TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
丁度1年前のあの頃ブルアカにハマっており、映画を見た影響でこのクロスを思いついたという経緯であります。
“アズサが、裏切り者だって言ったね…?”
「うん。それで、あの子を守ってほしいの」
「ミカ…自分が何を言っているのかわかってるのか?」
「…あー、ごめんね、ちょっと単刀直入すぎたかな?ナギちゃんの悪い癖が移っちゃのかも」
アズサがナギサの言うトリニティの裏切り者であることが発覚し、さらにミカは彼女を守って欲しいとまで言い出した。先生たちよりもその辺の込み入った事情を知っているホットロッドはミカに声をかけるが、その声は相変わらず無視されている。
「戸惑ってる先生のために、もう少し最初の方から説明してみようかな?」
“私もそこらへんの事情はよく分かってないからお願いするよ”
「私はナギちゃんとセイアちゃんみたいに、あんまり頭が良いわけじゃないんだけど…。ちゃんと伝わるように、頑張ってみるね!」
“うん、お願い”
しかし、いきなり裏切り者だのアリウス分校だのと衝撃の情報を浴び続けた先生は、ちょっとミカの言っていることが理解できていないようである。なので、ミカは先生たちに分かりやすく、説明を始めるのであった。
「まず、この“トリニティ総合学園”について。ナギちゃんがこの前言ってた通り、その一番の特徴は“たくさんの分派が集まってできた学校”だってこと」
「「“・・・”」」
「パテル、ファリウス、サンクトゥス…この三つの分派がトリニティの中心になったっていうのは前も話した通り。でも正確には他にも、今の“救護騎士団”の前身に当たる派閥とか、“シスターフッド”とかも含めた大小さまざまな派閥がいくつもあるの」
「『大変だな』『お前たちも』」
「元々そういうたくさんの派閥が、まるで今のトリニティとゲヘナみたいな形で、お互いにお互いを敵視してて。毎日毎日、紛争ばっかりの時代があったんだって。そこで、もうこれ以上戦いを続けるんじゃなくて、仲良くしようっていう約束をすることになったの。私たちはもう戦わなくて良い、一つの学園になろう…そんな話をしたのが、いわゆる“第一回公会議”」
“うん、どこかで聞いたことある”
ミカは初めにトリニティの成り立ちから説明を始める。トリニティ総合学園とは様々な派閥が寄り集まってできたものであると、先生たちは認識する。ビーはトランスフォーマーだけではなく、彼女たちにも色々あったことを察し同情するのであった。
「そうだよね、それで…その会議を経て生まれたのが、今の私たちがいる“トリニティ総合学園”。今でも分派だった頃の余波が無いと言えば嘘だけど…時代の流れってところかな?今ではもう、そんなの全然気にしてないっていう声の方が多いはず」
「時代の流れ、か…」
「でもその会議は、円満に話し合いが終わったわけじゃなくて…その時、最後まで反対していた学園があったの。それが、“アリウス”」
「どこの星でも同じかよ…」
そして、その“第一回公会議”のときに最後まで反対していたのがアリウスであるとミカが告げる。それを聞いたホットロッドはオートボットとディセプティコンの対立を思い出して、どこも同じと嘆くのであった。
「元々は私たちとあんまり変わらなかったはずの、一つの分派。経典に関するちょっとした解釈の違いがあったくらいで、結構色んなところが似てたんだって。ちゃんとチャペルの授業もあったし、見た目のほとんど一緒で…それでいて、ゲヘナのことを心底嫌ってた」
“・・・”
「でも、そのアリウスは連合を作ることに猛烈に反対して…最終的には、争いに繋がっちゃったの。連合になって強大な力を持つようになったトリニティ総合学園は、その大きな力でアリウスを徹底的に弾圧し始めた」
「『はぁ~』」
