TRANSFORMERS Blue_Archive   作:H2O(hojo)

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暁のホルス、キヴォトス最高の神秘なんだからそれくらいのポテンシャルはあるやろ(楽観視)


Revenge of the Fallen

ジェットファイアのワープによってカイザーの施設から飛ばされた対策委員会とオートボットは、アビドス高校の校庭へと戻っていた。

 

「がはっ、げほっ、ワープは成功だ」

 

「・・・」

 

ワープという貴重な経験をしたのにもかかわらず、対策委員会の面々の感情は沈んでいた。だがそれも当然である。対策委員会のリーダーである小鳥遊ホシノが突如カイザーの元へ去ってしまったのだから。

 

「ふさぎ込む気持ちも分からんでもないが、これが彼女と交わした約束なのでな」

 

「ん、あなたは一体誰?」

 

頭の中がまだ整理できていないなか、シロコはいきなり現れたトランスフォーマーに尋ねる。

 

「俺の名はジェットファイア。このアビドスで朽ちるはずだった元ディセプティコンだ」

 

「“元”ディセプティコンってのはどういう意味だ?」

 

ミラージュは元ディセプティコンという言葉が気になったのか、ジェットファイアにその理由を尋ねる。さっきの件もあり、いつもおちゃらけてテンションの高いミラージュも機嫌が悪いようだ。

 

「俺はある目的のためにこの星で生み出された存在だ。だが生みの親のやり方に嫌気がさして、ディセプティコンを去った。そして古くからこのアビドスで己が朽ちるのをただ待っていた」

 

「生みの親というのは誰だ?メガトロンがこの星に来たのはここ数年なはずだが…」

 

「メガトロン?誰だそいつは?」

 

オプティマスとジェットファイアは何だか話が嚙み合わない様子である。ジェットファイアはアビドスから出たことのない様子だったのでオプティマスは現在のサイバトロンの状況などを彼に説明し始めた。

 

「うぅ~ん…俺がディセプティコンを離反してから色々あったようだな。もっとも俺はキヴォトス生まれキヴォトス育ちゆえ、我々の種としての故郷であるサイバトロン星のことは全くもって知らんが」

 

「今度はそちらの事情の説明を頼む。あなたの生い立ちを聞きたい」

 

オプティマスにせがまれ、ジェットファイアは自分の過去を話始める。

 

「俺はある目的のために生み出されたトランスフォーマー…というのかな?今は。その目的は始まりの13人がアビドスに封印したマトリクスを手に入れることだ」

 

「マトリクスだと!!それに始まりの13人も…」

 

ジェットファイアの口から思いがけない言葉が出たため、オプティマスは目を見開いて驚愕する。戦闘時以外では常に冷静なオプティマスにしては珍しい反応であり、それほどの事実であったことがわかる。

 

「そうするとあなたの生みの親というのは…」

 

「あぁ…メガトロナス・プライム。いや、それは昔の名だな。ヤツは他のプライムに負けたのち名を改めザ・フォールンと名乗った」

 

「ザ・フォールン…」

 

「そんなことがこのアビドスで…」

 

オプティマスとジェットファイアの会話を呆然としながらも聞いていたアヤネは力なくそう呟く。

 

「我々にはマトリクスはリーダーの証であり、それを強引に奪おうとしたメガトロナスは他のプライムによって始末されたと聞いていたが…このキヴォトスに逃げ延びていたのか」

 

「サイバトロン星ではそのように伝わっているのか。マトリクスは確かに我々を象徴するブツであることには違いない。だがそれ以外の用途がある」

 

「一体何だよ?その用途って?」

 

ホシノの件をだいぶ呑み込めてきたのか、ミラージュもここで会話に参加しだす。彼も自分たちの過去には興味があるようだ。

 

「マトリクスは核だ。恒星を破壊する装置、スターハーベストの核になる」

 

「はぁ!?」 「恒星ということは…あの太陽を破壊するということですか!?」

 

ジェットファイアから飛び出したとんでもない言葉に沈んでいたセリカとノノミも話に反応しだす。

 

「恒星を破壊する意図は何?」

 

「星をスターハーベストで破壊することによって一万年経っても使い尽くせないほどのエネルゴンを生成することができるのだ。原初のプライムたちは生物の息づいた土地での使用を掟で禁じていた。だが、その掟を破って、この星でそれを使おうとしたのがザ・フォールンだ」

 

「なっ!!」 「そんな…」 「マジかよ」 「・・・」

 

