TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
ツインズをあまり活躍させられなかったので、パヴァーヌ後編ではいい出番を与えられるようにしたい。
サウンドウェーブたちディセプティコンをミレニアムから追い出した後、ゲーム開発部は部室に戻りG.Bibleのファイルを開封した。だがG.Bibleに書いてあった言葉は
“ゲームを愛しなさい”
この一言だけであった。苦労して手に入れたG.Bibleの中身がこれだけだったと知ったゲーム開発部は絶望の淵に立たされていた!!
「うわぁぁぁぁ!!もうダメだぁぁぁぁぁ!!」
「お、お姉ちゃん…きっと私たち悪い夢でも見てるんだよ…そうに決まってる」
「・・・」
モモイは絶叫し、ミドリは現実逃避をし、ユズは黙って絶望している。彼女たちはゲーム開発部の廃部を悟り、ガックリと肩を落とすのであった。
それから数時間たち…
「あの、モモイ…デイリークエストしないのですか?いつも、“デイリークエストより大事なものなんてない”と言っていたのに…」
「アリス…私のHPはもうゼロだよ…」
「こっからどうする俺たち?」 「ゲヘナに行ってもしょうがねぇしなぁ」
ゲーム開発部の中で唯一あんまり状況が呑み込めていないアリスがモモイに声を掛ける。だが、モモイは真っ白に燃え尽きているのであった。そしてミニボットたちも、今後の身の振り方を話し合っている始末である。
「み、ミドリ…?」
「ごめんね、アリスちゃん…知ってたけど、現実って元々こういうものなの…そう、つまりこれがトゥルーエンド…ハッピーエンドとはまた別の到達点…」
「ユズは…ユズはどこに…?」
「アイツならロッカーの中に入っちまったぜ」 「よく見るとたまに揺れるだろ?」
モモイがダメだと悟り、アリスはミドリとユズに声を掛けるが2人もどうやら同じような状況のようだ。アリスはそんな状況にただオロオロしながら周りを見渡すしかなかった。
「棲み処を追われるのは二度目だな」
「まぁ一度目は俺らがサイバトロン星で争いを起こしたのが原因だけどな」
「ホィーリーとブレインズは他のみんなと違って元気ですね…」
「この程度でへこたれてちゃディセプティコンじゃ生きてられないぜ」
一方のホィーリーとブレインズは元気そうである。彼らは何万年も生きているため、この程度の苦境などよくある話なのだ。
「今のみんなの姿は…まるで正気がログアウトしたみたいです」
「仕方ないじゃん!!あんなに怖い思いして手に入れたG.Bibleの中に入っていた文章があんなありきたりなものだったんだよ!!知ってた!!世界にはそんな、それ1つで全部が変わって上手くいくような、便利な方法なんか無いって!でも期待ぐらいしたっていいじゃん!うああぁぁんっ!」
「はぁ…ごめんね、アリスちゃん…私たちは…G.Bible無しじゃ、良いゲームは作れない…」
正気を失っているゲーム開発部にアリスは声を掛ける。だがモモイもミドリもすでにやる気を失っており、泣いたり、溜息をついたりしていた。
「いいえ。否定します。アリスは『テイルズ・サガ・クロニクル』をやるたびに思い出します。あのゲームは、面白いです」
「え?」
「感じられるのです。モモイが、ミドリが、ユズがホィーリーとブレインズが…。このゲームを、どれだけ愛しているのかを。そんな、たくさんの想いが込められたあの世界を旅すると…胸が、高鳴ります。仲間と一緒に新しい世界を旅する、あの感覚は…。夢を見るというのが、どういうことなのか…その感覚を、アリスに教えてくれました。だから、待望のエンディングに近づくほどに、あんなに苦しんだのに、思ってしますのです…。この夢が、覚めなければいいのに…と。アリスはそう思うのです」
「アリス…」
「・・・」
落ち込んでいる彼女たちを励ますように、アリスは『テイルズ・サガ・クロニクル』の思い出を語っていく。それを聞いていたモモイたちは、『テイルズ・サガ・クロニクル』を作った時のことを思い出していた。さらにはユズもアリスの話を聞いてロッカーの外に出ていた。
「…作ろう」
「え?」
「わたしの夢は…わたしが作ったゲームを、みんなに面白いって言ってもらうこと。でも、わたしが初めて作った『テイルズ・サガ・クロニクル』のプロトタイプは…4桁以上の低評価コメントと、冷やかしだけで終わっちゃって…。それが辛くて、ゲーム開発部に引きこもってた時…。2人が、訪ねてきてくれた」
アリスの言葉を聞いてゲームを作ろうと言い出したのは、ゲーム開発部の部長でもあるユズであった。ユズは『テイルズ・サガ・クロニクル』のプロトタイプを作ったあと、低評価ばかりでふさぎ込んでいたときにモモイとミドリが訪ねてきたのを思い出していた。
6か月前
「うぅ…。やめて…ごめんなさい、ごめんなさい…。もうお願いだから…許して…!」
ユズは自ら作った『テイルズ・サガ・クロニクル』のプロトタイプへの酷評の嵐に晒され、部室で縮こまって泣いていた。
ドンドンドン!
