TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
アビドスに戻った後対策委員会は集金記録を確認した。すると、その記録にはアビドスから集めた利子をカタカタヘルメット団に支払い、アビドスを襲撃させていたことが判明した。アビドス高等学校は借金をしているカイザーコーポレーションから何らかの理由で狙われているようだ。
その事実が判明した後、小鳥遊ホシノはとある場所に訪れていた。
「これは、これは」
ホシノが自ら赴いた場所にいたのは黒い服を来た“大人”の男性であった。だがその顔は黒く、所々がひび割れ、片目からは謎のオーラを発している異形であった。
「お待ちしておりましたよ、暁のホル…いや、ホシノさんでしたね。これは失礼」
黒服はホシノに対し丁寧な態度で接する。しかし、ホシノの警戒心が解かれることはない。
「…黒服の人、今度は何の用なのさ?」
「ふふ、状況が変わりましてね。今回は再度、アビドス最高の神秘をお持ちのホシノさんにご提案をしようと思いまして」
「提案?ふざけるな!!!それはもう…!!」
黒服の言葉にホシノは声を荒げて立ち上がる。普段はだらしなくやる気がないような態度を取っているホシノとはまるで違った様子である。
「まあまあ、落ち着いてください」
「…!?」
そんな様子のホシノを黒服はなだめ、椅子に座る。
「…お気に入りの映画の台詞がありましてね。今回はそれを引用してみましょう」
そう言うと黒服の口にあたる部分のヒビが形を変えまるで笑っているかのように変形する。
「あなたに、決して拒めないであろう提案をひとつ。興味深い提案だと思いますので、どうかご清聴ください」
黒服は映画の台詞を言えて満足したのか、
「ククッ、クックックックッ…」
笑い始めた。
一方その頃便利屋は再びアビドスを襲撃するべく事務所で準備を進めていた。
「お、おはよう」
「大丈夫、アルちゃん?げっそりしてるけど」
「何か悩み事?」
アルはげっそりとした様子で事務所のラウンジへ入ってくる。今度の作戦は人を前回の2倍雇い、地の利を生かせる戦場でアビドスを叩く予定である。そのためにハルカは朝早く出かけて爆弾を設置しに行っている。前回よりもしっかり準備を整えているにも関わらずアルの顔色を優れなかった。
「今回の依頼は絶対に成功させなきゃいけないわ…」
「そんなにプレッシャーに感じてるなら全て投げ出して一度ゲヘナに帰るのも手だよ」
アルは後がない便利屋の状況に対しプレッシャーを感じていた。カヨコはそんなアルを慮って、ゲヘナ学園に帰ることを提案する。
「でも今さらゲヘナに帰るのは無理なんじゃない?アルちゃん風紀委員に目付けられてるし」
「でもヒナ抜きの風紀委員会なら…いや、向こうがどれだけディセプティコンを連れてるかによるね」
「へぇ~カヨコっちそこまで考えてたんだ?」
「アビドスもそれぐらい侮れない相手だよ」
カヨコはいつか対決するであろう風紀委員のことをよく研究していたようだ。そしてその分析力でカヨコはアビドスについて正確な評価をする。それゆえに便利屋はここまで綿密に作戦を立てたのである。
「今さらゲヘナに戻るという選択肢は無いわ…かといって…はぁ…」
アウトローが信条のアルはゲヘナに戻らないと宣言するも、依頼のプレッシャーは依然軽くならずため息を漏らしていた。
「アルちゃ~ん、ため息ついてもしょうがないからみんなでご飯食べに行こうよ」
ムツキの提案で便利屋は食事に出かけるのであった。
柴関ラーメン
「来たあ!いただきます!」
「1人1杯…こんなに贅沢していいんでしょうか…」
便利屋一行は柴関ラーメンを訪れ、前回と違い1人一杯のラーメンを頼める幸せを噛み締めていた。
