TRANSFORMERS Blue_Archive   作:H2O(hojo)

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ホットロッドとかいうティーパーティーに振り回される可哀想な男


トリニティの裏切者

コハルが先生とビーと共にエロ本を返しにいった次の日、補習授業部のみんなは勉強を終え、一つの部屋に集まっていた。

 

「ふぅ、スッキリしました!」

 

「もうお風呂に入ったんだ、早いねヒフミ」

 

「うふふ、そうですよね。なにせヒフミちゃんは朝にシャワーを浴びれず、今日一日あるがままの香りで…」

 

「わわっ!そ、その言い方は恥ずかしいです…っ!うう、寝坊さえしなければ…」

 

勉強が終わったヒフミはみんなより先に風呂に入ったようである。そしてその理由は寝坊して朝シャワーを浴びれなかったからのようで、それをハナコに揶揄われ、恥ずかしそうにするのであった。

 

「…でも、それは私たちのために模試を準備していたからだ。ごめん、ヒフミ。もし明日の朝も起きるのが辛かったら言って。今度はヒフミの身体を洗ってあげる」

 

「い、いえ、それは遠慮させていただこうかと…!?」

 

「自分で洗えば良いでしょ!子供じゃないんだから!」

 

「効率の問題だ。みんなで洗うことによる利点は少なくない。もちろん水の節約にもなる」

 

そもそもヒフミが寝坊したのは、模試の準備をしていたからだとアズサは理解しており、俺に身体を洗ってあげると言い出した。それを聞いたヒフミが遠慮していると、エッチな話題になりそうだと察知したコハルが会話に入ってきた。

 

「大浴場は無いので、みんなで一心不乱に洗いっこというイベントはちょっと難しいようですが…。あ、良いことを思いつきました。今度お風呂代わりに、みんな裸でプールに飛び込むのはどうでしょう?」

 

「さらっと何言ってんの!?ダメ!そんなすごいの絶対禁止っ!!」

 

「悪くない案だと思うけど、それをプールでやるメリットがあるのか?」

 

そして案の定ハナコが裸でプールに飛び込むという提案をすると、やっぱりコハルがオーバーな反応をし、アズサが言っている意味を理解できず首を傾げた。補習授業部のいつもの流れである。

 

「解放感があると思いませんか?青空の下、全てをさらけ出して掛け合う様子を想像するだけで…うふふ♡」

 

「なるほど、そういうのは確かに考えてなかった。解放感、か…」

 

「バカバカバカバカ!!考えちゃダメ想像しちゃダメそういうのはダメっ!」

 

ハナコはアズサのために、裸でプールに飛び込むことの魅力を説明する。そして、それをコハルが必死に止めるのであった。

 

「アズサを変な風に染めるな!トリニティの変態はあんただけで十分だから!!」

 

「そういえばコハルちゃんも全裸で泳ぎたい派ですよね?」

 

「脈絡全無視!?無敵なの!?そっ、そもそもそんなこと言ってないから!プールでは普通に水着!それが正義なの!あんただって昨日はちゃんと着てたじゃん!」

 

コハルはアズサがこれ以上ハナコの変態趣味に染まらないよう、必死で彼女の暴挙を防ごうとしている。しかし、ハナコは話の脈絡を無視し、今度はコハルにターゲットを絞る。

 

「あら…?」

 

スッ…

 

「よく思い出してみてください、コハルちゃん。私が昨日プールで着ていたものを…」

 

「え、あ、あの水着が何…?」

 

完全にコハルのことをロックオンしたハナコは、彼女との距離を詰める。そして、コハルにしか聞こえないボリュームで彼女にささやき始めた。

 

「あれは、本当にみ・ず・ぎだったと思いますか…?」

 

「!?!!?」

 

ハナコは確実にコハルが反応する言葉を囁く。すると、案の定コハルは赤面した。

 

「み、水着じゃなかったら何なのよ…!?」

 

「最近の下着はデザインがかなり充実していますし、一目で水着かどうかの判断は難しいと思いませんか?それに、ペイントという線も…♡」

 

「…!?!?え、嘘!?って、いうことは…!?」

 

