烙印からの帰還者〜天上院家の末っ子は脳筋デッキしか勝たん〜   作:Eクラス

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「ペペロンチーノ、とんでもない話しを聞いてしまったノーネ」


10 白いカードの噂

 購買部にて。

 

「真樹那ちゃんは白いカードの噂を知ってるかい?」

 

 白いカード。

 

 それはこの世界に存在しないカード。

 

 異世界のカード。

 

 それを見つけたものはチカラが与えられる。

 

 デュエルでは無敗の強さを。

 

 この世界のトップとして君臨すらできる。

 

 そして、白いカードはデュエルアカデミアに隠されてある。

 

「へー、そんなカードがあるんだー。初めて聞いたよー。全然知らないなー」

 

 トメさんの口から予想外の言葉が出てきて流石に真樹那も内心穏やかじゃなかった。

 

 それはトメさんみたいな善人が知っていいものではない。興味を持ってはいけないものだ。

 

「トメさんも都市伝説とか物好きなのね。どこからそんな情報仕入れるのさ?」

「さて、どこだったかしらねぇ。生徒たちが話していたような先生たちだった気もするような違うような…」

 

 情報の出所はわからないと。

 

 腕を組み首を捻って悩んでいた。

 

 まぁ、真樹那の頭の中では容疑者は3人に絞っているが。

 

「あ、いたいた。探したぞ」

「おー?三沢ー」

「あら、三沢ちゃん。こんにちは」

「トメさん、こんにちは」

「三沢はオレになんか用?」

「あぁ。というか、君は授業終わるとすぐ消えるよな。他の奴らも探しているみたいのようだが」

「はっはっは、オレは瞬殺鬼没のデュエリストよ。そう簡単に捕まってたまるか」

「いや、肝心な時に見つからないと困るんだけどな」

 

 三沢はやれやれと言った感じで真樹那の隣に腰落とした。

 

「急ぎだった?」

「いや、急ぎといえば急ぎでもないけど。君は夜も寮にいないだろ?だから、早めに聞いておいた方がいいと思ってな。こんな噂を耳にした事があるかい?白いカードっていう異世界からやってきたカードの話し。こういうの詳しいんじゃないのか?」

 

 真樹那とトメさんは顔お見合わせた。

 

「ちょうどさっき私が真樹那ちゃんに話してた噂だよぉ」

「そうなのか?」

「まーね。でも、噂だろ?オレは何にも知らないし異世界なんて興味ないね」

「嘘つけ。散々異世界帰りを自分の姉に自慢して困らせといて今更ムリがあるだろ」

 

 まぁその通りである。

 

「で、どうなんだ?白いカードは存在するのか?しないのか?」

「知ってどうする?」

「ただの好奇心さ。デュエリストなら気になるよな?だけど、これは俺の持論だがあんまりいい噂じゃない気がする。だから、何か知ってそうな君に尋ねたんだ」

「そう。なら答えは簡単だとも。白いカードなんてものはない。ないものはない。この学園にはないから探しても意味はない。チカラが手に入りますだって?それをしていいのはオレだけだよ。オレ以外の奴はオレTUEEしなくていい」

「なんかすごい暴論だなそれ。というかやっぱり何か知ってるんじゃないか」

「さてね。でも、三沢ならわかるだろ?タダほど怖いものなんてねーんだ。トメさんも、もし白いカードを見かけても手に取ったり誰かに渡さずにオレに報告してよ。オレがその白いカードでオレTUEEするからさ」

 

 そう言って真樹那は退散した。

 

 最後の方は自分でも何言っているのかわからなくてバツが悪くなった。

 

「真樹那ちゃんって周りを頼らず何でも1人で抱え込むタイプみたいだねぇ」

「そのようですね。どれだけ余裕がないんだか…椅子が倒れたまんまだし」

 

 三沢は真樹那が倒した椅子を起こした。

 

 世話のかかる奴だ…と笑った。

 

「あいつ授業と食事以外はいつもどこをほつき歩いてるんだか…俺、ちょっとあとを追いかけてみます!」

「うん。それがいいさね。あ!白いカードの噂のこと私から校長先生に相談してみるよぉ。真樹那ちゃんにも伝えといてねぇ」

「わかりました!ありがとうございます!」

 

 三沢は綺麗なお辞儀をして購買部を後にした。

 

 言うて、真樹那を見失ってまた探すことになるのだが。

 

「神出鬼没すぎだろ…真樹那の奴どこいった!?」

 

 天上院真樹那は神出鬼没のデュエリストである。

 

 

 

 

 さて、そんな神出鬼没くんは今、人気のない廊下でバッタリ出会した榊玲奈を壁ドンしていた。

 

 突然過ぎて理解できない?

 

 壁ドンされた榊玲奈も理解できていない。

 

 もちろん、これからほっこりラブストーリーが始まるはずもなく、お互い嫌い者同士睨み合いからの一気触発の喧嘩が始まろうしていた。

 

「単刀直入に聞くけど、白いカードの噂流したのオマエじゃないよな?」

 

 真樹那の中で容疑者は3人に絞られていた。

 

 その中の1人が榊玲奈である。

 

「は?何のこと?噂?知らないわよ」

 

 前後の文脈なしでいきなり聞かれても困るだろう。

 

 白いカード自体は知っているけど噂までは知らない。

 

 自分がやったと思われているのが腹が立つ。

 

「どうせ調べてあるんだろ?いろいろ知ってるよな?白いカードのことも。去年のクリスマスイブに起きた事件のことも」

「えぇ…そうね。その通りよ…」

 

 真樹那は少し性急過ぎた。

 

