TRANSFORMERS Blue_Archive   作:H2O(hojo)

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エデン条約編4章はカルバノグ1章が間に挟まってるので、カルバノグに出てくる人たちがちょろっと出てきます。


エデン条約編 The Last Knigt
新生ティーパーティー


トリニティ自治区

 

「あっちだ!!追えっ!!」

 

ズダダダダダダァン!!

 

「も、もうおしまいです…ここは行き止まりですし…」

 

「…反対側も。完全に包囲されてる」

 

「くっ…」

 

「おチビちゃん相手なら楽勝だと思ってたんだがな…まさか不死身の軍団まで用意してやがるとは…」

 

トリニティ自治区を彷徨っていたアリウススクワッドとディセプティコンの4人は、アリウス兵たちに追い詰められていた。ディセプティコンがいるにも関わらず、彼女たちは絶体絶命のピンチに陥っていた。

 

「諦めるんだな。これ以上は逃げられないぞ」

 

「・・・」 「ひ、ひっ…」

 

(スッ、ススッ…)

 

「…弾薬、ほとんど残ってないし、もう体力も限界…リーダーの傷も大きい。このままじゃ、逃げるどころかリーダーの命が危ないよ」

 

「あの紫女、飛べるだなんて聞いてねぇぞ!!」

 

追い詰めたアリウス兵の言葉に、ヒヨリは恐れおののく。これ以上逃げたことろで、逃げ場もなく何しろサオリの傷も大きいため、万事休すと言ったところである。

 

「…最後の手段ならまだ残っている。これなら…」

 

「ま、まさか」

 

「…ヘイローを破壊する爆弾」

 

「ミサキ、ヒヨリ。そしてお前たち。私が時間を稼ぐ間に姫を連れて…ここを離れるんだ」

 

「…サオリ」

 

追い詰められたサオリは最後の手段として、ヘイローを破壊する爆弾を取り出す。彼女はこれを使って時間を稼ぎアツコたちを逃そうとしようとしているのである。

 

「ここを離れて…そうしたら…その次は…その…次は…」

 

「サオリ」

 

「…姫?」

 

「もういいよ。私たちは頑張った」

 

「お前何言って…!!」

 

意識を朦朧とさせながらブツブツと呟くサオリを見て、アツコはこの逃亡劇を止めることを決意する。それを聞いたバーサーカーはアツコを止めようとしていた。

 

「ひ、姫ちゃん…どうしたんですか…?」

 

「“彼女”が求めているのは私…そうでしょう?私が行くよ。だから、他のメンバーは見逃してほしい」

 

「・・・」

 

「アツコ!?一体何をっ!?」

 

アツコはアリウス兵たちの前に他のメンバーを庇うように立つと、彼女たちを見逃して欲しいと頼みこむ。それを聞いた一同は、困惑して動けなかった。

 

「…もういいよ、サオリ。ぜんぶ、無意味だよ。ここを切り抜けたその先は?一体どこに向かうの?」

 

「・・・」

 

「トリニティにゲヘナ…そしてアリウスさえも私たちを追いかけてる。このキヴォトスで私たちが安心できる場所はないよ。私たちの命が尽きるまで、息を潜めて逃げ隠れる人生が続くだけ。でも、それも私がいるからの話。サオリも、ミサキも、ヒヨリも。ここまで付いてきてくれたみんなも。私のせいでこうなってしまったから…」

 

スッ…

 

「だから、私が終わらせる」

 

アツコは今の自分たちの現状を見て、これ以上は無駄だと考えているようである。そして“彼女”の目的は自分だと言って、この逃亡劇を終わらせようと決意したのである。

 

「ひ、姫ちゃん…」 「…姫」

 

「…ダメだアツコ、戻ったら殺される…それくらい、分かってるだろう?」

 

「今まで私は何の決定も判断もしなかった。だから、今回くらいは自分で決めたっていいでしょ?」

 

カツカツ…

 

「約束してくれる?みんなを自由にしてくれるって」

 

「…少し待ってろ、マダムに確認を取る」

 

アリウス兵たちの元へ近付くアツコを見て他の3人は彼女を必死で止めようとする。しかしアツコはそんな3人の声を振り切って、彼女たちを助けるためにアリウス兵の元に下った。そしてアリウス兵は“彼女”に連絡を取り始めた。

 

“ほぉ…なるほど、わかりました。お約束いたしましょう”

 

「その名にかけて、誓って」

 

“名前を…?それにどれほどの意味が?”

