TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
あとアカリが潰れた缶ジュース状態でもピンピンしてるから、トランスフォーマーを安心して大暴れさせられるってのもあります。
ヒナの強さがあれば並のディセプティコン連中を制圧するのは余裕だと思う。
キャラを出した割に対して見せ場は無い。結局調印式まで行かないとトランスフォーマーたちを派手に暴れさせられないんですよね...。
トリニティの繁華街・スイーツ屋
「…美食研究会?」
“ところで先輩、今どちらです?早くご命令を頂かないと、このままだとツルギ先輩が発射…飛び出しちゃいそうっすけど”
「つ、ツルギはとりあえず止めてください。私は今その、私用で少々外に…」
“いやー無理っすよ。ディーノはトランスフォーマーがいるんで現場に出ちゃってるし、ハスミ先輩以外じゃそうそう止められな…あっ、ツルギ先輩!行かないでください!あとそっちはドアじゃなく壁…”
バコォォォォォォォン!!!!
ハスミは美食研究会のトリニティ乱入でイチカから通信で会話している。どうやらツルギは美食研究会捕縛に張り切っているようで、壁を破壊して出撃していったようだ。
“あー…とりあえずあたしらも一旦追いかけて、出撃しますね”
ピッ
「・・・」
ツルギが壁をぶっ壊して進撃するのを見てイチカも彼女の後を追うべく通信を切る。ハスミはいきなり訪れた緊急事態に、呆然と突っ立っていた。
ドォォォォォォォン!!!
「近いな。爆発音からして、ここから1km以内のところか」
“オイ、外が大変なことになってるぞ!!お前ら大丈夫か!?”
「じ、実は…」
どうやら美食研究会は近くまで逃げてきているようで、爆発音がスイーツ屋にも響いてきた。そして、その事態を察知したホットロッドがヒフミたちに連絡してきたので、彼女はイチカとハスミの無線の内容を伝えた。
“美食研究会はともかくディセプティコンがいるのか…”
「みなさん、突然のことですみませんが、みなさんの力が必要です。お願いできますでしょうか?」
「あぁ」 「はい」 “任せてくれ”
今はエデン条約を目前に控えて、色々と過敏な時期です。この問題が傍から見て“トリニティの正義実現委員会とゲヘナ間の衝突”と捉えられてしまうと、状況が不利になることは想像に難くありません。つまり補習授業部と“シャーレ”が一緒に解決してくださる…そういう構図が望ましいのです。先生、お願いできますでしょうか…?」
“うん。よし、じゃあ補習授業部一同出発”
外部からトリニティとゲヘナ間の武力衝突に捉えられるのを避けるため、ハスミは先生に連携を申し込む。先生はハスミの提案に快く了承し、現場へとみんなを引き連れて向かうのであった。
トリニティ中央
ズダダダダダダ!!ズダダダ!!ドドドドドド!!
「死ねおらぁぁぁぁぁ!!!」
「なぁ、やっぱりコイツを拉致すんのは止めたほうがよかったんじゃねぇの?」
「拉致ではありません!!ちゃんとフウカさんからも了承を得ているのですから…!!」
「んんんーーーー!!んんっーー!!」
前門のアーシー後門の正実に陥っている美食研究会とミックスマスターたちは、中々その場から離脱できずにいた。ミックスマスターはフウカを拉致しなければこんな状況になっていなかったので、フウカを連れて来るのをやめることを提案するが、ハルナは彼女を拉致しているだなんて微塵も思っていないようである。
ズドドドドドド!!ドドォーン!!ボカァーーン!!
「大体俺1人だけじゃ戦闘力は大したことねぇんだよ。武器もケツに付いてるこれしかねぇし」
ガチャン!!バキュン!!
「でもその四枚の盾はこういう時に便利ですよ★」
ズドドドドドド!!ズドドドドドドン!!ガキィン!!ガチィン!!