 デリケートな話しだが榊玲奈を前に要らぬ情報まで言ってしまった。

 

 焦っている証拠ではある。

 

「で、その白いカードを見つけた者はチカラが手に入るって生徒の間で噂が広まりつつあるんだが何でこんな噂が立つんだ?」

「そう…アナタはそれはワタシがやったと言いたいワケね?でも、みくびらないでもらえる?父の仇を、そんな危険なカードを、他人を巻き込もうなんて…ワタシがそんなバカな真似するはずないでしょ!」

 

 廊下に怒鳴り声が響いた。

 

 真樹那の胸ぐらを掴んだ。

 

「天上院真樹那、やっぱムカつく…人の気持ちも考えないでよく言えたわね?今すぐにでもこの手で殺してやりたいわ」

「今オマエの気持ちよりもカードが他の誰かの手に渡って被害を出さないことの方が優先だろーが。オレを殺したかったらその後にしろよ!」

「言われなくてもそのつもりよ!何が異世界帰りよ…アナタなんかよりワタシの方が優れている!デュエルも!格闘技も!頭脳も!アナタなんて必要ない!例のカードもアナタより先に見つけて破いてやるわ!」

「な!?そんな危ないことはするな!!」

「なによ?ワタシのこと心配してくれるの?」

「は?…当たり前だろーが!素人がアレに触れて次に無事なんて保証はないんだ!だから大人しくしとけ?な?」

「それは無理。父の無念はワタシが晴らす!何もできなかったアナタは指でも咥えていればいいんだわ!というか死んで」

「か、かわいくねー。あと唾飛ばしすぎなんだよ!?」

 

 ペッペッぺと顔面に吐かれる。

 

 睨み合いは続く。

 

 相入れない者同士。

 

 今の真樹那はやはり余裕がない。そして、それに比例して榊玲奈もヒートアップしていく。

 

 そんな2人の喧嘩を遠くから見守るモブ生徒たち。誰か先生呼んだ?あともう少しで来るはず!などとやり取りがあることも、周りが見えていなかった。

 

「ワタシはアナタが嫌い…!!」

「嫌いでけっこう」

「異世界から厄ネタを連れてきたからキライ…!!」

「はいはい……」

「父がいなくなって家庭がめちゃくちゃになった。もう元には戻らない。ワタシの人生もめちゃくちゃにされました。だから大嫌い…!!」

「……」

 

 いくら真樹那が何か言ったところで、榊玲奈の怒りは収まらないのだろう。

 

 だから、

 

「だから、期限を決めてもう一度宣戦布告をします。12月24日までに例のカードを見つけて破り捨てなければ榊玲奈は天上院真樹那を殺します。わかったかしら?ぺっ」

「わ、わかった…」

 

 12月24日は榊玲奈の父親の命日だ。

 

 弔いの意味も兼ねての予告なのだろう。

 

 宣戦布告というか殺害予告…

 

 榊玲奈は真樹那を押し退けて、パンダ耳を外しては捨てた。

 

 そして、その場を後にした。

 

 遠くの方から、せんせーこっちです!という声がした。

 

 呼んで捕まえてきたのは鮎川先生だったみたい。続いて、三沢も騒ぎを聞き駆けつけてきたようだ。

 

「真樹那くん、何があったの?…というかその顔を見れば聞くまでもないわね…」

「いや、本当に何があったんだ?」

 

 鮎川先生はモブ生徒から少し事情は聞いて知っていた。一年生たちが喧嘩していますという旨で。

 

 三沢は真樹那が榊玲奈とトラブったのだと理解はできたが、真樹那の制服は乱れて顔面唾まみれ…そして、真顔である。

 

 どういう状況なんだよと、ドン引きだ。

 

 それに対して、鮎川先生は優しいな。心配してくれてハンカチを差し出してくれた。

 

「三沢ならわかるだろ?女を怒らせると怖いなぁ…」

「あ、あぁ、まあな…」

 

 ビンタされた方がよっぽどマシだったなと、思う真樹那であった。

 

 To Be Continued…




一方その頃、明日香たちは万丈目の魔の手を掻い潜り、やっとの思いで温泉施設に辿り着くのであった…

明日香
「な、なんとか、万丈目くんたちを撒けたわね…」

ジュンコ
「はぁはぁ…ここに、本当に真樹那さんがいるんですか?」

モモエ
「ハァハァ…真樹那さまと混浴でランデブーですわぁ///」

明日香
「もう、何考えてるのよモモエったら…あの子で変な想像しないでちょうだい」

ジュンコ
「明日香さん。真樹那さんで変な想像ってなんですかー?」

明日香
「う、そ、それは…ッ!!?」

モモエ
「明日香さんもいい加減素直におなりになったらいいのにですわぁ」

ジュンコ
「そーそー。明日香さんも真樹那さんと混浴でランデブーしたいならそう言えばいいのにー」

明日香
「私はそんな邪なこと思っていません。ここに来たのは真樹那がいるか確かめるだけよ?決して一緒に混浴したいとかランデブーとかはないからね!」

ジュンコ
「ふーん。じゃあ私とモモエの2人だけで真樹那さんと楽しんできますね!モモエ!明日香さんを抑えとくから今のうちに中に入って突撃してきて!!」

モモエ
「はーいですわぁ〜」

明日香
「あ、こらジュンコ!離しなさい!というかモモエ!行ったらダメよ!」

モモエ
「あ…」

ジュンコ
「どうしたの?」

モモエ
「か、鍵がしてありますわぁ〜」

明日香&ジュンコ
「「な、なんですってー!?」」

 今日は温泉施設は使えない日だったみたい。
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