 

「必ず約束を守ってほしいから」

 

“いいでしょう…すべての巡礼者の幻想である私「ベアトリーチェ」の名にかけて、お約束いたします”

 

「…うん、約束だよ」

 

そして通信から聞こえてきたのは“彼女”の声であった。そして“彼女”はベアトリーチェと名乗り、アツコの願いを約束するのであった。

 

「姫様、こちらを。マダムのご指示です。勝手にマスクを外されては困ります」

 

スッ…

 

“傷一つないよう、丁重に扱いなさい。儀式は明朝、日の出と共に始めます”

 

「おいっ!!お前ふざけんなよ!!こんなところで諦めて死ぬつもりか!!お前に助けられて生き延びてもこっちは全然嬉しくねぇんだよ!!戻って来い!!アツコォォォォ!!」

 

「ば、バーサーカー…!!」

 

そしてアリウス兵はアツコにマスクをかぶせると、彼女を何処かへ連れて行こうとする。それを見たバーサーカーは他の仲間も見たことのない姿でアツコに対して怒り狂う。

 

「…元気でね。サオリ、みんな…さようなら」

 

「姫ちゃん…」 「姫…」

 

カツカツカツ…

 

「ダメだ…アツコ…私は…お前まで守れなかったら…」

 

「そこのガキ共!!あのババアに伝えておけっ!!お前の脳みそすすって吐いて捨ててやるってな!!アツコッ!!必ず助けてやるからなぁ!!アツコォォォォォ!!」

 

アツコはみんなにお別れを言うと、アリウス兵と共に闇へと消えていく。残されたアリウススクワッドはその姿をただ見ているしかなかった。しかし、バーサーカーだけはベアトリーチェに宣戦布告をし、アツコを必ず助けると誓うのであった。

 

「…残りのスクワッドはどうしますか?」

 

“すべて始末なさい”

 

「かしこまりました」

 

ズダダダダダダ!!

 

 

 

 

 

「信じてるよ、みんな…バーサーカー」

 

 

 

 

 

トリニティ総合学園・ティーパーティーテラス

 

「お越し下さりありがとうございます、先生。しばらくぶりのトリニティ訪問となりますね」

 

“こんにちはナギサ”

 

「オプティマス・プライム司令官も、損傷が回復したようで何よりです。先日は先頭に立ってトリニティを、このキヴォトスを救ってくださり感謝しております。ティーパーティーのホスト、桐藤ナギサがトリニティを代表して感謝の意を申し上げます」

 

「あの一件は君たちだけではなく、我々の問題でもあった。むしろ私たちが君たちに迷惑をかけてしまったと言える…。だがそんな我々を今でも信じてくれる君たちに、こちらこそ感謝している」

 

先生はオプティマスと共にティーパーティーのナギサに招待されて、彼女たちの会合に参加することになっていた。ナギサはオプティマスに会うと、トリニティの惨劇の件で感謝を述べる。それに対しオプティマスは身内同士の争いということもあって、それでも自分たちを信じてくれる彼女たちに感謝をするのであった。

 

「そこで2人ともペコペコしていては話が先に進まんぞ」

 

「すまないな、ラチェット」

 

「はじめまして。救護騎士団の団長を務めております、蒼森ミネと申します」

 

“うん、よろしくね”

 

2人とも色々あって気まずいのか互いに謝りあっていると、それを見かねてラチェットが声を掛ける。そしてラチェットが所属する救護騎士団の団長である蒼森ミネが先生に向かって挨拶をした。

 

「お初にお目にかかります、オートボットのリーダーオプティマス・プライム様。私、ティーパーティーの執事を務めております、ヘッドマスターのコグマンと申します」

 

「ヘッドマスターか…私も噂では聞いていたが、本物をこの目で見たのは初めてだな…」

 

「ほ、本当に珍しい種族なんですね…」

 

さらにコグマンが現れオプティマスに挨拶すると、彼はコグマンの珍しさに驚く。オプティマスが驚いている姿を見て、ナギサは本当にコグマンが珍しい種族であると実感するのであった。

 

「・・・・・・・」

 

「そうか、彼女は…」

 

「はい…サクラコさんは何とかこちらにはいらっしゃってくれましたが、まだ心の傷が癒えておらず…」

 

「そうか…」

 

