TRANSFORMERS Blue_Archive 作:H2O(hojo)
謎の場所
「此処は…」
キョロキョロ…
「蜃気楼…いや…百鬼夜行自治区…?」
「ふぅむ、お客様かの?」
カツカツカツ…
「…!!」
色彩と呼ばれていたユニクロンの魔の手から逃れようともがいていたセイアは、何故か百鬼夜行自治区のような場所へと転移していた。彼女が戸惑って辺りを見渡していると、この領域の主らしき人物がこちらに向かってきた。
「ここに妾以外が足を踏み入れるとは…初めてじゃのう。如何にしてこのような白昼夢に見えたのじゃ?」
「貴女は…誰だ?私を認識、できるのか?」
「…ふむ?」
「・・・」
「・・・」
アリウス自治区・礼拝堂
パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!
「ゲホッ…ゲホッ」
ザッザッザッザッザッザッ…
「…あーあ、全身どっろどろ…。でも…日が昇るまで耐えきったよ…結構大変だったけど…。きっと、アツコは助けられたよね?」
ガチャ!!ガチャ!!ガチャ!!ガチャ!!
「サオリも、他のスクワッドも…みんな、ハッピーエンドを迎えられたかな。ディセプティコンたちは…アレは自力で何とかなるかな。先生が一緒にいただろうから、きっと…」
ヒュォォォォォォォォォ…!!
「うん…それなら、いいや…」
一方ユスティナ聖徒会を至聖所へ向かわせないために1人残って奮闘しているミカは、何とか夜明けまで持ち堪えることに成功していた。彼女はスクワッドたちがアツコを救えたのかと案じつつ、先生がいるから大丈夫だろうと思うのであった。
ザッザッザッザッザッザッ…
「ごめんね、先生…私はここまでかな…」
「「「「「・・・」」」」」
「先生と一緒に、帰りたかったのに…」
ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!
“待って!!!”
「!?」
そしてミカは迫りくるユスティナ聖徒会を眺めながら、先生と一緒にトリニティに帰れないことを謝る。だがそこに見慣れないド派手なキャンピングカーと共に先生が現れたのである。
「せ、せ…先生!?」
“遅くなってごめんね、ミカ”
「せ、先生…なんでここに…?ど、どうして…?」
“言ったでしょ?私はいつもミカの味方だって。ミカのピンチには、当然駆け付けるよ”
「…!!」
来ると思わなかった先生が現れたことによって、ミカは顔を赤くするほど驚いていた。そして先生はミカの問いに対し、自分はいつでも彼女の味方だと言うのであった。
「そ、そんな…わ、私は…悪い子で…先生が救う価値のある存在じゃないのに…」
「・・・」
「そ、それに…せ、先生1人であの聖徒会をどうやって相手にするの…?あれは次元が違うよ、先生…わ、私も結構強いけど…アレは反則みたいなものだよ!?先生、お願いだからやめて!私はそんな価値のある存在じゃないよ…今からでも逃げて…!!」
「やれやれ、君たち…誰かをお忘れじゃないかい?」
ギゴガゴゴ!!
「!?」 “!?”
だが先生の言葉に対し、ミカは自分にはその価値は無いと言って卑屈になる。さらにユスティナ聖徒会と聖女バルバラを先生1人だけではどうにもできないと言って、逃げるよう促していた。だがそんななか、先生の乗ってきたキャンピングカーがトランスフォームし始める。
「ほ、ホットロッド…?」
“随分と雰囲気が変わったね…?”
「というか…」
「“老けた?”」
「え゛…!!?」
ド派手なオレンジ色のキャンピングカーの正体は、ホットロッド改めロディマス・プライムであった。先生とミカは彼の変わりっぷりに驚くが、一番気になったのは顔の彫が深くなり老けて見えたようである。老けたと言われたロディマスは、とてつもないショックを受けていた。
「あ…ゴメン、気にしてた?」
“は、配慮が無かったね…申し訳ない”
「き、気を取り直して…私はホットロッド改め、ロディマス・プライム。ストームレインや『騎士王』のお陰で、私は新たに生まれ変わった」
“ストームレインは…”
「彼は私にトリニティの未来を託し、仲間たちの元へと旅立った…」
目に見えて落ち込んでしまったロディマスを見て、ミカと先生は気まずい雰囲気になる。だがロディマスは気を取り直して、自分の身に起きたことを話すのであった。
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
「ウガァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「こ、今度は何!?」
「むぅ…倒したと思っていたが、そう一筋縄では行かぬようだな」
“あれは…?”
