TRANSFORMERS Blue_Archive   作:H2O(hojo)

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サオリとミカの話になるので最初と終わり以外トランスフォーマーが全然出ません。そして元からここの話は長いので結構長いです。
あと前回入れるはずだったウルトラマグナスとホットロッドのシーンから始めます。


もう一人の私たち

アリウス旧校舎

 

「君の追っている人物の反応があるというのはここか?」

 

「あぁ、アリウス自治区は暗くて薄気味の悪い場所だが…ここは特に薄気味悪いな」

 

「しかし、発信機があって良かったな。これがなければ我々は今でもあの迷路の中で迷っていただろう」

 

「だが、その代償に彼女に嫌われてしまった…」

 

「なに、再開したらまた謝ればいいさ」

 

スクワッドたちとミカから少し遅れてアリウス自治区へと入ったホットロッドとウルトラマグナスはミカに付いている発信機の情報を追って何とか迷路を抜けて旧校舎の前へとたどり着く。発信機をミカに付けて拒絶されたことをまだ気にしているホットロッドを、ウルトラマグナスは何とか励ましていた。

 

「行こう」 「あぁ」

 

ギゴガゴゴ!!ブゥゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

ホットロッドとウルトラマグナスは旧校舎の地下回廊へと向かった。

 

 

 

 

 

至聖所

 

ジッ…ジジジッ…!!

 

「映像が乱れている…?何故?私はアリウスの全てを掌握しているというのに、回廊の様子が感じ取れなくなっていく…」

 

「・・・」

 

「このまま彼女たちがここにやって来たところで私が敗けることなど万が一にもありませんが、この自治区で私の思い通りにならない事が起こるのは不愉快です。即刻原因を突き止めなさい」

 

キュォォォォォン…

 

「儂も向かおう。ウルトラマグナスとオートボット1体が回廊に入った。ディセプティコン諸共儂が始末する。そこの3人も儂に付いて来い」

 

「聖女バルバラも向かわせます。クックックッ…今や彼女たちは袋のネズミ、その希望を木端微塵に打ち砕いてあげましょう」

 

至聖所でミカとサオリの対決を見ていたベアトリーチェたちだったが、突然映像が乱れ出はじめ様子が分からなくなってしまう。その様子に不快感を覚えたベアトリーチェはすぐさま聖徒会を呼びだし、原因の解明に向かわせる。さらにはセンチネルがテラーコンを率いて向かいだし、ベアトリーチェも切り札である聖女バルバラを向かわせる事態になっていた。

 

「この感じ…まさか…」

 

「オイ、どうしたんだよスカージ?」

 

「アンタ…何も感じないのぉ?ちょっとそれは鈍感過ぎなんじゃないの?」

 

「アァン!?」

 

一方のテラーコンは先に向かったセンチネルの後ろについていっている最中、何か違和感のようなものを感じていた。しかし大雑把な性格のバトルトラップだけはそれに気づいていないようで、ナイトバードにバカにされていた。

 

「この気配…奴だ」

 

「ヤツ…?」

 

「我々を一度、宇宙の彼方へと追いやった忌々しいあの連中だ…。まさか生き残りがいようとはな」

 

「馬鹿な…奴らは俺たちを宇宙に飛ばす代償にその命を散らしたはずではなかったのか!?」

 

「けど…アレは間違いなくそのヤツの気配よ。私たちがそれを間違えるはずが無いでしょう」

 

スカージとナイトバードが感じた気配と言うのは、どうやら彼らが一度キヴォトスに襲来した際に自分たちを追い返した者たちのようである。だが彼らはテラーコンを宇宙に彼方に飛ばす際に命を散らしたはずであり、生きていることに驚いていた。

 

「回廊の映像が乱れたのは恐らくヤツのせいだろう…生きていたのならば再び殺すまで」

 

「えぇ、ユニクロン様の顕現を邪魔する者は排除しないと」

 

「今度こそぶっ殺してやる…!!」

 

テラーコン、地下回廊へと突入。

 

 

 

 

 

地下回廊にて

 

サオリはミカと戦う中で途切れそうになる意識の中、自分の過去を走馬灯のように思い出していた。

 

「こっちだよ、ヒヨリ、ミサキ。ここに隠れよう」

 

「さ、サオリ姉さん…」

 

「しーっ!静かに。もっと頭を下げて」

 

「は、はいぃ…ところで、あの中央にいるのは誰ですか?す、す、すごく綺麗な服を…き、着てるけど…」

 

「私もよく知らない…えらい人なんじゃないかな」

 

これはスクワッドたちがまだ幼かった頃、ベアトリーチェが来る前の内戦をしていた時期の記憶である。そしてアツコ以外の3人は貧民街で物盗りをしながら貧しく暮らしていた。

 

「お姫様なんだって。高貴な血を引いているとかなんとか」

 

「お、お姫様!?お姫様なんですか?よ、世の中にはお姫様もいるんですね?わ、私たちのような底辺とは違って…。飢えたりもしないだろうし…怪我もしないだろうし…み、道端で寝たりもしないですよね…?そうですよね?」

