進んでいた。
「自分で言うのも何だけどこんな場所に一体何のために手に入れる必要があるのよ。歩いてると壊れた機械が襲ってくる場所なんて私だったら欲しくないわよ!」
「うへ~流石にこれは多すぎておじさん疲れちゃったよ~」
だが、ここまでの長い移動にみんなうんざりしているようで、アヤネは文句を垂れ、ホシノはだらしない態度で疲れたと言い出す始末である。そして一番の問題は…
ザッパーーーーーン
“また出ました、スコルポノックです!”
「もぉー!!」 「ん、多すぎ」
地中から突如として現れるスコルポノックである。この場所はアビドス砂漠のどこよりもヤツがよく出る地域であり、対策委員会メンバーをいつも以上に疲弊させていた。
「ふんっ!!」
ガシャン!!
「キキキキキ…」
“ありがとうオプティマス”
スコルポノック自体はオプティマスのエナジーソードで身体を貫けば一発で機動停止をするのだが、その数が多すぎるため彼1人での対処は難しくしていた。
「確かに、この場所にはエネルゴンのパワーを感じる…。だがメガトロンは無駄骨だったと言っていた。その意味も分かるといいのだが…」
そうやってみんなで協力しながら前に進んでいくと、後方のアヤネから通信が入る。
“皆さん、前方に何かあります!!砂埃でまだはっきりと姿が見えないのですが…!”
「こっからじゃ何も見えないけど…」
“巨大な町…いえ工場、あるいは駐屯地…?と、とにかく、ものすごい大きな施設のようなものがあります!!”
「こちらでも確認してみよう」
どうやらアヤネは前方に巨大な物陰を見つけたようで、その事実を彼女たちに報告したかったようだ。アヤネの報告に対しオプティマスも望遠レンズで遠くのほうに視線を向ける。
「確かに、大きな影のようなものが見えるな。だがここではアレが何なのかはわからないだろう」
“もっと近づいてみよう”
「ん、わかった」
こうして大きな物陰の正体を確認するためにもっと近くへ近づくと、その陰の姿がはっきりと確認できるようになる。
「・・・」 「何これ…」
アヤネの言った通りアビドス砂漠のど真ん中に大きな施設なようなものが建造されていた。その施設は有刺鉄線が数キロ先まで張り巡らされており、見張り台からは兵士が周囲を監視している。
「昔はこんなのなかった…」
「一体何なのでしょう、この建物は…?」
ズダダダダダダ!!!
対策委員会が目の前に現れた巨大な施設を呆然と眺めていると、いきなり銃声が聞こえる。
「うわっ!?なになに!?」
「侵入者だ!」 「捕らえろ、逃がすな!」
どうやら見張りの警備兵に見つかってしまったようだ。警備兵は対策委員会のメンバーを捕捉すると、即座にフォーメーションを展開し、彼女たちを完全に包囲してしまった。
「トランスフォーマーを3体確認。対TF兵器を装填し、奴らを捕縛せよ!」
「何だって!?」
警備兵の発した対TF兵器という言葉にミラージュは驚きの声をあげる。この兵器が本物であるならば、自分たちがいても対策委員会はここで負けてしまう可能性があるということである。
「まずはあのデカブツからだ、撃てぇー!!」
バシュン!!
「うおぉっ!!」
警備兵に撃たれたロケットランチャーがオプティマスに当たると彼はいつもは感じない痛みを感じる。どうやら対TF兵器の威力は本物のようだ。
「くそっ!!」 「『危険!!』『逃げろ!!』」
対TF兵器の威力にミラージュとビーは今までトランスフォーマー以外での戦いでは感じなかった自分の身の危険を感じる。対策委員会はトランスフォーマーも含めて完全に追い詰められていた。
「強くはないけどひたすら厄介だわ」
「結局何なの?コイツら」
とりあえず何とか警備兵を退けた彼女たちは、謎の施設に関する疑問がより深まっていた。
「しかも対TF兵器なんて簡単に作れるものじゃないですよね?」
「冗談キツいぜ…」
警備兵を倒して、一安心していると再びアヤネから通信が入る。
“施設に、何らかのマークを発見しました!”