そして追い打ちをかけるように、ハナコは最近の下着のデザインやペイントの話をコハルにする。するとさらにコハルは顔を赤面させ、ハナコのことを疑い始めた。

 

「あら、どうしたんですか?あれがもし水着じゃなかったとして、何が変わってしまうんでしょうか?ねえ、コハルちゃん?」

 

「え、だ、だって…」

 

「例えば、水着と下着の違い…それは何でしょう?防水機能?お肌の保護?デザイン?露出の範囲?コハルちゃんは見た目で分からなかったですよね?あの場、あの時は、それは“水着”だと信じられていましたよね?」

 

「…???」

 

完全に自分の術中に嵌ったと確信したハナコは、コハルに水着と下着の違いは何かと問いかける。だが、もはやコハルの頭はパンク寸前であり、ハナコの問いに答えられない。

 

「実はあれが下着だったとして…その“真実”かもしれない何かは、どうすれば証明できるのでしょう?証明できない真実ほど無力なものは無い…そう思いませんか?」

 

「な、なに言ってるのかわかんない…け、結局どういうこと!?」

 

「あの水着可愛かったですよね、というお話です♡」

 

「…はぁ!?全部冗談!?」

 

そして、何やら哲学的な会話を繰り広げるが、混乱しているコハルには全く理解してもらえない。結局ハナコは全て冗談だと明かし、いつもの流れに落ち着いた。

 

「…なるほど、五つ目のあれか」

 

「…!」

 

「五つ目…?えっと、アズサちゃん、何のお話ですか…?」

 

しかし、ここで思いもよらぬ事態が起こる。なんと、ハナコの言葉にアズサが何やら反応したのである。それを見たハナコは珍しく驚いているようで、ほんの一瞬だけいつもの笑顔が消えていた。

 

「・・・」

 

「ただの聞いた話だけど…キヴォトスに昔から伝わる七つの古則。確か、そのうちの五つ目だったはず。“楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか”…そんな感じだった気がする。残りは知らないけど。つまり、誰も証明できない楽園は存在し得るのか…そういう禅問答みたいなものだったと記憶してる」

 

「アズサちゃん、どうしてそれを…」

 

ヒフミに五つ目の古則のことを聞かれたアズサは、自分がどこかで聞いた話をみんなに説明する。いつもなら、持ち前の博識でフォローするところなのだが、ハナコは何やらショックなのかアズサに何で知っているのかを聞くのであった。

 

「その話を知っているのは…もしかしてアズサちゃん、セイアちゃんに会ったことがあるんですか…!?」

 

「・・・」

 

「…セイア?」

 

「それって、ティーパーティーのセイア様のことですか…?」

 

五つ目の古則の話を聞いてハナコは何故か、百合園セイアの名を出す。それを聞いたアズサは何故か目を逸らす。そして、他の2人もセイアの名前が出てきたことに疑問を感じていた。

 

「・・・。…分からない。この話はただ、どこかで聞いた記憶があるだけで…」

 

「・・・。そうでしたか…そういえばアズサちゃんは転校生、でしたね…」

 

そしてアズサは少し気まずそうに俯くと、セイアのことは分からないと答える。それを聞いたハナコは、何か思うところがあるようであった。

 

「vanitas vabutatum …ということは…」

 

「「??」」

 

「…いえ、何でもありません。もう遅い時間ですし、そろそろ寝た方が良さそうですね。では、今日も一日お疲れ様でした!」

 

さらにハナコは、アズサがよく口にしている言葉を呟くと、これ以上の詮索は空気が悪くなると感じたのか、ここで話を打ち切るのであった。そして何も知らないヒフミとコハルは二人の様子を、不思議そうに伺うのであった。

 

 

 

 

 

先生の部屋

 

「…先生」

 

補習授業部の娘たちの会合が終わった後、ヒフミは再び先生の部屋を訪れていた。

 

「ハナコちゃんのこと、なのですが…」

 

“・・・”

 

どうやら、コハルはハナコのことについて先生に報告しに来たようである。そして先生のほうもハナコについて、思う事があるようでヒフミの話に耳を傾ける。

 