元々アリウスはトリニティの派閥と大した違いはなかったようである。しかし、アリウスは何故か連合となるのに猛烈に反対したようで、トリニティから弾圧されたようである。ビーもホットロッドと同じく、アリウスの悲劇を聞いてやるせない気持ちになる。
「あまりにも大きな力を持ちすぎると、その強さを確認したがる…なんていうのはそこの黄色いのとホットロッドも知っての通り。つまるところ、アリウスは悲しいことにちょうど良いターゲットだったって言えるのかもしれない。そうして、アリウスは潰された」
「オプティマス・プライムがいなければ、我々オートボットもメガトロンに…」
「『・・・』」
「そしてアリウスはトリニティ自治区から追放されて、今は…詳細は分からないけど、キヴォトスのどこかに隠れてるみたい。相当激しい戦いだったんだろうね。その後全然見つからないような場所に隠れたみたいで、多分、連邦生徒会ですらいまだにその自治区がどこにあるか分かってないくらいなの」
アリウスがトリニティに徹底的に潰されたと聞いて、トランスフォーマーの2人はサイバトロン星でのオートボットの苦境をアリウスに重ね合わせていた。そしてアリウスは現在このキヴォトスで息を潜めて暮らしているようである。
「大半の生徒たちにとっては、“そんな学園あったっけ?”って感じだと思う。ほとんどはきっと、そんな争いがあったことすら知らない。そうして表舞台には姿を現さなくなって、今となってはその影すらも薄くなってしまった存在…それがアリウス分校だよ」
“アズサがその、アリウス分校の出身…”
「うん」
そして再び、先生とミカはアズサがそのアリウス分校出身であることを再確認する。白洲アズサは暗い背景を抱えていることが発覚したのである。
「それで…ナギちゃんが推進している“エデン条約”、あれはさっき話してた“第一回公会議”の再現なの。エデン条約…大きな二つの学園が、これからは仲良くしようねって約束」
“・・・”
「…何だか、良いお話に聞こえるよね?でも本当のところはどうだろ。だってその核心は、ゲヘナとトリニティの武力を合わせたエデン条約機構、通称“ETO”呼ばれる全く新しい武力集団を作ることなのに。…そう、エデン条約っていうのは、言ってみればある種の武力同盟。トリニティとゲヘナの戦力を合わせた、一つの大きな武力の集団の誕生が目的…」
「何とも…難しい話だよ、まったく」
ミカは話を過去から現在に戻す。ミカが言うにはエデン条約は“第一回公会議”の再現だそうである。彼女はゲヘナとトリニティで同盟を結びキヴォトス最大の武力集団を作るのが、ナギサの目的であると暗に示すのであった。
「そんな、圧倒的な力を持つ集団が誕生するの…連邦生徒会長が行方不明っていう、こんな混迷の時期に。その大きな力を使って、ナギちゃんは果たして何をしようとしてるのかな?会長が不在の連邦生徒会を襲撃して、自分が連邦生徒会長にでもなるとか?」
“そんなバカな…”
「それともミレニアムっていう新しい芽を摘んでおくとか?」
「『・・・』」
ミカはエデン条約を締結した後のナギサの目的を推察する。彼女は連邦生徒会とミレニアムの名をわざわざ出して、先生とビーの危機感を煽る。
「もちろん細かい目的は知らないけど…でも、これだけはハッキリ言えるよ。そんなに大きな力を手に入れたら、きっと自分が気に入らないものを排除する…。昔、トリニティがアリウスにしたみたいにね。あるいはもしかしたら、セイアちゃんみたいに…」
「ミカ!!!」
「…おっと、ごめんね。今のは失言だったかな」
“セイアは、何があったの?入院してるって聞いてるけど?”
「・・・」 「そ…それは…」
そしてミカは話の流れで、セイアの名前をつい出してしまった。彼女の名前を聞いたホットロッドは咄嗟にミカに注意をする。注意をされたミカのほうも明らかに失敗したというような反応をし、横で見ている先生が怪しむには十分であった。
「…前にお話しした通りだよ。セイアちゃんは、入院中なの」
“…今どこにいるのか、聞いても良い?”
