TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
対策委員会とTFが戻ってすぐに、ホシノがカタカタヘルメット団の前線拠点を叩こうと提案し、みんなで仲良く拠点を襲撃した。これによって一応の危機は脱した。
「先生のおかげで目の前の危機は脱しました。これでようやく借金返済へ…」
「ちょっとアヤネちゃん…それ以上は」
“借金返済”と言いかけたところでセリカはアヤネに待ったをかける。どうやら聞かれたくない事らしい。
「いいんじゃない?別に隠すようなことじゃあるまいし」
「かといって、別に話すことでもないでしょ!」
ホシノの意見にセリカは食い下がる。彼女には借金に関して何か複雑な気持ちがあるようだ。
「ホシノ先輩の言う通りだよ。先生は信頼していいと思う」
「そ、そりゃそうだけど先生だって結局部外者だし!」
シロコが説得しようとするもセリカはどんどんヒートアップしていく。
「確かに先生がどうにかできる問題じゃないけどさぁ~。この問題に耳を傾けて解決策を見つけてくれる人なんて先生以外にはいないと思うんだよな~」
さっきまでの間延びした口調から一転ホシノは真剣な口調へ変わる。
「それとも何か他にいい方法でもあるのかな、セリカちゃん?」
「う、うぅ~」
セリカは先輩のホシノの指摘に言いよどむも、結局は爆発してしまう。
「先生だって大人でしょ!今まで大人たちが、この学校のことを気に留めたことなんてあった!?この学校の問題はずっと私たちだけでどうにかしてきた!今更、大人が首を突っ込んでくるなんて私は認めないわ!!」
そう早口で言うとセリカは部屋を出ていってしまった。
「セリカちゃん!?」
「私、様子を見てきます」
出て行ったセリカをノノミは追いかけるべく部屋を出る。対策委員会の教室は重苦しい雰囲気が漂っていた。
「えーと、簡単に説明するとこの学校には借金があるんだー。まあ、ありふれた話だけどさ」
重苦しい雰囲気の中ホシノが口を開き、現在のアビドスの現状を語り始めるのであった。
現在アビドスには9億6235万円の借金があり、その発端は数年前に突然起こった砂嵐が原因であること、それを何とかするために悪徳金融業者に金を借りるしかなかったこと、多額の借金を負ったアビドスを見捨てて生徒たちが逃げていきこの5人しか残っていないことを残った3人は語ってくれた。
「話を聞いてくれてありがとねー先生、でも借金のことは気にしなくていいからね」
「うん、先生は十分力になってくれた」
ホシノとシロコはそれぞれお礼を言う。さらに付け加えて借金のことには関わらなくていいと促された。
“でも…私は生徒を助ける先生だ。生徒が困っているなら力になってあげたい…”
先生は借金返済の件にも自分も関わらせて欲しいと望んだ。そう宣言した途端に外から大きな物音がする。先生は物音がした外の様子を伺うべく窓を開けた。
「フォーーーウ!!さっすが俺のダチだぜぇ!!そう言ってくれると思ったぜ先生!!」
外からした物音は話を聞いていたミラージュが変形して立ち上がったものであった。
“え、ダチ?まぁうん…”
「何だよ!?一緒に戦ってグータッチもしたろ!?じゃあもう俺たちはダチじゃねぇかよ」
自分を友達だと言ってくれるミラージュのことは嬉しいが何だか納得し難い先生。
ゴツン!!
「うぉい!?何すんだビー!!」
そして隣で話を聞いていたビーがミラージュの頭を小突いた。先生の最初の友達で相棒は自分であると怒っているようだ。
「あはは…では改めてよろしくお願いします、先生!セリカちゃんのことは私たちで説得しますので…」
これで先生は正式にアビドスの問題について取り組むことになった。そんな様子を外で聞き耳を立てている人物がいた。
「ちぇっ」
セリカである。彼女は軽い舌打ちをしながら校舎を出るのであった。
数分後、アビドス高校正門
「セリカちゃん…どこにいるのかしら…」
「どうしたんだよノノミ」
「あっ、ミラージュ…セリカちゃんが出て行ってしまって…」
校門前でキョロキョロしていたノノミにミラージュは声をかける。ノノミは校門まで出てセリカを探していたが、どうやら一足遅かったようだ。
「まったく困った子猫ちゃんだぜ!だがまぁ…大丈夫さ」
「どうして大丈夫ってわかるんです?」
ノノミはミラージュの確信の意図を尋ねる。普段は軽いノリの男だが信頼のできる男だということをノノミは知っている。
「先生はアビドスの現状を聞いて力を貸すって言ってくれた。それだけじゃねぇ、初めて俺たちオートボットに会ったときに協力するって言ったらしい。しかも直前までディセプティコンに追われてたんだぜ?そこまでしてくれるようなヤツを俺は知らねぇよ。だからセリカもきっと先生のことを信じてくれるぜ」
ミラージュはそう言うとにっこりと笑った。それにつられてノノミの顔にも笑顔が浮かぶ。
「そういえばミラージュが来たときもツンツンしてましたね」
「ハハハ!そうだったな!」
次の日
先生は借金返済の方法を考えるべくアビドス高等学校に向かった。
“みんなおはよう!あれ、セリカは?”
