TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
正直これをやりたいがために、サブタイを東方縛りにした。
あとこの時点だとケイじゃなくてKeyだけどめんどくさいのでケイで統一します。
中央タワー最上階
「着いた!」
「ここがエリドゥ中央タワーの最上階…」
(…ゴクッ)
“地図によると、ここのどこかにアリスがいるはずだよ”
みんなの協力もあり、ゲーム開発部と先生はようやく中央タワーの最上階へとたどり着く。チヒロの解析によれば、ここにアリスが閉じ込められているらしい。
コツコツコツ…
「そう、アリスならここにいるわ」
「会長…!まだ戦うつもり!?」
「いいえ。トキが倒れた時点で、私が持っている手札はすべて消えた。認めましょう…私の負けよ」
“リオ…”
すると彼女たちの前にリオがやって来る。モモイはリオとの戦闘を警戒したが、彼女自身がそれを否定し敗北を認めるのであった。
「本当に…貴女たちはここまで来たのね。近い将来、キヴォトスの脅威になる事が確定しているあの子を救うために…。遮るものすべてを薙ぎ払って…」
「当たり前だよ!最初からそう決めてたからね!」
「アリスがキヴォトスに終焉を招くとしても?」
「急に何?アリスの事そんな風に言わないでよ!」
リオはここまで来てしまったゲーム開発部のことを、困惑した表情で見つめる。そして“忘れられた神々の王女”であるアリスを本当に救うのかと今一度モモイに確認する。その問いをモモイは理解できないといった風であった。
「私は、ただ…」
“リオが何を根拠に動いたのかは分からない。でも、一つだけはっきりと言えるよ。リオは、誰にも相談せず、1人で全てを判断して結論づけた。そして、君が正しいと信じる事を他人に強要した”
「…!!先生…貴方も、私の行動が独善だと言うの…?」
モモイに反論され、リオは悲しそうに呟く。そして、先生からも自らの行動が間違いであると指摘される。リオは先生の言葉を聞いて、脳裏にヒマリの姿がよぎるのであった。
「でも…私は…!!私、は…」
“君がアリスの事を危険視したのは間違ってはいないと思う。私もアリスの事は何とかしないといけないとは思っていた。でも、ヒマリもみんなもいたはずだよ。オートボットのみんなだってちゃんと説明すれば協力してくれたはずだ”
“先生、アリスの場所が分かったよ。その部屋の隅に、電力が集中する施設があるはず。アリスはそこにいる”
先生の言葉でリオはさらに落ち込んでしまう。その間にチヒロがアリスの居場所を見つけ出した。
「ミドリ!ユズ!」
「うん、お姉ちゃん!」
“リオ、続きはこの後にしようか”
「・・・・・・」
チヒロからアリスの居場所を聞いたモモイたちは急いでアリスの元へと向かうのであった。
「アリス!お待たせ!」 「アリスちゃん!」 「アリスちゃん…」
「・・・・・・」
“アリス…?”
「「「!?」」」
ゲーム開発部はアリスの元へ近寄ると、彼女の名前を呼ぶ。しかし、アリスは彼女たちの声に応えず、目を閉じて眠っているようである。
「な、なにが起きてるの!?」
ブォン…!!
「あ、あそこのモニターが…!」
「これは…!!」
[Divi:Sion]
モモイたちがアリスに声をかけつづけていると、いきなりモニターが点灯する。モニターには大きく[Divi:Sion]と映し出されており、エリドゥの主であるリオですら驚いていた。
“ぃま…急に…な…が……!?通信が…き…み…な…応答…!?”
プツン…
“チヒロ…!”