「何とか食事は口にするようにはなりましたが、政務をできるまでにはとても…。そもそも本日もここに来る予定では無かったのですが、先生と司令官殿が来るとお聞きして何とかこの場に呼び寄せた次第で…」

 

そして皆が談笑をする中、1人だけただ顔を俯かせ黙っているのはシスターフッドの長であるサクラコである。それを見たオプティマスは彼女の姿に心を痛める。ナギサやミネの説明曰く、彼女の心の傷はまだ癒えていないようだ。

 

「サクラコ…」

 

「オプティマス・プライムですか…?センチネルが大変なご迷惑をお掛けしました。誠に申し訳ございません」

 

「君が謝る必要は何ひとつない。センチネルのことに関して、君は何も悪くは無い」

 

「ありがとうございます…」

 

そんなサクラコの様子を見たオプティマスは彼女に近づき声を掛ける。サクラコはオプティマスに謝罪するが、彼はサクラコは何ひとつ悪くないと答える。だがそれを聞いた彼女の返事は覇気の無いものであった。

 

「センチネルは私たちが必ず見つけ出してみせる。だから安心して欲しい」

 

「いえ…私のことはお気になさらず…」

 

「そういうわけにはいかない…君はセンチネルの一番の被害者だ」

 

「「「「“・・・”」」」」

 

オプティマスはサクラコにセンチネルを必ず見つけ出して見せると言うが、サクラコの反応は芳しくない。周りの者たちも2人の間には入れず、ただその様子を伺っている。

 

「もう放っておいてください!!もうあの時のことを思い出すのだって嫌なんです!!私は…私は…」

 

「そういうわけにはいかない」

 

「何故ですか…!!放っておいてと言っているでしょう!?」

 

「君はこの惑星の住人の中でも特別だからだ。サクラコ…君は私の妹弟子だ」

 

「…!!」

 

何とかサクラコを励ますオプティマスに、サクラコは遂に声を荒げて彼のことを突き放す。しかしオプティマスはそんな彼女にも優しく語りかける。何故彼が自分だけにそこまで入れ込むのか疑問だったサクラコだったが、オプティマスは同じ師の元で学んだ弟子同士だと言ったのである。

 

「オプティマス・プライム…兄弟子として私の願いを聞いていただけますでしょうか?」

 

「あぁ…他でもない妹弟子の頼みだ」

 

「我が師と…センチネルともう一度話したいのです。許されるのなら…最後にもう一度…少しだけでもいいですから…話をさせてください」

 

「分かった、任せてくれ。センチネルを必ず君の元へ連れて帰ってみせよう」

 

「はい…ありがとうございます」

 

サクラコはオプティマスに心を開いたのか、彼にお願いをする。その内容はセンチネルともう一度話したいとのことであった。そしてオプティマスはその妹弟子の願いを、快く受け入れるのであった。

 

 

 

 

 

「…これまでの一連の事件を紐解くと、全てアリウス分校に集約されます」

 

「センチネルについてもそうだ。彼は何故かアリウスと結託してこの事態を引き起こした」

 

「マコト議長もミカさんも、アリウスの手によって踊らされただけだとも言えます…」

 

その後、ティーパーティーのホストのナギサが音頭を取って、トリニティの惨劇について整理を始める。これらの事態を引き起こしたのはアリウス分校であり、センチネルもマコトもミカもアリウスと繋がっていたという事実を彼女たちは認識していた。

 

「アリウスが背後で糸を引いていたのなら…いくつかの疑問が残ります。一つ。アリウス分校はなぜエデン条約を妨害したのか」

 

「アリウス分校は長い間、我がトリニティとゲヘナの両方を憎んできたと聞き及んでいます。一度に両学園の要因を無力化させる絶好の機会だったのでしょう」

 

「そしてその時タイミングよくキヴォトスを手に入れる計画を立てていたセンチネルを取り込み、我らオートボットとディセプティコンを倒すために手を組んだと考えられるな」

 

ナギサはアリウスに対して、いくつか疑問があるようでそれを全員に共有する。最初の疑問はアリウス分校がエデン条約を襲撃した動機であるが、これは当人たちが言っていた通りゲヘナやトリニティに対する憎しみであり、エリートガードたちもその憎しみを果たすために利用されたとラチェットは考えていた。

 

「さらに、エデン条約という“契約”を利用して不可解な兵力を手に入れておりました…セイアさんはそう説明していました」

 