「うーん…。先生は、本当に知りたい?」
「止めるんだミカ!!」
ミカは先生に勘づかれまいと、以前と同じく入院中と答える。しかし、先生はミカとホットロッドの反応を見て、セイアは入院していないと確信したのか、ミカに彼女の居場所を問う。それを聞いてミカはセイアの真実を知りたいのかと先生に確認するが、ホットロッドはそれを必死に止める。
「…この話をしたら、もう私は戻れない。もしこの先の事実を知った先生が、私のことを裏切ったら…私はきっともう終わり」
「そうだ、ミカ!!だからこんなことは止めろ!!」
「それでも、知りたい?」
“裏切るだなんて…”
ミカは先生に真実を教える前に、最後の確認を取る。ホットロッドは余程重要な事なのか、慌てて悲鳴に近い声を出してミカに止めるよう懇願していた。
「…ううん、でも大丈夫だね。だってさっき、先生は私の味方って言ってくれたもん。もしこれで裏切られたって、何て言うのかな…うん、それはそれで悪くないと思う。えへへっ」
“・・・”
「…セイアちゃんは入院中なんかじゃない。ヘイローを壊されたの」
“…っ!?”
「ぐぅ…うぅぅ…!!」
そして遂にミカはセイアの真実を口にする。セイアは入院中などではなく、ヘイローを破壊、つまりは死亡してしまったのである。それを聞いた先生は驚き、ホットロッドは声にならない呻き声をあげた。
「冗談じゃないよ、本当のこと。去年、セイアちゃんは何者かの手によって唐突に襲撃された。対外的には“入院中”ってことになってるけど…そっちの方が真実」
“・・・”
「私たちティーパーティーを除けば、このことはまだトリニティの誰も知らない。もしかしたら、“シスターフッド”には知られてるかもだけど…あそこの情報網は半端じゃないからね。とにかく、それくらい秘匿事項なの」
“犯人は、まだ…?”
「…うん、分かってない。捜査中っていうか、何も分かってないっていうか…もともとセイアちゃんは、秘密の多い子だったこともあってね。…うん、まさそういうことなんだ」
だが先生が今の今まで彼女のヘイローが壊されたという情報を知りえなかったのは、この情報が最重要秘匿事項だからである。さらには犯人もまだ見つかっていないという有様であった。
「とはいっても、目星が付いてないわけではないんだけど…今の段階でただの推測を口にするのもね。…それで、話は戻るんだけど。“白洲アズサ”…あの子をこの学園に転校させたのは、私なの」
“ミカが?”
「うん、ナギちゃんには内緒でね。生徒名簿とかそういう書類を全部捏造して、あの子を入学させた」
「はぁ…?な、何で…?」
「アリウス分校は今もまだ、私たちのことを憎んでいる。私たちはこうして豊かな環境を謳歌しているのに、彼女たちは劣悪な環境の中で、“学ぶ”ということが何なのかも分からないままでいる…。私たちから差し伸べた手を、連邦生徒会からの助けも拒絶し続けてるの。過去の憎しみのせいで。…私は、アリウス分校と和解がしたかった」
ミカは話題をセイアからアリウスとアズサの事へと戻す。そして彼女はアズサを転入させたのは、自分であるとカミングアウトした。ホットロッドは先ほどのショックから立ち直れていないらしく、間抜けた声でその理由をミカに聞く。そしてその問いに対し、ミカはアリウスと和解がしたかったからと答えた。
「でもその憎しみは、簡単には拭えないほど大きくて…これまでの間に積みあがった誤解と疑念もあまりに多い。私の手には、負えないくらいに」
「『そりゃあそうだろう』」
「けどナギちゃんもセイアちゃんも私の意見には反対だった…政治的な理由でね。でも、それも分からないわけじゃない。私たちは、ティーパーティーだから」
