TRANSFORMERS Blue_Archive   作:H2O(hojo)

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U.N.オーエンは彼女なのか?

動画で確認しながら執筆してますが、動画でリオ会長を見るたびデッカ...ってなりますね
流石ビックシスター


K.E.Y.アリスは魔王なのか?

先生とゲーム開発部はヴェリタスが見つけた謎のロボットの解明を手伝うために、彼女たちに呼び出されていた。そのロボットはキューとホイルジャックがアリスを見つけた例の廃墟近辺で作業をしていた時に見つけてきたものらしく、不気味なデザインをしていた。

 

「エンジニア部やキューやホイルジャックが無理矢理こじ開けようとしたみたいだけど、それでもダメでね。だから私たちで解析しようと思ったんだけど…」

 

「調べた結果、電源ボタンはおろか接続ポートすら見つかりませんでした」

 

「それどころか、表面に継ぎ目すらないんだ~」

 

エンジニア部やトランスフォーマーたちですらお手上げなこのロボットをヴェリタスはどうにか解析しようとしたのだが、あまりに精巧で自分たちの技術とは違うそのロボットにヴェリタスは困り果てていた。

 

「だから先生を呼んだんだ。一応危険物だった場合を考慮して、シャーレに協力してもらおうと思ってね」

 

「ゲーム開発部を呼んだのも、一度廃墟に行ったことがあるからです」

 

「みんな、何かわかった?」

 

ヴェリタスは自分たちだけではロボットの詳細が解析できなかったため、先生とゲーム開発部を呼び出したそうである。先生とゲーム開発部は2度廃墟へと潜り込んだことがあるので、それを期待してのことだった。

 

「う~ん、こんなのいたかなぁ?」

 

“私も記憶に無いかも…”

 

「・・・・・・」

 

だが、彼女たちも、こんなロボットは見たことが無いと首を傾げる。しかし、ただ1人アリスだけが、何故かそのロボットをじーっと見つめていた。

 

「やっぱダメかぁ。モモたちならもしかしたら…って思ったんだけど。部長か副部長に聞くしかないのかなぁ。でも、どっちも全然顔出さないしなぁ」

 

「今ここにいない人の事を話しても仕方ないですよ」

 

「…あ」

 

「どしたの?何かあった?」

 

結局先生たちでもわからないと知り、マキは部長のヒマリと副部長のチヒロのことを思い出す。そうしているうちに、アリスは何かを思い出したようで、小さな声で呟く。

 

「アリス…アリス…見たことあります」

 

「アリスちゃん…?」

 

「これ、は…」

 

ブゥゥン…

 

アリスがロボットの事を思い出した途端、何やらアリスの動きがおかしくなる。アリスは熱に浮かされたかのようにフラフラとロボットに近づくと、そのロボットに触れる。すると、ロボットの一部が光り、起動しだした。

 

「え!?何!?電源入った!?」 「えっ!?」 「え?なになに!?」

 

ピロロロロロ…

 

「この音…お姉ちゃん、ゲーム機の音出てるよ?」

 

「え?あ、本当だ。今まで起動しなかったのに…どうしてだろ」

 

今までまったく反応のしなかったロボットが、アリスの手によって動き出したことに一同は驚きを隠せない。そして何故かモモイの持ってきたゲーム機が起動しはじめ、モモイとミドリは不思議そうな顔をする。

 

「ま、待って…アリスちゃんの様子が…おかしい」

 

「アリス…?」

 

「・・・・・・」

 

みんながロボットの起動に驚くなか、最初にアリスの異変に気付いたのはユズであった。アリスは目を閉じて、黙りこくっている。

 

<<私の……>>

 

“アリス…?”