「エリドゥのシステム全体が…ハッキング…。いえ、これは単純なハッキングではない…。都市全体が“何か”に変質していっている?」
[Divi:Sion]は何か嫌な音を立てて、エリドゥ全体を変質させていく。その過程でチヒロの通信を閉ざしてしまう。そしてリオだけが唯一この事態の深刻さに気付き始めていた。
「こんな事してる場合じゃない!早くケーブルを外してアリスを…!」
「その行為は推奨しません」
「!!」
「現在“王女”の表層人格は内部データベースの深層部に隔離されています。強制的に接続を解除すると、取り返しのつかない損傷が起こるでしょう」
モモイがアリスのケーブルを引っこ抜こうとすると、アリスが目を覚ます。だが、それはアリスとは違い目がピンク色になっており、性格も明らかにアリスとは違う何かであった。
「アリス…!?一体何を…?」
「お姉ちゃん、これアリスじゃないよ…」
「アリス…?それは、あなた達が私たちの“王女”を呼ぶ際の名称…。“王女”に名前は不要です。名前は存在の目的と本質を乱します」
「何を言ってるの!?ねぇ、あなたは誰!アリスちゃんを返して!」
唐突に意味のわからないことを言い出したアリスを見てモモイは呆気にとられる。しかし、ミドリは彼女がアリスではないということを感じ取ったようで、彼女の正体を尋ねるのであった。
「私の個体名は<Key>。王女を助ける無名の司祭たちが残した修行者であり、彼女が戴冠する玉座を継ぐ“鍵”<Key>です」
“…なに?”
「彼女は“王女”であり、私は“鍵”。それが私たちの存在であり目的。今、我々を妨害していた攻撃が止まったことを確認しました。只今よりエラーを修正し、本来あるべき王座に“王女”を導かせていただきます」
彼女は自分のことを“王女”を継ぐ鍵である<Key>と名乗る。ケイは妨害が止んだことを確認するとアリスに何かをするために動き出した。
「AL-1Sに接続された利用可能リソースを確保するため、全体検索を実行。リソース領域の拡大」
ゴゴゴゴゴゴ…
「リソース名、要塞都市エリドゥの全体リソース、一万エクサバイトのデータを確認。…現時点をもって、プロトコルATRAHASIS稼働」
ゴォォォォォン!!!
「コード名“アトラ・ハーシスの箱舟”起動プロセスを開始します」
ケイはエリドゥに接続すると、領域を拡大して要塞都市エリドゥを掌握していく。そして、エリドゥ全体のリソースを掌握すると“アトラ・ハーシスの箱舟”とやらを起動し始めた。
「…!!アトラ・ハーシス…!?」
ゴォォォォォ!!!
「プロセスサポートのため
「…エリドゥ各地で
アトラ・ハーシスという単語がケイから出てきたを聞いたリオは何か知っているのか、驚いていた。ケイが追従者を呼び出すと、エリドゥ各地でアリスを暴走させたあのロボットが湧き出てきた。
“リオ…一体これは何が起きているの?アリスは…”
「いえ、そんなはずが…私の計算は…でも…!私は…キヴォトスに終焉がもたらされることを懸念して、この要塞都市エリドゥを建設した。私が動員できるミレニアムのすべての技術と力、エネルギー、そして資源をここに集めたというのに…。けれど…むしろ、そのせいで…この都市が…終焉の発端に…?」
ゴォォォォォォォォォン…
「私は…間違っていた…?」
先生は事情を知っていそうなリオに説明を求めるが、彼女はただ独りでに呟くことしかできていない。リオは自分の能力を総動員して作ったこの要塞都市エリドゥを呆気なく乗っ取られたあげく、キヴォトス滅亡の引き金となってしまったことが信じられないようであった。
「箱舟製作に必要なリソース確保23%...46%...」
「先生!このままでは…!このまま、エリドゥのすべてのリソースを奪われてしまったら、キヴォトスが終わってしまう。決断を下さなければ…!」
“…決断?”
ケイはエリドゥのリソースを使ってアトラ・ハーシスの箱舟製作にかかっている。それを見たリオは先生にアリスをどうするのかという決断を迫った。
「王女は鍵を手に入れ、箱舟は用意された。無名の司祭の要請により、この地に新しい“サンクトゥム”を建立する。その到達で初めて、すべての神秘はアーカイブ化され…」
「このままでは、世界が滅びる…!!」
「「「「!!!?」」」」
ケイは箱舟によってキヴォトスをどうにかしようとしているようだ。それに気が付いたリオはこのままでは世界が滅ぶと確信する。それを聞いた一同にも焦りの表情が浮かび上がる。
「みんなと一緒に逃げてちょうだい、先生。今からこの都市自体が変貌し、箱舟という新しい概念に歪曲される。そうしたら…このキヴォトスは…。私のせいよ…。私がこの都市を作らなかったら、最初からこんな事にならなかったのに…。だから私が、止めないと…」
「ど、どういう意味ですか…?」
「…私1人で、システムを止めてみせるわ」
“リオ…”
リオはケイによるキヴォトス滅亡を止めるべく、先生たちに逃げるよう促す。ユズは彼女の言っていることが理解できなかったので問い返すと、1人でシステムを止めると言い出した。
「私の命一つで…世界の終焉を防ぐことができるというのならそうするわ…そうしなければならない。早く!!これは極めて論理的な選択よ、先生!」
“いや、リオを見捨てて逃げるわけにはいかない。君も大事な生徒の1人であることには変わりはない。だから…私は全員で力を合わせてこの危機を乗り越える…!!”
