人理修復を成し遂げたマスターはありふれた世界じゃ最強に決まっている   作:アイリエッタ・ゼロス

19 / 78
水月立香という人間/カルデアという世界

 白崎side

 

「さて、一先ずお茶を淹れようかな」

 今後の予定が決まった次の日の朝、二人よりも早く起きた私はお湯を沸かそうと

 リビングに入った。そして台所に行こうとした時、ある物が目に入った。

 

「....? あれ、何だろ....」

 目に入ったのはペンギンのような頭だった。それは何故か先生が寝ているソファから

 見えていた。私は不思議に思いながらも恐る恐るソファの方に近づいてペンギンの頭を

 見た。そこにいたのは

 

「....え?」

 先生に抱き着いている女の子だった。私がペンギンに見えていたのは女の子が着ていた

 パーカーのフードの部分だった。

 

「(誰この子!?)」

 女の子の見た目はかなり幼く見え、脚の部分は鉄の義足の様な物になっていた。

 

「香織、そこで固まってどうし....」

 すると、ハジメくんも目が覚めたのか私の方に来た。

 

「誰この子!?」

 ハジメくんは先生に抱き着いている女の子を見てそう叫んだ。

 

「ん....何ようるさいわね....」

 すると、ハジメくんの叫び声で目が覚めたのか女の子は先生の身体から離れた。

 

「....誰?」

「「いやそれはこっちのセリフ!」」

 女の子の言葉に、私とハジメくんは同時にツッコミを入れた。

 

「....ちょっと立香、起きなさいよ」

 女の子は先生の足を蹴りながら寝ている先生にそう言った。

 

「....どうしたメルト? てか痛い....」

「この二人誰?」

「この二人? ....あぁ、昨日言った生徒」

「あぁ、そういう事....」

 先生は目を覚ますと、女の子をメルトと呼び質問に答えていた。

 

「あの先生! この女の子は一体....」

「その質問はユエも起きた後で答える。....取り敢えず飯作るか」

 そう言うと、先生は台所の方に向かって行った。その後ろをメルトと呼ばれた女の子は

 ついて行った。

 

「(何であんな冷静....)」

 私は先生の普段と変わらない様子に頭が混乱した。

 

 ~~~~

 

「さてさて、まぁお前等聞きたい事があるみたいだから答えていくか」

 先生は女の子を膝に座らせて私達にそう言った。

 

「はい先生! その女の子誰ですか!」

「彼女は快楽のアルターエゴ・メルトリリス。俺の恋人だ」

「「恋人!?」」

 先生の発言に、私とハジメくんは大声を上げた。

 

「リツカの言った事はホント」

「ユエ知ってたの!?」

「知ってたというより、昨日見た」

「そうだったな。悪いなユエ、昨日ほったらかしで」

「別に良い....お邪魔みたいだったし」

 ユエはそう言いながら先生から視線を逸らした。

 

「あの、水月先生。快楽のアルターエゴって何ですか?」

 すると、ハジメくんは先生にそう聞いた。

 

「そうだなぁ....それの説明ついでに、俺の正体についても話すか」

「正体?」

「....立香、話して大丈夫なの?」

 すると、メルトリリスさんは先生の方を見た。

 

「まぁ重要機密の部分は喋らなきゃ大丈夫だろ。それに、そろそろ黙ってるのも難しいと

 思ってところだからな」

 そう言うと先生は二階に行き黒板の様な物を持ってきた。

 

「さて、少し授業と行こうか」

 

 ~~~~

 立香side

 

「まず、俺はこの世界の存在じゃない」

 俺はそう言いながら黒板の様な物にトータスと書いた。

 

「いや、それはそうじゃ....」

「正確に言えば、俺は南雲達がいた世界の人間じゃない」

「「えっ?」」

「俺は別世界で死んだ異世界人ってわけだ。この世界にとっても、お前達がいた世界にとっても」

 そう言いながら、俺はトータスの横に地球、カルデアと書いた。

 

「何か質問はあるか?」

「ちょ、ちょっと待ってください! 先生が異世界人ってホントなんですか?」

「あぁ。証拠は俺が使ってた武器、魔術、そしてメルトの存在だな」

 白崎の質問にそう答えると南雲の目はキラキラしていた。

 

「水月先生が異世界人だなんて....! こんな近くにラノベ主人公みたいな人がいたなんて....!」

「ハジメくん....嬉しいのは分かるけど今はストップして....それよりも、どうして今まで

 そのことを黙ってたんですか?」

「そんなもん変人にみられるだろ? お前等の世界で言ってたら。それと、別に言う必要は

 無かったからな」

「まぁ、それは確かに....」

「リツカ....リツカがいた世界....カルデアはどんな世界だった?」

 すると、静かにしていたユエがそう聞いてきた。

 