「これって…」
アヤネが見つけたのはカイザーPMCのロゴが入った壁であった。この施設はヒナが言っていたカイザーコーポレーションの施設だったのである。
「もうどこに行ってもカイザー、カイザー、カイザー!一体何なの!?」
「それにPMCということは、民間軍事会社…ということですか」
PMC(民間軍事会社)というのは、彼女たちが相手をしているヘルメット団やチンピラ連中とは違い組織化された軍事組織である。文字通り、軍隊と言っても過言ではない。
「退学した生徒や不良の生徒たちを集めて、企業が私設兵として雇っているという噂がありましたが、まさか…」
目の前の施設が自分たちの手に負える範疇ではないことを感じた対策委員会の面々は、ただ施設の前で佇んでいることしかできなかった。そんななか、一台の車と共にカイザーPMCの軍隊がわらわらと施設から出てくる。さらにはヘリや戦車なども現れ始め、対策委員会とオートボットは再びカイザーPMCに完全に包囲されてしまった。
「侵入者がいると聞いていたが、まさかアビドスだったとはな…」
「・・・」
そして対策委員会の目の前に停まった乗用車から、大柄な人物が出てくる。他のメンバーは誰だか知らずに戸惑っているなか、ホシノだけはその人物のことを静かに睨んでいた。
「何よこいつ…」
(こいつは…)
その男は以前、ホシノが黒服と会った際に同席していた男であった。そしてこの男の正体はカイザーPMCの理事だということもホシノにはわかっていた。
「こいつ、カイザーコーポレーションの理事だよ」
「こ、こいつが…!!」
「・・・!!」
ホシノの言葉にセリカは驚き、シロコはまるで親の仇であるかのように睨みつける。
「ヘルメット団や便利屋を使ってみたがまさかわざわざ倒されに来てくれるとはラッキーだ」
「じゃあ、アンタが…」
「そうだ、ヘルメット団と便利屋をけしかけたのはこの私だ」
「ギィ…」
黒幕が自ら目の前に姿を現したことで、セリカとシロコの怒りは頂点にまで達する。顔には出さないものの他のメンバーも気持ちは同じであった。
「カイザーPMCの理事と言ったな。貴様なぜ彼女たちの故郷を強引に奪おうとした?答えろ!!」
「あぁそうだ!!彼女たちからあれだけ搾取して何がしたいんだ!!」
そして故郷が荒廃し、長い間宇宙を転々としてきたオートボットたちもカイザーのやり方に怒りを覚えていた。故郷を失う辛さは人間もトランスフォーマーにも違いはないのである。
「フッ…うるさいガラクタ共だ。貴様らエイリアンにこの星のことなど関係ないだろうに、健気なことだな。だが勘違いするなよ。我々は正式な手段で土地を買い取りここで調査をしているのだ」
「何が…!!アビドスを騙すようなやり方で土地を奪ったくせに…」
「奪った?買ってくれと土地を差し出したのは君たちアビドスのはずだがなぁ」
「こいつ…」
カイザー理事の悪びれない態度にセリカは銃を構える。だが、彼女が銃を構えたのを確認するとカイザーPMCの兵士たちが理事の前に立ち塞がった。
「クソッ!!」
「ここで全員始末すれば我々の計画も完成に近づく。総員、コイツらを始末しろ。無論あの不躾なエイリアンもだ」
カイザー理事は圧倒的な軍事力を持って対策委員会とオートボットをここで始末しようとする。完全に劣勢で絶体絶命のなか、彼女たちは諦めず戦おうと武器を構えた。しかし…
「カイザー理事。黒服の提案を受け入れるよ。だからみんなには手を出さないで」
「ほう…」
「ホシノ先輩…な、何を言ってるの?」
ホシノが一歩前へ出て、みんなを助けるべく黒服の提案を受け入れると言い出したのだ。
「おい、ホシノ!?何を言ってるんだよ!!馬鹿なマネはよせよ!!」
「ん、ミラージュの言う通り。よくわからいけど、奴らの提案に乗っちゃだめ」
「ホシノ先輩、戻ってください!!」
ホシノの唐突な行動に、彼女たちは混乱しながらも必死にホシノのことを止めようとする。だが、ホシノの意志は固いようで、こちらを振り向いてくれない。
「だから、約束通りこれで借金はチャラ。みんなには借金なんかに囚われず自由に学校生活を送って欲しいから。あと“彼女”も解放してあげて」
「ふん…いいだろう」
ホシノの態度は今までのおちゃらけただらしないものでは一切なく、冷たい声色でカイザーと話している。そして理事のほうは気に入らないという思いが出つつも、彼女の提案を了承した。
“ホシノ先輩!!説明してください!!一体どういうことですか!!ホシノ先輩!!”