「アビドスさんとこのお友達だろう。替え玉が欲しけりゃ言いな」
「…!?」
優しい柴大将の言葉に何故かアルは顔を顰める。
「こんなに美味しいのにお客さんがいないなんて…」
「場所が悪いんじゃない?廃校寸前の学校の近くだし」
「まぁ、美味しいからいいけど。それじゃいただ…」
アル以外のメンバーがラーメンを食べようとすると、
「…じゃない」
アルが何か言葉を呟く。
「ん?」
「友達なんかじゃないわよぉーーーーーー!!!!!」
どうやらアルは柴大将に友達と思われたことにショックを受けたようで、絶叫していた。
「「「!?」」」
アルの突然の絶叫に他のメンバーは驚いて箸を止める。
「わかった!!何が引っかかってたのかわかったわ!問題はこの店、この店よっ!!」
「どゆこと!?」
陸八魔アル渾身の絶叫に対しムツキは理解が追い付かず、アルのその理由を尋ねる。
「私たちは仕事しにこの辺りに来てるの!ハードボイルドに!!アウトローっぽく!!」
「は、はぁ?」
「なのに何なのよ、この店は!お腹いっぱい食べられるし!!あったかくて親切で!話しかけてくれて、和気あいあいで、ほんわかしたこの雰囲気!ここにいると、みんな仲良しになっちゃう気がするのよ!!」
アルは涙目になりながら早口で周りを気にせず捲し立てる。いきなりの事態に便利屋の他のメンバーは何も言えず、ただアルが感情を爆発させているのを見ているしかなかった。
「で、それの何が問題なの?」
「ダメでしょ!!メチャクチャでグダグダよ!私が一人前の悪党になるには、こんな店要らないのよっ!!」
「・・・。」
この時アルは気づいていなかった。この言葉を口走ったことにより後々とんでもないことになることを。だがそんな事とは知らずまだまだアルの不満は止まらない。
「私に必要なのは冷酷さと無慈悲さと非情さなの!こんなほっこり感じゃない!!」
「いや、それは考えすぎなんじゃ…」
いつもアルを揶揄っているムツキも今回ばかりは困惑顔であった。そんな掛け合いの中、ハルカが何やら思いついたような顔をしている。
「それって…こんなお店ぶっ壊してしまおうってことですよね、アル様?」
「へ?」
ハルカの唐突な自己解釈を聞かされ、さっきまで興奮していたテンションが一気にもとに戻っていく。そしてハルカは鞄から何かのスイッチを取り出した。
「良かった、ついにアル様のお力になれます」
カチッ
そう言ってハルカはそのスイッチを押した。
「ハルカまさかそれっ!!」
「…へ??」
ドゴゴゴゴゴゴーーーーン!!!!!
ハルカが起爆装置のスイッチを押したことにより、柴関ラーメン一体は爆発に包まれ、木っ端微塵になった。
アビドス高等学校
「前方、半径10km内にて爆発を検知!近いです!」
ホシノ以外の対策委員会の生徒はいつも通り学校におり、レーダーによって便利屋の起こした爆発を感知していた。
「し、柴関ラーメンが跡形も無く消えています!」
「はあ!?どういうこと!?何であの店が狙われるのよ!」
「とりあえず確認するためにみんなで向かいましょう!」
突然の異常事態に対し、対策委員会のメンバーは急いで柴関ラーメンに向かうのであった。
「大将…無事でいて…」
対策委員会が柴関ラーメン跡地に着くと、そこには便利屋68のメンバーがいた。
「これをやったの、アンタたちだったのね!!」
柴関ラーメンで働いてるセリカを筆頭に、シロコもノノミも画面の向こうのアヤネも物凄い剣幕で便利屋たちを睨む。
「アンタたち許さない!!絶対に許さないんだから!!」
「…そっ、そうよ!!これでわかったでしょう、アビドス!私がどんなに悪党かを!さぁ、いざ勝負!!かかって…」
ドゴゴゴゴーーーーーン!!!