 

「う、うん…そうなんじゃない?」

 

「この世には苦しみしかないと思っていたのに…あんなにきれいで、幸せに過ごせているお姫様もいるんですね…なんだか感動です。うわぁぁぁんー!」

 

そした3人は今日も生き抜くべく、アツコが何処かへ護送する行列へと密かに近づいている。するとヒヨリは唐突にアツコのその綺麗な姿を見て感動して泣き始めた。

 

「きゅ、急に泣かないで!バレるでしょ!」

 

「す、すみませんサオリ姉さん…うわぁぁぁん!でも…うえあぁぁぁん!」

 

「…お姫様っていっても私たちと変わらない境遇か、もしかしたらそれ以下の扱いだと思うよ」

 

「…?」

 

「パレードに見えるけど、あれは人質を敵に送る行列だよ。内戦中だからなのかな…こんな事もあるんだね。あのお姫様も、きっと監獄で飢えることになる。食べ残しをもらえたらラッキーなくらいの生活になるよ」

 

泣いているヒヨリをサオリは慌てて止めようとするが、彼女は泣き止まない。しかし、ミサキのアツコの見方は後ろ向きで、彼女は人質として苦しむだろうと予想していた。

 

「ひ、ひぃぃぃ…」

 

「やめて、ミサキ。ヒヨリが怖がっているでしょ」

 

「…で、どうするのサオリ姉さん?ここまで来たのに見物だけして帰るつもり?」

 

「いや、当然襲うよ。あの人だかりに紛れ込んで、役立ちそうなものを拝借する」

 

ガチャ…

 

「さあ、行こう」

 

幼いヒヨリはミサキの言葉を聞いて怖がってしまう。そんな彼女を横目にミサキはこの後の自分たちの行動についてサオリに問うと、彼女はアツコたちの行列を襲うために人込みに紛れて行動を開始するのであった。

 

 

 

 

 

パァン!!

 

タッタッタッタッ…!!

 

「やめろ!!」

 

「どけ、第8分隊長」

 

「ヘイローを壊すつもりなのか!?やめろ!!」

 

「ど、どうか…どうか、もうやめてください…うっ、うぅっ…」

 

次の場面は訓練の場面であった。命令に背いたアリウス生に制裁を加えようとする大人に対し、サオリはその子のことを庇うように前に立った。傍にいたヒヨリは大人が激昂する姿を見て、大いに怯えていた。

 

「あいつは我々に抵抗したから当然だ。退かなければ、お前らも同じ目に遭うことになるぞ」

 

「ゲホ、…ゲホ。笑わせないで…だれが…」

 

「こいつ、よくも!!」

 

「待て!!」

 

アリウスの幹部は自分たちに抵抗したことに腹を立てているようで、その少女に暴行を加えようとしていた。さらにはその少女も抵抗を止めようとしないため、一触即発の事態になりそうなところをサオリが必死に止める。

 

「…私が、指導しよう」

 

「指導…?」

 

「…また無駄なことを」

 

「ヒヨリも、ミサキも私が指導した生徒だ。姫も同じく…皆、成績が良いだろう?だから、任せてくれ…私が責任を持ってこいつを指導する」

 

そしてサオリはその大人に反抗した少女を指導すると言い出す。そんなサオリにミサキは無駄なことだと呆れるが、サオリはスクワッドの面々を例に出し、頑として譲らなかった。

 

 

 

 

 

その後

 

パチィン!!

 

「…痛い」

 

「ミサキ…二度と、二度とそんな事をするな!絶対にだ…!!」

 

「どうして?」

 

「なに…?」

 

「どうしてダメなの?なんで、こんな意味のない苦痛の中で生き続けなきゃいけないの?」

 

サオリはミサキが自分の腕を刃物で傷つけているのを偶然見つけ、その頬を叩いて激昂する。二度とするなと言ったサオリに対し、ミサキは何でと答えサオリは不可解な顔をする。

 

「…寒くて、空腹で、辛くて。ただ苦痛が繰り返される日々なのに。どうして姉さんはこの無意味な苦痛を私たちに強要するの?それに一体何の意味があるの?」

 

「そ、それは…それ…は…」

 

「ほら、答えられないじゃん。何でも知ってるフリをして、姉さんだって私たちと同じくせに」

 

タッタッタッタッ…

 

「…み、ミサキ!待て…待て!わ、私は…」

 

ミサキはこの苦痛に満ちた無意味な人生に耐えかねており、サオリがそんな苦痛を強要する意味を問う。しかし、サオリはその問いに答えられず、結局ミサキは呆れて何処かへ行ってしまった。

 

 

 

 

 

「…許してください…申し訳ございません…。二度と…二度とこのような事は…。二度と、大人の言葉を破りません…反抗しません…将来に希望を抱かないよう努めます…。二度と幸福を望みません…祈りません…。だから、どうか…どうか…慈悲を…慈悲を…」

 

次の記憶はサオリが大人の言う事を聞かなかったことにより、牢屋に入れられ折檻されていた時の記憶である。彼女は牢屋で大人のことに怯え、泣きながら慈悲を乞うていたのである。