「おはようございます先生。今日は自由登校日なので登校はしなくていいんですよ」
「自由登校日でも大抵はみんなここに集まるけど」
先生の疑問にアヤネが答え、シロコがそれを捕捉する。生徒5人にTF1人の対策委員会は家族も同然というわけである。
「セリカちゃんならいつものとこにいるんじゃないかなぁ~」
「それじゃあみんなで会いにいきましょうか♡」
ホシノとノノミはニマニマしながら席を立ち、教室を出る。後の2人も同じく席を立った。
「ん、先生も一緒に行くよ」
“う、うん”
先生もシロコに連れられアビドスの校舎を出る。委員会の4人はミラージュに乗り、先生はビーに乗ってセリカのいる場所に出発していった。
柴関ラーメン。そこはアビドスにあるラーメン屋であり対策委員会の少女たちもよく通っているお店である。
その柴関ラーメンでバイトをしている少女が1人。
「いらっしゃいませ!何名様ですか?空いているお席にご案内いたしますね!」
セリカである。セリカは借金返済の資金を稼ぐためにここでバイトしているのである。
「いらっしゃいませ!ってえぇ!?」
セリカの目に飛び込んできたのはアビドスの面々と先生であった。
「あの~☆5人なんですけど~!」
ノノミは笑顔でセリカに連れの人数を答える。その表情は何とも楽しそうである。
「あ、あはは…セリカちゃん、お疲れ…」
「お疲れ」
アヤネは気まずそうに、シロコはいつも通りにセリカに挨拶する。
「み、みんな…どうしてここを…!?」
セリカは何故自分がここでバイトをしていることを知っているのかわからず困惑していた。
「うへ~やっぱここだと思った」
“どうも”
「せっ、先生まで…何でここに…!?」
セリカはホシノたちだけではなく先生までついてきたことに驚きとともに若干引いていた。
“ホシノにセリカがどこにいるかって聞いたらきっとここだって…”
「ア、 アンタってストーカーなの…?」
“ち、違うよ!!”
セリカにストーカー疑惑をかけられ先生は必死にそれを否定する。セリカの目は完全にゴミを見るような目になっていた。
「アビドスの生徒さんか。セリカちゃん、おしゃべりはそれくらいにして、注文を受けてくれな」
セリカとみんなが入り口で話していると、店の奥から柴犬の姿をした店主の声が聞こえた。彼こそがこの柴関ラーメンの店主柴大将である。
「うぅ…そ、それでは、広い席にご案内します…」
柴大将に言われセリカは恥ずかしながら渋々彼女たちを席へ案内する。5人は席に座りセリカのユニフォームをカワイイといじったりしながらラーメンを注文する。そして全員頼んだところでホシノは先生の方を向く。
「ねぇ先生~?」
“何かな?”