「はい。“ユスティナ聖徒会”の姿をした幽霊たち。それらがそのままトリニティやゲヘナを襲撃していたら…両学園は為す術もなく崩壊したはずです」

 

「あれが幽霊というものなのですね。ワタクシ初めて見ました」

 

「中々興味深い生き物だったな、幽霊というものは」

 

「実体を持っていないとはな…。どういう身体構造をしているのか疑問だ」

 

そしてナギサはユスティナ聖徒会についてセイアから聞いたことを話すと、ミネはユスティナ聖徒会が万全の状態ならゲヘナとトリニティは崩壊していただろうと考えていた。一方トランスフォーマーたちは初めて見る幽霊に、興味を覚えるのであった。

 

「トリニティの防護システムを無力化させたあの巡航ミサイル…そちらの分析はどうなっているのでしょうか?」

 

「オートボットで解析を進めた結果、このキヴォトスは勿論、我々サイバトロン星にも無かった謎の技術で作られたものということが判明した…。まったく、一体どこでそんな者を手に入れたのやら…」

 

「…アリウス分校は、未知の力を最低二つは確保しているということですね」

 

そしてミネはユスティナ聖徒会の次に、あの惨劇のときに最初に通功の古聖堂に撃ち込まれたミサイルについて尋ねる。それに対しオプティマスがホイルジャックなどが分析した結果をミネに話すと、彼女たちのその得体の知れなさに苦虫を嚙み潰したようをするのであった。

 

「二つ目の疑問になります。アリウス分校は何を計画しているのか」

 

「センチネル率いるエリートガードたちの計画ははっきりしていた…。だがそれと対照的に彼女たちが憎しみという衝動的な理由で事を起こしたにしては武力も作戦も周到すぎるな」

 

「そして何よりも…私たちはアリウス自治区がどこにあるのかすらも知りません。ですが、この事件をきっかけにいくつかの糸口を得ることができました」

 

「「「「「・・・」」」」」

 

「私の事ならば気にしなくて結構です。覚悟は決めてきたつもりですので…」

 

一つ目の疑問について粗方各々で知っていることを出し合ったところで、会議は二つ目の疑問へと移る。アリウス分校はエリートガードたちと違い、その計画の全てが明かされていないということである。そのことについて先の惨劇でいくつか分かったことがあるようだが、サクラコには辛い話が続くと思い一同は彼女の方を見やるが、彼女は構わず続けてくれと言った。

 

「では…。彼女たちはあの時、通功の古聖堂の地下にあるカタコンベから潜入しておりました。これまでの彼女たちの潜入ルートも、すべてカタコンベと関連している事が分かっております。巡航ミサイルの発射位置も、トリニティ内にある遺跡地区でした」

 

「そして…センチネル・プライムと私が出会ったのも、その遺跡地区でした…」

 

「しかし、トリニティ自治区に存在する地下遺跡はかなりの数があります。それをすべて調査し、統制することは不可能です」

 

「付け加えるなら、カタコンベはいまだにその規模を明らかにされていない迷宮…そこから自力でアリウス自治区を見つける事も大変難しいでしょう」

 

「センチネル・プライムは恐らく何らかの手段でトリニティの遺跡地区からアリウスと連絡を取っていたのであろう…。だが、事が起こるまでエリートガードたちはサイバトロン星にいた以上彼らにその事についての情報を期待するのは無意味だろう」

 

アリウス分校が例の惨劇を起こすために使用したルートは全て、トリニティの遺跡地区であった。サクラコがセンチネルと初めて出会ったのもその場所であり、彼は何らかの手段でアリウスと連絡を取っていたとラチェットは推察する。だがカタコンベの構造は複雑らしく、トリニティ生たちでさえその全容を掴むことはできないのである。

 

「セイアさん曰く、あの自治区は私たちが理解できない“とある力”で保護されているとのことです。そうでもなければ、今まで隠れ果たせてる事の説明ができない、と…」

 

「また理解できない力の話ですか…」

 

「そんなのばかりですね。世界というのは不思議でございますね」

 

((お前が言うのか…))

 

どうやらアリウス自治区へと続く道は不思議な力で守られているようで、ミネは同じ話にうんざりする。そしてその話を聞いたコグマンは世界には不思議なことで溢れているという趣旨の発言をし、オートボットの2人を困惑させた。

 

「かつてアリウス所属だったアズサさんの話では、任務の度にカタコンベの出口が記録された地図を渡されていたそうです。地図の経路は毎回変わり、さらに暗号化まで施されているとのこと…裏切り者である自分はもう、アリウス自治区に戻る道を知らないと…」

 

「…その少女を、取り調べたのですか?」

 

「えっ…?」

 

「あっ、マズい…」

 

さらにナギサはアズサから聞いた情報を全員に共有すると、ミネは彼女の発言が気になったのかナギサへと詰め寄る。それを見たラチェットはミネの悪癖が出たことを察するのであった。

 

「白洲アズサさん…あの子にアリウスの情報を吐かせたんですか?」

 

ドンッ!!