「…模範解答を集めている最中に、なぜか束になって保管されていたんです。珍しいことだから保管されていたのか、その理由は分かりませんが…。昨年の試験、1年生から3年生までの全ての試験における解答用紙が、まとまっていました。どういうわけか、その全てを回答した方がいたようでして…」

 

“それが…”

 

「…はい、ハナコちゃんでした」

 

どうやらヒフミは模試を作成するために、模範解答を集めていたところ偶然去年のテストを見つけたようである。そして、その解答者は浦和ハナコであったというわけである。

 

「昨日見つけた1年生の時の成績に引き続き、盗み見る形になってしまったのですが…。ハナコちゃんは去年の1年生の段階で、3年生の秀才クラスでも難しいとされる課程を含めて“全ての試験”で満点を出しています…完膚なきまでに秀才、と言えるレベルです…」

 

“そ、そんなに…”

 

「1年生の試験結果を見て、ハナコちゃんはきっと今年になって急に成績が落ちたものとばかり思っていました。でも、この結果を見る限りそうではなく…」

 

“わざと手を抜いている…”

 

そしてテストの解答者であるハナコは3年生の難しい問題すらスラスラと解いていたのが発覚したのである。つまり今の彼女は、テストが解けないのではなくわざと間違えているということが発覚したのである。

 

「ハナコちゃん…どうして…」

 

 

 

 

 

次の日・プール

 

「わぁっ、水が入ってるー!」

 

「や、やめろよミカ…」

 

「あはっ、ここに水が入ってるなんて久しぶりに見たなー。もしかしてこれから泳ぐの?それともみんなでプールパーティー?」

 

この日、先生はミカにプールへと呼び出されていた。この場にいるのは、先生とミカと、ホットロッドとビーがおり、補習授業部には彼女と会うことは伝えていない。

 

“お待たせ。用件を聞いてもいいかな?”

 

「『貴様何しにここに来た…』」

 

「…えへへ。先生は上手くやってるかな、って思って☆」

 

ミカは様子を見にきたと言って先生のほうへと近づく。だが機嫌の良さそうな彼女とは対照的に、ビーは何やら機嫌が悪そうである。

 

「にしてもナギちゃん、ずいぶん入れ込んでるみたいだねー。こんな施設まで貸し出しちゃって。ところで、合宿の方はどう?遠いのを良いことに、何か楽しそうなことしてたりしない?例えばみんな水着でプールパーティーとか!」

 

「『冷やかしなら帰んな』『お嬢さん』」

 

「うるさいなぁ…そこの黄色いの。私は今先生に用があるの。邪魔しないでくれる?」

 

「お、おいやめろよ2人とも…」

 

先生に馴れ馴れしい絡み方をするミカを見て、ビーは不快感を露わにする。それを横で見ているホットロッドの肝は冷え冷えである。

 

“・・・”

 

「…あはっ☆そこまで警戒されちゃうのは心外だなー。私こう見えても繊細で、傷つきやすいんだよ?」

 

「・・・」

 

「ところでここ、食事とか大丈夫?何か美味しいものでも送ろっか?ケーキとか紅茶とか」

 

そして当の先生もいきなりミカに呼び出されたことに警戒しているようである。先生の態度に心外だと笑っているミカの様子を見て、ビーは彼女を黙って睨みつける。そしてそんなことには構わずミカは会話を続けていくのであった。

 

「…ふふっ、ごめんね。先生もあんまり長い前置きは好みじゃないかな?」

 

「そ、そうだぜ…。そもそもこんなところにまで何しに来たんだよ、ミカ?」

 

「そうだね。じゃあ、本題に入るとしよっか?」

 

ミカは先生との会話を盛り上げるために、アイスブレイクをしてみたがあまり意味が無さそうなので本題に入ろうとする。ミカと近しい間柄であるホットロッドでさえも彼女の真意は分からないようである。

 

「あっ。ちなみに私がここにいることについて、ナギちゃんは知らないよ?見ての通り、付き添いも無しの私の単独行動!ナギちゃんにはチクらないでね。頼んだよ、ホットロッド?」

 

「わ、わかってるって…。俺だってナギサに小言は言われたくないさ」

 

「というわけで、あらためて本題だけど…先生、ナギちゃんにから取引とか提案されなかった?」

 

“取引?”