「スカージによってユニクロンのパワーを注入され、理性を失ってしまったセンチネル・プライムだ」
ロディマスたちが話していると、礼拝堂にセンチネルが壁をブチ破って現れる。元の姿から随分と変わってしまった彼のことを先生はセンチネルだと認識できないようで、ロディマスの説明でようやく目の前の存在がセンチネルだと理解したようだ。
“ミカは問題児だよ”
「!?」
“でも、問題だらけの不良生徒だとしても…。危険にさらされている生徒に背を向ける先生なんて、どこにもいない!”
「おぉ…見事だ先生」
ユスティナ聖徒会とセンチネルを前にして、先生は再度ミカのことを問題児だと述べる。だがだからといって彼女を見捨てる理由はどこにもないと言って、向かい来る敵を前にして宣言した。
“…私の。私の大切なお姫様に何してるの!!”
「…わ~お」
先生は大人のカードを取り出して、ミカを救うために敵に立ち向かうのだ。
「ギャァァァァァァァァ!!」
シュゥゥゥゥゥゥゥン…
「凄いな…これが噂に聞く“大人のカード”とやらの力か…!!」
「ウガァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
ガキィィィィィィン!!
「くっ…!!たとえ先生の力を持ってしても倒せぬか…!!」
「グルルルルゥゥゥゥゥゥ…!!!」
先生の使用する大人のカードの力によって、ユスティナ聖徒会は次々と消滅していく。だがそれでもセンチネルだけは倒すことができず、ロディマスに向かって襲い掛かってきた。
ギリギリィィィ…!!
「大丈夫、ホットロッド!?」
「あぁ、大丈夫さミカ。今の私は昔のホットロッドではないのだから」
「ウガァァァァァァァ!!」
ガコォォォォォォン!!
「それに、私も君のことを大切なお姫様だと思っているからね。先生だけにいい格好だけはさせないよ」
「えぇ~えへへ…」
センチネルに襲い掛かられたロディマスを見て、ミカは彼のことを心配する。ロディマスはミカの心配に対し、センチネルを弾き飛ばして昔の自分とは違うと見せつけた。
「先生、足止めを頼む。私にいい考えがあるんだ」
“・・・!!うん…分かったよ”
ズダダダダダダ!!
「ウガァァァァァァァグルァァァァァァ!!!」
「何をする気なの…?」
ロディマスは先生に足止めを頼むと、先生は彼の言葉にオプティマスを感じて少し驚く。そしてロディマスは先生がセンチネルを足止めしている間、剣を天へと掲げ目を閉じていた。
「アルトリア…アイアコンの騎士たち…トリニティの12首長たちよ…。トリニティを、このキヴォトスを守るために、私に力を貸してくれ」
シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン…!!
“け、剣が光ってる…凄い!!” 「きれい…」
「闇に光を⋯」
「グゥゥゥ…ギギギギギィィィィ…!!」
キィィィィィィィィィィィン…!!
「エクスカリバァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!」
ズドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
ロディマスは剣を構えながら、自分を助けてくれたアルトリアやストームレインたちに力を貸して欲しいと語り掛ける。そして、それに応じてかロディマスの持つエクスカリバーが煌々と輝き始める。そして、ロディマスはその剣の名を大声で叫ぶと、センチネルに向かって大きく振り下ろした。
アリウス自治区
「ど、どうしたんだ!何故マダムと連絡がとれない!?」
「緊急事態です!!自治区にある数十箇所のカタコンベの入り口から…!!と、トリニティの兵が…!!」
「な、何だって!?
ドォォォォォォォォォォォン…
「あ、あの光は一体…!!」
「な…何だ?恐怖は感じない…。むしろ温かく…安心を感じるとは…!?」
ベアトリーチェが倒された今、アリウス兵たちはトリニティが攻め込んできたことによりパニック状態に陥っていた。そしてエクスカリバーの光はアリウス自治区からも見え、彼女たちはその光に温かさを感じていた。
アリウス自治区・入り口
ズダダダダダダ!!
「だ、誰だ!!」
カツカツカツ…
「ここがアリウス自治区…。セイア様の言う通り…“救護”が必要ですね」
ガチャ!!
