人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

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それは奇跡ともいえる再会

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を

 破却する。―――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、

 人理の轍より応えよ。汝、星見の言霊を纏う七天。降し、降し、裁きたまえ、天秤の

 守り手よ!」

 俺は自分で描いた魔法陣に向かって詠唱を唱えた。だが、魔法陣に変化は起こらなかった。

 

「(やっぱりダメか....)」

 そう思い諦めようとしたその時、突然魔法陣が光り輝き辺り一帯を光で包み込んだ。

 そして、魔法陣があった場所には三つの白い円が浮かび上がっていた。

 

「リツカ! これは....」

「....あぁ。成功したんだ」

 そう呟くと、三つの白い円が魔法陣に集まり一際光り輝いた。そして、その光が収まると

 魔法陣があった場所に一人の少女が立っていた。

 

「やっと、会えたな....」

「あの人が、リツカの恋人....?」

「あぁ、そうだ。....ただ記憶は失ってるけどな」

 俺はユエにそう言いながら少女、メルトリリスに近づいた。

 

「初めまして、メルトリリス。俺は....」

 そう言って自己紹介をしようとした時、突然メルトリリスは俺に抱き着いてきた。

 

「....久し振りね、立香」

「えっ....」

 俺はメルトリリスの言葉が理解できず思考が停止した。

 

「....会いたかった。ずっと会いたかったわ立香」

「メル、ト....? お前、記憶が....」

「えぇ、あるわよ。ちゃんと覚えているわ。あなたの事も、あなたとの思い出も」

「そう、か....」

 その言葉を聞き、俺は何故か涙が止まらなくなった。

 

「メルト....俺....寂しかった....」

 俺はそう言いながらメルトに抱き着いた。

 

「私もよ....ごめんなさい、あの時あなたの言葉を無視して」

「良いんだ....あの時、メルトのおかげで全員が助かった....そして、人理修復を

 成し遂げることができた。謝らなきゃいけないのは俺の方だ....俺はメルトを、死んでも

 守るって約束したのに....」

「バカね....立香が死んだら私も後を追うわ」

 そう言いながら、メルトは泣いていた。

 

「....よく頑張ったわね立香。あなたは、最高のマスターよ」

「っ、メルト....!」

「あらあら....しばらく会わない間に、随分と泣き虫になったわね」

 メルトはそう言いながら、泣き続ける俺の頭を優しく撫でてくれた。

 

 ~~~~

 

 しばらく泣き続け涙が止まった俺はメルトの隣に座り滝の方を見ていた。

 

「それで、ここはどこなの? どこかの特異点?」

「特異点というより異世界だな。死んでから異世界に転移させられたらまた異世界に

 転移させられたって感じだな」

「へぇ....ちょっと待ちなさい。今何か聞き捨てならないことがあったんだけど」

「やべ....」

 すると、いつの間にか俺の顔の横にはメルトの膝の棘が刺さっていた。

 

「立香? 恋人の私には正直に話してくれるわよね?」

「....はい」

 

 ~~~~

 

「サーヴァントを連れずに魔術協会に乗り込んで敵対していた魔術師全員とやりあって

 魔術協会をぶっ潰した!? それで死んだって、アナタバカじゃないの!?」

「言い返す言葉もございません....」

 全て正直に包み隠さず話すと、俺はメルトに正座させられ説教されていた。

 

「アナタねぇ....! サーヴァントには一切伝えなかったの?」

「はい....一応カルデアにいる全員に手紙は残してきたから俺が何やらかしたかは知ってると

 思う....」

「あまりにバカすぎて少し頭が痛くなってきたわ....」

「すいません....」

「もしサーヴァント達に生きてるのがバレても私は助けてあげないから」

「わかってる....ただ、死にそうだったら助けてくれませんかメルト様」

 俺は情けなくメルトの前で土下座した。

 

「....死にそうだったら助けてあげるわ」

 メルトは呆れた表情をしながらもそう言ってくれた。

 

「ありがとうございますメルト様!」

「全く....ホント、時折バカになるわね立香は。....それで、この世界はどんな世界なの? 