 

 

 

 

 

「なぁ~俺たちこれからコイツらの御守りをしなきゃいけねぇの?」

 

「しゃあねぇだろうよぉー、俺たちヘマやらかして、あのババアのところに売られちまったんだから」

 

「な、何なんだお前たちは…!」

 

「あぁん!?俺たちはこの惑星を支配しにきた泣く子も黙るディセプティコンだぜ!!」

 

「取っ捕まって、生殺与奪の権を握られてるのにその自己紹介はダサすぎるだろ」

 

サオリが次に思い出したのは、初めてディセプティコンの4人と会い、共にチームを組むことになったときの記憶である。彼女たちは初めて見た、金属生命体であるディセプティコンに困惑していた。

 

 

 

 

 

「…どうしてそこまで抵抗するんだ、アズサ?和解の象徴…?いや、それは欺瞞に過ぎない。お前はそんな存在ではない。お前が準備し、勉強してきたことはすべて“その任務”のためだ」

 

「だから、諦めて受け入れろ…すべては虚しいだけなのだから」

 

「アズサ…?」

 

「今、何と?待て…」

 

「ど、どこへ?アズサ!待て!何を…お前はどこに行くんだ?私たちはまだ“ここ”にいるのに…」

 

そしてサオリはアズサの事を思い出す。アズサはサオリが全ては虚しいという言葉を説き続けたにも関わらず、立ち上がり何処かへと消えてしまう。それを見てサオリは大慌てで止めようとするが、アズサは止まってくれなかった。

 

「アズサ…」

 

「お、お前は…知ったのか?お前には…その答えが分かっているのか…?」

 

「教えてくれ、私は…」

 

「私は一体…どうすれば…」

 

 

 

 

 

地下回廊

 

「…アズサ」

 

「…アズサ?」

 

「…!!く、ぐっ…」

 

バタッ…ガサッ…

 

「…う、ぐっ」

 

バタンッ…!!

 

そしてサオリはようやく意識を現実に戻すと、先ほどまで見ていたアズサの心象風景に影響されてか、彼女の名前を呟く。サオリはもはや立ち上がるのももたつくほど傷ついていた。

 

「…その傷じゃ無理だよ、サオリ」

 

「…そうか。そうだな…私は負けたのか。…もういい」

 

「もう、いい…?」

 

「…ああ、これ以上もう、何が正しいことなのか分からない」

 

そしてその傷だらけのサオリのことを見て、ミカはこれ以上戦うのは無理だと彼女に告げる。それを聞いたサオリは諦めたようにもういいと呟いていた。

 

「今まで、これが正しいと思って突き進んできた…だが、いざ振り返ってみたら、すべてが間違っていた…」

 

「…白洲アズサ」 「…?」

 

「あなたはアズサちゃんに、何を聞きたかったの?」

 

「…聞いていたのか」

 

サオリはこれまで自分が歩んできた道のりを振り返り、全て間違っていたと呟く。するとミカは彼女がアズサの名前を呟いていたことが、気になり彼女の事をサオリに聞き始めた。

 

「補習授業部のアズサちゃん。そもそも私のクーデター計画を手伝うために選ばれたスパイだったでしょ?先生の助けがなければ、ただの駒の1つだったはずなのに…」

 

「…アズサは。もともとスパイとして選んだわけではない」

 

「…えっ?」

 

ガバッ…

 

「あの子は…“和解の象徴”になる予定だった」

 

「なっ…」

 

ミカにとってアズサは自分のクーデターを成功させるためのただの駒の1つとしか認識していなかった。しかしサオリ曰く、彼女はスパイとして選んだのではなく平和の象徴になるために選んだと聞かされ、ミカは大いに驚いた。

 

「トリニティとアリウスの…最初にその表現を使ったのはお前だったな、ミカ」

 

「何を言ってるの…それは…うん、思い出したよ…先生を騙すために適当に言い繕った…」

 

「…いや。お前が初めて訪ねてきた時に使った言葉だった」

 

そして平和の象徴という言葉をはじめに使ったのはミカのほうであった。彼女自身はただ先生を言い繕うために使った言葉だと答えたが、サオリはそれよりも前に彼女がその言葉を口にしたことを覚えていたのである。

 

「セイアの襲撃が起こる前…そもそもエデン条約も、お前のクーデター計画も、そして恐らくセンチネル・プライムの計画も、何一つ計画されていなかった頃」

 

「・・・」

 

「お前はあの時、アリウスと和解したいと言った」

 

こうして二人はミカが初めてアリウス自治区へと訪れた時の事を思い出す。

 

 

 

 

 

「はじめまして☆誰だか知らないけど、あなたがアリウスの生徒だよね…?今日、とてもいい天気だね?すごくのどかで…」

 

「用件だけ言え、トリニティ」

 

「うわぁ…アイスブレイクとか嫌いなんだね。うん、じゃあ仕方なく本題から」

 

タッタッ…

 

「私は、あなた達アリウスと和解したい」

 