 

「例えばそうだなぁ…“トリニティの裏切り者”を探してほしい、とか」

 

どうやらミカはここまで1人で来たようで、ホットロッドにナギサにチクらないよう釘を刺す。そして、そのあとすぐに本題に入ったミカは、ナギサに“トリニティの裏切り者”を探すよう取引されたかと聞くのだった。

 

“・・・”

 

「み、ミカ…なんでそれを知って…」

 

「…ふぅ、やっぱり。もうナギちゃんったら、予想通りなんだから」

 

ミカにナギサとの取引を問われた先生は、何も答えず押し黙る。しかし、先生の態度と横に居たホットロットの反応から、ミカはナギサに取引を持ち掛けられたことを悟るのであった。

 

「何か詳しい情報とかは?そういうのは何もなしで、ただ“探して”って言われた感じ?理由とか、目的とかは?どうして補習授業部がこういうメンバーで構成されてるのかとか、ナギちゃんは教えてくれなかった?」

 

“いや、教えてもらってないけど…”

 

「…そっかー。もう、何も教えずに先生にこんな重荷を背負わせるなんて…」

 

“でも、その提案は断ったよ”

 

さらにミカはナギサからどんな風に頼まれたのかや、情報をどこまで教えてもらっているのかを先生に聞いていく。だが、先生はミカにナギサの提案は断ったとハッキリ述べるのであった。

 

「…え?そうなの?どうして?自分の生徒を疑いたくないから?それとも…」

 

“それは、私の役目とは違うかなって”

 

「…へぇ?」

 

「なっ…!!先生…」

 

先生はミカに断った理由を問われ、自分の役目ではないと答えた。それを聞いたミカは少し先生を見直したような顔をする。そして、先生の言葉を隣で聞いていたホットロッドは、その事は聞かされていないため、当然驚いていた。

 

「そ、その事はどうにかするって言ってたが…そういうことだったのか!?」

 

「そっかそっかぁ…確かに先生は、“シャーレ”の所属だもんね。トリニティとは本来無関係の第三者。なるほどね。まあ、私たちにとってはずっと“トリニティ”そのものが世界の中心みたいな感じだから、アレだけど…面白い答えだね。なるほど、新鮮かも。それはそれで正しいよね」

 

“・・・”

 

ナギサの提案を拒否したという先生の話を聞いて、ミカはひとりでに納得したようである。ミカはトリニティの中で育ったため、先生の感覚は新鮮なようだ。

 

「それじゃあ先生は、誰の味方?」

 

「お、おいミカやめろって…」

 

「もしトリニティの味方じゃないんだとしたら…ゲヘナの味方?でもディセプティコンと戦ったっていうから…オートボットの味方なのかな?もしくはシャーレの大元である連邦生徒会かな?それとも、誰の味方でもない…とか?」

 

そして、ミカは先生は誰の味方なのかと先生を問い詰める。わざわざ先生が答えにくそうな質問をするミカを、ホットロッドは窘めるが、彼女は彼のことなど気にせず畳み掛ける。

 

“私は、生徒たちの味方だよ。それにオートボットであれディセプティコンであれ、生徒たちの助けになってくれるなら私はそれを歓迎するよ”

 

「・・・。あ、あぁー…。生徒たちの味方、かぁ…それは予想外だったなー」

 

「『・・・』」

 

「あ、あのさ…っていうことは、その…先生は一応、私の味方である…って考えても良いのかな?私も一応この立場とはいえ、生徒には変わりないんだけど…」

 

ミカに誰の味方かと問われ先生は生徒の味方だと答える。そしてミカはその答えを聞いて、自分の味方でもあるのかと再び先生に問いかけた。そしてミカが嬉しそうに会話しているのを見て、ビーはちょっぴり嫉妬していた。

 

“もちろん、ミカの味方でもあるよ”

 

「…わーお。さらっとすごいことを言ってのけるね、先生…」

 

「『チッ…』」 「おい、やめないか…」

 

「大人だねぇ。そういう話術?って思う気持ちもあるけど…うん、ちょっと純粋に嬉しいかも。えへへ…」

 

そして先生はミカのことも味方であると、堂々と答える。思っても見なかった答えに、ミカは今日一番の驚きの声をあげる。そして、バンブルビーは渾身の舌打ちをミカに送り、ホットロッドに止められた。

 

「でも、それを額面通りに受け取るのもちょーっと難しいなぁ…だってそれは同時に、誰の味方でもないって解釈もできるよね?だからそのまま受け取るんじゃなくて、私から先生に取引を提案させてもらおうかな」

 

“取引…?”