アビドスで遠い過去に起こっていた事実にみな開いた口が塞がらない。自分たちが暮らしている場所でそのようなことがあったということが未だに信じられないようだ。

 

 

 

 

 

「でも、結局それは昔の話でしょ?私はマトリクスもザ・フォールンのことも今まで聞いたことが無かったわ。それよりも今はホシノ先輩でしょ!!」

 

「ん、カイザーからホシノ先輩を取り戻す。引きずってでも連れ帰る」

 

ジェットファイアの一連の話を聞いた対策委員会だが、それは結局過去の話であり今の自分たちには関係ないとばかりに立ち上がる。話の内容は衝撃的ではあったが所詮は今の彼女たちの前に立ちはだかっている問題とは関係のないことである。

 

 

 

 

 

(だが、メガトロンの言葉は無視できん…。ここは彼女と別行動を取って調べにいくべきか…)

 

「オイ、何かこっちに向かってくるぜ!!」

 

オプティマスが一旦彼女たちと別行動を取ろうと考えていると、ミラージュが空に飛んでくる何かを発見する。

 

「鳥?」 「でもそれにしては大きいような…」 「新たな敵か!?」

 

正体不明の飛行物体に対し、みんなは武器を構えて上空に向ける。ホシノがいなくなっても皆アビドスを守るために戦う気持ちは無くならないのだ。

 

「キィーーーー!!!」

 

「ま、待ってください!!」

 

「ノノミ先輩!?」

 

ノノミは何かに気付いたのか皆を制止し、飛来物のほうを見やる。その理由がわからないセリカは当然ノノミを見て戸惑ってしまった。

 

バサッバサッ…ズサァァァァァァ…

 

「あなた…エアレイザーですか?」

 

「あなたはホシノの知り合いということでいいのでしょうか?」

 

舞い降りた隼の姿をした機械生命体に対し、ノノミは名を確認するように尋ねる。そしてその機械生命体もその名前が自分のものであると認識したのかノノミに疑問を投げかける。

 

「ん、知り合いなのノノミ?」

 

「いえ、私と彼女が会うのはこれが初めてです。ですが、以前ホシノ先輩が大きな隼が友達にいたということを話していたので、ピンときて」

 

「ホシノ先輩が言っていた“彼女”というのは目の前のエアレイザーさんということでいいのでしょうか?」

 

彼女たちは突然の来訪者に戸惑っていたが、エアレイザーには敵意が感じられなかったため、銃を降ろし彼女を迎え入れる。

 

「私は今までカイザーに捕まっていました。ですがどうやら、ホシノが身代わりになって私を解放してくれたようですね…」

 

「えぇ…」

 

せっかくカイザーの元から解放されたエアレイザーだが、そのためにホシノがカイザーの元へ下ったことを察しており、彼女の表情は優れない。そしてそれを見ている対策委員会も彼女にかける言葉が見つからずにいた。

 

「いえ、そんなことよりもあなた達に伝えなければいけないことがあります!カイザーがこのアビドス校舎に向かって進軍してきています!!早く迎撃しなければ!!」

 

「な、何でよ!?」

 

“ホシノは最後のアビドス生徒会のメンバーだ。彼女を失ったアビドスの所有権は空白になる。恐らくカイザーは元からそれが狙いだったんだと思う”

 

「あいつら…」

 

エアレイザーの切羽詰まった報告にセリカは理由が解らず声をあげる。そのセリカの疑問に対し先生は自分の推測を彼女たちに話した。

 

「とにかく行こう。みんなでアビドスを守らなきゃ!!」

 

「「「うん!!」」」

 

対策委員会とオートボット、さらに合流したエアレイザーとジェットファイアはカイザーを迎撃するべくアビドス市街へと向かった。

 

 

 

 

 

アビドス市街

 

「うわぁぁぁ!!」 「何だぁ!?」

 

「進め進めぇ!!」

 

ホシノがアビドスを抜けたことにより、カイザーPMCがアビドスを実行支配するべく攻め込んでくる。まだ周りに市民がいるというのに、彼らは関係なくアビドスを制圧に動いていた。

 

「ふふふっ、ふふふふふ…。ついに、条件は全てクリアした。小鳥遊ホシノがアビドスから消えたことにより実質アビドス高等学校は消えた!あとは我らがアビドスを吸収合併するのみだ!!」

 

