TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
ビナーvsミラージュ、バンブルビー、ダイナボット4体、エアレイザー、空崎ヒナ support 天雨アコ、トリニティ砲撃隊
スコルポノックの大群vs対策委員会、風紀委員会、便利屋68&先生
恒星破壊装置がスターハーベストとサン・ハーベスターの両パターンあって困惑している。
アビドス対策委員会たちが、スターハーベストのあるピラミッドに向けて進軍したと同時に、ザ・フォールンは槍を天に掲げる。
「フッ、来たな。最後のプライムとそれに引っ付くうじ虫共。だが俺はお前らを相手になどするつもりはない。お前らの相手など蛇と蠍で十分だ。そこでお前たちの太陽が無残に破壊されているのを見ているがいい!!」
ザ・フォールンの合図と共に、今までピラミッドでとぐろを巻いていたビナーと徘徊していたスコルポノックが彼女たちの元へ向かっていく。ザ・フォールンは宣言通りピラミッドの上で彼女たちの戦いを見物する構えであった。
“ビナーとスコルポノック、こちらに向けて進撃を開始しました。こちらも迎撃準備に入ってください”
「了解」 「わかったわ」 「『OK』」 「よっしゃ!!」
「ダイナボット、戦いだぁー!!」
アコの通信に対し、ヒナとトランスフォーマーたちはそれぞれ返事をする。その後各々がビナーを止めるべく進軍を開始した。
“こちらもトランスフォーマーたちが戦闘を開始した後、彼らを守る形での戦闘、進軍を開始します。準備を怠らずにしておいてください”
「「「「「はい!!」」」」」
「こっちにはゲヘナで不良とつるむディセプティコン用に開発した銃弾がある。コイツを撃ち込めばスコルポノックにも効くはずだ」
「ん、ありがとう」
「気にするな。どうせここで私たちが負けたら終わりなんだ。出し惜しみしてもしょうがないだろ」
ゲヘナ学園ではディセプティコンが不良生徒とつるみ、好き勝手やる事態が横行している。なので、そのために開発した銃弾を風紀委員会は特別に使用できる。そしてヒナの命令により風紀委員会が現在所持している銃弾のほとんどをこの決戦のために持ち出していた。
“いくよみんな!”
「よぉし、全軍突撃だ!!」
風紀委員会の突撃隊長であるイオリを先頭にアビドスとゲヘナの生徒たちもトランスフォーマーに続いて進軍を開始した。
「ギャォォォォォォォォォォォォ!!!!」
「このデカブツ!!」 「『大蛇』『襟巻』『してやるぞ!!』」
吠えるビナーに対しTF軍はブラスターやキャノンを撃ち込んでいく。だがしかし、ビナーの装甲は想像以上に硬いようであまり効果は見られないようだ。
「俺グリムロック、アイツでかくて偉そうだ!」
「俺スラッグ、ムカつくぞ!!」
「俺スラージ、砂が邪魔」
地上にいるダイナボットたちは火を吐いたり、体当たりをしながらビナーに攻撃する。だがこの攻撃もオートボットたちよりは効果はあるものの、あまり効いてはいないようだ。
「軍用ヘリなら乗ったことはあるけれど、こうやって鳥に乗って大空を舞うのは初めてだわ」
「以前はホシノを乗せてこんな風に飛んでいました…」
「えぇ、知ってるわ。あなたとホシノで連邦生徒会を襲撃したという記録を見たもの」
「俺スワープ、変な蛇だな」
そして天空高く舞い上がり上空からミサイルや炎を吐いて攻撃しているのはエアレイザーとスワープである。さらにヒナもエアレイザーに乗り、攻撃の準備を整える。
「それじゃあ、やるわ。エアレイザーとスワープは近くを旋回しててちょうだい」
「えぇ」 「俺スワープ、任された」
ヒナはエアレイザーとスワープに開始の合図を送る。それと同時にスワープがエアレイザーと並んで飛行していたのから離脱した。ヒナはスワープの行動を確認し、銃を構えて足に力を込めた。
バシューーーーン!!
そしてエアレイザーから超スピードで飛び上がり、ヒナは空を舞う。
「この翼で空を飛べれば楽なんだけど…まぁ、しょうがないわね」
ズドーン!!
