烙印からの帰還者〜天上院家の末っ子は脳筋デッキしか勝たん〜   作:Eクラス

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早くMDでガンドラXとGを使いたい


08 はじめまして

 真樹那・十代 vs 明日香・榊玲奈のタッグデュエルは真樹那たちの逆転勝利となった。

 

 真樹那たちが勝ったので翔は解放され覗きの件は無かったことになる。

 

 まぁ、覗きの件は濡れ衣でしかないのだが、どんな理由であれ、女子寮の敷地内へ不法侵入したことには変わりない。翔の立場は本当に危なかったのだから勝ててよかった。

 

 それとは別に、明日から明日香たち女子4人は真樹那の要望によりケモ耳学園生活が待っている。

 

 きっと欲望にまみれた学園生活にあるだろう。

 

 もちろん女子は、特に榊玲奈はおもしろくもなんともない。

 

 険悪なムードになるだけだった。

 

 なぜ、仲良くしようとしないのだろうか。仲良くできないのだろうか?

 

 明日香はこの2人の関係がますますわからなくなるのであった。

 

 そして、現在。

 

「なんで私は弟に膝枕なんかしてあげてるのかしら…」

「んー?姉さんはオレに負けたんでしょ?」

「はぁ……」

 

 女子寮前の湖畔の真ん中にポツンと一隻のボートがまだあった。

 

 ちょっと待て、とこのシチュエーションにストップをかける。

 

 図々しくも何故か膝枕を要求された。

 

 タッグデュエルに負けたということもあるが明日香は強く拒むことはできなかった。

 

 やっとできた姉と弟だけの時間。

 

 月明かりに照らされた2人の大切な時間であった。

 

 明日香はそっと真樹那の頭を撫でてやる。

 

 昔と変わっていない。

 

 普段は生意気で姉である自分の言うことを聞かない。

 

 こっちの気持ちも知らずへらへらした笑顔をするも、だけど、こうやって時折り甘えてくるような行動をしてくる。

 

 まるで猫みたいだ。猫みたいなのか?

 

 だからケモ耳バンザイなのかもしれない。

 

 本当にいい性格をしている。

 

(というか、これってはたから見れば湖畔ボートでデートしているシチュエーションよね?ジュンコとモモエに見られていないでしょうね…)

 

 こんなところをあの2人に見られていたら悶え死ぬ。

 

 でも、あの2人はこっそり見ていた。女子寮に戻ると見せかけてどこかに潜んでいるに違いない。兄弟2人だけこの場に残るのだからそりゃ野暮なことでも覗き見するだろう。

 

 決定的な禁断の姉と弟のをバッチリ見届けるためにアンパン片手に双眼鏡も用意しているほどだ。

 

 まぁ、たぶん真樹那は気にも留めない。

 

 意識をする素振りもない。

 

 明日香1人悶々とするだけで邪念を振り払う。これはあくまで家族の時間。

 

 気を紛らわすために真樹那の鼻を摘んで引っ張ってやった。

 

「えー…痛い」

「あなたが大人しく負けないからよ」

「どういうことやねーん」

「そういうことよ」

 

 なんてことのないくだらないやり取り。

 

 昔と何も変わらない。

 

 だけど…

 

 ひとつ、変わったことがあるとしたら、自分の弟の失踪していた3年間を知らないということ。

 

 異世界に行っていたという3年間。

 

 そしてケモナーになってしまった弟と姉との間にある隙間みたいなものが生まれてしまったこと。

 

 弟の3年間を何も知らない。

 

 それがとても寂しい。

 

 寂しかったに決まっている。

 

 当然だ。

 

 だから、頭も撫でてあげる。

 

 真樹那は心地よくて目を閉じている。

 

 ふと思うのが、真樹那が3年間を異世界ではなく無断で海外へ行っていたと言っていたら明日香はここまで心配しなかっただろう。

 

 黙って海外へ行っているのも問題ありだが何故かまだ許せるし納得もできる。

 

 しかし、得体も知れない異世界とかほざいているのだから自分の弟がおかしくなったと思って心配するのは当たり前だろう。

 