「和解…?」

 

最初に2人が出会ったとき、ミカは相変わらずの調子でサオリに接していた。一方のサオリは警戒心を露わにして、ミカに用件だけ言うよう促していた。そしてミカがアリウスと和解したいと口にすると、彼女は驚いた顔をした。

 

「うん。ちょっと過激な主張かもしれないけど、でも…あなた達は多分、まだ私たちを憎んでいるよね?だから私たちの助けも、連邦生徒会の助けも断って、秘匿された自治区で孤立しているんでしょ?過去の憎悪が残っているから」

 

「・・・」

 

「でも、これを解決するには…互いの憎悪が大きすぎる…それに、積み重なった誤解も相当だろうし…まぁ、簡単じゃないよね。ナギちゃんも、セイアちゃんも反対するのは当たり前だよ…」

 

「・・・」

 

「でもさ…仲良くするって、そんなに難しいのかな?お互いに少しずつ歩み寄れば、いつかは叶うものじゃない?私はそう思うの…だから、少しずつ努力しようと思って、ここに来たの」

 

ミカは今回もその衝動的な行動力によって自力でアリウス自治区へとたどり着き、和解をしたいとサオリに持ちかける。過去の憎悪を水に流して、アリウスと仲良くしたいと思い立ちここまでやって来たのである。

 

「…その言葉が本心であると、どうやって信じろと?」

 

「うん…その反応も理解できるよ。だから、考えてみたの。あなた達アリウスの生徒1人をトリニティに転校させるのはどうかな?もちろん内緒で。私が後見人になれば何とかなるよ。こう見えても、私はティーパーティーだからね」

 

「・・・」

 

「それで、アリウス生が何の問題もなく、私たちの学園で仲良く過ごしながら幸せになれるということを証明するの。言わばその子が“和解の象徴”になってくれるってこと。どうかな?」

 

しかしサオリはミカの言う事が信じられないようである。そんなサオリに対し、ミカはアリウス生をトリニティに送り込むことによって、その和解を実現させようと提案した。そのアリウス生こそが“和解の象徴”になると信じて。

 

「…荒唐無稽な計画だな」

 

「で、でも…そんな存在がいたら、きっとセイアちゃんも、ナギちゃんも納得してくれると思うんだ!」

 

「・・・。いいだろう。だが、私1人で決められる問題ではない。次の連絡を待ってもらうことになる」

 

「え?ちょ、ちょっと待って!そんな子、本当にいるの?」

 

「・・・」 「?」

 

カツカツカツ…

 

ミカの話を聞いたサオリは、彼女の計画を荒唐無稽だと吐き捨てる。だがそう言われてもミカは引き下がらずに何とか説得しようとすると、サオリは何か考えがあるようで、ミカに次の連絡を待つよう告げて、何処かへ行ってしまった。

 

 

 

 

 

その後

 

「アズサ、任務だ」

 

ガチャ…

 

「…なに?」

 

ここでサオリが和解の象徴として選んだのは、かつて大人に歯向かい殴られていたアズサなのである。

 

 

 

 

 

ベアトリーチェの部屋

 

「和解?呆れるほど純真無垢な発想ですね。罠でなければおかしいくらいです。ふむ…まあ、急ぐことはないでしょう。無垢なのか、それとも腹黒い蛇なのか、ひとまず見守ることにしましょうか」

 

「はっ…」

 

「一旦断ってください。そして適度に言いくるめて関係を保ち、トリニティの情報を得なさい」

 

「それは断るという…事ですか?」

 

「もちろんです。和解の象徴?何を寝ぼけているのでしょう。彼女は、トリニティの情報を得る道具として利用して差し上げましょう」

 

ミカに会った後サオリはベアトリーチェの所へ赴き、先ほどの出来事を彼女に報告する。それを聞いたベアトリーチェは呆れつつも、ミカに何か裏があったことを想定して今後の対応を指示した。

 

「サオリ…何か問題でもありますか?まさか私の許可を得ず、何か準備でも?」

 

「い、いえ…違います、マダム」

 

「まさか、忘れてはいませんよね?あなた達が苦しんでいる理由を…寒さに震え、飢え続ける理由の根源を?」

 

「…はい。それはすべて私たちを追放したトリニティのせいです」

 

「ええ、仇と和解なんて未来永劫あり得ません。ゆめゆめ、その憎悪を忘れぬように」

 

「はい、マダム。私は憎悪を忘れません」

 

サオリの報告を聞く中で微妙に気まずそうな彼女の変化に気付いたベアトリーチェは、自分たちが誰のせいでこのような生活をしなければならないのか再確認させる。そしてサオリはベアトリーチェの望む答えを、ただ考えずに答えるのであった。

 

 

 

 

 

地下回廊

 

「何故だったのかは私もよく分からない…でもアズサなら…あの、アズサなら…。私は…アズサにそんな存在になってほしいと思っていたのだろう…」

 

「・・・」

 

「だが、それを確認できる機会は永遠に来なかった…」

 

