烙印からの帰還者〜天上院家の末っ子は脳筋デッキしか勝たん〜   作:Eクラス

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デュエリストカップ
GX専用デッキでティアラメンツ・ラビュリンスを撃破!
うおー!光の結社編に新たな敵としてのイメージが沸いてくるぜ!!
え?先にセブンスターズ編をやれって??
あ、はい…


13 特待生寮前

 とある夜。 

 

「アニキ〜。やっぱり行くのやめようよ〜」

「そ、そうなんだな。今から引き返しても遅くはないんだな〜」

「へへっ。ここまで来たんだ今さらビビったってもう遅いぜ」

 

 十代たちはデュエル・アカデミアの七不思議、特待生寮へ肝試しにやってきた。

 

 今は使われなくなった古びた洋館は立ち入り禁止のテープが張られていた。

 

 翔と、同室の隼人も建物の雰囲気に怖気付いていた。

 

「せめて真樹那くんも一緒に来て欲しかったっす」

「そうなんだよなー。あいつ、明日香に捕まったから行けないってよ」

「明日香さんと2人であんなことやこんなことしてるだなんて羨ましい限りっス」

「なんだか翔の言い方は語弊を招きかねないからやめた方がいいんだな〜」

 

 真樹那も肝試しに誘ったけどタイミング悪く明日香に捕まった。

 

 異世界馬鹿野郎がいれば怖いものなしだと期待していたために翔はガッカリした。

 

 隼人も、十代たちから真樹那の話は聞いている。

 

 脳筋デッキでLP30000超えをやってのけた男がどんな後輩なのか見てみたかった。

 

 とんとん。

 

 翔は肩を叩かれた。

 

「アニキ、何すか?」

「え、俺じゃないぜ?」

「じゃあ隼人くん?何すか?」

「俺でもないんだな〜」

「じゃ、じゃあ誰が…!?」

 

 十代でも隼人でもない誰かに肩を叩かれた。

 

 恐る恐る振り返るとそこには…

 

「こ・ん・ば・ん…わぁ!」

「うおー出たー!?」

「ぎゃー口裂け女ー!?」

「本当に出てしまったんだな〜!?」

 

 まぁ、そんなわけがない。

 

 口裂け女でもないし特待生の亡霊でもない。

 

 生足が少し過激なだけの顔見知りのオベリスクブルー女子である。

 

「え?あー!榊じゃん!脅かすなよお前ー」

「うふっ、ドッキリ大成功かしら?」

 

 懐中電灯を顎下からあてて顔芸したのだろう。

 

 榊玲奈は年相応の悪戯っこの笑みを浮かべた。

 

「翔!隼人!榊だ。オバケじゃないぞー」

「「あわわわわ」」

 

 あまりに驚き過ぎて人語を忘れて腰を抜かしている。

 

「なんでお前がここにいるんだよ?」

「ワタシは夜の散歩よ。そしたら、アナタたちが森に入っていくのを見かけてね。こっそり後を付けたのよ。肝試ししてるのよね?」

「そうだぜ!今からあの特待生寮へ潜入調査だ!お前もここまで来たんだからもちろん来るよな?」

「ふふ。えぇ、もちろん」

 

(…)

 

 含みのある笑いをする榊玲奈。

 

 それを別の意味で捉えた十代はこう言った。

 

「お前ってそんな顔もするんだよな。いつもと違ってそっちの方がいいと思うんだよなー」

「あら?いつもと同じワタシのつもりなんですけど?」

「なんていうか、いつものお前ってクールな女帝キャラってイメージでみんなビビるんだよ。真樹那と喧嘩する時はめっちゃ怖い顔しているし、なんか余裕がないっていうか声掛けづらい時あるし…でも、俺たちとしたデュエルの時や今みたいに悪戯っ子みたいな顔しているそっちの方が良い感じだぜ。俺はそっちの方が好きだ」

「そう…」

 

(アニキがナチュラルに女の子に告白してるッス)

(これがオシリスレッド希望の星、遊城十代なんだな)

 

「そうね…そうかもね。そう言ってくれる人なかなかいないから貴重な意見だわ。十代くん、教えてくれてありがとう」

「へへっ、別にいいってことよ!」

「ワタシ、やっぱりあの異世界馬鹿野郎くんからアナタにターゲットを変えようかしら?」

 

