烙印からの帰還者〜天上院家の末っ子は脳筋デッキしか勝たん〜 作:Eクラス
入学初日からドタバタした1日だった。
「酷い目にあった…」
まさかラーイエロー寮前に銀髪少女がいて嫌がらせによる妨害があるとは誰も思うまい。
まぁ、何がどうなったのかはご想像にお任せするとしよう。
そんな入学初日の夜。
話しを整理しておこうか。
デュエルアカデミアの学園生活をするにあたって天上院真樹那が今抱えている問題について。
・姉の弟に対する執着心がちょっと心配
・銀髪美少女に敵意剥き出しに宣戦布告されてる
・入学式同時にスタートした『ディス・パテルくんを探せ』ゲーム
『真樹那ー、女の執念は怖いぞー。早めに和解することをオススメするぜ』
「木馬せんせー、何かアドバイスくださいな」
ラーイエロー寮の真樹那の自室にて会議が開かれていた。
海馬コーポレーションの副社長の木馬に助けを求めるも一蹴されるだけなのだが。
『まぁ、烙印事件、それからクリスマス事件を完全に情報操作するのが無理があったんだ。磯野たちはよく頑張ってくれたと思うぜ?』
「いや、そこに関してどうこう言うつもりはないけど。寧ろ感謝してますー」
『当たり前だ。それより問題なのは榊のお嬢さんがどこまでお前のことを知っているかだな』
「…」
去年12月17日に突如出現したホールより真樹那と厄災が空から降ってきた事件。
そして12月24日は榊玲奈の父親である榊直哉が海馬コーポレーションの宇宙ステーションで亡くなっている。世間では事故として処理されたが、榊玲奈の口ぶりだと真実を知っているのかもしれない。
そう考えるといろいろ見えてくるものがある。
『考えたくないけどうちに内通者がいて榊玲奈に真実を教えた。もしくは、榊玲奈がネットの動画や噂から答えを導き出したか』
「あるいは…アルベルが榊玲奈と接触して唆した」
『そう考えるのが妥当だな。ちなみに、榊玲奈は去年までの進路はデュエルアカデミアではなく偏差値80超えのエリート校。それが今年の一月から急遽進路変更したって話だ。頭のデキはいいみたいだし、格闘技も習いだしたって話だ…それ考えるとお前けっこうヤバいかもな』
「まじっすか…」
宣戦布告というか完全に殺しに来てるじゃないっすか。
私怨?復讐?報復?行き場のない怒りを真樹那にぶつけるために態々進路を変えたということだろうか。
その執念に舌を巻く。
「ちなみにその子が入試で使っていたデッキは天使デッキって聞いてるんだけど?」
『あぁ、お前が思っているような怪しいカードは持ってなかったぜ。例のカードも、もちろんなかった』
「まっ、杞憂だったらいいけど」
『入学試験の時に、受験生の使用するカードはデュエルディスクにスキャンするためどんなカードを使うか記録が残るようにしている。特に〈烙印〉に近しいエネルギーは会場に入った瞬間にキャッチするように会場全体に細工していた。でも、反応がないということはあの日の受験生の中に例のカードを持っている奴はいなかったってことだ』
キットの協力もあり〈烙印〉に反応する装置をなんとか完成することに成功した。
これは探索にも使える優れアイテムである。
そんな功績を作ったキットたんだが、彼女は毎日社長にシゴキこまれてお疲れモードですでに就寝中だったりする。
私もデュエルアカデミアに行きたいと愚痴を言っていた。
『それから入学式の今日、デュエルアカデミアの校内もサーチをかけてみたが反応はなかったらしい。そうだよな?松田』
『はい、ありませんでした…』
松田女史。
元宇宙ステーションのオペレーターを務めていた人だ。
クリスマス事件で亡くなった榊直哉に密かに恋心を抱いていて、今は彼の仇を討つために学園へ転属して真樹那と協力して例の白いカードの行方を追っている。
表向きの肩書は教官補佐。そして、オベリスクブルー女子寮の副館長である。
榊玲奈の監視もこの人の役割となっていた。
「ちなみに、オレも精霊達に聞いてみたけど収穫なし。明日から本格的な調査って感じになるかな…姉さんに妨害されそうだけど」
『ちゃんと和解しとけよー』
『……』
「はいすいません善処しまっす」
松田女史の無言の圧力にたじろぐ。
正直言えば真樹那のことをよく思っていない。というか、本人の口から嫌いと言われている。
榊玲奈と同じだ。
榊直哉が死んだ原因を作った事件の中心人物なのだから。
その上で松田女史は作戦に参加した。
想い人の仇を取るために。
榊玲奈と違うところは真樹那に復讐するのではなく協力することにある。
だから、真樹那は使命を放棄して逃げ出した時は地獄の果てだろうと追いかけて殺す宣言までされている。
真面目にやらないと背後からグサりなんてこともありえるだろう。
それを考えると真樹那の抱える問題は松田女史の存在もある。
明日にでも姉に精霊を召喚してでも異世界へ行っていたことを証明しようと思うのであった。
『じゃ、あとはお前達に任せたぞー。また来週な』
「りょうかーい」
『お疲れ様です』
副社長も忙しい身の中で時間を作って定例会議が行われたわけだ。
頭が上がらない。
「そういうわけで松田さん。明日から本格的にケモ耳隊の出動だ!よろしくー」
『……なんで私この部隊に入ったんだろ』
あの人の仇を取るためなんでもするつもりであった。
自分では例のカードをどうこうするこたはできないだろう。
だから最終的には真樹那に頼らざるを得ない。
真樹那も思春期真っ盛り男子である。
モチベ上げてくれるならこの身を差し出してもかまわないとさえ思った。
大人の魅力を見せて少し色仕掛けをすればエロガキは飛びつくだろうとたかを括っていた。
だけど真樹那は違った。
侮っていた。
異世界帰りだということを忘れてはならない。
じゃあケモ耳隊を立ち上げるからケモ耳を付けて、と要求されるわけだが。
こうしてケモ耳アラサー女子の爆誕である。
この屈辱は忘れやしないだろう。
「松田さん…もしかしてケモ耳だけじゃ物足りない感じ?尻尾付ける?」
『ッ!?いりません!!』
そういうことではない。
とりあえず、真樹那は姉を宥めつつ銀髪少女を刺激しないように対応しつつ、学園や島のあちこち見て周る作戦だ。
今夜も先行して精霊を飛ばして島全土見てもらうつもり。
松田女史も校内の巡回や生徒達に異変がないかどうか情報共有を交えながら真樹那のサポートに回る。
何はともあれ例の白いカード『ディス・パテルくんを探せ』ゲームが始まった。
To Be Continued…
〈天上ケモ耳隊〉
リーダー
天上院真樹那
発明バカ癒し担当
キット
ケモ耳アラサー参謀役
松田女史
デッキより
うらら
シラユキ
EXデッキより(デュエルさせないからセーフの縛り)
マスカレーナ
アポロウーサ
バロネス(フッ、アタシは馬判定か…)
真樹那のデッキ
『叢雲ダ・イーザ』
基本ゲテモノキメラ脳筋デッキなためケモ耳娘がほぼいない…