TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
ヤバいですね、アレ。感動しました。
トリニティ・監獄
「もう会えないんじゃないかなって、そう思ってた」
「…まさか。私とミカさんの仲ですよ?」
「ふふっ、それもそうだね。幼馴染なんだし?」
「・・・」
トリニティ転覆の陰謀が暴かれ、監獄へと投獄されたミカは、ナギサにはもう二度と会えないと思っていたようである。しかし、ナギサはミカが自分を殺そうとしたにも関わらず、幼馴染だからという理由でこの場に赴いたのである。そんな幼馴染2人の様子をホットロッドはじっと見つめていた。
「で、どうしてここに来たの?尋問ならもう、飽きるほどされた後だけど?」
「お、おいミカお前…」
「いいのです、ホットロッド…。ミカさんはこういう人ですから…」
ナギサに会えるとは思わなかったと言っていた割に、ミカの彼女に対する態度は冷たいものであった。その態度にホットロッドは憤るが、ナギサはミカのことを理解しているのか彼をなだめるのであった。
「ナギちゃんが直接来たってことは、それ以外に何か用事でもある感じ?」
「“アリウススクワッド”は…」
「アリウスの生徒会長が秘密裏に組織した、特殊部隊。聞きたいのはそれだけ?それについては私、尋問の時にも言ったよ?アリウスとの接触のきっかけから、アリウススクワッドのメンバー構成まで。知ってることは全部話したはずだけど?」
「…はい。それは私も確認しました」
ナギサはミカにアリウススクワッドの事を聞こうとするが、当然ミカはそんな事はとっくに尋問済みである。ナギサもそれを確認はしているため、ミカが疑問に思うのも当然の反応ではある。
「それで?じゃあまだ何か、隠し事があるんじゃないかって?奈良試しに爪でも剥いでみる?シスターフッドだっけ、どこかの誰かさんたちのやり方でさ」
「…シスターフッドではなく、かつての“聖徒会”のやり方でしょう。それに、もうそのような野蛮な方法は許しません」
「あははっ、言ってみただけだよ。知ってるもん、優しい優しいナギちゃんはそういうの苦手だもんね?」
ナギサが今さらアリウススクワッドの事を聞くので、ミカはまだ自分が隠し事をしていると疑っているのではと思ったようである。なので彼女はシスターフッドの前身であるかつての“ユスティナ聖徒会”の苛烈な拷問の話を持ち出し、ナギサを煽るが、ナギサはそれに呆れるだけであった。
「私がこんなことを言うのもなんだけどさ、もうアリウスのことなんてどうでも良くない?」
「どうしてそう思うんだ?」
「私っていう後ろ盾も無くなったことだし、もうアリウスの兵器も補給も全部途絶えつつあるはず。“スクワッド”は残ってるけど、それにアリウス分校の残りの兵力を足し合わせたところで、正義実現委員会が動けば何とかなるんじゃない?」
「はい、それについては検討済みです。少なくともエデン条約の段階で、今のアリウス分校は大した危険要素にはなりません」
「うん、だよね。私もそう思う」
そしてミカは、今のアリウスに現状をどうにかできるほどの戦力は残っていないと考え、アリウスのことなどどうでもいいと思っているようである。それはナギサも同じようで、近々正義実現委員会を動員してアリウスを掃討するつもりのようである。
「俺はそうは思わない」
「ホットロッド…」 「へぇ~何で?」
「憎しみで動いている連中ほど手強く厄介なものだ。奴らはきっとまたトリニティを…お前たちを倒しに向かって来る。そんな胸騒ぎがするんだ」
しかし、ホットロッドだけは未だアリウスは諦めていないと認識しているようである。憎しみで動く彼らは死ぬまであきらめずに向かってくるだろうというのが彼の認識である。
「ふぅ~ん…。それは今まで何万年もディセプティコンと憎しみで戦い合ってきたあなただから言えることなのかな?正直こっちはいい迷惑なんだけど」
「ミカさん。私をおちょくって楽しむのは私とミカさんの関係なのでいいですが、ホットロッドにそういうことをするのは止めなさい」
「はぁ…はーい」
「いいんだ、ナギサ…。ミカの言っていることは紛れもない事実だよ。生まれ故郷が荒廃して、他の星の資源を奪い合う俺たちは宇宙の厄介者さ…」
ホットロッドの意見を聞いてミカは、ホットロッドを含むトランスフォーマーたちを迷惑だと言う。ナギサはホットロッドのことを庇うが、彼は自分たちのやっていることは彼女たちにとっては迷惑であるということを認めるのであった。