「良い質問だ。俺がいた世界、カルデアって言うのは俺が所属していた組織の名前だ。俺は

 そこで、人類の歴史を守るために戦っていた」

「人類の歴史、ですか?」

「あぁ。ここからは機密情報になるから詳しくは話せないが、簡単に言えば人類の絶滅を

 防ぐためにその原因を消去、破壊して守るのが俺の役割だった。....その中で、俺は多くの人や

 国を殺してきた。人類を守るためにな」

「「「っ!?」」」

 俺の言葉に、三人の表情が固まった。

 

「....だからこの世界に来た時の話し合いであんな事を言ったんですね」

「そういう事だ。俺があれだけ戦えるのもカルデアで師匠達に鍛えてもらったからだ。

 人殺しもその時に嫌というほど味わった」

「そう、だったんですね....」

「リツカ、苦しくなかったの?」

「そんなもん苦しかったさ。だが、俺にしかできないことだった。だから、死ぬ気で進み

 続けたさ。そして、多くの犠牲を払いながらも人類を守ることに成功した。俺はその数か月後に

 ある事をやって死んだが....」

「ある事って....」

「それは秘密だ。さて....じゃあ次はメルトの事だな」

 そう言って俺は黒板に書いた文字を消した。

 

「さっき言った通り、俺は人類を守るために戦った。だが、当然人間の力だけじゃ守るのは

 不可能だった。そんな俺達に力を貸してくれたのがメルトの様な英霊、サーヴァントと

 呼ばれる者達だ」

「サーヴァントって何ですか?」

「わかりやすく言えば歴史上の人物、歴史に名を残した者たちの事だ。沖田総司、アーサー王、

 ギルガメッシュ王、紫式部....授業で聞いたことがあるだろ?」

「ってことは、メルトリリスさんも何かの歴史上の人物なんですか?」

「残念だけど、私はそいつ等と違うわ」

 南雲の言葉に、メルトがそう言った。

 

「私はいくつかの英霊を混ぜて作られた存在。だから私は歴史上にはいないわ」

「そういう事。メルトはアルテミス、レヴィアタン、サラスヴァティーが混ざった英霊だ。

 だから通常の英霊とは少し特殊な英霊になる」

「な、なるほど....」

「リツカ、ハジメが言ってた快楽のアルターエゴっていうのは?」

「快楽は二つ名みたいなもんと思っといてくれ。アルターエゴっていうのはメルトのクラス、

 わかりやすく言うなら属性みたいな物だ」

「属性ですか?」

「あぁ」

 そう言って、俺は七つのクラスを書いた。

 

「まず、サーヴァントというのは全員一つずつクラスを与えられている。剣に関係した英霊の

 セイバー、飛び道具に関係した英霊のアーチャー、槍に関係した英霊のランサー、乗り物に

 関係した英霊のライダー、魔術に関係した英霊のキャスター、暗殺に関係した英霊のアサシン、

 狂気的な歴史を残したとされる英霊のバーサーカー。基本的にはこの七つがサーヴァントの

 クラスだ。だが、一部特殊なクラスがある。そのうちの一つがアルターエゴだ」

「アルターエゴっていうのはどういうサーヴァントになるんですか?」

「とある人物の一面を取りだした存在、らしい」

「らしい?」

「詳しくは俺もよくわからん。ただ、存在する人物のある部分を取り出して生まれた存在だ」

「そういうこと」

「「なるほど....」」

 白崎と南雲はそう言ったが、完全には理解できていなそうな雰囲気だった。ユエも同じく、

 考え込んだような表情をしていた。

 

「まぁそんな深く考えなくていいぞ。簡単に纏めると、俺は異世界人で人類のために多くの

 人を殺した。サーヴァントと呼ばれる人物とともに人類を守って死んだ。メルトは俺の恋人で

 特殊なサーヴァント、これぐらいわかってたら十分だ」

「なるほど....」

「ねぇリツカ。ちなみにメルトリリスは強いの?」

 するとユエがそんな事を聞いてきた。

 

「当然だ。俺なんかより何百倍も強い。まぁサーヴァント全員そうなんだが」

「水月先生の何百倍!?」

「あぁ。試しに見てみるか? メルトの戦うとこ。メルトも良いか?」

「そうね。この世界の敵がどんな物か知るのにもちょうどいいわ」

「決まりだな。じゃあ少し外に行くぞ」

 そう言って、俺は三人を連れて外に出た。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。