カイザー理事は自分の計画が思い通りに運んでいるため気分が良いようだ。普段ならオフィスで待機して結果を待っているところ、こうしてわざわざ現場に出て指示を出していた。

 

「ホシノ先輩を騙して、アビドスに住む人たちも傷つけて、あなた達絶対に許さない!!!」

 

「貴様らはそうまでしてここが欲しいのか!!」

 

そんななか対策委員会とオートボットたちが到着する。カイザーのあくどいやり方にみな憤り、殺気立っていた。

 

「最後のアビドス生徒会のメンバーが退学した。もはやアビドス高等学校は無いに等しい。つまり貴様らは何者でもない。今の君らはただの退学したチンピラ共と立場はそう対して変わらない」

 

「黙って聞いてりゃ、ふざけたこと抜かしやがって…。そう仕向けたのは全部テメェらだろうが!!」

 

「『F○ck you!!!』」

 

理事の対策委員会に対するあんまりな言葉にオートボットたちも憤る。普段キヴォトスの人間相手に銃を向けることを極力避けている彼らが、カイザーに向かって銃を突き付けていた。

 

「お前らエイリアンも故郷を失った者同士で傷のなめ合いなどしてないで、自分の星に戻ったらどうだ?おっと、その故郷が無くなったからこの星に来たのであったなハッハッハッ」

 

「ゲホッ、ガホッ…こいつはひでぇ。アビドスがコイツらの手に渡るなら死んだほうがマシだな」

 

理事はトランスフォーマーに対しても強気に出る。よほど対TFのことを信頼しているのか、目の前のオートボットたちがどれだけ怒っていようとも、お構いなしに侮辱を続ける。そんな様子を見ていたジェットファイアは蔑んだ目でそう吐き捨てた。

 

「たとえ、もうアビドスが学校として無くなったとしてもここは私たちの故郷。だがら私たちは最後まで戦い抜く!!」

 

「『最後まで』『見捨てない』」

 

シロコとビーの言葉をきっかけに各々武器を構えてカイザーたちに向ける。だがそんな状況だというのにカイザーたちは余裕の姿勢を崩さない。

 

「フッフッフッ…君らがここで戦ったところで戦局はひっくり返らんぞ。施設の時よりもさらに多くの部隊を投入している。今更老いぼれと元ペットが加わったところで、どうにかなるものでは無いわ!!」

 

“それはどうかな?”

 

「何だと…?」

 

 

 

 

 

ドォォォォォォォン!!!!

 

「後方で巨大な爆発を確認!!」

 

先生がカイザーの言葉を否定すると共に、カイザーPMCの後方から大きな爆発音が聞こえる。PMCはいきなりの爆発に慌てて、理事へ連絡を取った。

 

「状況を報告しろ!!」

 

「うわぁぁぁぁ!!」 「何で…何で対TF兵器が効かないんだよぉ!!」 「退却!!たいきゃーーーく!!!」

 

「何だ、何が起きている…」

 

カイザー自慢のPMC部隊があっけなく撤退してくる様を見てカイザー理事は困惑の表情を浮かべる。そんななかでも後方の黒煙と爆発の炎は激しさをどんどん増していた。

 

「ん、デジャブ」

 

「先生!?まさかアイツらを呼んだの!?」

 

「でも彼女たちが来れば百人力ですね~☆」

 

突然の爆発を起こした者たちに心当たりがあるようで対策委員会のメンバーは彼女たちの登場に驚きつつも期待を隠せない。

 

“移動中に連絡を取ったら近くにいるっていうから、呼んだんだよ”

 

“相変わらずフットワークが軽いですね…先生”

 

先生が呼んだ者たちとは一度は対策委員会を苦しめ、一度は共闘をした者たち、つまり

 

「「「「ギャオォォォォォォォォォン!!!!!」」」」

 

「便利屋68、先生の依頼を受けて堂々登場よ!!!」

 

便利屋68とダイナボットたちである。

 

 

 

 

 

「俺グリムロック、こいつら強くない」

 

「俺スラッグ、この鉄ウマい」

 

「俺スラージ、戦車潰すの気分がいい」

 

「俺スワープ、人がゴミのようだ」

 

カイザーPMCたちを蹴散らしてダイナボットたちが前方から現れる。対TF兵器もなんのその、カイザーを子供のように捻って対策委員会たちの前に現れた。

 

「バカな…こちらは対TF兵器を使っているんだぞ!!何故効かない!!」

 