「そんな理想を話している場合では…!!」
リオは命をかけて、システムを止めようとしていた。だが、先生はリオのその選択を拒否し、みんなと共に立ち向かうという選択をする。
“ノア!今よ!電力という電力を全部落としちゃって!”
“は~い、ユウカちゃん。その言葉を待ってました♪えいっ!”
ドォン!!!!
キヴォトス終焉の危機に際し、リオを救うためにユウカとノアが遠隔操作でエリドゥの電源を落とした。彼女たちはキヴォトスひいては先輩の危機を察知して、救いの手を差し伸べにきたのである。
「…リソース確保失敗。システムシャットダウン」
“みんな、大丈夫!?”
「ユウカ…!」 「ノア先輩!」
電源を落とされたため、ケイはシステムをシャットダウンしてしまう。セミナーの2人の登場に、ゲーム開発部は胸をなでおろした。
「こ、ここには、どうやって…?」
“状況が普通ではないということはよくわかりました、先生!”
“最初は都市の位置を伝えるだけで、手を引くつもりだったのですが…。ふふっ、ユウカちゃんが、やっぱりそれだけじゃダメだって…最後まで何とかしないと。と言ってましてね?”
“さすがユウカ!タイミング完璧だったよ!”
心配性なユウカはエリドゥの座標を先生たちに伝えるだけでは心配だったようで、裏で色々動いていたようだ。その完璧なタイミングでの介入に先生のテンションも爆上がりであった。
“これくらい当然です。それより、会長!!”
「!!」
“セミナーの予算を横領してこんな都市を作るなんて…後で説教ですよ!覚悟しておいてください!”
「…ユウカ」
ユウカはこれくらいのことは当然と言ってのけた後に、リオ会長の方へ視線を向ける。そして、都市を横領したことを、指摘して会長相手に後で説教すると言ってのけたのであった。
「リソース確保プロセスエラー。緊急状況発生Divi:Sion電源、プロトコル実行者を保護するためエリドゥ中央タワーに集…」
「申し訳ありませんが、その子たちはここまで来られませんよ。タワーの入り口でしたら、エイミとC&Cのメンバー、そしてオートボットが塞いでおりますので」
エリドゥの電源を落とされたケイは自信を保護するべく、Divi:Sionを集結させようとする。しかし、その事を事前に察知したヒマリが入り口をC&Cたちで固めていたようだ。
“えっ?ヒマリ!?なんでここに!?”
「うふふっ。なんだかんだありまして~とでも言いましょうか?」
「ヒマリ…貴女、逃げたんじゃ…」
「逃げるだなんて…なんと寂しいことを。この先の状況について、ある程度見当がついておりましたから。隔離施設を抜け出した後、急いでここに来たのです。リオのことですから…また事件を引き起こすだろうと予測していたのです」
行方不明になっていたはずのヒマリの登場に先生は驚く。ヒマリはこの状況を事前に察知して、隔離施設を抜け出した後に急いで中央タワーの最上階へ向かっていたようだ。
「どうですか?ふふっ…当たりましたか?」
「・・・・・・」
「さてと、お手数ですが先生。先生にはタワーの下でみんなの指揮を執っていただければと思います。ここは彼女たちと、超天才清楚系美少女ハッカーであるこのヒマリにお任せ下さい」
“わかったよ。みんな、後は任せるね”
ヒマリはリオを煽るがリオは何も答えない。ヒマリは気を取り直して、先生にC&Cたちの指揮を執るように促し、ここは自分たちに任せるように言った。先生はヒマリの言葉を聞いて、タワーの下で満身創痍のなか頑張っているC&Cたちの元へ向かうのであった。
中央タワー下
ズダダダダダダ!!ドキューン!!ドカァーン!!