 もしかしたら、また異世界へ行くなんてことを言い出すかもしれない。

 

 気が付けば明日にでも忽然といなくなっているかもしれない。

 

 何も言ってくれないのだからそんな不安すら抱いてしまう。

 

 まったくもって世話のかかる弟だ。

 

 馬鹿真樹那なのだ。

 

「真樹那は異世界へ行っていたのよね?今日のデュエルでそれが少しわかったわ」

「お?やっとわかってくれた?姉さん、オレはちゃんと異世界に行っていたよ」

「ねぇ、異世界ってどんなところなの?」

「うーんとね…デュエルモンスターズのいる世界?って言えばいいのかなー。いろんな精霊たちとも出会った。鉄獣戦線、スプリガンズ、相剣、氷水、セリオンズ、ドラグマ…とまぁ、いろいろさ」

 

 真樹那は見たことも聞いたこともないカードを知っている。使っている。

 

 自分の知らないデュエルモンスターズの世界がある。

 

 明日香もデュエルモンスターズの世界なら興味津々だ。

 

 真樹那も話したくてうずうずしているのがわかる。

 

 やっとだ。

 

 3年間の空いた隙間をすぐに埋められなくても、これから少しずつ話していけばいい。

 

「姉さん、これ見て」

「このカードは?」

 

 真樹那は一枚のカードを明日香に渡す。

 

「オレの戦友で命の恩人なんだ」

「この子が…」

 

 ケモ耳の効果モンスターの絵が描かれていた。

 

【鉄獣戦線キット】のカードだ。

 

 この一枚は真樹那が所持している。

 

 ちなみにもう一枚、【撃鉄竜リンドブルム】はキットに渡してある。【烙印】のカードを探すために海馬コーポレーションで研究しているのだ。

 

「オレね、異世界に迷い込んだ時は砂漠にいたんだよ。それでさ、大きな蛇に追いかけられてしまってさー。ヤバいでしょ?」

「そ、それはヤバいわね…」

「でしょ?それで怪物に追われているところを助けてくれたのがキットなんだ」

「そう」

「うん。キットがいたからオレは異世界で生きていけたんだ。こいつには大きな借りがある」

 

 果てしない大砂海に迷い込んだ真樹那。

 

 怪物に追われた時も、それ以外の冒険も戦争もキットに何度も命を救われた。

 

「で、キットに命を拾われてお世話になるアジトも傑作でさ、そこはなんと荒くれ者のトレジャーハンター集団のアジトでしたとさ。アイツらガキでも容赦しないから大変だったヨ」

「うん」

「アイツら行く宛のないオレを入団試験とか言いながら砂漠にリバースするんだ。1人でお宝物を見つけだしたら仲間に入れてやるってね。怪物にまた追いかけられるわけだけどもなんとかお宝物はGET。まぁそれがオレの使っていたデッキね」

「そう。だからあなたは見たこともない異世界のデュエルモンスターズのカードを使っていたのね!」

「うん。まぁ、そういうことー」

 

 あの時は驚いたなーと笑いながら話す冒険譚。

 

 聞けば聞くほどよく生きて帰って来れたなと思うほどドキドキハラハラの連続だ。

 

「こうして天上院真樹那はキャプテン達に認められトレジャーハンターとして異世界デビューをするのでした。はい、拍手!」

「え、えぇ…」

 

 若干のテンションについて行けない時もあるけども。

 

 真樹那が異世界でどんな生活をしていたのか知れてよかった。

 

 まだまだ序章らしい。

 

 想像を絶する濃い3年間だったに違いない。

 

 でも、真樹那は笑っていた。

 

 それは、良い思い出だったということなのだろう。

 

 明日香は真樹那の話を一語一句聞き漏らさないように聞いていた。

 

「とまぁ、まだまだ話したいことはたくさんあるんだけど異世界ネタはまた今度で」

「あら残念。もっと聞きたいのに」

「うんまた今度。それよりも姉さんに紹介したいヒトがいます!」

「え、そ、それはいきなり、ね…」

 

 こっちが本命。

 

