TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
まぁ元々あそこにあった空飛ぶ船はトランスフォーマーがいるんだから何とかなるやろ
ザ・フォールンがオプティマスによって倒され、スターハーベストも彼の手で破壊されたことにより、世界は救われた。ザ・フォールンが倒れたことによりビナーとスコルポノックの洗脳が解かれ、どこかに消えていく。
「私は…」
スターハーベストの核となっていたホシノも拘束が解かれる。ちょうど装置とピラミッドが吹っ飛ばされ、ホシノのいる場所から外が見える。
「そうか…私は助かったんだね」
瓦礫の山を這い上がり、外に広がる光景を見てホシノは自分がみんなに助けられたことに気付く。昼間から行われた大決戦だが、夕暮れになるまで時間が経っておりホシノの背中を夕陽が照らす。
「戦いは終わった。君はもう自由の身だ」
「オプティマス・プライム…」
ホシノがピラミッドの中腹に空いた穴で佇んでいると、ザ・フォールンを倒したオプティマスがピラミッドに登ってホシノを迎えにきた。戦いに勝利したというのに彼の表情は暗く悲しそうである。
「行こう。君の仲間や、君を助けるために集ってくれた者たち、そして先生が君の帰りを待っている」
「うん」
「ほら、すでにこちらに来ている者がいる」
オプティマスが空に指をさす。その先には空を飛ぶエアレイザーの姿があった。
「エアレイザー!!」
「ホシノ!!」
ホシノとエアレイザーは感動の再開を果たす。念願の再開にホシノの目には涙が浮かんでいた。
「ごめんね、エアレイザー…ごめん」
「いいのですよ、ホシノ。もう、終わったことです」
「行こう、みんなの元へ」
ホシノはエアレイザーに飛び乗る。そしてオプティマスと共にピラミッドから飛び立ちみんなのところへ向かう。
「あ…ホシノ先輩」
「良かった…」
こちらに飛んでくるホシノを見て、セリカとアヤネは安心したようにそう呟く。だがその声に力は無く、気分も沈んでいる。
「ホシノ先輩…ミラージュが」
「私たちを助けるために…」
ホシノの目の前にはミラージュが力なく砂漠に倒れている姿が映っている。後輩たちはひとしきり泣いた後なのか目を腫らし、肩を落としている。
「ミラージュ…後輩たちを守ってくれてありがとう。お前も故郷に帰りたかっただろうに、私のせいで…うっ…ごめん…」
「うっ…ぐすっ…うぅ…」
ミラージュの無惨な姿を見て、最初は何とか我慢をしていたホシノであったが遂に泣き出してしまう。それにつられて他の対策委員会のメンバーも再び声を出して泣き始めた。
「「「・・・」」」
ホシノを救うため、世界を救うためにこの場に集った者たちも、ただただ静かにミラージュと対策委員会のことを見守る。便利屋も風紀委員会も一度は刃を交わし、一度は共に戦った彼の死をただ静かに悼んでいた。
“ねぇ、オプティマス…彼が、ミラージュが生き返る方法は無いの?”
