烙印からの帰還者〜天上院家の末っ子は脳筋デッキしか勝たん〜 作:Eクラス
本格的に『ディス・パテルくんを探せ』ゲームが始まる。
(はいはいケモ耳隊〜、点呼とるよん)
デュエルアカデミアにて。
真樹那は自分の部隊・ケモ耳隊に抜擢した精霊を呼び出し点呼を取りはじめた。
もちろん万が一のことを考えて人目につかぬように霊体化で。
(出席番号1番、うらら〜)
(くすくす)
毎度お馴染み手札誘発最狂!【灰流うらら】
(2番、シラユキー)
(ふぁ〜、おはようです)
アンデットよりアンデットしている【妖精伝姫-シラユキ】
(3番、マスカレーナ)
(ハイハーイ♪)
MDでは頼もしい採用率。GX世界では出番が危ぶまれていたが満を持って登場。
【I:Pマスカレーナ】しかもイラスト違い。
(4番、アポローウーさん)
(…)
マスカレーナと同じくGX世界で大暴れしてくれる日は訪れるのだろうか。
【召命の神弓-アポロウーサ】
クマもいるよ。
ちなみに弓の名前がアポロウーサ説。
(5番、バロネスたん)
(おい、たん付けはヤメロ)
いじられ担当の【フルール・ド・バロネス】
MDでは脳筋デッキでもめっちゃんこ活躍してくれた頼もしいヤツだ。
(じゃ、オレが授業している間は校内探索よろしくー)
(((((え、それだけ?)))))
(え、他に何かある?)
(もっとこう具体的な作戦とかあるだろ)
((そうだそうだー))
バロネスが呆れ顔で指示を促している。お前の悪いところはそういうテキトーなところだぞ、とご指摘された。
そして、それに乗っかるうららとシラユキ。ポカポカと真樹那を叩く。
(マスター…昨日、すでに我々と松田女史で校内を一通りサーチしてみましたが〈烙印〉の気配はなかったんですよ?)
見かねたアポロウーサが挙手して発言する。
(うん、知ってる。だから本格的に探すんでしょうに。サーチに引っ掛からなかった?じゃあ息潜めてる可能性もあるじゃん?少しでも可能性があるなら試す。だったらやることは一つじゃん?)
(((((ま、まさか…)))))
(校内の隅から隅までくまなく探すんだ!図書室なら本の1ページ1ページめくって!見つかるまで年中無休でDA!)
(((((oh…)))))
作戦と呼べない酷い作戦だった。
(おに!おに!)
(ふぇぇ鬼畜マスターですぅ〜)
(ワタシ、この隊抜けまーす♪)
(見てください…クマさんのこの呆れ顔。開いた口が塞がらないというやつです!)
(キサマを労働基準法違反でいつか訴えてやる!やれ!ウマ!)
やいやい言われる真樹那は澄まし顔だ。だから余計に腹が立つのだこのイケメン。
(もちろん、頑張ってくれた子にはご褒美を考えてるんだけどなー)
(((((…)))))
(特に頑張って『ディス・パテルくん』を発見した子には、ね)
(ケモ耳隊1番うらら探してきまーす!)
(ふぇーん、うららちゃん待って〜)
(ガォー!!)
(あ、クマさん待ってください…私を置いてかないで!)
(ワタシも契約続行で♪マスターちゃん、またあとでね!)
(ア、アタシも行ってくるか…ってそのニヤニヤ顔ヤメロ!)