「クソッ!!コイツらどこから湧いて出てきやがった!?」
「コイツらは例のアレだろ?アリスがおかしくなった時に出てきたあの機械だよな」
「あぁ、そうっぽいな。どうやら、アリスに何かあったらしいぜ」
中央タワーの下ではアイアンハイドたちがDivi:Sionを倒していっている。ハウンドはアリスが最初に暴走したときにいたロボットがいることから、アリスに何か異変があったのではと推測した。
“はぁ…はぁ…。みんなお待たせ!!”
「おぉ!!先生。待っていたぞ」
「我々も、首を長くしてお待ちしておりました」
みんなでDivi:Sionと戦っているなか、先生が息を切らしながらタワーの下へと到着する。先生の到着にオプティマスとアカネの表情は明るくなる。
“アリスのことはヒマリとゲーム開発部の娘たちに任せた。私たちは彼女たちが邪魔されないようにここを守るのが使命だよ”
「聞いたな、オートボットたち。全力でここを死守するぞ!!」
「我々もオプティマスに続きますよ!!」
「「「「おー!!!!」」」」
先生はすかさず、オートボットとC&Cたちに指示を出す。それを聞いた彼らは再び気合を入れて敵の攻撃に挑むのであった。
ズドドドドド!!バシューン!!ドカァーン!!ボカーン!!
「おい、見ろ!!あのヘンテコロボット、ガルバトロンに取りついてるぞ!!」
「何だと…!!」
「一体、何をするつもりだ…」
Divi:Sionと戦っているなか、サイドスワイプが異変に気付く。Divi:Sionはガルバトロンに取りついて何かをしようとしている。その姿を見たアイアンハイドたちは不思議そうにそれを見ることしかできなかった。
ギュィィィン!!シュィィィン!!ギュィギィィィン!!
“ガルバトロンと、Divi:Sionが…融合していく…?”
ガシィィン!!カチャッ…
「野郎…起き上がりやがった…!!」
「フッフッフッ…」
そして、ガルバトロンはDivi:Sionを取り込んだことによって2度目の復活を遂げる。さらに今度は、AIの音声ではなく人格さえも備えているようだ。
「俺の名はガルバトロン!!この星の全てを破壊する破壊大帝だ!!ハァーハッハッハッ!!」
「さ、最悪だ…このタイミングでまた敵が増えるだなんて…」
「消えろ、ゴミ共!!」
ドカァァァァァァァン!!!!
「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」
ガルバトロンは先ほどの姿から形を変えて完全復活を果たす。腕にはフュージョンカノンのようなキャノン砲が付き、機体のボリュームも大幅アップしていた。ガルバトロンは先生たちを見つけると、腕のキャノンを彼らに向けてぶっ放した。
ガラガラガラ…
「だ、大丈夫?」
「えぇ…何とか」 「こっちも生きてます、アスナ先輩」
“何て威力だ…。直撃したらたとえトランスフォーマーであっても死んでしまう…”
「ぐぅ…。メガトロンのフュージョンカノンよりも強力だぞ、あの武装は…」
復活直後でまだ身体を上手く扱えないのか、ガルバトロンの放ったキャノンは幸運なことに外れる。だが、その威力はトランスフォーマーを一撃で仕留めるには十分すぎるものであり、オプティマスたちを戦慄させた。
「チッ、外したか。だが、次は直撃させてやる」
キュイィィィィン!!
「まずいね…あれをまともに喰らったら今度こそみんな終わりだよ」
“どうすることも…できないのか…!!”
キャノンを外したガルバトロンは今度は確実に命中させるべく、キャノンのチャージを開始する。その様子を見ていたエイミは自分たちに降りかかる危機を感じて、身体をこわばらせた。
「このガルバトロン様の力を思い知れっ!!」
「させるかぁ!!」
ガチャン!!ボカァァァァン!!