 

<<私の大切な……>>

 

「…起動開始」

 

様子がおかしくなったアリスを心配して先生は声をかけるが、アリスは反応しない。そしてアリスは唐突に、廃墟で出会ったときのプログラムのような口調で話し始めた。

 

「…アリス?」

 

ブゥゥゥゥン…

 

「わわっ!なんで急に動くの!?コタマ先輩、何かした!?」

 

「マキ、違います。私は何も…」

 

「気を付けて!何か様子がおかしい!」

 

アリスが口を開いた瞬間、部屋にある5台のロボットが唐突に動き出す。いきなりおかしくなったアリスと、動き出したロボットを見て、ヴェリタスの娘たちは恐怖を感じめていた。

 

<<私の大切な……よ>>

 

“一体、これは…”

 

「コードネーム“AL-1S”起動完了」

 

ガチャ!!ガチャ!!ガチャ!!

 

「プロトコルATRAHASISを実行します」

 

「「「「「「えっ…?」」」」」」

 

ズドォォォォォン!!!!!

 

アリスはプロトコルATRAHASISとやらを実行に移すと、従えたロボットを先生たちに向かって仕向けてきた。彼女たちはなすすべもなく、ロボットの攻撃をただ受けるしかなかった。

 

 

 

 

 

ズドォォォォォン!!!ドカァァァァン!!ドンガラガッシャーーーン!!!

 

「ゲホッ…ゲホッ…」

 

「い、一体何が起きてるの!?」

 

「突然眠っていたロボットが起動…。そして爆発が…あれは、明確な攻撃です」

 

ロボットの攻撃はヴェリタスの部室を吹き飛ばし、瓦礫の山を築き上げる。コタマはアリスが起動させたロボットが、自分たちのことを攻撃してきたのだと断言した。

 

「攻撃命令を出してたのは…」

 

「…有機体の生存反応を確認。失敗を確認しました」

 

“アリス…!!”

 

ハレは瓦礫を退けながら、アリスのほうを見やる。そこには、青い目が赤く変化し、まるで殺戮人形のようにうわ言を呟くアリスの姿があった。その姿を見て、先生たちもあまりの変わりように戦慄する。

 

「あ、アリスちゃん!?」

 

「…プロトコルを再実行します。武装のリロード開始」

 

ギュィィィン!!

 

「また…レールガンの充電を始めました!」

 

“…早く止めないと!”

 

アリスはゲーム開発部とヴェリタスを殺すのに失敗すると、再び攻撃の準備を開始する。それを察知した一同は必死でアリスを止めるために動き出した。

 

「アリスちゃん!!ごめん!!」

 

「妨害を確認、充電失敗」

 

「よし!止まった!」

 

「…妨害要素を排除します」

 

「…え?」

 

最初に走り出したのはマキであった。彼女はレールガンの充電を止めたものの、アリスは標的をマキに絞ってしまう。

 

「マキ、危ない!!」

 

バシィン!!

 

「や、やばいっ!!」

 

「プロトコルを再実行、充電を再び開始します」

 

ギュイィィィィン!!

 

アリスはマキを突き飛ばして、レールガンの充電を再び開始する。ここで発射を許してしまえば、先生も含め彼女たちは今度こそ、死んでしまう。まさしく絶対絶命であった。

 

「おい、これは一体…どういう状況だ?」

 

バシュ!!ドシュ!!

 

「チビ、お前…何やってんだ?」

 

絶対絶命の危機に駆け付けたのは、アイアンハイドとネルを含めたC&Cたちであった。彼女たちの援軍により、ゲーム開発部とヴェリタスたちは、何とか命拾いした。

 

「お前らはアリスのほうを、俺たちはあの変なロボットを潰す」

 

「あぁ…」

 

ズダダダダダダ!!

 

「・・・!!」

 

ネルたちはアリスを、アイアンハイドは起動したロボットにそれぞれ攻撃を開始する。突然の援軍を前にアリスは動きを止める。

 

シュタ…

 

「おいチビ…大人しく寝てろ」

 

ウィィィィン…

 

「こいつら、ここにもいやがったのか…」

 

ジャキン!!

 

「こっちのは俺たちに任せときな」

 

ネルがアリスに近づくと、起動したロボットがアリスを守ろうとネルのほうへ近付いてくる。サイドスワイプはそれに気づいて素早くロボットを叩き落とした。

 

「当て身!!」

 

ガキィン!!

