TRANSFORMERS Blue_Archive   作:H2O(hojo)

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正直ミカがセイアちゃんの話退屈って言うのもわか...
それはそれとしてティーパーティー全員好きだけど。


小さきものたち

先生の夢の中

 

「これが全ての、無意味な足掻きの終着点…」

 

「私はアズサに警告していた。何度も何度も、このような結末になるだろうということを。それでもアズサは、希望を抱いてしまった。淡い希望を」

 

先生が救護騎士団で治療を受けている中、彼は再び夢の中でセイアと出会う。そして彼女は先生と共にアズサたちの行動が何故か見えているようである。そしてセイアは何度もアズサに忠告していたようだが、彼女はそれでもサオリを殺そうとしてしまったのである。

 

「だから言っただろう?」

 

「これが物語の結末。何もかもが虚しく、全てが破局へと至るエンディング。ここから先を見たところで、無意味な苦痛が連なっていくだけだ」

 

「アズサだけではない。オートボットたちの結末も同じだ。ここからはただセンチネル・プライムたちに追い詰められていくだけ…。見たところで同じく無意味で苦痛だ」

 

「これはつまるところ各位が追い詰められ、結局誰かが誰かを殺める物語。誰かが、人殺しにならざるを得ない話。不快で、不愉快で、忌まわしく、眉を顰めたくなるお話だ。悲しくて、苦しくて、憂鬱になるような。それでいて、ただただ後味だけが苦い話…そうは思わないかい?」

 

「しかし紛れもなく、真実の物語でもある…これが、この物語の正体だ」

 

そしてセイアは最初に夢の中で先生に言ったことを、再び彼に問いかける。この物語の結末は悲惨で無意味で後味の悪いものであり、これは変えることのできないものであるとセイアに先生は告げた。

 

「君は以前、五つ目の古則に対してこう言っていたね“ただ楽園があると信じるしかない”、と」

 

「然して、信じた結果がこれだ」

 

「元より不可能なことだったのだよ。エデン条約、お互いに“憎み合うのはもうやめよう”という約束。そんなこと、できるはずが無いのに…」

 

「その上、条約の名前に“エデン”と来た。ここで楽園の名前だなんて、相変わらず連邦生徒会長の不愉快な冗談は皮肉にもほどがある。下手をすれば悪意すら感じてしまいそうなほどだ」

 

「対してトランスフォーマーたちはどうだ?オートボットとディセプティコンで和解どころか、エリートガードに分かれて三つ巴の争いを、この無関係のキヴォトスで始め出す始末だ」

 

さらにセイアは先生の五つ目の古則に対する解釈を、彼の目の前で起こった惨劇を例にとり批判する。さらには連邦生徒会長やトランスフォーマーたちにも飛び火する始末であった。

 

 

 

 

 

「このプロセスを経て、確認できたものはあるだろう」

 

「それは不信から降り積もった、ゲヘナとトリニティの互いへの恨み。そしてアリウスたちが持つ恨み。それらを通じてこの条約は、歪な形で完成されてしまった。何よりも皮肉なことに、どこにも存在しない、証明すらできない…その楽園の名前を携えて」

 

「さらにはその楽園を土足で踏み荒らし、殺し合いを始めるものたち…。そもそも彼らは自らのエデンを自らで荒廃させた前科がある。そして遂には生まれ故郷ごと厄災に呑み込まれる始末だ」

 

セイアはこの結末を見て、感じたことを先生に向けて話し出す。トリニティ、ゲヘナ、アリウスたちの互いに積もった恨みがある限り、ここキヴォトスは楽園を証明することなどできない。さらには、キヴォトスに来ても戦争を続けるトランスフォーマーたちがいる限り楽園を証明することなど程遠いと考えていた。

 

「まさに、楽園から追放された私たちにふさわしい結末かもしれないね」

 

“…分かったよ、セイア”

 

「?」

 

“…君も、その後はどうなったのか見ていないんだね?”