自分が何故アズサを選んだのかは、本人もついぞ分からなかったようである。ただ、アズサには“平和の象徴”になれる存在だとサオリは信じていたのである。

 

「そしてお前がセイアを傷つけようとした時…マダムはその機会を逃さなかった。セイアはマダムにとっても目障りな存在だったから」

 

「・・・」

 

「お前は私たちを便利な私兵くらいに思ってたのだろう。そうでなければ極秘であるセイアの位置を教えるはずがない」

 

「・・・」

 

「だが、私たちはそんな便利な存在なんかじゃない。“ヘイローを壊す方法”を学び、訓練し、その道具を持っている…人殺し集団だ」

 

そしてアリウスにセイアの居場所をまんまと教えてしまったミカは、当然それをベアトリーチェに利用されセイアを傷つけてしまう。そしてそれを行った側であるサオリは、自分たちのことを訓練された人殺し集団だと自嘲するのであった。

 

「“ヘイローを破壊する爆弾”でセイアを殺す任務が私たちに下った。アズサは…和解の象徴となるべくトリニティの多くの知識を持っていたから、その任務に投入されることになった」

 

 

 

 

 

アリウス自治区

 

「…ナギちゃんが変なことを企んでる」

 

「・・・」

 

「セイアちゃんが死んでしまってから気が抜けちゃったみたい。ゲヘナと平和条約だなんて、全く。ナギちゃんったら…」

 

タッ…

 

「だから…そう。この前私が提案した計画を初めてほしいな。トリニティ内部にスパイを送り込むの。セイアちゃんの時とは違って、慎重な方法でね」

 

セイアを昏睡させた後、ナギサはエデン条約締結に向けて動き始める。ゲヘナ嫌いのミカは当然それを許すはずもなく、ナギサを止めるためサオリと次の計画に向けて動き出す。

 

 

 

 

 

地下回廊

 

「ミカ…私はお前のことが理解できなかった。一体何を望んでいるのか、全く見当がつかなかった。ただ単にバカなのかもしれないとも思った…だが、もしも本当にそう思ってくれているのなら…お前から“和解”という言葉を初めて聞いた時も…何の譫言だと頭では理解しつつも…もしも、“そんな未来”が私たちにあるのなら、と…。そんな考えを、完全に消すことはできなかった…」

 

「・・・」

 

「ミカ、お前は…本当に、心から私たちと和解したかったのだろう」

 

「・・・」

 

「お前は善意を持って私たちを訪ねてきた。そんなお前の心を踏みにじり、騙し、この地獄に導いたのは私だった」

 

一度は協力して共に目的のために動いていた2人だったが、サオリのほうはミカが何を考えているのか全くもって理解できなかったようである。しかし、エデン条約の調印式を襲撃した後、先生と出会い色々な経験をした今となっては、サオリもあの時のミカの気持ちを理解できたようだ。

 

「そして、お前はこの地獄を受け入れられなかった…だから、自分自身の記憶に蓋して否定した。そう、お前だけじゃなく…。姫が声と顔を隠して生きなければならなかったことも、ヒヨリとミサキをスクワッドに引き込んだことも…“和解の象徴”ではなく、“人殺し”として…皆を欺いて踏みにじられなければならない“スパイ”として、再びトリニティに送られたアズサも…すべてが私のせいだ」

 

ガリッ…

 

「私は…猟犬なんかじゃない。私は…周囲のすべてに苦痛を撒き散らす…疫病神だ」

 

一方のミカは自分がしでかしてしまったことを受け入れられず、このような暴挙に出たのだとサオリは理解する。そしてそれは自分も同じだと言って、今まで自分のやってきた行いのせいで多くの人間が不幸になったと言い、自分は疫病神であると形容した。

 

「アズサに聞きたかったこと、か…そう…あったな…」

 

「そのすべてを押し付けられたにも関わらず、アズサは…幸せそうに見えたんだ」

 

「誰にも感情を表さず、私たちを最後まで受け入れず、孤独を貫いていたあのアズサが…。水底の貝のように固く心を閉ざしていたあの子が…」

 

「友達と…トランスフォーマーたちと…大人と一緒に力を合わせて…最後には、苦難を乗り越えて…。晴れやかで幸福に満ちた青空の下に…進んで行った…」

 

そして先ほどミカが言っていたアズサのことを思い出すと、自分がスパイの役目を押し付けたにも関わらず幸せそうに見えた彼女が不思議に見えたようである。彼女はトリニティを裏切り、アリウスを裏切ったにも関わらず、出会った友達と共に幸せに過ごしているという事実を、サオリは羨ましく感じていた。

 

「私はアズサにそんなものは偽物だ…全ては虚しく消えていくだけだと言い続けた…。しかし…結局、認めざるを得なかった…」

 

「ああ…そうか。私たちの憎悪も…“すべては虚しいもの”という言葉も…やってきたすべてが…全部、嘘だったんだ…」

 

「愚鈍で惰弱だった私は…疫病神のように周囲を破滅に追い込んだんだ…」

 

「嗚呼、結局そういう事だったんだな。全て、私が原因だった。アズサは私から離れられたから幸せになれたんだ。私は、その真実を最後まで否定したかったんだろう…」

 

