TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
みんなー!!ゲーム開発部のパーフェクト言語教室、始まるよー!!
トランスフォーマーのレトロゲームと言えばもちろんアレ
モモイはアリスをゲーム開発部の部員として偽装するために、ヴェリタスの部室へと向かっていた。
「結局アイツをゲーム開発部の部室に住まわせるのかよ?」
「アリスを部員として加えればゲーム開発部の存続できるんだよ!!」
「けどあんなアンドロイドみてぇなヤツだぞ?ユウカにどう取り繕うんだよ?」
モモイから事の経緯を語られ、ツインズはユウカにバレることを懸念する。アリスの言動ではユウカにアンドロイドで偽装していると思われることを心配していた。
「それについてはミドリたちに何とかしてもらってるよ」
「ならいいけど…」 「大丈夫かよ、マジで」
モモイの言葉に心配になりつつも、ツインズは納得した。そしてなんやかんやしているうちに、ヴェリタスの部室へとたどり着く。
「あ!来た来た、おーいこっちこっち!!」
「マキちゃん!!」
「廃墟はどうだった?」
「実はね…」
ヴェリタスの部室棟の前につくと、マキがモモイたちを待っていた。どうやら、彼女たちの冒険の結果を早く知りたくて待っていたようだ。そんなマキに対し、モモイはアリスのことを話す。
「なるほど、アンドロイドっぽい美少女がいたと…。それでそのアリスちゃんをゲーム開発部の部員にするために学生証と学籍番号を偽装して欲しいわけね…」
「マキちゃんお願い!!」
「うん、わかったよ!!後でアリスちゃんに会わせてね!!」
「もちろんだよ!!」
モモイのお願いをマキは快く受ける。ハッカーである彼女は、アリスのプログラムに興味があるようだ。
「ミレニアムのサーバーはトランスフォーマーの影響もあって堅牢だから、ちゃちゃっとやっちゃうために、こっちもトランスフォーマーのお友達に頼むかな」
「やっぱ、アイツって凄いんだな」
「今まで敵同士で接点無かったけど、やっぱエリートってのは何でもできんのかね」
トランスフォーマーの襲来によって、サイバーセキュリティは異常な速度で進歩を遂げている。機械生命体であるトランスフォーマーはシステム関連でもキヴォトスでは追いつけない程の技術を持っているのだ。
そんな超技術を持つTFたちをミレニアムの生徒たちは放っておくはずがなく、すぐに接触を開始する。常に最先端を走ってきた彼女たちの知的好奇心に心を動かされたTFたちが、陣営関係なく集い、ミレニアムの技術はさらに飛躍的な進歩を遂げたというわけである。
「学籍データ偽装の件、了解した。俺であれば一分もかからん」
「さっすがサウンドウェーブ!!」
部室棟の中から出てきたのはディセプティコンの3人の参謀のうちの1人、サウンドウェーブである。上には割と無茶ぶりをしてくるメガトロン、下は勝手にやらかす連中ばかり、さらには同僚はスタースクリームである彼は落ち着ける場所を求め、遂にミレニアムのヴェリタスという憩いの場を見つけたのである。
「これでデータの書き換えは完了した。後は学生証だが、今3Dプリンターで作成中だ」
「ありがとう!!」
「これくらい造作のないことだ」
ものの数分でアリスの学籍番号と学生証の偽装が完了する。サウンドウェーブは素っ気ない態度であるが、ディセプティコンにいるときは礼など言われないので、若干機嫌が良さそうである。
「しかしそのアリス…いやAL-1Sという生命体は興味をそそられる。この星の人間のような姿をしていながら、アンドロイドのように話すとは…」
「おい、アリスに変なことすんなよ!?」 「そうだ!!俺たちが見つけたんだぞ!!」
「ふんっ、俺がするのは解析であって、改造や解剖とかはショックウェーブの役だ。それにスタースクリームのように他人様のものを横取りして手に入れるほど悪趣味ではない」
アリスに興味を持ったサウンドウェーブをツインズは警戒する。だがそんな彼らの心配をサウンドウェーブは否定した。サウンドウェーブにはサウンドウェーブなりのやり方があるようだ。
「そら、できたぞオートボット共。さっさと帰れ」
「どうも~。じゃあ後でアリス連れて来るからね」
「楽しみにしてるよ、モモ」
モモイたちはサウンドウェーブから学生証を受け取り、ゲーム開発部の部室へと帰っていった。
ゲーム開発部部室
ミドリたちはアリスに普通の学生としての性格を形成させるべく、自分たちで作った『テイルズ・サガ・クロニクル』をプレイさせていた。
「エラー発生!!エラー発生!!」
「あーあ…ぶっ壊れちまったよ」
「まぁ、俺も初めてやった時に同じ感じになったから気持ちはよくわかるぜ」
アリスはゲームの酷い完成度に混乱していた。それを見ていたミニボットたちも彼女に同情していた。
「死にゲーが好きなのはいいけど、やりすぎるとムカつくだけだよ、お姉ちゃん」
「流石に次はしません…」
そしてそれを後ろで見ている製作者2人は、その酷さを再確認し、反省するのであった。
(それからさらに一時間後)
「こ、ろ、し、て」
「すごいよアリス!開発者2人が一緒とはいえ、3時間でトゥルーエンドなんて!」