 

「…?」

 

ここまでセイアの話をずっと聞いていた先生は、ここでようやく彼女に話かける。先生は未来の見えるセイアにこの先を見たのかと問いかけた。そして、問いかけられたセイアの反応は、困惑に満ちたものであった。

 

「…見る必要が、あるのかい?」

 

「悲しいエンディングの後、そこに続くエピローグを見たところで悲哀が増すだけ。苦しみが連なるだけだ」

 

「…それで、何が“分かった”と言うんだい?」

 

セイアが困惑した理由は、これ以上見たところで苦痛が続くと思っているからである。それゆえに彼女はこの先を見る必要は無いと判断しているのである。そして、今度は先生に彼が“分かった”と言った理由を問い返した。

 

“…この後のお話を確認するのは、怖かったよね”

 

「何を…」

 

“だから夢の中に隠れて起きられず、ずっと彷徨ってたんだね”

 

「わ、私は…先生…君は一体、何を…?」

 

先生はセイアがここから先の未来を見ないのは、彼女がこの先を見るのを恐れているからだと答える。さらには彼女が未だ目覚めないのも、それが要因であると言ってセイアをさらに困惑させた。

 

“セイアと会えて良かった。少し待ってて。私はやらなきゃいけないことがあるから、戻らないと”

 

「戻る…?」

 

“そうだよ”

 

「待ちたまえ。私と違って、君の身体はまだ治ってすらいない。そして何より、君が起きたからと言って何も変わるわけではない。これは私の未来予知で判明している…いや、“七つの古則”から既に導かれていた、この世界の真実だ…!」

 

そして先生は傷が治っていないにも関わらず、セイアに夢から戻ると言い始める。それを聞いた彼女は、この残酷な結末を変えられるはずはないと、先生に訴えるのであった。

 

“実のところ、楽園の証明にはそこまで興味は無くって”

 

「…七つの古則を、否定するつもりかい?楽園の存否は、全ての人たちにとっての宿題だろう?それの存在を証明できなければ、何も…」

 

“・・・”

 

「…先生。君は未だに、楽園を信じているのかい?証明すらできないまま、ただ盲目的に信じていると?」

 

しかし先生は“七つの古則”を重要視するセイアとは対照的に、楽園の証明には興味を示していないようである。それを聞いたセイアはただ楽園を信じている先生の姿勢に、驚愕するのであった。

 

「“楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか”…つまりこれは楽園証明の話ではなく、ただそれを信じられるかという話だとでも…?」

 

“…ごめんね、今は生徒たちを助けにいかなきゃ。それにオートボットのみんなのことも…”

 

「せ、先生…」

 

“また後でね、セイア”

 

楽園の証明についての話をするセイアを横目に、先生は生徒たちやオートボットを助けるために立ち上がる。セイアは先生のその姿勢を見て、驚愕していた。

 

「待ちたまえ先生。もう一つ、聞いておきたいことがある」

 

“何かな?”

 

「ただ信じたところで、何も変わりはしない。信じたところで、そこには何の意味も無いだろう…!?」

 

“水着じゃなくて下着だと思えば、それは下着だから”

 

「…は? …え、下着?い、一体何を…水着、下着…?それはどこの古則の、いやそんなのは聞いたことが…」

 

先生が現実へと戻る前に、セイアはもう一つ先生に質問を投げかける。そして先生はその質問に対し、ハナコが以前口にしていた言葉を引用して答える。それを聞いたセイアは言っている意味がわからず、ただただ混乱していた。

 

“待ってて、セイア”

 

こうして先生は、夢の世界から旅立っていった。

 

 

 

 

「…行ったか」

 

「君は、この先のエピローグへと向かうんだね」

 

「私は…私は…」

 

先生を見送ったセイアは、先ほどの先生の言葉を思い出す。

 

「…確かに、そうだったのかもしれないな」

 

「この先の話…たとえ怖くても、私は最後まで確認しなければいけない」

 

「これは私の義務、か…」

 

「仕方あるまい」

 

そして彼女はこの物語を最後まで見ることを決断する。

 

「憂鬱で、悲しくて、苦しくて…たとえ、最後まで後味の苦い話であったとしても…私もこの目で、最後まで見届けるとしよう」

 

たとえその結末がどのようなものだったとしても…

 

 

 

 

 

トリニティ・某所

 

ザァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…

 

“アズサ…”

 

“その判断にどれだけ苦しんだのだろうね…君が本当に、命のように大事にしていたプレゼント。それを、殺人の道具として使うとは…”

 

“元々は、私のヘイローを破壊するために用意された爆弾…あの時使わなかったそれを、このタイミングで…”

 

セイアはまず初めに見始めたのはアズサのことである。彼女はサオリたちへの襲撃を終え、1人ゴミ捨て場でうずくまっていた。

 

 

 

 

 

トリニティ総合学園へと続く回廊

 

「っ!姫、姫っ!!」

 

“しかしサオリは無事だ。大怪我であるものの、ヘイローは壊れていない”

 

“だが、彼女をかばったアツコは…?”