「『待たせたな!!』『ショータイムだ』」
ズドドドドド!!ボカァーン!!
“ジャズ…!!そしてビーも!!”
キャノンの発射直前にガルバトロンの元へ飛び込んできたのはジャズであった。彼はキャノンを掴んで、キャノンの照準を狂わせる。ビーもジャズの後を追い、ガルバトロンを追撃するのであった。
“ビー、ジャズ!!よく来てくれたね!!助かったよ!!”
「彼らだけじゃないですよ!!」
「私たちエンジニア部も遅ればせながら登場さ」
「遅れて…ごめん」
ビーとジャズの登場に、先生は大喜びで彼らを歓迎する。さらには、彼らと共に作戦を遂行していたエンジニア部も登場し、キヴォトスの危機に立ち向かうのであった。
「さて…」 「それでは…」
「アバンギャルド君Mk.2発進!!」
ドドォォォォン!!!!
「「「「「な、なんじゃありゃーーーー!!!!!」」」」」
そして、エンジニア部の背後から堂々と現れたのは、一度倒したアバンギャルド君を魔改造したアバンギャルド君Mk.2であった。その珍妙な姿を見て、アバンギャルド君の事を知らない者たちは、とても驚くのであった。
「な、なんだコイツは…」
ズダダダダダダ!!ズダダダダダダ!!ズダダダダダダ!!ドカァァァン!!
「うおぉぉぉぉ!!?」
「き、効いてるぞ…」
アバンギャルド君Mk.2のデザインはガルバトロンでさえ困惑させるほどであった。アバンギャルド君Mk.2はガルバトロンに銃弾の雨を浴びせまくると、その威力にガルバトロンは後ろにのけぞるのであった。
ズガガガガ!!ズドォン!!ボカァン!!バコォン!!
「しゃらくせぇぇぇぇ!!」
ガキィン!!
「消え失せろ!!」
ドカァァァァァン!!!!
「「「アバンギャルド君Mk.2ゥゥゥゥ!!!!」」」
しかし、結局キレたガルバトロンにキャノンを撃ち込まれアバンギャルド君Mk.2は粉々になってしまった。粉々になったアバンギャルド君Mk.2の姿を見てエンジニア部は涙を流すのであった。
「俺たちが前に出て、アイツの攻撃を逸らす」
「その間に我々が君たちの応急処置をする」
「『任せろ!!』」
“みんな、ありがとう!!”
アバンギャルド君Mk.2が破壊されたのを横目に、キューとホイルジャックはアイアンハイドたちに応急処置を開始する。その間にジャズとビーが前に立ち、時間を稼ぐ算段である。
“それじゃあ、行くよ!!”
「『Let’s party!!!』」
中央タワー・最上階
「さて、これが<Key>…無名の司祭の“オーパーツ”を稼働させるトリガーAIですね。このまま放っておけば、きっとアリスの人格は<Key>に置き換えられ…無名の司祭が望む通り“名もなき神々の王女”として覚醒することになるでしょう」
「そ、それじゃあ…!」
「!!ヒマリ先輩…それって…」
「アリスちゃんは、このまま…」
先生を見送ったヒマリたちは、ケイを何とかしようと動き始める。ゲーム開発部はヒマリの説明を聞いて表情が曇りはじめる。
「もちろんそれを防ぐ方法もあります」
「ヒマリ先輩、一体どうすればいいいの?」
「事態は一刻を争う…既に、無名の司祭は動き出しているのですから。ですから、先生たちが下で無名の司祭たちを足止めしている間に、まず私たちの手でアリスを…<Key>の起動でデータベースの深部に隔離されてしまったアリスを起こしましょう。そうすれば、この事態を止めることができるでしょう」
そんなゲーム開発部の姿を見て、ヒマリはすかさずアリスをケイにしない方法を説明し始める。その方法とは、地上にいるDivi:Sionが接触するより前にアリスの意識を叩き起こすことである。
「そんなこと…本当にできるの?」
「アリスを連れ戻せるってことですか!?」
「できますよ♪リオ、ダイブ装置くらいありますよね?」
「えぇ、あるわ。…でもそんな事、現実的にできるわけ…!」