「そんなに頑丈じゃあねぇんだがねコレも…」
ミックスマスターはディセプティコンの中でも頭脳派で、パワーはそこまでのトランスフォーマーである。武装も少なく、4枚羽の盾も本人的にはそこまで防御力に自信は無いらしい。
「いたぞ!!ミックスマスターだ!!」
「ということは、あの銀色のトランスフォーマーの影に隠れているのが美食研究会か?」
「そ、そうなんじゃないですかね…?」
「『fight!!』『GO!!』『Battle!!』」
そして逃げずにもたついていると、補習授業部とハスミたちが現場に到着する。最近ずっと合宿所暮らしで、ろくに戦闘らしい戦闘をしていないビーは戦士の血が騒いでいるようである。
「はぁ…はぁ…そこのテロリストたち!!はぁ…はぁ…武器を捨てて投降しなさい!!」
「は、ハスミ先輩…大丈夫ですか…?」
「はぁ…はぁ…心配しなくても大丈夫ですコハル。パフェを3つも食べたのですから運動をしなくては…」
“だからって飛ばしてる乗用車を走って追っかけなくてもいいのに…”
そして少し遅れてハスミが駆け足で息を切らしながら到着する。ビーとホットロッドで合わせて6人は乗れるので、普通に車に移動できるはずなのだが、ダイエットしているのにも関わらず、パフェを3つも食べていた罪悪感から、彼女は走ってきたようだ。
「やべぇな…黒いのの集団くらいならどうにかなるが、オートボットが2体も出張ってきやがった…」
バキューーーーン!!
「あぁ、マグロがぁーーー!!」
「ぜひお造りの形でと思ったのですが、天ぷらになってしまいましたわね…」
ハスミたちとオートボットが集まってきてしまい、美食研究会の面々は絶対絶命である。しかも、マグロがアーシーに撃ち抜かれ天ぷらになってしまい、ハルナですら冷や汗をかいている。
「うーん、どうやら完全に囲まれてしまったようですね★どうしましょう?」
「はっ、バラバラに逃げたら生存率上がるんじゃない!?」
ピューーーン!!
「んんっーーー!!んっんん!!んんんっっっ!!」
完全に包囲されてしまった美食研究会たちはこれからどう行動するか思案していた。すると唐突にジュンコがバラバラに逃げることを提案して、勝手に1人で逃げてしまった。自分を置いて1人で逃げたジュンコに、フウカは“置いてかないで”と叫ぶのであった。
「なるほど、良いアイデアですねジュンコさん★では足の速さ次第ですが、弱肉強食ということで♪」
ピューーーン!!
「ふふふ、そうですわね。運任せとなりそうですが、それもまたスパイスのようなもの!それでは!」
ピューーーン!!
「えぇっ!?ちょ、ちょっと!待って!私だけ置いていかないでー!?」
ドテッ!!
「お、置いてかないでってばー!うわーん!もう、覚えてなさいよっ!いつか絶対仕返ししてやるんだからーーっ!!」
スクッ…ピューーーン!!
ジュンコの逃走を皮切りに、他のメンバーたちもどんどん散り散りに逃げていく。最後にイズミが逃げようとして、すっころぶが何とか起き上がって逃げていった。
「くそっ!!フウカは無事か!?」
「おらよ」
ポイッ
「んんーーーーっ!?」
パシッ
「そんじゃ俺も」
ボンッ!!
最後に残ったミックスマスターは、拘束されたフウカをアーシーの元へ投げて返還する。そして彼自身も、自分が調合した煙幕でその場を離脱した。
「くっ、小癪な…!各自、分かれて追撃を!!」
「「「「はいっ!」」」」
「ここはトリニティ自治区!私たちから逃げるなんてことは、不可能です!」
分散して逃げた美食研究会を、ハスミは追撃するよう正義実現委員会のメンバーに指示を出す。トリニティに勝手に入ったことだけでなく、パフェを食べるという至福の時間を邪魔されたのでお怒りのようである。
トリニティ某所
「はぁ、はぁ…。こ、ここまで来れば流石に大丈夫よね…?」
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!!ギゴガゴゴ!!