「残念だったねカイザー。うちのダイナボットは巡航ミサイルが直撃でもしない限り死なないよ」

 

カイザーたちの疑問に対しカヨコは冷めた声でそう答える。理事も先ほどまでの余裕の表情が消え、苦虫を嚙み潰したような表情に変わっていた。

 

「君たちさぁ…私の可愛いメガネっ娘ちゃんを泣かした罪は重いよ?」

 

“な、泣いてないですけど…というかそんなに仲良くもないんですが…“

 

「えぇー、一緒に風紀委員会と戦った仲じゃん」

 

スワープの上に乗って上空にいるムツキはアヤネを泣かした(泣いてない)ことについて唐突にカイザーに怒りの矛先を向ける。

 

「だからもうこれは…」

 

「な、何をする気だ…」

 

「ぶっ殺すしかないよねっ!!!」

 

「俺スワープ、ぶっ殺す!!ぶっ殺す!!」

 

ムツキの「ぶっ殺す」宣言と共にスワープは降下する。降下したタイミングでムツキは自慢の爆弾を投下してカイザーを空から攻撃する。

 

ズバババァァァァン!!!

 

「うわぁぁぁぁぁ!!!」

 

「アハハ!ポップコーンみたい!!」

 

ムツキの爆撃やダイナボットの攻撃にカイザーPMCはなすすべなく倒されていった。

 

 

 

 

 

「クソッ、もっと兵力を増強させろ!!アビドスにいる全兵力を出せ!!」

 

カイザー理事は便利屋とダイナボットに蹂躙されている現状を打破するべく通信を入れる。

 

「社長、このまま長期戦になったら私たちの負けだよ。どうする?」

 

「ど、どうしよう…勢いで来ちゃったから…」

 

カヨコがアルに指示を仰ぐと、アルの表情が強気なものから弱気なものに変わる。ダイナボットは無敵に近い強さを誇るが、その図体ゆえ廃棄金属などを大量に喰わせる必要がある。

 

「ここらで一旦引いたほうが…」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ…

 

カヨコが撤退の指示を出そうとした瞬間、地面が揺れ地響きの音が聞こえる。

 

「な、何?スラージの地割れ…じゃないよね?」

 

「何だ、何が起きている!!」

 

ズゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

正体不明の地震にこの場所で戦っている者たち全員が困惑していた。誰もそれが何故起こっているのかを理解できていないようだ。そんななかでもどんどん地震は大きくなっていく。

 

「わわわわわ!!」 「うおぉぉッ!!」

 

次第に大きくなっていく地震にみな越しを屈めたりしゃがんだりしている。トランスフォーマーたちでさえも立っているのがやっとなほどの大きな揺れがアビドスを襲っている。

 

ズゴゴゴゴゴゴゴ…

 

「お、収まった…一体なんだったのよ…?」

 

「理事!!施設から緊急の報告が!!映像をモニターに繋げます」

 

「あ、あぁ早急に写せ」

 

地震が収まったと共に、カイザーが何かを企んでいた例の基地から通信が入る。戦っていた双方とも今は戦いを一旦止め、アビドス市街にある今は使われていないモニターへと目を移す。

 

ザァ…ザザァ…

 

「映像、出ます!!」

 

「な、何よあれ!!」 「あの場所にあんなものが…」

 

映像に映し出されたのは砂のレンガで作られた四角錐の巨大な塔である。アビドスが砂に埋まる何百年も前の文献ではピラミッドと言われており、そこには財宝が埋まっていると言われていた。

 

「ハハハハハ!!遂に姿を現したか!!これでアビドスどころかこのキヴォトスは我々カイザーコーポレーションのものだ!!」

 

カイザーコーポレーションがアビドス砂漠で発掘していたものはどうやらあのピラミッドのようだ。理事はお目当てのものが遂に現れたとあって激しく興奮している様子である。

 

「あ、あれは…そんな馬鹿な!!しかしどうやって?」

 

「ジェットファイア?どうしました?」

 

皆がピラミッドの映像に釘付けになっているなかジェットファイアだけが周りと違う反応をしているのを見てエアレイザーが声を掛ける。

 

「あれはスターハーベストだ…。どうやったか知らないが、どうやら起動している。そしてあの装置を動かせる人物はただ一人しかいない」

 

「何っ!!ではヤツは今も生きているのか!?」

 

「そういうことになるな…」

 