「ごめんね、みんな。ごめんね…」
「“ごめんね”じゃなくて理由を聞いてるの!!ホシノ先輩こっち向いて!!」
アヤネとセリカの問いかけに対して、ホシノはただ謝ることしかできなかった。
「というわけだ、お前らアビドスは無事に返してやろう。だが…このエイリアンは我々で捕縛して、実験台にしてやる!!」
「貴様ぁぁぁぁ!!!!」
ズドォォォン!!
「うおあぁぁぁ!!!」
カイザー理事の言葉にオプティマスは銃を向けて、彼を撃とうとする。しかし、その前に戦車の砲撃がオプティマスに直撃し、その銃弾はカイザーに当たらずに終わる。
「アンタたちのことだからそう言うと思ったよ。けど、“彼女”のようにはさせないから」
ヒューーーーン!!
そう言うとホシノは何かのスイッチを押した。するとどこからともなく旧型の戦闘機が現れる。
ギゴガゴゴ!!
「がほっ!!げほっ!!後は任せろホシノ」
「頼んだよ、ジェットファイア…」
その戦闘機は対策委員会の近くで不時着すると、部品を吐きながらトランスフォームする。ジェットファイアと呼ばれたそのトランスフォーマーは不時着するとすぐに周囲に青白い稲妻を展開させる。
「ちょっと!!何するつもりよ!!私たちまだホシノ先輩に何も聞いてないわよ!!」
「ん、ホシノ先輩説明して!!」
彼女たちの周囲で何が起こっていようとお構いなしにセリカとシロコはホシノの名を叫ぶが、ホシノはそれに応えない。そして稲妻の勢いはどんどん強くなっていき、カイザーPMCが近づけないほど大きくなっていく。
“ホシノ!!”
「・・・!!」
先生の言葉に反応してすかさずホシノは振り返ってしまう。
“必ず助けに行くから!!だから待ってて!!”
「先生…」
「行くぞ!!ワープ開始だ!!」
振り返ったホシノの顔は今にも泣きそうであった。そんなホシノを見て先生は必ず助けると彼女に宣言する。その合間にも光は強くなっていき彼女たちをどこかにワープしようとしている。
「ホシノせんぱぁぁぁぁぁい!!!!」
ヒュン!!!
セリカの悲痛な叫びを最後にアビドスとオートボットたちはどこかへ消えてしまった。
「チッ!!余計なことしおって。まぁいい、お前を黒服に受け渡せばそれで事は済むことだ」
「約束は必ず守ってもらうからね」
「フッ、我々が約束を守らなかったことがあったか?」
「・・・」
ホシノは恨みがましい眼でカイザー理事を睨みながら、彼らに何処かへ連行されてしまった。
「フッフッフッ、気は熟した。始めるぞ、私の計画を。あの時のリベンジを!!」
ホシノがアビドスを離れたことにより、遂にアビドスに巣くう闇が表へと姿を現す!!
ちょっと流れを変えました
彼がいないと司令官が飛べないし、まだ出したいTFもいるし
次回、ラスボス堂々登場です