「と、止まれ!!」
タッタッタッ…ボキッ!!バコッ!!ドカッ!!
「私をお許しください。個人的な感傷によって、果たすべき義務を疎かにしました。彼女たちもまた、救護が必要な方々であるというのに…」
アリウス自治区の入り口の1つの突入してきたのは、救護騎士団である。その団長である蒼森ミネはアリウス自治区を見渡すと救護が必要だと言って、目の前にいるアリウス兵たちを叩き潰す。
「セリナ、ハナエ。彼女たちの治療を」
「は、はい…団長」
「そして…これから私が生み出す負傷者も、速やかに救護し治療するようお願いします」
ガァン!!
「参ります!!」
タッタッタッタッ…ドカァァァァァァァァン!!
アリウス兵を一撃で昏倒させたミネは部下であるセリナとハナエに彼女たちの治療を頼む。そしてこれから自分が出す負傷者を治療するよう指示すると、盾を持ち上げ単騎で突入していった。
「だ、団長…」
「まさに“ミネ団長が壊して騎士団が治す”という私たちのモットーですね!!久しぶりの救護騎士団、本領発揮です!」
「そんなモットーを掲げさせた覚えはないぞ」
ドォォォォォォォォォォォン!!
「さあ、テキパキと動いてください!信念と誇りを胸に!適切に、必要なところに救護を!」
ボキッ!!バコッ!!ドゴッ!!
「はぁ~やれやれ…」
1人で突っ走るミネの姿を見て、セリナとハナエそしてラチェットは各々思ったことを口にする。ミネが救護騎士団の信念を述べながらアリウス兵を素手でなぎ倒す姿を見て、ラチェットはため息をついていた。
「アリウス自治区を解放し、先生とミカ様を救うのです!!」
「は、はい!!」
「夜明けに呼び出されて急にこんな任務だなんて…!うわーん!」
アリウス自治区・内部
「さあ皆さん!カタコンベの道はセイア様が教えてくれた通りに!」
「は、はい…」
「イチカ、そちらはどうですか?先生は見つかりましたか?」
“あ、はい!見つけました。ところで…ツルギ先輩が…”
「えっ…?ツルギが…?」
一方アリウス自治区内部に侵入した正義実現委員会は、自治区を制圧しカタコンベへと向かう。そしてハスミたちに先行して向かっていたイチカとツルギが先生を見つけたようだが、何やらツルギの様子がおかしいようである。
「落ち着いてほしいっす、ツルギ先輩。そこはドアじゃなくて壁…」
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!
「あ、おわった」
「…けけけけけけけけ」
「まったく…道を走れや、道を」
「きあああああああっーー!!」
ドォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
先生の元に辿り着いたツルギは、何やら興奮しているようで壁を破壊しだす。それを見ていたイチカは顔を青ざめ、ディーノはそのアグレッシブさに呆れていた。
“ツルギ…”
「…正義実現委員会?ど、どうしてここに…」
「あ、ああ…こんにちはっす、先生。正義実現委員のイチカっす」
“うん、会えてとても嬉しいよ、イチカ”
「えへへ…先生と挨拶できて嬉しいっす」
そしてツルギが暴れ回っているのを見て、先生はようやく安心する。イチカは見つけた先生に挨拶をすると、先生がそれに返してくれたため嬉しそうにしていた。
「ハスミ先輩、先生とミカ様を確保したっす」
“それでは早急に安全地帯へ退却してください…先生をカタコンベの確保されたルートへご案内します!”
「はいはーい。さあ、行きましょう!皆さんを待っている人がいるっすよ」
そして先生とミカはイチカに連れられて安全地帯へと向かうのであった。
安全地帯
「先生…!!ミカさん…!!ご無事でしたか!」
「な、ナギちゃん…?あれ、どうしてここに…」
「ここがアリウス修復作戦の指揮本部です…」
「ど、どうやってここに来たの…?」
「私が教えたのだよ」
ミカと先生が安全地帯に辿り着くと、そこにはナギサが待っていた。ミカが何故ここにナギサがいるのかと驚いていると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてくる。
“セイア…!!?”