あのピラミッドの正体がスターハーベストであり、なおかつそれが起動していることにオプティマスは驚きと焦りを感じる。ジェットファイアの話が事実ならばこのままキヴォトスの太陽は破壊され滅亡の危機に陥るということである。

 

「カイザーはそのことを…いや、あの様子なら彼らも騙された側か…」

 

「けどよ?マトリクスが無いのにどうして起動してるんだよ?おかしくねぇか?」

 

画面を見ながら高らかに笑っているカイザー理事を見て彼らも騙されているとオプティマスは確信した。だがそれと同時に皆には同じ疑問が浮かんでくる。そう、マトリクスがなければスターハーベストは起動できないはずである。

 

「・・・」

 

(私がカイザーから解放される前、黒服と名乗る男が何か言っていた…)

 

 

 

 

 

エアレイザーは解放される直前に現れた黒服との会話を思い出す。

 

「小鳥遊ホシノさんは、アビドスを離れ我々の手に渡ることとなりました。あなたを解放するのは彼女との交渉の結果です。フッフッフッ、暁のホルス…キヴォトス最高の神秘さえあれば、我々の計画は完成へと近づく…」

 

 

 

 

 

(ホシノには、私の知らない不思議な力が宿っていることは薄々感じていた…。黒服の言葉から察するにホシノには何か特別な執着をしていた。そしてスターハーベストの核となるのに必要なマトリクスという物体…まさか!!)

 

エアレイザーは思考の末ある結論に辿り着く。この場にいる者だけでこの結論に辿り着くことができたのは彼女だけだろう。

 

「マトリクスの代わりにホシノがスターハーベストの核になっている可能性が高いわ」

 

「何ですって!!」 「嘘だろ!?」

 

「ですが、昔からホシノ先輩のことを知るエアレイザーさんの言う事なので、恐らくその通りのような気がします」

 

エアレイザーの言葉にセリカとミラージュは驚きの目で彼女を見る。一方でホシノと一番長い付き合いであるノノミはどこかエアレイザーの言う事に納得していた。

 

 

 

 

 

ザッパーーーーーーン!!!!

 

「今度は何!?」

 

ホシノの居場所の見当がついたところで、今度は画面の中の状況に動きがあった。

 

「なんだありゃあ!!」 「『蛇』『モンスター』」

 

何とピラミッドの近くから蛇のようなモンスターが飛び出てきたのである。そのモンスターは生徒たちと同じく、ヘイローを持ち、体長もピラミッドにとぐろを巻けるほどの大きさである。

 

“び、ビナーです!!ビナーが突如現れました!!”

 

「な、何だとぉ!!」

 

どうやらモンスターの正体はビナーと言う存在らしい。カイザーはビナーが出てきたことにより興奮が一気に冷めて血の気が引いている。

 

“ビナーの頭上に人影を発見!!機械生命体です!!”

 

「間違いない、ザ・フォールンだ」

 

私設にいるカイザーがビナーの頭上を映すと、そこには槍のようなものを持った機械生命体が立っていた。ジェットファイアはその姿を見てザ・フォールンであることを認識する。

 

 

 

 

 

「おい、どういうことだ!!黒服に連絡しろ!!」

 

ザ、ザザァ、ザザザザザ…

 

カイザー理事が黒服に連絡を取ろうとすると、画面が突如砂嵐になってしまう。

 

ザ、ザザザァ、ザァァァ…

 

“カイザーコーポレーションの諸君。スターハーベストの発掘と核の調達ご苦労であった”

 

「な、何者だ!!貴様は」

 

“俺の名はザ・フォールン。黒服の協力者と言ったほうがいいかな?”

 

ザ・フォールンは通信をハッキングしてカイザーたちに語り掛けてきた。ここでようやくカイザーたちも彼に利用されていることに気付いた。

 

「貴様!!お宝が埋まっていると言って我々を騙したな!!」

 

“いいや、私の目的が達成されればこのスターハーベストをお前たちにくれてやるとも”

 

「じゃあその目的とは一体何だ!!答えろ!!」

 

常に自分たちが騙す側だったカイザーが今は騙される側にいるという事実に理事は憤っていた。

 

“スターハーベストを使い、この空に浮かぶ太陽を破壊する。それが終わればこの星になど用はない。後はスターハーベストの残骸なりこの砂漠なり貴様らの好きにするといい”

 

「な…何を言っている?」

 

カイザーはザ・フォールンから告げられた事実にただただ呆然としている。彼の言ったことが信じられないようで虚ろな目でモニターを見るばかりであった。

 