「ハッハー!!動くな、ペルファボーレ!!お寝んねしてろっ!!」
「…え?」
ジュンコは何とかその場から逃げ出し、人気のないところでようやく立ち止まる。しかし、そこに赤いスポーツカーが現れて、トランスフォームした。彼女たちを捕まえるべく先んじて出撃したディーノである。
「あっ…あ…」
スッ…スッ…
「あら、ジュンコさん…」
「あ、アカリ!?ど、どうしたのそんなフラフラの状態で!?」
「まあ、端的に言いますと…無理でした★」
バタンッ…
ジュンコがディーノにビビッていると、横から誰かに拘束されてフラフラの状態のアカリが現れる。アカリは最後に無理だったとジュンコに報告すると力尽きて倒れてしまった。
「アカリっ!?」
スッ…
「くひひっ…きひひひひ…」
「…えっ?な、何っ!?鬼…!?」
アカリをボロボロにしたのは、壁をブチ破って出撃していったツルギである。ジュンコは彼女のその顔を見て、鬼と勘違いするほど怖がっていた。
「きゃははははははぁぁっっ!!!」
「いやあああぁぁぁぁっ!?ごめんなさいぃぃぃぃぃぃーーーっ!?」
「程々にしとけよ」
そしてツルギはトリニティに侵入したテロリストを成敗すべく、ジュンコに襲い掛かる。剣の気迫に充てられて、ジュンコは泣いていた。ディーノはジュンコのその様があまりに哀れと感じたのか、程々にしろとツルギに注意するのであった。
トリニティ・某ビル
ドサッ
「あら、ジュンコさんにアカリさん」
「あ、ハルナ。あんたも捕まったの?」
「ふふっ、10mくらい頑張ったのですけれど」
「みじか…」
結局その後ジュンコたちはツルギにやられて一か所に集められている。その場には先にハルナがおり、彼女は速攻で正実に捕まったようである。
「では、無事脱出に成功したのはイズミさんだけということでしょうか。良かったですね、私たちの犠牲は無駄ではなかったようです」
「いや犠牲っていうか、最初はほぼ逆の構造だったけど…。あとミックスマスターもいるし…」
「ミックスマスターさんはああ見えてビルをよじ登れますからね。それに我々よりも賢いお方のようで…」
「まぁ、本命は温泉開発部だから、仲間って言うと微妙なのはそうだね…」
ハルナはこの場にイズミがいないことに気付き、彼女が無事脱出したことを安堵する。自分たちは置いていったにも関わらず、1人だけ逃げおおせたのは皮肉なものである。
「正義実現委員会…なるほど、流石はトリニティきっての武力集団ですわね。凄まじい戦闘能力です」
「ビックリしたよ!あのアカリが一瞬で潰れた缶ジュースみたいに…マジでびっくりした…」
「あら?トリニティのトランスフォーマーはアカリさんに乱暴を?オートボットはキヴォトスの人間に乱暴をしないと聞いていたのですが…?」
「違うよ!!トリニティの正実の顔が怖い鬼みたいな人にやられたの!!隣にいた赤いトランスフォーマーがいなかったら私もあんな風に…」
「・・・」
ハルナは自分たちをあっさり捕まえた正義実現委員会を賞賛する。ジュンコはハルナにアカリがぶっ潰された話をすると、彼女はその所業をディーノがやったのだと勘違いするが、ジュンコはツルギがやったと否定する。それを聞いたハルナは自分じゃなくて良かったと冷や汗をかきながら安堵した。
「もう、だからトリニティの本拠地まで来るなんて…いくらマグロだからって、どうしてこんなところにまで…!」
「それはですねジュンコさん。つまるところ、こういうことですわ。誰もいない流し台で水が流しっぱなしになっていたら…」
「それ前にも聞いたから!!」
ジュンコはマグロ如きでトリニティの中心部まで行くハルナの行動力に呆れている。それを聞いてハルナは相変わらず自分のポリシーを語り出すが、前にも聞いたとジュンコに止められた。
「…私たち、これからどうなるのかな?」
「まあ順当に考えて、風紀委員会に引き渡しじゃないでしょうか?」
「びっっっっくりしたぁ!?無言で起き上がらないでよ!?無事で良かったわねアカリ!?」
「ふふ、まあそうそう簡単にはやられませんよ★」