「それもそうだけど…。もしかして、本当にゲームをやればやるほど、アリスちゃんの喋り方のパターンが、どんどん多彩になってきてない!?」
「勇者よ、汝が同意を求めるならば、私はそれを肯定しよう」
3時間苦労して『TSC』をクリアしたことにより、アリスの語彙に変化が生じる。所々まだ機械的な言葉遣いが残るものの、始めよりだいぶ成長を感じられる。
「しっかし、サウンドウェーブに頼むとは肝が据わってんな」
「でもアイツ、参謀の中じゃ一番まともだしな」
ミニボットたちはモモイがサウンドウェーブに偽装を手伝ってもらったという事実を知り、驚いた様子である。だが、元ディセプティコンである彼らはサウンドウェーブのことをよく知っているので、ありえなくはないと思ったようだ。
「で…その、こういうのを面と向かって聞くのは緊張するんだけど…」
「私たちのゲーム、どうだった?面白かった!?」
ゲームをクリアしたアリスに対し、モモイとミドリは感想を聞く。多少恥ずかしがってはいるものの、やはり開発者としてはプレイヤーの感想が聞きたいところである。
「…説明不可」
「えっ!!なんで!?」
「…類似表現を検索。ロード中…」
「も、もしかして、悪口を探してる?そんなことないよね?」
アリスは彼女たちに感想を聞かれ、すぐには説明できず、適切な言葉を探す。その様子にモモイとミドリは戦々恐々である。
「…面白さ、それは明確に存在…」
「おぉ!!」 「やったね!!」
「プレイを進めれば進めるほど、まるで別の世界を旅しているような、夢を見ているような、そんな気分…もう一度…」
アリスは『TSC』には面白さが存在すると断定した。その言葉を聞いてモモイとミドリは嬉しそうに喜ぶ。
「もう一度…」
(ポロッ)
「えぇ!!」
「あ、アリスちゃん!?どうして泣いてるの!?」
そしてあらかた感想を言い終えるとアリスは突如泣き出してしまった。突然の出来事にその場にいた者全員が困惑してしまう。
ギギ…
「・・・」
「あれ、ロッカーが勝手に開いて…」
「お、ユズが出てきた」 「珍しいな」
みなが戸惑っていると、唐突に部室のロッカーが開き、中から人が出てくる。中から出てきたのはゲーム開発部部長にして、『TSC』のプロトタイプを作った張本人花岡ユズである。
「ユズちゃん、あれだけ探しても見つからなかったのに!いつからロッカーの中にいたの?」
「み、みんなが、廃墟から帰ってきた時から…」
「結構前からいたのかよ」
どうやらユズは随分前から部室の中にいたようで、アリスのゲームプレイの一部始終を見ていたらしい。
「あ、アリスは初めてだよね!この人がゲーム開発部の部長ユズだよ!」
(スッ)
「?」
「えっと、あの、その…ありがとう。ゲーム面白いって言ってくれて…もう一度やりたって言ってくれて…」
「・・・」
「泣いてくれて…本当に、ありがとう」
ユズはアリスの元へと近づき手を握る。ユズもまた、自分たちの作ったゲームを面白いと言ってくれたアリスに感謝をしていた。彼女はあまりの嬉しさに感極まって泣いている。
「面白いとか、もう一度とか、そういう言葉をずっと聞きたかったの…」
「ユズちゃん…」
ユズは本当にアリスの言葉が嬉しかったようだ。
「とにかく、あらためまして。ゲーム開発部の部長、ユズです。この部に来てくれてありがとう、アリスちゃん。これからよろしくね」
「よろしく…。理解。ユズが仲間になりました、パンパカパーン!」
「ふふっ、その様子だと、本当にわたしたちのゲームを楽しんでくれたんだね…。仲間が増えるのは、RPGの醍醐味の一つだもんね」
アリスはユズが加わって嬉しいのか、その感情を『TSC』で覚えた言葉で表現する。ユズはその反応を見て笑みが零れた。
「あ、もしRPGを面白いなって思ってくれたなら、わたしが他にもおすすめのゲームを教えてあげる」
「ちょっと待ったぁ!アリスにオススメするのは私が先!」
「抜け駆けしないでお姉ちゃん!!」
ゲーム会は開発部の3人はアリスに次どのゲームをやらせるかで言い争う。ゲーム教育が有効なことを知り、3人それぞれがアリスにやらせたいゲームがあるようである。
「さあ、まずは『英雄神話』と『ファイナル・ファンタジア』と『アイズ・エターナル』と…」
「何を言ってるの、アリスちゃんはゲーム初心者だよ!?『ゼルナの伝説・夢見るアイランド』から始めるのが一番だって!」
「これだけは譲れない、次にやるべきは『ロマンシング物語』だよ」
ゲームを愛する彼女らにとって、それぞれ譲れないものというものがあるようで、3人はそれぞれ自分が面白いと思ったゲームをアリスにやらせようとする。
「おいおい御三方、何か忘れちゃいないかい?」
「俺らだってゲームを作ってるんだぜ?」
「「「あれは無い」」」
彼女たちが言い争っているなか、突如乱入してきたミニボットたちだったが、全員から「無い」と否定される。ホィーリーとブレインズが作ったゲームは『ガンボイの謎』というトランスフォーマーが活躍するアクションゲームである。作品の出来以前にシナリオが無いゲームなので却下されるのは当然である。
「くそうくそう…」 「まぁ、しゃあねぇ」
“じゃあ私がやろうか?”