「グギャァァァァァ!!」
ヒナは空中で銃を構え神秘を込めた一撃をビナーに撃ち込む。風紀委員会の大半の戦力を担っていると言われるヒナの一撃をまともに喰らい、ビナーは苦悶の叫びを上げた。
シュトン…
「まったく…めんどくさい」
ヒナはスワープに乗り移ってめんどくさそうにまた飛ぶ準備を始める。口ではそういいつつも、その眼は本気でビナーを見据えていた。
ビューーーーン!!
「そこね」
バシューン!!ズバーーーン!!
「ガァァァァァ!!!」
ヒナの正確な射撃によってビナーはのたうち回り地に伏せる。ヒナの攻撃は確実にビナーを削っていた。
ズサァァァァァァ
「うおっ!?」
「俺グリムロック、砂気持ち悪い」
ビナーが苦痛を感じてのたうちまわっているため、地上では砂の波が起きる。それがTF軍団を襲い、足を止める。ビナーとトランスフォーマーとの決戦はまだまだ長引くようだ。
「もぉー!!どんだけいるのよぉ!!」
「ん、キリがない」
一方スコルポノックの対処を任されている生徒たちは、その数を捌くのに必死である。
「怯むな!!落ち着いて対処しろ!!」
「けが人はこちらに!!」
イオリとチナツも対策委員会たちと協力して迫ってくるスコルポノックに対処する。大きな組織に所属している彼女たちなだけあって、その行動は無駄がない。
「それっ!!」
ズドォォォン!!!
「ミシャァァァァ…」
「社長、右!!」
「OK、カヨコ」
バシュ!!
「死んでください、死んでください、死んでください!!死んでくださいぃぃぃぃぃ!!!」
ズガガガガガガガ!!!
便利屋68も彼女たちのチームワークでスコルポノックをどんどん倒していく。ムツキとハルカの広範囲にわたる攻撃でスコルポノックを残骸に変えていった。
「スコルポノックを倒せてはいますが、未だにスターハーベストには近づけていません。このままでは装置が起動し発射してしまいます…」
“これでもダメなのか…”
迫ってくるスコルポノックを何とか処理はできているものの、一向にオプティマスをザ・フォールンのもとへ向かわせるための道を開くことができていない。後方で指示や支援をしているアヤネと先生に焦りの色が浮かび始める。
「ふぅん!!」
「俺の斧捌きを見せてやるぞ!!」
さらには撃ち漏らしたスコルポノックが少数ながら向かってきており、オプティマスとジェットファイアが対処している。
「先生!もういい私は行くぞ!」
「待て、プライム!!お前には万全の状態でザ・フォールンと戦ってもらわねばならん!!」
「し、しかし…」
しびれを切らして進もうとするオプティマスをジェットファイアは制止する。ザ・フォールンのことを一番知っているジェットファイアは万全の状態でなければ彼を倒せないということを理解していた。
「ザ・フォールンを倒すため、これより俺は命を捧げる。強く願えば奇跡は起こる。オプティマス・プライム、俺の力をお前に託すぞ」
ガシャァァァァ!!
そう言ってジェットファイアは胸を自ら貫き、命の灯を燃やし尽くす。それと同時に青白い光があたりを包み始める。
「ジェットファイア…」
「ディセプティコンだった俺は、今まで誰の役にも立てなかった。プライム、俺のパーツを使え!使命を全うしてくれ!ザ・フォールンを、ヤツを倒してくれ!!」
ジェットファイアの最後の遺言と共に、オプティマスの元へジェットファイアの部品が集まってくる。彼のパーツはオプティマスの背中を中心に装着され、バックパックを形成していく。
「あぁ、ジェットファイアの想いが伝わってくる…」
ジェットファイアの想いと共に彼は新たな姿であるジェットパワーオプティマス・プライムに進化した。
「さぁ、出動だ」
バシューーーーン!!
“オプティマァァァァァァァァス!!!!”
グッ!
オプティマスはザ・フォールンを倒すため、空へ飛び立つ。先生はその姿を見て大声で彼の名を叫んだ。オプティマスはそれに反応し親指を立てた。彼がこの星に来てから先生に教わった合図である。
ビューーーーーーーン!!!