「ひぃっ!だ、誰…?」
「えっと、ここって『テイルズ・サガ・クロニクル』のプロトタイプを作った、ミレニアムのゲーム開発部で合ってますか?」
すると突然、ゲーム開発部の扉をノックする者が現れる。その者は『テイルズ・サガ・クロニクル』のプロトタイプを作ったユズに会いに来たようだ。
「な、何…?今度は直接…?ご、ごめんなさい、ごめんなさい…!もう二度とゲームは作りません、だから、許して…!」
「えぇっ!?」
「何言ってるんですか、こんな面白いのに!プロトタイプだけ作ってやめちゃうなんて!」
「続き、すごい気になってるんですよ!?ここまでワクワクさせておいて、そんなの無しでしょ!」
ユズは直接文句を言いに来たと思い、扉の前の相手に思わずゲームはもう作らないと言ってしまう。だが、ユズの予想とは違い、返ってきた言葉は『テイルズ・サガ・クロニクル』の賞賛であった。
「…え?」
「『テイルズ・サガ・クロニクル』、すっごく面白かったです!」
「お姉ちゃん、徹夜でやってたもんね」
「ミドリだってニヤニヤしながらプレイしてたじゃん!もともとゲームにそんな興味なかったのに!」
「え、う、うーん…確かに、ドットだけどキャラとかすごい可愛かったし…」
さらに扉の向こうにいるモモイはさらに『テイルズ・サガ・クロニクル』の面白いところを話していく。ミドリのほうも消極的ながら、ゲームにハマっていることがわかる発言をしていた。
「とにかく、あの!失礼します!」
ガチャッ!
「・・・!?」
「あなたがUZ様!?」
「えっ…あ、は、はい…」
「ファンです!!」
「私も、ミドリも!UZ様みたいに、面白いゲームが作りたいです!」
これがユズとモモイとミドリの出会いであった。
「その後、ホィーリーとブレインズがこの場所に紛れ込んで来て、一緒に『テイルズ・サガ・クロニクル』を完成させて…今年のクソゲーランキング1位になっちゃったけど…」
「うっ…」 「・・・」
「色々未熟だったな…」 「まぁ俺らの作った『ガンボイの謎』も大概だがな」
ユズがモモイとミドリとの出会いを話して、最後に『テイルズ・サガ・クロニクル』の話題になる。彼女たちはクソゲーランキング1位になったときのことを思い出し、苦い顔をした。
「その後、アリスちゃんが訪ねてきてくれて…。面白いって、言ってくれた。それで、わたしの夢は叶ったの。心の通じ合う大事な仲間たちと、一緒にゲームを作って、それを面白いって言ってもらう…ずっと1人で思い描いているだけだった、その夢が」
「・・・」
「これ以上は、欲張りかもだけど。叶うなら、わたしはこの夢が…この先も、終わらないでほしい」
「ユズちゃん…」
そしてユズは再び、みんなでゲームを作りたいとみんなに告げる。モモイとミドリは珍しく発言したユズの言葉を静かに見守っているのであった。
「うん、よし!ねぇ、今からミレニアムプライズの締切まで、時間どれくらい残ってる?」
「6日だな」
「正確には6日と4時間38分です」
「…それだけあれば十分。さぁ、ゲーム開発部一同!『テイルズ・サガ・クロニクル2』の開発、始めよう!!」
「「「「「おー!!!」」」」」
ゲーム開発部はミレニアムプライズに新作ゲームを出品すべく、再び立ち上がった。
3日後・ミレニアム市街
「ミレニアムプライズに新作ゲームを出品するのか。大変なんだな」
「はい、アリスはモモイたちのためにお使い中です。エナジードリンクをたくさん買ってくるように言われました」
「あと3日だもんな。頑張れよ」
「はい、アリスも頑張ります!!」
テストプレイヤーのアリスは他のメンバーと違い時間に余裕があるため、主に買い出し係を任されていた。同じくゲーム開発のできないツインズと共にミレニアムの業務スーパーに来ていた。