 

「姫!!ダメだ、アツコっ!しっかりしろ!!」

 

アズサが身を割くような思いで犠牲にした大切なぬいぐるみでの攻撃は、どうやらサオリを殺すには至らなかったようである。しかし一方で巻き込まれたアツコのほうは、重症のようである。

 

“アツコ、あの姫という子は…サオリにとって、大事な人なのだろうね”

 

「…っ」

 

「姫、無事か!?」

 

(こくり)

 

「ああ、良かった。姫…」

 

しかし重症を負ったアツコであったが、何者かの力が働いたのか、はたまた単に幸運だったのか息を吹き返す。それを見たサオリは珍しく安堵の表情を浮かべた。

 

「…許せない。アズサ…よくも姫にこんな怪我を…」

 

ギシッ…!!

 

「絶対に許さないぞ、アズサ!!」

 

アツコを傷つけた原因であるアズサを許さないと、サオリは回廊の中で吠えるのであった。

 

 

 

 

 

トリニティ・シスターフッド

 

「正義実現委員会のツルギ委員長が重症!ハスミ副委員長の方は重体とのこと!」

 

「サクラコ様は無事ですが…心神喪失状態にあります!現在は古書館の寝室におります!」

 

「あ、ああ…サクラコ様…」

 

オートボットが到着した後にトリニティ総合学園に引き上げた正義実現委員会のメンバーだったが、ミサイルの威力もありツルギとハスミは共に重症であった。さらにサクラコはセンチネルに裏切られたショックから未だ立ち上がることができず、マリーは彼女のことを心配するのであった。

 

「ナギサさんは?」

 

「彼女についてはまだ捜索中ですが、コグマンと共に忽然と姿を消しているところから…」

 

「無事と考えていい…ですかね」

 

次々と飛び込んで来る情報を処理しながら、ハナコはナギサの行方をシスターに聞く。その問いに対しシスターは彼女とコグマンの関係を鑑みて恐らく無事ではあるとハナコと共に結論づけた。

 

タッタッタッタ…

 

「…っ!!オートボットのリーダーであるオプティマス・プライムがセンチネル・プライムとの勝負によって片腕を負傷したとの報告が…!!」

 

「この事態に乗じて一部の過激派が、もうすぐゲヘナに宣戦布告するとの情報が!!」

 

「はいっ!?」

 

「オートボットの次はディセプティコンがセンチネル・プライムを倒しに戦いを始める…。彼女たちはディセプティコンの留守を狙ってゲヘナを滅ぼす…といったところですか」

 

そしてハナコたちの元にもオプティマスがセンチネルに敗北したという情報が届き始める。そんな中トリニティではこの機に乗じてゲヘナに宣戦布告しようとする者たちまで現れ、それを聞いたマリーは耳を疑った。

 

「ダメです、今ここでそんなことをしては…!」

 

ドォォォォン…

 

「正義実現委員会が、大聖堂に進入を試みているとの情報あり!これを阻もうとするシスターたちと、中央ホールで衝突が発生しました!」

 

「なっ…!?」

 

ハナコは宣戦布告の情報を聞いて何とか、踏みとどまらせようと行動を開始しようとする。しかし、このタイミングで正義実現委員会とシスターフッドが中央ホールで衝突し始めてしまった。

 

「混乱があちこちで…早く戦闘を中止させて、救助の方に専念しないと…!」

 

(変数が多すぎる上にこの状況、私は一体どうすれば…セイアちゃん…先生…)

 

 

 

 

 

トリニティ・某所

 

サアァァァァァァァァァ…

 

“アズサ…君はこの後どうするつもりだい?”

 

“君の覚悟によって、多くの人が救われた。しかし戒律は弱まったが、「ユスティナ聖徒会」は依然として存在する。彼らは未だ争いを止めない。そして、トリニティの過激派によってミカは釈放されるだろう”

 

“やはりこれが結末だ。結局全ては無意味で、あまりにも虚しい夢のような物語…”

 

そしてセイアは再びアズサの元へと意識を向ける。そこには相変わらず蹲っている彼女の姿があり、ここまでの事象を見て結局全ては無意味であったと結論づけようとしていた。

 

「…まだだ」

 

“アズサ…?“

 

(まだ挫折している場合じゃない、アズサ。動いて、考えて。挫折して悲しんでいる暇があったら、今からでも方法を探して、どうにか…)