 

「うっ…!!」

 

バタン…

 

「こっちは終わったぞ…」

 

ズガァン!!ボカァン!!

 

「こっちも終わったぞ」

 

ネルは当て身によってアリスを気絶させて、彼女を大人しくさせる。それと同時にロボットもアイアンハイドたちが片付け、とりあえず危機は去る。だが、ネルたちもアイアンハイドたちも、何とも言えない感情が心を支配しているのであった。

 

“みんな!?大丈夫!?”

 

「うっ…な、なんとか…」

 

「うえぇぇ…死ぬかと思った…」

 

「こ、こちらも大丈夫です…」

 

アリスが気絶したので、先生はヴェリタスとゲーム開発部の安全を確認する。ヴェリタス一同は先生の問いかけに対し、無事であると返事をした。

 

だが…

 

「先生…!先生!!」

 

「あ、ああ、モ、モモイ…」

 

“ミドリ、ユズ…どうしたの…?”

 

「お姉ちゃんが…お姉ちゃんが…!」

 

「「「「・・・」」」」

 

どうやらモモイは無事ではなかったようだ。

 

 

 

 

 

二日後

 

「アリスが暴走…」

 

「それでモモイが怪我をして今意識を失ってるってのかよ」

 

“うん…”

 

ミニボットたちは先生と共にシャーレの部屋にいた。彼らはアリスが暴走したときに丁度他に予定があったため、その場にいなかったのだ。もし彼らがあの場にいたら小さくて耐久力も低い彼らは死んでいたかもしれないため、ある意味幸運ではあるのだが…。

 

「原因は…あの正体不明のロボットだよな。俺も写真で確認したが、長く生きてきた中であんなロボットは正直見たこと無いな」

 

「正直…俺たちは廃墟で見つけたアリスをちょっと変わったキヴォトス人として扱ってきた。あの物騒な廃墟で眠っていたという事実を、俺たちは無意識に避けていたんだ。けど、俺たちはその事実をそろそろ正面から受け止めなきゃいけないのかもしれないな…」

 

“うん…そうだね”

 

先生が説明した事情を聞いて、ホィーリーはロボットが原因であると推測する。一方のブレインズはアリスと初めて出会ったときのことを思い出して、自分たちがアリスの正体について無意識に有耶無耶にしていたことを実感する。ゲーム開発部たちは廃墟からアリスを連れ出し、自分たちで彼女を教育してきた。みんなはアリスが超常的なパワーを持ったナニカであることを忘れていたのだ。

 

“ミドリが「アリスが変になったとき、お姉ちゃんのゲーム機が急に起動した」って言ってた。それでモモイのゲーム機を確認したんだけど、全然動かなくて…”

 

「そういえば2回目の廃墟探索のときに、G.Bibleをアイツのゲーム機にダウンロードしたよな?」

 

「ああそうだな。たしかそのときにアナウンスでよくわかんないこと言ってなかったか?」

 

「あぁ~、何だったけ?なんちゃらシステムだのどうだのって…」

 

“Divi:Sion System…”

 

先生がミドリの証言を2人に話すと、彼らは廃墟に行ってときのことを思い出す。2人はG.Bibleをダウンロードする際に起動した謎のシステムについて思い出す。それを聞いた先生もDivi:Sion systemについて何か心当たりがあるように呟いた。

 

“そのシステムには…<Key>っていうフォルダがあった…”

 

「Key…鍵って意味か?しかし何の?」

 

「そりゃあお前…アリスが変になったのはあのロボットが原因なんだからあのロボットを動かすために鍵か何かだろ…」

 

「「「う~ん」」」

 

“先生…アリスちゃんが…”

 

3人で首をひねって考えていると突然ミドリから通信が入る。ミドリの声は今にも泣きだしそうであり、ただならぬ事態であることをうかがわせた。

 

“急いでゲーム開発部へ向かおう!!”