ジュンコが自分たちの今後を憂いていると、アカリが無言で立ち上がる。それにジュンコはビックリして飛び上がり、彼女の無事を喜んだ。
「っていうか、そっか、風紀委員会か…やだなぁ、もう考えるだけで…」
「参りましたわね…ヒナさんの手に私たちの命運が託されるのは、できれば避けたかったのですが…」
「まあちょっと今回は無茶をし過ぎましたね★仕方ないかもしれません」
その後すぐさまジュンコは風紀委員会のことを思い出して憂鬱な気分になる。ハルナのほうもどうやらヒナの事は恐れているようであった。
トリニティ自治区の境界付近
「こ、ここはどこ…?私はイズミ…うわーん!もう、どこに行けばいいのぉ!?」
ピューーーーン
そして、難を逃れたはずのイズミは、土地勘のないトリニティ自治区を抜けるため命からがら走り回っていた。なおミックスマスターはとうにゲヘナに帰還している。
トリニティ中央・繁華街
「ありがとう、助かったわ」
「久しぶりだな、アーシー。ゲヘナでの活動はだいぶ苦労してるようだな…」
「ったくアイツらいつもフウカを拉致しやがって…」
無事フウカを回収したアーシーは補習授業部と一緒にいたオートボットに保護された。彼女たちを捕縛しようとする正実をホットロッドたちが止めて、何とか事なきを得たのである。
「フウカ怪我はない?」
「大丈夫。いつもありがとう、アーシー。今回も助かったわ」
「げ、ゲヘナってのはいつもああなのか?」
「えぇ…まぁ、そんな感じ…」
「えぇ…」 「『マジか…』」
アーシーはフウカの怪我を心配して彼女に優しく声をかける。ホットロッドは彼女たちの有様を見て、いつもこんな感じかと聞くと肯定したので、ビーと一緒に引いていた。
「お疲れ様でした。先生、そして補習授業部とオートボットのみなさん。お蔭様で、事態を無事に収拾することができました」
「あ、あはは…ほとんどアーシーさんのお蔭でしたが…」
「や、役に立てたのかどうかは、分かりませんが…!」
「正義実現委員会とオートボットの戦術を目の前で見ることができて、良い勉強になった」
一区切りついたところで、ハスミは助けてくれた補習授業部たちにお礼を言う。アズサはオートボットの戦闘を間近で見れて満足気である。
「ところで、あの方々はこの後どうなるのですか?」
「本来なら私たちの方でこの後の処遇を決めるのですが…今回は時期が時期ですので、ゲヘナの風紀委員会に託そうかと」
“なるほど”
ハナコは何処かに連れて行かれた美食研究会の今後が気になり、彼女たちの処遇をハスミに尋ねる。ハスミはエデン条約前という情勢から、彼女たちをゲヘナの風紀委員会に引き渡すという判断をしたようである。
「はい。そこで、先生にもう一つお願いがあるのですが…」
“うん、何をしたら良い?”
「エデン条約のことを考えると、ここから先も私たちが能動的に動くのは少々避けたいところです。ですので、風紀委員会への引き渡し…この部分を先生にお願いできませんでしょうか?“シャーレ”が生徒を引き渡す…この形でしたら、私たちにとってもゲヘナ側にとっても、政治的な憂慮がだいぶ減るのです」
“分かった、任せて”
そして、その関連からハスミはもう一つ先生にお願いをする。その内容は引き渡しをトリニティの正義実現委員会ではなく“シャーレ”の先生が行うことで、事を荒立てずに終えたいのである。先生はハスミの話を快く承諾した。
「はい。何から何までありがとうございます、先生。それでは、私たちは一旦引いた位置にいますので…よろしくお願いいたします」
トリニティ自治区・外郭の大橋
“ここでいいかな…”
「ゲヘナってことはやっぱりディセプティコンが来るんだろ?俺たちも近くにいるぜ」
「『任せろ』」
“ありがとう”
先生はハスミの頼みで指定された場所へと赴いていた。ディセプティコンが拠点としているゲヘナ学園との交渉とあって、ホットロッドとビーも先生の傍らに侍っていた。
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン…キキィィィ!!
「…お待たせしました、死体はどこですか?」
“…え?”