「ザ・フォールン!!核はどこで調達した!!」

 

“貴様は最後のプライムだな?フッ、まあいい、教えてやろう。あの小娘…名をホシノとか言ったか?まぁどうでもいいが”

 

「やっぱりホシノ先輩が…」

 

オプティマスの問いに対しザ・フォールンは嘲笑いながらそう答える。どうやらエアレイザーの推論は正しかったようだ。

 

“どうやらカイザー共も小娘が邪魔だったようだからなぁ、俺が核として使ってやろうと思ってな”

 

「ふざけるな!!」

 

ザ・フォールンの言葉にオプティマスは激昂する。他の面々もホシノに対する仕打ちを聞いて、怒りのこもった目で目の前のモニターを睨んでいた。

 

「施設にいるデカグラマトン大隊に攻撃命令を出せ!!」

 

「はっ!!」

 

カイザー理事はザ・フォールンの態度にしびれを切らし、ビナーのために施設で予め備えていたデカグラマトン大隊に攻撃命令を出そうとする。

 

“ふん!!”

 

だが、ザ・フォールンが槍を振るうと、戦車やヘリたちが宙に浮きあがり

 

ズドォォォン!!

 

「お前たちの太陽をいただくぞ!!!」

 

あたりに吹っ飛ばされてしまう。ザ・フォールンのサイコキネシスによりデカグラマトン大隊はあっけなく戦闘不能に陥ってしまった。

 

 

 

 

 

「私は…理事だ…カイザーの理事なんだ…誰にも…」

 

「理事!!命令を理事!!」

 

目の前で自慢の軍団があっけなく撃破されたのをまざまざと見せつけられたカイザー理事は心ここにあらずな状態になってしまった。

 

「隊長、ダメです!!」

 

「もはやこれまでだ、アビドスから撤退する」

 

指揮のとれない理事に代わりPMCの隊長が撤退の指示を出す。これによりアビドス市街から逃げるようにカイザーは撤退していくのであった。

 

 

 

 

 

ザ・フォールンの計画が今にも始まるという事実に皆、何もできずにいるとアヤネから連絡が入る。

 

“皆さん大変です!!このアビドスから外への連絡が一切遮断されています!!”

 

「オイ、ジェットファイアあれが発射されるまであとどれくらい猶予がある?」

 

「3日だ」

 

「クソッ、これじゃあ味方のオートボットも呼べねぇぞ」

 

ミラージュはオートボット全軍でザ・フォールンを倒すアイデアを考えていたが、アヤネの報告によってそれも無理であると悟る。

 

“みんな、味方の件は私が何とかする。だから諦めないで。必ずホシノを取り戻そう”

 

「先生…」

 

みんなの気分が沈んでいるなか、先生が口を開く。先生はどうやらまだあきらめていないようである。

 

「ん、必ずホシノ先輩を取り戻す」

 

「そうよね!まだ終わったわけじゃないわ!!」

 

「はい、まだ三日あります。それまでに何とかザ・フォールンを倒す方法を見つけましょう」

 

先生の言葉と共に対策委員会のメンバーたちは顔を上げて、次第に目に生気も戻ってくる。

 

“アル…ごめん。もうちょっとだけ付き合って”

 

「当然よ!ここで逃げるなんてアウトローじゃないわ。私たち便利屋がアウトローに世界を救うところを見せてあげるわよ、先生!!」

 

“ありがとう!!”

 

ある種巻き込まれた形になった便利屋に対し先生は申し訳なさそうに頼み込んだが、アルはそんなの気にしないとばかりに笑って協力の継続を申し出てきた。先生はアルに再び申し訳なさそうにお礼を言った。

 

「我々は君たちと共にあるとかつて言ったが、今一度約束しよう。我らオートボットは君たちと共にこの身尽きるまで戦おう」

 

「『相棒!』『戦うぞ!』」

 

「あぁ、俺たちは一蓮托生だぜ!!」

 

「私もホシノのために戦いましょう」

 

「ゲホゲホッ、俺も親を殺す覚悟を決めるとするか!!」

 

キヴォトスに生きる者たちの姿を見て、トランスフォーマーたちもみな再び彼女たちと共に戦う覚悟を決めた。

 

決戦まであと3日に迫る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、先生のスマホにある者からメッセージが届く。送り主の名は黒服と表示されていた。




アビドスの校章はピラミッドに太陽。つまりそういうことなんだよね。
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