 

「「おう!!」」

 

ミドリの声を聞いて3人は急いでゲーム開発部の部室へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

ゲーム開発部

 

先生たちがゲーム開発部の部室へ到着すると、扉は閉まっていた。扉のそばにはミドリとユズがおり、どうやらアリスは部室に閉じこもっているようである。

 

“入るよ”

 

ガチャ…

 

“アリス…大丈夫?”

 

「・・・・・・」

 

引きこもって出てこないアリスを部屋から出すべく、先生は部屋に入る。するとアリスは目を真っ赤に腫らしながら泣いていた。

 

「出てこいよ、アリス。飯食ってないんだろ?」

 

「ツインズと一緒にどっか食べにいこうぜ、なぁ?」

 

“みんな心配してるよ”

 

「せ、先生…ホィーリーにブレインズ…」

 

先生とミニボットはアリスに優しく声をかける。アリスは彼らに声をかけられて涙で濡れた目を拭いて、彼らのほうを見た。

 

「アリスには、できません」

 

“どうしてかな…?”

 

「アリスは…アリスの…せいで…モモイが怪我をしてしまいました…。全部アリスが…やったことです」

 

だが、アリスは先生たちの提案を拒否する。アリスは暴走してモモイを傷つけてしまったことにショックを受けて、みんなと関りを絶とうとしているのであった。

 

「どうして、こうなってるのか…アリスにも…わかりません。あの時…何かが…まるで…まるでアリスの知らない“セーブデータ”が、アリスの中にあるかのような…」

 

「・・・」

 

(セーブデータ…。そう言えば廃墟に行ったときにそんなようなことを言っていたな。やはり例のDivi:Sion Systemやら<Key>やらと何か関りがあるのは間違いないか…)

 

「アリスの身体が、反応しました。動きました。あの時、アリスが何をしたのか…何も、思い出せませんが…。それでもひとつ、確かなのは…アリスが…アリスが…」

 

アリス自身は暴走していたときに意識は無かったようで、身体が勝ってに動いたと認識しているようだ。アリスの口から“セーブデータ”という言葉を聞いたブレインズはDivi:Sion Systemや<Key>との関連性を見出すのであった。

 

「アリスが、モモイを…!!」

 

“アリス、落ち着いて…!”

 

「先生、アリスは…一体どうすれば…!!」

 

「そう、貴方が怪我をさせた。それは逃れられない真実」

 

アリスがモモイを傷つけてしまったことに、耐えられなくなって大声を出で泣き叫ぶ。それを先生が宥めようとすると、部屋に誰か入ってきて無遠慮にアリスにそう告げた。

 

「誰だテメェは!?いきなり入ってきて何言ってやがる!!」

 

“誰…!?”

 

「先生…!」 「か、会長が…!」

 

「ああ、やはり…危惧していた通りになってしまったようね」

 

突然の来訪者のアリスに対する発言を聞いて、ホィーリーはその者に怒号を飛ばす。どうやら入ってきた者は会長と呼ばれるほど偉い存在であるようで、ミドリもユズも怯えていた。

 

“会長…?”

 

「貴方が、噂のシャーレの先生?先生との記録的な出会いがこうなってしまったのは極めて残念だわ。私の名前は調月リオ。貴方…そして、彼女たちに…”真実“を教えに来たの」

 

先生の前に現れたのはミレニアムの生徒会であるセミナーのトップであるリオであった。どうやらリオは、ヒマリと共に解析したアリスの正体を伝えにきたようだ。

 

「ミレニアムの生徒会長様が、一体俺たちに何の用だよ」

 

「・・・・・・」

 

「本来ならシャーレの先生とは、正式に挨拶を交わす席を設けたかったのだけれど…今日は別の用事があるから、また次の機会に…」

 

“「真実」とは、一体?”