 

「『図々しい!!』『さっさと帰りやがれ』」

 

「えぇー?良いのかなぁ…そんな態度取っちゃってさぁー。私だって先生にタダで私の取引に応じて欲しいって言ってるんじゃないんだよ?こっちだって先生が気になることを知ってるんだからね?」

 

その一方でミカは先生の言葉を額面通りには受け取らないと言って、取引を持ち掛ける。それを聞いたビーは流石にミカの態度にキレたのか帰れと彼女を脅す。しかし、相変わらずミカはビーには構わず、先生との取引を進めようとしていくのであった。

 

スッ…

 

「補習授業部の中にいる“裏切り者”が誰なのか、教えてあげる」

 

“…っ!” 「は…?」 「???」

 

「ナギちゃんの言う“トリニティの裏切り者”、今必死に探して退学にさせようとしているその相手。実際のところ、もう少し複雑で大きい問題もあるんだけど…今このまま、先生がナギちゃんに振り回される姿をただただ見てる…なんていうのは、ちょっと申し訳ないなって」

 

「いや…ミカ…。お前何でそれを知って…。いやその前に、その“トリニティの裏切り者”がセ…」

 

「しーっ」

 

ミカが取り引きのために持って来た情報というのは、ナギサに探すように言われている“トリニティの裏切り者”の正体についてであった。その事を聞いた先生とホットロッドは当然驚いてしまった。

 

「…そもそも、先生のことを補習授業部の担任として招待したのは私だからね。このことは知ってた?」

 

“ミカが…?”

 

「うん、ナギちゃんにはずっと反対されてたんだけどね。せっかくの借りをこんな風に使うのはどうとかこうとかで。先生とナギちゃんの間に、色々あったんだね? …まあ、私の方にも色々あって。トリニティでもゲヘナでもない、第三の立場が欲しかったの」

 

「・・・」

 

(何で…何で…何でだ…?“トリニティの裏切り者”はセイアを殺したヤツなんだぞ!!何でそれをミカが知ってるんだよ!!何で俺が居る前でそんなことを言ったんだ!!)

 

そして、そもそも先生を補習授業部の顧問にしたのは、ミカの提案があったからのようである。一方“トリニティの裏切り者”の正体を知っていると言ったミカに、ホットロッドは動揺し頭が真っ白になっていた。

 

「…ああ、“裏切り者”のお話だったね。補習授業部にいる、“トリニティの裏切り者”、それは…白洲アズサ」

 

“アズサが…?” 「『・・・』」 「…!!」

 

「うん。知ってるかもしれないけどあの子、実はトリニティに最初からいたわけじゃないんだ。ずいぶん前にトリニティから分かれた、いわゆる分派、“アリウス分校”出身の生徒なの。…うーん、よく考えると“生徒”って呼んで良いのか分からないんだけどね」

 

“どういう意味かな?”

 

「“何かを学ぶ”ということが無い生徒のことを、生徒って呼べるのかな?」

 

そしてついにミカは“トリニティの裏切り者”の名を明かす。その者の名は白洲アズサである。そしてその名を聞いた全員に動揺が走るのは必然であった。さらに、アズサはトリニティから分かれた、“アリウス分校”なる分派出身であることもミカの口から明かされた。

 

“このことを、私に教える理由は何?”

 

「…ふふっ。…良い眼だね、本当に。期待しちゃうな。あれこれ誤魔化しても仕方なさそうだし…うん、端的に言おっか」

 

“・・・”

 

「あの子を、守ってほしいの」

 

そして、ミカはアズサが裏切り者であると先生たち告げると同時、彼女を守ってほしいと言い出した。




ミカはセンチネルのことは知りません。いい感じにバレてません。なお、逆にセンチネルはミカがやってることは知ってる。
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