TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
そして今明かされる4バカの(割と自業自得な)過去!!
キヴォトスの某所・裏路地
ザァァァァァァァァァァァァァ…
“サオリ…?”
「・・・」
ガチャ…ストン…ズサッ…
“・・・!?”
「おいおい…確かに俺たち切羽詰まってっけど何もそこまでしなくてもいいんじゃねぇの?」
謎の場所に呼び出された先生は、その場所に現れたサオリとモホークに驚く。サオリは先生に銃を向けて彼を抹殺しようとすると思いきや、銃を置き地べたに伏して先生に土下座し始める。それを見た先生とモホークはサオリのその姿に驚いた。
「…先生。アツコが…連れて行かれた。他の仲間もアリウスの襲撃に遭って、散り散りに…生死も不明だ…あれから何日も…逃げてきたが…私では彼女を止められなかった…このままでは…アツコは…姫は、死んでしまう…」
「タイムリミットは明日の朝まで、夜明けと共にあの“ババア”にアツコは殺される」
「私の話など、信じられないだろうが…これだけは、真実だ…」
“・・・”
サオリはこれまでの自分たちの境遇を語り、このままだとアツコが殺されてしまうと訴える。そしてそのタイムリミットは明日の朝までであり、切羽詰まっていることが彼にも理解できた。
「アツコは、元よりそのように育てられた存在なんだ…。幼い頃からそうやって“生贄”にされる運命にあったのだと…。“彼女”は…。姫の運命を変えたいなら、彼女の命令に従えと…。そうすれば、姫だけでなく…他の仲間も助けてやると…。エデン条約を強奪し、ユスティナ聖徒会の力をアリウスのものとし…トリニティとゲヘナを手中に収めたら…。アツコが“生贄”にならずとも済む、と…」
「だが、結果はこの通りだ。俺たちはお前らに負け、こうやってボロボロになりながら逃げ回ってるってわけ」
「…今の私は落伍者だ。トリニティにも、ゲヘナにも…同じアリウスにだって助けを求めることなどできない」
アツコは元々生贄にされるために育てられたようで、サオリの言う“彼女”とやらはアツコの運命を盾にしてアリウススクワッドを操っていたようである。そしてその結果、アリウススクワッドの作戦は先生たちに阻まれ、彼女たちは現在の状況に至るというわけである。
「だから、頼れるのはもう、先生しか…」
“・・・”
「…私の命を賭けて約束する、どんな指示だろうと従う。“ヘイローを壊す爆弾”、これも、預ける。私の命を握ってもらって構わない。私を信用できないと判断したら、それを使ってくれ…だから、頼む。どうか…アツコを…姫を…助けてくれ…」
「どうする“先生”?俺たちはお前を殺そうとした相手だぜ。さらに俺はアンタと仲のいいオートボットとは敵対する泣く子も黙るディセプティコン…。それでもお前は俺たちを助けてくれるのか?」
そんなどこにも助けを求めることのできないサオリが最後に頼ろうと思ったのが、シャーレの先生である。彼女は“ヘイローを壊す爆弾”さえも先生に渡して、生殺与奪の権限すらも彼に握らせてでもアツコを助けたいと悲痛に訴えた。それを見てモホークは冷静に先生を煽って、自分たちを助けてくれるよう仕向けようとしていた。
“立って、サオリ”
「だ、だが…」
“私はサオリと、対等に話がしたい”
スクッ…
「・・・」
「優男なだけあってお優しいじゃねぇの」
そんな傍から見れば哀れとも見えるサオリに、先生はまずは立つように促す。先生が上、サオリが下という状態ではなく彼は対等に話がしたいようである。
“先に質問させて。「彼女」って誰の事?”
「“彼女”はアリウス自治区の代表であり、アリウス分校の主人。私たちは“彼女”と呼んでいるが、他の生徒からは“マダム”とも呼ばれている」
「俺たちは…“クソ女”とか、“ババア”とか、“クソババア”とか“アバズレ”とか…」
「私も数回しか姿を見たことは無い…背が高く、赤い肌を持ち、白いドレスを纏った大人だ。名をベアトリーチェ…私よりも、姫がよく彼女と会っていた」
「アンタとサオリたちとかは頭のソレとか角とか耳とか以外は割と似通った姿だが、あのババアは何かお前らとは違う感じだな、うん。全身に毛の生えた住民とも違う、俺たちのような機械の身体とも違う、かといってお前らとも違う、得体の知れねぇババアさ」
先生はまずサオリがしきりに会話に出す彼女について尋ねる。サオリはアリウスの代表であるベアトリーチェについて説明するが、彼女自身も会った回数は少なかったためよく分かっていないようである。だがどうやらモホークが言うには生徒ともキヴォトスの住人たちとも先生とも、トランスフォーマーとも違う姿をしているようである。
“…他の「スクワッド」は今どうしてるの?”
