烙印からの帰還者〜天上院家の末っ子は脳筋デッキしか勝たん〜   作:Eクラス

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誰かー!三沢のデッキを強化してあげてー!


12 vsラーイエロー

 ふわぁ〜…

 

 真樹那は大きく欠伸をした。

 

「なんだ?真樹那、寝不足か?」

「例の掲示板のせいでちょっと…」

「あぁ、あれか…」

 

 白いカードの噂の情報源。

 

 犯人は異世界で因縁のある人物であることがほぼ確定したことにより真樹那は頭を抱えることになった。

 

 三沢も例の掲示板の件は知っているので心配になる。

 

 例の掲示板は、そこまで盛り上がっていないが一部の生徒たちは白いカードの存在を信じて学園内を探索し始めたらしい。

 

 最悪の展開だが、すでに真樹那が校内を探し回っているおかげで、他の生徒たちも探索は空振りに終わるハメになっていた。

 

 もちろん油断はできない。

 

 くまなく探したつもりだが見落としていたなんてこともあるかもしれない。

 

 スレに新たな書き込み(報告)が入るたびに不安と安堵の繰り返しになっていた。

 

 だけど、どれだけ探しても校内にはない。ないものはないので、今は様子見をすることに決めていた。

 

 そんな不安拭えない中、真樹那の心情など関係なしに学園行事は行われる。

 

 真樹那もデュエルアカデミアの生徒だ。

 

 試験がある。

 

 そして、筆記試験は見事撃沈した。

 

 あれだけ姉に勉強を見てあげると言ってくれていたのをスルーしてしまった自分をバカと罵りたくもなった。

 

 案の定、姉からはジト目でほら見なさいと嗜められ、補修をしてあげると面倒を見られることになる。

 

 恥ずかしいったらありゃしない。

 

 でも、内心それどころじゃなかった。

 

(それにしても、新弾パックには仕掛けてこなかったなアイツ)

 

 真樹那の予想ではこの試験期間中に、実技試験が始まる前に売られるであろう新弾パックの中に白いカードを紛れ込ませた無差別テロも起こり得ると考えていた。

 

 真樹那は松田女史と協力して『烙印』の反応があるかどうか、生徒たちに売られる前に学園に到着した新弾パック全てにサーチをかけてみたが反応はなかった。

 

 あの独特なデスピアンの臭気もしない。

 

 よって、真樹那の予想は杞憂に終わった。

 

 まぁ、一安心ではあるのだけど…

 

「今はデュエルに集中しようかね…」

「あぁ、そうしてくれるとありがたい」

 

 思考を切り替えて真樹那は目の前の対戦相手と対峙した。

 

 実技試験の対戦相手は三沢大地。

 

 ラーイエローの一年トップの成績を持つ男。

 

 頭脳は明晰で真樹那では到底追いつけない領域にすでにいる。

 

 真樹那がいくら強いデッキ使っていても油断できる相手ではなかった。

 

 わーわーきゃーきゃーと割れんばかりの歓声が響く中、2人のデュエルが今始まろうとしていた。

 

「くぅ〜あっちぃ!なーなー、あの2人どっちが勝つと思う?」

「オベリスクブルー女子ツートップの2人にも逆転勝ちして僕を助けてくれた真樹那くん。それとも頭脳明晰成績優秀でオベリスクブルーの進級も間違いなしと呼び声高い三沢くん。どっちが勝ってもおかしくないっスね!」

 

 十代たちギャラリーはどちらが勝つかワクワク予想していた。

 

「はん。そんなもの兄弟が勝つに決まっているだろ。これだからドロップアウトのオシリスレッド共は…」

「おっ!万丈目も真樹那が勝つと予想するのか!」

「万丈目、さんだ!」

「というか、万丈目と真樹那って兄弟だったのか?似てねーけど」

「アニキ。きっと僕とアニキの関係みたいなもんっスよ」

「はっ、貴様らと一緒にするな。俺様と兄弟の間に上下はない。まぁ今は俺様の方が上かもしれないが?いずれ兄弟はオベリスクブルーへ昇格し俺様と肩を並べる存在になる。これは確信だ」