 

「次の計画…次は…」

 

ガバッ…

 

しかし、アズサは自問自答をしながら、まだ悲しんで蹲っているべきではないと立ち上がる。それを見たセイアは信じられないという顔をしていた。

 

「止まっていられない、動かないと…何か方法を…」

 

タッタッタッタ…

 

「“ユスティナ聖徒会”が消えてない…サオリも、アツコも無事…それは…いや、でも…行かないと…何としてでも、サオリを…」

 

タッタッタッタ…

 

「でないと…」

 

“アズサ…君はまだ戦うつもりかい?全てが虚しいと知っていて、それでも君は…”

 

奮起したアズサはユスティナ聖徒会が消えていないのを見て、アツコとサオリが死んでいないと悟る。そして再びサオリを殺すべく走りだした。

 

“全てを失って、どうしてそんなに…”

 

 

 

 

 

トリニティ・正義実現委員会

 

「向こうの方で暴力沙汰が!誰か止めてきて!」

 

「第五校舎にて事件が発生!どうしますか!?」

 

「う、うぅ…わ、私は…」

 

シスターフッドと同じく正義実現委員会もトップが重症の中てんやわんやである。そんな中とりあえず呼ばれたコハルはみんなが慌ただしくしている中、1人突っ立っているため気まずい思いをしていた。

 

「あれ?あなた…今は補習授業部じゃなかったっけ、どうしてここにいるの?まだ復帰しちゃいけないんじゃなかった?」

 

「そ、それは、えっと…」

 

「まあ今はそんな場合じゃないか。やることないなら、監獄の方にでも行ってもらえる?何か変な集まりが出て来そうとか言ってたし…」

 

「わ、私は…っ!」

 

それに気づいた正実メンバーの1人で彼女がここにいることに疑問を持ちつつ、監獄に行くよう指示する。コハルは彼女に何か言おうとするが、結局言えず監獄へと向かった。

 

 

 

 

 

トリニティ総合学園へと続く回廊

 

「さ、サオリさん…」

 

「リーダー…」

 

「こりゃ手ひどくやられたなサオリ」

 

「まぁとにかくアツコが無事でよかったが…」

 

一方のアリウススクワッドたちはようやく仲間と合流し次の作戦に向けて動こうとする。みな重症を負ったサオリを心配するが、みなサオリの気迫のこもった表情を見て戦慄していた。

 

「今すぐ、トリニティへの攻撃を…!」

 

「その前に、やらなきゃいけないことがある」

 

「ひ、姫ちゃんが怪我をして、“ユスティナ聖徒会”の顕現に問題が生じてますし…」

 

「…あの古聖堂に戻って、戒律を更新しないと」

 

「…分かった、古聖堂へ向かうとしよう」

 

サオリは今すぐトリニティへの攻撃を始めようとするが、ヒヨリとミサキはそれを制止する。アツコが傷ついたため戒律に問題が生じており、一度古聖堂へ戻る必要が生じたのである。

 

「すぐに出発だ」

 

「・・・」

 

「行くぞ!」

 

「ご立腹だぜ…アイツ」

 

それを聞いたサオリはアリウススクワッドたちを率いて急いで古聖堂へと向かう。それについていく彼女たちはサオリの様子を心配そうに見つめていた。

 

 

 

 

 

救護騎士団・病室

 

ガバッ…

 

「せ、先生!?目が覚めたんですね…!!」

 

「まだ動いちゃダメです!先生、どこに行くつもりなんですか…!?」

 

そして先生もようやく意識を取り戻す。どこかに向かおうとする彼をセリナとハナエは必死に止めようとするが、先生はそれでもなお動こうとしていた。

 

 

 

 

 

「…先生、君はあくまで立ち向かうつもりかい?」

 

「生徒たちが他の何でもなく…ただ、生徒たちであるために?」

 

“そうあるべきだって、私は信じてるから”

 

セイアは先生にこの現実に、生徒たちのためにそれでも立ち向かうのかと問う。それに先生は曇りのない声で、そうあるべきだと答えた。

 

「…だが、先生。君の前に立ちふさがるのは憎悪と不信。長きにわたって久遠に近い集積を経た、それらの具現だ」

 

“じゃあまずは、それと相対してくるよ”

 

 

 

 

 

“それにオートボットのみんなにも沢山助けてもらったから、今度は私が彼らを助けないと”




先生復活!!
次回はミカ関連の話になりますね。
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