「姫を連れ去られてから、すぐに襲撃を受けて…その時に散り散りになったから消息は分からない。もしかしたら、まだアリウスの生徒に追われているかもしれないな」
「まぁそっちについては心配なさんなよ、お二人さん。俺の仲間はアリウス兵如きにやられるタマじゃねぇよ。アツコを連れ去られたときには、思わぬ伏兵が出てきて不覚を取ったが、ソイツらはアツコと一緒に帰った。…ってことはまたアイツらと戦わなきゃいけないってことかぁ?面倒だぜ…」
次に先生はサオリの仲間たちの心配をする。彼女たちはアツコを連行する際に襲撃を受け散り散りになったようで、サオリは心配しているようである。だがモホークは仲間たちの実力を信じているようで、生きていると断言する。しかし、アツコを連行する際に現れた謎のトランスフォーマーとまた戦わなきゃいけないことを思い出し、憂鬱な気分になった。
“連れ去られたアツコがどこにいるのかは分かる?”
「アリウス自治区にある…アリウス・バシリカ。その地下に“彼女”が用意した秘密の至聖所がある。おそらくそこだろう」
“アリウス・バシリカ…どうしてそこにアツコを…?”
「そこまでは分からない。あそこも、以前から姫のために準備された場所としか…。ただ、姫は以前から、いつかそこで“生贄”に捧げられるのだと口にしていた…」
「んで、要するにその儀式っつーのが明日の朝そこで行われるってわけよ」
さらに先生はアツコが今どこにいるのかサオリに尋ねると、彼女はアリウス自治区のバリシカの地下にいると答えた。先生は何故その場所にアツコを連れて行ったのか聞くが、サオリとモホークもそこまでは知らなかった。ただ何かしらの儀式を行い、そこでアツコが生贄にされるということだけは理解していた。
“…わかった。状況は大体把握したよ。サオリを、君たちを助ける”
「・・・。本当、に?手を貸して、くれるのか…?」
“生徒のお願いは無碍にできないからね”
「…それだけの理由で?そんな。わ、忘れたのか?私は、お前を撃ったんだぞ!」
「自分で土下座して頼んでおいて、あっさり承諾したからってビビるなよ…」
先生はサオリとモホークから話を聞いて状況を理解し、彼女たちを助けると即決する。それを聞いたサオリは、あまりにも簡単に協力を決める彼に狼狽えてしまった。
“でも、爆弾は没収”
「…ああ、そうだな。約束通り」
ドサッ
「これが起爆装置だ。いつでもこれを押すといい」
“起爆装置だけじゃなくて、全部。爆弾全部没収”
「ば、爆弾も…?」
だが先生はサオリがヘイローを壊す爆弾を持っていることは許可できないようで、サオリに渡すよう話す。それをサオリは爆弾によって生殺与奪の権を握るという意味だと捉え、起爆装置を渡すが、先生は爆弾も渡すようサオリに指示した。
「…分かった。お前がそう言うのなら…」
ドサッ
「だが、安心していい。この起爆装置なしでは、それは絶対に爆発しない」
“それはよかった。生徒が危険物を持っているのを、見過ごすわけにはいかないからね”
「…?」
ガシャァァン!!
「な、何を…!?」
爆弾を渡すように言われたサオリは不思議そうな顔をしながら、爆弾を渡すと起爆装置について説明する。すると先生は彼女の説明に安心したのか、起爆装置を地面に叩きつけ、さらには踏みつけてぶっ壊した。
“さあ、時間はないよ。急ごう。先にミサキとヒヨリと合流するよ”
「一体、何を…」
“こちらモホーク、こちらモホーク作戦は成功だ。シャーレの先生を引き入れた。合流されたし”
「ちょ、ちょっと待ってくれ先生。私はまだ理由を聞いていない…」
カツカツカツ…
「ま、待ってくれ…!!」
先生は起爆装置を壊すと、時間がないのでミサキとヒヨリたちと合流しようと先を急ぐ。モホークもそれを受け入れたようで、ディセプティコンたちに無線を入れるが、サオリだけは戸惑っていた。
“それで?君たちは何で彼女たちと一緒にいるのかな?”