「へぇ、真樹那のやつを随分買ってるんだな。というか抜かされるの間違いなんじゃね?アイツはつえーぜ?」

「ふん。わかっとるわそんなこと。だからこそこの生ぬるくて刺激の足りない今を変えてくれる男を俺は待っていたんだ」

「ふーん。凄いな、お前はもっと強くなろうとしてるんだな」

「当たり前だ。貴様のようにただただのほほんとデュエルを楽しんでいるだけのような落ちこぼれにはわかるまい。それから覚悟しておけ十代。このあとの貴様の実技試験の相手はこの俺様だ!」

「えーマジでー!?」

 

 そう。このあとは十代vs万丈目の実技試験が始まるわけだが、これはまた別のお話。

 

「そこの2人うるさいわよ!真樹那がこれからデュエルするんだからちゃんと応援しなさい!!」

「「は、はーい」」

 

 明日香に怒られた。

 

 女子ってこえーとか真樹那くんのことになると豹変するっスだとか今日の怒ってる天上院くんも素敵だとか、口が裂けても言える雰囲気じゃなかった。

 

「というか、モモエの持ってるソレは何?」

「真樹那さま応援グッズのウチワですわー」

 

(…)

 

 何を作ってるんだか…

 

 でも、ちょっぴりほしいと思う明日香であった。

 

 フレーフレー真樹那さま!ガンバレガンバレ真樹那さま!

 

「はは、相変わらずモテモテだな。羨ましい奴め」

「えー、なにー?何にも聞こえないー」

「嘘つけ。俺が勝って黄色い声援を悲鳴に変えてやる!」

「あれ?ヒール役は似合わねーよ?」

「ただ言ってみたかっただけだ」

「そうかい。んじゃまぁやるか!三沢大地!」

「おう!かかってこい!天上院真樹那!」

 

 2人はデュエルディスクを構えた。

 

「「デュエルッ!!」」

 

 デュエル開始。

 

「おー、オレが先行?ならオレのターン、ドロー」

 

 今回は真樹那が先行判定。

 

 真樹那の手札

【百万喰らいのグラットン】

【魂吸収】

【融合】

【名推理】

【リミッター解除】

 

【強欲で貪欲な壺】

 

(まずまず、だな。事故ってない。はず…)

 

 このあとの引きによっては大爆死もある、相変わらずのある意味ギャンブルデッキでもある。

 

(このデッキはガチ構築じゃないから先行はあんまりやることないし…三沢がどのデッキを使ってくるのかまだ読めないし様子見でいい?)

 

 三沢といえば、風、水、火、地、闇、光の6属性デッキ使いだ。

 

 あと、入学試験で使っていた調整用のデッキも持っている。

 

 しかし、殆どのデッキが詳細不明で、どんな戦略でくるかわからない。

 

 もちろん、馬鹿でなければ真樹那の脳筋デッキの対策もしてくるだろう。

 

 それを踏まえての初手。

 

「オレは永続魔法【魂吸収】を発動」

 

【魂吸収】

 このカードのコントローラーはカードがゲームから除外される度に、1枚につき500ライフポイント回復する。

 

「なるほど。そうくるか…確かにお前のデッキとは相性抜群だな」

「でしょ?」

 

 基本、除外される側で手札にあんまりくることはない。手札に来たらラッキー程度の認識ではあるが。

 

 他のカードとのシナジーが合えば効果は凶悪と化す。

 

「オレは【グラットン】を特殊召喚する。コイツは自分の手札・フィールド・EXデッキからカード5枚以上を裏側表示で除外した場合のみ特殊召喚できる。除外するのはEXデッキから12枚」

「おいおい、加減ってものを知らないのか…」

「まーだまだ序の口よ」

 

 真樹那はEXデッキから12枚除外して【グラットン】を特殊召喚した。

 

 その12枚を除外したことにより【魂吸収】が効果を発揮する。

 