 だから明日香だけをここに呼び止めた。

 

「まぁ、紹介したいのはキットなんどけども」

「こ、この子…??」

 

 先ほど見せてもらった真樹那の大切なカード。

 

「本当はさ、もっと早く姉さんに異世界へ行っていることを信じてもらうために精霊を召喚して証明してもよかったんだ。でも、紹介するならまずはキットかなーと思ってさ。だから今からちょっとキットに電話するー」

「えぇ今から!?しかも電話!?」

 

 明日香の脳内では異世界に電話することになっている。

 

 そんなワケがないのだが。

 

「あ、いや。実はワケあって異世界からこっちの世界に来てるんだ。今は海馬コーポレーションに飼わ…お世話になってるよん」

「今、飼われてって言いかけなかったかしら…?」

「んー?たぶん気のせい」

 

 そう言って真樹那は起き上がり明日香の隣に座り直してキットに電話した。

 

(ちょ、ちょっと近すぎない…?)

 

 真樹那の姉に対する距離感はバグっている。

 

「あ、もしもーし?オレだよー」

『マキナァ…マキナァアアア…』

 

 そこには、やつれ顔のケモ耳娘が画面越しにいた。

 

「え、なに、こわい。どったの?」

『おーわーらーなーいーんーだーヨー。シャチョーは鬼だし…質量を持たせたソリッドビジョンとかハナからムリな話しだったんだヨォ…』

「あー、なるほど。ドンマイ!」

 

 キットに課せられた使命の1つ。質量のあるソリッドビジョンの完成をお手伝いすること。

 

 それはこのGX世界の科学力じゃ厳しいからこそキットの力が必要だった。

 

『ホールから何かこの世界にない物資が落ちて来ないとムリだよぉ。アルギロ・システム使わせてよォ…』

「まーその話は置いといて」

『おいバカマキナ!!』

「そんなことよりも、今隣に姉さんいるんどけどそろそろ紹介していい?」

『ふぇ!?』

 

 キットは素っ頓狂な顔して時が止まった。

 

 そんな素っ頓狂ケモ耳娘を他所に真樹那は明日香にケータイを渡す。

 

 えぇ、いきなり!?とお互いに困惑気味にご対面することになる。

 

「あの…」

『えと…』

 

 何故か緊迫した空気。

 

 例えば、西部劇の10カウントで引き金を引くあの緊張感。

 

「『は、はじめまして…』」

 

 2人のぎごちない挨拶には真樹那も笑いを堪えることはできなかった。

 

 明日香とキットのやり取りはまた今度話そう。

 

 

 

 

 静かな夜はまだ来ない。

 

 女子寮の外が何やら騒がしい。

 

 まだあの男の笑い声がする。

 

(うるさい…)

 

 兄弟みずいらずだから大目にみていたが、あのバカはやはり制裁が必要か。

 

 榊玲奈はあのバカの顔を思い浮かべる。

 

(むかつく…)

 

 あのバカのことを考えるとムカつくのだ。

 

(ムカつくのよあのヘラヘラした顔。ほんとに嫌い…)

 

 ベットに沈むカラダから怒りが湧いてくる。

 

 嫌い。キライ。きらい…

 

 榊玲奈は自分の人生があのバカのせいでめちゃくちゃにされたと思っている。

 

 父親は宇宙ステーションで死んでしまった原因もあのバカが異世界から厄ネタを連れてきたからだ。

 

 そのせいで優しかった母親も人が変わったかのように、親子の関係は最悪になった。

 

 だからあのバカが嫌い。

 

 だから復讐しようと決めた。

 

(今度こそ圧殺してあげるわ天上院真樹那)

 

 あのバカと父親を殺した白いカードは絶対に許さない。

 

(…)

 

「わかっているわよそんなこと…」

 

 ふと、天井を睨みつけて文句をぶつける。

 

 コンコンと扉をノックする音がする。

 

「あぁ、そういえばモモエさんを誑かしたんだった…」

 

 大浴場でモモエに今晩部屋に来いと冗談で言ったつもりなのだが本気にされた?