「よっしゃ!!」 「ゲーム機とカセット持ってくるぜ!!」
哀れに感じた先生は、ミニボットたちの作ったゲームをアリスの代わりにやると言い出す。それを聞いた彼らは嬉しそうにゲームのセッティングをするのであった。
「…期待。再び、ゲームを始めます」
「気を付けなよ、先生」
“えっ?うん…“
アリスが良作RPGをプレイする横で先生の『ガンボイの謎』への挑戦が始まるのであった。
2時間後
(ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ)
「うわっ、アリス、読むスピード速くない…?会話が出力されるとほぼ同時に読み終わってるみたいな…」
「アリスちゃん、次は“伝説のオークバトル”やろう!ターン制バトルの面白さを教えてあげる!」
アリスは人間離れした処理速度で、彼女たちからオススメされていくゲームをどんどん処理していく。ゲームをクリアするたびにゲームと言葉遣いが上達していくのがわかった。
♪テーレーレレレレレー
“・・・”
「先生、そこはこうして…」
バキュン
♪テーレレーレー
「あ、死んじゃった…」
“・・・”
「へへへ、どうよ!!俺たちのゲームはよぉ」 「先生目ぇ死んでるぞ」
一方先生は手の空いたユズのサポートを受け、ゲームを攻略中である。だがそのあまりの酷さに、先生の目は死に、言葉も出ない有様である。このゲームも『TSC』同様、世に出したときには酷評の嵐であった。
以下、その酷評コメントの一例である。
「開発者の野郎を、引きずり降ろして細切れにしてやる!」
「タイトルのガンボイの謎が結局わからずじまいじゃねぇか!!」
「ステージ使い回しのクソ手抜きゲーじゃねぇかよ!!」
「数週間エビを見たくなくなった」
などの貴重なご意見が寄せられた。
(ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ)
「クリア」
その後もアリスと先生はゲームをプレイしていく。先生がクリアした後も、ゲーム開発部のメンバーが疲れ切って寝てしまった後も、アリスはゲームを続けていった。
そして朝
「ふわ~~~~~。えっ、もう朝!?しまった、準備しなきゃ…!」
「ようやく気が付いたか…。無事に目を覚ましたようで何よりだ、君は運がいいな」
「え!?」
ミドリたちが目を覚ますとアリスはすでに起きており、彼女たちに言葉をかける。起きているというよりは徹夜でぶっ通しでゲームをやっていたようだが、なぜか疲れは見られなかった。
「調子はどう?色々と覚えられた?」
「君のその言葉を肯定しよう、必滅者よ」
「な、何か偏った台詞ばっかり覚えてない?」
どうやら彼女たちの思惑は成功したようで、以前までのようなアンドロイド的な口調は完全に消えている。代わりにゲームで覚えた言葉を使う変な少女になってしまったが。
「ふぁ…みんな、おはよう」
「グー…グー…」
「ほら、お姉ちゃん起きて!!朝だよ!!」
そうやっているうちにユズも起き、まだ眠っているモモイをミドリは叩き起こす。
「いてっ!!あぁ…もう朝か…」
「約束の時間が近づいてるぜ」 「さっさと起きやがれ」
「それとお姉ちゃん、昨日作ってもらった学生証をちゃんとアリスに渡してあげてね」
ミニボットたちの助けを借りて、モモイは起き上がる。モモイは結局ゲームをやらせることに気をとられて、学生証をアリスに渡していなかったようだ。
「あぁ、忘れてた。じゃあはいこれ!!」
「…?アリスは“学生証”を獲得した。ですが、学生証とはどんなアイテムなのですか?」
モモイはアリスに学生証を手渡す。アリスはそれを喜んで受け取ったが、どうやら学生証が何かを理解していないらしい。
「この学生証は、私たちの生徒だっていう証明書。生徒名簿にもヴェリタスがハッキングして登録してくれたから、もうアリスも正式に私たちの仲間だよ!」
「仲間…なるほど、理解しました。パンパカパーン、アリスが仲間として合流しました!」
アリスはゲーム開発部の一員になれて嬉しそうにそう答えた。これにより、だいぶミレニアムの生徒としての完成度が上がっていく。
「じゃあ、あとは…」
「「「「武器だね(だな)」」」」
「じゃあせっかくだし、武器を探すがてら案内するよ。私たちの学校、ミレニアムを!!」
アリスの武器を手に入れるための旅が始まるのであった。
トランスフォーマーたちの憩いの場ミレニアム
情報参謀なのでヴェリタス