「せ…セイア…ちゃん…」
「本当に愚かだね、ミカ。常のように、衝動で動いて事を過つ。それが君の悪癖だよ」
「…セイアちゃん。ど、どうやって…?」
「…言葉を紡ぐには、些か時間が足りないかも知れないね」
その声の主は色彩…つまりユニクロンによって体を蝕まれていたはずの百合園セイアであった。セイアが現れたことによりミカは安心し、泣き始める。そしてセイアは何故助かることができたのかを、語り始めた。
「白昼夢の中で偶然、在る人と邂逅できたんだ…。語ると長くなってしまうから割愛するが…いわば、小さな取引を交わしたのだよ」
少し前 救護騎士団・本部
「せ、セイア様…!?」
「ゲホッ、ゲホッ…」
「だ、団長!セイア様が…!!」
「頼む。今すぐナギサを…シスターフッドと、正義実現委員会をここに…!」
「はい!?わ、分かりました!!」
白昼夢の中で謎の人物と出会った後、セイアは救護騎士団の本部で目を覚ます。目を覚ましたセイアはまだ身体の調子が悪いにも関わらず、急いでナギサとシスターフッドと正実を呼ぶようハナエに指示を出した。
「時間がない…今すぐ先生とミカの元へ向かわなければ…!!」
「そうして私は…シスターフッドと救護騎士団、そして正義実現委員会を呼び出してここへ出動させた。一つ確かなことは…ナギサはミカを救うためなら、自分の全ての権力を手放しても構わないとまで告げ、周囲を総動員させたという事かな」
ティーパーティー・テラス
「…お願い致します、皆様…ミカさんを、救ってください…」
「私からも頼む」 「それではワタクシも」
「・・・」 「そんな…」
「頭を上げてくださいナギサ様、セイア様。あなた方が私たちに頭を下げないでください」
セイアが目覚めた後、彼女の指示通り正義実現委員会のハスミ、シスターフッドのサクラコ、救護騎士団のミネがティーパーティーのテラスへと集められる。ナギサとセイアはまず最初に、彼女たちに頭を下げるとそれに合わせてコグマンも頭を下げた。
「ミカ様の問題は承知しました。そして…セイア様がご無事でなりよりです。一体、何があったのですか?」
「それは…語ると長くなってしまうのだが…」
「…分かりました。それならば、今は止めておきましょう」
「何よりも優先すべきは、先生の事です。…私も最善を尽くしましょう」
「トリニティには私だけでなく、先生を慕う生徒が多いです。彼女たちなら協力してくれるでしょう」
まずミネはミカの件は承知したと言うが、それとして何故セイアが目覚めたのかを尋ねる。それに関してセイアは長くなると言って言い淀むと、ミネは先生を優先して引き下がる。そしてミネと同じくサクラコとハスミも先生を救うべくナギサとセイアの頼みを了承した。
“話はラチェットから聞かせてもらった。私も向かおう”
「オプティマス・プライム…!!」
“聖園ミカを呼び出すために向かったホットロッドと、それを追いかけてセンチネルを連れ戻すために向かったウルトラマグナスのことも心配だ。そして、何より我が師のことがな…”
「はい…私も我が師のことがずっと気になっていましたので…」
「ああ…お願いするよ」
さらに通信を繋いで彼女たちの会話に入ってきたのは、オートボットのリーダーオプティマス・プライムである。そして彼もホットロッドとウルトラマグナス、そして自分の師匠であるセンチネルのことが心配ゆえ、彼女たちについて行くと申し出たのである。
「さらにはアズサとハナコが協力してここまでの道を解明し、コハルは君のためにこの残された私物を渡して欲しいとイチカを通じて私に頼んだ」
「みんな…」
「私たちも、先生の力を借り続けていてはならない。彼の人の道先に光を灯せてこそ、理想的な関係足り得るからね。だから…君を救うために来たよ、ミカ」
そしてこの場にいる者だけでなく、補習授業部のメンバーたちもミカと先生を助けるために尽力したとセイアは語る。そう、セイアはみんなの力を借りてミカを救いにきたのである。
「…セイアちゃん、相変わらず何言ってるのか分かんないよ。本当に偉そうだし、心底ムカつく」
「?」
「何度も懲らしめたいと思ってた。…それでも大好き、セイアちゃん」
「…え?」
