人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

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この世界の真の歴史

「これは....」

「ここ、地上?」

「ううん....人工的な空間だと思う....」

 扉の先に広がっていたのは迷宮とは全く異なる異空間だった。大地には植物が生え、川が

 流れ、奥の方には滝が見えた。更に畑の様な物があり、近くには家畜小屋があった。そして

 何よりも目を引いたのはレンガ造りの建物だった。

 

「じゃあこれは、反逆者が住んでた家ってことか....」

 俺達は建物の前まで移動しドアの前に立っていた。俺は警戒しながらも扉を開け家の中に

 入った。

 

「....見たところ、三階建ての普通の家ですね」

 南雲は中に入り天井を見上げてそう言った。

 

「見た目はな....一応敵の気配はないが警戒して調べるぞ。三人は先に二階を調べてくれ。俺は

 一階を調べる」

「わかりました」

 俺は三人と一度別れて一階を調べた。調べていくと暖炉にリビング、ベッドルーム、台所、

 トイレがあった。そして入口と反対方向にある扉を開けると、露天風呂の様な物が広がって

 いた。

 

「(普通に人が住むのに必要なものばかりだな....)」

 そう思いながら俺は二階に向かった。

 

「お前等、そっちはどうだ?」

「駄目です....どこの部屋も開きませんでした」

「僕の"錬成"でも無理でした....」

「そうか....」

「リツカ、そっちは?」

「人が住むのに必要なものが大体揃っていた。台所にリビング、トイレに風呂....」

「「お風呂!」」

 すると、ユエと白崎の目が輝いた。

 

「何処にあったんですか!」

「入口と反対側にあった扉の向こう....あれはいわゆる露天風呂だな」

「ハジメくん、後で一緒に入ろうね!」

「い、一緒に!?」

「ハジメ、私も一緒に入る」

「ユエまで!?」

 二人の言葉に南雲は赤面してアワアワしていた。

 

「そこら辺はお前等で相談しな。それよりも上行くぞ」

「止めてくれないんですか!?」

 俺は南雲の言葉を無視し三階に向かった。三階は他の階と違い、扉が一つしかなかった。俺は

 扉を開き中に入ると、部屋の床には難解な魔法陣が描かれていた。そして魔法陣の奥には

 玉座の様な物があり、その玉座には衣服を纏った白骨遺体があった。

 

「水月先生、ここは....」

「....見たところ、この家の主が最も重要としていた所だと思う。それにあの白骨遺体....

 恐らく....」

 そう言いながら部屋に足を踏み入れ魔法陣を踏んだ瞬間、突然魔法陣が光り出した。俺は

 罠かと思い警戒したが、特にこれといった事は起こらなかった。その代わり、俺の目の前には

 ホログラムの男が現れた。

 

『試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。

 反逆者と言えばわかるかな?』

 ホログラムの男は目の前に立つ俺に向かって話し始めた。よく見ると男が纏っている衣服は

 背後にある白骨遺体と同じ物だった。

 

『ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には

 答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が

 何のために戦ったのか....メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。

 どうか聞いて欲しい。....我々は反逆者であって反逆者ではないということを』

「何....?」

 そして、オスカーは自身の過去とこの世界の真実について話し始めた。

 