 

先ほどの言動に怒っているホィーリーは、相変わらず不機嫌そうにリオにそう言う。リオはホィーリーのことを無視して先生に向き合って、「真実」について話し始めた。

 

「そう、“真実”。貴方達は数日前の“事件”で一つの考えに到達したのではなくて?今まで友人だと思っていた彼女が見せた…異なる姿。そして、同時に生じた破壊と混乱。そして…貴方達はこう思ったのでは?」

 

コツコツコツ…

 

「“今まで友人だと思っていたものは、そうではないのかもしれない”…と。そうでしょう?シャーレの先生」

 

「・・・!!」

 

“リオ、一体何を…”

 

リオは2日前に起きたアリスの暴走を見て、先生たちは何かに気づいたはずであると言い出す。そしてそのままリオは先生に近づいて話を続けるが、アリスは気まずくなってリオから視線を逸らしてしまった。

 

「単刀直入に言えば…貴方の後ろにいるその少女…少女の外見を備えた“ソレ”は普通の生徒ではないわ」

 

「「・・・」」

 

(それは薄々こっちも勘づいている…) (問題はアリスの正体が…)

 

((一体何なのか、だ))

 

「貴方達がアリスと名付けたソレは…未知から侵略してくる“不可解な軍隊(Divi:Sion)”の指揮官であり、“名もなき神”を信仰する無名の司祭が崇拝した“オーパーツ”であり…古き民が残した遺産…その名も…“名もなき神々の王女AL-1S”」

 

ホィーリーとブレインズは先生と先ほど話した通り、アリスがただの生徒ではないことは気づいている。だが、彼女の真の正体までは当然知らない。そしてその後、リオは遂にアリスの正体が“名もなき神々の王女AL-1S”であることをここにいる全員に周知した。

 

「アリスは…アリスには…理解できません…」

 

「そうですよ!何を言っているんですか!?一方的に脳内の独自設定を話さないでください!よく、お姉ちゃんがそうやって話してきたから分かるんです。勝手にアリスに設定を付与しないで」

 

「名もなき神々の王女…」 「・・・!!」

 

リオの言ったことをアリス本人は理解できずに困惑している。そして、同じく言っていることがよく分かっていないミドリはリオに突っかかっていくのであった。そしてホィーリーとブレインズは自分たちが想定していた最悪の答えを想像して、その場に固まってしまった。

 

「ごめんなさい。私の配慮が足りなかったわね。もっと理解しやすいよう、貴方達の好きな“ゲーム”に例えましょう。つまり、“アリス”。貴女は…この世界を滅ぼすために生まれた“魔王”なのよ」

 

「・・・!!」

 

“アリスが…魔王?”

 

「「・・・」」

 

(クソッ…無意識に考えるのを避けてきたが…) (最悪な予想がドンピシャで当たっちまった…!!)

 

怒るミドリに対し、自分の言っていることが伝わらなかったと思ったのか、リオはゲームに例えて再びアリスの正体を言い直す。アリスは自分が魔王と言われて、さらに大きなショックを受けてしまった。

 

「またそんな設定を…どうしてそんなことを言うんですか!?いったい、何を企んでいるんですか!?」

 

「企んでなどいないわ。むしろ、逆に聞きたいのだけど…貴方達は、直接見たのではなくて?“不可解な軍隊(Divi:Sion)”とアリスが接触した事で何が起きたのかを」

 

“あの…ロボットのこと…?”

 

「その通り。本来、あんな事になる予定ではなかったのだけれど…完全にこちらのミスよ。C&CとAMASを通じて、全部追跡したと思っていたのに、まさか監視網を搔い潜った個体がいたなんて。それは完全に私の不手際によるもの。謝罪をここに」

 

「えっ?謝罪?会長が!?えっ…?」

 

憤るミドリに対し、リオは諭すようにDivi:Sionとアリスが接触して起きたことを彼女たちに思い出させる。だが、この事故自体は彼女の仕込みではなく偶発的に起きてしまったことらしく、その件に対してリオは謝罪をする。その姿を見たミドリは先ほどまで怒っていたにも関わらず困惑してしまった。

 

「でも」

 

“でも?”