「スキッズとマッドフラップは凄いですね。合体できるなんてアリス憧れます!!」
「おうよ」 「これで積載量マシマシだぜ」
「エナジードリンクに、冷凍ピザに、コーラに、ポテトチップス…最後にアイスで採集ミッションコンプリートです」
「よし、じゃあこの大容量の冷蔵庫と冷凍庫に突っ込みな」
ツインズは現在合体し、アイスクリームカーになっている。アリスは合体する彼らを目を輝かせながら見るので、ツインズたちもご満悦であった。アリスは大量のエナジードリンクとジャンクフードを買い込むと、アイスクリームカーに付いている大きな冷蔵庫に突っ込んだ。
ブルルルル…
「あの戦いのときアリスのレールガンがなけりゃ、あのミミズに食われてたよ」
「俺らは大して強くないからな…。あのときも役に立てなかった…」
「そんなことはありません。ツインズはアリスたちが戦っているときに、背中を守ってくれました。それだけではありません。アリスを廃墟から連れ出してくれたのはモモイたち、ミニボットたち…そしてツインズたちです。ツインズたちがいなければアリスはここにはいません。スキッズとマッドフラップは勇者アリスの大事な仲間です!!」
先の事件で大活躍したアリスをツインズたちは羨む。彼らはあの戦いでカリンに後ろを撃たれダウンし、ドリラーに捕まるという大活躍とは言い難い活躍を気にしているのだ。だが、そんなツインズたちにアリスは自分たちの大切な仲間であると告げて、彼らを励ますのであった。
「そうか…仲間か」
「俺たちの助けが必要だったらいつでも呼べよ!!」
「はい!アリスの助けが必要ならいつでも呼んでください!!」
さらに3日後・ミレニアムプライズ出品締切当日
「お姉ちゃん、まだ!?」
「ま、待って、急かさないで!あとこれだけ入力すれば終わりだから…!」
「あと2分だぞ!?急げ!!」
「正確には96秒です、そう言ってる間に残り92秒…」
締切まであと2分を切ったなか、ゲーム開発部は作品を何とか完成させていた。あとはエラーを確認して作品を登録するだけとなっているのをみんなで固唾を飲んで見守っていた。
「わ、分かった分かった!もうできたから!」
カタカタカタカタ…
「こっちは簡単なテストだけやって…うんっ。エラーは出てない、モモイ!」
「オッケー!ファイルをアップロード、完了まで予想時間…15秒!アリス、あと何秒!?」
「残り19秒です…!」
ユズのテストが終了し、モモイはサイトにファイルをアップロードする。締切までの残り時間は19秒に迫り、まさにギリギリの提出である。
「お、お願い…!」
カタカタカタカタ…
「転送完了…」
“ミレニアムプライズへの参加受付が完了しました。”
モモイがアップロードをするのを、ミドリは祈るように見守る。そして転送が完了し、ディスプレイにミレニアムプライズの参加受付完了の文字が表示される。
「間に合ったああぁぁあ!」
「ギリギリ…心臓止まるかと思った…!」
「あとは…3日後の発表を待つだけ、だね」
ギゴガゴゴ
「使うのが俺でよかったな」 「他のパソコンだったらタイムオーバーだぜ」
自分たちの作ったゲームの出品を無事完了したゲーム開発部はそれぞれ喜びに震えていた。あとは3日後の評価の発表を待つばかりである。
「とりあえず間に合ったけど、まだ結果が出たわけじゃない。3日後には…このままこの部屋にいられるのか、そうじゃないのかが決まる」
「そうだな」 「ふぅ、疲れたぜ…」
「…でも3日って結構長いじゃん?そこで提案なんだけどさ、先に、web版の『テイルズ・サガ・クロニクル2』をアップロードしてみるのはどう?」
「!?」 「ど、どうして?」