 12×500=LP6000回復だ。

 

 真樹那LP10000

 

「うおー!?すっげー!!」

「回復量がおかしくないっスか!?」

「LP10000ですって!?」

「「ぐぇ…!?」」

 

 興奮する十代と翔の頭を押さえつけてさらに驚きを隠せない明日香。

 

 隣にいた榊玲奈も思考を巡らせていた。

 

「こういう手でLP回復は確かにありね。ムカつくけど…こんなことされたら相手は脳筋でもない限りLPを削るのが苦しくなるわ」

「えぇ…しかも、あの子のデッキにはカードを除外するあのモンスターがいるのよね」

「LPを削るのにターンを重ねれば重ねるほど除外枚数がストックされていくわけだし、そこにダ・イーザでも出されたらおしまいね」

「なーなーそれって三沢はすでにピンチってことか?」

「かもしれないってことよ」

「流石、私の弟なだけあるわ。ね、十代?」

「あ、はい」

「「「「……」」」」

 

 明日香の圧に十代は素直に返事するしかなかった。

 

(…)

 

「三沢。驚くのはまだ早いから。コイツの攻撃力、守備力は裏側表示で除外されたカードの枚数×100アップする。よって、今の12枚除外で攻撃力は1200だ」

「ダ・イーザみたいな効果だな。まだおとなしめの攻撃力で助かるが…」

 

 そう。除外枚数が増えていく程攻撃力は高くなっていく。

 

【百万喰らいのグラットン】

闇属性・レベル1・攻撃力1200・守備力1200

 

「ちなみに、コイツの効果はそれだけじゃない。1ターンに1度、このカードが相手モンスターと戦闘時に、その相手モンスターを裏側表示で除外する。気をつけないとな」

「全然おとなしめじゃないじゃないか。場合によっちゃダ・イーザより厄介そうだな…」

「まーそういうこと。ターンエンド」

 

三沢 LP4000

手札5枚

 

  ▢▢▢▢▢

  ▢▢▢▢▢ ▢

 

▢ ▢▢①▢▢

  ▢▢②▢▢

 

手札4枚

真樹那 LP10000

 

配置

①【百万喰らいのグラットン】

②【魂吸収】

 

手札

【融合】

【名推理】

【リミッター解除】

【強欲で貪欲な壺】

 

 三沢のターン

 

「俺のターン!ドロー!」

 

(大幅なLP回復は計算外だ。一瞬にして俺の勝利の方程式が崩されたな…)

 

 そう。三沢の計算ではLP4000同士なら勝てる手札をしていた。

 

(方程式を解き直すしかない…!!)

 

 三沢が動く。

 

「俺は手札より魔法カードを発動!【ライトニング・ボルテックス】により手札を一枚墓地に捨て、相手フィールドの表側表示でいるモンスターを全て破壊する!」

「オレの【グラットン】がー…」

『バイバイマスダー…』

 

【グラットン】が破壊される。

 

「まだまだ行くぞ!【死者蘇生】を発動!墓地に送った【ブラッド・ヴォルス】を特殊召喚!さらにもう一体の【ブラッド・ヴォルス】を通常召喚!この2体でダイレクトアタックだ!!」

 

【ブラッド・ヴォルス】攻撃力1900×2のダメージをくらった。

 

 真樹那LP6200

 

 本来のLPならあと残り200だった。

 

 三沢の勝利の方程式はセットカードに【破壊輪】を伏せ、次の相手ターンに【ブラッド・ヴォルス】を破壊してゲームセットだった。

 

 この時代の【破壊輪】は相手のLPを0にできるらしい。真樹那もそれは入学試験の時に三沢がアニメ通りに実行していたので知っている。

 

 でも、そのコンボが今回はうまく作用されない。

 

 見誤ったのかもしれない。

 

 結果的にLP6000回復は想像以上に三沢を苦しめることになった。

 

(いや、まだまだこれからだろ?次の真樹那のターン次第だ…まだ諦めるな)