「ん、飛んでる」
「これで作戦の第一段階はクリアですねー」
「あんな重そう身体でよく飛べるわね…」
オプティマスがザ・フォールンの元に飛んでいくのを、対策委員会の面々は見送る。オプティマスをザ・フォールンと対決させるのが彼女たちの目的であるため、作戦の第一段階がどんな形であれ完了したことに、彼女たちは胸をなでおろした。
「ザ・フォールン!!約束通り貴様の野望を打ち砕きに来たぞ!!」
「来い!!最後のプライム、オプティマス・プライムよ!!」
ズドォォォン!!
ピラミッドで観戦していたザ・フォールンのもとに辿り着いたオプティマスは、彼に向かって新兵装のジェットパワーキャノンを撃ち込む。だが、ザ・フォールンは自慢の槍さばきでスターハーベストに当たるのを防いだ。
「ふぅんっ!!!!」
「ぐぅんっ!!!」
ガシャァァァァン!!!
オプティマスはジェットを噴射させ、ザ・フォールンに飛びついて彼をピラミッドの頂上から引き摺り下ろした。対するザ・フォールンも槍を掴んでオプティマスに押し付けて、彼を引き剥がす。
「死ね!!兄弟たちのように!!!」
「お前の兄弟でもあったのだ!!!!!」
「俺手ずから始末してやる!!!!!」
2人はピラミッドの脇にある神殿に転がり落ちる。そして、地面に落ちると2人ともすぐに立ち上がり、戦い始めた。
オプティマス・プライムとザ・フォールンの決戦の幕が切って落とされた!!
「私もあんなふうに飛べる力があればなぁ…」
一方、ビナーと対峙しているヒナは、ザ・フォールンの元へ飛んでいくオプティマスを見て、そんなことを呟いていた。ゲヘナの不良たちが聞いたら卒倒するようなことを呟きながら、ヒナは空中でビナーに銃弾の雨を撃ち込むのであった。
「ギィ…」
“委員長、目標に新たな動きが見られます。注意してください”
「えぇわかったわ、アコ」
ここにきて、ビナーは背骨あたりの両脇から円筒を突出させる。
「野郎…何をするつもりだ…?」 「・・・?」
ビナーの変化に対しオートボットの2人も困惑する。彼らはビナーのことをただデカい蛇の形の機械生命体だと認識している。
「ガァァァァ!!!」
バシュッ!!バシュッ!!バシュッ!!バシュッ!!
“目標、発射管からミサイルを発射しました!!警戒を厳にしてください!!”
「一旦降りたほうが良さそうね」 「えぇ、あとはこちらで」
ビナーが空中にいるエアレイザーとスワープ目掛けてミサイルを発射する。ビナーの行動にヒナは眉一つ動かさずエアレイザーから飛び降りる。
ズドーーーン!!
「弾の交換をお願い」
「はい、委員長!!」
ヒナはアコのいる場所の近くに着地する。ヒナの着地の衝撃によって砂埃が巻き上げられていた。
「エアレイザーとスワープはミサイルを上手く避けられたようね」
「そのようですね。流石は我々を手こずらせた対策委員会と便利屋の一員です」
エアレイザーとスワープは炎やミサイルでビナーの射出したミサイルを相殺したり、上手に飛行しながら器用にミサイルを避けていたようだ。
「ギィィィィ!!」
バシュッーーーーン!!!
「今度はこっちに来たな!!」 「『escape!!』」
ギゴガゴゴ!!
今度は地上にいるトランスフォーマーたちに向けてビナーはミサイルを発射する。ミラージュとビーはビークルモードに変形して、素早く砂漠を駆け抜け、ミサイルを避ける。
「俺グリムロック、痛い怒ったもんね!!」
「俺スラッグ、ムカついたぞ!!」
「俺スラージ、噛みついてやる!!」
一方のダイナボットたちは素早い動きができないため、ミサイルの直撃を受ける。しかし、彼らの装甲はビナーのミサイル程度は痛いで済むようだ。
「アコ、ありがとう」
「これくらいお安い御用です、委員長」
「さて、あれもどうにかしなきゃいけないわね…」
(めんどくさいな…)
弾薬の補給が完了したヒナは再び戦場へと立ち返る。先ほどよりも少々顔を顰めながらも、ヒナはビナーの元へ駆けた。
「グリムロック、お座り」
「俺グリムロック、強いヤツに従う。お座りする」
ヒナは視線の先にいたグリムロックに対しお座りを命じる。グリムロックは一度ゲヘナでヒナにボコボコにされたことがあるので、ヒナの命令に珍しく空気を読んで従った。
ストンッ!!