評価の発表は3日後ということで、モモイはみんなに『TSC2』のweb版をアップロードしたいと言い出す。それを聞いてミドリとユズは驚きの表情を浮かべた。
「3日間も待てないよ!それに、審査員の評価より先に、ユーザーの反応を見たくない!?」
「うーん、でもちょっと怖いかも…低評価コメントも心配だし」
「何言ってるのさ!そもそも、ミレニアムプライズに出品するため“だけ”に作ったゲームじゃないでしょ!自身を持って、見てもらおうよ!私たちはベストを尽くしたんだから!」
「そ、それはそうだけど…」
モモイはゲーム開発者の1人としてユーザーの反応を見たいと考えている。しかし、ミドリには『TSC』のトラウマがあるため、あくまでアップロードには消極的である。
「…うん、アップしよう」
「え?」
「作品っていうのは…見てくれる人、遊んでくれる人がいてこそ、完成されるものだと思うから。わたしは…わたしたちのゲームを、きちんと完成させたい」
「ユズちゃん…」
ミドリがアップにためらっていると、ユズがアップしようと言い出した。彼女は誹謗中傷を一番浴びていたはずである。だが彼女は勇気を出して、アップしようと決意したのだ。
「大丈夫。もし前みたいに、低評価コメントのオンパレードになったとしても…。全力で頑張ったから。それに…みんなが一緒だから、きっと受け止められる。わたしはもう、大丈夫」
「それじゃあ今すぐアップロードー!トランスフォーム!!」
「それ俺のセリフ!!」
ギゴガゴゴ
「ああっ!ま、待って!心の準備が…!」
心配するミドリに対し、ユズは笑いながら大丈夫だと皆に示す。それを見たモモイはブレインズにトランスフォームを促し、web版をアップロードするのであった。
ポロン…
「転送完了!プレイして感想が貰えるまで少なくとも2、3時間はかかるだろうし、後はしばしの休憩ってことで!」
「…はあ、そうだね」
数時間後
「すぅ…すぅ…」 「・・・」 「すかぁーくがぁー」
「寝てらぁ…」 「まぁあれだけ寝ずに根詰めたんだからそうなっても仕方ねぇよな」
「アリスは起きています。コメントが来ていますがどうしますか?」
「やめとけよ。みんなで見たほうがいいだろ」 「そうそう」
6日に渡る身体と頭の酷使と、ゲームを完成させた達成感により力尽きモモイたちは眠ってしまった。起きていたアリスはコメントを見ようとしたがミニボットたちにそれを止められるのであった。
3日後・ミレニアムプライズ当日
『テイルズ・サガ・クロニクル2』の評価は多少の冷やかしコメントはあったものの概ね好評であった。ミレニアムプライズ入賞も狙える評価に彼女たちは期待しているのであった。
「もし受賞したらクラッカー鳴らそっか。でも、もしそうじゃなかったら…」
「…すぐに、荷造りしないとね。私たちはさておき、ユズちゃんとアリスちゃんは…」
「「・・・」」
自分たちの作ったゲームに自身は持っているもののやはり心配なようで、部室の空気は重苦しいものとなっていた。特に問題なのは超引っ込み思案のユズとゲーム開発部が無くなると行くとこがないアリスであった。
“これより、ミレニアムプライズを始めます!司会および進行を担当するのは私、コトリです!今回は、これまでのミレニアムプライズの中でも最多の応募数となりました。おそらくは生徒会の方針変更により、部活動維持のために「成果」が必要になった影響かと思われます”
「史上最多の応募数か…」
「それはちょっと困るなぁ…」
ミレニアムプライズの司会を務めているのはエンジニア部のコトリである。ゲーム開発部一同はテレビの周りに集まりながら、結果を見守っていた。
“今回は史上最多とあって三桁の応募作品が出品されていますが、そのなかのうち栄光の座を手にするのは、たったの7作品!”