 

 まだデュエルは始まったばかりのはずだ。

 

「俺は2枚セットカードを伏せてターンエンドだ」

 

(今は【破壊輪】と【激流葬】で凌ぐしかない)

 

三沢 LP4000

手札0枚

 

  ▢▢①②▢

  ▢▢③④▢ ▢

 

▢ ▢▢▢▢▢

  ▢▢⑤▢▢

 

手札4枚

真樹那 LP6200

 

配置

①【セットカード(破壊輪)】

②【セットカード(激流葬)】

③【ブラッド・ヴォルス】

④【ブラッド・ヴォルス】

⑤【魂吸収】

 

(…)

 

 真樹那のターン

 

「オレのターン。ドロー」

 

 真樹那の手札

【融合】

【名推理】

【リミッター解除】

【強欲で貪欲な壺】

 

【隣の芝刈り】

 

「おー、来た?」

 

 真樹那はニヒルに笑う。

 

 そのカードは、なかなか引けない、【叢雲】に除外される運命、元から期待はしていない、でも引けたら楽しいカードだ。

 

「来るなら来い!」

「おうとも!オレは【隣の芝刈り】を発動!デッキから相手のデッキと同じ枚数分になるように墓地にカードを落とさせてもらう!」

「なんだと!?」

 

【隣の芝刈り】

 自分のデッキの枚数が相手よりも多い場合に発動できる。デッキの枚数が相手と同じになるように、自分のデッキの上からカードを墓地へ送る。

 

「三沢のデッキは今何枚?」

「え?俺は元々40枚デッキだから…34枚だ!」

「オッケー。ならオレは今、デッキが53枚だからあと19枚を墓地に落とさせてもらう」

 

 真樹那が墓地に落とすは19枚。

 

 こうしてデッキ34枚に調整された。

 

 ナニヤッテンダアイツ?

 

 サァ?ボチニオトシテモッタイナイゼ…

 

 ギャラリーからのどよめき、呆れてる声もあるが三沢や一部の生徒、真樹那と対戦したことある者たちなら少しは理解できたはずだ。

 

 何かを狙っているのかを…

 

(最悪だ。俺の計算が正しければ俺がますます不利になる)

 

「はい次。【名推理】発動。こいつの効果はわかる?」

「あぁ、俺はレベル3を宣言する。これで【ダ・イーザ】が出てこられても困るからな…」

 

【名推理】

 相手は1~12までの任意のレベルを宣言する。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキの上からカードをめくり、そのモンスターのレベルが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。違った場合、そのモンスターを特殊召喚し、残りのめくったカードは全て墓地へ送る。

 

 また墓地送りのカードだ。

 

 三沢はレベル3モンスターを宣言した。

 

【ダ・イーザ】だけは何としても阻止したいところ。

 

 真樹那はデッキからゆっくりと一枚ずつカードを墓地に送っていく。

 

 1枚目。魔法カード【表裏一体】はずれ…

 

 2枚目。魔法カード【月女神の鏃】はずれ…

 

 3枚目。【溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム】は特殊召喚できないからはずれ…

 

 4枚目。魔法カード【決闘融合-バトル・フュージョン】はずれ…

 

 5枚目。魔法カード【円盤闘技場セリオンズ・リング】はずれ…

 

 6枚目。罠カード【無限泡影】はずれ…

 

 7枚目。まさかの【紅蓮魔獣 ダ・イーザ】だ。

 

 三沢の宣言が的中する。

 

 よって、【ダ・イーザ】も墓地に送ることになる。

 

「ありゃ?残念すぎる」

「残念という割には全然残念そうには見えないけどな」

「まぁ、使えないなら他のプランでいくだけさ」

 

 真樹那のデッキは残り27枚。

 

「というか、こっからが本番だ。ノンストップで行くぞ!」

「あぁ、来い!」

 

(彼、仕掛けてくるわね)

 

(…)

 

「オレは【強欲で貪欲な壺】を発動!10枚デッキから裏側表示で除外して2ドロー」

「やはりか…」

 