それはこの場にいる誰もが探し求めているものである。だが、先生自身もそんなことは不可能であると心では理解しているのである。だがそれでも、聞かずにはいられなかった。
「マトリクス…。サイバトロン星に代々伝わる伝説のアイテム、マトリクスならば彼を生き返らせることができるかも知れない」
「・・・」
「あぁ、そうだビー。マトリクスはこのアビドスの砂に飲まれ、地中奥深くに眠っているだろう。我々の技術でもマトリクスを探し当てるのは不可能だ」
オプティマスはマトリクスの存在を示すが、ビーは首を横に振る。以前からマトリクスを探していたジェットファイアの話ではマトリクスはとうの昔に埋もれてしまって、その所在が分からなくなっているのである。
「思い出したことがあるの…」
「ホシノ先輩?」
「アビドスの校舎には地下室があるんだ」
オプティマスの話を聞いてホシノはアビドス校舎に秘密の地下室があったことを思い出す。
「そんなの今まで…」
「うん。そこに大きな扉があるんだけど、結局どうやっても開けられなかったから私も忘れてた」
ホシノは一度そこへ行ったことがあるようだが、どうやら大きな扉に阻まれ、それが何か理解できなかったため、とっくに忘れてしまっていた。
「だが、それがマトリクスのありかという確証はあるまい?」
「ミラージュも、バンブルビーもあなたも一緒にいたのに、今の今まで思い出せなかった。でもあの扉には確かにあなたたちの胸に付いているあのマークがあったの」
「何だと!?」
どうやら扉にはオートボットのエンブレムが刻印されているらしい。これにより、アビドスの地下室にマトリクスが隠されている可能性が一気に高まった。
「みんな、戻ろう。私たちの学校へ」
「「「「はい!」」」」
「我々も行こう」
「『All Right』」 「えぇ」 “うん”
ホシノの言葉に対策委員会のみんなは返事を返す。ミラージュ復活の希望が見えた彼女たちの声色は先ほどよりも明るくなっていた。オプティマスたちもミラージュを抱えながら彼女たちについていく。
「生き返るといいわね」
「えぇ、そうですね」
ヒナはそんな彼女たちを見送りながら、ミラージュが生き返ることを静かに願うのであった。
「待っててね、ミラージュ。私が必ず生き返らせてみせるから」
「でも、扉は開かなかったんでしょ?大丈夫なの、ホシノ先輩?」
ホシノはミラージュの身体を撫でながら地下室へ向かおうとする。そんなホシノをセリカは心配そうに引き留める。そして、セリカの言う事はもっともである。
「確証はない…。けど、今なら開けられるような気がする」
「確証はないって…」
「マトリクスは“勇気ある者”に応えるという…。ホシノ、君は故郷を守るべく1人で大人に立ち向かおうとした“勇気ある者”だ。必ずマトリクスも応えてくれるだろう」
ホシノ自信確証は無いといいつつも、ミラージュを助けるために必ず開けてみせるという強い意志がその眼に宿っている。そんなホシノを見てオプティマスはマトリクスが彼女の声に応えてくれると確信したようだ。
「行ってくる」
「ん、あとはホシノ先輩に託す」
「私たちのホシノ先輩を信じましょう」
「任せたわ、ホシノ先輩」
「ホシノ先輩、どうかミラージュを救ってください」
地下室へ向かうホシノに対し、対策委員会のメンバーはそれぞれ彼女に言葉をかける。みなホシノを信じて待つことを決めたようだ。
「今のあの娘なら、必ず彼を救えるはずです。信じましょう」
“うん”
「・・・」グッ!!
「あぁ、そうだなビー」
みんなに見送られながら、ホシノはマトリクスの元へ向かうのであった。
ガコンッ!!
「ここに来るのもいつ振りだろう…」
埃が被っている地下室の扉を開け、ホシノは感慨に浸る。
「ねぇ、ホシノちゃん。私ね、ホシノちゃんと初めて会った時、これは夢なんじゃないかって思って、何度も頬をつねったの。ホシノちゃんみたいな、可愛くて強くて、頼れる後輩がそばにいてくれるなんていう夢みたいなことが、本当にうれしくて…」
地下の扉へと向かうなか、ホシノはユメとの会話を思い出す。
「ただ、こうしてホシノちゃんといっしょにいられることが、私にとっては奇跡みたいなものなの」
「毎日毎日、こうして一緒にいるじゃないですか。昨日も今日も、明日もそうです。こんな当たり前のことで、何を大袈裟なことを」
「はぅ…だって…」
ホシノの記憶のなかのユメは相変わらず頼りなく、能天気である。そんな彼女に突っかかる自分もまた、未熟であったとホシノは反省した。
「“奇跡”というのはもっとすごくて、珍しいもののことですよ」
「ううん、ホシノちゃん。私は、そうは思わないよ。ねぇ、ホシノちゃん。いつかホシノちゃんにも可愛い後輩ができたら、その時は…」
そこでホシノは過去を思い出すのを止める。その時ちょうど大きな扉の前に辿り着いた。
「ノノミちゃん、シロコちゃん、アヤネちゃん、セリカちゃん…そしてミラージュ。うん、分かってるよ、ユメ先輩。可愛い後輩たちが“奇跡”を起こして私を救ってくれたんだ。今度は私が奇跡を起こす番だよね」
ホシノは扉に手をかけ、精一杯の力で押す。こんなことで開かないということは分かっているが、それでやらずにはいられなかった。
「マトリクスよ応えて!!私はミラージュを救いたい!!私だけじゃない。こんな私についてきてくれた後輩たちのためにも、扉よ開けぇぇぇぇぇ!!!!」
ギゴガゴゴ!!