 神代の少し後の時代、世界は争いで満たされており人間と魔人、様々な亜人達が絶えず戦争を

 続けていた。争う理由は様々で領土拡大、種族的価値観、支配欲、他にも色々あったが一番は

 "神敵"だからという理由だった。今よりもずっと種族も国も細かく分かれていた時代に、

 それぞれの種族、国がそれぞれの神を祭っていた。その神からの神託で争い続けていたが、

 何百年と続く争いに終止符を討たんとする者達が現れた。それが当時、"解放者"と呼ばれた

 集団で彼らには共通する繋がりがあった。それは全員が神代から続く神々の直系の子孫で

 あったということで、そのためか"解放者"のリーダーはある時、偶然にも神々の真意を知って

 しまった。神々は人々を駒に遊戯のつもりで戦争を促していた。"解放者"のリーダーは神々が

 裏で人々を巧みに操り戦争へと駆り立てている事に耐えられなくなり志を同じくする者を集め、

 "神域"と呼ばれる神々がいると言われる場所を突き止めた。"解放者"のメンバーでも先祖返りと

 言われる強力な力を持った七人を中心に、彼等は神々に戦いを挑んだ。だが、その目論見は

 戦う前に破綻してしまった。神は人々を巧みに操り、"解放者"達を世界に破滅をもたらそうと

 する"神敵"であると認識させ人々自身に"解放者"の相手をさせた。その過程にも紆余曲折は

 あったのだが、結局守るべき人々に力を振るう訳にもいかず、神の恩恵も忘れて世界を

 滅ぼさんと神に仇なした"反逆者"のレッテルを貼られ"解放者"達は討たれていった。最後まで

 残ったのは中心の七人だけで、世界を敵に回し、彼等は、自分達では神を討つことはできないと

 判断した。そして、バラバラに大陸の果てに迷宮を創り潜伏することにした。試練を用意し、

 それを突破した強者に自分達の力を譲り、いつの日か神の遊戯を終わらせる者が現れることを

 願って....

 

「(図書館で読んだ本とは随分内容が違うな....)」

『君が何者で何の目的でここにたどり着いたのかはわからない。君に神殺しを強要するつもりも

 ない。ただ、知っておいて欲しかった。我々が何のために立ち上がったのか。....君に私の力を

 授ける。どのように使うも君の自由だ。だが、願わくば悪しき心を満たすためには振るわないで

 欲しい。話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下に

 あらんことを』

 そう言うと、ホログラムのオスカーの姿は消えた。

 

「随分と、壮大な話を聞かされたな....」

 俺はそう思いながら後ろにいる三人を見た。

 

「さて....どうするお前等?」

「元の世界に帰ります。そのためにも....」

「....邪魔をしてくるようなら、神を殺します」

「私は三人についていくだけ....」

「俺はこの神モドキとやらぶっ倒すのが良いと思う。....決まりだな」

「(というよりも、こんなカスが神とかを名乗ってるのが気に入らねぇ....)」

 俺は口には出さなかったが心の中でそう考えていた。

 

「そういや力を授けるって言ってたな....」

 俺はオスカーの言葉を思い出しステータスを開いた。だが....

 

「何にも変わってねぇ....」

 俺のステータスは一切変わっていなかった。

 

「お前等、そこの魔法陣乗ってみてくれねぇか?」

 そう言うと、三人は不思議がりながらも魔法陣の上に乗った。すると、ホログラムのオスカーが

 現れさっきと同じ話をし始めた。そして話が終わると、三人は頭を痛そうにしていた。

 

「どうした?」

「新しい魔法を覚えたみたいです....神代魔法の生成魔法ってやつです」

「どんな魔法だ?」

「魔法を鉱物に付加して、特殊な性質を持った鉱物を生成出来る魔法みたいです」

「錬成師にぴったりの魔法だな....てことはオスカーも錬成師だったのか?」

「(それよりも、俺は覚えられないんかい....)」

 俺はそう思いながらオスカーの白骨遺体を見た。

 

「さて、一先ず遺体は埋葬してやるか....三人も少し手伝ってくれ」

 そう言って、俺は崩さないように白骨遺体を外に埋めた。近くにあった木を加工して十字架を

 作り、咲いていた花を供えて手を合わせた。

 

「....ゆっくり眠れ、オスカー」

 三人も俺と同様に墓に手を合わせていた。

 

「さて、後はオスカーの指輪と開かない部屋だが....」

 俺は白骨遺体から取った指輪を空中に投げながらそう呟いた。

 

「水月先生。その指輪の文様、開かなかった部屋の文様と似てるんですが....」

「そうなのか? じゃあこれが鍵代わりって事か....流石に今日は疲れたから明日改めて

 調べることにするか」

「わかりました」

「よし、じゃあ今日はさっさと休むか。....飯は俺が作るとして、お前等先に風呂入るか?」

「入ります! ハジメくん! 行こ!」

「ハジメ....」

 俺の言葉に、白崎とユエは南雲の腕を両側から掴み露天風呂の方に向かった。

 

「す、水月先生!」

「羽目外しすぎんなよ。一応風呂場では不純異性交遊禁止だぞ」

「はーい!」

「風呂場では!? 水月先生! そこは全部止めて....!」

「ハジメ....お口チャック」

 そう言ったユエによって、南雲は口を塞がれ風呂場に連れて行かれた。俺はそれを見届けると

 畑の家畜小屋の方に食材を取りに行った。

 

 

 

 

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