「俺たち4人はちょいと暴れすぎてカイザーのカス共に取っ捕まってね。それでアリウスに売られたってわけ」
“何やらかしたの…”
「ニトロゼウスと一緒にカイザー基地でぶっ壊しレースを開催してたんだが、アイツらどうやら色々俺たち用の兵器を開発してたようでね。それで不覚を取って取っ捕まったってわけ。いやぁーやっちゃったね」
“あ、あはは…”
先生たちは他の仲間と合流するべく移動する途中に、身の上話を話し始める。モホークは一度カイザー基地をニトロゼウスと共に襲撃し、不覚にも捕まりアリウス分校に売られたのである。割と悲惨な境遇なはずだが、本人は割とノリノリであった。
“でも、それじゃあサオリたちと一緒にいる必要はないんじゃないの?”
「まぁ一応俺たちにも事情ってもんがあってね。俺たちがセンチネルとあのババアの始末しねぇと俺たちはディセプティコンに戻れねぇんだよ。成り行きとはいえ味方に銃を向けちまったからな。それにディセプティコンもオートボットも正直いってヤツらを探す余裕は例のユニクロンがサイバトロン星に襲来するってほうが重要でないわけよ」
“まぁ…そうだよね。そっちも何とかしなきゃ”
「別にサオリたちはともかくそっちはいいと思うけどな、俺は。故郷が無くなるのは悲しいが、別に俺たちが死ぬわけじゃない。というかそもそもあんな荒れて寂れた星、ユニクロンだって喰っても美味くねぇだろ、アッハッハッハ!!」
“そ、そういうものかなぁ…”
だがそれだけではサオリ達と行動を共にする必要はないと、先生は指摘する。それに対しモホークは自分たちの事情と、オートボットとディセプティコンに余裕がないことを説明した。語っている本人はサイバトロン星が無くなることには、あまり気にしていない様子であった。
「まぁそういうわけで、あの辛気臭いガキ共との付き合いも長くてね。このまま自分の運命を呪うつまんねー生き方をするよりは、もっと自由で楽しく生きたほうが絶対いいだろ?」
“君たちディセプティコンが人助けとはね…”
「これでもアリウスに来たときは結構捻てたんだぜ?ディセプティコンは俺たちのことを見捨てたのかってな。そしてそんな最中に自分たちよりもっと絶望拗らせてたアイツら見てたら、どうにも見捨てらんなくてなぁ」
“そうなんだ…意外かも”
「俺たちは好き勝手やってこうなったが、アイツらは別に好きでこうなったわけじゃないしな…」
モホークは粗方ここまでの経緯と、今自分たちが置かれている状況を先生に話すと、彼女たちに楽しく自由に生きて欲しいという思いから付き従っていると明かす。どうやら彼らもアリウスに連れて来られた頃はそれなりに精神が荒れていたようで、そんななかもっと悲惨な彼女たちを見て、見捨てられなくなったようだ。
「は、初めて聞いたぞ、そんな話…」
「そりゃ言ってなかったからな」
「何故今まで話してくれなかったんだ…」
「絶望と復讐に囚われていたあの頃のお前に語ったことろで、お前はおとなしく俺の話を聞いたのか?」
「・・・」
サオリはモホークのカミングアウトを聞いて、今まで知らなかったと驚いていた。そもそも以前の彼女はベアトリーチェの洗脳によって自分の話など聞かないだろうとモホークに判断されており、それ故にいままで彼の本音を知らなかったのは当然であった。
「それとも、俺たち悪党に同情されるのは余計なお世話だったかね?」
「い、いや…すまない…。私はお前たちのことをただの兵器としか見ていなかった…」
「あぁ、そうだろうな」
「ぐっ…す、すまない…」
そんなサオリを見てモホークはサオリを揶揄うような話し方をすると、彼女はまともに受け取って傷ついてしまう。サオリはここでようやくトランスフォーマーたちを兵器ではなく、一つの生命体であると認識したのである。
“許してあげなよ”
「えぇ~どうしよっかなぁ~」
「そ、そんなっ!?わ、私はどうすれば許してもらえるんだ!?」
「冗談が通じねぇな相変わらずお前はよぉ~」
これまでの自分の行動を反省しているサオリを、先生は許すようモホークに促すと、彼は冗談交じりに悩むフリをする。しかし真面目なサオリはそれを真に受けてしまい、モホークに呆れられた。
「どうか…これからも私たちを助けて欲しい…。頼む、この通りだっ…!!」
ドシッ…!!