 

「彼女はもう十分な代償を払っています!自分がいた自治区から裏切り者の烙印を押され、それでも私たちのために頑張ってくれました!」

 

ドンッ!!

 

「やっと心の平穏を取り戻したであろう子に、私たちの事情に巻き込んで、アリウスの情報を問い詰めるだなんて…なんて残酷な…!」

 

「あ、いえ!取り調べたとかではなく、あくまで本人が語ってくれたことで…」

 

「やれやれ…一度スイッチが入るとこれだ…」

 

スイッチが入ったミネはアズサに無理矢理情報を吐かせたと思い込みナギサを詰めていく。ナギサはアズサが自分から語ったとミネに話すが、彼女は聞く耳を持たずラチェットに呆れられた。

 

「あの少女が果たしてそのような気持ちになるのでしょうか!ティーパーティーの権力を利用して、か弱い少女に無体を働いたに違いありません…!!」

 

「えっ!?ええっ!?」

 

「そうなのですか!?ナギサ様!!」

 

“何で君がそっち側なのかな…?”

 

ナギサを追い詰めるミネにナギサは困惑している。さらにコグマンもミネの言ったことを信じてしまい、先生は困惑するのであった。

 

「まぁ落ち着けミネ。彼女は一度過ちを犯し、すでに反省もしている。仮にも命を助けてもらった相手だ、そのような仕打ちはすまい」

 

「…違うのですか?」

 

「本人の口からもそう言っているだろうに…。まったくお前は…少しは立ち止まることを覚えろといつも言っているだろう」

 

「失礼しました、ナギサ様」

 

カタカタカタ…

 

“(ナギサのティーカップが震えている…)”

 

ヒートアップして止まらなくなったミネをラチェットは、落ち着かせる。ラチェットの言葉を聞いて何とか落ち着きを取り戻したミネは、ナギサに謝罪するが当の彼女はミネのことを怖がっていた。

 

「しかし…カタコンベは全体像さえ判明していないとはな。さらに毎回入り口が変わるとなれば、アリウスやセンチネルの奥に潜む闇を暴くには長い時が掛かってしまう…」

 

「発想を逆転しましょう…通路を把握している人に話を聞くのはどうでしょうか?」

 

「通路を把握している人…ですか?」

 

「襲撃を主導した“アリウススクワッド”のリーダー、錠前サオリ。彼女は確実に通路を熟知しているはずです。それだけでなくこの事件の黒幕やセンチネル・プライムの居場所すらも知っているかもしれません」

 

「…なるほど。襲撃を指揮していた彼女なら…」

 

彼らの最大の懸念はアリウス自治区の居場所を探せるかどうかである。それを解決するための方法として、サクラコはサオリに通路の件やその他もろもろについて語ってもらうことを提案すると、ミネは彼女の考えに同意する。

 

「だが、“アリウススクワッド”の消息は今現在も判明していない。それに、敵である我々にわざわざ情報を提供することなどしないだろう…」

 

「“スクワッド”以外にも一人、通路を熟知している生徒がいるのではありませんか?」

 

「何っ!?彼女の他に誰かいるのか!!」

 

「聖園ミカさんです」

 

「「「「…っ!?」」」」

 

だがサオリはトリニティを憎んで事を起こした人物であり、オプティマスは彼女がこちらの要求に従うとは考えられなかった。しかし、サクラコはもう一人、通路を熟知している生徒がいると言ってミカの名前を出すと、一同は驚いて彼女のほうを向くのであった。

 

「そ、そんな事は…ミカさん本人もアリウス自治区の位置だけは知らないと仰って…」

 

「だが彼女は長い間アリウスと内通してきたのだろう?自治区の場所を知っていてもおかしくはないはずだ…」

 