「…そういえば尋問でも聞かれたけれど、最後までアリウス自治区のことは分からなかったなぁ。自治区への入り方をちゃんと知ってるのは…多分“スクワッド”のリーダー、サオリくらいだと思うよ?」
「流石に厳重というわけか…」
「それについて知りたいなら、アズサちゃんをちょっと脅して聞いてみたらどう?裏切り者とはいえ当事者なんだし、何か知ってるんじゃない?」
「そ、それはその…」
アリウスと協力していたミカでさえもアリウス自治区の場所は分からずじまいであった。そしてミカはアリウス自治区の場所を知りたそうにしているナギサのためにアズサを脅すことを提案するが、彼女の反応はどうにも歯切れの悪いものとなる。
「…?あ、あー、分かった。ナギちゃんがそんなに歯切れが悪いのって、もしかしてあれ?先生に意地悪したから、これ以上シャーレの下にいるアズサちゃんに色々問いただすのは気まずいとか?」
「それだけじゃない…ナギサはアズサに命を救われたんだよ」
「でもまあ確かにそんなことをしようとしたら、先生はアズサちゃんを守ろうとするんだろうね。別にナギちゃんを邪見に扱うってわけじゃないだろうけど」
ナギサがアズサに色々と聞くのが気まずいのは、アズサの事をどうこうしようとすると先生が彼女を守るからだろうと推測する。そしてホットロッドはそれだけでなく、アズサに命を救われたため、命の恩人に手荒な真似はできないと感じていると補足した。
「その顔…ナギちゃん、あれから先生に会ってないでしょ?」
「・・・」
「あそこまで酷いことをして、合わせる顔が無い…って感じ?あはっ、思春期の女の子だねえ、ナギちゃんも。…ま、それは私も同じなんだけど」
そしてミカはナギサの顔と態度から、あの騒動後先生に会っていないことを当ててみせた。そして、自分も同じく、あれだけの事をしておいて合わせる顔が無いと感じていることを打ち明けるのであった。
「先生…2人に会いたがってたぜ」
「知ってるよ。先生さ…何度も何度も私に会おうと、ここまで来るの。そのたびに断るのも、結構大変なんだよね。私はこうして閉じ込められてる立場なんだから、シャーレの権限でも何でも使って、強制的に出てこさせれば良いのにね?」
「先生がそういうことを嫌うのは知ってるだろう…?」
「そうだね。私が先生に色々な情報を流してたのは、ナギちゃんも知ってるよね?あれで先生が裏切ってれば、話は簡単だったのになぁ」
先生に会いたがらない2人に、ホットロッドは先生が彼女たちに会いたがっていると伝える。先生はどうやら監獄に何度も足を運んでいるようで、ミカは面会を断り続けているようである。そして先生が自分に靡いてくれれば話は簡単だったとミカは嘆いた。
「そうでなくても、私かナギちゃんの言う事を全部信じれば…そうしてくれば、もっと分かりやすい展開のはずだった。もっともっと動きやすかった」
「何が言いたい…?」
「そう、だからいっそナギちゃんにでも、私が言ったことを全部そのまま流したりしてれば…多分今頃は堂々と、ここまで来た先生に笑って会えてたんだろうな」
「・・・」
さらに、ミカは仮に先生がどちらかの言う事を全部信じていれば、事態はもっと分かりやすい展開になっていたと嘆く。しかし実際、先生はどちらの言う事も全て信じることも、それをバラすことも無かったため、ミカは気まずくて先生に会えないのである。そしてそれはナギサも同じようである。
「ねぇナギちゃん。考えようによってはさ、何だかんだで全部上手く行ったんじゃないの?“トリニティの裏切り者”はこうして捕まった。アリウスはもう脅威にならない。これでエデン条約さえ締結できれば、ナギちゃんの望んだ平和が現実になるじゃん」
「「・・・」」
「ハッピーエンド、良かった良かった」
そして最後にミカは、色々あったが事は上手く収まったと言い出す。後はエデン条約を締結すればナギサの望む未来が訪れハッピーエンドだと言いだした。
「何も良くありません…」
「あぁ、そうだ。一体これのどこが良いっていうんだよ」
「この状態で…ミカさんが、裏切り者で…。どうして、私のヘイローを破壊しようとしたんですか?」
「・・・」
しかし当然ナギサとホットロッドにとっては、何も良くない状況である。探していた“トリニティの裏切り者”は親友のミカで、彼女は自分のヘイローを破壊しようとしていたのだから。