「俺グリムロック、踏み台にしたぁ!!」
ヒナはグリムロックに飛び乗り、彼を踏み台にして飛び上がる。そして今度はビナーの身体に飛びついた。
「さて、ミサイルの流れ弾がみんなに当たると危険だから…止めてもらうわ」
バシュッ!!
ヒナはビナーの背でバランスをとって、ミサイルの発射管を狙い撃つ。
ズバァァァァン!!
「次」
バシュッ!!
ヒナは一度弾薬を交換した際に銃弾の種類を貫通弾から炸裂弾に変更した。ビナーがミサイルを発射した際に、ヒナはそれが風紀委員たちの危機に繋がると判断し、弾の種類を変えたのである。
「ギャァァァァァ!!!??」
「これで少しは大人しくなってくれればいいんだけど…」
ミサイルの発射管を破壊され、ビナーは苦痛の絶叫を上げる。さらにはその苦痛からその場でのたうち回り、その巨体を振り回し始めた。
「潮時ね」
ヒナはこれ以上、ビナーの上での戦闘は困難だと判断し、再び砂漠へと飛び降りるのであった。
「ヒナ委員長のおかげであのデカブツのほうは順調、だなっ!!」
「ん、私たちも負けていられない」
ビナーがヒナによって苦悶の表情を浮かべ大きくのたうち回っている頃、対スコルポノック部隊もようやく対処が安定してくる。飛び回って縦横無尽に駆け回るヒナとザ・フォールンの元へ飛んで行ったオプティマスの2人を見た彼女たちの士気は、今までにない程に上がり、スコルポノックの死骸の山を積み上げていた。
ザッパァァァァン!!
「うわぁ!?」 「きゃあー!?」 「吹っ飛ばされるー!!」
「あのデカブツ…」
しかし、ビナーがその痛みから身体をくねらせ大きくのたうち回ったことによって、砂の波が発生し、それに呑み込まれ戦闘不能になる者が出てくる。さらに最悪なことにその巨体に押しつぶされる危険まで出てくるのであった。
“便利屋の皆さん!!そこから離れてください!!このままではビナーの巨体に押しつぶされてしまいます!!”
「ひぇぇぇぇぇ!!」
「これは流石にヤバいかも!!」
「あわわわわ…」
「全力で走るよ!!」
そして不幸にもビナーの近くで戦っていたのが便利屋の面々であった。彼女たちは風紀委員から借りた装甲車で走り回ってスコルポノックを倒していたものの、ビナーから逃げる途中に車が砂にハマってしまったので、急いで走って逃げている。
“だめだ…このままじゃ!!”
「ごめん、社長…私の考えが甘かったよ」
「ここまでかぁ~」
「アル様、今までありがとうございました」
「・・・」
だが無慈悲にもビナーの巨体が便利屋に迫る。もはやここまでと感じたカヨコたちは、社長のアルにそれぞれ言葉をかける。だが、言葉をかけられたアルだけはどうやら諦めていないようだ。
「私は、私は真のアウトローになるまで死なないわよ!!こんなところで終わらないんだからぁぁぁぁ!!!!」
「「「トランスフォーム!!!」」」
ガシィッ!!!!
アルの絶叫と共にダイナボットたちが彼女たちを守るため、トランスフォームしてビナーを押し返す。
「あ、あなたたち…トランスフォームできたのね…」
アルはダイナボットたちが初めて見せる人型形態に目を見開いた。
「俺グリムロック、アルちゃんたち助ける!!」
「俺スラッグ、アルちゃんたち傷つけるの許さない!!」
「俺スラージ、パワーなら誰にも負けない!!」
ダイナボットたちの活躍で便利屋68は九死に一生を得たのであった。
「なるほど、あれが例の…」
「まさかアビドスがこんなことになるなんて…」
一方その頃、トリニティとアビドスの境界をちょっとアビドス側にはみ出した地点に、ナギサは親愛なるヒフミと砲撃隊と共にいた。
「わざわざアビドスまでご足労ありがとうござます、ヒフミさん」
「い、いえ!!アビドスのことを報告したのは元はと言えば私ですから、そんなお礼なんて…」
ナギサがヒフミをわざわざここまで連れてきた理由は彼女がアビドスと先生の両方に面識があるからである。以前の風紀委員会の襲撃のように、勝手に他校の敷地内に侵入しての軍事行動はマズいため、砲撃支援をする前に先生の命で行ったという形を取りたいというのがナギサの考えであった。
「総員配置に付きました。いつでもいけます」
「ご苦労。ではヒフミさんお願いいたします」
「はい!」
トリニティの砲撃隊の準備が完了したという報告を受け取ると、ヒフミは先生に向けて電話をかける。この援軍自体秘密裏に行われているため、ナギサたちはヒフミと先生に賭けるしかないのだ。
“こんなときに、ヒフミから電話?”