「は?」 「『何言ってんだコイツ?』」
前方から走ってきた緊急車両が彼らの目の前に停車すると、中からゲヘナ生と思わしき少女が飛び出してきた。そして彼女は開口一番に“死体”という言葉を口にしたため、一同を唖然とさせた。
「…失礼、死体ではなく負傷者でしたね。たまに混同してしまって」
ギゴガゴゴ!!
「チッ…今回も死体はねぇのか。この星は死体が極端に少なくていけねぇや」
「えぇ、私もそう思いますフラットライン。とても残念です」
死体と負傷者を混同したとぶっちゃけているのは、ゲヘナの救急医学部の氷室セナである。そして彼女の乗ってきた救急車両はディセプティコンの医者であるフラットラインである。
ペラッ…
「えー…納品リストには、新鮮な負傷者3名と人質1名とその備品のバイクが一台…と書かれていましたが」
“新鮮な…?”
「あぁっ!?私はれっきとしたトランスフォーマーなんだけど!?」
「どうどう」 「『落ち着け』」
セナは納品リストをめくって先生が連れているゲヘナ生の人数を確認する。納品リストで自分のことをフウカの備品扱いされていることに気付いたアーシーはセナに喰ってかかろうとして、ホットロッドとビーに宥められていた。
「…ところであなたは?正義実現委員会ではなさそうですが…?」
“えっと…”
「確かに。聞いていた正義実現委員会とやらの特徴とは違うな。その姿から推測して…外の世界から来たという先生か?」
セナは正実がその場にいないことが気になり、目の前にいる先生のことを不思議そうに見つめる。そして隣のフラットラインは一応は医者なだけあって、先生の容姿を見て彼が噂に聞く大人なのではと推測する。
バラバラバラバラ!! キィィィィィン!!
「『!!!!』」
ガチャッ!!
「お、おいどうしたんだよ?いきなりヘリとジェット機にキャノンの銃口なんか向けて…」
“ビー!!ダメだよ!!”
先生とセナたちがごちゃごちゃやっていると、どこからともなく赤いジェット機と青いヘリコプターが現れる。ビーはその2機の姿を見て鬼の形相でキャノン砲を向ける。あまりの変わりようを見た先生とホットロッドは必死で彼のことを止めるのであった。
ヒューーーーン…ギゴガゴゴ!!
「そう…その方が“シャーレ”の先生よ」
“ひ、ヒナ…!!”
「久しぶりね、先生。いつぶりかしら。…ところで、あなたの相棒のバンブルビーが後ろの2人を睨みつけているようだけど、どうかしたの?」
“そ、それが私にもよくわからなくって…”
2機の乗り物もディセプティコンだったようでトランスフォームしてロボットモードへ変形する。そして、変形の途中にジェット機から飛び降りてきたのはヒナであった。彼女は先生の後ろであの2人を睨んでいるビーを見て、少し困惑しているようである。
「久しぶりだな…B-127」 「いや、今はバンブルビーと呼ばれているのかな?」
「『死ね!!』『くたばれ』『ぶっ殺してやる!!』」
“ビーがこんなに怒ってるのを見るのは初めてだ…”
「昔何があったかは知らないが、一旦落ち着け!!先生を困らせたいのかっ!!」
どうやらヒナの後ろにいる2人のトランスフォーマーはビーと面識があるようで、この中では誰も知らない彼の名前を呼んでいる。先生はビーの今までになく荒ぶる姿を見て、大きく動揺していた。
「シャッターにドロップキック…あなたたちバンブルビーに何かしたのかしら?」
「さて…我々は長く戦っていまして…昔のことはよく覚えていません」
「あの時は小さいビートルだったが、随分と成長したじゃないか…えぇ?」
「はぁ…もういいわ。とりあえずあなた達2人は後ろで控えていなさい」
怒り狂うビーを見てヒナは彼らに昔何かあったのではないかと思い、2人に尋ねる。ヒナの問いに対し、シャッターは上手く誤魔化し、ドロップキックは昔一悶着あったかのような発言をする。それを聞いたヒナは詮索しても無駄だと思い2人をビーから離れさせるのであった。
「それにしても驚きました。まさかヒナ委員長があの“シャーレ”の先生とお知り合いだったとは…」
「うん…まあ、そうね」
セナはヒナが先生と知り合いだと知って意外そうに、驚くのであった。
「なるほど。このタイミングでお互い政治的な問題にしないために、先生が…」
“実はそうなんだ。ビーがあんなに怒ったのはこっちにとっても想定外だったけど…”