「ごくっ…」
“それでは7位から、受賞作品を発表します!”
応募された多くの作品のうち、受賞するのはたったの7作品という事実を聞いてユズは唾を呑み込む。ゲーム開発部の運命の時は刻一刻と迫っているのであった。
数分後
“さあ、ここからはベスト3です!3位は…!”
「も、もう心臓がもたない!」
「お願い…お願い…」
7~4位までの発表が終わり、7位にウタハの作品が受賞したりしたが、ゲーム開発部の名前はまだ挙がらない。ミドリはユズは緊張と不安が爆発しそうなのを必死に耐えているのであった。
「3位も違うか…!!」 「焦らしてくれるな…!」
“僅差で2位を受賞したのは…!”
「お願いします、私たちの名前を…!」
「くっ、2位でもない…!」
残すところ1位の発表のみとなってもゲーム開発部の名前は呼ばれない。彼女たちの精神はもう限界である。
“最後に!ミレニアムプライズで、最高の栄誉を受賞した作品です!”
「ドキドキ…」
“その1位は…!”
「うぅ…っ!」
いよいよ1位の発表となり、ゲーム開発部はその様子を固唾を飲んで見守る。アリスは期待しながら、ミドリは不安になりながら、それぞれ結果が出るのを待っていた。
ドドンッ!!
“CMの後で!”
ズコーーーーー!!!
「アリスっっ!!」
「充電完了、いつでも撃てます!!」
「バカよせっ!!」 「気持ちはわかるが落ち着けお前ら!!」
しかし、1位発表の前に番組はCMに入ってしまう。引き延ばしの憂き目にあってキレたモモイは、アリスにTVの破壊を命じるが、それをミニボットたちが必死こいて止めるのであった。
CM明け
“さあ!それでは発表します!”
「ぐぅぅぅ…!!」 「頼むっ…!!」
“待望の第1位は…新素材開発部のトランスフォーミウム…”
ダンダンダンッ!
「きゃあっ!本当にディスプレイを撃ってどうするの!?」
「どうせ全部持っていかれちゃうんだし、もう関係ない!うえぇぇん!今度こそ終わりだぁぁぁぁぁ!!」
CMが明け発表された第1位はゲーム開発部の『テイルズ・サガ・クロニクル2』ではなかった。それを聞いたモモイはもはや用無しとばかりにTVに銃弾の雨を浴びせるのであった。
「うぅ…。結局、こうなっちゃうなんて…」
「落ち着いて、お姉ちゃん。でも…」
「分かってるよ!全部が否定されたわけじゃない、へこたれる必要なんて無いって…。ネット上の評価も悪くなかったし、クソゲーランキング1位のあの時から、ちゃんと成長した。これからも、きっと成長していける」
『テイルズ・サガ・クロニクル2』が受賞を逃したことにより、ゲーム開発部のメンバーは悲しみに暮れていた。そんななかモモイは前向きに捉え、次のことを考えていた。
「次はもっと良い結果を出して、今より立派な大きい部室だってもらえるはず!でも…」
「うん…だって、ここを追い出されたら、ユズちゃんとアリスちゃんは…」
「心配しないで、ミドリ。わたし、寮に戻る」
「えっ?」
部室が無くなることによりモモイとミドリは、ユズとアリスの心配をする。ユズはミレニアムの寮にあまりいい思い出が無いようで、ここに引きこもっていたのだ。だが、ユズは寮に戻ると言い出し、それを聞いてミドリは驚きの声をあげた。