「えぇ!?まさかアビドスにいるんですか!?」
先生とアヤネはヒフミからの突然の電話に驚く。アビドスにはすでに避難命令が出ているだけでなく、ザ・フォールンのせいでアビドス外への通信が一切不能となっているため、彼女がアビドスで危険な目に遭っているのではという考えが2人の頭に浮かぶのは必然であった。
「とりあえず出てください!!今は戦局に余裕があるので!!」
“うん、わかった!!”
先生は指揮を一時的にアヤネに代わってもらい、ヒフミからの電話に出る。
“もしもし、ヒフミ!?大丈夫!?”
「は、はい大丈夫です。それより大変なところ申し訳ないのですが…」
先生は心配そうに電話口で声をかけた。しかし、そんな彼の心配に対しヒフミは大丈夫と答えると、援軍の件を先生に伝える。
「では、こちらの回線を繋いでください。そうすればトリニティの砲撃隊と連絡が取れるはずです」
“ありがとう、ヒフミ。助かるよ!!”
「いえ、少しでもお役に立てたなら光栄です」
ヒフミの活躍のおかげで先生とトリニティとの通信が繋がった。
「ヒナ委員長、先生がお呼びです」
「そう、どうしたのかしら?」
「どうやら、アビドスで交流のあったトリニティの生徒からの繋がりでトリニティが援軍に来たとのことです」
「なるほど、政治的な判断が必要ということね」
ビナーの身体から降りて一時後方に下がっていたヒナは、先生の呼びかけに応じ彼の元へ急いだ。
“ごきげんよう、お初にお目にかかります。私トリニティ総合学園ティーパーティーのホストを務めさせていただいております、桐藤ナギサと申します”
“初めまして”
トリニティとの通信を繋いだ先生は、ナギサと初めて顔を合わせる。ナギサはお嬢様校のトップだけあって通信越しでも優雅な雰囲気を漂わせていた。
“ヒフミさんからお話は聞いているとは思いますが、我々もこのキヴォトスの危機に馳せ参じました。ですが、他校の敷地内で勝手に軍事行動を起こすわけにもいかず、こうして通信をお繋ぎした次第であります”
「アビドス高等学校の奥空アヤネです。この度は援軍を派遣してくださり、ありがとうございます」
“とりあえず援軍の件は了承したよ”
“お心遣いありがとうございます”
ナギサの説明に対しアビドスの代表としてアヤネは感謝を述べる。先生もここにきての援軍は思ってもみなかったので、ありがたく了承する。
「先生、トリニティの援軍が来てるの?」
“あら、先生はゲヘナの風紀委員長ともお知り合いなのですか?フフフ…先生も隅には置けませんね”
「驚いた…まさかティーパーティーのホストが出てくるなんて」
ヒナが先生の元に到着し、ナギサとヒナも初めての顔合わせを果たした。ヒナのほうはトリニティのトップがアビドスにまで来ていることに驚きを隠せないようだ。
「とりあえず今の風紀委員会はゲヘナじゃなくて先生の指揮下の元戦っている。だからゲヘナへの配慮は不要よ。あのビナーに砲撃を撃ち込んでくれれば私たちも助かるわ」
“話が早くて助かります。では我々も先生の指揮下に入りますので、部隊の退避が終了しましたら、そちらで合図をお願いします”
“うん、わかった。お願いね、ナギサ”
三者の話し合いは、トリニティの砲撃隊は先生の指揮下に入るという条件で決着がつく。これにより、トリニティはアビドス内での軍事行動の大義名分を得た。
“これよりトリニティの砲撃が降り注ぎます。総員安全圏まで後退してください”
「よし、退くぞ!!」
「「「「了解」」」」
トリニティの砲撃に備え、風紀委員やアビドスたちは後方へ退く。普段はトリニティいがみ合っているゲヘナの生徒たちだが、今回ばかりはそんな状況ではない為、素直に退避していく。
「先生、全軍の後退を確認しました。トリニティへの指示をお願いします」
“では、トリニティ砲撃隊攻撃開始!!”