しかし、アリウス側は未だトリニティに対して恨みを持っていたようで、ミカの思惑通りにはいっていないようである。そして当然ナギサとセイアにも政治的な理由で反対されたようだ。
「私は不器用だから、そういう政治とかはちょっと得意じゃないんだけど…でも、また今から仲良くするのってそんなにそんなに難しいのかな?前みたいにお茶会でもしながら、お互いの誤解を解くことはできないのかな?」
「それは…分からないが…でも…」
「私はあの子…“白洲アズサ”という存在に、和解の象徴になってほしかったの。あの子についてはそれほど詳しいわけでもないんだけど、アリウスでもかなり優秀な生徒だったみたいだし、その可能性に賭けたかった」
ナギサとセイアに反対されても、アリウス側から拒絶されても、ミカは諦めきれなかったようである。そして彼女はトリニティとアリウスの和解の理想を、白洲アズサに託したというのが、ミカがアズサを転入させた真意であった。
「もしエデン条約が締結されたら…その時はもう今度こそ本当に、アリウスとの和解は不可能なものになっちゃう。だから、どうにかその前に実現させたかった。でも、そんな中でナギちゃんがトリニティに“裏切り者”がいるって言い始めて…」
“そのための…補習授業部ができたっていうのはナギサから聞いたよ”
「でも先生、何であの4人なのかって聞いたことある?」
“いや、そこまでは聞いてない”
しかしエデン条約が締結されればアリウスとの和解の目は完全に無くなってしまうとミカは危機感を持っているようだ。そしてミカは補習授業部のメンバーが何故あの4人なのかを先生に話始めた。
「あそこにいるのは、ナギちゃんが疑った子」
「『だろうな』」
「ハナコちゃんはすごい変わったところがあるけど、本当に、本当に優秀な生徒。昔は生徒会長候補として、ティーパーティーの候補として挙がっていたこともあったくらい」
「『マジかよ!?』」
先生とビーが察していた通り、補習授業部の4人はナギサが怪しいと疑った人物である。ミカは初めにハナコの経歴を話すと、ビーは驚きの声をあげた。
「“シスターフッド”も、あの子を引き入れようと頑張ってたって聞いたな。上手くはいかなかったみたいだけど」
「『・・・』『NO~』」
「礼拝堂での授業で、あの敬虔な空気の中ひとり水着を着て現れた時なんかすごかったな。私たまたまそこにいたんだけど、シスターに追い出されて、みんな凄い表情だったんだよ。あはっ☆」
「『YES!!』」
どうやらハナコはその優秀さから、シスターフッドに勧誘されていたらしい。ビーはハナコのシスター姿を想像して、しっくりこないという反応をする。そしてハナコが礼拝堂に水着で現れた話を聞いて、イメージと合致したのか”YES”と叫んだ。
「その奇行もそうだけど、ハナコちゃんは突然変わっちゃったの。落第直前の状態になるくらいに。…どうしてだろうね?」
「それはこっちが聞きてぇよ…」
「たしかに、それで探りを入れたくなる気持ちはよく分かる。あの子は既にトリニティの上層部とか色んな所と交流があって、結構な数の秘密を知っちゃったってこともあって。ナギちゃんにとっては、気にせざるを得ないだろうね」
(トリニティの権力争いに嫌気が差したんだろうか…)
そんなバックボーンもあり、ハナコはトリニティ上層部の秘密を色々知っておりナギサが警戒するのも当然だとミカは考える。そしてホットロッドはトリニティの政治劇の一部を知っているため、嫌気が差したのかと推測した。
「コハルちゃんは…あの子はどろどろした政治とか、そんなこととは何の関係も無い、純粋で良い子なんだけど。何であの子がって話をすると…ああ、そういう意味ではあの子は、“疑われたから”じゃないかな。その直接的な原因は本人じゃなくて、ハスミちゃんたちだね」
“ハスミたち…?”