「もうわたしのことを、クソゲー開発者って呼ぶ人はいないと思う。ううん、もし仮にいたとしても、大丈夫。今の私にはこの3人と、ミニボットたちと、あと先生もいるから」
「ユズちゃん…」
「みんな、ありがとう。みんながいたから…わたしたちは、大きく変わることができたの」
ユズはこの一連の出来事で大きく成長し、心も強くなったようだ。ユズはみんなにお礼と感謝の言葉を述べるのであった。
「ただ、アリスちゃんは…」
「アリスのことは俺たちに任せろ」
「えっ?」
「実は先生に俺たちで相談した。そしたらアリスをシャーレで引き取ってくれるってよ。俺たちもシャーレの備品として雇ってくれるってさ」
次にユズは居場所の無くなってしまうアリスのほうを心配する。だがそんなアリスの境遇を心配したミニボットたちが先生にシャーレに引き取ってもらうように頼んだのだ。
「アリスちゃん…ごめんね」
「いえ。アリス、シャーレでもミニボットたちと一緒に頑張りますから。ですが…もう…みんなとは一緒にはいられないのですね」
「うっ…ごめんね…ごめんね、アリスちゃん!毎日シャーレに行くからね、アリスちゃん!本当に、絶対毎日行く!!どこに行っても!一緒にゲームを作ろう!」
「うううう…!」
ミドリは部活を守れず、アリスと離れ離れにしてしまったことを必死に謝る。アリスは気丈に振る舞うものの、悲しい思いがあふれてしまう。それをきっかけにゲーム開発部のみんなは泣き出してしまった。
「やっ、やっぱり嫌!ホィーリー!!ブレインズ!!アリスを連れていっちゃダメ!!わ、私の部屋に連れていく!ベッドも一緒に使おう!ごはんも2人で分けて食べるから!」
「おい、聞き分けを持て!!」 「無茶言うんじゃない!!」
「私の分もあげるっ!!」
「2人とも、ミニボットたちを困らせないであげて…それに、もしそのことがバレたら、モモイも、ミドリも…」
シャーレに行ってしまうアリスをモモイは必死に引き留める。だが寮で一緒に暮らすことはできないと分かっているミニボットたちはモモイとミドリを必死に窘める。さらにはユズが彼女たちのことを止めるために入ってくる。
ガチャッ
「モモイ!ミドリ!アリスちゃん!ユズ!それにミニボットたち!」
「ひいっ!もうユウカが!」
「ちょ、ちょっと待って!そんなすぐになんて…!」
みんなで悲しみに暮れていると、何故かユウカが笑顔で部室に入ってくる。モモイとミドリはもう部室を撤収させに来たと思い込み、絶望の眼差しをユウカに向ける。
「この悪魔が!生徒会には人の心ってのは無ぇのか!?」
「悲しみに嘆いてる俺たちを笑いにきたのか!?」
「おめでとうっ!」
「・・・?」 「…え?」 「え、えっ…?」 「?」
部室に入って来たユウカに対し、ミニボットたちは罵倒を浴びせる。だが、ユウカはゲーム開発部を接収しに来たのではなく、何故か賞賛の言葉を口にした。その言葉を聞いてゲーム開発部は困惑の表情を浮かべる。
「え、何この反応?結果、見てなかったの?」
ガチャッ!!
“はぁ、はぁ、みんな…おめでとう!!”