“サオリ…!!”
「うわっ!?別にわざわざ土下座なんかしなくって助けてやるっての…」
トリニティ・某所
「おっ…!お、お前は!」
「ヘイヘーイ、お久しぶりだなテメェらぁ!!」
ズダダダダダダ!!
「ぐ、ぐぁっ!」
バタン…スタン…
「いっちょ上がり!!」
モホークとサオリと先生はアリウススクワッドの仲間たちを救うために、追いかけて来るアリウス兵を蹴散らしていく。所詮アリウス兵とディセプティコンでは実力の差は歴然であり、モホークはあっさり制圧した。
「ヒヨリッ!!」
「リ、リーダー…どうしてここが…」
“ヒヨリ、無事でよかった”
「…え、えぇっ!?」
ヒヨリを見つけたサオリは一目散に彼女の元へと走っていく。そしてヒヨリは先生がサオリたちと一緒にいることに、驚愕していた。
「シャ、シャーレの先生がどうしてリーダーと一緒にいるんですか…!?」
「それは…」 「まぁ、色々とあってよ」
「つ、ついに天罰の時がやってきてしまったんですね?やっぱり、私は終わりなんだ…」
「おーい?話聞いてっかぁ?」
「そうですよね…よくよく考えてみたら、先生は私たちをアリウスから取り返したいですよね…自らの手で処罰したいでしょうから…」
ヒヨリが何故シャーレの先生と一緒にいるのか尋ねると、サオリは目を逸らして気まずそうにする。それを見たヒヨリは何を思ったのか先生が自分の手でアリウススクワッドを処罰しようとしていると解釈したようである。
「私たちを捕まえて、シャーレにあると噂の地下牢に入れる気なんですね!シャーレに反抗した子たちのすすり泣きが夜な夜な聞こえるという、曰くつきのあの場所に…」
「あぁ~、知ってる知ってる。寿司作らされるんだろ?」
“・・・”
「うわぁぁぁぁぁああん!もう終わりです…まだやりたい事も、読みたい雑誌もたくさんあったのに…」
「・・・」
さらにヒヨリはシャーレに関する出処不明の謎の噂を話しだし、先生はその突拍子もない噂に呆れて何も言えない。そして彼女は泣き出して、まだやりたいこともあったのにと己の境遇を嘆き始めた。
「…仮にそうだとしても、リーダーが先生と一緒にいるのはどうしてでしょうか?…ああ、私完全に理解しました」
「ヒヨリ…」
「リーダーはシャーレの先生に脅されているんですね!?リーダーも苦痛だらけの人生で、可哀想に…」
「そういやこういうヤツだったな、コイツって…」
どんどん話を飛躍させていくヒヨリにサオリは何とか声をかけようとするものの、彼女の妄想は止まらない。ヒヨリがネガティブな妄想を続けるのを見て、モホークはヒヨリの性格を思い出していだ。
“ヒヨリを助けに来たよ”
「・・・。え?わ、私を…ですか?な、何故?も、もしかして記憶喪失とかですか?私たちが誰なのか、分からないとか…?」
「先生の言う通りだ、ヒヨリ。“シャーレ”の先生が、私たちの手助けをしてくれる」
「…!?」
“事情は聞いたよ。一緒にアツコを助けよう”
そんなヒヨリに対し先生は彼女を助けにきたと述べると、ヒヨリは先生が記憶喪失になっていることを疑う。このままでは埒が明かないためサオリも先生の補足をしてようやく彼女は先生の言う事を信じ始めた。
「そうだ、姫ちゃん…。は、果たして私たちで…姫ちゃんを助けられるんでしょうか…?」
ヒュゥゥゥゥゥゥゥン…ギゴガゴゴ!!