「砲手、支援を」
全軍が安全地帯への退避を完了したのを確認すると、先生はトリニティに砲撃支援を命じる。ナギサは先生の命令を受け、砲撃隊に砲撃を開始させた。
ズドドドドドドド!!!
「ギャァァァァァ!!!!」
トリニティの砲撃にビナーは悲鳴を上げる。どうやらトリニティの砲撃はビナーにも有効なようだ。
「流石は聞きしに勝るトリニティの砲撃術ね。あの位置から正確にビナーを狙うなんて」
「・・・」
ヒナは正確無比な砲撃を素直に賞賛する。だが隣に控えているアコは敵対組織を褒めるヒナに複雑なようだ。
“これなら…いけるかもしれない”
「ん、アイツを倒せばホシノ先輩のところに行ける」
「えぇ、あんなデカブツさっさと倒してホシノ先輩のもとへ急がないと!!」
トリニティの砲撃によってビナーの動きが鈍くなっていくのを見て、シロコとセリカはホシノ救出に希望を持つ。だが、
「ギャァァァァァァァァァ!!!!!」
“目標に高エネルギー反応!!”
突如その巨体を地面に伏していたビナーが起き上がり、大きく絶叫する。そのあまりの大きさに、皆反射的に耳を塞ぐ。そして何やら内部にエネルギーを集中させているようだ。
「クソッ!まだ何かあんのかよ!!」 「『しぶとい』『しつこい』『めんどくさい』」
「クギャァァァァァ!!!」
キィィィィィィィィン!!!バババババン!!!
ビナーは口から高出力のビームを吐き出す。その威力は岩をも溶かすほどのものであるということが、誰の目にも明らかであった。ビナーは口から吐き出したビームで、トリニティの砲撃を蒸発させてしまった。
“な、何てやつだ…”
「ビナー、これほどの強さだなんて…」
ビナーの吐き出すビームの威力とそのしぶとさに一同は驚愕する。そして一度止まってしまった足はもう動かない。対策委員会も風紀委員会もみな、その場で立ち尽くしてしまった。
(みんなの士気が思った以上に下がってしまった…。このままだとビナーがオプティマス・プライムのほうへ行ってしまう…。何とかしないと)
「オートボット、ダイナボットたち、エアレイザー!!ビナーの動きをもう一度止めるわ!!ついてきて」
「おうっ!!」 「『Go fight!!』」
みんな足がすくんでその場で立ち止まっているなか、ヒナはいち早く動き出しビナーを止めようとする。ヒナの掛け声とともにオートボットたちもそれに続く。彼女たちは自分たちが動けば、みんなが再び戦ってくれると信じてビナーを止めに動くのだ。
「う、動かなきゃ…私たちも」
「ん、ミラージュたちを守る」
「行きましょう、セリカちゃん、ホシノちゃん」
「ガァァァァ!!!」
ヒナとトランスフォーマーたちが前へ進むのを見て、対策委員会も勇気を出して、彼らを守るために動き出す。だが、それと同時にビナーがこちらに向けて動き出す。
「ッ!!!まずい!!あなたたち!!」
「「「えっ!?」」」
キィィィィィン!!
ヒナはビナーの異変に気付くと、対策委員会へ大声で伝える。いつもの冷静なヒナからは考えられないような慌てようであった。一方の対策委員会は何が起こっているのか分からないようで呆気にとられていた。
チュドーーーーーーン!!!