「先生は大人だからさぁ~きっとラーメン奢ってくれるよね~だって大人だもんね」
“は、初耳だなぁ…”
「あはは、今聞いたからいいでしょ!よっ!先生カッコいい!」
ラーメンを奢らせようとしてくるホシノから先生は逃げようとするも、ホシノにがっちりと掴まれその場から動けない。結局先生は大人のカードでラーメン代を支払うことになった。ビーを買って寂しくなった残高は未だ回復していない。先生は片をガックリと落として会計を済ますのであった。
「よぉ大将、また手伝えることがあるならいつでも呼べよ!」
会計を済ませて外に出るとミラージュと柴大将が話していた。
「あんちゃんはトラックにも変形してくれるから荷物が多いときには助かるよ」
「気にすんなよ同じアビドスに住む仲間だろ?」
「それもそうだな。ただ、ラーメンを食わせてやれないのが残念だが」
その後彼らは2、3言会話を交わしてこちらへ戻ってきた。
“ミラージュはアビドスのことが大好きなんだね”
「あぁ、当然さ!アビドスは人が少ないがそれだけにみんなイイ連中ばっかりだ!サイバトロン星にいたときには感じたことねぇ温かさってのを感じるんだよ」
こんな軽い性格でもミラージュはオートボットの戦士である。戦士として敗北や悲劇もそれなりに見てきた彼にはこのアビドスという土地は温かく心地いい場所なのかもしれない。
「ホント嫌い!!みんな死んじゃえー!!」
「あはは、元気そうでなによりだー」
セリカの罵倒を聞きながらみんなで学校へ戻るのであった。
バイトのシフトが終わりセリカは家へ帰るべく柴関ラーメンを出た。
「はぁ…何なのよ今日は…」
昼間に対策委員会と先生で柴関ラーメンに押しかけられセリカは疲労困憊といった様子でる。
「みんなして先生先生ってチヤホヤしちゃって…ふざけないでよ」
さらに信用できない大人をみんなして持ち上げているのが彼女は気に入らなかった。シャーレの先生であろうと誰であろうとセリカにとって大人とは自分たちのことを見捨てた許し難い存在なのである。
「私がそう簡単に折れると思ったら大間違いなんだから!!」
セリカは怒りながら家へと向かうのであった。
その姿を遠くから覗く人影があった。
「あいつか?」「はい、間違いありません」
その人影はセリカを捕捉すると何やら準備にとりかかるのであった。
家へと帰る道中
「私たちが頑張って、学校を立て直さないと…」
セリカが今後のことについて思案しているとどこからかヘルメットを被った連中が近づいてくる。
「何よ?あんたたち」
「黒見セリカだな?」
「あんたたちカタカタヘルメット団ね。一体何のよ…」
ズドーン!!!
セリカが銃を構えて攻撃しようとすると、どこからか砲撃が飛んでくる。
(嘘!Flak41改…?や、ヤバい意識が…)
セリカはヘルメット団の個人相手には過剰ともいえる攻撃に意識を手放してしまう。
ヘルメット団は捕まえたセリカを車に乗せてどこかへ行ってしまった。
セリカがヘルメット団に連れ去られてから数時間後
「セリカちゃんが家に帰っていません!!」
アヤネが泣きながら対策委員会の部屋に飛び込んできた。どうやらセリカの家から走ってきたらしく息を乱していた。
「電話はどうですか?」
「数時間前から電源が切れているみたいです」
こうしてみんなで集まり原因を探る中ヘルメット団がセリカを拉致したのではないかという答えに至る。
「みんなお待たせ~」 “ただいま”
そんな中ホシノと先生が部屋に入ってきた。2人は2人で連邦生徒会のセントラルネットワークにこっそりアクセスし、セリカの所在を調べていたのだ。
「連絡が途絶える直前のセリカちゃんの端末の場所、ここだったよ~」
そう言ってホシノは印刷された航空写真をみんなに見せた。そこは砂漠化の進んだ市街地の端であった。その場所は現在住民もおらず、不良のたまり場となっていた。そしてこの写真を見てアヤネは何かに気付く。
「このエリア…」
「どうしたの~アヤネちゃん」
「以前危険要素を分析した際にカタカタヘルメット団の主力が集まっていることが確認できた場所です」
どうやらその場所はカタカタヘルメット団の重要拠点であったようだ。
「こうしてはいられません!すぐにセリカちゃんを助けにいきましょう!」
そう言ってノノミは立ち上がる。それにつられて他のメンバーも立ち上がり銃を持ち外へ出る。
“ビー、ミラージュこれを受け取って”
外に出るとすでに校庭でビーとミラージュがビークルモードで待機していた。先生はセリカが拉致されていると思われる場所の座標をビーとミラージュに通信で送った。
「よっしゃ!!任せとけ」「『Let’s go!!』」
ミラージュには盾を持っているホシノとガトリングを持ったノノミが乗り込み、先生とシロコとアヤネがビーへと乗り込んだ。
「そんじゃあしっかり掴まってろよ!!かっ飛ばしていくぜぇ!!」
先生と対策委員会のメンバーは猛スピードで目標の地点へと向かっていくのであった。
アビドス某所
セリカはトラックの荷台に揺られアビドスのとある場所へと連行されていた。
「う~ん…はっ!?」
セリカはトラックの音によって目覚める。
「ヘルメット団め…私をどこに連れて行くつもりなの…」
セリカは今自分がどこにいるのかを確認すべく、光が漏れている場所を覗く。彼女の目に飛び込んできたのは砂漠と線路であった。彼女はここがアビドス郊外の砂漠であることに気付く。
「そ、そんな…ここからじゃどこにも連絡が取れない!もし脱出できたとしても、みんなに知らせることができないじゃない…」
その残酷な事実を理解してしまいセリカは膝を抱え絶望してしまう。
「みんな心配しているだろうな…このままどこかに埋められちゃうのかな…」
セリカは不安に押しつぶされ悪い考えばかりが頭を巡る。
「私も他の子と同じように、街を去ったって思われるのかな…裏切ったって思われてるのかな…」
そして遂に絶望からか泣き出してしまった。
「誤解されたまま、みんなに会えないまま死ぬなんて…そんなの…ヤダよ…」
セリカが膝を抱えて泣いていると
ドカーーーーーーン!!!