「テメェ…!!俺たちのこと信じてねぇだろ」
「ニトロゼウス…1人で逃げたかと思いました…」
「お前ちょくちょくナチュラルに失礼だよな」
「うわぁぁぁぁぁぁん!!よかったですぅぅぅぅぅぅ!!見捨てられたかと思いましたぁぁぁぁぁ!!」
しかし今度は自分たちだけでアツコを救えるのか不安になっていると、ニトロゼウスが彼女の元へ戻ってくる。彼はヒヨリが自分たちの力を信じていないことに怒っていた。一方のヒヨリはニトロゼウスに見捨てられていたと思っていたため、戻ってきたことで再び泣き出した。
「リーダーの居場所を教えれば、アリウス自治区に戻れるよう便宜を図ると“彼女”に言われました…」
「…っ!?」
「わ、私はリーダーの言葉に従っただけの存在だから…情状酌量の余地があるのだ、と言っていて…へへ…」
「…そうか。ならば、そうするといい」
「…えっと?」
ニトロゼウスが戻ったことで、ヒヨリはベアトリーチェにサオリを差し出せばアリウスに戻れると取引を持ちかけられたと打ち明ける。それを聞いたサオリは彼女の言ったことを受け入れる素振りを見せると、何故か打ち明けたヒヨリのほうが戸惑っていた。
「私の居場所を“彼女”に伝えて、そのまま自治区に戻れ。そうすればヒヨリ、少なくともお前に迷惑はかからない」
「は、はい!?わ、私は…」
「いつかこんな日が来ると、分かっていた。お前は今までよく私に付き合ってくれた」
「ええと、その…もう断ったんですけど…」
「えっ…」
しかしサオリはヒヨリが戸惑っていることに気付かず、そのまま自分の居場所を伝えて自治区に戻るよう促す。結局ヒヨリは彼女のその姿勢に耐えられなくなり、その申し出を断ったとサオリに告げると彼女は驚いた顔をしていた。
「…な、何ですか、その裏切り者に理解を示すみたいなムーブ。私ってそんなに簡単に裏切ると思われてたんですか?」
「お前、俺に言ったことをもう一回思い出してみやがれ…」
「まぁ、正直不安ではあったぜ」
「酷いッ!!」
ヒヨリはサオリに自分が簡単に裏切ると思われていたことがショックだったようである。それを聞いたニトロゼウスは先ほどの見捨てられたという発言を思い出せと述べた。モホークはヒヨリのその悲観的な性格から有り得ると思っていたようで、その発言でヒヨリはさらに傷ついた。
「そもそも、“彼女”の言葉が本当かどうかもわかりませんし…それに、もう私たちは同じ船に乗った運命共同体のようなものですし…私1人で自治区に戻ったって、何の意味も…。それに…私1人が救われたとして、アツコちゃんは…」
「まぁ、どうせロクなことにはならねぇな」
「わ、私もみんなでアツコちゃんを…姫ちゃんを助けられるなら、その方がいいと思うんです…。それはリーダーだって同じじゃないですか?だから私を助けに来たんですよね?」
「…ああ、そうだ」
そもそもヒヨリはベアトリーチェの言う事が本当かどうかも疑っており、ならばこれまで行動を共にしてきたサオリたちと戦おうと思っていたようである。そして彼女もサオリと同じくアツコを救うことを諦めてはいなかったのである。
「詳しい話は全員集まってからにしよう。先ずはミサキを探さないと」
「…そうですね。ミサキさんなら、この状況をもう少し上手く説明してくれるかもしれないし…」
「でもアイツはヒヨリみたく図太くねぇからなぁ…もう勝手にくたばってるかもしんねぇぞ」
「そこはドレッドボットを信じてやれよ」
「ミ、ミサキさんではないんですね…」
ヒヨリとニトロゼウスと合流したところで、サオリは今度はミサキを探そうと言う。しかし、モホークはミサキの性格上もう死んでいるかもと思ったが、ニトロゼウスはドレッドボットが何とかしてくれると信じているようである。
「ミサキさんがどこにいるかは、なんとなく見当がつきます」
「そうだな…おそらくあそこだろう」
“じゃあ、すぐに出発しよう”