だが無慈悲にもビームは対策委員会に向けて発射されてしまった。
ビナーがビームを撃った後には砂埃が煙のように立ち込める。
「みなさん、大丈夫ですか!!」
「何とか」 「こっちも大丈夫です」
どうやら対策委員会のメンバーは無事なようで、互いに安否を確認し合っている。
「でも、どうして無事だったのでしょう?あの距離であの角度なら直撃なはず…」
「確かに…」
「あ、あれ!!」
普通なら直撃コースのはずが、自分たちが無傷なことにノノミは疑問に思う。そして少しずつ砂煙が晴れていくなか、セリカは何かを見つける。
ガシャン…
「嘘…」 「そんな…」 「私たちを庇って!!」
「お…おぉ…お前ら無事だったか…」
「「「ミラージュ!!!」」」
土煙が晴れて視界が開けた先には、ビームの直撃を受け止めたミラージュがボロボロの姿になって、倒れていた。彼の声はとても小さく、弱っていることが誰の目にも明らかであった。
「ごめん!!私たちが迂闊だったせいで…」
「いや…お前らを守るのが…俺の役目…」
ミラージュの身体はビナーの攻撃によって表面が溶けており、コアも露出している。そしてそのコアにも直撃を受け、虫の息であった。
「やめてよ!!死なないでよ!!ミラージュ!!ねぇ!!ねぇってば!!」
「ははは…子猫ちゃん…元気出せよ…」
「すみません…故郷を取り戻すのが私たちと同じく、あなたの夢だったのに…こんなところで…」
「いい…いいんだ…」
シロコ、ノノミ、セリカの3人はミラージュの元へ駆けより、泣きながら思い思いに言葉をかける。後方にいるアヤネもオペレーターの仕事を放棄して走ってこちらに向かってくる。だが、彼女たちのことを止める者は誰一人としていなかった。
「はぁ…はぁ…!!ミラージュさん!!ダメです!!死なないでください!!」
「わ…悪いな…みんな…どうやらここまでの…ようだ。お前らと過ごした…日々…とっても…楽しかった…ぜ…」
「ねぇ、ミラージュ!!ねぇってば!!起きて!!起きてよ!!」
「ぐすっ…んっ…うっ…」
ミラージュは完全にその機能を停止してしまった。
「ミラージュ…」
ミラージュが対策委員会をビナーのビームから庇い、機能を停止したその時、オプティマスはザ・フォールンと刃を交えながら、彼の死を感じ取っていた。
「フッフッフッ!!お前も無惨に殺してやるぞ!!あのオートボットのようになぁ!!」
「ザ・フォールン!!!」
ガシャン!!
ミラージュの死を愚弄するザ・フォールンに、オプティマスの怒りが爆発する。彼は口元を覆うマウスシールドを展開し、ザ・フォールンへと鬼の形相で向かっていく。
「ぐわぁぁ!!」
ガシィ!!
そしてオプティマスはザ・フォールンの持っている槍を奪うと、彼の背後に回る。この際に奪った槍を首筋あたりに持ってくることによって、ザ・フォールンを完全に捕らえる形となる。
「選んだ星が悪かったな!!!」
メリメリメリメリィ!!!!
「うぅぐぅ!!」
「その顔を剥いでやる!!!」
「がぁぁぁぁ!!!」
ザ・フォールンを抑え込んだオプティマスは首元にあった槍の柄を、ザ・フォールンの顔に押しあて、宣言通り彼の顔を剥ぎ取る。顔を剥がされたザ・フォールンは悲痛な叫びを上げ、痛みで苦しみ悶える。
バシュン!!!!
「うがあぁぁぁ!!!」
そしてその直後、オプティマスは後ろに付いているジェットを反転させ、ザ・フォールンに食らわせる。オプティマスの攻撃によって、ザ・フォールンはボロ布のように吹っ飛ばされてしまう。
「う、あぁぁ…あぁ…」
メリィ!!
「がぁ!!うががぁぁ!!」
オプティマスは吹っ飛ばされたザ・フォールンのもとへ向かい、左腕で彼の頭を掴み持ち上げる。この時点でもはやザ・フォールンに抵抗する力など残されていなかった。
「私の手で地に堕ちろ!!!!!」
グワシャァァァン!!!!
そしてオプティマスは右腕でザ・フォールンの胸を貫き、コアを握り潰した。コアを潰され、動力を失ったザ・フォールンは、力なく地に堕ちた。
「ザ・フォールン、お前の野望は潰えたぞ!!」
バコーーーーーン!!!
最後にオプティマスがジェットパワーキャノンでスターハーベストの発射口を撃ち抜く。これにより装置が強制停止したため、ホシノは助かり世界は救われた。
だが、そのために払った代償は彼女たちにとって、あまりに大きなものである。
次回対策委員会編最終話です。
まぁ、勝手に砲撃ブッパして帰るのは政治的にまずいよね...。
大丈夫だから!!大団円のハッピーエンドにするから!!