「…どうしてですか?ゲヘナが憎いからですか?それが理由で、私のことを…?」
「セイアのことだってそうだ。なんで、そこまで…」
「・・・」
ナギサは何故自分を殺そうとしたのかをミカに尋ねる。同じくホットロッドもセイアを殺そうとした理由を彼女に尋ねるが、ミカは何も答えてはくれなかった。
「あの時、セイアさんが死んだと聞いた時…衝撃と恐怖…それと同時に、“きっと次は私だ”と思いました」
「ナギサ…」
「私たちの中で最も賢く、予知夢という武器まで持ち合わせたセイアさん…トリニティでも一等危険な彼女を最初に襲うのは、ある意味理解できます。ミカさんは政治的には基本アレですし…となればきっと、次は私だろうなと…」
「…もしかして私、今悪口言われてる?」
セイアがアズサに襲われ死んだと聞かされた時、ナギサは次に狙われるのは自分だと感じたようである。セイアはティーパーティーの3人の中で一番優秀であり、ミカは政治的にはアレだと思っているナギサは、次はミカではなく自分だと思ったようである。
「ですから、もし私に何かあったら…後は全て、ミカさんに頼もうと思っていました。だからその前に、ミカさんがひとりになってしまう前に…犯人を見つけ出そうと思っていたんです。ましてや、ミカさんまで怪我をさせたくありませんでしたし…」
「そうか、君があんなに余裕がなかったのはそういう事だったのか」
「一体誰が…ゲヘナ?連邦生徒会?それともあのミレニアムのビックシスターが?レッドウィンターの独裁者が?山海経のあの黒い君主が…?裏切り者は誰なのか、ずっとそれだけを考えて…まさか、いやもしかしたら、でも…!それで、私は…」
「ナギサ…」
ナギサが必死になって裏切り者を探していたのは、全てミカのためだったと彼女は打ち明ける。しかし、現実はその裏切り者こそがミカであり、ナギサのショックは計り知れないだろうと、ホットロッドは思うのであった。
「ナギちゃん…もう良いの。これはそんな複雑なお話じゃない。ゲヘナのことが大っ嫌いな私が、そのために幼馴染をも殺そうとした。それだけの話だよ」
「何かが、あったのではないですか?手違いが、誤解が…何か事実からは見えない、真実が…」
「…真実?あははっ! あーもう、だから私はナギちゃんのことが好きなんだなぁきっと。こういう、純粋なナギちゃんのことが」
「はぁ…ミカ」
どうしてもミカが裏切り者だということが信じられないナギサに、ミカがはっきりと自分のやろうとしたことを述べる。しかし、本人の口から聞いてもなお、やはりナギサは信じられないようである。そんなナギサのことをミカは笑い、ホットロッドは彼女のそんな様子に諦めを感じ始めていた。
「そんなものはないよ。私がセイアちゃんをやっつけようとした、その上ナギちゃんのことも。ただそれだけ。ナギちゃんはよく知ってるでしょ?私、好き嫌いが激しいの。ただそれだけだよ。どうしてもゲヘナとは仲良くできなかった、それだけのお話。あんな奴らと同じ空間にいるなんて耐えらんない。ナギちゃんはそうじゃないの?」
「…それで、アリウスと手を組んだのですか?」
「うん、私は人殺しだよ?気に喰わないことがあったらそれくらい、当然のことでしょ?」
「そんなわけないだろうが」
ミカはナギサ相手に相変わらずゲヘナへの憎悪を口にする。そしてナギサにそのためにアリウスと手を組んだのかと問われると、ミカは自分は人殺しだから当然だと答え、同じく人殺しに手を染めているであろうホットロッドを不機嫌にさせる。
「セイアちゃんがたとえ生きてたとして、私があの子を殺そうとしたって事実が消えることは無い。ナギちゃんは私のこういう側面を知らなかった、ただそれだけ」
「どうして…私は…」
「“私はあれだけ長い間一緒にいたのに、気づかなかったのか”?その答えは私よりも、ナギちゃんの方がよく分かってるでしょ?」
「それは…」
「“私たちは他人だから”。ね、分かるわけないじゃん?」
最後にミカはナギサを突き放すように、自分のことを彼女は知らなかったからと結論付ける。そして自分の苛烈な側面に気付かなかったことを悔やむナギサに対し、ミカは他人だから分かるはずが無いと言うのであった。
「…今日は、帰ります」
「俺も帰るよ」
「うん、気を付けてねナギちゃん…って大丈夫か、ホットロッドがいるし」
ガチャン!!