長きに渡って放置された橋
「・・・」
「ここなら…」
“眩暈がするような高さだね…”
「俺の自重で橋がぶっ壊れたらスマン」
「そん時は俺が先生を抱えるから、お前がガキ2人抱えて飛べ」
アリウススクワッド一同はヒヨリが予想していた高い橋へとたどり着く。その高さから当然誰もいるはずもなく、今にも崩れてしまいそうである。この中で一番重いニトロゼウスは、橋が崩れることを考慮してとりあえず先に謝っていた。
「それに、下の川は水深5m以上はある。流れも速いから、堕ちたらまあそのまま水底に沈むことになるだろうね」
「ミサキ」 「ミ、ミサキさん…」
「リーダーにヒヨリ…そして、“シャーレ”の先生にアンタたちか…」
「おいおい…俺たちの名前は呼んでくれないのかよ?」
「悲しいじゃねぇかよ…」
そしてそこに彼女たちが探していたミサキが現れる。ミサキは橋の縁におり、今にもそこから飛び降りそうな雰囲気を纏っていた。
「そっか…そういう選択なんだね、リーダー。まさかリーダーが、ね…それに、先生もそれを受け入れたんだ…。どっちにせよ、予想外だったな」
「そりゃどうも…土下座した甲斐があったなぁ、サオリ?」
「あ、あぁ…」
「でも先生、知ってる?私たちは“先生”を始末すれば、アリウス自治区に戻れる」
「知ってるけどぉ?」
ミサキはサオリがアツコを助けに行こうとしていることと、それを先生が受け入れ一緒にいることに驚く。だがミサキはヒヨリと同じく先生を始末すればアリウスに戻してやるという取引をベアトリーチェから受けており、ヒヨリと違って彼女はその取引に肯定的なようである。
「…いつ後ろから引き金を引くか分からないのに、先生は私たちを信用できるの?しかも、それが“かつて自分を撃った相手”なのに?」
「・・・」
“サオリがその気だったら、とっくに私は無事じゃないよ”
「…そっか」
さらに彼女は自分を殺そうとしていた自分たちを簡単に信用する先生のことが理解できないようである。しかし、先生はサオリが自分と出会ってから今まで一度も殺す素振りを見せないことを根拠に、サオリ達を信じているようである。
「でも、だからといって私は変わらないよ」
“ミサキ、そこは危ない…!”
「ミ、ミサキさん…?」
「姫を救うのは無理。アリウス自治区に潜り込んでどうするの?姫がいるバシリカに辿り着くために、3人と4体で戦うの?アリウスの全生徒と?あの得体の知れないトランスフォーマーと?しかも日が昇るまでに?おそらく“彼女”は、私たちすら知らない武器を用意しているはず。私たちだけじゃ、いくら大人の助けがあったとしても不可能だよ」
だが、ミサキは自分はサオリ達とは違うと言って、橋の縁のもっと近くへと近づく。彼女はアツコを助けるという行為が現実的ではないと考えており、先生の助力があろうと不可能であると結論付けていた。
「もし仮にアツコを救出できたとして、そこに何の意味があるの?帰る場所もないこの世界に取り残されて、泥水をすすって生きるだけの…この無意味で苦しい人生が続くだけでしょ?苦痛ばかりだった姫の人生を引き伸ばして…そこに価値があるの?“全ては虚しいものである”ただそれだけが、私たちが納得できる真実。そうじゃない?リーダー」
「・・・」
「いつもは大して喋らんくせして、相変わらずやらない理由を並べるときは饒舌だな、ミサキ」
「うるさい…アンタに一体何が分かるっていうの?」
「相変わらずヒネたガキだぜ…」
さらにミサキは仮にアツコを救ったところで意味はなく、全ては虚しいだけだとサオリに問いかける。それにサオリは何も答えないが、モホークとニトロゼウスは彼女のその後ろ向きな態度に、そろそろうんざりしているようである。
「それとも、先生…大人であるあなたなら、この答えを知っているの?」
“待って、危ない!それ以上動いたら…”
ドゴォォォン!!ギゴガゴゴ!!