ヒマリの説明を聞いたモモイであったが、本当にそんな事ができるのか懐疑的である。そんなモモイの様子を見て、ヒマリはできると断言してみせた。そして、リオにダイブ装置があるか聞くが、リオのほうもできるとは思っていないようであった。
「危険すぎる。たとえアリスの精神世界に侵入できたとしても、下手すれば二度と戻って来れなくたってしまうのよ。そもそも、そんなこと一体誰が…!!」
「現状、アリスを連れ戻せるのはゲーム開発部と彼らしかいません」
「彼ら?」
「ホィーリーとブレインズです。彼らであれば安全にダイブできる可能性も高いです。彼らはすでにヴェリタスの部室で待機しています」
リオはアリスの精神世界にダイブする危険性をヒマリに指摘する。それに対しヒマリはアリスと関りの深いゲーム開発部とホィーリーとブレインズを指名する。ミニボットたちのほうはすでに彼女から連絡しており、ヴェリタスの部室で準備を終えているようである。
「…やります。アリスちゃんを…連れ戻せるのなら」
「うん」 「やろう!」
「それでは、私が今からアリスの精神を分析して隙間を作ります。皆さんはアリスの精神世界に入って、彼女を連れ戻してきてください」
「「「はい!!」」」
ユズは誰よりも早くダイブに立候補する。モモイとミドリもそれに続き、アリスを連れ戻す戦いが始まるのであった。
アリスの精神世界
「ここがアリスの…」
「…心の中?」
「最初に会ったあの場所そっくりだな」
アリスの精神世界に入ったゲーム開発部は、ミニボットたちと合流してアリスの心の中を進む。しばらく歩いていると、アリスと初めて出会った廃墟の景色が広がる。
「ねぇ、お姉ちゃん!ユズ!あそこ…!」
「アリス!!」
「……だれ?」
「私たちだよ!」 「アリスちゃん!私たちが来たよ!」 「アリスちゃん!」
はじめに、ミドリが廃墟にアリスが佇んでいるのを見つけた。アリスの姿を見つけた一同はアリスに飛びついて再開を喜ぶ。
「モモイにミドリ…ユズ…?ホィーリーにブレインズまで…?どうして、ここに…?」
「決まってんだろ。勝手に出てったお前を部室に連れ戻しに来たんだよ」
「さっさとこんなところからずらかろうぜ」
アリスはいきなり現れた彼女たちを見て、驚いてしまう。何故ここにいるのかと問われたミニボットたちは、アリスを連れ戻すためと答えるのであった。
「あ…。アリスは…アリス、は…」
「王女よ、あなたが見てきた光景を忘れましたか?」
「だれ!?」
「アイツ…こんなところまで出てきやがったのか…!」
感動の再開に感情を爆発させるアリスたちに水を差すように、どこからともなく声が聞こえる。その声が聞こえた方向を見ると、アリスと同じ姿をしたケイが現れた。
「つまり、あれが…!」
「アリスちゃんを、ここに閉じ込めた元凶…?」
「アリスが見てきた光景ってのは、一体どういうことだ…?」
「文字通りの意味です。“王女様が”この空間で見聞きした光景の数々のことですよ」
ケイの姿を見たモモイたちは、元凶の登場に身体が強張る。そしてケイはゲーム開発部たちにアリスが見てきた光景をモニターに映して突き付けた。
「これは…。私たちが…戦ってきた、姿…?」
「随分悪趣味だな、お前。ショックウェーブといい勝負だと思うぜ」
「エリドゥの監視網から見てきた光景。それらすべて、あなた達がこの場に足を踏み入れるまでに戦い、走り、転んで、傷ついてきた光景です」
モニターに映し出されたのは、エリドゥ潜入から今までみんなが戦ってきた姿であった。アリスにその姿を見せつけるケイをブレインズはショックウェーブを比較に出して軽蔑するのであった。
「何故このような事が起きてしまうのか…。その答えを“王女”は既にご存じなのではないでしょうか?」
「…アリスは。アリスは帰れません。アリスがみんなのそばに居たら…みんなはその分、傷ついてしまいます」
「アリスちゃん、違う!そうじゃないよ!」
「ミドリの言う通りだよ、アリスちゃん。私たちはそんな事…」