ナギサとホットロッドが帰った後
ガチャン!!
「・・・」
「…どうして、そんな嘘をつくんですか?」
「うーん、今日はお客さんが多いね。次はハナコちゃんか」
「…まあ私の方はどちらかと言いますと、役割上の都合ですが」
2人が帰った後、檻の中に入って来たのはハナコである。彼女は先ほどまでの会話を聞いていたようで、ミカがナギサに放った言葉が嘘であると見抜いたようである。
「そっか。まぁナギちゃんと一緒に来たわけじゃないなら、シスターフッドの差し金?もしかして傘下に入ったとか?」
「シスターフッドとは協力関係を結びました。サクラコさんは強引に傘下に組み込むようなことはしないお方のようで…」
「ふぅ~ん。どうせあの赤いのの入れ知恵だろうけど、案外サクラコちゃんに任せるだね」
「センチネル・プライムのことですか?彼は先代のプライムだそうで、今は引退していると仰っていましたので…」
「あっそ」
ナギサと一緒ではなくハナコが1人で来たのを見て、ミカは自分が捕まった時に彼女が言っていた約束のことを思い出し、シスターフッドの傘下に入ったのかと尋ねる。ハナコは傘下に入ったわけではないと否定すると、ミカはセンチネルの話を持ち出してみるが、彼女自身センチネルにはそれほど興味は無さそうである。
「それよりさ、“嘘”ってどういうこと?私がいつ、何の嘘をついたって?」
「シスターフッドからの情報を合わせて、ミカさんのこれまでの動きを推測していたんです。それによって目標や目的を探る…一種のポストモーテムのようなものでしょうか。要するに、聖園ミカさんはどうしてこのような事件を起こしたのか…?と」
「うわぁ、当事者の前でそれを語るの?良い趣味してるね?」
ミカはそんなことよりも、自分がナギサに嘘をついているというハナコの発言が琴線に触れたようである。ハナコはシスターフッドの情報とミカの行動を推察することによって、彼女の動機を暴こうというのである。それを当事者の自分に話すのかと、ミカは笑顔で威圧するのであった。
「ミカさんはゲヘナのことを憎んだ結果として、エデン条約を壊そうとしました。これは確かにそうでしょう」
「・・・」
「誰に煽り立てられたのか、あるいはその“誰か”がいるのか、そしてどういう経緯でその決心に至ったのかは分かりませんが…最終的に、ホストになるためにアリウスと手を組みました」
「まぁいいや。止めてっていっても止めないんだろうし」
「最初の計画は単純に、セイアちゃんを拉致して幽閉する程度だったのではないでしょうか。ホストになるためであれば、それで十分ですから」
そんなミカの嫌味も気にせず、ハナコは自分が推察したミカの動機を語っていく。そんな彼女の様子を見て、ミカは黙って彼女の言う事を聞くことにした。
「しかし、それを実行する“アリウススクワッド”の考えは違いました。彼女は初めからセイアちゃんのヘイローを破壊するつもりだった…その後の一連の流れは、これまた色々な見方がありますが…とにかくミカさんは、“セイアちゃんが死んだ”と報告を受けました。この時から、ミカさんの心は壊れ始めたのではないでしょうか」
「何を…」
「恐らく、パニックに陥ったことでしょう。セイアちゃんが死んでしまうなんていう、取り返しのつかないことになってしまった、自分は実質的に、“人殺し”になってしまった…こうなった以上、もう徹底的に最後までやり抜くしかない。何を犠牲にしてでも、最初に描いたところまで辿り着くしかない…そんな、自暴自棄ともいえる破壊的な衝動で…」
「ねぇねぇ、ちょっと待ってよ。勝手に人の心を推理しないでくれる?」
ハナコによると、ミカの思惑としてはセイアをちょっと脅して幽閉してやる程度だったという。しかしアリウスにはそんなつもりはさらさらなく、元からセイアを殺すつもりであり、当然その通りに作戦を進めていた。そして、セイアが殺されたという情報を聞き、ミカの精神はパニックに陥り、自暴自棄になってここまで来てしまったというのがハナコの推測であった。それを聞いていたミカはさすがにイラついたのか、ハナコを睨みつける。
「セイアちゃんを殺せって指示したのも私、幼馴染であるナギちゃんをどうにかしようとしたのも私だよ?頭の良いはずのハナコちゃんが自暴自棄とか衝動とか、一体何を言ってるの?」
「…いいえ。私は、あなたが言った言葉を覚えています」
“でもヘイローを破壊しろとは言ってないよ。私は人殺しじゃない。セイアちゃんがあんなことになっちゃったのが、ここまで事態が大きくなったきっかけなんだよ?そこからもう色んなことがどうしようもなくなっちゃったわけだし…ねぇ、その辺りどう思う?”