こうして、真樹那ケモ耳隊の無謀な校内探索が始まった。
うまく使われたと思われようが結局出番がみんな欲しいわけで。
憎たらしい笑顔で手を振る真樹那。
「真樹那…」
「あ、姉さんおはよー」
人気の少ない廊下で誰もいないと油断していた。
もうそろそろ授業が始まるし、大方みんな席に着いていることも一度、確認していたのにだ。
明日香はまだ席に着いていない真樹那を心配して探しに来たのだろう。
うかつだった。
「こんなところで何してるの?誰もいない方に手を降ってるし、やっぱり変よあなた」
「えーと、正直に言うと精霊と交信?してた」
「は?まだ言ってるのそんなこと。あなた本当にどうしてしまったのよ…?」
「う、嘘じゃないよー」
「じゃあ交信してるところ見せてちょうだい」
「せ、精霊と交信できるのは一度に5体まででこれ以上は無理なのよー」
それは霊体でも実体どちらともだ。
デュエルモンスターズの縛りにより基本5体までフィールドに召喚できるように設定している。(GX世界なのでエクストラモンスターゾーンはないし)
「今度絶対に紹介してあげるから!今日の晩でもいい!」
「そう。わかったわ…あとで鮎川先生のところに一緒に行ってあげるからカウンセリング受けてみましょう」
「あでで、姉さん耳引っ張らないで!?」
さて、授業が始まる。
デュエルアカデミアはデュエリストを育てる養成所だ。
主はデュエルモンスターズの座学と実技。
そして、一般教科、保健体育、錬金術と…いろいろとあるわけで。
真樹那の昼の顔はアカデミアの生徒である。授業は真面目に受けていた。
錬金術の授業も自分における立場に置き換えれば見えてくるものがある。
(錬金術とは等価交換だ。何かを望めばそれ相応の対価を払わなければならない。オレの場合は〈烙印〉デッキを望んでその対価に〈試練〉がある…)
真樹那ははじめ、
【烙印デッキ=試練】の構図を考えていた。
しかし、実際には、
【烙印デッキ≠試練】であることがわかった。
≠なのは、試練の中で、異世界で得たものは他にもあるから。
【生前のMD脳筋デッキ】【精霊の力】【仲間】
それプラス〈烙印〉デッキまで望んだ。〈試練〉の難易度はそりゃ爆上がりするだろう。
それを踏まえて講式を考えるとこうなる。
【烙印デッキ+MD脳筋デッキ+精霊の力+仲間=試練】
もしくは、
【烙印デッキ=試練=MD脳筋デッキ+精霊の力+仲間】
試練を攻略するために、仕方がないとはいえ他の力を得てしまったので試練のレベルが爆上がりしては世話ないのだが。
(オレ、混乱中…)
あの〈烙印〉の世界で生き抜くために必死だった…
今は悩んで足掻くしかない。
本当に錬金術なんてものの答えがあるのならそれは試練が終わった先に行き着くはずだ。
(ふぇーん、マスタ〜)
(ん?)
例のカード探しているシラユキの泣いている声がした。
自分のデッキの精霊となら、少し離れていても念話くらいできる。
(うららちゃんと逸れちゃったんですぅ〜)
(そか。でも引き続きよろしくー)
(ふぇ!?き、鬼畜マスターですぅー)
(そう?でも探してくれないとお尻ぺんぺんするけど?)
(ふぇぇ痛いのはヤですぅ……)
(だろ?逆にしっかり探索してくれたイイ子にはよしよしのご褒美タイムが待ってるよー)
(マスターによしよし…わ、私に頑張りますぅ〜)
そーそー頑張れーと鬼畜マスターはシラユキを励ます。
(ちなみにシラユキは今どこにいるのさ?)
(ここがわかんないから困ってるんですぅ〜。なんだかテーブルとイスがいっぱいあって、あと、本がいっぱいのお部屋ですぅ〜)
(ふーん、そこってたぶん図書室じゃん)
(と、しょ…しつ、ですかぁ?)
(そう。シラユキはこれからそこを調べて。隅から隅までくまなく)
(ふぇ?)
(本は1ページ1ページちゃんとめくって調べるんだぞ?それからテーブルや椅子の裏にカード貼り付けてあるかもしれないから。よろしくー)
(や、やっぱり鬼畜マスターですぅ〜)
((((…))))
このやり取りは他の精霊達にも伝わっていた。
鬼の所業。
さて、お次は体育の授業だ。
誰かが言っていたな。
デュエリストはアスリートなのだ。体力は必要だ。
あのデュエルディスクを片腕で支えなくちゃならない。
カードのドロー、カードのセットをするのにもパフォーマンスが必要になってくる。
運動不足ではいけない。
強靭で健康的な肉体が必要なのだ。
「保健体育を担当します鮎川です。よろしく」
(激マブだなー、鮎川せんせーは…でも、ケモ耳属性じゃないから残念)
激マブ先生の登場に男子達は思春期特有の妄想を膨らませるだろう。
先生と生徒のイケナイ関係…
でも、真樹那は違う。
(いや、待てよ…松田さんみたいにどうにかして鮎川せんせーにもケモ耳を……いやいや待て待て、先生だけじゃなく姉さんやあの小生意気な銀髪娘を含めたオベリスクブルー女子全員をケモ耳にしてしまうのは天才的発想なんじゃないのか!?)