 入学試験でもこの手は三沢も知っているはずだ。

 

 壺の効果によって10枚除外して2ドロー。

 

 真樹那のデッキ残り17枚。

 

 2ドローで残りデッキ15枚。

 

 引いたカードは【灰流うらら】【獣王アルファ】…

 

 そして、10枚除外によって【魂吸収】の効果でLPが5000回復する。

 

 真樹那のLP11200

 

「うおー!真樹那やべー!」

「うるさいぞ十代!兄弟ならこれくらいやってのけて当然だ!」

「またLP10000超えっす!?」

「三沢って人…もう、彼を止められないわね」

「えぇ。あの子のことだから、たぶんまだLPは上昇するはず」

 

(…)

 

「悪いな三沢!今日はデッキがよく回る!」

「はっはっは!もう勝った気でいるのか真樹那!フィールドをよく見ろ!俺の方程式が正しければ俺はまだ負けたわけじゃないぞ!!」

 

 真樹那も三沢もハイになっていた。

 

「オレはデッキから8枚除外して墓地から【叢雲遠呂智】を特殊召喚!」

 

【隣の芝刈り】で墓地を肥やした時に落ちていた。

 

 8枚除外により【魂吸収】の効果でLP4000回復。

 

 真樹那のLP15200

 

「トラップの発動は?」

「トラップ?俺がいつ罠カードを伏せたと言った!」

「なら次!墓地の【シラユキ】の効果発動…!こいつは手札、フィールド、墓地から7枚カードを除外して特殊召喚することができる!そして、LPも回復だ!」

「くっ、まだそんなカードを持っていたのか!?だが、いくらLPを回復したところで同じことだぞ!」

 

【妖精伝姫-シラユキ】

 自分・相手ターンに、このカードが墓地に存在する場合、自分の手札・フィールド・墓地からこのカード以外のカード7枚を除外して発動できる。このカードを特殊召喚する。

 

 真樹那は墓地から7枚除外して【シラユキ】を特殊召喚した。

 

 それに伴い【魂吸収】でLPはさらに3500回復する。

 

 真樹那LP18700

 

「トラップは?【破壊輪】は??まだしないの???」

「破壊…なんだって?そんなものは知らんな!!」

 

 一度整理する。

 

三沢 LP4000

手札0枚

 

  ▢▢①②▢

  ▢▢③④▢ ▢

 

▢ ▢▢⑤⑥▢

  ▢▢⑦▢▢

 

手札4枚

真樹那 LP18700

 

配置

 

①【セットカード(破壊輪)】

②【セットカード(激流葬)】

③【ブラッド・ヴォルス】

④【ブラッド・ヴォルス】

⑤【機巧蛇-叢雲遠呂智】

⑥【妖精伝姫-シラユキ】

⑦【魂吸収】

 

手札

【融合】

【リミッター解除】

【灰流うらら】

【獣王アルファ】

 

デッキ7枚

EXデッキ3枚

墓地22枚

除外37枚

 

(耐えろ!耐え切ってみせるんだ!俺!勝機が見えてきた!真樹那のデッキはあと残りわずかだ!どんな手段でもカッコ悪くてもコイツに勝つ!そのまま自滅しろ!)

(あーやべ…デッキ削り過ぎた。ダ・イーザは墓地と除外で全滅…死者蘇生も除外行き…ギガレイズはラスト一枚デッキ内だ。おー?除外37枚なら結構いい打点狙える?いける?やっぱムリ??いや、関係ない。オレはこのターンに全てを賭ける!!)