そしてミカはハナコの言っていることを否定するべく、自分がセイアとナギサを殺すように指示したと訴えた。しかし、ハナコはあの時の発言を思い返しそれは無いと考えている。その発言とは、自分が殺したわけじゃないという言い訳と、アズサがセイアを殺してしまった(と思っている)ため、こんな事態に陥ったという他責の発言である。
「他にも幾つか不自然な点があります。私はあの時“トリニティの本当の裏切り者”が存在するとは思っていましたが、あそこで本当に姿を表すとはそこまで思ってませんでした。なぜならそれは、ご自身の一番の利点を投げ捨てることになるからです。戦略的に考えれば、あのような行動に出るはずがありません」
「うん、それは私も反省してるよ。あーあ、私がもうちょっと賢かったら…」
「ミカさんは“アリウスがナギサさんを殺すのが怖かった”…そうではありませんか?セイアちゃんのときのように、アリウスがナギサさんのヘイローを破壊するかもしれない。そう思ったのでは?」
「・・・」
そしてさらに幾つかのおかしな点があり、ハナコはそれをミカに述べていく。彼女は最後に自分から先生たちの前に姿を表したのは不自然だと思っているようである。その事についてミカは自分のミスのように話すが、ハナコはナギサが殺されるのを回避したいという願望から、わざわざ姿を表したのではないかと考えたようだ。
「・・・」
「ミカさん、あなたは強いです。オートボット中でもかなりの強さを誇るバンブルビーを一時的に戦闘不能にしてみせたました。もちろんあなたには、それ以外の強さもありますが…あの時は、私は余裕のある振りをしていましたが、内心ではかなり危険な状況だと分かっていました。シスターフッドの支援があったとはいえ、あなたを制圧するのは簡単ではないはず。最悪の場合、シスターフッドのみなさんがリタイアしうるとまで想定していたくらいです」
「買い被りすぎじゃない?さすがの私もあの黄色いのに本気出されたら殺されちゃうと思うんだけど。赤いのも強そーだったし」
「確かにそうかもしれません。しかし、あなたはセイアちゃんが生きているという情報を聞いた瞬間に投降した」
「…もう良いよ」
そしてさらにハナコはミカの強さは並のものでは無いということを見抜き、自身の敗北さえも覚悟していたようである。しかし、ミカはセイアの生存を聞いた瞬間に、力が抜けたかのように投降したと指摘する。それを聞いたミカはもうハナコの推察を聞くのが嫌になり、彼女に語るのを止めさせる。
「で、何が言いたいの?だから私が可哀想だって?本当はそんなことをしたくなかったんじゃないかって?それとも間違った選択をしたおバカさんだねって?」
「・・・」
「あはははははっ!」
ミカは自分の内心を暴いて真実を知りたいハナコを馬鹿にするかのように、大声で笑ってみせる。
「あー、本当に面白い子だなぁ…」
「・・・」
「全然違うよ、私はただの裏切り者。友達も仲間も売り飛ばした、邪悪な腹黒な人殺し。その事実に目を背ける気は無いよ。こんな私、みんなに嫌われたって仕方がない」
そしたミカはひとしきり笑った後、ハナコのことを面白い子だと評する。そして、ハナコの推察を無慈悲に否定し、自分はただの人殺しであると改めて自認するのであった。
「…もし、仮に他の理由があったとしてさ。それをどうやって知るの?だってそれが本当だって言ってるのに。それを否定してまで、ハナコちゃんは何を探そうとしてるわけ?どうしてそこまで、証明しようのないことに固執するの?」
「私は、ただ…」
「ね、セイアちゃんは今どうしてるの?ハナコちゃん、仲良かったよね?まさかと思うけど、私を投降させるために付いた嘘とかじゃないよね?」
「・・・」
ミカは何故ハナコが自分がセイアやナギサを殺そうとした本当の理由とやらを聞きたいのか理解できないようである。さらに、未だに姿を表さないセイアが今どこにいるのか、それともその情報も私を騙すための嘘なのかとハナコに問うが、彼女は何も答えてくれなかった。
「…今日はこれで失礼しますね、ミカさん。今言った推測については、誰にも言いません。もちろんナギサさんにも」
「うん、好きにすれば?」
「そして、先生にも」
「・・・」
「それでは…」
ガチャン!!