「巨大な武器を持った存在、それも特にハスミちゃんみたいにゲヘナに対して強い憎しみを持っている存在が、自分の統制下に無いという不安感…何かが起こるんじゃないかっていう疑念…。ナギちゃんはそこに対して、何かしらの備えが欲しかったんだと思う」
「正実を抑えるため…ってことか?」
ミカはハナコからコハルに話の主軸を変える。コハルはただの正義実現委員会の一員であったが、正実という組織を抑え込むために、補習授業部に入れられたようである。
「正義実現委員会だったら多分、誰でも良かったんじゃないかな。ただとりあえず成績が悪かったから、あの子が選ばれた」
「『人質』」
「その通り。察しが良いね」
要するにコハルは人質なのである。逆に言えば実力で補習授業部に入ったとも言えるが…。
「あとは…ヒフミちゃんか」
“ヒフミは特に何も無いはずだけど…”
「『僕もそう思います』」
「ヒフミちゃん、優しくて可愛くて、良い子だよね。ナギちゃんもすっごく気に入ってる。…でも、それでもナギちゃんの疑いの目が向いちゃったの」
そして、最後はヒフミである。先生とビーは一度アビドスで出会っているので、ヒフミに何か疑われるようなことはないだろうと思っていた。
「どうやらこっそり学園の外に出て、怪しいところに行ってたみたい。トリニティの生徒は出入り禁止になってるブラックマーケットとか、あちこちにね」
“・・・” 「『・・・』」
「それに、どこかの犯罪集団と関わりがあるって情報も流れて来た。あんな善良そうで、純粋な子に見えるのに…」
“き、きっと誤解だよ…” 「『そんなこと』『するはずない』」
しかし、ミカがブラックマーケットという言葉を口にした瞬間、先生とビーは身体を強張らせる。何を隠そう2人がヒフミと出会ったのはブラックマーケットである。そして、犯罪組織と繋がりがあるという噂に心当たりがありまくる2人は、誤魔化すのに必死であった。
「それで結局、ナギちゃんの中にあった“トリニティの中に裏切り者がいるかもしれない”という疑いは、色々と情報が集められて進められていく中で、“あの中の誰がトリニティの裏切り者なのか?”っていう疑念に変わったってわけ」
“・・・” 「『・・・』」 「・・・」
「…それが、今の状況。ちょっと長かったけど、これで今私が知っていることは全部話せたかな?」
ナギサは情報を集めていく中で“トリニティの裏切り者”をあの4人に絞り、見事補習授業部に入れることに成功したわけである。そしてミカはその事を話終えたところで、自分の知っていることは全て話したと言った。
“裏切り者…”
「“裏切り者”っていう言葉が何を指すのか。それを多少はっきりさせた上でなら、ちゃんと解答は出せるの。まずナギちゃんは今きっと、“自分たちを騙そうとしている者がいる”って思ってる。誰かがスパイなんじゃないかって。そういう意味で、今ナギちゃんが言っている“裏切り者”は、経歴を偽って入り込んいでる“白洲アズサ”。彼女はアリウス出身だからね」
自分の知っている情報を出し尽くした上で、ミカはナギサの言う裏切り者がアズサであると、根拠を持って断定する。
「あの子は私のせいで何も知らないまま、こんな複雑で政治的な争いのど真ん中に立つことになっちゃって…。でも、こんな形であの子を退学なんてことにさせちゃいけない。だから、守ってほしいの。それは今、先生にしかできないことだから」
「み、ミカお前…」
「それから、ある意味では…ナギちゃんにとっての“裏切り者”は、私でもある。私は、ナギちゃんが進めてるエデン条約に賛成の立場じゃないから。ホストじゃない私には何の力も無い以上、邪魔も何もできないんだけど」
そしてミカは、自分のせいでアズサが退学の危機に陥っているため、先生に彼女を守って欲しいとお願いする。彼女のそのアズサを慮る態度を見て、ホットロッドは感心するのであった。
「それと。別の観点からは同時に、こういうことも言えるよね?“トリニティの裏切り者”…それは、ナギちゃんだって言う事もできる。そう思わない?」
“どういう意味?” 「『はぁ?』」 「どういう事だ?」
「これまで調和を保っていたトリニティを、巨大な怪物に変えようとしている存在…そういう見方があっても、そんなにおかしくはない…ってこと」
「・・・」
さらにミカは見方を変えればナギサもトリニティの裏切り者だと言えると言い出す。エデン条約を結んで大きな組織を作ろうとするナギサこそ、トリニティの調和を乱す裏切り者であると考えているようである。
「…まあ、でもこれも含めて全部全部、私からの一方的なお話でしかないよ。だから、もちろん最終的には先生が決めて。白洲アズサを守るのか、裏切り者を見つけるのか…ナギちゃんを信じるのか。それとも、私を信じるのか」
“ミカは、それだけで大丈夫?”