「アズサ、お前なら…正解が分かるのか?アズサ…私は…。幸せに、なれるだろうか?」

 

そんな感情を否定したくて、サオリはエデン条約襲撃時執拗にアズサをつけ狙った。しかし、彼女自身自分が疫病神であることを認められなくて躍起になり、結局周りを破滅に追い込んでしまったということを、サオリはようやく認めたのである。そして、サオリは幸せになったアズサのように、自分もそうなれるのかを彼女に聞きたかったようである。

 

「どうすれば、私もお前のようになれるのだろうか。そんな機会は存在するのだろうか?私が、そんなことを願ってもいいのだろうか…?もし…私が…」

 

「…いい大人に、もう少し早く出会えていたら…。こんな私にも…他の人生があったのだろうか…」

 

「私にも…そんな…機会が…アズサ…お前はあの時…何と言っていたんだ?」

 

「モホーク、ニトロゼウス、ドレッドボット、バーサーカー…もっとお前たちのことを信頼していれば…頼っていれば…少しはマシになったのだろうか…」

 

「私は…それを…」

 

さらにサオリは自分がアズサに感じていた想いを打ち明ける。自分も少し違っていればアズサのようになれたのだろうか、もっと早く先生に会っていれば、もう少しディセプティコンたちを信頼していればと、後悔を口にしていた。

 

「…ミカ。もう、この有様だ。…好きにするといい。お前が奪われた分だけ、奪うといい。優しい心を持っていたお前を…憎悪の“魔女”にしてしまったのは、他でもない私なのだから。私は他人からたくさん奪ってきた…これで少なくとも公平になるだろう…」

 

「・・・」

 

「ああ…この役目が来るとしたら、アズサだと思っていたのだが…お前だったんだな、ミカ」

 

ガタン…

 

「…?」

 

「…わ、私は…私には…できない」

 

そしてサオリは全て語り終わると地面に倒れ込み、ミカに好きにしろと降服する。そして自らの運命を受け入れるが、ミカは彼女の話を聞いて武器を手放し泣いていた。

 

「そんなこと、できない…だって…私も…あなたみたいに、そんな機会を望んでいたの…私も…幸せになりたかった…」

 

「私も、あなたのように…先生にもう少し早く会っていたら。そうしたら…過ちを取り返せたのかな…って思ってた…」

 

「あの時…ホットロッドの言う事を聞いてトリニティに戻っていたら…少しはマシな…」

 

「これは当然の罰だと受け入れていた…でも、やっぱり慈悲がほしいと、数えきれないほど祈った」

 

「でも…無駄だったの」

 

ミカはサオリの話を聞いて、自分も彼女と同じなのだと理解する。彼女も先生ともっと早く出会っていれば、ホットロッドの言う事を聞いていればと後悔しており、慈悲が、許しが欲しかったのである。

 

「私が犯した取り返しのつかないことの数々を、どうすれば許されるのか、全然わからない…」

 

「二度目のチャンスが…先生やみんなが私のために集まってくれて…やり直すことができる。そんなチャンスが、私にもあるって信じてた…でもなかった…そんな未来はなかったの…」

 

「すべてが虚しいことばかりのこの世界で、ただ救いを願って苦しむだけだった…」

 

「あなたは…私だよ、サオリ…あなたは幸せになれない。私が幸せになれないのと同じように」

 

「そんなの無理だよ。もう取り返しがつかなくなってしまった私たちに、二度目のチャンスなんてあるはずがない」

 

彼女は救いが欲しかったのである。自分が許されるチャンスが欲しかったのだ。だがしかし、セイアは再び昏睡状態に陥り、そのチャンスも露と消えたためサオリに復讐することでしか、自信の感情を発露できなかったのである。

 

「だから、私はあなたに“公平”痛みを願っていたのかもしれない…」

 

「でも、だからこそ…私にはできない…」

 

「私が、あなたの結末をこんな風に決めてしまったら…」

 

「私に救いなどないと、自ら証明する事になってしまう…」

 

ミカはサオリが自分と同じであると認め、だからこそサオリを倒すことはできないと苦しむ。彼女を倒してしまえば、自分にも救いが無いと言う事を証明してしまうからである。

 

「ミカ…お前は…」

 

「ねえ、どうして“ヘイローを壊す爆弾”を使わなかったの?」

 

「…!!」

 

「あなたが持っているって聞いたよ…使うチャンスは十分あったじゃない?どうして使わなかったの?」

 

ミカの本心を聞いたサオリは、先ほどまでの変わりように驚く。さらにミカは何故“ヘイローを壊す爆弾”を自分に使わなかったのかと彼女問うて、さらに彼女を困惑させた。

 

「それを使ってくれていたら…私は…」

 

「それは…そもそも私は持っていない。先生に、没収されたから…」

 

「…え?没収?先生に?え、どうして…?」

 

ミカは“ヘイローを壊す爆弾”を使っていっそ自分を殺してくれればと思っていたようである。しかし、ミカの思惑とは違い、爆弾は先生が没収していたのである。

 