「問題にしたくないのはこちらも同じ。だからあの2人もさっさと下がらせた。本当は私もただの付き添いで、便宜上は“救急医学部”が来たことになってる」
ビーとシャッターとドロップキックをそれぞれ後ろに下がらせた後、先生はヒナに自分がここにいる事情を説明する。それを聞いてヒナも自分は付き添いで本来は“救急医学部”が美食研究会を引き取りに来たと明かした。
「…救急医学部の部長、氷室セナです。以後よろしくお願いいたします、先生。こちらは我が盟友フラットラインです」
「やっぱりお前が噂に聞くシャーレの先生なんだな」
「死た…いえ、負傷者がいたらいつでもお呼びください。配送料は頂きませんので」
「オートボットでもディセプティコンでも構わんぞ、俺は」
“よ、よろしくね…”
ヒナの説明の後に、初めて先生と会うセナとフラットラインが自己紹介をする。2人の独特な雰囲気に、先生はちょっと引いている。
「“救急医学部”はゲヘナの中でも、特に政治的な部分に関りが薄い立場にいる。だから今回、こうしてお願いしたの」
「政治ごっこは風紀委員長にお任せします。私は死体以外に興味ありませんので」
「“負傷者”でしょう?それに、フラットラインはともかく貴女は本物の死体を見たことないでしょうに」
「はい、負傷者でした。そのことについては、風紀委員長も無いでしょう?」
ヒナがこの場に救急医学部を呼び出したのは、彼女たちが政治から離れた位置にいるからである。そして相変わらず死体に拘るセナに対し、ヒナは死体を見たこと無いだろうと言って彼女の発言に釘を刺した。
「とにかく…美食研究会はこの中?じゃあ、こっちに移してもらえる?」
ガチャ…
「…ふふっ。ヒナさん、お久しぶりですわね」
「ハルナ、相変わらず…いや、詳しい話は帰ってからで」
ヒナはセナとの話を打ち切ると、早速美食研究会を移送するために彼女たちを連行する。最初に正実の車から出て来たのはハルナである。彼女は連行されているにも関わらず、余裕そうな表情でヒナに向き合っていた。
「あら、やはり“救急医学部”の方でしたか★ちょっと私の腕の角度が有り得ない方向に曲がっているのですが、診ていただけます?」
「あれ…大丈夫なのか?俺たちなら一回外してリペアーする損傷だぞ…」
“大丈夫みたいよ…。キヴォトスの人たちって不思議だよね…”
次に出てきたのはアカリである。アカリは腕が有り得ない方向に曲がっているにも関わらず平然としており、ホットロッドと先生をドン引きさせた。
「うぇっ、酔った…吐きそう…」
「これに懲りたらトリニティ自治区に無断で立ち入らないことね…」
「私だって好きで入ったんじゃないもん!!」
次はジュンコである。彼女はここまでの正実の乱暴な運転で吐きそうになっていた。
「さぁ、フウカ。アタシたちもヒナたちについて行こう」
「た、助かった…」
「あら、給食部の…今日一日見てないと思ったら、こんなところに。今、学園でジュリが…いや、やっぱり説明は帰りながらで」
「「えっ…」」
そして最後にヒナの元に来たのはアーシーとフウカである。彼女たちも安全のためにヒナと一緒にゲヘナに帰るようである。そしてその2人はヒナから、ジュリに関する不穏は話を聞いて、顔を青ざめるのであった。
「なんだか、美食研究会がもう1人足りてない気がするけど…まあ面倒だから良いわ。ミックスマスターもどうせ1人で勝手に逃げたんでしょうし」
「色々と配慮していただいてありがとうございます、先生。今度ゲヘナにいらした際には、何か美味しいものでおもてなし致しますね」
「ではまた今度~★」
「うるさい、早く入って」
ヒナはイズミがいないことが少し引っかかったが、結局めんどくさくなって考えるのを止める。ハルナとアカリが先生にお礼とお別れの言葉を言っているのを見て少しイラっとしたのか、ヒナは2人をフラットラインの中に押し込んだ。
「…積載完了しました。出発の準備もできてます」
「…少し待ってて」
「えぇ~俺帰りたいんだけど~」
「・・・」
美食研究会たちをフラットラインにぶち込んで出発間近となったにも関わらず、ヒナはセナに待つよう指示する。フラットラインはそれに文句を言うが、ヒナはどこ吹く風である。
「先生…トリニティで、何をしてるの?」
“補習授業部っていうところの担任を…”
「それはもう知ってる。色々と情報は入ってきてるから…」
「・・・」
(やはり…ゲヘナの彼女からしてみれば、先生がトリニティにいるのは気に入らない…のか?)