 

「三沢くんは凄いんだね。こんな状況でも笑ってるっス…」

「ん?翔??」

「真樹那くんのLPは異常すぎるッスよ。僕だったら諦めてサレンダーしてるっス。でも、三沢くんは諦めていないっス。どうしてあそこまで…戦えるんスか?」

「そりゃデュエルが楽しいからだろ?こんなワクワクするデュエルはなかなかねーって」

「デュエルが楽しい…か。僕もあんな風に戦えたらカッコいいだろうなぁ」

「翔もいつかきっとできるさ!」

「アニキ…」

 

(…)

 

「ふん。やはりドロップアウトのオシリスレッドらしい考え方だな。仲良しこよしの楽しいデュエルだけをご所望であれば別にここじゃなくてもできるんだぞ?ここはデュエリストのエリートを養成する名門デュエルアカデミアだということを忘れるなよ貴様ら」

「なんだと万丈目!」

「さん、だ!」

「2人とも喧嘩するなら他所でやってもらえるかしら?今は真樹那のデュエルを応援するのよ?わかった??」

「「あ、はい」」

 

(…)

 

 などと外野もとやかく五月蝿いが真樹那と三沢はデュエルに集中していて耳に入っていない。

 

「で、三沢。トラップは?【破壊輪】は??本当に使わないん???」

「ははっ、どれだけ疑っているんだ。やけに慎重だな?そんなに【破壊輪】が怖いのか?それともその口から出る言葉は嘘で俺を惑わすための心理戦か?」

「あーそうだよ!オレは今から【融合】を使う。それに対して【破壊輪】をどのタイミングで使うのは勝手だけどこれだけは言わせて。今から融合召喚するモンスターに【破壊輪】は効かない。墓地に行く【融合】のカードのおかげで効果の対象にならなくなる」

「なんだって…?」

「なら、今のうちにどちらか2体を破壊するしかなくない??右が左か?二者択一だ」

 

 真樹那は手札から【融合】を発動した。

 

 ラストチャンスと言わんばかりにチェーンを待つ。

 

(真樹那は【破壊輪】を使わせたいのか?そもそも何故【破壊輪】だと決めつけてくる?あぁ、そうか。俺のデッキ構成の全貌が見えないから、入試の時の情報を頼りにするしかないんだな…まぁセットカードの1枚は【破壊輪】なんだけど。さてどうする?挑発に乗るか?乗らないか?融合モンスターが未知数だ。本当に効果の対象にならないのか?融合素材もフィールドに出ている2体を素材にするかもわからない。手札に素材にできるモンスターがいる可能性もある。なんなら手札のみで素材が揃っている可能性すらある。何故そこまでして【破壊輪】を使わせたい?仮に、フィールドのモンスターを破壊するとしたら、どちらを破壊するのが正しい?やはり攻撃力が【ブラッド・ヴォルス】より上回る【叢雲遠呂智】にしておくべきか…?デッキは残り7枚。もう復活はできまい…いや、でも。待て…効果の対象にならないが【激流葬】は有効なのか?なら【破壊輪】は温存しておいた方が…いや、それでも何か違和感を覚える…こいつはブラフだ!嘘の中に真実を隠したな!なら俺が出す方程式はこれだ…!!)

 

 三沢の脳内処理で僅か3秒。

 

「はい、タイムオーバー。オレは…」

「待て!俺はお前の裏の裏をかく!本当は【破壊輪】使って欲しくないんだろ!リバースカード、オープン!【破壊輪】で【叢雲遠呂智】を破壊して、お互いに破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを受ける!」

 

 受けるダメージは2450

 

 真樹那LP16250

 三沢LP1550

 

「裏の裏〜?ならオレはオマエの裏の裏の裏をかく!手札にある2体とフィールドの【シラユキ】1体で融合召喚!」

「3体素材の融合召喚か!?」

「あぁ!しかも融合素材は同名でなければなんでもいい!」

「ほんとズルくないかそれ!?」

「だから言ってるだろ三沢!オレTUEEしていいのはオレだけだ!現れろ!3体融合【ガーディアン・キマイラ】!!」

 

 真樹那のゲテモノキメラ脳筋デッキに相応しい融合モンスター。

 

【ガーディアン・キマイラ】

闇属性 レベル9

攻撃力3300 守備力3300

 