 

「そのおかげで、私の仮説は証明された。貴方達が接触したソレは“廃墟から溢れ出した”災禍“。ミレニアムに…ひいては、キヴォトス全土に終焉をもたらす悪夢。そして…アリスの存在が”廃墟“からヤツらを呼び寄せているという事が証明された」

 

「やっぱりそうかよ…」

 

「今回は、運よく壊れかけの個体と接触するに留まってけれど…次はこんなものでは済まないでしょうね」

 

“・・・・・・”

 

しかし、その事故のおかげで最後のピースは揃い、リオは彼女がいわゆる“魔王”であるという決断を下すに至る。先生はリオの話を聞いて、脳裏にアリスがDivi:Sionと共にキヴォトスを滅ぼす姿を想像してしまった。

 

「この脅威を解決する方法は一つだけよ、アリス」

 

「解決、する方法…?」

 

「そう。アリス、貴方が消えること。この世界に貴方は存在してはいけない」

 

そして最後にリオはアリスが消えれば、問題が解決すると言い放つ。そしてダメ押しに“存在してはいけない”とまで、アリスに告げるのであった。

 

「…そ…んな…。アリスは…ただ…勇者に…。みんなと一緒に…ゲームを…。クエストを、したかった…それだけなのに…」

 

「いいえ、それは叶わないわ。私はゲームに詳しくないけれど…辞書的な知識ならあるの。だから、貴方に質問するわね。貴方は己を勇者と呼んでいるけれど…“勇者”とは、友人に剣を向ける存在かしら?むしろ、貴方のやった事は悪役(魔王)ではなくて?」

 

「・・・!!」

 

リオの言葉を受け止めてしまったアリスの心はもうボロボロである。だがそんなことは知らないとばかりに、リオはアリスに更なる追及をするのだった。

 

「アリスちゃん!聞かなくていい!生徒会長が変わり者だとは聞いていたけど…こんな人だとは思わなかった…!」

 

「せ…先生…!」

 

“…リオ、やめて”

 

「やめる?何を?事実から目を背けるのは思いやりではないわ、先生。それは単なる“現実逃避”に過ぎない…負うべき責任の放棄は、きわめて非合理的な行動よ」

 

リオの言葉にミドリは堪忍袋の緒が切れたようで、彼女に失望したと同時に怒りに震える。先生もアリスへの口撃を止めようとするが、リオは何故先生が自分が止めようとするのかがよく分からない様子であった。

 

“合理、非合理の問題じゃないよ…”

 

「それじゃあ、アリスは…アリスはどうすればいいんですか…?」

 

「さっきも言った通り…すべての元凶はアリス、貴方がここにいるから起きている。ならば、あとは簡単でしょう?爆弾は…安全な場所で解体すればいいだけだもの」

 

「爆弾を…解体…?」

 

「ああ…分かりづらかったかしら?つまり…貴方のヘイローを破壊すれば解決する、という事よ」

 

リオはアリスを爆弾に例えて解体すると言い出す。やはりリオの会話はみんなにはよく分かりづらいのか、リオはヘイローを破壊するとそのまま言い放つのであった。

 

「「「「!?!?」」」」

 

(正直…会長様の意見は正論だ。アリスはあの容姿で誤魔化されているが、どう考えても戦闘用の端末であることに間違いは無い。感情としてはアリスの破壊は絶対に阻止したいが、しかし…)

 

(俺たちがアリスを生かしたとして、その後はどうする…?結局暴走してこの惑星に被害を出して、最終的にオートボットやディセプティコンに討伐されるのがオチなんじゃないのか…?)