アリスは最初に暴走したときと、今までみんなが戦っていた映像を思い出し、帰ることを拒絶する。それを聞いてミドリとユズはアリスの言葉を真っ向から否定した。
「ミドリ…ユズ…でも、アリスのせいでみんな怪我をしてしまいました…。モモイも…ネル…先輩も…」
「過ぎたことはもういいよ!!」
「お前ネルの事心配してんのか?あれは自分でジェットツインズから飛び降りたのが悪いだろうがよ。というかそれを本人に話したらぶっ殺されるぞ、お前」
アリスはモモイを怪我をさせたことと、ここまで戦ってきたなかで一番の大怪我をしたネルのことを言い出した。だが、アリスにやられたモモイは過ぎたことはもういいと許し、ネルは自分で怪我をしたのだとホィーリーは主張した。
「アリスは勇者ではなく、魔王ですから。いつか世界を…キヴォトスを滅ぼすかもしれない、魔王として、生まれた…から…。アリスが、いるから…そこに、居たいと、願ってしまうから…そんな…魔王は…みんなのそばにいては、いけません」
「「「「・・・・・・」」」」」
「大切な人たちが…苦しんで傷つくのなら…いっそ…アリスは…アリス、このまま消えるのが正しいのです」
アリスは頑なに、自分が世界を滅ぼす魔王であると言い張る。そして最後には自分が消えたほうが正しいとまで言い出すのであった。
「『テイルズ・サガ・クロニクル2』は…!私たちが、一緒に作ったゲームは!!特別賞をもらったよ!!!」
「「「「!!」」」」
「・・・」
「キヴォトスの終焉?なに言ってるの?アリスがいるだけでみんなが傷つく?誰がそんなバカなこと言ってるの!?」
うじうじとネガティブなことを言ってるアリスにしびれを切らしたのか、モモイは『TSC2』のことを話題にあげる。唐突にボルテージが上がったモモイを見て、アリスや他のみんなも驚いてしまった。
「アリスに会って…アリスが居たから…!私たちはゲームが作れて!ミレニアムプライズで賞をもらって、部活を守る事ができたんだよ!」
「うん、そうだよ」 「…うん!」
「そうだ、アリスがいたから」 「俺たちもここまで来たんだ」
そして、モモイはアリスがいたからこそ、今のゲーム開発部はあるのだとアリスに示した。モモイの言葉を他のメンバーたちも肯定するのであった。
「モモイ…?」
「部活を守れたことも…ゲームを作って、一緒に遊んだ事も!ただ怖いだけだったネル先輩と、一緒にゲームをするような仲になれたのも!全部!ぜーんぶ!アリスがいてくれたからだよ!それなのに、アリスが魔王だとか、そう生まれついただとか…。だから消えなきゃいけないとか!そんなの、全ッ然意味わかんない!!そんなの絶対納得するもんか!」
「うん、絶対に」
「消えるのを…放ってなんか…おけないよ…」
さらにモモイはこれまでのアリスとの思い出を振り返って、彼女が魔王などではないと証明していく。そして最後にアリスの主張を、真っすぐに納得いかないと叫ぶのであった。
「…な、な、なぜ、ですか?みんな…どうして…アリスは…魔王なのに…アリスのせいで…みんな、怪我したのに…なんで、みんな…アリスを怖がったり…憎んだりしないで…そうやって…」
「何だよ…わざわざ言わなきゃわからないのか?」
「こりゃ教育をした俺たちの責任かねぇ?」
「「「「「アリスは私たちの仲間でしょ!!!!!」」」」」
「…!」
アリスはモモイたちがなぜ、こんなに自分を助けようとするのか未だに理解できないようである。そんなアリスを見て、彼女たちは声を揃えて“仲間”だからだと答えた。
「お前が好きなゲームを思い出せ」
「そうだよ。どんなゲームでも、主人公たちは決して仲間を諦めなかったはずだよ」
「お前を助けるために、オートボットのリーダーのオプティマス・プライムまで来てくれたじゃねぇかよ」
そしてホィーリーはアリスが大好きなゲームのことを思い出すよう促す。ゲームの主人公はどんなときでも仲間を諦めなかった。だからこそ、自分たちはアリスを助けることを諦めはしなかったとのだと、示すのであった。