 もうある程度は調べてるんでしょ?」

「あぁ。あの家の中に纏めてある物があるから」

 そう言って、俺は背後の家を指差した。その時、俺はあることを思い出した。

 

「(そういやユエの事忘れてた....)」

 そう思い辺りを見たが、ユエの姿はどこにもなかった。

 

「(先に戻ったか....?)」

「立香、どうしたのよ?」

「何でもない。....行こうか」

 そう言って、俺はメルトと一緒に家に向かった。

 

 ~~~~

 

「ふーん....カルデアにも神みたいな連中はいたけどここまで酷くなかったわね」

 家に着くと、メルトは俺の膝の上に座り俺がページを捲った本を見てそう言った。

 

「それで、どうするつもりなの?」

「ま、神をぶっ潰して元の世界に帰るが目標だな」

「そう。....それよりも、この家に他に誰かいるのね」

 メルトはベッドのルームの方を見てそう言った。

 

「やっぱ気づくよな....」

「当たり前よ。....で、あの部屋にいるのは? まさか浮気相手....」

「んなわけあるか! 俺は生涯メルト一筋だ!」

「わ、わかってるわよ....冗談に決まってるじゃない....」///

 そう言ったメルトの頬は少し赤かった。

 

「そ、それで、誰なの?」

「俺の生徒二人とこの迷宮に封印されてた吸血鬼」

「生徒って、あなた教師でもやってたの?」

「あぁ。この世界に来る前の世界で何故か教師でな。というか、カルデアで死んだ時と

 同じ姿のまま転移させられたからな。気づいたらどっかのアパートの一室だった」

「聞けば聞くほど不思議ね....」

「そうなんだよなぁ....ま、メルトとまた会えたから何でもいいけど」

 そう言いながら、俺はメルトを抱きしめた。

 

「....そ」///

「さて、そろそろ寝るか。流石に召喚で疲れた....」

 俺はそう言ってソファに横になった。

 

「ベッドで寝ないの?」

「ベッドはガキどもに使わせてる。メルトは....霊体化する? 流石にその姿でソファは

 無理が....」

「ならこっちにするだけよ」

 そう言うと、メルトのからは光り出し、光が収まるとメルトの姿はラスベガスの時の

 ペンギンパーカーの姿に変わっていた。

 

「これなら大丈夫でしょ?」

「....確かに。じゃあ、おいで」

 俺は腕を広げてそう言うと、メルトは俺にしっかり抱き着いてきた。

 

「明日、ベッド作ろうか」

「そうね。....ねぇ立香、寝る前に一つだけ良い?」

「どうした?」

「....実はね、私がここに来ることが出来たのはある人物が手を貸してくれたからなの。

 その人物から、あなたに伝言よ」

「伝言?」

 メルトの言葉に、俺は首を傾げた。

 

「どうか、君の幸せを追い求めてほしい。誰かのための幸せじゃなく、君自身の幸せを」

「誰かのためじゃなく、俺自身の幸せ....」

「えぇ」

「それって、誰から....」

「ロマニ・アーキマンって男よ」

「っ!? ドクターが!?」

 メルトから出た名前に、俺は驚きが隠せなかった。

 

「えぇ。昔、立香に見せてもらった写真とは顔が全然違ったのだけど、最後の一瞬だけ

 写真で見た顔に変わったわ」

「そうか....ドクターが....」

「(ドクター、ありがとう。今度こそ、守ってみせるよ)」

 俺はそい思いながらメルトを力強く抱きしめた。

 

「そろそろ寝よっか....」

「そうね....」

 そう言って、俺はメルトとともに眠りに就いた。その日の夢で....

 

 ~~~~

 

「頑張れよ、立香君」

 

 ~~~~

 

 俺を応援してくれるドクターの声が聞こえたような気がした。

 

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