 

リオのヘイロー破壊発言に一同は驚愕し、言葉も出ない。だがそんな中、ディセプティコンである2人だけは心の中で激しく葛藤しているのであった。

 

「ああでも…貴方のソレは本当にヘイローなのかしら?もしかして“彼ら”のように擬態するために付けたのかしら?どちらにせよ貴方を放っておくわけにはいかないわ」

 

“リオ。それ以上の言葉は、許せないよ”

 

「…私の言動が不愉快ならば、謝罪するわ。昔から私の事が嫌いな人間は多かったもの。それは私に問題があるという事でしょうから。でも、理解されなくても構わないわ。私は、皆を守りたいだけ」

 

ガチャ

 

「さあ、貴方の出番よ美甘ネル」

 

「・・・」

 

リオの容赦のない発言に遂に先生も、怒りをあらわにしてしまう。リオは自分の言動を謝罪しつつも、考えを曲げるつもりなどなく、外に待機しているネルを呼び寄せるのであった。

 

 

 

 

 

“ネル…”

 

「用意…周到だな」 「あぁ…」

 

「・・・・・・」

 

「あまり悪く思わないでやってね。元々C&Cはセミナー…正確には私直属のエージェントなの。そこに私的な感情はないわ。私の命令に粛々と従うだけ。C&Cのリーダーのネル相手では、いくら先生でもゲーム開発部だけでは抵抗できないでしょう?」

 

ウィィィィン

 

「さらに、この周囲はすでにAMASで掌握しているわ。外部に助けを求めても救援が間に合う事はない。オートボットたちも室内には入れない」

 

ネルは黙って部屋に入って来ると、そのまま目を閉じる。その態度は明らかに不服そうであった。さらにはAMASまで配置し、徹底的にアリスを拉致する作戦を立てていた。

 

「さあ、仕事の時間よ。ネル、アリスを回収してくれるかしら?」

 

「ネル先輩…」

 

「ふっ…」

 

「ふっ…?」

 

ズダダダダダダ!!

 

「くっそ、やってられっかよ!」

 

リオはアリスの回収をネルに促すが、ネルは不敵に笑いだす。そして、AMASに銃を向けてリオに反旗を翻した。

 

「ネル…一体何のつもり?」

 

“ネル…!”

 

「ネル先輩?」

 

「今までだって依頼内容を気に入ったことはあんまなかったけどよぉ。同じ学園の生徒を…それも、なんもわかってねぇヤツを誘拐しろってか?んな依頼やってられっかよ!!もう、テメェに付き合う義理はねぇよ、リオ!!」

 

ネルの裏切りに、リオは理解できないという表情で彼女を見つめる。一方先生たちはネルが味方になったことに頼もしさを感じるのであった。

 

「そう…裏切るのね、ネル」

 

「裏切る?ハッ!テメェの指示が気に入らねぇだけだ!!」

 

「そう、そういうことなのね…。気分次第で命令違反をするその姿…いつ爆発するかわからない癇癪玉のような側面があなたの長所であり…一番厄介だった。…だから、この状況だって、すべて想定していたのだけれど」

 

ガチャ…

 

「トキ、出番よ」

 

「はい、リオ様」

 

ネルはリオの依頼内容が気に入らないと言って、彼女に銃を向ける。しかし、リオもネルの性格を把握しているため、このような事態が起こるだろうと想定し、対策を立てていたようだ。

 

ガシィ!!ギュゥゥゥゥ!!

 

「しまっ!!」

 

「最初からC&C全員ではなく、貴方だけを呼び出しておいて正解だった」

 

「誰だよテメェは!!」

 

「はじめまして、先輩。そして先生。C&C所属、コールサインゼロフォー。飛鳥馬トキ、ご挨拶申し上げます」

 

リオに呼び出されて、出てきたメイド姿の少女はC&C幻の5番目のエージェントである飛鳥馬トキである。トキはあのネルの背後を取って腕を締め上げる。

 

「本来ならこんな手は使いたくはないのだけれど」

 

「クソッ離せ!!離しやがれ!!背後から奇襲しやがって、コラ!!」

 

「そうやって暴れたら、曲がってはいけない方向に腕が曲がりますよ、先輩。皆さんも下手に動かないでくださいね」

 

「「うっ…」」

 

ネルはジタバタと暴れてトキの手から逃れようとするが、彼女の謎の怪力に阻まれる。さらには周りをAMASが囲んでいるため、ミドリたちも迂闊に動けない状況である。

 

“この力は一体…”

 

「私の作った特殊武装よ。こんな所で出すつもりはなかったのだけれど。さあ、AMAS。アリスを回収しなさい」

 

ブロロロロ…

 

「「!!」」

 

シュタッ!!