そしてハナコはこれ以上は何も聞けないと判断して、監獄を去ろうとする。そして、去り際に先生の名前を出すと、ミカは明らかに赤面するのであった。
「私も大概だけど。ハナコちゃんも、結構残酷だねぇ」
その後・帰り道にて
「俺はあの言葉がミカの本心じゃないと思うよ」
「何故そんなことが分かるんですか?あなたはミカさんのことを私より知らないはずです。私にすらミカさんの本心は分からなかったというのに、貴方にミカさんの何が分かるというのですか…」
ミカとナギサの一連の会話を隣で聞いていたホットロッドはやはり、ミカが本心を打ち明けたとは思っていないようである。だがそんな彼の意見に対し、ナギサは先ほどのショックが尾を引いているのか、自分ですらわからなかったのにホットロッドになど分かるはずが無いと述べる。
「確かに、俺はナギサに比べればミカのことは良く知らないよ」
「では、何故…」
「俺にも親友がいるんだ…」
「そうなのですか?」
「俺はサイバトロン星を脱出して故郷を復興させる部隊だったけど、ソイツはサイバトロン星をディセプティコンの支配から守るために、俺たちが帰ってきた時の俺たちの居場所を守るために星に残った」
当然、ナギサに比べればホットロッドはミカのことを深くは知らない。しかし、彼にも親友と呼べる人物がいるようで、彼はその親友の事を話始める。
「アイツ…生きてるかなぁ。生きてればいいなぁ」
「話を戻しますが、何故ミカさんが本心を語っていないと解るのですか?」
「おっとそうだった。俺が思うに、ミカはナギサの事が大事だと思ってるからわざとキツく突き放すような態度を取ってるんだと思うよ」
「そう、なのでしょうか…?今の私にはとてもそうとは思えないのですが…」
ホットロッドは親友のことを懐かしみつつ、ナギサに言われて話をミカの事に戻す。ホットロッドはミカがナギサの事を大切に思っているからこそ、あんな態度を取っていると考えていた。しかし、ナギサはそれにピンときてないようであった。
「ナギサがこれ以上ミカと接触すれば、君の立場はますます悪くなる。ミカは多分その事を心配してわざと君を遠ざけているんだよ」
「・・・。そうですね、そう思う事にしましょう」
「何か差し入れでもしてやりなよ。そうすれば態度には出さなくても、内心は喜んでくれるさ」
「ではこれからロールケーキを作らなくてはいけませんね…」
ホットロッドはミカはナギサの立場を慮って突き放すことによって、彼女に被害が及ばないようにしていると推測したようである。本当のことはどうかわからないが、ナギサはとりあえず彼の意見に納得したようで、今度ロールケーキを差し入れようと決めたようである。
「ところで、ホットロッドの親友というのはどんな人なのでしょう?」
「ウルトラマグナスかぁー。アイツは正義感に熱くて、誰よりも平和を望むようなヤツだったよ。まだサイバトロン星があんな事になる前は2人でよく特訓をしてたなぁ」
「ふふふ…」
エデン条約締結式まであともう少し…。
仲の良かった親友同士が争うのは物語の鉄板...
トランスフォーマー博にも行きました。
ビーとオプの立像とか、ジオラマとかが凄かったです。