だがセイアが助けにきたと言ったにも関わらず、ミカは彼女のことを偉そうで心底ムカつくと言い始める。思いがけない言葉をかけられたセイアは驚くが、ミカはその後に続けてそれでも大好きだと言った。
「ナギちゃんはヒステリーがひどすぎ!っていうか、こんな所まで紅茶を手放せないのちょっとどうかと思うよ?」
「?」
「カフェイン中毒?それとも強迫症? …でも、そんなナギちゃんが大好き」
「い、いえ、これは…緊張してしまって…。…えっ?」
そしてミカの口撃は今度はナギサへと及ぶ。しかし、今度もセイアの時と同じくそんなナギサのことが好きだとミカは述べていた。
「ミカ様…その辺に…」
「あっ、コグマンだ。いたんだね」
「えぇ…私もミカ様のことが心配だったので、走って駆け付けました!!」
「へぇ~ふぅ~ん…まぁ…コグマンのことはそれなりに好きだよ、うん」
「あっ…左様でございますか…」
セイアとナギサを口撃するミカを見かねてコグマンが割って入ろうとすると、彼女はようやく彼がこの場にいたことに気が付く。コグマンはミカにそれなりに好きだと言われ、ちょっと落ち込んでいた。
「うん…2人とも、大好きだよ。2人ともありがとう…そして、ごめんね…」
「ミカさん…」
「…いや、むしろ謝るのは私の方だよ。…すまなかった、ミカ。いつも君に謝ろうと思っていたんだ。だが、子供みたいな意地が邪魔をして、果たすことができなかった…。ミカ…君が、アリウスと和解したいと言い出した時、私は…」
「ううん、何も言わないで…大丈夫だから。ごめんね…私が悪かったの…」
「ミカさん…」 「ミカ…」
そしてミカは改めてナギサとセイアに想いを伝え、感謝と謝罪を述べる。セイアのほうもミカに謝りたかったと言って彼女に謝罪しようとするが、ミカは何も言わないで大丈夫だと彼女のことを制した。
「・・・」 「・・・」 「・・・」
“お互いに色々話す時間をとったほうがいいね”
「ああ、そのようだね」
「では、そろそろ参りましょうか。ミカさんの聴聞会まで、もう時間がありませんから。センチネル・プライムなどの諸々のことは司令官殿とサクラコさんにお任せしましょう」
「ああ」
三人がそれぞれ思い思いの言葉を述べると、先生が互いに話す時間を取ったほうが良いと提案する。そしてナギサは後のことをオプティマスとサクラコに任せて、ミカとセイアを聴聞会に案内する。
「えー…私、この恰好で行かなきゃダメ?ちょっと着替えたいんだけど…傷の治療もしたいし。人前に立つんだから、髪もセットし直さなきゃいけないし」
「「・・・」」
「はぁ…好きにするといい」
「ええ。それに私たち三人とも徹夜してしまってますし、こんな格好では…」
今から聴聞会に行くと言われたミカは、今まで戦ってきたためボロボロなので着替えたいと言い始めた。それを聞いた2人は雰囲気がブチ壊しだとばかりに、ミカのことをジト目で見つめるのであった。
“私も後で聴聞会で出るからね”
「…勿論です先生。全員で聴聞会に出席するのが私たちの約束ですからね」
「この度アイアコンの騎士たちからプライムの名を賜りました、ホットロッド改めロディマス・プライム帰還いたしました」
「よくぞ戻ったな、ホットロッド…いやロディマスよ」
「あぁ…我が師よ…」
「う…うぅ…」
「重症を負っておりますが、まだ生きております」
ミカと先生に遅れてロディマスも安全地帯へと帰還する。彼はセンチネルを抱えており、センチネルは重症を負っているがまだ息があるようである。
ゴトッ…
「センチネル!!」 「我が師センチネル…!!」
「お、オプティマスに…サクラコか…。すまない…儂は…お前たちを…」
「うっ…ぐぅっ…」
「センチネル…」
ロディマスに抱えられていたセンチネルが優しく床に寝かされると、サクラコとオプティマスが彼の元へと駆け寄る。そしてその2人がいることに気が付いた彼は2人に謝罪の言葉を述べた。
「わ…儂が裏切ったのは…我が種族を存続させるためだった…。儂はこの惑星にいながらこの惑星の住人を踏みにじろうとしてしまった…」
「「・・・」」
「サイバトロン星の危機を知ったとき…儂がするべき事はこの惑星を制圧することではなく…お前たちに共に戦って欲しいと頼むことであったと…今になって気付いた…」
「センチネル…」