カード名が異なるモンスター×3

このカードは手札と自分フィールドのモンスターのみをそれぞれ1体以上素材とした融合召喚でのみEXデッキから特殊召喚できる。このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが魔法カードの効果で融合召喚に成功した場合に発動できる。手札で融合素材としたカードの数だけ自分はデッキからドローし、フィールドで融合素材としたカードの数だけ相手フィールドのカードを選んで破壊する。②:自分の墓地に「融合」が存在する限り、このカードは相手の効果の対象にならない。

 

 攻撃力3300!?などと、会場にどよめきが走る。

 

「【ガーディアン・キマイラ】の着地と同時にフィールドのカード1枚破壊と2ドロー。もちろん残り1枚のセットカードを破壊する!」

「くそ、もし【破壊輪】を使っていなくてもフィールドのモンスター2体を素材にしていたら破壊されていたのか…!?」

「まーね。でも【破壊輪】使ってくれたお陰で2ドローできた。だから、使ってくれてありがとー」

「それが狙いだったのか…破壊されるなら使うしかない。チェーンして【激流葬】を発動!これなら破壊できるだろ?融合モンスターもろともフィールドの全モンスターを破壊だ!!」

「それでも構わない!なんたってコイツは囮だからな!」

「な、なんだと…!?」

 

 効果の対象ではなくフィールドのモンスターを全破壊。

 

 フィールドに残るは【魂吸収】のみ。

 

 真樹那は2ドローで【可変機獣 ガンナードラゴン】【スクラップ・リサイクラー】を引いていく。

 

(ギガ・レイズじゃないー。ホントに引き弱いわー…)

 

 7分の2の確率だった。しかし、狙っていたカードではなかった。ここまでお膳立てしたのにな。これが本来の真樹那の引きである。

 

 だから、エースカードに依存しない戦略を考えた。

 

 エースカードがなくても勝てるように少しでも工夫してきた。

 

 あの人外魔境のMDランクマッチ戦に勝つために…

 

「というわけでオレの勝ちだ三沢」

 

 真樹那はデュエルではエースカードさえ除外しても厭わない大胆なゲームメイクをするが、その裏では慎重で用心深い。

 

 なるべく、相手の妨害カードは全部割ってからフィニッシュへと持ち込むのが理想的だ。

 

 それはもう嫌というほど繰り返してきたランクマッチ戦の癖でもあるがな。

 

 真樹那はまだ通常召喚権を残してある。

 

 真樹那の手札には【リミッター解除】がある。

 

 なにより、真樹那の墓地にはまだあのケモ耳が存在している。

 

【破壊輪】を使われなくて、三沢のLPが4000の状態でもこの時点で勝敗は決まっていた。

 

「あぁ、そうか…ようやく理解した」

「なにが?」

「俺とお前の違いだよ。このデュエルで、あんなに強い融合モンスターさえ囮に使うなんて…真樹那、お前は俺たちが見ている視点が、セカイが違うんだな」

「あー…そうだな。そうかもね」

 

 それは異世界へ行っていたからなのだと三沢は結論つけた。

 

「本当はオマエにも見せたかったエースカードがあったんだ。強さを求めたオレの最高到達点の攻撃力を自慢したかった…でも、それはまた今度。代わりに今日の主役はキミだ。【シラユキ】の効果発動。墓地から特殊召喚」

「はは、ターン制限なしでまた蘇るのか!」

「おうよ!【シラユキ】は手札、フィールド、墓地に7枚以上カードがある限り何度でも蘇る!」

『鬼畜ですぅ〜』

 

 墓地には【シラユキ】を除いてまだ27枚もストックが残っている。

 

 手札も合わせたら29枚…

 

「さらにこんな使い方もできる…【シラユキ】の効果発動にチェーンして【シラユキ】の効果発動!さらに墓地から7枚除外!もう一度!【シラユキ】の効果発動にチェーンして【シラユキ】の効果発動!さらに墓地から7枚除外!そんでラスト!その【シラユキ】の効果にチェーンしてさらに【シラユキ】の効果発動!墓地の6枚と手札の1枚を除外!」

 

 ナニガオコッテルンダー!?