「「「「先生!!」」」」
ユウカはゲーム開発部の見せた予想外の反応に困惑する。さらには、先生まで部室に飛び込んできて、ゲーム開発部は驚きの声をあげた。
「で、結果って?」
「私たち、7位以内に入れなくて…」
「はぁ?」
“今もテレビでやってるから見てみるといいよ”
「お姉ちゃんが怒って、ディスプレイを吹っ飛ばしちゃって…」
モモイとミドリの言っていることを聞いてユウカは何を言っているのかわからず困惑する。1位を発表した時点でモモイがTVをぶっ壊したため、彼女たちはその後のことを知らないのだ。
「ほんとに何してるのよ…ほら、見てみて。私もスマホで見てて、途中から走ってきたの」
そう言ってユウカはスマホの画面を見せた。
“ミレニアムプライズはこれまで、生徒たちの才能と能力で作られた作品に対し、「実用性」を軸に据えて受賞を行ってきました。これはより良い未来を求め、実現していくという趣旨に基づいています”
ユウカのスマホの画面に映されているのはミレニアムプライズの審査員である。
“しかし今回の作品の中には、新しい角度から「実用性」を感じさせてくれたものがありました。とある「ゲーム」が実際に、懐かしい過去をありありと思い出させ、未来への可能性を感じさせてくれたのです。よって私たちはこの度、異例の選択をすることにしました”
審査員はどうやらとある「ゲーム」を見て、新たな可能性を感じたようである。
“今回は「特別賞」を設けます、その受賞作品は…ゲーム開発部の『テイルズ・サガ・クロニクル2』です”
どうやら『テイルズ・サガ・クロニクル2』は異例の特別賞に選ばれたようだ。
「えぇ、嘘っ!?」 「何が起きてるの…?」
「本当におめでとう!その、実は私もプレイしてみたの。決して手放しに面白かったとは言えないけど…良いゲームを遊んだ後の、あの独特な感覚を味わえた」
“私も遊んだよ。面白かった。みんなよく頑張ったね”
特別賞を貰ったことが信じられないようで、モモイとミドリは何も考えられないようだ。どうやらユウカもゲームをプレイしたようで、恥ずかしそうに感想を述べていた。さらには先生もゲームをプレイしており、彼女たちのことを褒めていた。
「で、どうなるんだコレ?」
「入賞は入賞だが、特別賞ってどういう扱いになんだ?」
「とりあえず、廃部の話は保留になったわ。でもあくまで“臨時の猶予”だから。正式な受賞ではないし、生徒会はまた来学期まで…ゲーム開発部の部室の没収及び廃部の保留を正式決定したわ」
特別賞を受賞したゲーム開発部の扱いに疑問が残っていたミニボットたちはユウカに今後のゲーム開発部のことについて尋ねる。するとユウカは生徒会はゲーム開発部の廃部を来学期まで保留にするという決定をしたとみんなに告げた。
「えっと、それから…。その…」
「ん?」
「ご、ごめんなさい。ここにあるゲーム機のこと、ガラクタって言って…」
「お、おう…」
「それじゃあ、部室の延長申請とか部費の受取受理とかは必要だから、落ち着いたら生徒会室に来てね。じゃ、また後で!」
ユウカは気まずそうに、以前の自分の発言を謝罪する。そんな態度に彼女たちは困惑してしまった。そしてユウカは早口で申請の話をして足早に部室から出てしまった。
「じゃ、じゃあ…!」 「・・・!」 「や…」
「「「「やったああぁぁあ!!!!」」」」
「???」
正式に部の存続が決まったことでアリス以外のゲーム開発部は喜びを爆発させる。ただ、アリスだけは状況を良く呑み込めていないようでその場でキョロキョロ視線を泳がせていた。
「え、えーっと…」
「アリスちゃん!私たち、特別賞を受賞したんだよ!この場所も、私たちの部室のまま!」
「えっと、つ、つまり…。アリスはこれからも…みんなと一緒にいて、良いのですか…?」
「「「「うんっ!」」」」
「これからも、よろしくね…!」
ミドリの説明でようやくアリスも事態を呑み込み、喜びの涙を零す。ゲーム開発部はとりあえず廃部の危機を乗り切ったのであった。
「よっしゃそうと決まれば宴会だ宴会!!」
「ツインズたちも呼んで部室の下でお祭り騒ぎだ!!!」
「「「「おー!!!!」」」」
“データ復旧率98.00%”
ゲーム開発部たちが下で宴会をしているなか、G.Bibleを移したモモイのゲーム機がひとりでに動き出す。
“システム作動…準備完了”
“プログラムをセット…”
“Divi:Sion…”
AL-1S…いえ…アリス…私の…私の、大事な……!&%%&%’”&’#!!
この言葉はいったい誰の言葉なのか…
時系列飛びますが普通にパヴァーヌ後編に行きます。
市街戦マシマシでリオ側のTFも出ます。アヴァンギャルド君もちゃんといます。
今回ちらっと出てきたトランスフォーミウムはアビドス編で出てきたスコルポノックを解析して抽出したものです。フォールンが死んだ後、機能を停止してアビドス砂漠にいっぱい転がってるのをジャンク屋に回収させて、ミレニアムで研究したものです。
自分も結構ロストエイジのラチェットの末路はトラウマですから...