もっとイケナイ妄想をしていた。
「なーなー真樹那ー。翔のやつ知らね?」
「おー、翔ならトイレなんじゃない?」
そういえば丸藤翔の姿が見えなかった。
「それより十代、昨日オベリスクブルーと揉めてたらしいじゃん?姉さんから聞いた」
「まぁな!でも、あれは俺の勝ちだ!にっしっし」
十代は昨晩、オベリスクブルーの万丈目とアンティルールのデュエルをしていたらしい。
ちょっとしたいざこざがあったそうな。
途中でガードマンが来て勝敗はつかなったんだとか。
でも十代はあのまま戦っていたら勝っていたという。
得意げにVサインをしていた。
「天上院くん。遊城くん。先生が話ししている時は私語は慎むように」
「「へーい」」
鮎川せんせーに注意された。
「あぁ、そうそう。天上院くんはこの体育の授業が終わったら私と一緒に保健室へ来てもらいます」
「「「えー!?」」」
流石にこの発言には他の男子達も黙ってはいなかった。
「やっぱりイケメンリア充なのかこやつ…!?」
「生きてる世界が違う…これがモテというやつか!」
「おのれ畜生!天上院!鮎川先生を幸せにしてやれよ!」
「なーなー真樹那、こいつら何言ってんの?」
「ふっ、十代君。モテる男はツラいよな」
「え、お前も何言っちゃってるの?」
十代、困惑。
「鮎川せんせー。せんせーの気持ちは嬉しいけどごめん。オレ、やっぱりケモ耳じゃないと駄目なんだ」
「天上院くん…」
鮎川先生も困惑。
「天上院くん。それから他のみんなも何勘違いしているのかしら?私はね、君のお姉さん、天上院明日香さんから相談されていたのよ」
「え、相談?」
「私の弟が異世界とか精霊とか言ってちょっと変なんです。きっと失踪して精神が病んでいるからカウンセリング受けさせて欲しいとね。ほら、今も君、ケモ耳がどうとか…先生も心配よ?」
「あ、そっちの話しー!?」
男子達はズコーと盛大にコケた。
まぁ、お約束である。
そして、ここは男子更衣室。
真樹那たちが体育の授業を始めた頃…
怪しい影が忍び寄る。
(ここはマスターちゃんが着替えに使っていたお部屋♪)
白いカード『ディス・パテル』を探していたケモ耳隊の1人マスカレーナの次の潜入先は男子更衣室へ行き着く。
(ここで手柄を取ってヒロインの座はワタシがいただくわ♪負けないわよキット!)
マスカレーナはわかっていた。
自分はこのGX世界ではデュエルではほぼ活躍することはできないことを。
リンク召喚は禁止。
そういうルールなのだから。
ルール無視して自分を使うことでマスターちゃんが傷つくのだから。
鼻血が出るのだから…
できることは基本は霊体化まで。
じゃあ、戦闘向きでもない彼女はもう潜入、偵察、探索くらいしか役に立てない。
(MD時代は何度も私がマスターちゃんを助けたことか…私がいないと困るってことマスターちゃんにもう一度思い知らせてやるんだから♪)
うふふ、と小悪魔のように笑い、しかし胸の内に秘めた想いは本物だ。
(ん?ワタシより先客がいるじゃん?泥棒?マスターちゃんのパンツ狙い?)
ノーネやペペロンチーノとか言っている不審者を発見した。
こそこそとロッカーを順番に開けて何かを確認していく。
(もしかしてこの人も白いカード狙ってるんじゃ!?)
違う、そうじゃない。
その怪しい男は1つの白い封筒をこっそりとロッカーに忍ばせた。
マスカレーナもこっそりその様子を男の後ろから覗き見ると…
(ワオ!これってラブレターじゃん♪)
なんだか面白いことになりそうな予感がした。
To Be Continued…
アポロウーサ
「あの、マスター…ひとつよろしいですか?」
真樹那
「ん?なに?」
アポロウーサ
「私やバロネスさんは霊体化のまま本を手に持ったりページをめくったりすることはできなくもないですが、シラユキさんはまだその域に達していませんよね?」
真樹那
「あ、やべー。でも頑張れ!シラユキもやればできる!」
シラユキ
「ふぇぇ、やっぱりマスターは鬼畜ですぅ〜」