「・・・」

 

「たしか、ミカ様はアリウス生徒に補給品を手渡した記録が残っています。クーデターを起こすため、アリウスの支援を得るために…そう考えるのが自然でしょう」

 

「ですが…ミカさんは…」

 

そしてサクラコの言葉に一番動揺したのはミカの親友であるナギサである。彼女はミカがアリウス自治区の居場所を知らないという言葉を信じているようだが、他の者からすればその彼女の言葉も怪しく聞こえるのである。

 

「これまでのミカ様の評判と行動はあまり模範的とは言えません。ナギサ様はよくご存じだと思いますが…ミカ様はティーパーティーに所属している事を盾に、多くの過失や問題を誤魔化してきました。今現在、学園で発生しているミカ様に対しての糾弾と騒動…こういった世論もまた、彼女のこれまでの振る舞いと無関係とはいえません」

 

“(騒動…?)”

 

「ミカさんが…嘘をついた、ということですか…アリウス自治区を隠すような…一体、何を…」

 

「ナギサ様がミカ様を思う気持ちはよく理解しております。その上で、不躾なお話ではございますが…ミカ様の一番の理解者は誰かという議論になった場合、幼馴染であるナギサ様になるのではないでしょうか。ナギサ様から見て、ミカ様はまだ私たちに隠している事があるように感じますか?」

 

「・・・」

 

ミネはナギサにこれまでのミカの行動を説明し、彼女の処遇を巡って暴動が起こっていることも話す。その事を聞いてナギサは激しく動揺する。だがその上でミネはミカが自分たちに隠し事をしているのかと、ナギサに問いかけるのであった。

 

「それは…」

 

“(ナギサ…)”

 

「…いえ、私はミカさんを信じます」

 

「「「「・・・」」」」

 

ナギサは一度逡巡し、先生にも心配そうに見つめられる。だがナギサは迷いのない目でミカを信じると言って見せ、周りを驚かせた。

 

「たしかに…ミカさんは善良な生徒とは言えませんが…。それでも私はミカさんを信じます…それが、今回悟った教訓ですから。他の方にも信じていただけるよう、明日の聴聞会に出席してミカさんを弁護いたしましょう。あなた方に…必要ならば、この学園全体にミカさんの証言を信じていただけるように!たとえそれで私が糾弾されることになったとしても…私は…」

 

「…いえ、私は仮説を口にしただけで、他意はありません。同じく辛い立場にも関わらず、追い詰めてしまったようで申し訳ございません…」

 

「…失礼いたしました。非礼をお詫び申し上げます」

 

“ふぅ…とりあえず一安心だね”

 

そしてナギサはミカを信じ、みんなにも彼女信じてもらえるよう自身を犠牲にしてでも説得すると宣言する。それを聞いたサクラコとミネは、その彼女の熱意に胸を打たれ、これまでの言動を謝罪するのであった。

 

「ナギサ…。君が友を想う気持ちを、これからも大切にして欲しい。私は結局最後の最後で友を信じられなかった…。その結果が今の私とメガトロンの関係だ。君には私と同じ苦しみを味わって欲しくはない。友を信じられなくなることもあるだろう…だが、それでも諦めないで欲しいのだ…」

 

「はい。ありがとうございます」

 

 

 

 

 

その後

 

「それで次の話題ですが…」

 

「“ユニクロン”についてだな」

 

「はい…センチネル・プライムがしきりに訴えていた、皆さまの故郷サイバトロン星に迫るユニクロンという存在の影について、教えていただきたいのです。我々も皆さま方にはいつも助けていただいておりますので、少しでも手助けをいたしたいのです」

 

「と、いってもこちらとしてもユニクロンという存在について知っていることは少ない…。センチネルの言う通りサイバトロン星を滅ぼせるほどの災厄だとしかわからんのだ」

 

“それについては、私から話があるよ”

 

アリウスの話題に一区切りついたところで、会議はユニクロンの話題に移る。といってもユニクロンに関する情報はセンチネルの発言が全てでありそれ以上の事は誰も知らない。だが、ここで何故か先生がユニクロンについて話があると言い出した。

 

「先生、ユニクロンについて何か知っているのか?」

 

“うん。これは知り合いのゴリラから聞いたんだけど…”

 

「ゴリラ…?」

 

「ゴリラタイプの住人という事でしょうか…?だとしても何故その人がユニクロンについて知っているのかは謎ですが…」

 