どこからともなく爆発音が響き、トラックが横転する。
ドゴーーーーーン!!!
「カハッ…ケホッ…ケホッ…」
大きな爆発によってセリカはトラックから放り出され地面に落ちる。あたりには砂埃が舞い、乗せられていたトラックは大破していた。
「よぉ、セリカ!!探したぜ!!」
「ミ、ミラージュ!!それにみんなも!?」
「こちらシロコ、半泣きのセリカ発見」
大破したトラックの周りには対策委員会のメンバーとミラージュ、それに先生とビーがいた。彼女たちは夜中に学校を出てから休まずセリカのいる場所へと向かってきたのである。
「何だよセリカ、泣いてんのか?」
「うっ!別に泣いてなんか…」
ミラージュに泣いていることを指摘され、セリカは顔を真っ赤にして否定する。
「なにぃー!?うちの可愛いセリカちゃんが泣いていただとぉ!」
「嘘!この目でしっかり見た!」
「泣かないでください!私がその涙を拭いて差し上げますから!」
ミラージュに便乗して他のメンバーもセリカが泣いていたことについて問い詰める。セリカはさらに顔を赤くして口をパクパクさせていた。
“安心したよセリカ”
「な、何で先生まで!?どうして私の居場所がわかったの!?」
“さらわれたお姫様を助けるのは勇者の役目だからだよ!”
先生は自信満々にそう答える。ビーはそのタイミングですかさずラジオからファンファーレを流し、場を盛り上げる。
「ば…はっ…!!バッカじゃないの!?」
お姫様と言われて恥ずかしかったのか、セリカは大声で先生を罵倒する。
「うへ、元気そうだね。無事確保完了」
「よかった…セリカちゃん…。私セリカちゃんに何かあったらって思ったら…」
「アヤネちゃん…」
アヤネは離れた場所からドローンを操作してセリカの無事を確認できて泣き出していた。
「おっと、感動の再開はそこら辺にしてさっさとずらかるぜみんな!!」
「ん、ここは敵陣のど真ん中だから早く逃げないと」
ミラージュとビーはヘルメット団のテリトリーを無理矢理突っ切ってきたため、ヘルメット団に捕捉されていた。
「前方にカタカタヘルメット団の兵力、多数確認!!」
後方にいるアヤネがヘルメット団をドローンで視認する。ヘルメット団は重火器や戦車などを持ち出し対策委員会を何としても倒そうと全力を出してきたようだ。
「よっしゃみんな俺たちに乗れ!!」 「『逃げろ逃げろ~』」
彼女たちと先生は2台の車に乗り込んだ。
“ビー、とびっきりハイになれる音楽をお願い”
「『OK!!』」
2台の車が砂漠の中の包囲網を突っ走りながら抜けていく。
「フォーーーー!!当てられるもんなら当ててみな!!」
ミラージュは時々蛇行をしながら砲撃を避けて前へ進んでいく。さらにはホログラムで分身を作り出しヘルメット団をかく乱していく。
「『♪~~~~』」
ビーはテンションの上がる音楽を響かせながら器用に砲撃の雨を避けたり、ドリフトで砂を巻き上げつつ包囲網を突破していく。
こうして2台の車はカタカタヘルメット団の包囲網と激しい追撃を完全に躱し、アビドスの校舎へと帰っていくのであった。
とある高層オフィスビルにて
「やはりカタカタヘルメット団だけでは『トランスフォーマー』を有する彼女らには勝てぬか」
そのビルの一室で男はそう呟く。どうやらヘルメット団を仕掛けたのはこの男のようだ。
「ふむ…となると、目には目を、生徒には生徒を…だな。専門家に依頼するとしよう。それに、これだけでは心もとない。こちらも『トランスフォーマー』を使うとしよう」
そう言うとその男は誰かに電話をかけるのであった。
ん、先生の隣は私
ビーが流している曲は『Night of Fire』です