「あの子のことについては私に責任があって…でも、私にはただお願いすることしかできないから」
“いや…君自身はそれで大丈夫?ってこと”
「あはっ。本当に優しいね、先生は。うーん、何だかつい勘違いしちゃいそう。私の心配は大丈夫。こう見えても私、結構強いんだから♪」
最後にミカは先生に決断を委ねて、この話を終わりにしようとすると、先生が心配の声をかける。それを聞いてミカはアズサの対処についてだと思っていたようだが、ミカ自身のことだと指摘させて、先生の優しさに少し照れるのであった。
「じゃあ、今日はこんなところかな。先生とまたこうしてお話しできて、楽しかったよ。それにあんまり先生とずっといると、変な噂が立っちゃいそうだもんね。ふふっ…まあ私はそれでも全然構わないんだけど」
「『二度と来るな』『ボケがッ!!』」
「じゃ、またね。先生。次はそこの黄色いの抜きで、楽しいお話ができるといいな☆」
「『くたばれ!!』」
「べぇーだ」
ミカはこれ以上先生と一緒にいると変な噂を立つと言って、その場を去ろうとする。ミカのことが気に食わないビーは二度と来るなと言うと、すかさずミカが応酬する。最終的にビーは暴言を吐き、ミカは舌を出してその場を去るのであった。
その後、ホットロッドはミカを追いかけて話をしている。
「ミカ…お前一体何考えてんだ!?アズサが裏切り者って先生にばらして、セイアが死んだことも言うなんて…」
「ねぇ、ホットロッド…」
「な…なんだよ」
「あなたは私がこれからどうなろうと、私を守ってくれる…?」
ホットロッドは先生に色々と秘密にするように言われていたことや、ナギサの知らないことを話したことを指摘する。しかし、ミカは彼の指摘を無視していきなり自分を守ってくれるか確認をしようとする。
「あ…当たり前だろ…。俺はセイアを守れなかった。その事は今でも夢に見るくらいに悔やんでるよ…。だから、君とナギサだけは…!!」
「そう…優しいね。ありがとう」
「だから、変なことはするなよ…!?頼むから、やめてくれよ…!!」
「大丈夫だよ。言ったでしょ?私強いって」
ホットロッドはセイア襲撃の際近くにいながら、彼女への被害を防げなかったことを未だに悔やんでいるため、ティーパーティーの残りの2人を守ると苦悶の表情で答えた。そしてミカの危なげな感じを感じ取ったのかホットロッドは彼女に変なことをしないよう釘を刺した。
「それじゃあ期待してるからね?“騎士様”」
「ミカ…」
そう言ってミカは合宿所を去っていった。
お姫様を守るのは白馬の王子様だけじゃなくて、騎士様がいたっていいじゃない。
今さらですが、ユーザー情報のほうに元ネタとなる掲示板のスレ一覧のURLを掲載しておきます。
なお、普通に今後の展開とかも書いてあったりするので、ネタバレが気になる方は見ないほうがいいかもです。
今まで掲載を渋ってたのはこれが理由です...。