タッタッタッタッ…

 

“危険なものは先生が没収するよ”

 

「!?」 「せ、先生…!?」

 

「せ、先生…ど、どうしてここに…!?」

 

そしてそんな最中、先生が2人の元へと現れる。先生が来るとは思っていなかった2人は、その場に現れた彼を見て動揺していた。

 

「先生…姫を助けに行ったんじゃ…?」

 

“もちろん行くよ。サオリと一緒に”

 

「ごめんリーダー…説得したけど止められなかった」

 

「リーダー…無事でよかったです…いえ、無事じゃないですね?と、とにかく、よかったです…」

 

「ハァ…ハァ…こんなに必死で走ったのは生まれて初めてかもしれねぇ!!」

 

「ハァ…ハァ…お前らはビークルモードで走行できるんだからいいだろ…!!ハァ…ハァ…俺は飛べねぇから走りだぞ、走り!!」

 

サオリは当然先生を助けに行ったと思っていたようだが、先生はサオリを助けることを優先したようである。ミサキとディセプティコンも彼を止めようとしたようだが、彼は頑として聞かなかったようだ。そして彼の願いを叶うためにディセプティコンは必死こいてサオリの元へ向かったようである。

 

「ハァ…ハァ…途中で先生たちに再開できて良かった…。もう手遅れになっているかと…」

 

「ホットロッド…どうして…ここまで」

 

「君、発信機を取り忘れていただろう。それのお陰で君たちを辿れたというわけだ。ホットロッドに感謝するんだな」

 

「だ、誰…?」

 

そして先生たちがサオリの元へ向かう途中でホットロッドたちと合流したようで、想定より早く彼女たちの元へ辿り着いたようだ。何故ここまで来れたのか分からないミカに対し、ウルトラマグナスは発信機のことを説明した。

 

「おっと、自己紹介がまだだったな。私はウルトラマグナス、元エリートガードで今はオートボットの捕虜だ」

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

「お前そっち側だったのかよ!?」

 

「あぁ…だがホットロッドの嘆願によって、私は命を助けられた。そして、オプティマス・プライム司令官に命じられ、センチネル・プライムの行方を探すべく、はるばるここまで来たというわけだ」

 

「ここまで堂々と語られると逆に批判しずらいな…」

 

そんな中「コイツ誰…?」といった視線を感じたウルトラマグナスは、自己紹介をすると一同はエリートガードという言葉を聞いて警戒する。そんな彼らに彼はここまでの経緯を正直に説明することで、みんなの警戒をとりあえず解かせるのであった。

 

“サオリと戦ったんだね、ミカ”

 

「せ、先生…えっと…」

 

“ごめんね、ミカ”

 

「せ、先生…!?」

 

先生はミカのほうへ向き直ると、サオリと戦ったことを確認する。来るはずのなかった先生が来たことによって、ミカは先生に後ろめたい気持ちがあるため叱られるのではないかと目を逸らす。しかし、先生の口から出てきたのは謝罪の言葉であった。

 

“ミカと向かい合って、きちんと話をしなければならなかったのに…”

 

「ど、どうして先生が私に謝るの…?先生は悪くないよ…悪いのは私でしょう!?それなのに、どうして…」

 

“生徒の命が懸かっていたから、サオリの手伝いをしているんだ”

 

「・・・」

 

「そうか…そういう事情が先生にはあったのか…」

 

先生はミカがアリウス自治区へと繋がる扉に入る時に、きちんと事情を説明できなかったことを謝罪すると、ミカは自分が悪いはずだと彼に訴える。そして生徒の命が懸かっていたと説明すると、ホットロッドはあの時の先生の態度に納得した。

 

“だから…アツコを助けたら、一緒にトリニティに戻ろう”

 

「…!!ど、どうして…そんな事したって、何も変わらないのに…。私は…退学が決まってて…セイアちゃんも、私のせいで…」

 

“私が手伝うよ”

 

「…!!」

 

“ミカが直面していること、状況、望んでいた事…。私はミカがどんな子なのか、知っているから”

 

そして先生は相変わらずミカにトリニティに帰ろうと手を差し伸べるが、ミカのほうはそれに否定的である。だがそれでも先生は、彼女に手を差し伸べることを止めない。

 

「あはは…先生は何を言ってるの?私がどんな子なのか知ってる…?私の何を、知ってるの?」

 

「ミカ…」

 

「私は…“魔女”だよ。何か勘違いしてない?先生、ちゃんと私を見てる?この姿を…私が犯した罪を」

 

“そうだね…ミカは悪い子だ。人を騙し、己を偽り。人を傷つけ、己を痛みつけ”

 

ビクッ!!