「っ!!!」
ホシノの強い想いに応えたのか、その大きな扉は変形して、マトリクスまでの道を開く。扉の奥には銀色に光る物体が鎮座していた。
「開いた…!!これがマトリクス…。これがあれば、ミラージュを…」
マトリクスを手にしたホシノはみんなが待つ校庭へ全速力で駆け抜けていった。
「みんな!!はぁ…はぁ…見つけたよ!!」
「ホシノ先輩!!」
「間違いない、あれはマトリクスだ!!」
校庭でこちらに向かって走って来るホシノを見てセリカは喜びの声をあげる。ホシノが腕に抱えている物を見たオプティマスはそのブツが放っている輝きを見て、それがマトリクスであると確信する。
「はぁ…はぁ…どうすればいいの?」
「我々の動力は胸にある。マトリクスを胸部に捧げればミラージュは蘇るはずだ」
「みんな、行こう」
「「「「うん!!」」」」
オプティマスにミラージュを生き返らせる方法を聞いたホシノは、他のメンバーに声をかけ、共にミラージュの胸部へと集まる。
「みんなでマトリクスを持って、ミラージュの胸に挿そう」
「ん」 「うん」 「はい」 「わかりました」
ホシノはマトリクスを対策委員会の前に出し、みんなでミラージュを救おうとする。その気持ちに応えるべく、他のメンバーも次々にマトリクスを持ちミラージュの前へ持っていく。
「みんな、行くよ!!」
「「「「はい!!」」」」
ガシャン!!
「「「「「お願い!!生き返って、ミラージュ!!!」」」」」
ビィィィィィン!!!
みんなでマトリクスをミラージュのコアへ挿しこむ。彼女たちの想いに応えたのかマトリクスは以前にも増してより強く光輝く。
「これがマトリクスのパワーなのか!!」
「・・・!!」
“ま、眩しい!!”
大きく光り輝くマトリクスを見てオプティマスたちは、そのパワーに驚愕する。彼らがこれほどのエネルギーを感じたことは未だかつてないのだ。
キィィィィィン!!!!ヒュン!!
マトリクスはパワーを全てミラージュに注ぎ込むと、その役目を終えたのか、塵になって消えた。
「ミラージュ!!ねぇ、起きて!!」
「ん…んぅん…」
「反応がありました!!意識回復しています!!」
マトリクスのパワーを注がれ、ミラージュはそのボロボロになった身体も綺麗に修復され、コアに光が宿る。さらには意識を取り戻しつつあり、彼は完全に生き返ったと言っていい。
「ほらっ!!早く起きてよ!!ねぇってば!!」
「ん、叩けば直るかも」
「て、テレビじゃないんですよシロコ先輩」
「うぅ~ん…うるせぇ…」
眠りから覚めようとしているミラージュに対し、対策委員会たちは早く起きるように急かす。彼女たちは彼が元気に動いている姿が見たいようだ。
「うへ~起きないとミラージュが夜な夜なやってる変な踊りのことバラしちゃおっかなぁ~」
「わぁー、聞きたいですー☆」
「うおぉい!!お前らうるせぇよ!!」
「ん、起きた」
周りで騒がしく叩き起こそうとするアビドスのメンバーにしびれを切らし、ミラージュは起こりながら起き上がった。
「何だよ!?人がせっかく気持ちよく寝てたってのに、叩き起こすんじゃねぇよ!!」
「うへ~ミラージュはねぇ、こんな風に深夜に…うっ、ふふっ」
「うわー☆アグレッシブですねぇー」
「オイ!!ホシノ!!それ止めろ!!」
対策委員会の(うるさい)声に呼び起され、ミラージュは完全復活を果たす。
「大体ホシノォ!!お前だって勝手に抱え込んで抜けたじゃねぇかよ!!」
「う、うへぇ…」
「そうよ!!私たちに相談もなしに大人の誘いにホイホイ乗っちゃって、しまいには騙されて!!」
「ん、セリカのこと笑えない」
完全復活したミラージュは恥ずかしい秘密をバラされた仕返しとばかりに、ホシノにその矛先を向ける。セリカは正直そのことを色々ありすぎて忘れていたのだが、日ごろ弄られてるお返しとばかりにミラージュに便乗しだす。
「そんなに私たちは弱くて頼りないんですかぁー?ホシノ先輩のことを私たちで助けたんですよー?」
「ん、薄情者」
「うへぇ~ごめんってばぁー!!」
先ほどまであれほど泣いて沈んでいたというのに、ミラージュが起き上がったことを見るやいなや彼女たちは騒々しく騒ぎだす。そこにはいつものアビドス高等学校の光景が広がっていた。
「よし、ミラージュは生き返ったな。ビー合図を頼む」
「『OK!!』」
オプティマスに命じられビーは両腕をブラスターに変形させ、真上に掲げる。
ヒューーーーーーー ドォーーーーン!!