 

「チートだな。つまり今の4チェーンでカードを一気に28枚除外したのか!!」

「そういうことー」

 

 無駄なムーブではあるが28枚除外したことにより【魂吸収】の効果でLP14000回復だ。

 

 真樹那LP30250

 

「うおーーー!!LP30250すげーーー!!」

「はは、もうこんなの別のゲームじゃないっスか。見たことないLPっス」

「見せてくれたな兄弟!俺の予想の斜め上を行く男だ!おもしろい!」

「しかもあの子が除外したカードは全部で65枚…」

「もし、【ダ・イーザ】や【ガンドラ】モンスターを召喚されていたとなるとゾッとするわね…」

「なんだかよくわからないけど真樹那さんが強いってことですよね!」

「真樹那さまー!最強ですわー!」

 

(…)

 

 そう。

 

【ダ・イーザ】なら攻撃力26000

 

【ガンドラ-ギガ・レイズ】なら攻撃力19500だった。

 

 たらればの話だがな…

 

 そして、

 

【シラユキ】の攻撃力は1850だ。

 

 三沢のLP1550。よって…

 

「三沢にダイレクトアタックだ【シラユキ】。チョップして」

『ふぇぇ、ダイレクトチョップですぅー』

「いて…」

 

【シラユキ】のダイレクトアタック。

 

 三沢の額にチョップだ。

 

 三沢のLPは0。

 

 この勝負、真樹那の勝ちだ。

 

「よし。真樹那の勝ちね」

 

 明日香が控えめにガッツポーズする。

 

 それをニヤニヤと笑うジュンコとモモエを羽交締めした。

 

 割れんばかり歓声。

 

 もちろん両者への賞賛と拍手。

 

 スゴカッタゾー!

 

 アンナモノインチキダー!デモオモシロカッター!

 

 ミサワ、オシカッタナー!ツギハカテヨー!

 

 息つく暇もない3ターンの攻防戦。

 

 三沢はどっかり腰を下ろして両肩で息をした。

 

 気づけば汗びっしょりだった。

 

 それほど熱くなっていた。

 

 熱いデュエルだった。

 

 対戦相手を見れば憎たらしいほど爽やかな笑顔で汗ひとつかいていないがな。

 

 今度はもっと熱いデュエルをしてやると心に誓うのであった。

 

「真樹那。言っておくが次は俺が勝つ」

「おー。次もオレが勝つー」

 

 2人はがっちりと握手した。

 

 To Be Continued…




 ラーイエロー寮の食堂での話し。

 反省会。

三沢
「お互いのLPが4000ずつなら俺が勝っていたはずだ。俺に何が足りなかったと思う?火力?やはり時代は脳筋なのか?」

真樹那
「んー、引きじゃね?」

三沢
「引きか…けっこういい引きしていたと思うけどな」

真樹那
「まぁ今回はオレの方が引きがよかったということで」

三沢
「なぁ、もう一度デュエルしてみないか?」

真樹那
「おー、いいよー」

三沢
「今日のあのデュエルで痛感したんだ。俺はまだまだ弱い。だから、今の俺にない方程式を編み出して、必ずお前に追いつく。いや、追い越してみせる!」

真樹那
「オレも…オレの本気はまだまだこんなもんじゃないぜー。そして、さらに進化していくー」

三沢
「はは、それでこそ我がライバル」

神楽坂
「なんだなんだ?お前ら食後のデュエルか?だったら俺も混ぜてくれ!試したいデッキがあるんだ!」

イエローモブ生徒その①
「あー、神楽坂だけズルいぞう!」

イエローモブ生徒その②
「俺も天上院とどこまで戦えるか試してみたいデ!」

イエローモブ生徒その③
「僕も僕もー!」

三沢
「待て待て。1番手は俺からだ!」

真樹那
「ふっ、モテる男はつらいぜー」

 何はともあれ…

真樹那&三沢
「「デュエルッ!!」」

 みんなで食卓を囲んでデュエル。
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