「たとえアリスが魔王だったとしても、そんなの関係ないよ…!そんなの、ただのジョブにすぎない!自分が誰なのか、それは自分自身で決めるものだよ!アリスは、ただ自分がなりたいジョブを選んで転職すればいいんだよ!」
「戦士、騎士、魔法使い、僧侶…なんでもいいよ、アリスちゃん。もちろん、他の職業でも」
「オートボットになるか?ディセプティコンになるか?まぁ、どっちもあんまオススメしねぇけど」
「その…勇者も、いるよ」
そしてモモイは自分自身でなりたいものを決めればいいんだと言った。その言葉に同調するように、みんなは色々な職業を出してアリスを励ますのであった。
「あと先生からも伝言だぜ。“君がなりたい存在は、君自身が決めていいんだよ、アリス”ってさ」
「モモイと言ってる事ダダ被りだな。とりあえず、お前の本音を聞かせろよ」
「アリスは…魔王なのに…世界を…滅ぼしてしまう…のに…。なのに…それでも…アリスは…そんなでも、いいんですか?」
最後にホィーリーは先生の伝言をアリスに伝える。そして、ブレインズはアリスに本音を聞かせて欲しいと言うのであった。
「冒険を…みんなと…一緒に…クエストを、続けても…いいんですか?こんなアリスでも…?本当に…?」
「「「「「もちろん!!」」」」」
「それなら……アリスも!勇者になって…!みんなと…」
スッ…
「モモイ、ミドリ、ユズ、ホィーリー、ブレインズ。そして、みんなと…冒険を続けたいです…!魔王である…アリスが、そうしても、許されるのなら…!」
ここでようやく、アリスは自分の想いをみんなに打ち明ける。アリスは今後もみんなと一緒に冒険を続けたいと、ようやく思いの丈を述べるのであった。
「うん!アリスがしたいならそれで充分!」
「魔王だって、勇者になれるよ」
「侵略者のエイリアンだって、キヴォトスにはいっぱいいるしな」
ようやくアリスの本音を聞いたモモイたちは、アリスの望みを笑顔で肯定する。このときようやく、アリスと他のメンバーたちが目を合わせるのであった。
「またみんなで、一緒にゲームを作ろう!!」
「そうだな、今度はトランスフォーマーも沢山出てくるやつがいい!!」
「だって私たちは…」
「「「「“ゲーム開発部”だから!!!!」」」」
シュィィィン…
「これは…!」
「勇者の剣…アリス!これ!」
「勇者の剣を…!」
「抜くんだよ、アリスちゃん!」
アリスがゲーム開発部によって元気を取り戻すと、今まで椅子だったものが、アリスの光の剣に変化する。それを見たモモイたちはアリスに光の剣を抜くよう促した。
「……!!」
「証明してやれ!!お前は勇者アリスだろ?」
「…はい!」
ガシィ!!ズボォ!!
「それは…!王女よ…あなたのその能力は…!あなたのその力は、世界を滅ぼすために存在するというのに…!」
モモイたちに言われ、アリスは迷いなく光の剣を抜く。それを見ていたケイは、機体の主導権を奪われるのを危惧して焦っていた。
「違います!アリスのこれは勇者の武器です!なぜならアリスがそう決めたからです!今のアリスは光属性の勇者…!」
ゴォォォォォ…!!
「光よ―!!!!」
「うっ…!!」
ドォォォォォォォン!!!!!
しかし、アリスはケイの言う事を否定し、光の剣を構える。そして、ケイに向かって最大出力の光の剣を放つのであった。
「王女よ…あなた…は…」
「アリスのクラスは“王女”ではありません!アリスは…“勇者”です!!」
「理解…不能…」
アリスが勇者になったことにより、ケイは機能を停止するのであった。
ガルバトロンver.Divi:Sion:ケイによって洗脳され邪悪な人格を植え付けられたガルバトロン。トレーラートラックではなく砲台に変形し、何か青っぽい色になった皆さんお馴染みのガルバトロン。今章真のラスボス。
次話でガルバトロンと決着をつけます。
ショックウェーブ「悪趣味?私が?スタースクリームではなく?」
ブレインズ「自覚がないのがなおタチが悪い」