(…)

 

「うっ、その舌舐めずりはやめてくれ〜。背中がブワーってなるから!」

「あら残念。じゃあサンドバッグくんはあのバカのままね、ご愁傷様」

「真樹那めんご!」

 

 サンドバッグになるのは十代も遠慮するところだ。

 

「というか、なんで真樹那とそんなに仲悪いんだ?あいつ良い奴で面白い奴なのに」

「それは海より深い事情とか、いろいろあるのよワタシ達。犬と猿は仲良くなれないわ。あぁ、もちろん猿があのバカの方ね」

「お、おう」

 

 そうだ。真樹那と関わらなければ榊玲奈もいたって普通の女の子なのかもしれない。

 

 それは本人も自覚しているところ。

 

「うるせー、猿でわるかったなー」

「あらあら…噂をすれば猿がなんとやら」

 

 噂をすれば真樹那がやってきた。

 

 それに明日香も一緒だったりする。

 

「おっ、真樹那に明日香じゃん!なんだよ2人ともこんな時間にデートか?」

「おーす」

「十代、あなた何か勘違いしてるわ。こんな夜の森の中でデートするカップルがどこにいるのよ?そんなの普通じゃないわ」

「ん?だからそれってお前らのことだろ?」

「なんですって?」

「でも明日香さん。語るに落ちているわよ?その手は何かしら?」

「あ…」

 

 明日香はバツが悪そうに繋いでいた真樹那の手を振り解いた。

 

 ヤッパリデートッスネウラヤマシイッス…

 

 リアジュウナンダナー…

 

「こ、これはアレよ?アレなのよ??」

「そうか、アレなのか?」

「そう!真樹那が逃げないように捕まえていただけなんだからね!」

「うふ、恋人繋ぎしといて?」

「だからこれは真樹那のイタズラなのよ…!」

「姉さん。もういいじゃん。オレたちが夜の森へラブラブデートしてたのは本当のことでしょ?」

「ラブラブなんかしてないわよ…!?」

「あでで、耳引っ張らないでー」

 

 もう勝手にやったらいいと思う十代たちであった。

 

「それよりもあなた達はこんなところで何してるの?ここは立ち入り禁止の場所よ?」

 

 明日香は話題を変えるために十代たちに聞いた。

 

 そっくりそのまま言葉を返されるとわかっていながらも聞かなければならないこともある。

 

「何って俺たちこれから肝試しするんだ。お前らもどうだ?真樹那も誘うつもりだったんだぜ」

「そう。バカなことを…」

 

 明日香からすると頭の痛い話の連続だ。

 

「あのね十代。ここはそんな軽い気持ちで立ち入ってはいけない場所なの。ここでは何人もの生徒が行方不明になった曰くつきの廃寮なのよ?」

「だから俺たちで調査して真実を暴いてやるんだよ」

「バカなことしないで!そんな遊び半分な気持ちで行っていい所じゃないのよ!十代、あなたは何もわかってない!」

「な、なんだよ。そんな怒らなくてもいいじゃんか」

「明日香さん。あなたが持っているそのバラの花と何か関係があるのかしら?」

「これは…」

 

 これはとてもデリケートな話だ。

 

 言いづらいことだった。

 

 だから明日香は言い淀んだ。

 

 見かねた真樹那がすかさずフォローに入る。

 

「オレたちの兄さんもここで行方不明になったみたい。だから、姉さんは心配してるんだ十代。友達を危ない目に合わせられない。それはわかってあげて」

「そうだったのか。でも、俺は行くぞ?」

「ちょっと十代!」

「へーきへーき!お前たちの兄ちゃんの手がかりになるもん見つけてくるだけだから!ほら、翔!隼人行くぞ!起きろ!」

「え〜アニキー待ってよ〜。明日香さんはやめとけって言ってるんスよー?」

「そうなんだな〜。やばい雰囲気ぷんぷんなんだぁ〜」

 

 明日香の制止も虚しく、十代たちは特待生寮へ入って行ってしまった。

 

 真樹那にいたっては薄情にも十代たちに手を振って見送る。

 

(…)

 