 

 まぁ本気ならこちらも本気で堕すだけなのだが。

 

「はーい…って、なんだ、あなたか…」

 

 榊玲奈はモモエの来訪じゃなくてがっかりした。

 

「こんばんは榊さん」

「何か用ですか?松田先生…」

 

 海馬コーポレーション天上ケモ耳隊兼オベリスクブルー女子寮の副館長を務める松田女史の来訪。

 

「少しお邪魔しても?」

「えぇ…」

 

 他の誰かに見られていいものではない。

 

 榊玲奈は仕方なく部屋に松田女史を招き入れた。

 

 と言っても玄関までだが。

 

 誰構わず招き入れるというわけではない。モモエのような人畜無害のカワイイ女子ならいくらでもウェルカムだが、松田女史のように妻子いる男…つまり自分の父親を狙っていた腹黒い女は別だ。

 

「そんな怖い顔しないでよ。私たちは裏で手を組んだんでしょ?仲良くしましょう?」

「ふん。あくまでお互いの利害一致した時のみの約束じゃなかったんですか?天上院真樹那と白いカードに復讐するっていう」

「えぇ、もちろんそのつもり。だからこそ情報共有は必要よね?さっき彼とデュエルしていたんでしょ?実際にデュエルしてみてどうだったの?」

「別に…確かに、3年間も異世界へ行っていたというだけのデッキパワーはあります。ですが、デュエルタクティスは二流以下。アイツはただこの世界にない強いカードでオレTUEEをやっていると勘違いしているだけの痛いクソガキです」

「そこまで言う?でも、榊さん負けたじゃない?」

「あれは…ちょっと油断しただけですぅー。そもそもワタシはまだ本気出してませんが?」

「負け犬は皆んなそう言うのよ?」

「アナタねぇ…はぁ、喧嘩売るなら買いますが?今回はあの異世界馬鹿野郎くんの実力を測るだけの茶番ですけど?そして、天上院真樹那の底はもう見えました。次はワタシが勝ちます。自分のしでかした罪もわからないようなヘラヘラしたクソガキは今度こそ圧殺してやります。白いカードもワタシがアイツより先に見つければ問題ないんでしょ?」

「そうね。私が監視されているみたいだからあなたが頼りよ。主任の無念を晴らしてね?堕天の【試練】を乗り越えたアナタならきっとできる。期待してるから」

 

 女の執念は恐ろしいという。

 

 さて、何やらきな臭くなってきた…

 

「あ、そうそう…」

「まだ何か…?」

 

 去り際に松田女史は自分の頭につけたケモ耳(異世界馬鹿野郎の趣味)を指差してこう言った。

 

「明日から榊さんも私と同じケモ耳仲間ね」

「ホントにいや…」

 

 To Be Continued…




明日香とキットの邂逅が終わり…

真樹那
「じゃ、姉さんに異世界へ行っていた証拠見せるよー」

明日香
「え、キットちゃんと話もしたしもう十分よ…?」

真樹那
「ダメ。オレは手札からうららとシラユキを召喚」

明日香
「え、えぇ…(デュエルディスクにカードをセットせずに本当に召喚してみせたわ。すごいドヤ顔で…)」

真樹那
「どう?スゴイでしょ??」

明日香
「う、うん。凄いけど…(やっぱりケモ耳属性なのね…)」

真樹那
「じゃ、うららにシラユキ。姉さんに挨拶して」

うらら&シラユキ
「「は、はじめまして!いつも鬼畜マスターがお世話になってますー」」

明日香
「は、はじめまして。というか、鬼畜マスターって?」

うらら
「くすくす。マスターはね、欲望のままにアタシたちにいかがわしい命令をしてくるから鬼畜なのー」

シラユキ
「ふぇえ…うららちゃん。その言い方は誤解を招くというか、でもお尻ぺんぺんとか笑顔でしてくるし間違いなく鬼畜なんですぅ」

真樹那
「……」

明日香
「真樹那。姉さんともう一度2人きりでお話ししよっか?説教よ」

真樹那
「あちゃー…」

 ちゃんちゃん。
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