アルがアビドスに睨まれながらも頑張ってアウトローを貫こうとしているところに、どこからともなく砲撃が飛んでくる。
「な、何?」
ズドドドドーーーーン!!!
ズバババババーーーーーーーーン!!!
そしてその砲撃は便利屋の方へ向かって飛んでくる。
「まさか…」
カヨコはその砲撃について心当たりがあるようで、弾が飛んできた方向を見やる。そして後方で砲撃を解析していたアヤネもその正体がわかったようだ。
「兵力の所属、確認できました!!ゲヘナの風紀委員会!一個中隊規模です!」
そしてさらに何かに気付いたようにアヤネは報告を続ける。
「さらには、前回確認されたディセプティコンのボーンクラッシャーの他にバンブルビーが交戦したというバリケード、その他、乗用車に獣型と鳥型、さらには上空には戦闘機も飛んでいます!!間違いなくディセプティコンの大集団です!!」
「何だと!!」
「『オーマイガー!』」
突然のディセプティコンの出現に、ミラージュとビーの緊張感が一気に高まる。
そのうち砲撃の雨が止み、目の前に風紀委員会と、バリケード、ボーンクラッシャー、サウンドウェーブと他カセットロンがトランスフォームして現れる。
「こちらゲヘナ風紀委員会の銀鏡イオリだ!!便利屋68を大人しくこちらに渡してもらおうか!!」
「ひっ!!」
イオリの言葉に砲撃に震えていたアルは、驚きながら後退する。アビドスのメンバーもこれほどの大部隊を前にして、動きが止まる。
「覚悟しろオートボット共!!今度こそ確実に仕留めてやるぞ!!」
一度はアビドスたちにやられたボーンクラッシャーは、彼女たちに復讐しようと気が立っていた。
「ヤバい!!ヤバい!!マジでヤバい!!」
「『万事休す!!』」
ビーとミラージュはディセプティコンの攻勢に焦りを隠せない。まさかこんな田舎のアビドスでディセプティコンと相まみえるとは思っていなかったようだ。
「で、でも便利屋は私たちで対処するわ」
「ん、アビドスのことはアビドスで。便利屋は渡さない」
しかし、セリカとシロコは怖がりつつも風紀委員会に反抗する。彼女たちはここで風紀委員会の横暴を許せば、アビドスの立場は無くなってしまうということを理解しているのである。
「はぁ…しょうがないなぁ。それじゃあ力ずくでも従ってもらうから」
そう言ってイオリは無線のスイッチを入れる。
「総員攻撃開始!!」
予期せぬ衝突が起こってしまった。
「黒服、“暁のホルス”は確保できるのだろうな?」
「えぇ、彼女は私の提案に乗らざるおえないでしょう」
黒服はホシノとの会談が終わった後、通信で誰かに話をしている。
「アビドスの砂漠化は想定外だったが、ヤツさえ手に入れば装置の起動は問題なく行える。フッ、必死にマトリクスを守っていたプライム共は結局無駄骨だったわけだ」
「カイザーコーポレーションにも協力させて例の装置の発掘を進めています。そちらも、もうじき…」
黒服と通信相手はアビドスで何かをしようとしているようだ。どうやら、そのためにホシノの『キヴォトス最高の神秘』の力を利用しようと企んでいた。
「聞けば“暁のホルス”は故郷を取り戻したそうではないか。フッフッフッ、他にやりようなどいくらでもあるだろうになぁ」
「それが“子供”と“我ら”との違いです」
借金返済を目指す対策委員会を嘲笑うかのように2人は話を続ける。
「俺はなりふり構わず故郷を取り戻してみせる!!そのためにこの星の連中がどうなろうと知ったことではないわ!!」
誰にも知られぬままに、キヴォトス滅亡の危機がすぐ近くにまで迫っていた。
映画履修してれば誰だかわかるはず
あとヒントとしては砂漠、エジプトモチーフ