「じゃあ、ワタシもそろそろ行くわね」

「榊さんまで…」

「でも、彼らのことはほっとけないでしょ?お目付け役は必要だと思うわ」

「でも、本当に人が消えているの。何が起きるかわからないのよ?」

「本当にヤバくなったらあの3バカをしばいてでも連れて戻ってくるし。それとも大きな悲鳴でも出して異世界馬鹿野郎くんに助けてもらったらいいかしら?」

「はいはい」

「あーでも、アナタは駄目ね。明日香さんを1人にさせちゃ駄目よ?」

「どっちなんだよ」

「探し物はワタシに任せて余計なことしないで大人しくしてなさい?い・い・わ・ね?」

「はいはい」

 

 真樹那はしっしっと追い払うジェスチャーをして詰め寄ってくる榊玲奈を追っ払う。

 

 榊玲奈の言う探し物も真樹那にしかわかるまい。榊玲奈は自分の復讐のために真樹那よりも先に白いカードを探すために特待生寮へ潜入するつもりだ。

 

(…)

 

「もう。みんな勝手すぎよ…」

「十代たちなら大丈夫でしょ」

「あなたって薄情よね。友達なんでしょ?なんで止めてくれなかったの?」

「うーん、それ言われると痛いんだけど…」

 

 明日香にキッと睨まれる。

 

 でも、明日香の目は不安と焦燥感に駆られるていることが読み取れた。

 

 真樹那はバツの悪そうに頭をかく。

 

 そして、懐から一枚の青いカードを取り出した。

 

「もし本当に十代たちの身に危険があった時はコイツが知らせてくれる」

「見たことのない種類のカードね。しかも、またネコ耳の女の子…」

「う、うん。彼女の名前はI:Pマスカレーナ。潜入捜査が得意な心強い味方だよー。十代たちの後をこっそりつけてもらおう」

 

 ジト目の明日香。

 

 でも、真樹那がやろうとしてくれることは何となく理解できた。

 

 精霊の存在はすでに知っている。

 

 真樹那が精霊と交信も召喚もできることを知っている。

 

 まぁ、一つ余計なことをいうならば、マスカレーナはもうすでに特待生寮へ潜入させてある。十代たちよりも早く、明日香とラブラブデートする前から…白いカードを探している。

 

「だから、姉さん。もう安心して」

「ちょっと…抱きつかないでよ」

「いいじゃん。兄弟なんだから」

「よく…ない。私はあなたのお姉さんなのよ?」

「知ってるよそんなこと」

「弟のくせに生意気なのよ。こんなところ誰かに見られたらどうするの…」

「えー、別にー。見られたら姉さんは困るの?」

「兄弟なのに…その、カ、カップルと間違われて噂になったら困るでしょ?」

「んー?別にー…そんなことよりも、姉さん。少し落ち着いた?」

「え?」

「いや、不安な顔してたでしょ?だからハグして安心させようかなーって」

「あ、うん…そう。それで…ありがとう」

「どういたしまして」

 

 だからハグをする。抱きしめる。

 

 他意はなく明日香の勘違いでしかなかった。

 

 弟は自分のせいで姉を心配させてしまったことを後悔している。

 

 だから、兄のことで心配になる姉を少しでも安心させたかったのだ。

 

 明日香も力強くハグを返した。

 

「姉さん…オレは異世界から帰ってきたよ?だったら兄さんも必ず帰ってくる。兄さんを信じて待とう」

「うん」

「手がかりになるもの何かあるといいね。ここで十代たちの帰りを待とう」

「うん」

「それにしても…」

「うん?」

「やっぱり姉さんはやわらかー」

「もう。バカ…」

 

 前言撤回。

 

 ちょっぴり危険な夜になるかもしれない…そう思いつつもあまり抵抗できない明日香であった。

 

 To Be Continued…




真樹那
(誰かがこちらの様子伺ってる…タイタンかな?うらら、シラユキ。あとクリッターも。姉さんに気づかれないように追い払ってきて笑)

うらら
(くすくす、イタズラしちゃうぞ〜!)

シラユキ
(ふぇぇ、闇討ちですぅぅ!)

クリッター
(ケケ、カリノジカンダー!)

タイタン
「な、なんだコイツらは!?ぐ、ぐぉー!?カンチョーはやめてくれ〜〜〜!?」
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