センチネルは消えそうな意識の中で自分が何故裏切ったのかを2人に打ち明ける。そしてそれが間違いであったと、今になって気付いたと述べた。
「サクラコ…儂はお前を裏切ってしまった…。許せとは言わぬ…だが謝らせてくれ…本当にすまなかったな…」
「いいえ…師よ。貴方は私を裏切ったのではありません…。貴方は自分自身を裏切ったのです」
「・・・!!あぁ…そうか…そうだなぁ…。晩節を汚すとはまさにこのことか…」
「貴方はこのキヴォトスの住人から許されることは無いでしょう…。ですが…それでも、私だけは…貴方の犯した罪を赦します。貴方は私に対し、罪を告白したのですから…それを赦すのがシスターである私の使命…」
「すまぬサクラコ…本当にすまぬ…」
そしてセンチネルはサクラコのほうに顔を向け、改めて裏切ったことを謝罪する。だがそれに対し、サクラコはセンチネルは自分自身を裏切ったと言って彼はその言葉にハッとさせられる。彼女はそれに続けてキヴォトスの人間が彼を赦さなくても、自分だけは彼を赦すと告げるのであった。
「お…オプティマス、ユニクロンは…この惑星に来る…。儂が呼び寄せる手伝いをしてしまった…」
「あぁ…先ほど事の顛末をロディマスから聞いた」
「お前に儂の負債を押し付けてすまない…。だが、アレを…ユニクロンをお前たちの手で倒してくれ…。た、頼む…!!」
「あぁ、言われなくても…!!」
センチネルは次にオプティマスのほうに顔を向けると、ユニクロンのことをオプティマスに伝える。そして彼にユニクロンを倒してくれと頼むのであった。
ドシンッ…ドシンッ…
「ウルトラマグナス、帰還いたしました」
「マグナスか…」
「はっ…怨敵であるユニクロンの配下テラーコンを2人討ち取ってまいりました…!!」
「見事だ…!!」
「ありがたき幸せ…!!」
そしてちょうどウルトラマグナスが、安全地帯へと帰還し元上司であるセンチネルと再会を果たす。彼はセンチネルにテラーコンを倒したことを報告すると、センチネルは彼のことを称えるのであった。
「儂の命もここまでだ…」
「「「センチネル!!」」」
「サクラコ…儂を赦してくれてありがとう…。オプティマス…儂の頼みを聞いてくれて感謝する…。ウルトラマグナス…こんな儂について来てくれたこと、礼を言う…」
「「「・・・!!」」」
「すまなかったな…」
センチネルは最後にサクラコ、オプティマス、ウルトラマグナスに感謝を述べる。そして彼はすまないという言葉を最期に息を引き取った。
「うっ…くっ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ロディマス、ウルトラマグナス…必ず我々の手でユニクロンを倒すぞ…!!」
「「はっ!!」」
センチネルが死んだことでサクラコは耐えきれず、人目も憚らず大声で泣いていた。
「どうやらサイバトロン星は君の機転によって助かったと聞いた。今回もまた助けられてしまったな…」
“私は生徒のことも大事だけど、君たちのことだって大事に思っている。だから気にすることはないよ。私だって今回君たちの仲間に大いに助けられたんだから”
「そうか…」
“でも辛い戦いを君たちにも、生徒にも強いることになってしまった…”
「いいや…今度は我々が君たちのために、この惑星のために戦えるのだ…。こんなに嬉しいことはない…」
センチネルが死んだ後、オプティマスは先生の元に合流しサイバトロン星を救ったことに感謝を述べていた。だが先生はユニクロンの戦いに生徒とトランスフォーマーたちを巻き込んでしまったことを悔やむが、オプティマスはキヴォトスのために戦えて嬉しいと告げた。
“戦いの嵐の中にも、いずれ静けさは訪れる。時には信念を見失うこともある。仲間が敵に回ることもあるだろう。だが我々がこの惑星と生徒たちを見放すことは決してない。そして、これはユニクロンに対する警告である。この惑星を害するようなことがあればオートボットが相手になる。私が…相手になる!!私は…”
『オプティマス・プライム』
次回でエデン条約編は完結です。思えば半年以上書いてますね。
あとエピローグがご存知の通り某便利屋で終了なので、ここでラストお約束のオプティマスの独白を入れています。
流石に『約束された勝利の剣』って言わせるのは露骨過ぎるので止めた。