そしてブラスターから花火の玉を発射させ、その玉を上空で破裂させた。
「どうやら、万事解決のようね」
「はい」
アビドス高校から上がった花火を見てヒナはそう呟き、胸を撫でおろす。ヒナも彼女なりに心配していたようだ。
「私たちの仕事はこれで終わり。総員ゲヘナへ帰還するわよ」
「「「はっ!!」」」
「あれ?アイツらは…」
「相変わらず便利屋は逃げ足が速いのね」
ミラージュの無事を確認した風紀委員会は、ヒナに率いられてゲヘナ学園に帰還するのであった。
「アルちゃ~ん、アビドスちゃんたちのことほっといていいの?」
「いいのよ、アウトローはクールに去るんだから」
「これからまた野宿ですね…アル様」
「はぁ、次の仕事も見つけないと」
便利屋は風紀委員会よりも前にその場を離脱していた。彼女たちはダイナボットたちに乗ってこのキヴォトスをさすらうのであった。
ミラージュ復活から時間が経ち、みなはしゃぎ疲れて落ち着いた頃、ホシノ以外のメンバーがホシノの前に立つ。
「な、なになに!?」
「「「「おかえり!!」」」」
「ただいま…みんな」
みんなからの“おかえり”に対し、ホシノは少し恥ずかしがりながら“ただいま”と答える。その表情はいつもの眠そうな昼行燈なホシノではなく、彼女の素直な感情を表していた。
この戦いでカイザーからの借金問題が解決したわけではない、その大元になった砂漠化についても何の対抗策を見いだせてはいない。だが対策委員会はこの戦いで、彼女たちの日常を取り戻したのだ。
「ん、ミラージュこれからもよろしく」
「おう!!」
そして、彼女たちの想いにマトリクスは応え、奇跡を起こしたこともまた、紛れもない事実である。
何気ない日常で、彼女たちは奇跡を見つけたのだ。
「協力してくれて、礼を言う。先生」
“私はただ、生徒たちの手助けをしただけだよ。お礼は生徒たちに言ったほうがいい”
「いや、君がキヴォトスの住人と我々を繋いでくれなければ、我々はザ・フォールンに敗れていた。だから改めて礼を言う」
先生とオプティマスは校庭でみんなのことを見ながら、夕陽を背に佇んでいる。
”我々はこの星の民と共に過去の亡霊による危機を乗り越えた。これからは共に彼らと未来へ進む。私はオプティマス・プライム。このメッセージと共に、我々の過去を記憶に刻みたい。そしてその記憶は未来に引き継がれるだろう。そしてその記憶の中に我々は生きている”
第1章対策委員会編 Fin
To be continued in Chapter 3
1章無事完結。ここまで見てくださった皆さん、ありがとうございます。
次回からは2章に行きますが、間が空くと思います。
いやー、マトリクスとっといて良かったぁー
深夜に1人でperfectな踊りを踊るトランスフォーマーミラージュ、堂々の復活です。