オプティマスは先生にユニクロンについて何か知っているのかと尋ねる。それに先生は知り合いのゴリラから聞いた話があると言うが、オプティマスもナギサも意味が理解できないというようであった。

 

“オプティマスからも聞いたけど、センチネルが語ったのはユニクロンというのは星を喰らう化け物だと言うこと。これは友達も言っていたよ。ユニクロンは惑星サイズの大きさを誇る生命体であり、惑星を捕食して宇宙を彷徨っているそうだ”

 

「食べるんですか!?惑星ごと!?」

 

「そんな生き物がこの宇宙には存在しているのですね…」

 

「我が師はそのような災厄の襲来に、悩まされていたのですか…」

 

先生はセンチネルがオプティマスと戦っていたときに語った内容と友達の説明を照らし合わせて、ユニクロンが惑星を食料にしながら宇宙を彷徨う巨大な生命体であることを一同に説明する。それを聞いた彼女たちはその途方もない存在に、驚愕するのであった。

 

“さらに宇宙を彷徨うどころか別の世界線すら移動するらしい。そして手ごろな惑星を見つけたらテラーコンという部下を派遣して抵抗する住人を滅ぼすとか…”

 

「センチネルからテラーコンとやらの話が出なかったのは、サイバトロン星はユニクロンに対抗できるほどの力がないとユニクロンに思われていたからかもしれんな」

 

“そして、ユニクロンが移動する際に使う道しるべとして「トランスワープキー」なるものがあるらしいんだけど、どうやらそれがキヴォトスに存在するらしくてね”

 

「それを見つけることができれば…ユニクロンを何処かへ追いやることもあるいは…」

 

さらに先生はユニクロンの部下であるテラーコンの説明をすると、彼らがサイバトロン星に姿を表さなかった理由にオプティマスは1人納得するのであった。そして最後にユニクロンが移動のために使うアイテムの“トランスワープキー”について発言すると、オプティマスはそれを利用するやり方でユニクロンをどうにかしようと考えるのであった。

 

 

 

 

 

「まだまだ色々な点で問題は山積みですが…希望が見えたことは良い兆しでしょう。我々はこれから忙しくなるでしょうが、互いに頑張ってこの危機を乗り越えていきましょう」

 

「えぇ」 「はい」 「あぁ」 「そうだな」 “うん…”

 

「はい!!わたくしも今まで以上に頑張ってまいります!!」

 

「貴方は頑張らなくていいですよ」

 

「そ、そんなぁ~」

 

 

 

 

 

子ウサギ公園

 

「今日の晩御飯は豪勢にカレーといきましょう!!」

 

「いえーい!!」

 

「やった…」

 

「久しぶりだなぁ…カレーを食べるのも」

 

子ウサギ公園では行き場の失ったSRT特殊学園の小隊が野宿しているという噂がキヴォトスでまことしやかに囁かれている。そして先生もそれに関わっているとの噂である。

 

「なぁ、私のバナナ知らないか?」

 

「知らないジャン!!食べちゃったんじゃないの~?」

 

「オイラもしーらない。大体、ここには腐ったバナナの皮くらいしかないでしょ」

 

「僕も知らないんダナ」

 

「「お前しゃべれたの!?」」

 

さらに、子ウサギ公園には最近珍しい野生動物が住み着いたという噂も流れており、このキヴォトスで密かに話題になっているようである。その動物はゴリラ、チーター、サイと本来ならばこの場所には居ない動物ばかりである。

 

「ネズミはどこにでもいるもんね、へっへ~ん!!」

 

「お前誰としゃべってるジャン?」

 

「まったく静かにしないかお前たち。廊下に立ってろ!!」

 

「「廊下ってどこよ…?」」

 

 

 

 

 

「はぁ…助けるんじゃなかったかな…」

 

「まぁそう言わずに…彼らのおかげで色々助かっているのも事実なんだからさぁ」

 

「そうですよ、サキ。少なくともあちらのリーダーには学ぶべきところがあります」

 

「あれ…これって」

 

「「「あっ、バナナだ…」」」

 

子ウサギ公園、今日も異常なし…。




サクラコ様が意気消沈状態でナギサに嫌味すら言えないので、もはやお通夜となってしまうティーパーティー。

そんで誰でしょうね、先生の知り合いのゴリラって...。
まぁ名前を出さないだけで正直バレバレだと思いますけど
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