ヒナは先生に近づくと、トリニティで何をしているのかと彼に聞く。先生はヒナの問いに答えるが、お望みの回答ではなかったようである。ヒナに詰められる先生を見て、ホットロッドは少し彼に同情した。
「そうじゃなくて、シャーレは中立的な組織だったはず。この時期にトリニティにいるとまるで…」
“・・・。”
「…やっぱり今のは無し、気にしないで。先生がそんなことするわけが無い」
「・・・」
(何か…気を遣わせてるような気がする…)
ヒナはシャーレは中立の立場にあるにも関わらず、エデン条約締結前のタイミングでトリニティにいるということは、トリニティに肩入れしていると言いたいようである。しかし、彼女は先生のことを信頼してるため、その話をするのを止めた。
“ヒナ、こっちからも一つ聞きたいんだけど”
「うん?聞きたいこと…?」
“ヒナはエデン条約についてどう思う?”
すると今度は先生がヒナに質問する。先生はヒナにエデン条約についての見解を聞くため、現在の自分の状況と今後の展望を彼女に詳しく話し始めた。
「なるほど…先生、結構複雑な状況にいるのね」
“うん…”
「“トリニティの裏切り者”…ね。数多くの言葉が飛び交い、誰の言葉が真実なのか、誰が嘘をついているのか分からない状況…」
“色んな見方がありそうだなって思って”
「慎重なのか楽天的なのか、ほんと分からないわね…」
先生からトリニティの事情を聞いて、ヒナは難しい顔をする。しかし一方の先生は、こんな状況にも関わらず余裕がありそうであった。
「…ところで、こんな大事なことを私に話して良いの?」
“うん、ヒナのこと信じてるから”
「・・・」
(コイツ…気もなく女の子にそんなことを…!!)
トリニティの内部事情を自分に全て話してしまう先生に、ヒナは良いのかと確認する。すると、先生は満面の笑みでヒナを信じていると返し、ホットロッドから心の中でコイツと言われるのであった。
「・・・。…そういうのが、先生の悪いところ」
“・・・?”
「…独り言よ」
「・・・」
(何でわっかんないかなぁ~!!!!!!)
先生に信頼していると言われてヒナは顔を赤くして照れ始める。一方の先生は彼女が自分の言葉で照れていることなど、全く気付かないクソボケ振りを発揮し、ホットロッドがもどかしさを抱えるのであった。
「エデン条約が軍事同盟、ね…まあ、興味深い見方ではあるかもしれない」
“・・・” 「・・・」
「ただ、少なくとも私はそうは思わない。あれはれっきとした平和条約、私はそう考えてる」
“なるほど…?”
そしてヒナはエデン条約の事に話を戻す。ミカはエデン条約を新たな軍事同盟だと捉えていたが、ヒナのほうはれっきとした平和条約であると認識しているようである。
「条約によって生み出されるエデン条約機構…あれを武力集団と捉えたところで、あれはナギサが単身で統制できるようなものじゃない。万魔殿のリーダーであるマコトも、ナギサと同様の権限を持つことになる。それだけじゃなく、他のティーパーティーや万魔殿のメンバーに対してもある程度の権限が分割される。だからETOが誰かひとりの意志で本来の目的を失って、暴走するようなことは考えにくい」
「まぁ、普通に考えればそうだよな…」
「もちろん、その全員が協力するなんて事態になれば、理論的には有り得ることかもしれないけど…。例えばディセプティコンとオートボットが同じように同盟を結んだとして二つの勢力がいきなり歩調を合わせられるかしらね?」
「うーん、それは無理だ。絶対無理」
当然同盟となれば、権力はナギサだけでなくゲヘナの万魔殿や他のティーパーティーに分散される。そのためナギサ一人の思惑でどうこうできる組織ではないとヒナは考えているようである。そして、ヒナが例えで出した話を聞いてホットロッドは納得していた。
「うちのマコトも同じよ。彼女、誰かと協力するだなんてことができない質だから…」
“…じゃあマコトは、どうしてエデン条約に賛同してるの?”