「黙れ、ミサキ」
「ドレッドボット…」
「それで?苦痛だらけのお前の人生もここで終わらせてやろうとでも言うつもりか?そんな脅迫が俺に通じると、本気で思っているのか?」
ミサキは先生にアツコを助ける理由を問いつつ、橋から身を乗り出していく。そしてそれを橋の下で見ていたドレッドボットは飛び上がって橋の上に乗り、しびれを切らして彼女を怒り始めた。
「よく聞けよ、ミサキ。お前がそこから飛び降りるなら、すぐに俺も飛び込んでやるからな。重しを入れてようと無駄だ。何故なら俺たちはたとえ深海の中でも活動できる。たかだが水深5mの浅い川如きで死ねると思うなよ!!」
「そうだミサキ…。今まで何度やっても無駄だったのに、今回は成功できるとでも思っているのか?」
「・・・。まあ、自信は無いかな。ドレッドボットは毎度毎度しつこいし…」
ガタッ…
“ふぅ…とりあえず良かった…かな”
ドレッドボットは橋から飛び降りようとするミサキに対し、すぐに飛び込んで助けると宣言する。この程度の高さと水深では彼にとっては何の障害にもならないのである。そしてドレッドボットはこれまでも何度も自殺未遂を繰り返す彼女のことを止めており、ミサキはそのことを思い出し、飛び降りるのを諦めた。
「…で、結局姫を助けるんだね。わかったよ…リーダーの命令なら、従う。今回も最後までお供するよ、リーダー」
「…ああ、頼んだ」
「はぁ~もう二度とすんなよ」
「ごめんなさい…」
自殺を諦めたミサキはサオリたちの元に合流すると、アツコを助けるという目的を再確認する。そしてドレッドボットはため息をつきながら二度とするなと注意すると、彼女は珍しく謝った。
“そういえばドレッドボットは何でカイザーに捕まったの?やっぱり基地を襲ったの?”
「いや、銀行」
“えっ?”
「コイツ…私に説教垂れてるけど、カイザー銀行を襲いまくった強盗犯だよ」
“・・・”
(ん、銀行を襲う)
先生はドレッドボットのことを知るべく、何故彼がカイザーに捕縛されたのかを尋ねる。ドレッドボットは先生の問いに銀行を襲ったと答え、先生の脳裏に見知った顔が浮かぶのであった。
「さてと…残り1人なわけだが…」
「アイツのことだ…勝手にアリウス自治区に乗り込んだ可能性も…」
「いや、無線には応答してたからそれはない」
「だといいけど」
モホークは最後のメンバーであるバーサーカーと合流を図るべく、動こうとする。サオリは彼の性格から既に単独でアリウス自治区へ向かった可能性を考えるが、無線に応答していたことからそれは無いとモホークは応える。
「バーサーカーさん…姫ちゃんにすごいなついてましたからね」
「あぁ、ぞっこんってヤツだぜ」
“そうなんだ…ちょっと意外かも”
「アイツはアリウスに連れて来られたときは特に荒れててね。猿ぐつわ嚙まされて身体中拘束されてたんだわ」
“そっちは何となく分かるけど”
さらにヒヨリはバーサーカーがアツコになついていたということを話すと、先生は意外そうな顔をする。バーサーカーはアリウスに来た当初はベアトリーチェやセンチネルの命令を無視するため拘束されていたのである。
ブゥゥゥゥゥゥゥゥン…ギゴガゴゴ!!
「そしてそんな俺を救い、解放してくれたのがアツコだ」
“うわっ、いきなり現れた!!”
「こんなどうしようもない俺にも彼女優しかった。アツコは俺にとって光だ。絶対にあのアバズレに生贄にさせてたまるか!!」
「ほんと、アツコのことになると饒舌だなお前…」
そしてバーサーカーのことを話していると、背後から彼が現れ先生を驚かせる。みんなと合流したバーサーカーはアツコのことを熱く語り出すと、モホークはまた始まったというような態度で彼を見つめていた。
「全員合流したことだし、そうと決まったら急ごう…残された時間は約90分。それまでに入り口に辿り着かないと」
「…なるほど。0時まであと一時間半…急ぐとしよう。説明は向かいながらする…行くぞ」
“アリウススクワッド、トランスフォームして出動だ!!”
「「「「トランスフォーム!!」」」」
ギゴガゴゴ!!
ディセプティコン、アリウス自治区へ急行せよ…!!
グチグチ言いながらも何だかんだ彼女たちの側を離れないのは、彼らも彼らなりにアリウススクワッドとの絆を育んだから。
アニメイテッドを完走した感想
OPで特に仲間というわけでもないけどキメ顔してるアーマーハイド
最終話まで出番結構あるのにEDでハブられてロックダウンに取って代わられるラグナッツ