 

どうやらトキはリオの作った装置を装着して能力を底上げしているようである。ネルを無力化したリオはAMASをアリスに差し向ける。それを察知したミドリとユズはアリスの前に立ち、彼女を庇う。

 

「下手に動かないほうがいい。無関係な子を傷つけたくない」

 

ビクッ!!

 

「「・・・」」

 

(これでいいのか、俺たちは?) (またそうやって、逃げるのか?また逃げ出して陣営をコロコロ変えて生きていくのか?)

 

スッ…ガチャ

 

「あら?今までずっと黙っていたから、あなたたちは私の言っていることを理解していると思っていたけれど…」

 

だが、リオは2人に構わず、アリスの元へとAMASを引き連れて向かう。まるで彼女たちのことなど問題にもならないかのように。そしてミニボットたちもようやく覚悟を決めて、その対して威力のない武器をAMASへ向ける。

 

「うるせぇ」 「すまん迷った」

 

「ホィーリー…」 「ブレインズ…」

 

「いい加減、逃げ回るのもダサいと思ってな」 「忘れてたよ、自分がディセプティコンだってことをよ」

 

「「テメェは気に入らねぇから、ブッ飛ばしてやるよ!!」」

 

「AMAS、ホィーリーとブレインズを排除しなさい」

 

ブロロロロ…

 

覚悟を決めたミニボットたちにミドリとユズは安堵する。しかし、リオは彼らのことなど構わず、AMASに彼らを排除するように命令を出した。

 

“アリス…”

 

「「アリスちゃん!!」」

 

「おい、反撃しろアリス!!」

 

「「アリス!!」」

 

「理解しました…」

 

ミドリが、ユズが、ネルが、ホィーリーが、ブレインズが、そして先生がアリスにこえをかける。しかし、アリスは光の剣も構えずリオの元へ向かう。

 

「全部…全部アリスがいるから悪いんですよね?アリスがいるから…」

 

“アリス…?”

 

「アリスが消えるとします…」

 

「ダメ!アリスちゃん!!」 「アリ、ス…ちゃん…」

 

「なっ…チビ、てめぇ…!」

 

「「よせ!!」」

 

そしてアリスは全てを悟ったかのような表情で、リオの元へ向かう。それを見た一同は必死にアリスを止めようとするが、アリスはただ俯いているばかりであった。

 

“その必要はないよ、アリス”

 

「いいえ、大丈夫です。アリスは…先生に、みんなに怪我させたくないです。アリスは…モモイが怪我したとき…胸がとても痛かったです。どうして…なんでこんな事になってしまったのか、アリスにはよく分かりません。でも、それでも…その話を、聞いて…やっと理解しました。すべては…アリスのせいで起きたということを…。アリスがこのままずっといたら…いつか…みんなが怪我してしまう」

 

“・・・・・・”

 

「先生、心配しなくても大丈夫です。アリスは生命体ではないのですから。アリスは、ミレニアムの生徒ではないから。いなくなっても、大丈夫です」

 

「そんなわけあるはずねぇだろうが!!」 「ふざけたこと言うんじゃねぇぞ!!」

 

「みんな、今までありがとうございました。みんな、アリスと一緒に冒険してくれて、ありがとうございました。アリスは…今まで本当に幸せでした」

 

アリスは最後にそう言い残し、リオと共にどこかへ行ってしまうのであった。

 

「「「「アリスゥゥゥゥ!!!!!!」」」」

 

ゲーム開発部の部室には悲痛な叫びが虚しく響くのであった。




次回、行くぜ横領都市エリドゥ!!
今回の話も室内だからミニボットくらいしか出せないし、ようやく他のオートボットたちを出せますわ
一応光の剣は後で使い道を考えてあるので機動停止にはしません。リオが回収してどこかに置いているでしょうけど。

番外編を書き始めました。あっちは主にブルアカで言うところのイベストの役割ですかね。
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