「それにメガトロンだって、こんなことを許すとも思えない」
「マコトに関しては多分何も考えて無いわ。そもそも、ゲヘナ側でエデン条約を推進したのは、私だったから。メガトロンのほうも良く分からないわね。“貴様らのことなど貴様らで勝手に決めろ”って言ってこの件には関わっていないわ」
さらにヒナはマコトの性格を鑑みて、ETOがナギサ1人でどうにかなるものではないと確信しているようだ。そう言われると2人は新たな疑問が湧いてくる。マコトとメガトロンが何故エデン条約に賛同もしくは許容をしているかである。それを聞いたヒナはそれぞれ2人のスタンスを説明するのであった。
“ヒナが…?どうして?”
「…色々面倒だし、引退するのもアリかなって」
「その年で引退なんて…」
「ETOができたら、今より遙かにゲヘナの秩序はマシになるはず。そうなったらもう、私が風紀委員長じゃなくても良いでしょう」
“なるほど…”
先生の説明を聞いてさらに先生は何故ヒナがエデン条約を推し進めているのかについて疑問が浮かぶ。そしてヒナはその理由を引退したいからと語った。それを聞いてホットロッドはまだ若いのにとズレた感想を抱くのであった。
「風紀委員長、まだですか?」
「そろそろ帰らしてくれや~」
「…ええ、今行く」
「俺たちはB-127に罵倒されに来ただけか?」 「そういうことだな…」
ヒナと先生がけっこう話し込んでいるため、セナとフラットラインは待ちくたびれたようで、彼女に早く切り上げるようそれとなく抗議する。そしてその後ろにいるシャッターとドロップキックは特にやることもなく突っ立ている現状に虚しさを感じていた。
「補習授業部のことは、先生が守るのよね?」
“うん”
「…そう。じゃあ、またね」
“じゃあね、ヒナ。またね”
最後にヒナは補習授業部について確認をする。ヒナの確認に先生は真っすぐな眼で肯定し、2人はお別れとなった。
「先生、君はもう少しレディへの言動を気を付けたほうが良いと思うぞ」
“えっ!?何かヒナに対して失礼なこと言っちゃってた!?”
「いや…そういうわけではないんだけどさ…」
“…?”
ヒナが行ったのを確認するとホットロッドは先生の言動を注意する。しかし、先生は心当たりがないようで、ホットロッドは困った顔をするのであった。
「それで?あなた達あのオートボットと一体何があったのかしら…?」
「・・・」
「昔、あのオートボットとキヴォトスで戦ったことがあるだけです。我々の長い戦いの中のほんの一つの戦いに過ぎません」
「…そう」
ヒナたちは美食研究会を連れてゲヘナ学園へと帰っていった。
フラットライン:ディセプティコンの医者。実写映画には出てないトランスフォーマーなので正直エアプです。
シャッター:赤い方。仕事には忠実なほうでヒナの言う事もよく聞くが、ナチュラルにキヴォトス人を見下している。ナメたことやってヒナに完膚なきまでに叩きのめされたのが未だにトラウマ。なのでヒナにシバかれないように、ドロップキックの行動をよく制止している。
ドロップキック:青い方。残忍なヤツでやり過ぎるのをよくシャッターに咎められる。シャッター共々ヒナにボコられたのに、コイツはディセプティコンらしく大して懲りていない。
ゲヘナ学園の強さ比較
メガトロン>ヒナ≧スタスク>サウンドウェーブ・ショックウェーブ>イオリ(※正面から戦った場合に限る)≧ディセプティコンの戦闘員>ゲヘナネームド戦闘員
くらいの想定