 

“そんな事をしておきながら、結果を受け入れる事ができずに泣いてしまう…そんな子だ”

 

何どもしつこく手を差し伸べようとする先生に対し、ミカは自分は魔女だと言って何とか先生を拒絶しようとする。しかし、先生はそんなミカの性格も全て受け入れ、その上で彼女を助けるという選択をしているのである。

 

“でも、和解の手を差し伸べようとする優しさも持ち合わせているし、嫌われる事を恐れて自傷してしまう、不安定な子どもでもある”

 

「!?」

 

“ミカは魔女じゃないよ。ミカは、人の言う事を聞かないだけの不良生徒だ”

 

「だがもう少し、勝手な行動は抑えてくれ。振り回されるこっちだって結構大変なんだぜ?」

 

“だから…ちゃんと、話を聞かせてほしいな”

 

そして先生はミカの良い所と弱い所を指摘すると、彼女は恥ずかしがって顔を赤くする。そして自分で魔女と名乗るミカに対し、それを否定し話を聞かせて欲しいと歩み寄った。

 

「なんで…そのまま、振り向かないで行ってくれたら良かったのに…どうして私を苦しめるの…?こんな…最後まで…。まだ私にチャンスがあると信じさせるの…?」

 

“大丈夫、ちゃんとあるよ”

 

「…?」

 

“チャンスは、なければ作り出せばいいからね”

 

その先生の姿勢に触れたミカは、彼のその献身的な姿を見て泣き出してしまう。そしてチャンスはもうないと思っているミカに対し、チャンスは作り出せばいいと伝えるのであった。

 

「…そ、そんなの無茶苦茶だよ」

 

“もしそれがダメでも、次のチャンスを作ればいい。失敗したとしても、何度でも。道が続いている限り、チャンスは何回だって生み出せる”

 

「「・・・」」

 

“ミカ、サオリ…。一度や二度の失敗で道が閉ざされるなんて事はないんだよ。…この先に続く未来には、無限の可能性があるんだから”

 

さらに先生は、一度目は駄目でもまた次のチャンスを何回も生み出せばいいと説く。先生は生徒には無限の可能性があると、絶望している彼女たちを励ました。

 

“チャンスがないというのなら、私が何度だって作るよ。生徒が未来を諦める事なんてあってはいけない。そういう事は、大人に任せて”

 

ドォォォォォォォォォォォン!!

 

「おぉぉぉい!?今先生が良い事言ってた所だろうがぁ!!」

 

ビュォォォォ!!

 

「な、何だありゃ!?地下回廊に出た亡霊かぁ!?」

 

「ギャアアアアアアアアス!!!!」

 

「古の物語に出てくるドラゴンにそっくりですぅぅぅぅぅ!!怖いぃぃぃぃ!!」

 

先生がサオリとミカを励ましていると、突然回廊の一部が爆発し彼らの元に得体の知れない生物が突撃してくる。その姿は金属の身体を持ちながら古の物語に書かれるドラゴンそっくりであり、ヒヨリを恐怖させていた。

 

「ガァァァァァァァァ!!」

 

ブォォォォォォォォォォォ!!

 

「ひ、火を吹いたぁぁぁぁぁ!!」

 

「!?」

 

「ミカッ!!」

 

ゴォォォォォォォォォォォォォ!!

 

ドラゴンは彼らを敵とみなすと、火を吹いて攻撃を開始する。そしてドラゴンの攻撃に一番近い位置にいたミカは灼熱に巻き込まれようとしていた。

 

「タイムバブル!!」

 

グォォォォォン…!!

 

“ホットロッド、ナイス!!”

 

「ハァ…ハァ…あ、ありがとうホットロッド…」

 

「ウルトラマグナスッ!!」

 

「任せろッ!!」

 

ドォォォォォォォォォォォン!!

 

ミカが炎に巻き込まれそうになったところを、ホットロッドはタイムバブルを使って間一髪で助ける。そしてその隙を突いてウルトラマグナスは自慢のハンマーを使ってドラゴンを吹っ飛ばした。

 

「ギャアアアアアアアアァァァァァァァァス!!!」

 

バシュン!!

 

「さぁ来い、化け物!!」

 

ガシィィィィィィィ…!!

 

「ぐうぅぅぅぅぅぅ…!!何というパワー…!!」

 

吹っ飛ばされて怒ったドラゴンは、飛び上がってウルトラマグナスに突進し始める。彼はその自慢の体格でドラゴンと組み合うが、彼すら押し倒してしまいそうなその力強さに、驚いていた。

 

ギギギギギ…!!

 

「貴様らか…?」

 

「な、何…?」

 

「再びこの惑星を支配しようとやってきたのか!?ユニクロンの犬ども!!」

 

「な、何を言って…?」

 

「おいおい…何でそこでソレの名前が出てくんだよ…!!」

 

突然彼らの元にやってきたドラゴンは、突然喋り出し思いがけない言葉が飛び出す。“ユニクロン”の名を聞いて、その場にいたトランスフォーマーと先生は驚いて目を見開いていた。

 

サイバトロン星の近くにいるはずのユニクロンの魔の手がここキヴォトスにまで迫っていることに、彼らはようやく気付き始めていた。




初めて金属生命体に会ったとは書いているけど、ベアトリーチェ側の最後の1枠である「門番」はトランスフォーマーです。
単純にトランスフォーマーという存在であることを認識できなかっただけ。
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